1999年5月19日
新第一塩ビ株式会社の新体制構築について
新第一塩ビ株式会社
株式会社トクヤマ、日本ゼオン株式会社、住友化学工業株式会社の3社は、1995年7月に3社の塩ビ事業を統合して新第一塩ビ株式会社を設立しました。
新第一塩ビは設立後、製造、物流面等での合理化を進めてきましたが、一昨年来の不況の影響により当社の業績も急速に悪化いたしました。
こうした状況のもとで、新第一塩ビは出資3社と共にその再生策を検討してきましたが、このたび以下の通り新第一塩ビの体制を変更するとともに、当初からの目標であった最適生産構造の実現に向け再構築を行ない、コスト競争力を強化することで、3社が数十年にわたり続けてきた塩ビ事業を今後とも継続し、更に発展させていくことで合意しました。
1. 運営体制の変更
現行の資本金70億円を本年6月末に全額減資して累積損失を一掃し、同月及び来年3月にそれぞれ40億円、合計80億円の増資を行なって財務体質を強化するともに、出資比率を変更し、トクヤマ主導の会社とする。
@ 資本金と出資比率
資本金 トクヤマ 日本ゼオン 住友化学
現 行 70億円 30.0% 40.0% 30.0%
1999年6月 40億円 42.0% 29.0% 29.0%
2000年3月 80億円 71.0% 14.5% 14.5%
(注:トクヤマのサン・アロー化学合併まではトクヤマ10% 、サン・アロー化学20%)
A 今回の変更に伴い、クロルアルカリ〜VCMをコア事業の一つとするトクヤマが新第一塩ビの運営に責任をもつ。なお、本年6月の株主総会での役員改選を機にトクヤマが新第一塩ビの社長を派遣する。
B 日本ゼオンと住友化学は、新第一塩ビの需要家への供給責任を果たすため、製造面、技術面および営業面で新第一塩ビの運営に引き続き協力する。
2.最適生産構造に向けての再構築
新第一塩ビでは95年7月の設立当初から、最初の数年間は親会社から引き継いだ工場(汎用品3工場、特殊品2工場)での合理化に取り組み、その後は当社としての最適生産構造に向けS&Bを行なうこと、VCMについても当初は親会社から供給を受けるが、将来的には親会社の強みを生かして国際競争力のあるVCMの確保を目指すこととした。
設立後4年間で製造、物流面での合理化はほぼ目標を達成したが、需要激減という状況の変化を受け、最適生産構造の実現に向け再構築を行なうこととした。
@汎用品の生産構造の改善
新第一塩ビでは汎用品工場として千葉(80千トン)、水島(120千トン)及び徳山(125千トン)の3工場を有するが、東西2工場化の観点から水島工場を2000年3月末を目途に閉鎖する。これは徳山での新鋭設備増設を前提としたS&Bであるが、現在の需要状況を勘案して、当面は徳山での手直し増産で補う。
更に物流費の上昇を押さえるため、および徳山での増設実施までの期間の需要増加に対応するため、他社と地域スワップおよびタイムスワップの契約を結ぶこととし、現在交渉を進めている。
A VCMの供給体制
新第一塩ビでは設立以来、住友化学(千葉塩ビモノマー)、日本ゼオン(山陽モノマー)及びトクヤマ(本年3月までサン・アロー化学)から原料VCMの供給を受けてきた。
その後96年末に当時のサン・アロー化学がS&Bで300千トン設備を完成させ供給能力が増加したが、最近の塩ビの需要の激減で供給過剰となっている。千葉塩ビモノマーは、電気化学工業の離脱で更に需要が減り昨年秋以降は休止状況となっている。
今後は千葉塩ビモノマーの生産再開は行なわず、新第一塩ビの千葉工場へのVCM供給についてはトクヤマが責任を持つこととし、スワップその他により、同社がクロルアルカリで提携している旭硝子株式会社(千葉塩ビモノマーの株主)が運営する京葉モノマーからパイプラインを通して主に供給を受ける予定である。
以上の生産及び供給の体制改善により新第一塩ビは、余剰能力削減の結果操業度が上がりコストダウンが期待できるトクヤマのVCMの供給を受けること、及び徳山、千葉両工場がフル稼動となることでコスト競争力が格段に向上することが期待される。
以 上
今回の決定の経緯と趣旨は以下のとおりです。
・ PVCの国内需要は1996年度は2百万トンを超えましたが、97年後半から始まった不況の影響で98年度は1987年以来という170万トン割れとなった。輸出も数量は増えたもののアジアの経済危機の影響を受け価格は暴落した。
・ 新第一塩ビでは発表のとおり合理化によるコストダウンは実現したものの販売数量減と値下がりで大幅赤字となり存続が危ぶまれる状況となった。
・ この中で出資3社は昨年来、この事業をどうするかについて真剣に議論を行なってきた。その結果塩ビ事業の存続を図るには電解からの一貫体制で事業を行なうこと、及び早期に最適生産構造の実現のための再構築を行なうこと、但し当面は過剰設備を思い切ってカットし、徹底した合理化を実施することが最優先との結論に達した。
・ 新第一塩ビ設立時には3社が集まることによる統合メリット及び合理化で充分やっていけるとの考えであったが、現状では共倒れになる懸念があり、日本ゼオンおよび住友化学は永年の事業を、この4月にサン・アロー化学を吸収し電解からの一貫体制がとれるトクヤマに委ねることとした。しかしながらトクヤマがこの事業を成功させるためには引き続き両社の協力が不可欠であり、両社もこれまでの需要家への供給責任を果たすためにも全面的に協力することとした。
・ 今回の再構築で、汎用PVCについては東西2工場体制となり、設備集約による合理化効果で競争力がアップすることになる。ペーストについてはもともと汎用品に比べて収益性がよく、販売シェアーも大きい。ZEST設立によって既に一体化・相乗効果がでており、立派な事業になっている。これにトクヤマのVCMの競争力を加えると、他社に負けない塩ビ事業になると考えている。
・ 日本ゼオン、住友化学とも設備の廃棄等で多額の負担となるが、塩ビ事業の存続と将来の繁栄のため、これを受け入れた。
【Q&A】
1. 財務、増減資ほか
Q:業績が悪化しているとのことだが、債務超過に陥っているのか?
A:99年3月期末では債務超過ではない。
Q:ZESTの損益状況および財務状況は?
A:99年3月期の損益は2,416百万円の大幅赤字となり、当期未処理損失は 6,952百万円。
Q:現在の塩ビの状況下で、全額減資で現行を上回る増資という思い切った案を実施した理由は? 今後やっていけるのか? 会社を解散するという考えはなかったか?
A:3社でギリギリの議論をした。止めるというのも1つのオプションだった。
しかし、塩ビ事業の将来性については悲観的ではなく、トクヤマのクロルアルカリ事業との一貫体制を組むことや、設備縮小により新第一塩ビの再生が可能と判断した。
また、同業他社も再編に動くと想定している。さらに3社とも需要家に対する責任というのも感じている。これらの点を総合し、トクヤマが事業を引き受け、ゼオン、住化が全面支援をすることで事業を続け、さらに発展させることとした。
Q:ゼオンとしては創業事業をやめることになるが?
A:(日本ゼオンにて答える)
Q:親会社は評価減をしたのか?
A:各社の決算発表で明らかにする。
Q:増資後80億円とした理由は?
A:今後の損益予想や手直し増設投資額、工場閉鎖に伴う費用、資金繰りを総合して決めた。なお更に増資が必要な場合はトクヤマが実施することで合意している。
Q:増資を2回に分けたのは?
A:新第一塩ビの資金繰りを勘案して決めた。
この1年間は移行期間であるため、それなりの比率とすることとし、3社が増資に応じ、水島工場閉鎖を機にトクヤマだけが増資してトクヤマ体制にする。
Q:社長以外の役員は? 従業員は?
A:役員改選期でもあり、役員定年などで何人かは交代するが、日本ゼオン、住友化学出身者にもやってもらう。従業員はほとんど従来通りで、需要家には一切迷惑をかけない。
2. PVCリストラ
Q:水島工場は閉鎖とのことだが、設備廃棄ということか?
A:時期は別にして、その通り。
Q:水島の従業員はどうなるのか?
A:(日本ゼオンにて答える)
Q:水島閉鎖後の能力は?
A:汎用品は徳山125千トン、千葉80千トンの205千トン。他に特殊品が高岡65千トン、愛媛25千トンの90千トンで、合計295千トンとなる。
(水島は120千トンで休止前は415千トン)
Q:汎用品の98年度の販売実績は?
A:具体的数量は開示できないが、内販数量は水島閉鎖後の能力に近い。
Q:汎用3工場のうち水島を止める理由は?
A:東西2工場ということは止めるとすれば徳山と水島ということになる。水島は需要地の関西に近いという利点がある。しかし、老朽化、更新が遅れているということから水島の閉鎖を決めた。
徳山の物流面での問題についてはスワップで補完する。
Q:徳山での増設計画は?
A:需要増に応じて、いかようにもフレキシビリティがある。数万トンから10万トンクラス1系列ということもあり得る。技術は、インドネシアにも技術輸出した旧第一塩ビ販売グループの共有技術を考えている。需要の増加の見通しとなればすぐに具体化させる。
Q:提携先はどこか?
A:交渉中のため申上げられない。
Q:まとまる見通しか?
A:その方向。
3. VCMリストラ
Q:水島のPVCを止めると山陽モノマーは止めざるを得ないのではないか。
A:(日本ゼオンにて答える)
Q:千葉塩ビモノマーは設備廃棄するのか?
A:(住友化学にて答える)
4. 新第一塩ビの将来
Q:PVCの需要は減少している。ダイオキシン問題もある。再スタートする意味はあるのか?
A:現在の需要減は不況の影響と考えている。ダイオキシンについては誤解されている点がある。VECでは塩ビについて正しい認識をもっていただく広報活動とリサイクル技術の開発に取り組んでいる。ドイツでは緑の党が塩ビ増設を是認するなどの動きがあり、日本でも理解を得つつあると考えている。また、塩ビはコスト面、性能面のほか、省エネ面でもすばらしい樹脂であり、長期的には再び需要が伸びると考えている。
Q:業界全体として大変な赤字だが、この体制でやっていけるのか?
A:現在の日本の塩ビの問題は需要減のほかに膨大な過剰設備の存在である。各社がそれぞれの判断で老朽化した設備を廃棄すべきだ。新第一塩ビとしては今回多大の犠牲を払って需要に合わせた生産体制を取った。残るプラントは新鋭プラントでこれらをフル稼動することで大幅なコストダウンとなる。VCMについても同様である。
更に、もう少しで機械設備の償却が完了する。
Q:新第一塩ビのリストラはこれで終わりか?
A:事業の最適化はエンドレスの命題である。今後も必要にに応じて手を打っていく。
単独もあり得るし、場合によっては他社とのアライアンスもあり得る。