第7 回日本医療研究開発大賞における内閣総理大臣賞受賞のお知らせ
協和キリンは、東京理科大学 松島 綱治教授、近畿大学 義江 修名誉教授とともに、「ケモカインの発見に基づく T 細胞リンパ腫治療薬の開発」により、第7 回日本医療研究開発大賞において内閣総理大臣賞を受賞しましたので、お知らせいたします。
表彰式は 2025 年 1 月 17 日に首相官邸にて開催され、賞は石破茂首相より授与されました。
日本医療研究開発大賞は、我が国のみならず世界の医療の発展に向けて、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して功績を称えるものです。国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めることを目的として平成 29 年度より行われています。その中でも内閣総理大臣賞は、極めて顕著な功績が認められる事例1件に対して授与されます。
松島綱治氏(東京理科大学)は、 免疫・炎症反応において生体防御を担う白血球の特定組織への移動を制御するタンパク質ケモカインのプロトタイプを発見した。 さらに、義江修氏(近畿大学)との共同研究により、CC ケモカイン受容体(CCR4)が成人 T 細胞白血病リンパ腫(ATL)に高発現することを見出し、 新規 ATL 治療薬「モガムリズマブ」Mogamulizumab 開発の礎を築いた。
上記に基づき、協和キリンは抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を高める自社独自の「POTELLIGENT ® 」技術を搭載したモガムリズマブの臨床試験を上田龍三氏(当時名古屋市立大学)らとともに実施し、日本発・日本初のがん領域での抗体医薬開発に成功した。
(協和キリン)その後モガムリズマブは、T 細胞リンパ腫治療薬として 58 の国と地域で患者の予後改善に貢献している(2024 年 9 月末時点)。
ATL は国内では年間約1,000名が発症する希少がんである。T
細胞リンパ腫の中でも予後が非常に悪い。 特に急性型は1年生存率が2割未満であり、有効な治療法が強く望まれていた。
• 松島綱治氏(東京理科大学)は、義江修氏(近畿大学)との共同研究を通じて、ATL 細胞に
CCR4が高発現し、皮膚浸潤を促進することを発見し、CCR4を標的とした ATL 治療薬の可能性を示した。
• 松島氏と協和キリンは、CCR4に対するマウス抗体を作製し、 協和キリンは ADCC 活性を高めたヒト型抗体を作製、上田龍三氏
※(当時名古屋市立大学)らとともに ATLを対象とした国内臨床試験を行い、日本発として最初のがん領域での抗体医薬品となる抗
CCR4抗体医薬モガムリズマブの開発に成功した。
• モガムリズマブは2024年3月末現在、難治性 T 細胞リンパ腫治療薬として、54の国と地域で患者の予後改善に貢献している。