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ノーベル化学賞

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   MALDI/TOFMSの原理 

2009年ノーベル賞 医学生理学


毎日新聞 2002/10/14

化学賞・田中耕一さん  たんぱく質の質量分析法を開発
   生体高分子 壊さずイオン化 金属の微粉末を使って
   がん診療などに応用へ

 

 田中さんが受賞するのは「生体高分子の質量分析法のための脱着イオン化法」の開発。たんぱく質など生体高分子の構造を精密に分析する新技術を編み出したことが評価された。では、質量分析法とは何なのだろう。

★見えない分子を調べる
 
★MALDI法

★ライバルの技


島津製作所ホームページ http://www.shimadzu-biotech.jp/products/tofms/princpl1.html


MALDI/TOFMSの原理

MALDIとは・・・

MALDIとは、Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法)の略称です。
MALDIにおけるサンプルは多量のマトリックス(Matrix)と均一に混合された状態にあります。
マトリックスは、紫外光である窒素レーザ光(波長=337nm)を吸収し、熱エネルギーに変換します。この時、マトリックスのごく一部(図のAnalyteの最表面〜100nm)が急速に(数nsec)加熱され、サンプルとともに気化されます。

 

TOFMSとは・・・

TOFMSとは、Time of Flight Mass Spectrometry (飛行時間型質量分析法 )の略称です。
図に示されるように、様々の大きさの正イオンがサンプルスライド(Sample Slide)上で発生します。サンプルスライドと接地グラウンド(Ground)の間にはV0の電位差があるので、イオンは図の方向に引き出されます。引き出し後の各イオン速度vは、エネルギー保存の法則より求められます。ここで電位差V0は、どのイオンに対しても一定ですので、m/z値が小さい(軽い)イオンほど高速でドリフト空間(Drift Space)を飛行し、検出器(Detector)に到着します。このように、質量電荷比m/z値の違いでイオンの飛行時間が異なることを利用して質量分析を行う方法を「飛行時間型質量分析法」(TOFMS)と呼びます。

 

 

 


2009/10/6 毎日新聞

ノーベル賞 医学生理学 米3氏に。染色体、細胞の老化を解明

スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、09年のノーベル医学生理学賞を、米 University of California, San FranciscoのElizabeth Blackburn教授(60)、[email protected] Hopkins University School of MedicineのCarol Greider教授(48)、米Harvard Medical SchoolのJack Szostak教授(56)の3氏に授与すると発表した。授賞理由は、染色体の末端にある「telomeres:テロメア」とそれを作る酵素(telomerase)の機能の発見。テロメアが染色体と細胞を老化から保護する仕組みを解明したことが評価された。自然科学分野で女性2人が同じ賞を受賞するのは初めて。

 Blackburn教授は、単細胞の繊毛虫「tetrahymena:テトラヒメナ」のDNAを解析、テロメアの塩基配列を特定し80年に発表。
 Szostak教授と Blackburn教授は、テトラヒメナのテロメアと、人工的に作り出した染色体をパン酵母の細胞内に入れ、テロメアによって染色体が老化から守られることを確認した。
 さらにGreider教授とBlackburn教授は84年、テロメアを作る酵素を見つけ「テロメラーゼ」と名付けた。

 テロメアはヒトを含む真核生物の染色体(chromosome)にある。細胞分裂とともに短くなり、やがて細胞分裂は停止する。3氏の研究により、謎の多い人間の老化現象の解明が進むと期待される。
 また、活発に増殖するがん細胞ではテロメラーゼが盛んに作られており、この機能を止めることで、がんの治療につながる可能性も指摘されている。

生命の本質究明 石川冬木・京都大教授(分子生物学)の話
 老化という生命の本質的な部分を明らかにした大発見で、ノーベル賞をとるだろうと言われていた。ヒトが46本しか染色体を持たないのに対し、例外的に膨大な染色体を持つテトラヒメナを使ったことが発見の鍵になった。マイナーな生物を対象にしても、重要な発見に結び付くという基礎研究の好例だ。