ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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カタールのNorth Gas Fieldは1971年に発見された。単独の非随伴ガス田 としては世界で最大のもの。これを利用して多くの石化事業が行われており、新規計画も多い。
千代田化工建設が同国の超大型LNGプラントの多くを受注している。
石油化学の立地はMesaieedだが、新しいRas Laffanに新しいエチレンプラントが建設される。
The Qatar Petrochemical Company (QAPCO)
副生エタンガスの利用のために1974年に設立された。
立地:Mesaieed,
株主:Qatar Petroleum(QP) 80%
Elf Atochem 20%
(当初 Elf Atochem 10%, Enichem 10% )
製品:エチレン 525千トン(720千トンへ増設中)
LDPE 360千トン
Sulphur 70千トン
新LDPEプラント建設を検討(250千トン、2010-11年完成予定)
政府はQPの持株のうち20%分を民間に売却する計画。
QATAR VINYL
設立:1997
立地:Mesaieed
株主:Qatar Petroleum 25.5% + 29.7%
QAPCO 31.9%
Norsk
Hydro 29.7% → 0
Elf Atochem 12.9%
製品:カセイソーダ 336千トン
EDC 外販用 198千トン
VCM 279千トン
付記
Norsk Hydro は2007年にPolymers 事業をINEOSに売却した。Qatar Vinyl の29.7%の株式も売却対象としたが、Qatar Petroleum に優先権があるため、INEOS には売却できなかった。
2008年8月、Qatar Petroleum への売却が完了、 から完全撤退した。2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収
Q-Chem
立地:Mesaieed
株主:Qatar Petroleum 51%
Chevron Phillips Chemical 49%
製品:エチレン 500千トン
HDPE 450千トン
ヘキセンー1 47千トン
Q-Chem II
立地:Mesaieed (Q-Chem plant 隣接)
株主:Qatar Petroleum 51%
Chevron Phillips Chemical 49%
製品:HDPE 350千トン
Normal
Alpha Olefins 345千トン
稼動:2008
Qatofin
立地:Mesaieed (QAPCO隣接)
株主:QAPCO
63%
Qatar Petroleum 1%
Atofina
36%
製品:LLDPE 450千トン
稼動:2008
Ras Laffan Cracker Co.
立地:Ras
Laffan Industrial City
株主:Q-Chem II
53.31%
Qatofin
45.69%
Qatar Petroleum 1%
製品:エチレン 1,300千トン
エチレンパイプライン(120km)で
Mesaieed へ輸送
Q-Chem
II 向け 700千トン
Qatofin 向け 600千トン
稼動:2008
ExxonMobil
計画
2005/5 MOU 締結
→2006/10 基本契約書締結
立地:Ras
Laffan
出資:Qatar Petroleum/ExxonMobil Chemical
製品:エチレン 160万トン →
130万トン(2006/10/17 修正)
Qatar Fuel Additives Company (QAFAC)
立地:Mesaieed
株主:Qatar Petroleum
(QP) 50%
中国石油 (CPC:台湾) 20%
李長栄化学工業 (台湾) 15%
International
Octane Limited (ドバイ) 15%
製品:メタノール 832.5千トン
MTBE 610 千トン
メタノール計画
立地:Ras Laffan
出資:Qatar Petroleum 51%
PetroWorld (南ア)* 49%
*Petroleum
Oil and Gas Corporation of South Africa 50%
TransWorld Group of Companies 50%
製品:Fuel
Gradeメタノール 12,000〜15,000 トン/日
稼動:2008年
DME計画
2003/6にLOI締結
立地:Ras Laffan
出資:Qatar Petroleum
三菱ガス化学
伊藤忠
製品:DME 170万トン
稼動:2008年
◎本件はQatar Petroleumのホームページに記載はあるが、同社や三菱ガス化学の発表は見当たらない。
2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)
Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC) は1971年11月に設立された。
Abu Dhabi Polymers Company Limited (Borouge)
設立:1998年
立地:Ruwais
株主:Abu Dhabi
National Oil Company(ADNOC) 60%
Borealis 40%
製品:Borouge 1
エチレン 600千トン
Borstar PE (HDPE/LLDPE) 600千トン (当初 450千t)
ブテン−1 27千トン
Borouge 2
エチレン 1,400千トン →1,500千トン
olefin conversion 752千トン
Borstar PE (HDPE/LLDPE) 540千トン
Borstar PP 800千トン(400千トンx2)
2010年完成予定
付記
2009/7 Borouge 3 エチレン1,500千トンの建設でLinde と契約
なお、Borealis は1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたが、1997年にNesteが持分をオーストリアのOMVとUAEのIPICに売却した。IPICはADNOCが50%、Abu Dhabi Investment AuthorityとNational Bank of Abu DhabiのJVが50%出資した会社。
その後2005年にStatoilも持分をOMVとIPICに売却した。
この結果、現在のBorealisの出資比率はOMVが35%、IPICが65%となっており、Borealisは実質的にADNOCの子会社である。
Ruwais Fertilizer Industries (FERTIL)
油田のlean gasの有効利用が目的
設立:1980/10
立地:Ruwais
Industrial Zone
株主:Abu Dhabi
National Oil Company(ADNOC) 66.66%
Total 33.34%
製品:アンモニア 1,050トン/日
尿素 1,500トン/日
メラミン 5万トン/年 (2006年末完成)
新規計画
プロピレン/PP、VCM/PVC、リニアαオレフィン、芳香族等の検討が行われている。
海外進出
Borealis 上記の通り、Borealisは実質的にADNOCの子会社である。
同社の能力は以下の通り。(単位:千トン) → は2007/1現在能力
Austria | Germany | Italy | Belgium | Finland | Norway | Sweden | USA | Brazil | |
エチレン | 330 | 225 | 625 | ||||||
プロピレン | 480 | 230 | 40 | 220 | |||||
PE | 340→595 | 175 | 330 | 330 | 270 | 600 | |||
PP | 345→435 | 210→240 | 635 | 160 | 175 | ||||
Compounds | 89→90 | 30 | 115 | 65 | 49 | ||||
フェノール | 130 |
注
・Norwayのエチレン、プロピレンはNorsk Hydro
とのJVのNoretyl の同社持分
・他にベルギーにデュポンとのJV、Speciality
Polymers Antwerp (PE 125)
・2004年にポルトガルのBorealis
Polimeros LdaをRepsolに売却(エチレン350、プロピレン
180、LDPE 145、HDPE 130)
Oman Oil Company (OOC) は1992年に政府100%出資で設立された。
PP計画と芳香族計画、EDC計画には韓国のLGが参加している。エチレンとPE計画にはダウが参加する。
Oman Polypropylene LLC
立地:Sohar
株主:Oman Oil 60%
Gulf Investment Corporation 20%
LG International Corp. 20%
製品:PP 340千トン
生産開始:2006年3Q
同社は最初、OOCが60%、LGが20%、ABB Lummusが20%出資で計画されたが、Lummus が離脱してOOCが80%となった。
2004年にOOCがGulf Investment Corporation に20%分を譲渡した。
Gulf Investment
Corporation は1983年に湾岸6カ国政府の均等出資で設立された民間事業促進のための会社。
Oman Aromatics
立地:Sohar
株主:Oman Oil Co. 60%
Oman Refinery 20%
LG International Corp. 20%
製品:Benzene 210千トン
Paraxylene 810千トン
原料供給:new Sohar oil refinery 74,260 b/d residue fluid catalytic cracker
販売:LGは20%の引取権を持ち、アジアで販売する。
残り80%はOOCが2005年にオランダの商社Vitol
と設立したJV、OOC-Vitol が販売する。
エチレン、PE計画:Oman Petrochemical Industries Company
(OPIC)
この計画は当初、BPとのJVとして計画された。エチレンとPE、各45万トンをSohar に建設しようというもので、BPが49%、OOCが11%出資し、残り40%は民間資本を集めるという案であったが、1999年にBPが原料が十分でないという理由で撤退した。
2004年7月にオマーン政府とダウは本計画のためのJV設立で合意した。
立地:Sohar & Fahud
株主:Dow 50%
オマーン政府 25%
オマーン石油 25%
計画:Fahud でガス掘削、Soharまでのパイプライン設置
エタンクラッカー、PE World-scale 3系列
2009年完成予定
付記 2007/7/20 建設費アップでダウのオマーン計画延期
Oman Methanol Company L.L.C
立地:Sohar
株主:Methanol Holdings (Trinidad)
Limited
MAN Ferrostaal AG (ドイツ)
Oman Methanol Holding Company
製品:メタノール
3,000トン/日
販売先:全量 Vitol Holdings (オランダ)
設計業務:東洋エンジニアリング
稼動:2007年
EDC計画
立地:Sohar
株主:LG International 33.3%(当初案
40%)
Oman Oil Co 33.3%
(当初案 60%)
Iran NPC 33.3%
製品:EDC 300千トン
chloralkal 240千トン
2004年にイランのNPCの参加が決まった。
2008年稼動の予定。
肥料計画
@Oman India
Fertilizer Company (Omifco)
立地:Sur
株主:Oman Oil Company 50%
Rashtriya Chemicals & Fertilizers (India) 25%
Krishak Bharti Co-operative (India) 25%
製品:Ammonia 1,750トン/日 x 2系列
Urea 2,530トン/日 x 2系列
ASohar International Urea and Chemical Industries
立地:Sohar
株主:Sheikh Suhail Salem Bahwan
製品:Ammonia 2,000トン/日
Urea 3,500トン/日
建設:三菱重工業
Bその他、Oman Oil
とパキスタンのEngro Chemical とのJV、Oman Oil
とインド政府、オマーン政府とのJV計画がある。
NPC/OCC JV
2005年にイランのNPCとオマーンのOCCは4つの新しいJV設立の覚書を締結した。NPCは上記の通り、EDC計画に参加している。
@メタノール 165万トン(イランAssaluyeh)
Aアンモニア/尿素 107万トン(同上)
BPVC 40万トン(オマーン)
CEDC増設 20万トン(オマーン、上記PVC用)
青島麗東化学
Oman Oil は2005年に韓国のGSグループの中国子会社、青島麗東化学工業(Qingdao Lidong Chemical)の30%を取得した。
現在の出資はGSが60%、OOCが30%、Redstar Chemical が10%。
GSは2004年に旧LGから分離したもので、化学関連ではLG-Caltex(現在はGS-Caltex)がある。
青島麗東化学はパラキシレン 70万トン、ベンゼン
25万トン、トルエン 15万トン、ラフィネート 113千トンをもつ。
付記 2008年4月、Sinopecが参加することが決まった。
5月30日、東洋エンジニアリングはインド向け大型エチレン設備をインドのエンジニアリング会社と連合で受注したと発表した。
発注元はインド国営石油会社(IOCL)で、ハリアナ州パニパットのパニパット製油所(原油処理能力・年間 600万トン)の隣接地にエチレン・コンプレックスを建設するもので、このうち、年産800千トンエチレン製造設備(ナフサ・ベース)を受注したもの。
本設備はインド最大かつ北インド初のエチレン製造設備で、IOCLが建設する初のエチレンプラントである。
IOCLは2004年6月にハリアナ州政府との間で、エチレンコンプレックス建設の覚書を締結、本年4月に州政府産業開発公社との間で計画遂行のためのJV設立の覚書を締結した。出資比率等の詳細は未定。
計画ではエチレン800千トンをベースに、HDPE、PP、MEGを建設する。
(付記 その後の情報で、エチレン857千トン、プロピレン650千トン)
IOCLは別途、同地で2006年稼動予定でナフサを原料にPX
360千トンとPTA 553千トンのPTAプラントを建設中だが、JVではこれを原料にPET樹脂を製造することも検討する。
ほかにGujarat Refineryに120千トンのLABを持つ。
エチレン技術はABBルーマスで、HDPE/LLDPE(350千トン)についてはNOVA技術が選ばれている。
EGについては当初 IOCLはダウ技術を選択した。
ダウはUCCを吸収合併しているが、UCCはボパールで有毒ガス流出で3000人以上が死亡、被害者15-16万人という世界最悪の化学工場事故を起こした企業であり、当時のCEOのアンダーソンが殺人事件の主犯とされたが、法廷での審理に出席せず、国外逃亡という状況が続いている。
しかし、ダウが本技術はダウが独自に開発したものと説明したため、IOCLはダウ技術の採用を決め、国民の間から"Don't
fill your car with Bhopali blood" としてIOCLのガソリンの不買運動が起こっていた。
反対運動家がこの技術がUCC技術であることを見つけ出し、IOCLと政府に伝えた結果、IOCLは2005年にダウとの契約を破棄したことを明らかにしている。(→Scientific
Designから導入)
付記
最終能力は以下のとおり。
Ethylene 800千トン、Propylene 600千トン、Benzene 125千トン、LPG、Pyrolysis Fuel Oil
PP 600千トン、HDPE 300千トン、LLDPE 350千トン(Swing unit with HDPE)、MEG 325千トン
付記
インド国営Oil and Natural Gas Corporation (ONGC)は石油化学進出を決めた。8月8日の取締役会でGujarat州Dahejに3400億円を投じて世界規模の石化コンプレックス建設計画を承認した。
2007/1/25
Foster Wheeler は25日、インド国営のインド石油(IOCL)の Paradip製油所計画の基本設計等を受注したと発表した。
インドの東海岸の新しい製油所は原油処理能力
15百万トンで、芳香族とPPのプラントを含んでいる。能力は石油製品
1050万トン、PP 70万トン、TPA 120万トン、SMが60万トンとなっている。
今回の契約にはParadipの第二期のナフサクラッカー計画の詳細FSの実施も含まれている。
計画では、エチレン能力100万トンで、HDPE、LLDPE、PP(増設)、MEG等を建設する。
インドの既存エチレンセンターは4つの州にある。
州 | 会社名 | 場所 | 原料 | 能力 (千トン) |
GUJARAT | Indian Petrochemicals (IPCL) | Vadodara | Naphtha | 130 |
Reliance(RIL) | Hazira | Naphtha/ NGL | 750 | |
Indian Petrochemicals (IPCL) | Gandhar | Gas | 300 | |
MAHARASTRA | OSWAL Agro | Mumbai | Naphtha | 23 |
National Organic Chemical (NOCIL) | Thane-Belapur | Naphtha | 63 | |
Indian Petrochemicals (IPCL) | Nagothane | Gas | 400 | |
UTTER PRADESH | Gas Authority of India (GAIL) | Auraiya | Gas | 300 |
WEST BENGAL | Haldia Petrochemicals | Haldia | Naphtha | 466 |
合計 | 2,432 |
今回は初めて北インドのハリアナ州に建設される。
またGAILは先日、インド北東部でブータンと国境を接しているアッサム州でのガスクラッカー計画を発表した。
GAILが70%、Oil India、Numaligarh Refinery、州政府がそれぞれ10%ずつ出資のJVを設立し、ガスとナフサを原料に、エチレン220千トン、プロピレン60千トン、HDPE/LLDPE220千トン、PP60千トンなどを生産する。
GAILは昨年秋に、中国陝西省の陝西華山化工との間で、同地の豊富な石炭を利用し、石炭ガス化によるポリオレフィンその他の製造のFSを行う覚書を締結した。最終的には製造と販売のJVを設立する。SINOPECがシェルの石炭ガス化技術を使ってアンモニアを製造しているが、GAILに対して石炭ガス化の技術面で協力する意向を示している。
経産省は5月31日に「新・国家エネルギー戦略」を発表した。
概要 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-p.r.-set.pdf
骨子 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-kosshi-set.pdf
全文 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-houkokusho-set.pdf
戦略によって実現を目指す目標:、
@国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立、
Aエネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能な成長基盤の確立、
Bアジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献
具体的な取組み:
(1)世界最先端のエネルギー需給構造の確立
およそ50%ある石油依存度を、2030 年までに40%を下回る水準とする
@省エネルギーフロントランナー計画
A運輸エネルギーの次世代化
B新エネルギーイノベーション計画
太陽光発電コストを2030
年までに火力発電並みに。
バイオマスなどを活用した地産地消型取組を支援し地域エネルギー自給率を引き上げる、など
C原子力立国計画
2030年以降においても、発電電力量に占める比率を30〜40%程度以上にする。
(2)資源外交、エネルギー環境協力の総合的強化
@総合資源確保戦略
石油自主開発比率を、2030
年までに、引取量ベースで40%程度とする。(現在15%程度)
Aアジアエネルギー・環境協力戦略
省エネをはじめエネルギー協力を展開し、アジアとの共生を目指す。
(3) 緊急時対応の充実
製品備蓄の導入をはじめとする石油備蓄制度の見直し・機能強化
天然ガスに関する緊急時対応体制の整備
など
(4) その他
2030年に向けて解決すべき技術開発課題を、エネルギー技術戦略の形でまとめる。
ーーーーー
日本が関与する主な石油開発計画は次の通り。(朝日新聞 2005/12/29)
このうち、イラン、ロシアの大規模計画はいずれも問題を抱えている。石油の重要性が増すなかで、自主開発比率を高めるのは難しくなっている。
国 | プロジェクト | 最大能力 | 参加企業 | 割合 |
イラン | アザデガン油田 | 原油 26万B/D | 国際石油開発 | 75% |
ロシア | サハリン1 | 原油 25万B/D LNG 600万T/Y |
サハリン石油ガス開発 | 30% |
ロシア | サハリン2 | 原油
16万B/D LNG 960万T/Y |
三井物産 | 25% |
三菱商事 | 20% | |||
ベトナム | ランドン油田 | 原油 6万B/D | 新日本石油 | 46% |
UAE | ムバラス油田 | 原油 2万B/D | アブダビ石油 | 100% |
アザデガン油田
2000年11月、ハタミ大統領の訪日時に日・イラン間でアザデガン油田開発の日本企業の優先的交渉権について合意。
2004年2月に国際石油開発(株)がイラン国営石油会社(NIOC)とアザデガン油田の評価・開発に係わる契約に調印した。
国際石油開発とNaftiran Intertrade Co. Ltd.(NIOCの子会社)は、それぞれ75%と25%の参加権益で本契約に基づき、イラン国営石油会社NIOCのコントラクターとして、アザデガン油田の評価・開発作業を推進することとなった。
同油田の推定埋蔵量は約260億バレルで、「日の丸原油」としてはアラビア石油が2000年にサウジアラビア、2003年にクウェートの採掘権を失ったペルシャ湾沖のカフジ油田以来の大規模権益となる。
* ヤダバラン油田については2006/5/30 「中国の石油関連 海外進出」 参照
ーーー
イランの核開発疑惑を批判する米国政府が、同社の大株主である日本政府にイラン向け投資を再考するよう求め、政府も開発着手に慎重だったが、国際石油開発は開発を2006年中に始める方針を固めた。
しかし、アザデガン油田はイラン・イラク国境に近く、イラン・イラク戦争で100万発といわれる地雷が敷設され、そのままになっているため、地雷の除去を始めた。
2日のイランのファルス通信によると、イランの石油相は、国際石油開発が「契約期限の9月22日までに進展を見せなければ同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取る」と表明、早期着工を促した。
国際石油開発はイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論している。
内容は以下の通りだが、 ロシア天然資源省は本年5月25日、サハリン1・2プロジェクトの効率化を図るため、開発権をロイヤル・ダッチ・シェルとエクソンモービルからロシアが掌握することが妥当な可能性がある、との見解を示した。ロシアによる国営化の動きとして警戒されている。
国営化するかどうかは別として、サハリン2では国営ガス会社のガスブロムがシェルの持つ権益55%のうち25%強をガスブロムの西シベリアの油田権益との交換で取得することで合意済みで、同様手法でサハリン1その他の権益取得を考えているとされている。
サハリン1プロジェクト
事業主体 | ・エクソンネフテガス社 (米、エクソン・モービル子会社、オペレーター、30%) ・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO) (日、石油公団・伊藤忠・丸紅等 出資30%) ・ONGCヴィデッシュ社(インド、20%) ・サハリンモルネフテガス・シェルフ社(ロシア、11.5%) ・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 8.5%) |
投 資 額 | 約120億ドル以上 |
開発鉱区 | オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ |
推定可採 埋 蔵 量 |
@石油 約23億バレル A天然ガス 約4,850億立方メートル |
<石油>サハリン島を東西に横断し大陸側に至るパイプラインで運搬、そこからタンカーで日本等へ輸出
<ガス>日本へは、北海道の内陸の一部(石狩平野)を経由する海底パイプラインにより運搬する予定であったが、 パイプライン敷設が漁業補償問題で進んでいないほか、最大需要家になるとみられた東京電力も購入に難色を示したため、この計画は白紙となった。
エクソンは中国と交渉。
サハリン2プロジェクト
事業主体 | ・Shell 55%→27.5%-1株 ・Gazprom 0%→50%+1株 ・三井物産 25%→12.5% ・三菱商事 20%→10% |
投 資 額 | 200億ドル |
開発鉱区 | ピルトン・アストフスコエ、ルンスコエ |
推定可採 埋蔵量 |
@原油 10億バレル A天然ガス 4,080億立方メートル |
<石油>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬後、新設港湾よりタンカーで日本等へ輸出
<ガス>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬、液化後、LNGをタンカーで輸出
契約済みのガス販売先:東京電力、東京ガス、九州電力、東邦ガス、韓国ガス公社など
付記 2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景
開発地の近くに希少種のコククジラの繁殖地があり、NGOが融資しないよう銀行団に要求。繁殖地を回避するルートヘの変更を余儀なくされた。変更に伴う工期延長に加え、新たに調達する資機材コストが高騰し、所要資金が倍増した。
シェルは持分のうち25%超をガスブロムの西シベリアの油田権益と交換することで合意済み。
参考
サハリン3プロジェクト | |||
鉱 区 | キリンスキー | アヤシ(Ayashsky)、東オドプト(Odopinsky) | Venin |
事業主体 | 未定(2006年入札の見込み) (付記)→ガスブロム |
未定(2006年入札の見込み) (付記)→ガスブロム |
ヴェニネフチ <出資企業> ・ロスネフチ・アストラ(露、49.8%) ・サハリンモルネフテガス・シェルフ (露、25.1%) ・シノペック(中、25.1%) (付記)↓ |
当初 ・エクソンモービル社(米、33.35%) ・テキサコ社(米、33.35%) ・サハリンモルネフテガス・シェルフ社 (ロシア、16.55%) ・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.55%) |
当初 ・エクソンモービル社(米、66.7%) ・サハリンモルネフテガス・シェルフ社 (ロシア、16.65%) ・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.65%) |
||
推定可採埋蔵量 | @石油 約4.53億トン 天然ガス 約7,200億立方メートル |
@石油 約1.67億トン A天然ガス 約670億立方メートル |
@石油 約1.682億トン A天然ガス 約2,580億立方メートル |
開発の現状 | 99.4 生産物分与対象鉱区に認定 (ただし、未だ生産物分与契約は締結 されていない。) 02.9 テキサコが今後20年間で90億ドル の投資を検討していることが明らかに した。 04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区 から外し、入札が無効となった 09.6 ガスプロムが開発権を取得 |
93
開発権を入札、モービル (現エクソンモービル)とテキサコが落札 04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区 から外し、入札が無効となった 09.6 ガスプロムが開発権を取得 |
03 ロスネフチが地質調査の権利 を取得 05.7 中国のシノペックと探鉱事業 のための合弁企業を設立 地震探査調査を開始 |
Venin鉱区の一部権益をシノペックが取得した。
サハリン4プロジェクト | ||
鉱 区 | アストラハン | シュミット |
事業主体 | ・BP(英、49%) ・サハリンモルネフテガス・シェルフ社 (ロシア、25.5%) ・ロスネフチ・アストラ社(ロシア、25.5%) ↓ 付記 ・BP(英、49%) ・ロスネフチ(露、51%) |
未定 (エクソンモービル社が探鉱・開発権取得申請を 行ったがロシア政府が却下) ↓ 付記 ・西シュミットネフテガス (ロスネフチ 51%/BP 49%) |
推定可採埋蔵量 | @石油 約4,500万トン A天然ガス 約900億立方メートル |
@石油 約6,700万トン A天然ガス 約1,610億立方メートル |
開発の現状 | 03.12 ロスネフチが地質調査の権利を取得 04.9 地震探査調査を開始 |
未着手 |
サハリン5プロジェクト | サハリン6プロジェクト | ||
鉱 区 | カイガンスキー・ヴァシュカンスキー | 東シュミット 付記 開発は中止 | ポグラニーチヌイ |
事業主体 | エルヴァリ・ネフテガス 〈出資企業〉 ・ロスネフチ(露、51%) ・BP(英、49%) |
・BPアムコ社(英、49%) ・ロスネフチ・アストラ社(ロシア、51%) |
・ペトロサフ社(ロシア) ・ロスネフチ(ロシア)→撤退 ↓ (付記) ・ペトロサフ(露、97.2%) ・サハリン石油会社(露、2.8%) |
推定可採埋蔵量 | @石油 約11.72億トン | @石油 約4.11億トン A天然ガス 約2,550億立方メートル |
@石油 約3億トン |
開発の現状 | 02.6 地質調査を開始 04.7 BPとロスネフチが共同開発 協定に調印(BP50億ドル 負担)、試掘・探査作業を 開始 |
02.6 地震探査調査を開始(カイガンスキー ヴァシュカンスキー鉱区のみ) 03.6 7月に地質調査・環境影響調査作 業を開始するとの報道あり 03.12 ロスネフチが地質調査のライセンスを取得 04 地震探査調査開始 付記 |
01.1 生産物分与方式によらない商業開発方式 でのライセンスを天然資源省より取得 01.9 探査作業に着手(ポグラニーチヌイ鉱区のみ) 02.9 地質調査(ルィムニスコエ鉱区、ケロシンノ エ鉱区)を実施 03.12 ロスネフチ、事業から撤退 |
資料 北海道庁ホームページ
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/skk/russia/russia/r-spro/project/outline/index.htm
(注 2006/8/25 サハリン3−6の内容を更新)
ベトナム ランドン油田
日本ベトナム石油が1994年試掘1号井でランドン油田を発見した。
日本ベトナム石油は、新日本石油開発が53.13%、新日石資源投資が43.94%、三菱商事が2.93%出資している。
アラブ首長国連邦 ムバラス油田
アブダビ市の西方約60kmに位置する海上油田で、コスモ石油の子会社であるアブダビ石油が1969年に発見、1973年に生産を開始した。
ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田があり、混合して「ムバラスブレンド」として出荷している。
伊藤忠商事や国際石油開発などが投資するアゼルバイジャンとトルコを結ぶ原油パイプラインが完成し、6月4日にトルコ側の積み出し港から第一船の出荷が行われた。
完成したのはアゼルバイジャン共和国バクー市からグルジア共和国トビリシ市を経由し、地中海に面するトルコ共和国ジェイハン市を結ぶ総延長1,768kmの「BTCパイプライン」。
BTCパイプラインは次の11社で構成される国際コンソーシアムが総額34億9千万ドルを投じて建設してきたもので、通油量は約100万B/Dが見込まれている。
BP
30.10% / AzBTC 25.00% / Chevron 8.90% / STATOIL 8.71%
Turkey’s TPAO 6.53% / ENI 5.00%/TOTAL 5.00%
ConocoPhillips 2.50% / Amerada Hess 2.36%
伊藤忠 3.40% / 国際石油開発(INPEX)
2.50%
*AzBTC はこの事業のための会社で、出資はアゼルバイジャン国営石油(SOCAR)と同国の経済開発省(MED)
アゼルバイジャン共和国のカスピ海海域でACG(Azeri-Chirag-Gunashli)油田が開発されている。国際石油開発は2003年4月に10%の権益を取得した。ACG油田の権益は以下の通りで、今後段階的に増産し、2009年には日量100万バレルの水準に達することが見込まれている。
BP 34.14% / Socar 10%/UNOCAL
10.28%/STATOIL
8.56%/ExxonMobil 8%
国際石油開発(INPEX) 10% / 伊藤忠 3.92% / 他3社
15.1%
これまではACG原油は、主にバクー市から黒海のスプサ市に至るルート(西ルート)を使用し、ボスポラス海峡を通って地中海に出ている。同海峡を通るタンカーが衝突や座礁などの事故が多発し、トルコ当局は大型タンカーの夜間航行を禁じ、1日あたりのタンカー通行量も制限した結果、タンカーが順番待ちをする事態がおきている。BTCパイプライン完成後には、主としてこのパイプラインで地中海まで輸送し、出荷される。
なお、国際石油開発は1998年に北カスピ海沖合鉱区の参加権益も取得している。 同鉱区では、カシャガン油田のほか、カラムカス、南西カシャガン、アクトテ、カイランの4構造にて炭化水素の存在が確認されており、カシャガン油田を中心とする原油生産を2008年に開始するべく開発作業を実施中。
* 地図は国際石油開発ホームページから
ーーー
付記
カスピ海北部のカシャガン油田の原油はKazakhstan Caspian Transport System(KCTS:Eskene-Kurik はpipeline、そこからはカスピ海をタンカーでBakuに送る)でBTCパイプラインに繋げる構想であった。
2010年9月、カザフスタン国営企業カザムナイガスはKCTS計画を延期し、2018年頃の稼動を目指すことを明らかにした。
カシャガン油田の生産拡大計画が遅れる見通しとなり、カシャガン油田が2012年末に商業生産を開始しても、既存のルートで輸送できるというのが理由。
本年6月1日、Basellは、タイの同社のPP子会社HMCについて、国有石油会社PTTが40%の株主になると発表した。PTTは昨年末にオレフィンメーカーのNPCとTOCを合併させてPTTケミカルを設立、同社の子会社としている。
他方、1997年に経営が破綻しながら、その後も法廷闘争を続けトップに居座っていたTPIの創業者Prachai Leopairatanaが5月初めにようやく会社から追放された。現在の同社にはPTTが31.5%出資しており、TPIとPTTケミカルを合併させるという案が出て、これにPrachai が反発していたが、これが実現する可能性もある。
PTTによる動きの結果、タイの石油化学業界はPTTとサイアムセメントグループの二大勢力に分けられそうだ。
現状をまとめた。能力は本年2月現在のもの(単位:千トン) 付記 2016/5能力を追加
会社の色分けは次の通り。
PTTグループ |
サイアムセメントグループ |
TPIグループ |
付記
TPIはその後、IRPC Public Company Limited に改称
(PTTが31.5%出資)
エチレン
|
|||||||||||
IRPC: 旧TPI MOC: Map Ta Phut Olefin (DowとSiamのJV) PTTGC: PTT Chemical と PTT Aromatics & Refining が2011年に合併 HMC:PPメーカー SPRC:Star Petroleum Refining (Chevron Texaco /PTT) |
2005年12月、タイのオレフィンメーカー、National
Petrochemical Corp. (NPC) とThai Olefins (TOC)が合併し、PTTケミカルが誕生した。
NPCには国有石油ガス会社のPTTが38%、サイアムセメントが35%を出資し、TOCにはPTTが49%、サイアムが7%出資していた。
合併はPTTの方針によるもので、PTTが株式の50.03%を保有し、同社の連結子会社となった。
付記
サイアムセメントは2010年12月、PTTケミカルの持株の15.6%を売却すると発表した。残り4.42%は保有する。
同社はこの資金を自社事業拡張や買収に充てる。
PTT Chemical の能力内訳は旧NPCが461千トン、TOCが685千トン。同社ではTOCの第1系列385千トンを2007年に515千トンに、第2系列300千トンを2008年に400千トンに増強する。
Plant エチレン プロピレン 当初 増設 デボトル後 当初 増設 デボトル後 I4-1 TOC No 1 385,000 130,000 515,000 190,000 120,000 310,000 2007/4 I4-2 TOC No 2 300,000 100,000 400,000 0 50,000 50,000 2008/6 (小計) 685,000 230,000 915,000 190,000 170,000 360,000 I1 NPC 461,000 461,000 127,000 127,000 合計 1,146,000 230,000 1,376,000 317,000 170,000 487,000 PTTPE 1,000,000
なお、2004年10月に、PTTは当時のNPCと50/50のJV・PTT Polyethylene (PTTPE) を設立した。当初の案はRayonにエチレン410千トン、LDPE
300千トンを建設するものであった。
PTTPEはPTTとPTT
Chemical のJVとなり、エチレン計画も2009-10年完成で1,000千トンとなっている。
付記 2010/5時点の能力
エチレン プロピレン IRPC (旧称Thai Petrochemical Industry:TPI) 360 312 Rayong Olefins (ROC) 800 400 PTT Chemical (PTTCH) 1,376 487 Star Petroleum Refining (SPRC) 132 合計 2,536 1,331
Rayong
Olefins Co. (ROC) はサイアムセメント(石化関係の持株会社はCementhai Chemicals Co., Ltd)の子会社。
サイアムセメントはNPCに35%出資していたため、PTTケミカルの株主でもある。
サイアムセメントは石油化学関係で以下の子会社、JVをもつ。
子会社 | ||
: | Rayong Olefins Co., Ltd. | |
Thai Polyethylene Co., Ltd. | ||
Thai Polypropylene Co., Ltd. | ||
ダウとのJV | ||
Siam Polyethylene Co., Ltd. | ||
Siam Polystyrene Co., Ltd. | ||
Siam Styrene Monomer Co., Ltd. | ||
Siam Synthetic Latex Co., Ltd. | ||
Pacific Plastics (Thailand) Ltd.(付記 2007/11 ダウ100%に) | ||
三井化学とのJV | ||
Siam Mitsui PTA Co., Ltd. | ||
Grand Siam Composites Co., Ltd | ||
Thai PET Resin Co., Ltd. | ||
その他JV | ||
Thai MMA Co., Ltd. (三菱レイヨン) | ||
Thai MFC Co., Ltd. (日本カーバイド) | ||
海外JV | ||
PT. Siam Maspion Polymers (Indonesia) | ||
関係会社 | ||
Thai Petrochemical Industry (TPC) |
Thai
Petrochemical Industry (TPI) はPrachai
Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、Prachai
が居座りを続け、迷走した。
2005年にはタイ証券取引所が、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
本年5月になり、同社取締役会はようやくPrachai を解任した。
現在の株主はPTT
が31.5%、Government Savings Bank 10%、Vayupak Fund 10%、Government Pension Fund 8.6%で、国の関連組織が50%以上を所有している。
TPIの子会社、関係会社は次の通り。
Thai Caprolactam | 宇部興産
53.63%、TPI
Polene 26.50%、 丸紅 12.20%、BangKok Bank 2.10% |
Thai ABS | |
TPI Sumika ABS | 日本A&L
35%、Thai
ABS 60%、 タイ住友商事 5% |
TPI Polyol |
なお、宇部興産の以下のJVも当初はTPIが参加していた。
ナイロンJV UBE
Nylon (Thailand) Ltd.
ブタジェンゴムJV Thai Synthetic Rubbers Co.,Ltd.
ポリエチレン
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
IRPC: 旧TPI PTTGC: PTT Chemical と PTT Aromatics & Refining が2011年に合併 |
TPE (Thai
Polyethylene)はサイアムセメント子会社。
Siam
Polyethylene はサイアムセメントとダウのJV
BPE は元はバンコク銀行と三井物産の合弁であったが、2000年にNPCが買収を試みたが失敗、2004年にPTTとTOCが50/50で買収した。
付記(2007/9)
BPEのHDPEは現状 250千トン
2009/4Qに500千トンに増強(エチレンはPTT Polyethylene の100万トンエチレンから)
PTTは前記の通り、NPCと50/50のJV・PTT Polyethylene (PTTPE) を設立、東南アジアで初めてメタロセン触媒を使い、400千トンLDPEを建設する。
付記 2010/5時点の能力
LDPE/
EVALLDPE LLDPE/
MDPEHDPE PE
TotalPP Thai Polyethylene (TPE) 100 120 580 800 TPI Polene 158 158 IRPC (旧称Thai Petrochemical Industry:TPI) 152 152 475 PTT Chemical (PTTCH) 250 250 Siam Polyethylene 300 300 Bangkok Polyethylene (BPE) 250 250 HMC Polymers 455 Thai Polypropylene (TPP) 320 合計 258 300 120 1,232 1,910 1,250
ポリプロピレン
|
||||||||||
IRPC: 旧TPI |
TPP (Thai Polypropylene)はサイアムセメント子会社。
HMC
Polymers は Basell Polyolefins
と Bangkok Bank、Hua Kee Groupなどのタイ企業とのJVとして設立された。
Basellは本年6月1日に、HMCがプロパン脱水素とSpherizone法での300千トンの新プラントを建設するとともに、PTTが増資引受と既存株購入により40%の株主になると発表した。Basellは現在42%を所有しているとみられているが、今後も従来通り大株主で残るとしている。PTTも2日に、取締役会が250百万ドルの投資を承認したと発表した。
なお原料のプロピレンは上記のエチレンメーカーに加え、Star Petroleum Refining (Chevron Texaco /PTT) と Rayong Refinery (Shell/PTT) のJVのAlliance Refining が生産している。(能力132千トン、タイの全国能力は1,236千トン)
付記
IRPC(旧 TPI)は100千トンプラント建設を計画、完成は2011-12年。
なお、IRPCはABS 第5系列(20千トン)を建設中で、2009年初めの完成で能力は140千トンとなるが、更に80千トンプラントを計画している。
スチレン
|
||||||||
IRPC: 旧TPI |
SSMC (Siam Styrene Monomer) はサイアムセメントとダウのJV
付記 2010/5時点の能力
Siam Styrene Monomer (SSMC) 320 IRPC (旧称Thai Petrochemical Industry:TPI) 200 合計 520
PS
|
||||||||||||||
Thai Styrenics はPTTが三菱化学のHMT Polystyreneのプラント買収 |
Siam
PolystyreneはサイアムセメントとダウのJV
Eternal Plastics は 三井化学 35%、三井物産 25%、Eternal 40% のJV
HMT
Polystyrene は三菱化学
100% (当初はTOAとのJV) その後、PTTに売却
Thai
ABS はTPI子会社
付記 2010/5時点の能力
Eternal Plastics 60 Thai Styrenics 90 Siam Polystyrene 150 Thai ABS 100 合計 400
Thai Styrenics:PTT Polyethyleneの子会社、HMT Polystyrene を買収
VCM
|
||||||||
付記 2010/5時点の能力
Thai Plastic & Chemicals (TPC) 545 Vinythai 400 合計 945
PVC
|
||||||||||||
付記 2010/5時点の能力
APEX Petrochemicals 100 Thai Plastic & Chemicals (TPC) 540 TPC Paste Resin 35 Vinythai 280 合計 955
Thai
Plastic & Chemicals (TPC)は当初、地元のCEグループと旭硝子出資のTHASCO
Chemical(現在は旭硝子99.85%)、三井物産/三井東圧の3社JVとして設立された。
その後上場、THASCO、三井グループが持株を売却、現在は サイアムセメントが43.12%、CPB Equity が20.95%を所有している。
VinythaiはSolvay 46.4%、現地資本 Charoen Pokhand Group 25.9%ほかのJV。
Apex
Petrochemical は塩ビシートメーカーのApex
が川上進出したもので、当初は伊藤忠、チッソ、小原化工の日本側3社が参加していた。創業以来、経営的に行き詰り、日本側は出資引き上げ交渉を行ってきたが、タイ現地資本に新たな出資者が登場、2002年9月に日本側の資本撤収が完了した。
なお、TPCと関係会社の能力は以下の通り。
PVC | PVC-Cpd | VCM | EDC | Soda | 安定剤 | |||
TPC | Samut Prakan | 100 | 55 | |||||
Rayong | 380 | 440 | 115 | * 26 | *Dry metric ton | |||
TPC Paste Resin | 35 | TPC 100(元Oxy とのJV) | ||||||
TPC Vina Plastic | Vietnam | 100 | TPC 70/Vinaplast 15/Vinachem 15 | |||||
Siam Maspion | Indonesia | 120 | TPC 40/SiamCement 60 | |||||
Viet Thai Plaschem | Vietnam | 10 | TPC 72.49/Vinaplast 17.51 | |||||
Riken (Thailand) | 41 | TPC 35/Riken Vinyl 40/Mitsiam 16/Mitsui 9 | ||||||
SSC | 15 | TPC 60/Mitsuzawa 30/Mitsiam 5/Mitsui 5 |
Siam Maspionは当初、インドネシアのMaspion が50%、サイアムセメントとTPCの海外投資法人サイアムTPCが50%のJVとして設立されたが、2005年にMaspionが撤退し、現在はサイアムセメント60%、TPC40%となっている。
付記 Siam Maspion は PT. TPC Indo Plastic & Chemicals と改称
2006/6/9 江蘇省・張家港市(Zhangjiagang)
ダウは5月31日、江蘇省張家港自由貿易地域と覚書を締結し、同地での投資を拡大する意向を明らかにした。
同社はこれまでに同地でエポキシレジン、SBラテックス(スチレンブタジェンラテックス)、及びPSの事業を行っているが、更にグリコールエーテル、「スタイロフォーム」(押出法ポリスチレンフォーム)を新たに製造、SBラテックスを増設する。
これまでの投資額は3億ドルで、更に2億ドルを投下する予定。
PSはダウと旭化成の50/50JVの斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司で生産しているもので、能力は120千トン。
新設するグリコールエーテルの能力は120千トンで2008年稼動の予定。
ダウにとって中国は米独に次ぐ3番目の重要市場で、2005年の中国での売上高は23億ドルに達している。なお、同社は以前に天津で中国側との50/50JVでのエチレンコンプレックスを計画したが、撤退している。
張家港市は、上海市内から北へ約130km離れ、揚子江下流の南側に位置している。
張家港市には3つの開発区がある。
張家港保税区は1992年10月に国務院の批准によって設立された全国で唯一の内陸河川港型の保税区。
揚子江国際化学工業園は2001年に設立された省レベルの開発区。
保税区物流園区は2004年設立された国家レベルの開発区。
張家港市は揚子江デルタ地域の中心で、上海、南京、蘇州、常熟、無錫、常州、南通までは車で2時間以内の範囲にあり、内河の中にもっとも最大規模で冬にも凍結しない港を持つという優れた地理条件に恵まれており、インフラ施設が完備しているため、多くの海外企業を誘致している。
化学関連では以下のように多くの企業が進出しており、特に日本企業の進出が目立つ。
・ダウ(エポキシレジン、SBラテックス+グリコールエーテル、「スタイロフォーム」)
・ダウ/旭化成(PS)
社名 :斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司
出資 :旭化成ケミカルズ50%/Dow 50%
能力 :PS 120千トン
・シェブロン(PS)
能力 :PS 100千トン
・デュポン/旭化成(ポリアセタールコポリマー)
社名 :杜邦-旭化成ポリアセタール(張家港)有限公司
出資 :DuPont 50%/ 旭化成ケミカルズ50%
付記 2013/6 旭化成 100%
能力 :第1期 20千トン、将来 60千トンまで拡大
設立 :2002/8/8
備考 :国内はJVが販売、海外は両親会社が販売
・三井化学(高純度テレフタル酸)
社名 :三井化学(張家港)有限公司
出資 :三井化学100%
能力 :60万トン/年(三井化学技術)
備考 :2004/3
投資認可申請、認可待ち
・日本触媒(高吸水性樹脂)
社名 :日触化工(張家港)有限公司
出資 :日本触媒 100%
能力 :30千トン/年
設立 :2003/4
・クラレ(MMAキャストシート)
社名 :可楽麗亜克力(張家港)有限公司
出資 :クラレ 80%、クラレトレーディング 20%
能力 :3,000t/年
設立 :2004/4
・大日本インキ化学(高機能樹脂コンパウンド、樹脂改質剤など)
社名 :張家港迪愛生化工公司
出資 :DIC 100%
・東亞合成/大日本インキ化学(紫外線硬化型の化合物)
社名 :張家港東亜迪愛生化学有限公司.
出資 :東亞合成 60%、DIC 40%
能力 :1万トン/年
設立 :2004/1
備考 :張家港迪愛生化工公司の敷地内
・森田化学工業(六フッ化リン酸リチウム)
社名 :森田化工(張家港)有限公司
出資 :森田化学工業
70%/住友商事 30%
設立 :2004/1
・北興化学(精密化学品トリフェニルホスフィン)
社名 :張家港北興化工有限公司
出資 :北興化学 100%
設立 :2002/8/1
なお、既報の通り、中国政府は揚子江流域でのアクリロニトリルの輸送を全面的に禁止している。このため張家港市の上流の鎮江市にABS工場をもつ台湾の奇美実業等は原料の陸路輸送を強いられている。
2006/5/16 「世界一の塩ビ会社 信越化学」記載の同社能力について 5/31に一度修正したが、再度修正する。
Plattsの情報によると、オランダの信越PVCはPernisでPVCの増設(295千トン→450千トン)を行っているが、7月に完成する見通し。(上記記事では既に完成済みとして表示)
5/16の記事ではフィンランドでNesteに委託として90千トンと記載した。信越のオランダ増設発表(2005/1/19)でもこの旨記載されている。
Neste Chemicals は分離統合の結果、実際の委託先はDynea
Chemicals Oyであるが、Dyneaは2005年7月に塩ビ事業をスイスの商社・International
Petrochemical Group S.A.に売却、7年間続いた信越PVCとの製造受委託契約も終了した。
この結果、PVC増設完了後の信越PVCの能力は、VCMが620千トン、PVCが450千トンとなる。
(上記記事の能力表を修正した)
因みにNeste
Cshemicalsは当初はフィンランド国営のNeste Oil
の子会社であったが、1999年にIndustri Kapital
に売却された。
その後、ポリオレフィン事業はStatoilの事業と統合されBorealisとなり、現在はアブダビ国営石油の子会社となっている。
ポリエステル事業はAshlandに売却された。
その他レジンはDynoと統合してDyneaとなり、オキソ事業を統合したPerstorpのレジン事業を吸収している。
2005年にはDyno Nobelを売却、塩ビ事業も売却したもの。
変遷図