日本経済新聞 2007/10/19            発表   解説

キリン、協和発酵買収交渉 医薬・バイオ強化
 買収額3000億円超も 上場は維持

 キリンホールディングスが東証一部上場の医薬品大手、協和発酵を買収する方向で同社と交渉に入ったことが明らかになった。キリンは協和発酵を傘下に入れて医薬品やバイオ関連の事業を強化し、ビール事業の伸び悩みを補う。少子高齢化や医療費抑制で市場が低迷する食品・医薬品業界でM&A(合併・買収)が一段と加速してきた。

 キリンも別の抗体医薬技術を持っており、両社の技術を組み合わせることで新薬開発力の底上げが期待できる。資金力のあるキリンの傘下に入れば、多額の費用がかかる薪薬の開発もしやすくなるとみている。

医薬再編の動き加速 
 キリンホールディングスが協和発酵を買収する交渉に入ったのは、両社の強みを持ち寄って世界に通用する新薬を生み出す体制を整えるのが狙い。医薬メーカーは国内市場の鈍化と新薬不足という2つの壁に直面している。両社はそれぞれ「抗体医薬」と呼ぶ革新的な薬を開発する技術を持っており、統合効果は大きいとみられる。買収が実現すれば、世界での生き残りをかけた医薬再編が加速するのは確実だ。

抗体医薬 統合効果大きく
 
 両社が強い抗体医薬は生物の免疫反応を応用した医薬品。がんなど病原を狙い撃ちするので、既存の薬に比べて副作用が少なく、効き目が強いとされる。
 キリンは抗体医薬を効率よく作製する技術を持ち、特に副作用を起こしにくくする「ヒト化」と呼ぶ技術などで注目されている。協和発酵は抗体医薬の効き目を最大1千倍に高める技術を保有。2社の技術を組み合わせ、キリンの安定した事業基盤のもとで腰を据えて研究開発を進めれば、有力な新薬開発につながる可能性もある。


▼抗体医薬
 免疫機能を担う「抗体」と呼ぶ特殊なたんぽく質を使った医薬品。一般的な薬は化学合成で作るのに対し、抗体医薬は培養細胞で作る。病気の引き金や悪化のカギを握る物質に結合して作用を妨げる。がんや関節リウマチの治療薬として急速に普及しており、世界市場規模は年2兆円弱に達する、武田薬品工業や第一三共、アステラス製薬も製品や関連技術導入を急いでいる。

国内製薬会社の売上高順位 '(単位億円。2006年度)
1 武田薬品工業   13,051
2 第一三共   9,295
3 アステラス製薬、   9,206
4 エ一ザイ   6,741
5 大塚製薬   5,761
6 田辺三菱製薬   4,050
7 中外製薬   3,261
8 大日本住友製薬   2,612
9 大正製薬   2,420
10 塩野義製薬   1,997
11 小野薬品工業   1,417
12 協和発酵   1,315
- キリンファーマ    672
(注)大塚製薬と協和醗酵は医薬品部門。
  田辺三菱製薬は三菱ウェルファ一マと田辺製薬の単純合算

2007/10/22 日本経済新聞夕刊

両社長会見 「提携で技術に磨き」

 協和発酵を傘下に収めることを正式発表したキリンホールディングスの加藤壹康社長と協和発酵の松田譲社長は22日、都内で会見した。

ー 今回の提携で世界に通用する規模になるのか。
加藤社長「規模ではなく、世界に冠たる技術にさらに磨きをかけるための提携だ」
松田社長「今回の提携はスペシャリティーファーマ(専門特化製薬会社)になるのが目的で、決してサイズを追ったのではない」

ー なぜ、10年間50.1%の出資比率を維持するのか。
加藤社長「50.1%という数字は色々と工夫した結果だ。両社の持つ力を最大限発揮できる良いバランスだと思う」

ー 買収防衛の意味合いはあるのか。
松田社長「防衛策として考えたことはない」


2007/10/22 協和醗酵/キリンホールディングス

協和発酵とキリンファーマとキリンHD、戦略的提携に合意し統合契約書締結

協和発酵グループとキリングループの戦略的提携について
〜医薬事業を中心とした提携により両グループの強みをいかし、シナジーの最大化を目指す〜

 協和発酵工業株式会社(社長 松田譲、以下協和発酵)とキリンファーマ株式会社(社長 浅野克彦、以下キリンファーマ)、キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康、以下キリンホールディングス)は、2007年10月22日、両グループの事業全体を対象とした戦略的提携について合意に達し、統合契約書を締結しました。両グループは、相互の強みを生かした戦略的な業務提携を推進し、競争力強化や経営効率の向上、シナジーの最大化を図り、さらなる成長の実現による企業価値の向上を目指します。
 提携の柱として、協和発酵とキリングループの医薬事業会社であるキリンファーマを統合し、シナジーの早期創出を図ります。両社の強みであるバイオテクノロジーを基盤とし、医薬を核にした日本発の世界トップクラスの研究開発型ライフサイエンス企業を目指します。
 
 両グループの統合に先立ち、キリンホールディングスは、協和発酵株式の公開買付けおよびキリンファーマと協和発酵の株式交換により、協和発酵の発行済株式総数の50.10%を取得する予定です。


戦略的提携および本公開買付け・本株式交換の概要

1.新会社(合併後の存続会社)概要
(1)会社名 協和発酵キリン株式会社 (英文名:KYOWA HAKKO KIRIN CO.,LTD.)


5.今後の組織体制
本公開買付け、本第三者割当増資、本株式交換終了後、協和発酵はキリンホールディングスの連結子会社となる。(株式交換の効力発生:2008年4月1日)また、2008年10月1日をもって、
協和発酵とキリンファーマは協和発酵を存続会社として、合併する。なお、新会社は上場を維持する。
キリンホールディングスは、新会社の上場が維持されるべく最大限の合理的な協力を行い、新会社に対する持株比率50.10%を10年間維持することを原則とする。

 
@TOBで買い付け 111,578千株     

A協和醗酵 第三者割当増資 177,240千株
          キリンファーマ株と交換
B協和発酵とキリンファーマ 合併

          ↓

 
 

 

協和発酵工業株式会社 
 医薬事業部門

人々の健康で豊かな暮らしを願い、研究を重ね、画期的な新薬の開発を進めています。
医薬事業部門では、医家向けの医薬品の製造販売をしています。たとえば、血圧を調整する循環器薬、花粉症に効果がある抗アレルギー薬、抗がん剤、化学療法により低下した白血球数を回復させる G-CSF 製剤、消化器の働きを活発にする薬、中枢神経系に作用してパーキンソン病やてんかんに効果がある薬など50種類を超える薬を取り扱っています。さらに、「きらりと光る新薬」をめざし、ゲノム情報を利用した医薬品の開発や抗体医薬、バイオ医薬、再生医療、遺伝子治療など21世紀の医療をにらんだ研究にも取り組んでいます。高齢化社会に向い、便利で使いやすい薬の形を追求し、水なしでも飲める錠剤なども実用化しました。診断薬分野でも、より早く正確な臨床検査値の提供に邁進しています。患者さんの個人個人に最も有効な治療に結びつく総合的な医療をめざしています。

 バイオケミカル事業部門

私たちの技術は協和発酵のルーツです。明るい未来のためにたゆまぬバイオ技術の革新を約束します。
バイオケミカル事業部門では、世界のトップレベルにある発酵技術と合成技術を生かし、医薬用および工業用アミノ酸や核酸および、それらの誘導体に代表される各種ファインケミカル製品を中心に国内外のユーザーへ供給しています。また、ペットや農畜水産用の製品も多彩な品揃えを展開しています。さらに、コレステロールが高めの方に役立つ特定保健用食品「コレステブロック」をはじめ「オルニチン」「発酵コエンザイムQ10」などの健康食品も販売しています。清酒原料用アルコールと工業用アルコールを扱うアルコール事業も発酵技術から出発した創業以来の事業分野です。太古の昔から人類が利用してきた発酵技術は、近年のゲノム解析の進歩により、ニューバイオテクノロジーとして、さらに新たな発展が期待されます。

 協和発酵ケミカル株式会社

新しい可能性を追求し、付加価値の高い製品を世の中に提供するため挑戦を続けています。
協和発酵ケミカルでは、「オキソ技術」と呼ばれる方法を使って生産される溶剤・可塑剤原料等の基礎化学品をはじめ、各種石油化学製品の製造販売を行なっています。この中には、冷房などで欠かせないフロン代替新冷媒用潤滑油の原料や、ごみ処理場の下に敷かれる遮水シートなどユニークな機能性化学製品も含まれています。「石油化学」は、世界を相手にした競争のはげしい産業であるため、環境に対応する製品など付加価値の高い製品の開発が期待されています。アジアを中心に販売を推進しており、さらにアメリカ・ヨーロッパにも販売拠点を持ち、世界展開を図っています。

 協和発酵フーズ株式会社

グルメと健康をスローガンに人々の暮らしを豊かにし、より充実した生活を求めて歩んでいます。
協和発酵フーズでは、天然調味料・醸造調味料・うま味調味料など幅広いジャンルの調味料を取り扱っており、おいしさを求めてグローバルに展開しています。グルメと健康を追求し続ける食品事業では、消費者の方々のニーズに対応できる体制を充実させ、当社の発酵の技術を生かして、イーストなど製菓・製パン業界でも活躍し、おいしいパンの研究も進めています。またフリーズドライと呼ばれる風味を逃がさない製法でつくられた「たまごスープ」なども販売しています。お客様のニーズに応えて、おいしさを求め、健康で充実感のある生活を手助けする。そんなカンパニーを目指しています。


2008年11月26日 協和発酵キリン

中国における生産子会社の出資持分の譲渡・譲受について

 大日本住友製薬株式会社(以 下、「大日本住友製薬」)と協和発酵キリン株式会社(以下、「協和発酵キリン」)は、本日、大日本住友製薬が協和発酵キリンの中国における生産子会社「協 和発酵医薬(蘇州)有限公司」の出資持分の全部を譲り受けることに合意し、譲渡契約書を締結しましたので、下記のとおりお知らせします。

1.譲渡の理由
 大日本住友製薬は、中国を重要な海外マーケットと位置づけ事業拡大を推進しており、中国現地法人を通じてカルバペネム系抗生物質製剤「メペム」(日本で の販売名「メロペン」)、高血圧症・狭心症・不整脈治療剤「アルマール」、セロトニン作動性抗不安薬「セディール」、消化管運動機能改善剤「ガスモチン」 を販売しています。2007年末に、中国現地法人が蘇州に有する包装工場が稼動しましたが、今後も拡大が予想される中国市場における既存製品および新製品 の売上計画を勘案すると数年後に生産能力が不足すると予想され、工場の増強を検討していました。
 一方、協和発酵キリンは、中国事業再編のため、蘇州に生産工場を有する中国現地法人の売却を検討していました。
 このような中、両社の意向が一致し、この度の合意に至りました。

2.譲渡の方法
 協和発酵キリンが有する協和発酵医薬(蘇州)有限公司の出資持分(100%)の全部を大日本住友製薬に譲渡します。

3.譲渡する子会社の概要

(1)商号 協和発酵医薬(蘇州)有限公司
(2)代表者 井上道信
(3)所在地 中国江蘇省蘇州工業園区青丘街115号
(4)設立年月日 2004年9月9日
(5)事業の内容 薬品の研究、開発、製造、自社製造製品の販売、及び関連するコンサルティングサービスの提供
(6)決算期 12月31日
(7)従業員数 なし
(8)資本金 2,010万ドル
(9)純資産 109,073千元(約15億3千万円、2008年8月末)
(10)総資産 137,423千元(約19億2千万円、2008年8月末)
 
(11)事業所(工場)の概要
  ・完成年月 2006年4月
  ・敷地面積 約30,000m2(建屋延べ床面積:約5,700m2
  ・工場設備 錠剤包装設備(5千万錠/年)、製剤生産設備(1億錠/年)、事務ゾーン、品質管理ゾーン、機械室ゾーン、倉庫ゾーン、包装ゾーン、製剤ゾーン
(12)業績 工場が本格稼動前のため、販売実績はありません。

4.譲渡の日程
 譲渡契約締結:2008年11月26日
 中国の審査認可機関からの認可が下り次第、譲渡を実行する予定です。

5.業績への影響
 本件に伴う大日本住友製薬および協和発酵キリンの業績に与える影響は軽微です。


2011年11月16日  富士フイルム/協和発酵キリン 

富士フイルムと協和発酵キリン
バイオシミラー医薬品の開発・製造の合弁会社を設立

 富士フイルム株式会社と協和発酵キリン株式会社は、2012年春を目処に合弁会社を設立することで基本合意いたしました。新会社は、高い成長が見込まれるバイオシミラー医薬品市場において、高信頼性・高品質で競争力のある製品を開発・製造していきます。
 現在、医薬品市場において、化学合成では達成できない薬理作用がある複雑な構造を持ったタンパク質などの生体分子※を活用した、副作用が少なく高い効能が期待できるバイオ医薬品の比率が高まっています。バイオシミラー医薬品は、先行バイオ医薬品と同等・同質の効果を持つ医薬品として、それらの特許満了後に、異なる製造販売業者より販売される医薬品です。
 今後、バイオシミラー医薬品市場は、医療費の高騰問題や、2020年にかけて先行バイオ医薬品が特許満了を迎えることを背景に、世界的に拡大していくと予想されていますが、バイオシミラー医薬品の普及拡大には、先行バイオ医薬品と同等の高信頼性・高品質と、コストの低減が求められます。
 今回、富士フイルムと協和発酵キリンは、両社折半出資によるバイオシミラー医薬品の開発・製造の合弁会社を設立します。新会社では、富士フイルムが長年写真フィルムなどの事業で培った高度な生産技術や品質管理技術、解析技術と、協和発酵キリンがバイオ医薬品の研究・開発・製造で蓄積してきた独自技術・ノウハウを融合させて、バイオシミラー医薬品の画期的な生産プロセスの創出やコスト低減を行っていきます。また、開発のスピードも重視し、2013年を目標に最初の候補品の臨床試験を開始できるように取り組んでいきます。これらにより、高信頼性・高品質でコスト競争力にも優れたバイオシミラー医薬品を開発・製造し、適切なタイミングで市場に導入することで、主導的ポジションの獲得を目指します。
 富士フイルムは、医薬品事業を重点・成長分野として位置付け、事業展開を行っています。中でもバイオ医薬品分野においては、「ペルセウスプロテオミクス」によるバイオ新薬の開発や「FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(英・米)」によるバイオ医薬品受託製造を通じて、取り組みを加速させています。今後、合弁会社を加えて、バイオ医薬品事業の基盤をさらに強化し、先端的な独自技術とリソースを活かして、人々の健康の維持・回復や解決されていない病気の治療に貢献する医薬品を提供していきます。
 協和発酵キリンは、バイオテクノロジーを主要技術とした新薬の創出を行っています。合弁会社において、富士フイルムの技術との融合という新たなビジネスモデルを展開するとともに、合弁会社で開発した革新的な生産技術を自社の抗体医薬をはじめとした新薬の生産にも活用することで、より高品質な医薬品の製造コストのさらなる低減に取り組んでいきます。協和発酵キリンは、がん、腎、免疫疾患を中心に画期的な新薬を創出することにより、人々の健康と豊かさに貢献していきます。

※ 生物の生命活動に係わっている分子レベルの物質。代表的なものにタンパク質、ペプチド、核酸などがある。医薬品としては、例えば成長ホルモンやインスリン、抗体などタンパク質が主に使われている。

【合弁会社の概要】
出資比率: 富士フイルム 50%、協和発酵キリン 50%
事業内容: バイオシミラー医薬品の開発・製造
設立予定: 2012年春

2012/3/17 協和キリン 富士フイルム バイオロジクス株式会社 発足

1.会社名 : 協和キリン 富士フイルム バイオロジクス株式会社
         (FUJIFILM KYOWA KIRIN BIOLOGICS Co., Ltd.)
2.所在地 : 東京都千代田区大手町1-6-1(大手町ビル9F)
3.設立日 : 2012 年3 月27 日
4.資本金 : 1 億円(出資比率 富士フイルム:50%、協和発酵キリン:50%)
5.事業内容 : バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売
6.体制 : 代表取締役社長 野村 英昭(協和発酵キリン出身)
代表取締役副社長 川口 誠(富士フイルム出身)
7. 従業員数 : 27 名
8. URL : http://fujifilmkyowakirin-biologics.com/

 

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2011/11/17 日本経済新聞

富士フイルムと協和キリン、バイオ医薬で提携

 富士フイルムと協和発酵キリンは16日、バイオ医薬品の開発と製造で提携すると発表した。2012年春をめどに折半出資で子会社を設立、特許が切れた他社のバイオ医薬品と有効性や安全性が同じ「バイオシミラー(バイオ後発薬)」の開発と製造に参入する。細胞培養や製造工程管理など得意な技術を出し合い、需要が拡大するバイオ医薬品事業を強化する。

バイオ医薬品 

 遺伝子組み換えや細胞培養などの技術を使って生産する医薬品。体内の免疫反応などを応用して効果を発揮するため、化学合成で作る医薬品より副作用が少ないなどの利点があるとされる。現在は主にがんやリウマチの治療薬が販売されている。

 化学合成薬は特許が切れた後、全く同じ有効成分で後発薬を作る。一方、バイオ医薬品は製造工程が複雑で、特許切れ薬と同じ成分を作ることは難しい。このため特許切れ薬の成分に類似した構造の薬をバイオシミラー(バイオ後発薬)として製造販売することが一般的だ。

 新会社は30〜40人で発足し、両社同数の社員が出向する。資本金の総額や社長の人選、本社所在地などは今後詰める。13年に最初のバイオ後発薬の臨床試験(治験)入りを目指す。

 バイオ後発薬は10年の市場規模が業界推定で約200億円。15年には10倍の約2000億円に急拡大し、その後も成長が続く見通しだ。治験開始から4〜6年後の発売が一般的とされ、「新会社の最初の製品が出るのは10年代後半」(国内製薬会社)との見方が多い。新会社の製品はまず国内で販売し、将来は海外での開発や販売も視野に入れる。

 「バイオ医薬品は開発や製造が難しい。(既にバイオ新薬で実績がある)協和発酵キリンと組めば信頼性の高い製品を発売できる」(富士フイルムの古森重隆社長)。「当社は細胞系の技術が得意だが、ものづくりが若干弱い」(協和発酵キリンの松田譲社長)。16日記者会見した両社の社長は、相手方の技術が自社を補完すると口をそろえた。

 富士フイルムグループは医療用医薬品や内視鏡など医療関連事業を手掛ける。同事業の売上高は11年3月期で2677億円と全体の1割強。塩野義製薬(2823億円)など製薬準大手の売り上げ規模に匹敵するが、19年3月期には1兆円に拡大する計画を進める。

 富士フイルムで医薬品事業部長を務める戸田雄三常務執行役員は「提携で当社は低分子合成薬からバイオ薬、医療機器、後発薬までそろい、本格的に成長を目指す段階に入った」と述べた。

 一方、協和発酵キリンは抗体医薬品を中心にバイオ新薬を開発しているが、バイオ後発薬はバイオ新薬より販売価格が安い。生産コスト抑制と高度な製造工程管理の両立が必要なため、富士フイルムのものづくりの技術が必要と判断した。両社は状況に応じ、バイオ新薬などでの協業も検討する。

 両社の提携について市場では「日本でバイオ後発薬を手掛けるのは小規模の製薬会社に限られていた。日本企業の中では有力メーカーになる」(国内証券)との見方が多い。ただ「グローバル展開するには規模が小さく、提携企業の一段の拡大が必要」(別の国内証券)との指摘もある。

バイオ医薬 世界で主流に

  武田薬品 長谷川社長:
    日本企業は1990年代に低分子合成で複数の大型薬を出した。この成功体験が研究開発の主体を
    バイオ薬に移すのが遅れる原因になった。


2013年12月2日  協和発酵キリン

生産拠点の再編計画に伴う四日市工場の閉鎖完了のお知らせ

 協和発酵キリンは、2013年11月30日に四日市工場(三重県四日市市)の閉鎖が完了しましたのでお知らせします。

 四日市工場は、旧協和発酵工業時代の1993年12月に竣工、翌年に稼働を開始し、現在に至るまで協和発酵キリンが取り扱う低分子医薬品の原薬製造拠点として重要な役割を果たしてまいりました。
 2010年1月に協和発酵キリンは、2010-2012年中期経営計画の中で生産拠点の老朽化および立地条件の問題解決、生産の効率化、コスト競争力の強化を目的とした「生産拠点の再編計画」を発表しました。今回の四日市工場の閉鎖は、この「生産拠点の再編計画」の一環であり、これまで四日市工場で製造してきた原薬は、協和発酵バイオ株式会社(東京都千代田区 代表取締役社長:石野 修一)の子会社である第一ファインケミカル株式会社(富山県高岡市、代表取締役社長:大島 悦男)が引き続き製造していきます。

 協和発酵キリンは、今後も生産拠点の再編計画を遅滞なく実行し、高品質な医薬品を安定的に製造、供給していくことにより、世界の人々の健康と豊かさに貢献してまいります。
 

【施設概要】
名称 協和発酵キリン四日市工場
所在地 三重県四日市市大協町2-3
規模 敷地面積2,690m2
製造棟:鉄骨5階建、延床面積2,570m2
工場長 佐野 隆宏
従業員数 21名(2013年10月30日時点)
用途 低分子医薬品原薬の製造
稼動開始 1994年