ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp/
石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)は18日、第3次事業計画を発表した。
Research Association of Refinery Integration for Group-Operation
RINGは、石油及び石油化学産業等の20社により2000年5月に設立され、コンビナートの国際競争力強化と再生を目指して「コンビナート・ルネッサンス事業」を開始した。
同事業の狙いは添付の通り。
現在の組合員は25社で、以下の通り。
旭化成ケミカルズ、出光興産、ヴイテック、大阪ガス、鹿島石油、コスモ石油、山陽石油化学、ジャパンエナジー、昭和シェル石油、新日本石油、新日本石油精製、住友化学、大陽日酸、帝人ファイバー、東亜石油、東ソー、東燃ゼネラル石油、トクヤマ、徳山オイルクリーンセンター、日本ゼオン、日本ポリウレタン工業、丸善石油化学、三井化学、三井武田ケミカル、三菱化学
第1次事業は2000年度から02年度までの3カ年で、コンビナート内設備の共同運用による製品や原材料の最適融通等を高効率に行うことを可能とする高度統合運営技術開発を全国5地区で行った。
第2次事業は03年度から05年度までの3カ年計画で、コンビナートにおける新たな環境負荷低減対策技術の確立、更なる合理化・高度化を図るための副生成物高度利用及びエネルギー統合回収・利用に関わる高度統合技術の開発を、全国5地区にて行った。
今回の第3次事業計画は06年度から09年度の4年間で、事業は以下の通り。06年度の総事業費は約78億円。
【鹿島地区】「石油・石化原料統合効率生産技術開発」
コンデンセートをスプリッターにかけ、C5留分など他の副生成物と一括して脱硫し、芳香族やガソリン、エチレン、プロピレンの原料として効率的に利用する。参加企業は鹿島石油、三菱化学、JSR、鹿島アロマティックスの4社。
【千葉地区】「コンビナート副生成物・水素統合精製技術開発」
コンビナート内で副生する未利用C4留分を原料として高効率でプロピレンを生産する技術を開発する。また、全域の副生水素を集め、大規模に活用するための高純度回収技術、安定供給システムを開発する。参加企業は出光興産、コスモ石油、極東石油工業、三井化学、住友化学、丸善石油化学、大陽日酸の7社。
【水島地区】「コンビナート原料多様化最適供給技術開発」
原料多様化のためコンデンセートを精製処理し、エチレンやガソリン、芳香族生産のための原料として安定的に製造・供給する技術を開発する。参加企業は新日本石油精製、ジャパンエナジー、三菱化学、旭化成ケミカルズ、山陽石油化学の5社。
ーーー
第1次〜第3次の事業計画は以下の通り。
石油コンビナート高度統合運営技術研究組合についてはホームページ参照
http://www.ring.or.jp/
図は同ホームページから(第3次は追加)。
ーーー
なお、「コンビナート高度統合研究会」(伊丹敬之・一橋大学教授を委員長に産官学の委員14氏で構成)は23日、報告を発表した。
伊丹委員長は「海外の工場も訪ねて日本のコンビナートが抱えている課題や今後のあり方などを整理してみた。日本のコンビナートは原料調達や利用、コスト競争力など、いくつかの点で弱みをもっている。しかし、こうした弱みは克服すればいいわけで、逆の見方をすれば将来の強みにもなる」と述べた。
第8回 コンビナート高度統合研究会(2006/3/1)では以下の発言がある。
「エチレン生産750万トンのうち、内需は500万トン、輸出は250万トンである。今後、中国での新たな新プラント稼動等により競争環境が激化することが予測されているが、わが国石化産業も、このアジア市場でどう戦えるのかということを考えていかないと、国内の内需さえも一気に食われてしまうことにもなりかねない。」
報告書では、日本の弱みとして
・コンビナートの構成企業が統合されていない
・コンビナートが全国各地に分散し、小規模
・原料多様化が不十分、
などの点を指摘、「コンビナートが連携・統合をはかることで原料の有効利用、中間品やエネルギーの相互融通、コスト削減と付加価値生産性の向上等を通じ、問題解決と競争力強化を同時達成していくことが喫緊の課題である」と強調している。
コンビナート統合の実現に向けた「提言」として、以下の7項目を挙げている。
(1)アクションプログラムの策定
(2)技術課題の研究開発
(3)広域的パイプラインの敷設・整備
(4)社会的規制の最小化
(5)運営・組織形態制度の改善
(6)人材育成
(7)総合的な行政支援体制
ーーー
RING 第三次事業計画はそれ自体結構なことだ。しかし、これは今のコンビナートの存続を前提に、やれることをやるというものである。
研究会の提言にあるコンビナートの連携・統合がどういう形のものを目指しているのかはっきりしないが、日本の石化の根本問題は過剰能力である。
今後は輸出に期待できない以上、この過剰能力の解消が必須である。
今のままなら、過剰能力→過当競争による値下がり→赤字となるのは必至である。
最終的には誘導品が弱いコンビナートをつぶすしかないと思われるが、産構法の時のように全体で相談してやることではない。下手をすれば共倒れになりかねない。
結局は各社が独自に判断すべきであろう。
ソニーは17日、部品製造子会社のソニーケミカルとソニー宮城を7月1日付で合併し、ソニーケミカル&インフォメーションデバイスを設立すると発表した。
新会社は、ソニーケミカルが持つ化成品技術と、ソニー宮城が記録メディアビジネスなどで培った材料・プロセス技術を一体にすることで更なる事業の拡大を目指し、特に、拡大が著しい液晶テレビのパネルに用いられる機能性フィルムなどの化成デバイス分野にリソースを集中させる。
ソニーケミカルは、工業用接合材料、ディスプレイ用光学フィルム、エレクトロニクス機器向けプリント配線板、熱転写プリンター用リボンの開発・設計および製造・販売を担当するソニーグループにおける化成デバイス事業の基幹事業所で、従業員数は 約1,100名(正規従業員)。
ソニー宮城は、記録メディア(磁気テープおよび光ディスク)やリチウムイオン2次電池用電極、昇華型プリンター用リボン、磁気・光学デバイスおよび高純度金属加工などを行なう、デバイス事業の量産拠点で、従業員数は
約1,800名(正規従業員)。
す。
薄型テレビの急激な値下がりで、メーカー各社の利益率は悪化する懸念があるが、ソニーでは機能性フィルムの内製化で、テレビ事業の収益性向上を図るとともに、内製化を通じて今後の商品力強化にデバイス面からも貢献させようとするもの。
ーーー
2006/3/4の「ハイテク材料バブル説」で、現在好調なこの分野も以下の問題を内包しているとした。
・ | 化学以外の他の業界からも殺到するため、過当競争となる。 |
・ | 需要分野の進展が急で、新製品・新製法の開発により折角投資した材料の需要が急になくなる可能性がある。 |
・ | 供給先が競争に敗れ撤退する可能性(他社に供給できればよいが・・・) |
・ | 新製法等での競合材料の出現 |
・ | 需要家自体が材料分野に進出する可能性 |
・ | 需要自体がバブルである可能性 |
ソニーの機能性フィルム内製化の動きは早晩、他社にも広がると考えられ、影響が懸念される。
インドネシア最大のポリエステルメーカーのインドラマSPL がナイジェリアの国有石油化学会社を買収した。
ナイジェリア政府は昨年、国営の Port Harcourt 製油所と 石油化学会社 Eleme Petrochemicals Company の民営化を決定、インドラマが競売で韓国のLGやナイジェリア企業に勝ち、Eleme石化の75%を225百万ドルで取得した。
Eleme石化はナイジェリアのNational
Petroleum 子会社で、能力は、オレフィンが30万トン、PE25万トン、PPが8万トン。インドラマは同社をIndorama Polyolefins
と改称、現在休止中のプラントを3ヶ月以内に再稼動させ、アフリカ市場での拡販を図る。
付記 2007/2/23
国連のIFC は Eleme Petrochemicalsに直接間接合計 $155 Million を融資
(Indoramaに50百万ドルの投資と80百万ドルの保証、Elemeの定期修理投資に25百万ドルを融資)The project "is its largest Sub-Saharan African privatization investment to-date," and is aimed at "supporting the growth of the country's nascent petrochemicals industry," the statement said.
付記 2012/3/21
最新能力は以下の通り。
オレフィン 550千トン 天然ガスリキッドのクラッカー(M.W.Kellog)
PE 240 LL/HDPE (Nova)
PP 95 (Basell)
ブテン-1 22付記 2012/12/3
東洋エンジニアリングは、ナイジェリア国リバース州にIndorama Elemeが建設する世界最大級の肥料プラントプロジェクトの受注が内定したと発表した。アンモニア日産2,300トン、尿素同4,000トンの大型肥料プラントとユーティリティ設備を建設する。
インドラマSPLはインド系のS. P. Lohia がインドネシアで20年前に始めた会社で、現在ではポリエステル繊維、PETをコアとした6億ドルのコングロマリットとなっている。これとは別にS.P.Lohiaの兄のO.P. Lohia がインドに Indo Rama Synthetics (India) Ltd.
を設立し、ポリエステル事業を行っている。
付記 2007/4
S.P.Lohiaの弟のAloke Lohia(APL)もタイでPET事業を行っている。下記のタイのIndorama
Polymers はAPLの事業である。
インドラマSPは海外にも進出している。同グループの事業は以下の通り。
http://www.indorama.com/indorama-group.swf
インドネシア | 不動産事業 | |
Indorama Synthetics | PET樹脂、ポリエステル繊維、 フィラメントヤーン、ほか |
|
Medisage | 医療用手袋 | |
インド | 不動産事業 | |
Indorama Cement | セメント | |
スリランカ | Isin Lanka | スパンヤーン |
タイ | Indopoly | ポリエステル繊維 |
Indorama Petrochem | PTA(70万t) | |
Indorama Polymers | PET樹脂 * | |
トルコ | Indorama Iplik | スパンヤーン |
エジプト | Indorama
Egypt Petrochemicals |
アンモニア |
ナイジェリア | Indorama Polyolefins | ポリオレフィン |
本年4月、Westlake Chemical と南米北端のカリブ海にある島国のトリニダッド・トバコ政府は、同国でエタンベースで57万トンのエチレンとポリエチレンほかの誘導品事業を行う覚書を締結した。当面の予想所要資金は15億ドルで、2007年後半にスタートを目指してFSを行う。安価な原料とその立地を利用して、中南米の成長市場での販売が可能と考えている。
Westlake Chemical は台湾の華夏プラスチック(CGPC)の元のオーナーのT.T.Chaoが米国に進出したもので、エチレン、LDPE、LLDPE、SM、塩素、VCM、PVCを生産している。また、Chaoグループはマレーシアの国有Permodalan Nasional Berhad と組んでパシールクダンにTitan Chemicalsを設立、エチレン70万トン、HDPE、LLDPE、LDPE、PPを生産している。同社は昨年、インドネシアのPT PENI(LLDPE/HDPE 45万トン)を買収し、PT Titan と改称した。
インド人や台湾人のバイタリティには感心する。
経済産業政策局長の私的研究会の競争政策研究会(座長:鶴田俊正専修大学名誉教授)は19日、報告書(〜グローバル競争下における企業結合審査の予見可能性の向上を目指して〜)を発表した。
東アジアとの域内貿易が急速に拡大、企業の供給・調達はアジアワイドで一体化が進展するなかで、欧米企業は産業再編を通じて急速に企業規模を拡大しており、日本企業は常に海外企業からのグローバル競争圧力に直面している。
海外企業との競争を優位に展開していくためにも、企業再編が必要だが、現在の独禁法の下では、海外からの競争圧力が認められず再編を断念した案件がある。
例 ・PSジャパンと大日本インキ化学工業のPS事業統合
・東海カーボンと三菱化学のカーボンブラック事業統合
この問題は競争政策研究会が1月30日に発表した「企業結合審査における改革の進展状況と今後の課題」の中で具体的に取り上げている。
本ブログ02/20 「競争政策研究会の『企業結合審査における改革の進展状況と今後の課題』」 でPSの問題を分析し、公取委の見解を批判した。
公取委はPSジャパンと大日本インキ化学工業のPS事業統合を認めない理由として輸入品による競争圧力が認められないことをあげた。
「現在,中国におけるPSの需要増加による供給不足を背景として,日本への主な輸出国である韓国,台湾等のアジア各国で生産されたPSの多くが中国向けに輸出され,日本向けの輸出が増えない状況である。今後,中国国内においてPSプラントを増設する計画があるが,PSの原料であるSMについてもアジア全体で供給不足が継続する見込みであるため,この傾向は当面継続される見込みである。」
実際には中国のSMは2005年にSeccoが50万トン、常州東昊化学が15万トンを新設、2006年にも中海シェルの55万トン、江蘇利士コ化工の20万トンなどの新設があり、輸入は減少しつつある。
三菱化学は採算面からシェル・シンガポールからの年間38万トンのSM引取権を解消する交渉を始めている。
アジアのPSは過剰能力のために値下がりしており、Plattsによれば7月価格はSMがCFR China $1,205 に対してPSは$1,170と逆転した。
競争政策研究会は3つの提言をしている。
(1)独禁法上の判断の枠組みや具体的な判断要素を明確化する
現行の企業結合ガイドラインを見直し、将来の輸入拡大の可能性など、海外企業との競争に関する分析手法を明確化すべき。
加えて、内外市場一体化の実態を踏まえ、アジア経済圏など国外を含めた市場画定を行うことについて検討すべき。
(2)独禁法上の判断の基準をわかりやすく提示する
〜市場シェア「基準」の見直し〜
現行ガイドライン:
・合併後の市場シェアが25%以下
⇒
競争を実質的に制限することとなるとは通常考えられない
・合併後の市場シェアが25〜35%以下
⇒
競争を実質的に制限することとなるおそれは小さいと通常考えられる。
提案
・ 35%以下:
⇒
独禁法上ただちに問題となるものではない。
・ 35%超50%以下:
⇒
過去の審査実績を踏まえれば、独禁法上問題となる可能性は少ない。
・ 50%超:
⇒
輸入圧力などの競争促進要因がある場合は、独禁法上問題なしと判断される。
(3)独禁法上の問題解消措置の考え方や選択肢について明確化する〜「選択肢」の拡大
高シェア案件であっても問題解消措置を講ずることにより、競争制限のおそれを解消することが可能であり、
どのような問題解消措置を講じれば問題ないと判断されるのか考え方を示すとともに、その類型を可能な限り幅広く提示し、企業の選択肢を拡大すべき。
ーーー
このうち(1)が特に重要である。
現行独禁法では国内市場のみをみているが、「内外市場一体化の実態を踏まえ、アジア経済圏など国外を含めた市場画定を行うことについて検討すべき」である。
中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインが25日、正式に稼動した。同日未明に原油が新疆ウイグル自治区の阿拉山口(アラシャンコウ)に届き始めた。
全長962キロの石油パイプラインは、2004年9月着工し、05年11月に工事を終えた。西側がカザフスタンのアタス、東は中国新疆ウイグル自治区の阿拉山口を結び、年間輸送能力は設計ベースで2千万トンだが、パイプラインの稼動当初の年間輸送量は1千万トン。両国が共同でパイプラインの建設費7億ドルを提供した。
カザフスタンと中国の間に石油パイプラインを建設することは、1997年に中国の中国石油天然気集団公司(CNPC)がカザフスタンの石油会社Aktobemunaigazの株式60%を買収した際に決まった。
工期は3期に分かれており、1期はカスピ海のアトラウからケニキャクまで、今回のアタスから阿拉山口間は2期工事にあたる。3期はケニキャクからクムコルまでで、これが完成するとパイプライン総延長は約3千Kmとなる。完成後は半分がカザフスタン国内油田、半分がロシアのカスピ海沿岸の油田の原油が中国に輸送されることとなる。
CNPC は、現在はAktobemunaigaz の株式85.12%を保有しており、ケニキャク周辺の油田権益を保有している。またCNPCは2005年8月にカザフスタンに権益をもつカナダの石油会社・ペトロカザフスタンを41億8千万ドルで買収した。
ぺトロカザフスタンは1986年にカナダに設立されたハリケーン・ハイドロカーボンズが前身。91年に合弁事業でカザフスタンに進出、2003年に現社名に変更した。カザフスタンで油田開発から精製、販売まで一貫して手掛め、発電所も持つ総合エネルギー企業。
阿拉山口の近くの独山子にあるCNPCの新疆独山子石油化学は、昨年8月、製油所と石油化学プラントの拡大工事を開始した。
製油所は6百万トン/年から10百万トンに拡大するもので、カザフスタン原油を使用する。
石油化学では既存エチレン22万トンに加え、100万トンを新設する。誘導品ではHDPE 30万トン、LDPE 60万トン、PP 55万トン、SM 32万トン、PS 13万トン等が新設され、中国の最奥地に一大石油・石化センターが出来ることとなる。
付記
2007/8/18、胡錦涛国家主席は訪問中のカザフスタンでナゼルバエフ大統領と会談、ケニキャク油田とケムコル油田を結ぶパイプライン(上記地図のB)の建設で合意した。これによりカスピ海と中国西部が連結される。
前回、中国石油天然気(CNPC)のカザフスタン進出に触れた。同社はこのほか、ベネズエラやスーダンで大型油田を開発している。
最近の中国の石油会社の海外の石油権益を求めての動きは激しい。
中国海洋石油(CNOOC)は米国のユノカルの買収に動き、これは議会の反対で頓挫したが、2005年4月にカナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を1億5千万カナダドルで買収した。シノペック(中国石油化工集団)
も2005年6月にカナダのアルバータ州ノーザンライツでのオイルサンド事業の権益の40%を1億5千万カナダドルで買収し、オイルサンド事業に参入した。
シノペックは 2004年にイラン政府との間で、今後30年間にわたり石油・天然ガスの供給を受けることで合意し、総額で700億ドルの契約の覚書に調印した。シノペックが今後30年間にわたり毎年2億5千万トンの液化天然ガスを購入するほか、イランのヤダバラン油田の開発権を得るというもので、同油田の開発が成功した場合、中国側は25年間にわたって、毎日15万バレルの原油の供給を受けることでも合意している。
なお、このヤダバラン油田は、国際石油が権益をもつ日本の自主開発油田として最大級となるアザデガン油田に隣接している。同油田の権益は国際石油が75%、イラン側が25%となっている。
イランの核開発疑惑の関連で日本はアザデガン油田開発について米国からの圧力を受けているが、中国は積極的で、「米国が反対するのなら代わりの原油を供給せよ」としている。
両油田は
「地下ではつながっている」との説もあり、中国による開発が進む
と、 アザデガン油田から原油を
吸い上げられる可能性さえあるという。
(日本側の開発担当の国際石油開発帝石HDによると、現在はアザデガン油田の地雷除去が86%終わった段階とのこと)
シノペックはまた、サハリン3のうち、Venin鉱区の25.1%の権益をロシア国営石油会社のロスネフチから取得した。中国企業がロシア国内のエネルギー案件に参加するのは初めて。
シノペック傘下の雲南石油探査局とミャンマー国営石油・ガス公社は、ミャンマーでの石油・天然ガス探査共同事業を開始した。
これが成功した場合には「ミャンマー−雲南−重慶原油パイプライン構想」が実現する可能性があるとされる。ミャンマーのSittweから雲南省・昆明市まで原油パイプラインを建設し、その後昆明から重慶市まで延長するというもので、重慶市政府とシノペックにより、2004年末に国務院に提出されている。中国の輸入原油の約8割は、現在マラッカ海峡を経由しているが、このパイプラインが完成すれば、中国は中東原油の輸入ルートを複数持つこととなる。
補足 日本経済新聞 2007/4/18
ミャンマー政府筋によると、軍事政権は中国国有の中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)に@ミャンマー西部ラカイン州沖合で開発中の天然ガス田「シュエ・ガス田」のガス購入権A同州西部の港湾都布チャオビューから中国に向けたガスパイプラインの共同建設B同州西部の港湾都市シットウェから雲南省までの原油パイプラインの建設…の3点を認めると決定。近く正式に合意文書に署名する見通し。付記
中国石油天然気集団公司は、2008年6月20日にミャンマー政府や大宇グループとの連合体と、ミャンマーの首都ネピドーで、ミャンマー海域のA1エリアおよびA3エリアにおける天然ガスの販売・輸送に関する了解覚え書きに調印した。付記 2008/11
中国南西部の昆明からミャンマー領土を横断してベンガル湾に抜ける石油と天然ガスのパイプライン計画で、ミャンマー軍事政権が中国に経営権を付与したことが11月17日、分かった。
ミャンマー西部のベンガル湾に面したチャウピュー近郊のマデ島にガス集荷基地と石油タンカー専用港を建設し、中部マンダレー近郊、シャン州ラーショーなどを経由して中ミ国境の町ムセから昆明へと結ぶ計画。
天然ガスは韓国の大宇グループを中心にベンガル湾で開発するガス田「A-1」「A13」から送る。
事業主体となる企業には、中国石油天然気集団(CNPC)が50.9%を出資。ミャンマー側は国営石油ガス企業(MOGE)などが49.1%を保有する。総事業費は石油パイプラインが15億ドル、天然ガスは10億4935万ドル。付記 2009/11
2009年10月31日、マデ島で着工式が行われた。
石油と天然ガスパイプラインが平行して走り、全長771km、原油の年間輸送量は1200万トン。
沖合いで出る天然ガスと、マデ島で陸揚げした原油をマデ島→国境の雲南省端麗→昆明に送り、精製する。
将来輸送量を2200トンまでアップする。
ミャンマー軍事政権に払われる使用料などは年間10億ドル以上と見積もられている。
中国は急増するエネルギー需要に対応するためアフリカと関係強化を進めており、胡錦濤国家主席の今年のナイジェリア訪問の際、油田開発に関する協定に調印し、探査事業や製油所の整備などで協力することで合意している。中国海洋石油は今年初め、ナイジェリア南部の海底油田の権益を20億ドル以上で買収、中国石油天然気はナイジェリアの製油所の買収交渉を進めている。
金川社長の日本経済新聞連載「私の履歴書」が終わった。
5/16のブログ「世界一の塩ビ会社 信越化学」で2箇所の修正がある。(元の記事を修正し青字で表示している)
1)ニカラガのポリカサ
どこかの記事を元に、「革命政府に接収された」としたが、「履歴書」によると、革命で危険なため信越側が引き揚げ、先方の再稼動要請を断ったとのこと。接収されれば保険が下りたが、接収はされていない。
2)ボーデン工場買収
信越の人の情報を元に「凍結中」としたが、金川氏によると設備に問題があり廃棄している。「1回でも事故を起こせば致命的な打撃を受ける。今回の買収では、商権を手に入れただけで投資の成果は十分に上がった。」(私の履歴書)
実際にボーデンの3工場のうち、台湾のFormosaが買収したIlliopolis工場は2004年に重合槽が爆発し、4人が死亡、8人が負傷、工場の60-70%が破壊された。
信越の世界全体のPVCの能力表も修正した。
2006/5/31 湾岸諸国の石油化学ー1 クウェート&バーレーン
これまでイラン、イラク、サウジアラビアの石油化学について述べたが、他の湾岸諸国もそれぞれ石油化学事業を行っている。
クウェートの石油化学を担当するPIC (Petrochemical Industries Company K.S.C ) は1963年に国営会社として設立され、1980年のクウェート国営石油(KPC) 設立で同社の子会社となった。
PICはこれまで肥料を中心事業としていたが、ダウ(当時はUCC)と提携して石油化学を始めた。石化基地はShuaiba Industrial Area につくられた。
1995年にダウ(当時のUCC)が45%、PICが45%出資のJV、Equate
Petrochemical Company を設立した。残りの10%は民間資本のBoubyan
Petrochemicals(PICが10%出資)が出資した。
その後、同じくPICが10%出資し、残りを民間資本の投資会社Qurain
Petrochemical を設立し、現在の出資比率は下記の通り。
出資:ダウ 42.5%
PIC 42.5%
Boubyan 9%
Qurainga 6%
能力:エチレン 80万トン(当初65万トン) 付記 →85万トン
LL/HDPE 60万トン(当初45万トン) 付記 →82.5万トン
EG 40万トン(当初30万トン) 付記 →50万トン
PP 10 万トン(12万トンに増設中) PICが所有し、Equateが操業を受託
PICとダウは2007年稼動予定で第2期計画(Equate II)を実施している。これはエチレン・PE・EGと芳香族、SMの3つの会社に分かれる。
(1)Kuwait Olefins Company
出資:Equateと同じ
能力:エチレン 85万トン
PE 30万トン
EG 60万トン
(2)Kuwait Aromatics Company
出資:PIC 80%
Qurain Petrochemicals 20%
製品:ベンゼン、パラキシレン
(3)The Kuwaiti Styrene Company
出資:Dow 42.5%
Kuwait
Aromatics Company
57.5%
能力:EB 50万トン
SM 45万トン
ダウは1980年にサウジでSABICとのエチレン、EGのJV、PETROKEMYAを設立しながら1982年に撤退した歴史をもつが、ここでは力を入れており、上記のJVのほかに2004年にPICと2つの海外JV(いずれも50/50)を設立した。
(1)MEGlobal
事業はMEG、DEGの製造販売で、ロンドンに本社を置き、世界中で販売する。ダウのカナダの2工場を移管した。
(2)Equipolymers
事業はPET樹脂の製造販売とPTAの製造。チューリッヒに本社を置き、イタリアのPETとPTA工場、ドイツのSchkopauのPET工場を移管するとともに、SchkopauでPETの増設中。完成後のPET能力は434千トンとなる。
付記
Equipolymersは2010年7月、イタリアのPTA(190千トン)、PET(150千トン)プラントをタイのIndoramaとイタリアのOttana Energia との50/50JVに売却した。ドイツのSchkopauに集中する。
ダウはこれとは別にオマーンでエチレン、PE計画への参加を決めている。
なお、クウェート国営石油(KPC) は昨年末に、シノペック、BP、ロイヤル・ダッチ・シェルとの合弁で、中国広東省に製油所を建設することで合意した。
このほか、PICは下記の国際JVに出資している。
ーーーー
バーレーン
1979年にGulf Petrochemical Industries Company を設立した。
立地:Sitra
株主:バーレーン政府 1/3
SABIC(サウジ) 1/3
PIC (クウェート)
1/3
製品:アンモニア 1,200トン/日(当初 1,000トン/日)
メタノール 1,200トン/日(当初 1,000トン/日)
尿素 1,700トン/日(当初はなし)