ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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NY証券取引所に上場する中国のソーラーパネルメーカー晶科能源公司(JinkoSolar Holding)の子会社で、浙江省海寧市紅曉村の浙江晶科能源(Zhejiang Jinko Solar) の工場から有害物質が河川に流れ出し、魚の大量死が発生した。
晶科能源公司は浙江晶科能源のほかに、江西省上饒市に江西晶科能源を持つ。
垂直統合メーカーで、高機能シリコンインゴット、ウエハー、電池、単結晶及び多結晶ソーラーパネルを生産、2011年の能力は1.5GW。浙江晶科能源は旧称は浙江Sun Valley Energy Application Technologyで、2009年に晶科能源が買収した。
9月15日の夜、500人以上の村民が工場の外に集まり、魚の大量死の理由の説明を求めた。
海寧市の環境保護当局によると、工場の排水処理設備は4月以降、検査に合格しておらず、当局は警告を出していたが、工場側は適切な措置を取っていなかった。
抗議に先立ち、村民の一人がインターネットで、最近の村民の健康診断で3300人の村民のうち、6名が白血病、31名が癌と分かったと報じた。
当局は、この情報は不正確で、癌と診断されたのは2010年が4名、2011年が2名であるとし、虚偽の情報を流したとしてこの村民を拘束したが、これが火を付けた形となった。
当局によると、魚の大量死は川水の汚染によるもので、海寧市は汚染の調査と水質のモニターリングを開始した。
フッ素化合物を含む廃棄物が処理されないまま流出したとみられる。
海寧市当局は9月17日に記者会見を行い、以下の発表を行った。
・工場から、基準値を超えるフッ素化合物が排出されていたことを確認した。
・住民らに暴力を振るった工場の保安要員3人と、工場のパソコン破壊などを行った複数の住民の身柄を拘束した。
・廃棄物管理が杜撰だったとして、工場の操業停止を命じた。
・この件による癌の発生率上昇の事実はない。
別途、47万元(約560万円)の罰金を科したと報道されている。
浙江晶科能源は9月19日、トラブルを謝罪し、クリーンアップを約束した。
現地の報道では、事件の背景には、太陽光発電産業の大躍進的発展があり、地元政府が同産業を強力に推進しているため、投資プロジェクトばかりが急がれ、環境アセスメントが操業より後になることも珍しくないという。
地元テレビ局の取材では、晶科能源の工場付近の水源から採取されたフッ化物の濃度は基準値の10倍だったが、業界関係者によると、業界内では10倍は問題視されず、あるメーカーの周囲の河川では基準値の100倍に達しているという。
9月29日、ハーバード大学で第21回イグノーベル賞の授与式が行われた。
化学賞には滋賀医科大学の今井眞講師が率いる研究チームが行った「わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度」が選ばれた。
受賞したのは、
今井真滋賀医科大講師(臨床実験)、
睡眠障害の研究をしている琵琶湖病院の村上純一医師、
田島幸信・香りマーケティング協会理事長、
香りを扱うベンチャー企業のシームスの漆畑直樹社長、種村秀輝取締役、
臭気発生装置を製作したエア・ウォーター防災の後藤秀晃さんと溝口浩一郎さん
警報装置は、3年前に開発した。
一般の火災警報器は警報音がけたたましく鳴るが、耳の不自由な人やお年寄りの場合、寝ている時に音に気付かない恐れがある。
このため、研究グループでは寝ている人を匂いで起こせるよう、嗅覚に働きかける警報装置を作れないかと考え、ツーンとした匂いがする「わさび」に注目した。
そして、「わさび」から刺激の強い匂いの成分を取り出して缶の中に閉じこめ、火災の発生を感知すると霧状に吹き出す仕組みを考案した。
滋賀医科大学で行われた実験では、耳の不自由な人を含む20代から40代の14人が眠っているところに警報装置を作動させたところ、風邪で鼻が詰まっていた男性を除く13人が、匂いが鼻に達してから2分以内に目を覚ましたという。
なかでも、聴覚障害者の場合は、10秒から30秒後に目を覚まし、その効果が確かめられた。
この警報装置はおととしから販売され、一部のろう学校などで導入されている。
滋賀医科大学の今井眞講師は、授賞式のスピーチで「この研究は実験に参加してくれた聴覚障害者の方々からの宝物です。でも間違っても、寿司やそばには使わないでくださいね」と冗談を交えながら受賞の喜びを語った。
(NHK ニュースから)
本年の各賞の受賞者とその内容は以下のとおり。
生物学賞 | Darryl Gwynne(カナダ・オーストラリア・米国)とDavid Rentz(オーストラリア) |
「オスのタマムシは豪州ビールの小瓶(stubby)
をメスと勘違いする」という論文 "Beetles on the Bottle: Male Buprestids Mistake Stubbies for Females (Coleoptera)" (Journal of the Australian Entomological Society, vol. 22, 1983) |
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医学賞 | オランダ・ベルギー・オーストラリアの共同研究チーム |
トイレに行きたくてたまらない時に下した決断が、ものによって良かったり悪かったりするのはどうしてなのか、原因を追究 | |
心理学賞 | Karl Halvor Teigen教授(University of Oslo) |
「人間はなぜ日常生活においてため息をつくのか」を研究 "Is a Sigh 'Just a Sigh'? Sighs as Emotional Signals and Responses to a Difficult Task" (Scandinavian Journal of Psychology, vol. 49, no. 1, 2008) |
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生理学賞 | 英国・オランダ・ハンガリー・オーストリアの共同研究チーム |
アカアシガメ (Red-Footed Tortoise Geochelone carbonaria) のあくびを研究し、「あくびは伝染しない」と結論 | |
物理学賞 | フランスとオランダの共同研究チーム |
円盤投げの選手は目が回るのに、ハンマー投げの選手は目が回らないのはなぜかを研究 | |
公衆安全賞 | John Senders (University of Toronto) |
幹線道路を運転中にサンバイザーが下がって視界が何度も狭くなった場合の運転能力について、自ら運転して測定 | |
化学賞 | 日本の研究チーム |
火事の際に寝ている人を起こすことができる「わさびのにおい」の理想的な濃度を研究し、「わさび警報装置」を開発 | |
数学賞 | 学者6人(うち1人は終末を今年の10月21日と予測) |
世界が終わる日を予測・断言し、「数学的仮定を立てる際には気を付けた方がよいと世界に知らしめた」 Dorothy Martin of the USA (1954年に終わると予測) Pat Robertson of the USA (1982年) Elizabeth Clare Prophet of the USA (1990年) Lee Jang Rim of KOREA (1992年) Credonia Mwerinde of UGANDA (1999年) Harold Camping of the USA (当初1994年、その後、2011年10月21日) |
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平和賞 | リトアニアの首都VilniusのArturas Zuokas市長。 |
違法駐車の多さに業を煮やし、自ら装甲車を操縦して高級車を押しつぶすパフォーマンスを行った。 | |
文学賞 | John Perry(Stanford University ) |
「Theory of Structured
Procrastination(構造化された先延ばしの理論)」を執筆 常に重要な作業をすることによって、それ以上に重要な作業をせずに済ませるテクニック |
日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2010年に1件ずつ計4件、合計15件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。
2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8 2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4 2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7 2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
日本人の受賞はこれで16件となる。
2011/10/3 興和とイスラエルのTeva Pharmaceutical 、合弁事業を解消
ジェネリック医薬品の世界最大手のイスラエルのTeva
Pharmaceutical Industries は9月26日、興和とのJVを9月27日付で解消すると発表した。
興和テバの興和持分を1億5000万ドルで買い取り、興和テバを100%子会社とする。社名は当面そのままとする。
Teva Pharmaceutical
は2008年9月、日本で興和との折半出資会社興和テバを設立して、日本市場に本格参入すると発表した。
両社の研究開発、製造、物流、マーケティングの力を合わせ、日本市場で高品質のジェネリック医薬品の供給を行なうとし、2009年から営業を開始した。
2008/9/26 ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出
興和テバは2009年12月、滋賀県甲賀市甲賀町の医療用医薬品のジェネリック専業メーカーの大正薬品工業とジェネリック医薬品で戦略的提携を行うことで合意、興和テバは大正薬品工業の株式の73.64%を取得した。
その後、2010年2月に第三者割当増資を引き受け、持株比率を88.28%に引き上げた。
2010年7月には大正薬品の営業部門を興和テバに統合、8月には完全子会社化し、10月には研究開発部門も統合している。
Teva Pharmaceuticalは興和と組んで日本に進出、大正薬品工業もその傘下に収めたが、他方、2011年5月にジェネリック医薬品で国内3位の大洋薬品工業の株式の過半数を取得する合意書を締結した。
Tevaは大洋薬品工業に対して、テバの原薬(API)、バイオシミラー、 その他の製品ポートフォリオならびにグローバルの経営資源を活用出来るようにし、一方、 大洋薬品工業は、国内の販売網、生産設備、研究開発、その他の経営基盤についてTevaと融合を進めていくとした。
Tevaは大洋薬品の創業家などから株式の57%を取得する契約を結び、更に残る株式全部について買収するオファを行い、2011年7月に大洋薬品の全株式を934 百万ドルで取得した。
2011/5/12 イスラエルの後発薬最大手テバ、日米で買収
この結果、Tevaの日本での活動は、合弁の興和テバと100%子会社の大洋薬品工業が共存することになり、動向が注目されていた。
今回の買収でTevaは興和テバも100%子会社とした。
両社の扱いについては言及していないが、近い将来、合併させると思われる。
付記
テバは11月17日、大洋薬品と興和テバを2012年半ばに統合すると発表した。
統合後の新社名は「テバ製薬」となる。
興和テバは2010年に、売上高約200百万ドルを達成した。大洋薬品の2010年の売上高は約530百万ドルで、両社合計で日本のジェネリック企業でトップになる。
Tevaでは当初の目標である2015年より早く、日本における売上高10 億ドルを達成することを見込んでいる。
後発薬事業を主力とする企業の売上高ランキング
(後発薬以外も含む。 単位:億円)
大洋薬品+興和テバ 694 1 日医工 643 2 沢井製薬 638 3 大洋薬品 514 4 東和薬品 461 5 富士製薬 197 6 シオノケミカル 7 興和テバ 180 ソース:日本経済新聞
なお、興和は後発薬部門を一時、手放す格好となる。
同社は新薬、一般用医薬品(大衆薬)に加え、「興和グループとして独自に後発品を手掛ける」としている。
付記
興和は2012年3月30日、興和グループの「医薬品ハイブリッド戦略」の一翼を担う会社として、ジェネリック医薬品を販売する新会社「興和ジェネリック」を設立し、営業を開始したと発表した。
ハイブリッド戦略:
「医療用医薬品」、「OTC 医薬品(一般用医薬品)・ヘルスケア品」、「ジェネリック医薬品」の三分野が相互に作用し相乗効果を生む興和グループの医薬品事業戦略
2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意
古河電工は9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して以下の内容の司法取引に合意した。司法省も発表を行った。(DOJ 発表)
1.今後の刑事裁判手続きにおいて、起訴事実を認め罰金200 百万米ドルを支払う。
2.社員3名が有罪を認め、禁固刑に服する。
F氏 1年と1日
N氏 15か月
U氏 18か月
司法省では、同社は2000年1月以降、他のカルテルメンバーと共謀し、ワイヤーハーネスの価格を操作してきたとしている。
FBIは2010年にデンソー、矢崎総業、東海理化にも立ち入り検査をしており、今回は触れていないが、今後、決定がなされる。
付記
古河電工は2016年4月25日、上記に関連する需要家からの訴訟で、和解金支払及び損失引当で特別損失を計上すると発表した。
1) 主要な顧客に対する和解金支払 32億円
2) 複数の民事集団訴訟に対する引当 68億円
合計 100億円
ーーー
電線業界は各種の電線でのカルテルが摘発されている。公取委は2010年5月、特別高圧電線や光ファイバーケーブルのカルテル で課徴金納付命令を出した。
2010/5/26 光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金
公取委は2010年11月、建設・電販向け電線カルテルで5社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
2010/11/30 公取委、建設・電販向け電線カルテルで排除措置命令及び課徴金納付命令
公取委は2011年7月、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
同上 付記
車の配線に使うワイヤハーネスについても、公取委は2010年2月に住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めた。
これについては、日本の公取委に加え、自国の市場にも悪影響を与えた疑いがあると判断して、米、英、豪、カナダ、欧州委員会の5つの海外当局が調査に着手し た。
公取委は2011年6月、矢崎総業、住友電工、フジクラの3社に総額約130億円の課徴金納付命令、矢崎とフジクラに排除命令を下す方針を決め、事前通知している。ワイヤハーネスで世界シェアトップの矢崎総業の課徴金は90億円を超えるとされている。
古河電工は立ち入り検査を受けたが、減免制度を利用したとみられ、課徴金納付と排除命令を免除された。
古河電工では、日本では公取委に協力し、減免制度を利用して課徴金と排除命令を免除されたが、米国司法省が実施してきた調査にも全面的に協力した。
適用法令、事実関係等を総合的に勘案した結果、米国司法省との間で司法取引契約を締結することとした。
古河電工では、これに伴い、本年の第2四半期決算で 15,296百万円を特別損失として計上、関係役員の役員報酬を返上する。
付記
EUは2013年7月、ワイヤーハーネスのカルテルで以下の制裁金を課した。(千ユーロ)
矢崎総業 | 125,341 | 各社とも協力度合いに応じ、20-50%の減額 他に、争わないことで10%減額 |
古河電工 | 4,015 | |
SYS | 11,057 | |
Leoni | 1,378 | |
住友電工 | 0 | 自己申告で制裁金 291,638千ユーロ免責 |
計 | 141,791 |
最初はダイセル社員(防カビ剤のソルビン酸価格カルテル)
日本在住であったが、今後一切、海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、3ヶ月の禁固刑に服した。
2006/2/16 独禁法改正
もう一人はブリヂストン社員(マリンホース国際カルテル)
現場で逮捕された。有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられた。
2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決
今回は、(司法取引時に3人が米国にいたかどうか不明だが)引き渡しが司法取引の条件となったものと思われる。
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米司法省は9月30日、日立製作所と韓国LG電子の合弁会社の日立LGデータストレージが、米国向けの光ディスク装置を巡る不当な価格操作による反トラスト法違反を認め、米当局に2110万ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。
http://www.justice.gov/opa/pr/2011/September/11-at-1291.html
同省はまた、商船三井ロジスティクスも、航空貨物に絡む価格談合で反トラスト法に違反し、罰金184万ドルを支払うと発表した。
http://www.justice.gov/opa/pr/2011/September/11-at-1295.html
米司法当局筋は米メディアなどに対し「日本狙い撃ち」の意図を否定した。
Lanxessは9月26日、オランダのGeleen のEPDMの50%を最新のKeltan
ACE技術に転換すると発表した。
同工場の能力は年産16万トンだが、3系列のうち最大の系列を転換する。
同時にEPDMのグローバル本拠地をGeleenに移す。
LanxessはブラジルのTriunfoにも4万トンのEPDMプラントを持っているが、同社は9月21日、同地で世界初のバイオベースのEPDM(ブランド:Keltan Eco)を生産すると発表した。
Braskemが砂糖キビから製造するバイオベースのエチレンをパイプラインで既存のEPDM工場に運ぶ。
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Lanxess(Bayerから分離独立)はドイツのMarlで年産6万トン、テキサス州のOrangeで6万トンの合計年産12万トンのEPDM(ブランド:Buna® EP)を生産していた。
Bayer時代に、Marlに1系列新設して合計115千トンとし、Orangeも手直しで70千トンとして、合計185千トンとする計画が打ち出されたが、需要の伸びが低い見通しから、計画を取りやめた。
Lanxess は2010年12月、Royal DSM からのDSM Elastomers部門の買収を発表した。買収額は310百万ユーロ。
2010/12/20 LANXESS、DSM Elastomersを買収
上記のオランダのGeleenとブラジルのTriunfoのプラントはDSMから買収したもので、これによりLanxessの能力は12万トンから32万トンに増えた。
DSMのEPDMのブランドはKeltanであるが、Lanxessではこのたび、2013年1月から同社のEPDMのブランドをKeltanに統一すると発表した。自社のBayer時代からのBuna® EPのブランドを廃止する。
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DSM ElastomersはEPDMの製造に関し、Nova Chemicals から新しい触媒技術の世界中での独占使用権を獲得した。
DSM ElastomersはNova ChemicalsのこのSingle Site触媒技術をベースに、効率的にEPDMを製造する触媒技術を開発、これをKeltan ACE と名付けた。(ACEは Advanced Catalysis Elastomersの意味)
触媒廃棄物がなく、省エネで、Green technologyであるとしている。新グレードも生産可能となる。
今回Lanxessは、オランダのGeleen のEPDMの50%をこのKeltan ACE技術に転換する。
デンマーク政府は国民の平均寿命を延ばすため、10月1日から「脂肪税:fat
tax」を導入した。
バターなどの動物性脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」を一定以上含む食品に対する課税を行うもの。
飽和脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールが増加し、がんの原因になるともいわれる。
政府は食生活の改善を目指し、心臓疾患などの生活習慣病を予防するため、2011年3月に導入を決定した。
保健・予防相は、世界初とされる「脂肪税」の導入について、「砂糖、脂肪、たばこに高い課税をすることは平均寿命を延ばすため、重要な施策の一つだ」と述べた。
デンマークは平均寿命が世界平均の79歳以下であるため、次の10年で寿命を3歳延ばすことを目標としている。
課税対象は、2.3%以上の飽和脂肪を含むバター、チーズ、牛乳、ピザ、チーズバーガー、肉、加工食品などで、飽和脂肪1kgあたり16クローネ(約220円) が課税される。
例えば、バター250gの値段は2.2クローネ(30円)上がる計算になり、今回の課税で約22億クローネ(約300億円)の税収が見込まれており、バターの消費量は約15%減少すると試算している。
デンマークでは、すでにほかの欧州各国と同様、砂糖、チョコレート、清涼飲料水にも課税している。
この課税に対しては、「デンマーク人はバターが好きだから、課税で効果は生まない」とか、「子どもはやるなと言われるとやるもので、もっと食べるのではないか」と疑問を呈する声が多い。
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ハンガリーも9月1日に"Hamburger tax"と呼ばれる"fat tax" を導入した。
肥満防止のため、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分、カフェイン、炭水化物が高い食品に対する課税で、7月1日に法律が制定され、9月1日に施行された。
エネルギードリンク(1リットル)に300 forints ($1.63)、チップス(1kg)400 forints、糖分の多いソーダ(1リットル)10 forints などとなっている。
これによる税収は年間1.6億ドルと見込まれ、5.3億ドル赤字のヘルスケアのために使われる。
BASFは9月27日、ベルギーのAntwerpにある肥料工場をロシアのEuroChemに売却する契約を締結した。
Totalの子会社のフランスのGPNとのJVの PEC-Rhinの50%持分もEuroChemに売却する意向で、合計の売却額は約7億ユーロ。
付記
BASFは2012年1月20日、PEC-Rhinの50%持株をJV相手のGPN(Total子会社)に売却する契約を締結したと発表した。
ベルギー工場のEuroChemへの売却は予定通り手続きを進めている。
売却対象は肥料生産能力で約250万トンで、Antwerpには硝酸カルシウム/硫安肥料、Nitrophoska®肥料、 ニトロリン酸、3つの硫酸プラントが、PEC-Rhinには硝酸カルシウム/硫安肥料、アンモニア、硫酸工場がある。
BASFのLudwigshafen本社の肥料工場は、他の製品群と密接な関係があるため、売却対象外となる。
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EuroChem はロシアの富豪のAndrei Melnichenkoの会社(ロシア名はEvrokhim)で、世界で10位以内に入る農業関連企業。
・窒素ではアンモニア能力で7位
・燐ではリン酸能力で8位、燐安(MAP/DAP)で7位
・カリでは埋蔵量で5位同社の製品群と能力は以下の通りで、工場はロシア、リトアニアが中心。
カリについては窒素・リン酸事業と別系統。
2008年にゼロから業界に参入し、ロシアの2大メーカーのUralkali とSilvinit に挑戦した。
VolgagradとPermで生産しており、更に Gremyachinskoeで開発中(2013年に第一期でKCL 230万トン)
また、 K+S AG(下記)に8.7%を出資している。
EuroChemのCEOは、BASFの肥料コンプレックスと PEC-Rhinの50%の買収で、高品質の製品の製造設備を手に入れ、活動地域を広げ、欧州需要家への供給が容易になるとしている。
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BASFでは肥料事業は重要性を失ったとし、売却を検討してきた。肥料の売上高は全体の1%以下である。
本年3月にはOrascom Construction Industriesとの間で肥料事業(AntwerpとPEC-Rhin)売却の初期段階の交渉をしていることが明らかになった。売却額は5億ユーロと見られていた。
Orascomはエジプトと中東で公共および個人顧客向けにエンジニアリング、調達、建設などのサービスを提供しているが、窒素系の肥料事業も行っている。
現在及び計画能力は以下の通り。
現 能力 2012年能力 無水アンモニア 115万トン 220万トン 粒状尿素 130万トン 280万トン アンモニウム-硝酸カルシウム (CAN) 115万トン 145万トン 尿素・硝安 (UAN) 20万トン 52.5万トン メラミン 25万トン 25万トン メタノール ー 75万トン
ノルウェーの窒素肥料メーカーのYara もBASF資産に関心を示していた。
同社は世界最大のアンモニア、硝酸、複合肥料のメーカーで、世界各国に工場を持つ。
http://www.yara.com/about/production_sites/global_production_capacity/index.aspx
BASFはより高額(7億ユーロ)のEuroChemへの売却を選んだ。
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BASFの肥料工場売却に伴い、BASFの肥料の販売を受託している K+S KALI GmbH も販売網をEuroChemに売却する可能性が出てきた。
BASFは以前の子会社のK+S に肥料の販売を委託しており、契約は2014年まで有効となっている。
K+Sではサプライヤーが変わっても需要家との契約は守るとしているが、以前から、BASFのプラントが買収された場合には窒素肥料の販売ネットワークを買い手に売る可能性があるとしていた。
主事業はカリ、マグネシウムの採掘で、ドイツの6つの鉱山で年間750万トンを生産している。
世界で第4位のカリのメーカー。カリと塩に注力しており、窒素肥料のマーケティングはコア事業ではないとし、家庭用肥料などの事業を売却した。
K+Sは、ドイツのSalzdetfurth AGと Wintershall AG のカリ(Kali)と岩塩(Salz)事業を統合して、BASFの傘下でKali und Salzとして設立されたのが始まり。
その後、BASFは株式を順次売却した。
2011年3月には10.3%を9億ユーロで売却した。
参考 カリのメーカーと損益
2009年の利益は以下の通り。(単位:100万US$)
* はPotashCorpの出資先(上記)
PotashCorp 988 ICL(Israel) * 724 Yara (Norway) 613 Uralkali (Russia) 451 CF Industries (USA) 449 Mosaic (USA) 414 K+S (Germany) 403 SQM (Chile) * 372 Agrium (Canada) 366 APC (Jordan) * 281 Terra (USA) 153
2011/10/6 中国五鉱能源、コンゴで銅鉱山開発のAnvil Miningを買収
中国国有資源大手の中国五鉱集団の中国五鉱能源(Minmetals Resources)は9月29日、コンゴで銅鉱山開発のAnvil Miningを12.8億ドルで買収することで合意した。
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2011/4/15 中国五鉱集団、Equinox Minerals に買収提案
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五鉱能源は銅資源の確保を狙い、その後、Anvil
Miningと交渉を行った。
中国は世界の銅需要の40%を占めており、銅の価格が上昇する中、銅鉱山の取得に熱心である。
Anvil Miningはオーストラリアに本社を置く銅生産企業で、カナダとオーストラリアに上場している。
買値は4月29日のトロント市場終値に39%のプレミアムを乗せたもので、友好的買収となる。
Anvilは2011年8月に、会社の価値を最大化するために、売却を含む戦略的代替案の検討を開始したことを明らかにしていた。
Anvil Miningはアフリカのコンゴ民主共和国を中心に事業展開しており、同国における主要銅生産企業の1社である。
生産拠点はコンゴ南東部に位置するカタンガ州で、2002年から銅の生産を行っている。
主力はKinsevere銅鉱山で、Stage I HMS(重液分離)
プラントでは2010年に 16,538トン(oxide concentrate
form)の生産を行った。2011年通年では36,000〜38,000トン( Cu cathode)の生産を期待している。
現在、Stage II で年6万トンのLMEグレードの銅陰極プラントの建設中。
他に、国営資源企業であるGécaminesとのJV (Anvilが70%)でMutoshi HMSプラントを持っている。
2011/10/7 クミアイ化学・三井化学・日産化学、ブラジルの 農薬メーカー Iharabrasに出資
クミアイ化学・三井化学・日産化学の3社は10月6日、各社がブラジルの日系農薬メーカーIharabras S.A.に出資したと発表した。
いずれも同社株主でブラジルの日系企業のAgroinvest Kayatani S.A.から買収した。
クミアイ化学 |
発行済み株式 3.15%を取 得。既に出資している株式と合わせ、出資比率が22.00% となり、持分法適用会社とする。 |
|
三井化学 | 11.89%を取得。 | |
日産化学工業 | 3%を取得。 | |
これにより、同社の主要株主は以下の通りとなる。 | ||
日本曹達 | 28% | |
住友商事 | 22% | |
クミアイ化学 | 22% | |
三井化学 | 11.89% |
Iharabrasは1965年にイハラ農薬と三井物産が、広大な農業市場をもち、高い成長が見込まれるブラジルに着目し、共同で設立した。当初の社名はIndusutrias Quimicas Mitsui−Ihara S.Aであった。
イハラ農薬は1949年に静岡県清水市で庵原農薬として設立された。
1962年にイハラ農薬に社名を変更、同年、東京証券取引所第二部に上場した。1968年にクミアイ化学工業に社名を変更した。
1968年に日本曹達、三菱商事、住友商事、住友化学、武田薬品、東邦化学が出資した。
1972年に三井物産が離脱、クミアイ化学が主株主となり、社名を現在のIharabras S/A に変更した。
クミアイ化学はその後のブラジル経済の悪化で経営が維持できなくなり、1984年に一部株式の保有を残し、Agroinvest Kayatani S.A,に株式の66%と経営権を譲渡した。
(買い手が見付からず、苦肉の策として日系人グループがAgroinvest Kayataniを設立して事業継続を決めたもの)
クミアイ化学は、農薬原体の供給および製剤の技術提携など、Iharabrasとの友好的な協力関係は継続してきた。
Agroinvest Kayatani は1997年に日本企業に株式を譲渡、出資比率を51.2%とし、その後も日本の企業に株を売却、今回の売却で同社から撤退する。
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Agroinvest Kayatani はクミアイ化学がギブアップしたIharabrasの事業継続のため設立した投資会社で、主な出資者は日系人一世、ニ世で何らかの形で農業に関ってきた人々で構成されている。
Kayataniの参加により、成長への基盤ができると同時に、従来にも増して農業生産の現場に入り込み、生産者の声を自社製品の販売・製造にできる限り反映させていった。
1986年にはIharabrasがバイア州の野菜農場(Bagisa)に出資、生産者の立場から自社製品の品質向上を図った。
1993年にIharabrasの社長となったクニカズ・ニノミヤ氏は、積極的に近代的経営手法を取り入れた。
同氏は1994年に稲盛和夫氏(京セラ、KDDI創立者)の盛和塾に出会い、稲盛氏の「充分な利益を出さない会社は『ぼろ会社』」との言葉に感銘したという。「生きるか死ぬかの瀬戸際にあった当時、最も重要だったのは、発想の転換でした」。
売り上げ、利益、経費に関する明確で厳しい目標を設定すると同時に、従業員教育に力を入れた。
農業関係では収穫が天候に左右されるため債権回収が課題となるが、財務部門の権限と関与を強化し、客先との取引開始から債権回収まで深く関与する体制を確立、これにより、債権回収率は飛躍的に改善された。
2004年の売上高は1億2千万ドルに達し、利益率は17%となった。
同氏は2006年に日本での盛和塾全国大会体験発表会で最優秀賞を受賞した。
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クミアイ化学は海外において有望な複数の農薬原体の登録・上市を見込んでおり、グローバル展開の更なる強化・拡大のため、また、世界の人口増加等に対応して世界規模での食糧増産に寄与することが見込まれるブラジル市場における事業強化の一環として、Iharabrasの株式を追加取得した。
同社との関係をさらに深め、同地域でのクミアイ化学の薬剤の市場拡大及び新規薬剤の開発・上市を促進し、事業の更なる拡大を図る。
三井化学は、2011 年度中期経営計画において、農業化学品事業を景気変動による影響を受け難い「重点5 事業」の一つとして位置付け、早期拡大を図っている。
今回の株式取得により、三井化学グループはIharabrasとの関係を強化し、同地域での事業ノウハウ・情報の取得、同社薬剤の市場拡大及び新規薬剤の開発促進につなげ、農業化学品事業の更なる強化・拡大を図 る。
日産化学も農薬事業をコア事業の一つと位置づけ、自社開発品の創出に向けて研究開発に注力し、一方で、他社剤の買収を積極的に推進し、既存の自社開発品を含め、アジア、欧州、北米を中心に販売体制の拡充を図っている。
Iharabrasとの関係強化により、中南米市場の開拓を本格的に進めることで、さらなる事業拡大を目指す。
Stay Hungry. Stay Foolish.
これは彼が2005年6月12日にStanford Universityの卒業式で来賓として行ったスピーチの最後の言葉。
若いころに愛読したThe Whole Earth Catalog の最終号の後ろのカバーに書かれた言葉である。
And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.
Stay Hungry. Stay Foolish.
スピーチでは3つの話をしている。
1)The first story is about connecting the dots.
You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
2)My second story is about love and loss.
You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don't settle.
3) My third story is about death.
When I was 17, I read a quote that went something like: "If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right." It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.(彼は若いころから禅に傾倒していた)
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma — which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.
三菱樹脂は9月28日、長浜工場で半世紀以上にわたり活躍してきた硬質塩ビ板製造用プレス機「3×6-1プレス機」が、日本の科学技術の発展を示す貴重な技術史資料として国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されたと発表した。
今回登録された「3×6-1プレス機」は、3尺×6尺(900ミリ×1800ミリ)サイズの硬質塩ビ板が製造できる国内初の大型機械で、1954年に導入した。製造元は小松製作所。
それまでの硬質塩化ビニル板は、大サイズの需要もなく、製造技術もなかった。
同社では用途の拡大に対応して、本プレス機を導入、様々な板の標準サイズに対応できる本格的な工業用途向
けの硬質塩化ビニル板生産技術を確立した。
「未来技術遺産」は、国立科学博物館が2008年、わが国科学技術の発展を示す貴重な資料の保存と活用を図り、科学技術の急速な発展の中で、技術を培ってきた先人たちの経験を次世代に継承していこうという ことで制定した登録制度。
これまでに登録された「未来技術遺産」は下記参照。
http://www.kahaku.go.jp/institution/sts/material/index.html
化学関連のものは以下の通り。
年度 | 登録番号 | 名称 | 所在地 | 製作年 | 詳細 |
2008 | 00009号 | 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル | アロン化成 名古屋工場 |
1951 | |
2009 | 00026号 | 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸 ― 日本最古のグルタミン酸 ― |
東大大学院 | 1908 | |
00029号 | 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器 (1) アンモニア合成塔 (2) 混合ガス圧縮機 (3) 清浄塔 ― わが国初の本格的なアンモニア合成プラント ― |
旭化成 (延岡市) |
1923 | ||
00039号 | 界面活性剤製造設備(TO リアクター) ― 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 ― |
ライオン 大阪工場 |
1976 | ||
2010 | 00051号 | 合成ガス循環機 ― 日本初の国産アンモニア合成装置 ― |
昭和電工 川崎事業所 |
1930 | |
00056号 | ビニロン(ポリビニルアルコール繊維) ― 国産初の合成繊維 ― |
クラレ 岡山事業所 |
1950 | ||
00057号 | 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本 ― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 ― |
古河電工 (市原市) |
1950〜 1955頃 |
||
00072号 | 上中啓三 アドレナリン実験ノート ― 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート ― |
教行寺 (西宮市) |
1900 | ||
2011 | 00080号 | 硬質塩化ビニル板製造用プレス機 ― 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス ― |
三菱樹脂 長浜工場 |
1954 | |
00082号 | “テトロン”糸生産第一号機 ― 日本初のポリエステル繊維製造装置 ― |
東レ (三島市) |
1958 |
別途、日本化学会は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、化学遺産委員会を設置し、さまざまな活動を行っているが、2010年から「化学遺産認定」を行っている。
2010/3/18 化学遺産認定
2011/3/17 化学遺産、第二回認定
下記の3つが両方に認定されている。
化学遺産 第2号 上中啓三 アドレナリン実験ノート(未来技術遺産 00072号)
第3号 具留多味酸(グルタミン酸)試料 (未来技術遺産 00026号)
第6号 カザレー式アンモニア合成装置および関連資料 (未来技術遺産 00029号)
なお、日本化学会では、震災で延期となっていた
2011世界化学年記念として第5回「化学遺産市民公開講座」を下記により開催する。
日時:10月27日㈭ 10:30〜16:45
場所:学術総合センター2階会議室
http://www.chemistry.or.jp/archives/kouza2011.pdf
2011/10/10 昭和シェル、サウジで初の太陽光事業開始
昭和シェル石油は10月1日、サウジの電力公社 (SEC) 及びSaudi Aramcoと共同で同国初となる太陽光発電事業をスタートした。
サウジ南西部沖のFarasan島に立地した出力500kwの発電所の運転を開始した。約28,000バレルの軽油に相当する発電量が見込まれる。
2万人の住民向けに電力供給を実証することで、今後の同国内での再生可能エネルギー本格普及への基盤づくりをする。
この太陽光発電所は昭和シェルの100%子会社のソーラーフロンティアが建設を進めてきたもので、経済産業省と昭和シェル石油が協力し、中東における日本の最先端技術の普及を目指した政策の一環として、政府による資金援助を得ている。
ソーラーフロンティアの独自技術で生産するCIS薄膜太陽電池は、銅、インジウム、セレンを使用し、結晶シリコン系よりも高温時の温度係数が優れているため、気温上昇時の変換効率が低下しにくいなど砂漠環境に適した特性を有している。
また砂の付着や埃の蓄積を防ぐよう傾斜を付けたフレーム構造や、日本が誇る生産技術に支えられた高い耐久性も特長となっている。ソーラーフロンティアの世界最大規模の宮崎県の第3工場(年産900MW)は 2011年2月より商業生産を開始している。宮崎第1、第2工場と合わせて、約1GW(1,000MW)のCIS薄膜太陽電池の年産能力の確立を目指している。
2009/5/29 昭和シェル石油、太陽電池事業に 1600億円投資
昭和シェルとSECは本年6月1日、本発電所の完成を間近に控え、運営に関する覚書を締結した。
昭和シェルは15年間、本設備を所有し、その後は資産はSECに移管される。
稼働開始後は、SECが操業とメンテナンスを担当し、ソーラーフロンティアは新設のサウジのAl Khobarの事務所を拠点に技術サポートを継続的に提供する。
サウジ政府は、今後の人口増加と石油資源の枯渇をにらみ、2007年にエネルギー戦略を大転換した。
2010年5月にKing Abdullah City for Atomic and Renewable Energy (KA
CARE)の設立を決め、原子力と太陽光発電を今後の中心にすることを決めた。
サウジでは電力需要が今後5年は年平均7〜8%前後で伸びる予想で、これへの対応は国家的な命題(Aramco CEO)。
サウジの人口は2500万人(外国人700万人を含む)だが、若年層が急増し、2050年には7000万人になるとみられている。
昭和シェル石油は2009年6月、15%の大株主であるSaudi Aramcoと、サウジ国内において太陽光を活用した小規模分散型発電事業の可能性の調査を開始することに合意した 。
太陽光発電のパイロットプラントを建設し小規模独立型電力系統(マイクログリッド)への繋ぎ込みなどの技術検討を行い、この結果を受けて同国内での本格的な事業化へ移行する計画。
なお、AramcoのCEOは、宮崎工場の技術を移転し、2〜3年以内に昭和シェルと合弁でサウジで電池の製造事業を実現したいとしている。(2011/10/4
日本経済新聞)
サウジにおけるソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池の設置事例には次のものがある。
1)アブドラ国王科学技術大学(KAUST)の10キロワット規模の発電設備(2009年運転開始)
2)10メガワット規模のNorth Park Project(2011年末 稼働予定)
ソーラーフロンティアは2010年10月、Saudi Aramcoに対し10メガワットのCIS薄膜太陽電池モジュールを供給することに合意し た。
Dhahran市にあるAramcoのオフィス複合施設 North Park Complexへ電力を供給するため、敷地内の駐車場の屋根上にCIS薄膜太陽電池モジュールを設置するもの。
車両4,450台収容の駐車場(16〜18ヘクタール)の屋根上に設置され、発電電力は敷地内のオフィスビルで日中に使用される全ての電力量(一般家庭6,000戸分の電力に相当)を賄うことができる。
2011/10/11 BASFとIneosのスチレン事業を統合した Styrolution がスタート
BASFとIneosのスチレン系事業を統合した50/50JVのStyrolutionが、各国の独禁法当局の承認を得て、10月1日に発足した。
社名は、“Styrenics” と“Solution”を合成したもの。
BASFとIneosは2010年11月30日、両社のスチレン、PS、ABS、SBC、その他スチレン系コポリマーとそのブレンドの事業を新しい50/50JVのStyrolutionに統合すると発表した。
統合に先立ち、BASFは2011年1月1日にスチレン系ポリマー事業を分社し、Styrolutionを設立した。
両社は2011年5月27日にJV契約を締結した。2010/12/2 BASFとIneos、スチレン事業を統合
付記
Ineosは2014年6月30日、StyrolutionのBASF持分を11億ユーロで買収すると発表した。実施は第4四半期の予定。
Ineosがこのオプションを持つことは2011年の契約に含まれている。
新会社の製品は、SM、PS、ABS、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBC)、スチレン系コポリマー(SAN、AMSAN、ASA、MABS)と、それらのブレンド(ABS/PA、ASA/PA、ASA/PC)で、発泡ポリスチレン(EPS)は対象外で両社に残る。
なお、当初新会社に含まれるとしていたIneosのスペインTarragonaのABS(18万トン)はEUの独禁法上の指示でIneosに残る。社名をElixとし、今後売却される。
付記
2011年12月31日、Sun European Partners (Sun Capital Partners の子会社)がStyrolutionとの間でElix Polymers 買収で合意した。
INEOS は2016年8月31日、EPS事業をポーランドのSynthos S.A. に80 百万ユーロで売却した。
売却対象には、北仏のWingles 工場、Ribécourt 工場、オランダのBreda 工場を含む。
Synthosは旧称 Firma Chemiczna Dwory S.A で、ポーランド最大の化学品メーカーである。2007年にチェコの化学会社 Kaucuk s.a を買収し、同年10月にSynthosに改称した。
主製品は合成ゴムとPSである。
2014/4/12 ポーランドのSynthos、ブラジルでネオジウム触媒ポリプタジエンゴム製造へ
発表では、SM、PS、コポリマーでは世界第一、ABSでは世界第二となる。
2010年ベースの売上高は6,441百万ユーロ。
BASFの拠出する事業
ドイツ Ludwigshafen, Schwarzheide PS能力 540千トン
(2009年80千トン減)ベルギー Antwerp 韓国 Ulsan PS 250千トン、EPS 80千トン、ABS 250千トン
(SM 320千トンは2009年にSK Energy に売却)インド Dahej メキシコ Altamira
対象製品
Commodities SM
PS
ABS
SBS (スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)コポリマー Luran® (SAN) :スチレン/アクリロニトリル コポリマー
Luran® HH (AMSAN):α-Methylstyrene-acrylonitrile copolymers
Luran® S (ASA):styrene acrylonitrile copolymers that have been impact-modified with acrylic ester rubber
Terblend® N (ABS/PA):ABS/Polyamide 6
Terluran® HH (ABS-High Heat):modified ABS that meets the requirements for thermally stressed components
Terlux® (MABS):Methyl methacrylate-acrylonitrile- butadiene-styrene-polymer
Styroflex® (SBS): Styrene/butadiene block copolymer
対象外製品
発泡ポリスチレン 発泡ポリスチレン用のLudwigshafen のSM/PS事業 南京のBASF-YPCのSM/PS事業
(旧 Yangzi-BASF Styrenics )SM 120千トン
PS 200
EPS 52
Ineosの拠出する事業
Ineos ABS
ドイツ Cologne スペイン Tarragona 180千トン
(付記 独禁法当局指示で除外、売却)インド Vadodara タイ Map Ta Phut Lanxessから買収 能力:730千トン→550千トン Ineos Nova SM/PS
SM
千トンPS
千トンEPS
(対象外)Sarnia, Ontario 430 Indian Orchard, MA 165 Channahon, Illinois 410 Decatur, AL 193 Bayport, TX 770 Texas City, TX 455 (北米合計) (1,655) (768) Trelleborg, Sweden 85 Breda, The Netherlands 90 90 Marl, Germany 180 85 Wingles, France 200 100 Ribecourt, France 90 (欧州合計) (555) (365) 総合計 1,655 1,323 365 Ineos SM ドイツ Marl
エチルベンゼン 550千トン、SM 380千トン
ーーー
なお、BASFと並ぶスチレン系の大手であったDowも、スチレン系事業のStyronを投資会社Bain Capital Partnersに売却している。 (DowはStyronに7.5%を出資)
2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了
Styronは2011年末に社名を Trinseo に変更する。
Styronの社名はスチレン系からきているが、同社はSMやPSを今後も中心とはするが、それ以外にも展開する計画であり、社名を変更する。
TrinseoはIntrinsic(「固有の」、「本質的な」、「内在する」)から取った。
同社の製品や技術が、需要家の製品にintrinsic な役割を果たし、需要家の成功に不可欠なものになるという意味。なお、PSの商標は従来通り Styron を使用する。
メキシコのコングロマリットのGrupo KUOは9月22日、江蘇省南京市の江蘇金浦集團(Jiangsu GPRO Group)との間で50/50JVを設立することで合意したと発表した。
両社は、INSA GPRO (Nanjing) Synthetic Rubber Co.を設立、60百万ドルを投じて、南京市に第一期年産能力30千トンのニトリルゴム(NBR)プラントを建設する。
Grupo KUOの100%子会社で、合成ゴム、エマルジョンを製造するINSA (Industrias Negromex, S.A. de C.V.)が技術を担当する。
中国当局の承認を得次第、着工し、2014年初めに生産開始する計画。
NBRは産業用に広く使用されており、Grupo KUOでは子会社 INSAがすでに中国に輸出している。
江蘇金浦集團は2005年に南京市に、同社が40%、Sinopec揚子石化が60%出資のJV、揚子石化金浦橡膠(YPC-GPRO Rubber)を設立し、南京ケミカルパークに第1期 100千トンのSBR プラントを建設している。(第2期計画 100千トン)
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江蘇金浦集團は江蘇省南京市に本拠を置く化学会社で、従業員3,000人。プロピレンオキサイド、ポリエーテル、PP、ガソリン添加剤、潤滑油、酸化チタン等々を生産している。
江蘇金浦集団はまた、韓国の錦湖石化との50/50合弁会社、南京GPRO錦湖石化を設立し、南京の南京ケミカルパークで電解、PO、PPGの生産をしている。2008年に生産を開始した。
能力はPOが80千トン(当初の発表では100千トンであった)、PPGが50千トン、カセイソーダが100千トンとなっている。
2006/11/28 韓国の錦湖石油化学、南京でPO生産
2011/10/12 BASF-YPC 第一次増強計画が稼働
BASFは10月10日、SinopecとのJVの南京のBASF-YPC の第一次増強計画のうち、最初の2工場が生産を開始したと発表した。
エチレンの増強(600千トンから740千トンへ)に続き、今般、ブタジエン抽出(120千トン)と非イオン界面活性剤(60千トン)が生産を開始した。
残りの各プラント(下表 参照)も年末までに稼働する。
第一次増強は14億ドルをかけるもので、2009年9月に建設を開始した。
2008/3/22 BASF-YPC、増設計画の承認を申請
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BASFとシノペックは2010年12月に、第二次増設計画についての覚書を締結している。
投資額は約10億ドルで、C3、C4誘導品を拡張する。16万トンのアクリル酸の増設や新しくブチルアクリレートの新設などを含む。
また、ワールドクラスの過酸化水素法POも新設、BASF-YPCに統合した旧Yangzi-BASF StyrenicsのSMも増設する。
HPPOはダウとBASFが共同開発したもので、アントワープの両社のJVが第1号。
ダウはSiam Cement Group とのJVでタイにプラントを建設している。2010/12/24 BASFとSINOPEC、BASF-YPCの第二次増強を検討
第一次、第二次増強計画の内容は以下の通り。(単位:千トン)
当初 | 第一次増強 | 第二次増強 | |||
エチレン | 600 | →740 | |||
C4 Comlex | Butadiene | ー | ◎(100〜120) | ||
2-propylheptanol | ◎ | 増設 | |||
Isobutene | ◎ 80 | ||||
Polyisobutene | ◎ 50 | ||||
EO | EO | 250 | +80 & EO purification | ||
EG | 300 | ||||
EO Derivatives | Butyl glycol ether | ー | ◎ | ||
Non-ionic surfactants | ◎ 60 | 増設 | |||
Amines complex | Ethanolamines Ethyleneamines Dimethylethanolamine |
ー | ◎ | ||
DMA3 (dimethylaminoethylacrylate) | ー | ◎ | |||
LDPE | 400 | ||||
Acrylics value chain | アクリル酸 | 160 | +160 | ||
アクリル酸エステル | 215 | ||||
Super-absorbent polymer (SAP) | ー | ◎ 60 | |||
butyl acrylate | ー | ー | ◎ | ||
C4オキソアルコール | 250 | 増設 | |||
蟻酸 | 50 | ||||
プロピオン酸 | 30 | 増設 | |||
メチルアミン | 30 | ||||
ジメチルホルムアミド(DMF) | 40 | ||||
PO(HPPO) | ー | ー | ◎ | ||
旧 Yangzi-BASF Styrenics | Ethylbenzene | 130 | BASF-YPCに統合 | 増設 | |
Styrene monomer | 120 | 増設 | |||
Polystyrene | 200 | ||||
EPS | 52 |
2011/10/13 Solvayの世界最大の過酸化水素工場、タイで生産開始
Solvayは10月5日、DowとのJVのMTP HPJV (Thailand) がタイのMap Ta Phutで世界最大の過酸化水素工場をスタートさせたと発表した。
2007/8/3 Dow と Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立
Solvayの独自技術によるもので、ユニークな大規模プラントにより建設費と製造コストが節減できる。省エネ、節水の面で環境面でもメリットがある。
能力は33万トン(100%ベース)で、DowとSiam Cement のJVのMTP HPPO Manufacturing のPO(HPPO)の製造用に供給される。
2008/6/16 Dow、タイで過酸化水素法PO工場建設
原料プロピレンは、Dow と Siam Cement Group のRayong の新しいナフサクラッカーから供給する。
能力はエチレン90万トン、プロピレン80万トン。OCT(Olefins Conversion Technology) で大量のプロピレンを製造する。Siam が67%、Dow が33%出資。2006/10/24 ダウ、アジア進出を促進
今回のタイのプラントはPO製造用のワールドクラスの過酸化水素工場としては2番目のもの。
最初のものは2009年末に稼働したアントワープの23万トンプラントで、SolvayとBASFのJVにDowが参加してパートナーシップを設立した。DowとBASFのJVの30万トンHPPO用に供給している。
2009/3/12 ダウとBASFのHPPO法PO生産開始
タイの過酸化水素はHPPO向けが主であるが、生産量の1/4は Solvay Peroxythai Limited が外販する。
Solvay Peroxythai は東南アジアの過酸化水素の主メーカーで、Map Ta Phutに35千トンのプラントを持ち、過去20年以上にわたり、高純度品を食品やエレクトロニック業界に供給している。新プラントからの製品で、供給能力は従来の2倍以上となる。
参考
Evonik(旧Degussa)は2011年1月、インドでのHPPOプロジェクトに関し、インドのソーダ会社 Gujarat Alkalies and Chemicals Limited (GACL)と覚書を締結した。
EvonikとUhdeが共同開発した過酸化水素法プロピレンオキサイド(HPPO)をGACLが建設し、過酸化水素工場をEvonikが建設するもの。GACLの拠点のインドGujurat 州Dahej に建設する。
EvonikとUhdeはこの技術を韓国のSKCに供与し、SKCは蔚山に100千トンのHPPOプラントを建設、2008年にスタートした。
Evonikは子会社Evonik Degussa Peroxide Koreaで過酸化水素を製造しているが、2010年11月、SKCはこの子会社に45%出資し、協力関係を強化した。
2011/1/20 Evonik、インドでのHPPOプロジェクトでインドのGACLと覚書締結
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POの製法については下記参照。
2006/3/24 ダウとBASF、POを新製法で生産
DICは合計約100億円を投じ、グローバルベースでのPPS(ポリフェニレン・サルファイド)増産一大プロジェクトを遂行している。
DICは9月26日、100%子会社のDIC EPの鹿島工場に約80億円を投じてPPS樹脂の新プラントを建設することを決定したと発表した。
2013年5月に完工予定の年産5,500トン強の新設で、PPS樹脂の生産能力は世界トップクラスの年産19,000トン強となる。
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DICは10月7日、オーストリアのウィーンにPPSコンパウンドの新プラント建設(総投資額1400万ユーロ)を決定したと発表した。
これに先立ち9月30日にSolvayからPPSコンパウンド事業を譲受することで合意した。
新プラントは、2012年末に完工予定で、稼動開始時点での能力は6000トンの予定だが、将来的には年産1万トンまでの生産ラインの拡張が可能
欧州におけるPPSコンパウンドの需要は年間約1万5千トンと、日本の同3万トンに次ぐ規模があり、今後も年間 6〜8%の成長が予想される。同社では数年後に、欧州におけるPPSコンパウンドのシェア20%以上を目指す。
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同社は2011年7月に、約5億円を投じてマレーシアのDIC Compounds(Malaysia)のPPSコンパウンドの生産能力を、年産1,500トンから4,500トンへ増強した。
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PPSは、ほとんどがガラス繊維や無機質フィラーを充填して強度を引き上げたPPS コンパウンド(主に成形材料用途)として出荷されている。
PPSコンパウンドの世界需要は73,000トン程度(2010年度)と推定されているが、DICでは、PPS樹脂からPPSコンパウンドまで一貫生産しており、世界トップシェアの地位を確立している。
PPSコンパウンドは、耐熱性や強度、寸法安定性ならびに耐薬品性に優れることから、自動車、電子・電気ならびに住設機器が主な用途であり、その需要は拡大している。
主要用途である自動車については、ハイブリッドカーや電気自動車のエンジンのダウンサイジングによる要求特性の高度化により、従来車と比較して一台あたりの使用量は飛躍的に増加している。
(PPS使用量 ガソリン車:0.7Kg/台→HV車:2.5Kg/台)住設機器用途においては、従来のガス給湯器部品の金属からの代替用途に加えて、その優れた耐熱性・耐水性を生かして、ヒートポンプ式給湯機器のジョイントやバルブ、ポンプ等の部品への採用が進んでいる。
DICはエンプラ分野でPPS事業へ経営資源の集中を図ることを決め、2010年3月にPBT事業を東洋紡に譲渡した。
(DICと東洋紡の両社がエンプラ分野の事業に関して事業展開の方向性が合致したもので、東洋紡はPBT事業のさらなる拡大を目指す。)
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DIC(当時は大日本インキ化学)は当初、Phillips Petroleum からベース樹脂を輸入し、ガラス繊維補強材や充填剤を混練し成形用コンパウンドとして市場開発を進めた。
1984年11月のPhillips Petroleumの基本特許の失効後、大日本インキ(鹿島工場:年産3500トン)を含む数社が相次いでPPS国産化プラントを稼働させた。
一方、東都化成が独自技術で開発を行い、トープレン(東都化成55%、東燃化学45%)を設立して千葉で生産を開始した。(年産3,500トン)
その後、トープレンは東都化成10%、東燃化学90%となったが、2001年2月にDICが譲り受けた。
DICは2001年4月に、トープレンをディーアイシー・イーピー(DIC EP)に変更するとともに、自社の鹿島工場のPPSプラントを同社に移管、統合した。
その後、両プラントを順次増強し、今回の鹿島の増強で、合計能力を19,000トン強とする。
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日本のPPSの状況は以下の通り。
立地 | 現状 | 増設 | ||
DIC EP | 鹿島工場 | 13,500トン |
+5,500トン (2013/5 完工予定) |
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千葉工場 | ||||
東レ | 東海工場 | 14,000トン | +5,000トン (2013/1 稼働予定) |
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クレハ | 錦工場 | 10,000トン | コンパウンドはポリプラスチックが担当 | |
Wilmington, N.C | 15,000トン | Fortron
Industries LLC (JV of Ticona and Kureha ) |
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東ソー | 四日市工場 |
2,500トン (cpd 4,200トン) |
+200トン (+400トン) |
当初
東ソー・サスティール (東ソー70%、保土ヶ谷化学30%) 1992/6 東ソー100%、1996吸収合併 |
出光興産 | 千葉工場 | 10,000トン(?) |
なお、PPSは1967年にPhillips PetroleumのEdmondsとHillが、パラジクロルベンゼンと硫化ソーダから合成する方法を発明、1972年Phillips Petroleumにより最初に工業化された。
Phillips(現 Chevron Phillips Chemical)はBorger, Texasの能力を倍増し、20,000トンとしている。
米上下両院は2011年10月12日、韓国及び、コロンビア、パナマとのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。
オバマ大統領の署名で法案が成立し、米側の批准手続きが完了する。
韓国側の批准を待ち、来年1月に発効する見通し。
(韓国野党は、追加交渉で利益の均衡が崩れたとして反対している。与党は履行法案の10月中の処理を目指す)
付記
韓国の国会で11月22日午後、過半数を占める与党・ハンナラ党が米国との自由貿易協定(FTA)の批准案を強行で可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。
これまでの経緯は以下の通り。
2007年4月2日、韓米自由貿易協定(FTA)締結交渉は妥結した。
しかし、米国内で反対が強く、この協定は批准されなかった。
2007/4/4 米韓FTA妥結
2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、米国でもムードが変わった。
争点を話し合うための通産相会議が行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。
2010/11/12 米韓FTA協議、決裂
その後、相互が妥協し、2010年12月3日、追加交渉が妥結した。
米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れた。
韓国は自動車で大きな妥協を行った。
米国での韓国製自動車の関税撤廃ペースを遅らせる。
非関税障壁とされた安全基準、燃費基準でも妥協。
2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結
韓国とEUの自由貿易協定(FTA)は2011年7月1日に発効している。
2010/10/12 韓国とEU、自由貿易協定締結
対米FTAが発効すると、韓国は欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」となる。
韓国は以下の国と地域との間でFTAを締結している。
・欧州:EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドで構成)
・アジア:ASEAN10ヵ国、シンガポール、インド(包括的経済連携協定)
・北南米:米国、チリ、ペルー
日本は、EU、EFTA、米国とは締結しておらず、韓国に大きく差を付けられることとなった。
韓国企業は日本企業に対し、ウォン安とあいまって、EUと米国への輸出でより有利な立場に立つ。
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韓国はいずれのケースでも「コメ」は関税撤廃対象から除外している。
しかし、対米ではコメ以外の農産品の解放幅拡大を受け入れ、国内の農業被害には思い切った補償策を用意した。
一方、自動車安全基準では対EUではEU規格を丸のみ、対米でも米国製自動車の非関税障壁を大幅に緩和した。
2011/10/15 米国予防医療専門委員会、前立腺癌のPSA検査を推奨せず
米国予防医療専門委員会(US Preventive Services Task Force:USPSTF) はこのたび、前立腺癌の検診で使われているPSA検査について、「すべての年齢の男性に対して検査は勧められない」とする勧告案をまとめた。
USPSTFは2008年8月に「75歳以上の人に検査を勧めない」としたが、今回は全年齢に広げた。
2008年の勧告
・現在の証拠では、75歳未満について、PSA検査のメリットとデメリットを評価するには不十分。(Grade:I)
・75歳以上については検査のメリットは小さいかほとんど無し。検査を勧めない。(Grade:D)注)Grade A :メリットが著しく多い。実施すべし。
B :メリットがかなりある。実施すべし。
C :メリットが少ないとの証拠がある。
その患者にとり、やるべきだとの他の判断がある時のみ、実施。
D:メリットがないか、デメリットの方が多い。実施反対。
I :現在の証拠では判断不能。
勧告を読み、メリットがあるかどうか不明であることを理解してから判断すること。今回は全年齢でGrade:Dとした。
USPSTFは2009年11月に、40歳代の女性に対する乳房X線撮影装置(マンモグラフィ)を用いた乳がん検診で意見を変更している。
それまでは「40歳以上の女性に対して、マンモグラフィを用いた乳がん検診の1〜2年に1回の受診を推奨する」(Grade B)としていたが、
「40歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」(Grade C)に変更した。
癌ではなかった人に対する不必要な検査や、放置しても臨床的に問題にならない癌に対する治療等 のデメリットが存在し、利益と不利益を比べた場合に50歳代以上の女性と比較して、40歳代では利益が不利益を上回る度合いが小さいとした。
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PSA (Prostate-specific antigen)は前立腺特異抗原と呼ばれるセリン蛋白分解酵素で、本来は、前立腺から精漿中に分泌され精子が体外に放出される時に精漿中のゼリー化成分である蛋白を分解して精子の運動性を高める役割を果たす。
健常男性であれば、血液中にPSAが浸出することは非常に稀(0.1 ng/mL以下と非常に低濃度)だが、前立腺に疾患があると血液中にもPSAが浸出し、4.0 ng/mLと40倍もの濃度となる。
但し、PSA 4〜10 ng/mLの場合でも、前立腺肥大症の場合と前立腺癌の場合が混在する。
癌でない場合は蛋白と結合していない遊離型PSAが多いことから、遊離型の比率(F/T比)を検査することで、前立腺癌の確率を推定できる。
PSAが高値となった場合は、前立腺触診、前立腺超音波検査などを行い、癌が疑われる場合は、生検にて確定診断を行う。
USPSTFは、これまでに実施された5つの大規模臨床試験の結果を分析した結果、 年齢や人種、家族歴にかかわらず、PSA検査をした場合に、しなかった場合と比較して、死亡率を下げるとの証拠は見いだせなかったと結論づけた。
検査により癌死を防ぐメリットよりも、死に至らない癌を手術することによる深刻な副作用のデメリットの方が大きいとしている。
ただ、自覚症状があったり、前立腺がんが強く疑われたりする場合は別としている。
上記の通り、高いPSA値は癌以外の理由でも生じる。調査の結果、PSA検査で誤った診断や害のない癌を治療したケースが多く見つかった。
治療(主に手術や放射線治療)により、勃起障害や尿漏れなどの後遺症が残る人もいる。
前立腺癌と指摘され、自殺や心臓麻痺死のリスクが倍増したとの調査もある。
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2010年3月に、約40年前にこの検査法を開発した米アリゾナ大学のRichard Ablin教授がNew York Timesに寄稿し、この検査法の有用性は小さく、保険財政を圧迫していると指摘した。
米国人男性のうち前立腺がんと診断される割合は16%だが、その大部分は進行が遅く、死に至るのはわずか3%だという。
教授はまた、PSAの年間費用は少なくとも30億ドルにのぼっていると指摘している。
American Cancer Societyも、2009年に米医学誌 New England Journal of Medicineに掲載された2つの研究の予備的な結果を受け、PSAのリスクと限界について患者に説明するよう医師たちに強く呼びかけている。
同協会によると、PSAは治療介入が必要な進行の早いがんと進行の遅い腫瘍を区別することができない。
さらに、PSAでは誤診の可能性もあるという。患者の年齢とともに前立腺が自然に肥大した場合も値が上がる。同協会によると、200万人以上の米人男性が前立腺癌と診断されるが、今も生存している。
これに対し、検査が有用とする意見も多い。
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国内では、日本泌尿器科学会がPSA検査を推奨するが、厚生労働省の研究班は、効果を判断する根拠が不十分などとして、集団検診には勧めないとの報告をまとめている。
東京都でも健康診断の対象にする区と、しない区がある。
総務省統計局によると、PSA健診対象といわれている50歳以上の男性は日本全国で2,400万人、これは総人口の約40%に当たるが、このうち、2005年時点で、PSA健診を受診した人は、5%にも満たないという。
70〜80%の対象人口が既に受診をしている欧米各国とは大きな隔たりをみせている。
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