協定書
株式会社トクヤマ(以下トクヤマという)、日本ゼオン株式会社(以下ゼオンという)および住友化学工業株式会社(以下住化という)は、新第一塩ビ株式会社(以下新第一塩ビという)に関し、運営主体の変更と構造改革につき合意したので、平成6年12月5日付締結の「基本契約書」を廃止し、ここに本協定を締結する。なお、かかる合意にあたり、ゼオンおよび住化よりトクヤマに対して、トクヤマが新第一塩ビの運営を引き継ぐことになっても、製造受託者および出向元の立場で新第一塩ビのための協力は惜しまない、特にペースト事業については、トクヤマはその経験が乏しいことから、この事業が良好な状態で継続できるように協力したい、という協力表明があったので、かかる趣旨を実現するための基本的枠組みを具体化し、本協定の締結に至ったものである。
第1条(新第一塩ビの改組)
トクヤマは、新第一塩ビを、平成11年6月21日以降自らの事業として運営する。
第2条(出資比率の変更)
新第一塩ビは、繰越損失を消滅させるため、平成11年6月25日をもって、本協定締結日現在発行済の普通株式6,800株を消却することにより、資本減少額を金70億円とした無償減資を行い、トクヤマ、ゼオンおよび住化はこれに応ずる。
A新第一塩ビは、平成11年6月24日を払込期日として普通株式100株を1株当たり発行価額金40百万円にて発行し、本協定当事者は以下の通りこれを引受け、払込期日に全額払込む。
トクヤマ 42株(持株比率42%)
ゼオン 29株(持株比率29%)
住化 29株(持株比率29%)
B前項の新株発行のほか、新第一塩ビは、本協定の当事者の持株比率が以下のとおりとなるように平成12年3月30日までに、普通株式100株以上を1株当たり発行価額金40百万円にてトクヤマに別途割り当て、トクヤマは、その全てを引き受け、払込みを完了する。
トクヤマ 71.0%以上
ゼオン 14.5%以下
住化 14.5%以下
第3条(定款の変更)
新第一塩ビは、平成11年6月21日までに開催される新第一塩ビの定時株主総会において同社の定款を付属書1.のとおりに変更する。
第4条(役員)
新第一塩ビの取締役および監査役の定数はトクヤマが任意に定めることができるものとし、その候補者はトクヤマが指名する。但し、ゼオンが取締役の派遣を希望する場合は、トクヤマ、ゼオン両者間で別途協議のうえ定める。
A住化は、原則として新第一塩ビに役員を派遣しない。
第5条(販売支援)
ゼオンおよび住化は、合弁事業発足時に両社から顧客を移管した経緯に鑑み、顧客が新第一塩ビとの取引を継続するよう、新第一塩ビの経営主体の変更前後に適宜主要な顧客への依頼を行なう。また、トクヤマは、新第一塩ビの経営主体の変更後にこれらの顧客の取扱いに不利益な変更のないことを必要に応じて顧客に表明する。
第6条(人的支援)
ゼオンおよび住化は、トクヤマが新第一塩ビの運営を円滑に引継げるようにするために、以下の協力を行なう。
1. ゼオンおよび住化が現在行っている出向者の派遣については、トクヤマの要請がある場合に継続するものとする。
2.事業継続のため、新第一塩ビの販売、研究および本社業務に従事する人員を補充するため、トクヤマより職種を特定して要員の出向の要請があった場合は、ゼオンおよび住化は、可能な範囲で協力する。
3.トクヤマから要請があった場合においては、ゼオンおよび住化は新第一塩ビにおいて必要がなくなった出向者の復帰について可能な範囲で協力する。
4.前3号の目的を達成するため、ゼオンおよび住化は、新第一塩ビとの間で別途出向協定を締結する。
第7条(製造受委託業務)
ゼオンは、新第一塩ビの水島工場および高岡工場の操業を受託する。但し、新第一塩ビは水島工場を遅くとも平成12年3月末までに休止するものとし、ゼオンはこれに協力する。
A住化は、新第一一塩ビの千葉工場および愛媛工場の操業を受託する。
B前2項の目的を達成するため、ゼオンおよび住化は、新第一塩ビと製造受委託契約を締結する。但し、契約期間は10年間とし、新第一塩ビは、同社が工場移転を実施するとき、または同社が工場の休廃止をするときは、1年の事前通告により製造受委託を終了させることができる。
C前項の製造受委託契約中に、構造改革推進のための適切な枠組みに関する条項を盛り込むこととする。
第8条(土地の賃貸の継続)
ゼオンおよび住化は、現在新第一塩ビに賃貸している土地について、新第一塩ビの工場の製造を受託している間その賃貸を継続する。
第9条(VCMの調達)
VCMの調達は新第一塩ビとトクヤマが行う。但し、ゼオンは、平成12年3月末までは、新第一塩ビと別途合意する数量のVCMを本契約に添付する付属書U.に記載の価格算式に基づいて供給し、住化は新第一塩ビの千葉工場が必要とするVCMを本契約に添付する付属書U.に記載の価格算式に基づいて平成11年6月末まで供給する。
第10条(本社業務)
新第一塩ビの本社業務について委託を受け行っている業務については、新第一塩ビの改組の趣旨に即して見直す。
第11条(資金調達)
運転資金
平成11年7月31日から翌年4月3日までの期間中、新第一塩ビが運転資金として必要とする極度額100億円の短期借入金に関しては、トクヤマ42%、ゼオン29%、住化29%を限度とした資金調達責任を負い、銀行への保証が必要な場合には、新第一塩ビからの委託に基づき、各々その比率に応じて個別に保証する。この本極度額の設定に当り、現在新第一塩ビが享受している「モノマーの支払サイトの延長」の継続を条件とするが、当該サイトの延長を継続したにも拘らず、所要運転資金が100億円を超過した場合、その超過分の調達についてはトクヤマが責任をもってこれを行う。なお、平成12年4月3日以降、新第一塩ビが必要とする一切の運転資金については、その資金調達責任はトクヤマ100%とする。
A設備資金
本協定締結日現在において新第一塩ビが銀行から設備資金として借り入れている付属書V.記載の長期借入金については、返済期限である平成15年6月30日までに限り、ゼオン40%、トクヤマ30%、住化30%を限度として現在個別に行っている保証を継続する。なお、当該返済期限を超えて、かかる借入金の借換えが必要な場合には、その資金調達責任は100%トクヤマが負う。
B長期資金追加借入
付属書W.に記載する返済計画を条件として新第一塩ビが平成12年4月3日付にて新たに銀行から借り入れる長期借入金(金45億円以下)についての資金調達責任は、その返済期限である平成15年6月30日までに限り、ゼオン40%、トクヤマ30%、住化30%を限度とし、銀行からの求めがあれば、各々その比率に応じて個別に保証する。なお、借入条件については、先ずトクヤマがその取引銀行と交渉の上条件を設定し、その上でゼオンおよび住化はその条件を基準として各々の取引銀行と交渉する。但し、いかなる場合も、返済期日は付属書1V.に定める期日を超えることがあってはならないものとする。
また、かかる借入金の借換えが必要な場合には、その資金調達責任は100%トクヤマとする。
第12条(業務連絡)
ゼオンおよび住化は、本協定に基づく各々の義務を履行するに際し、新第一塩ビとの意思疎通を円滑にするため、担当窓口を定める。
第13条(撤退補償金)
ゼオンおよび住化は、トクヤマへ経営責任が移行することに関連し、新第一塩ビの発生損失の負担にかかる補償として、新第一塩ビに対して平成12年3月末までの間に、各々金440百万円、金540百万円を支払う。
A前項に定める補償金の額は、いかなる場合でも変更しない。
第14条(新株引受権の放棄等)
本協定書に明記する場合を除き、ゼオンおよび住化は新第一塩ビの株式を引受けない。
A前項の目的を達成するため、ゼオンおよび住化は、法令または定款に基づく新株引受権を行使しない。
第15条(株式譲渡)
ゼオン、住化のいずれかがその保有する新第一塩ビの株式の全部または一部の譲渡を希望するときは、トクヤマはこれを譲渡当事者と協議のうえ定めた価格で譲受ける。
第16条(解散)
トクヤマは、ゼオンと住化に1年前までにあらかじめ通知することによりいっでも新第一塩ビを解散させることができる。
第17条(秘密保持)
本協定締結日から5年の間、本協定の当事者は、新第一塩ビの経営上の秘密、技術、知識およびノウハウ等一切の情報を、第三者に漏洩し、開示し、又は自らの利益のために使用してはならない。但し、他の当事者および新第一塩ビが納得しうる証拠を以て立証できる、次に定める情報については本条本文を適用しない。
1. 上記の過程以前に、当該当事者もしくは新第一塩ビが所有していた情報、または既に公表されるか公知となっていた情報
2. 上記の過程で情報を得た後に、当該当事者又は新第一塩ビの責によらずして公表されるか、公知となった情報
3. 正当な権限を有する第三者より入手した情報
A前項の規定は、当事者が新第一塩ビの株主でなくなった後についても、引続きこれを適用する。
第18条(従前の合意の効力)
本協定は、新第一塩ビの経営に関する事項について当事者間の全ての合意を反映させたものであり、本協定締結前に新第一塩ビに関して当事者間で行った全ての契約および合意はその効力を失う。
A前項の規定にかかわらず、ゼオンまたは住化が新第一塩ビと締結した次の契約は引続き有効とする。1. 平成8年7月1日締結の特許およびノウハウ実施許諾契約および平成10年3月25日締結の共有技術の扱いに関する契約書は、本協定第7条第3項の規定にしたがってゼオンおよび住化が、新第一塩ビと締結する製造受委託契約の有効期間満了の日まで有効とする。
2. 平成7年7月1日締結の土地賃貸借契約書、平成10年1月1日および平成10年4月1日締結の一部変更覚書、平成7年7月1日締結の建物賃貸借契約書については原契約どおり有効とする。
3. 平成7年7月1日締結の技術センターの運用に関する契約書、平成7年7月1日締結の高槻地区の業務委託に関する契約書については原契約どおり有効とする。
4. 平成7年7月1日締結のVCM輸送業務受委託契約書、平成7年7月1日締結の物流業務受委託契約書、平成7年7月1日締結の購買業務受委託契約書については原契約どおり有効とする。
5. 1995年7月1日締結の通信回線網共同利用契約書およびこれに関わる覚書、契約書については、原契約どおり有効とする。
B本協定の変更は、全当事者が記名押印する文書をもってのみ行う。
本協定成立の証として、本書3通を作成し、各当事者記名押印の上各1通を保有する。
平成11年5月19日
山口県徳山市御影町1番1号
株式会社トクヤマ
代表取締役社長 三浦勇一
東京都千代田区丸の内2丁目6番1号
日本ゼオン株式会社
代表取締役社長 中野克彦
大阪市中央区北浜4丁目5番33号
住友化学工業株式会社
代表取締役社長 香西昭夫