ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は  http://blog.knak.jp


2013/3/1  Sinopec、米国でChesapeake Energyの石油・天然ガス開発に参加

SinopecとChesapeake Energyは2月25日、SinopecがChesapeake Energyの持つオクラホマ州北部のMississippi 石灰層(Lime play)の石油・天然ガスの85万エーカーのリース権の50%を購入する契約を締結したと発表した。

付記 Sinopecは6月29日、購入完了を発表した。

対価は現金10.2億ドルで、契約成立時に約93%を支払う。

同リースでの生産量は2012年第4四半期で原油換算で日量34千バレルで、確認埋蔵量は約140百万バレル。

今後の開発費用は折半負担で、Chesapeake がJVの操業、販売の全業務を担当する。


 

Sinopecは2012年1月、独立系石油会社Devon Energyの5つの新しいシェール鉱区の権利の1/3を22億ドルで取得する契約を締結している。

対象となるのは次の5つ。
  
Tuscaloosa Marine Shale 
  Niobrara 
  Mississippian:デボン紀後半~ミシシッピ紀(石炭紀)前半の地層
  Ohio Utica Shale 
  
Michigan Basin 

2012/1/9 PetroChina、カナダのオイルサンド権益を100%にアップ、Sinopecは米のシェールガスの権益取得

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Chesapeake Energyについては、2012/5/9   Chesapeake Energyの混乱

同社の主な活動地域は下記の通り。今回のMississippi Lime playはAnadarko Basin にある。

このうち、Eagle Ford Shale については中国のCNOOCが60万エーカーのリース権益の33.3%を購入している。

2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加

日揮は2011年6月、Chesapeake Energyからテキサス州 Eagle Ford シェールの権益の10%を65百万ドルで譲り受けた。

BHP Billitonは、Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

 


2013/3/2  中国、中国酒メーカーに価格カルテルで罰金

国家発展改革委員会は2月22日、中国酒のトップメーカーの四川省のWuliangye (五粮液) と貴州省のKweichew Moutai (州茅台)に対し、価格カルテルで総額449百万元(71.4百万ドル)の罰金を課した。五粮液は202百万元、貴州茅台は247百万元。

発表では、両社は独占契約を結んでいる卸業者に対し、酒類の販売最低価格を決めていたという。

2008年に中国の独禁法が施行されて以来、最高額の罰金となる。

中国国家発展改革委員会(NDRC)2011年11月独禁法違反で製薬会社2社に合計で約110万ドルの罰金を科した。

2011/11/18 中国が価格カルテルを摘発

2013年1月4日にNDRCはLG電子、サムスン電子など韓国、台湾の液晶メーカー6社に対し、総額353百万人民元の制裁金(うち144百万元が罰金を科したが、これは独禁法施行前の事案のため、価格法に基づいており、制裁金の額は低くなっている。

2013/1/9  中国政府、価格カルテルで外資に制裁金
 

関係者は、両社は国営企業であり、今回の措置は、政府が独禁法に関しては例外を設けないということを示していると述べている。
但し、この罰金は昨年の両社の売上高の1%に過ぎず、独禁法では最高10%まで有り得ることから、かなり軽いとみている。

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茅台(マオタイ)は高粱を主な原料とする蒸留酒で、産地の貴州茅台鎮から命名された。

五粮液高粱、糯米、粳米、とうもろこし、小麦の5つを原料にしているため、そう呼ばれている。

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中国では習近平総書記が、政府や党幹部の腐敗一掃に向け「倹約令」を指示し、役人を接待し高級酒で春節を祝う宴会の自粛が全国に広がった
役人の接待などの宴会用に茅台酒を毎年、大量に買っていた企業関係者の購入がぱたっと止まった」という

このため、春節(旧正月)を迎え茅台酒をはじめとする高級酒の価格が急落する異変が起きている。
高級とされる茅台酒は、2300元(約3万円)の商品が現在は1800~1900元(約2万3400~2万4700円)にまで値下がりしており、中には1600元(約2万800円)で販売している店もあるという。
しかし、価格が下がっても個人で買う人は少なく、売れ行きはさっぱりだという。

そのなかでの罰金で、両社にとってはダブルパンチとなる。


2013/3/4  Dow Chemicalの節税策に違法の判決 

ルイジアナ州Baton Rougeの連邦裁判所は2月25日、Dow Chemicalが約10億ドルの節税を行った2つのタックスシェルター行為を否認したうえ、20%の罰金を科した。

1つ(Chemtech I )は1990年代にGoldman SachsとKing & Spalding法律事務所が考案したもので、SLIPS(Special Limited Investment Partnerships)と呼ばれる。多国籍企業が海外の銀行とパートナーシップをつくり、所得控除を作り出すもの。

Dowの場合、1993年から1997年の間に、自社の特許を使用するために、スイスの欧州本部がつくったパートナーシップに特許料を支払い、費用に落とした。

もう一つ(Chemtech)はKing & Spalding法律事務所が考案したもので、パートナーシップを利用して、既に償却済みの化学工場の償却費を再度落とした。
1998年から2003年の間に利用された。

いずれの場合も、パートナーシップの収益はタックスヘイブンでの所得となり、Dowには課税されない。

これらは、通常は絶対に結び付けられることのない税法の無関係ないろいろな規定同士を繋ぎ合わせ、理屈を作り上げたもので、これを使えば何度も費用に落とせることとなる。
これまでも国税庁はこれと争い、多くの勝利を得ている。このため、現在ではこれらの案は販売されていない。

裁判長は、正当な事業目的ではなく、税法の抜け穴を利用する計画で得られた見せかけの税効果を否認する政府の行動は正しいと判断した。税法が扱うのは経済実態であり、法律の抽象的概念ではないとし、真面目な人ならこんな計画で得られたみせかけの税効果は旨過ぎる話( “too good to be true”)と考える筈であり、罰金は当然だとした。

また、Dowは税務部門をプロフィットセンターと見ており、多数の弁護士や税の専門家を思うままに使っていると述べた。

司法省の税部門はこの判決を高く評価し、大企業が税法を悪用して多額の税控除を受けるのは真面目な納税者を侮辱するものだと述べた。

Dowではこの決定に失望したとし、事実や法の規定に反するとして、控訴を含め、いろんな案を検討していると述べた。
問題の金額は1993~2003年の期間に既に仮払しているため、影響は小さいとしている。


2013/3/5   ユーロ圏の不安、PIIGS からFISHに拡大 

イタリア総選挙の結果、下院では中道左派が過半数を獲得したものの、上院では過半数を得られなかったため、ユーロ危機が再燃するとの懸念が高まった。

PIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)に対する不安はまだ解消していない。

その中で、2013年2月15日付 英Financial Times は、ユーロ圏の中核諸国の基本的な成長展望に関する長期的な強い不安感から、PIIGSだけでなく、FISH(フランス、イタリア、スペイン、オランダ)が問題になっていると報じている。

主要国のなかで、これら4国はユーロ高と不況に悩んでおり、ドイツの独り勝ちとなっている。

2013年2月に発表されたEU各国の経済数値の予測では、以下の通りとなっている。

1)GDP:2012-13年はフランスがほぼゼロ、イタリア、スペイン、オランダはマイナス。

2)失業率:ドイツ、オランダ以外は10%超、スペインの失業率が高い。

3)財政赤字:ドイツ以外は全て赤字、特にスペインの赤字が大きい。

Morgan Stanley は2月4日のReport “Strategy and Economics”で、通貨ユーロの分析を行っている。

消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)を組み合わせたPurchasing Power Parity (PPP) による計算では、1ユーロは1.33米ドルとなり、現状の1.304ドルとほぼ近い。

Morgan Stanleyではユーロ各国それぞれのユーロの適正価値を、相対的な成長率、賃金コスト、輸出成長率という3つの指標を使って推定した。

それによると、以下の通りで、ドイツとアイルランド、オーストリアの3国以外は全体平均の1.33ドルを下回っている。(各国にとりユーロは過大評価となっている。)

ドイツは1.53ドルで13,2%の過小評価だが、FISH各国はそれぞれ、7.8%、12.1%、5.4%、9.1%の過大評価となっている。

現在のレートでは、ドイツはユーロ安の恩恵を大きく受けているが、逆に、他のFISH諸国はユーロ高で苦しんでいることが分かる。

このままでは格差は更に広がることとなり、現在PIIGSで進めている財政赤字削減策だけでは問題は解決できない。

なお、Paul Krugmanは "End this depression now" のPaperback版の序文で、IMF、欧州中央銀行とECのトロイカがギリシャなどに要求している緊縮策は最悪で、患者を殺す処方だとしている。


2013/3/6     太陽電池素材事業、苦境に

太陽電池バブルの崩壊で、欧米や中国で倒産が相次いでいる。

2012/4/6 太陽電池大手 Q-Cells 破綻

米国とEUは中国品について反ダンピング調査を行っている。中国もこれらに対抗している。
(EUは中国製の太陽光パネルの反ダンピング調査に加え、2月28日に太陽光発電用ガラスの反ダンピング調査も開始した。)

2012/11/14 太陽光パネルを巡る貿易戦争 

このなかで、日本の太陽電池素材事業も苦境に陥っている。

1)新日本ソーラーシステム

JNC(チッソの事業継承会社)、JX日鉱日石金属、東邦チタニウムの3社は2月28日、太陽光発電用途ポリシリコン事業から撤退すると発表した。

3社は共同で開発した独自の亜鉛還元法(JSS法)による太陽光発電用途ポリシリコンの製造のため2008年6月に「新日本ソーラーシリコン」を設立し、鹿島工場で品質及び量産技術の確立に取り組んできた。

この技術は、3社がそれぞれ有する固有技術を融合させたもので、次の利点を持つ。

太陽光発電用途ポリシリコン市場で主流のシーメンス法と同じ塩化法によるもので、太陽光発電用途に十分な性能である8N~9N(99.999999~99.999999%)の高純度ポリシリコンを生産することができる。

シーメンス法に比べ、四塩化珪素(SiCl4)を原料とするため、反応効率がよく、加えて未反応の四塩化珪素の再利用が容易であることから、低コストである。

新日本ソーラーシリコンの概要は以下の通り。
 出資:JNC(チッソ) 50%、
JX日鉱日石金属
30%、東邦チタニウム 20%
 工場:鹿島コンビナート奥野谷浜工場団地内
 生産計画:
   第一期 年産400トン(1系列) 2010年上期予定
   第二期 年産3,000トン 
   総投資額(第1期、第2期合計) 約240億円

同社では、太陽電池の原料となるポリシリコンの需要は引き続き大幅な伸張が予想されるとし、高品質・低コストの太陽光発電用途ポリシリコンを安定的に供給していくとし、将来的には、年産1万トン規模の生産体制の構築を視野に入れていた。

しかし、その後の市場環境の悪化を受け、稼働開始時期を決めかねていたが、ポリシリコンが世界的に供給過剰が続く見通しから、撤退を決めた。

東邦チタニウムでは28億円の特別損失を見込んでいる。

2)トクヤマ

トクヤマは2月27日、295億円の減損損失を計上すると発表した。

多結晶シリコンは2012年3月期以降、市況が急激に悪化し、厳しい状況が続いており、将来のキャッシュフローが見込めないため、徳山製造所の多結晶シリコンと併産品の乾式シリカ設備を全額減損処理(275億円)し、合わせて、多結晶シリコン用原材料について20億円の 評価損を計上する。

同社によると、半導体用も含めたシリコンの需給は下記の通りで、主要メーカーの供給能力が需要を上回っている上に、その他メーカーの大きな供給能力が上乗せされ、合計能力は需要の2倍にも及ぶ状況である。

同社の営業損益の推移は下記の通り。
2010年3月以降、セグメントの組み換えがあり、その前後で直接は対応しないが、特殊品の損益の大半はシリコン関係である。

2008年3月期には特殊品の営業損益は300億円程度もあったのが、2013年3月期予想では20億円の赤字となる。

トクヤマは2009年8月に、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけてに太陽電池向け多結晶シリコンの年産6000トンの大型プラント建設を決めたと発表した。

同社は徳山製造所で半導体用途を中心に多結晶シリコンの製造をしているが、太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面からの第二拠点として進出を決めた。2011年初めに着工し、2013年9月の営業運転開始を目指すとした。

2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。(投資額 1,000億円、累計 1,800億円)
2012年2月に建設を開始、その後、当初の2015年1月営業運転開始予定を9か月前倒しした。

合わせて徳山製造所の能力を2013年春完成で1,800トンアップし、11,000トンとした。

全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。

 

上記の通り、現状は大幅な供給過剰となっているが、同社では、中長期的には需要拡大と競争力のないメーカーの生産停止等で、需給ギャップは徐々に縮小し、2015年頃には需要と主要メーカー供給能力はバランスすると予測している。

そのため、マレーシアの第一期(半導体向け主体)は2013年6月に営業運転開始とし、第二期(太陽電池向け)については2015年4月に営業運転を開始して、早期にフル生産を目指す。
徳山製造所はマレーシアの半導体向けの認定取得に応じ、生産量を徐々に縮小する。

この予測が当たるかどうかは分からないが、仮に当たっても、潜在的な供給能力は大きいため値上げは難しく、採算的には苦しい状況が続くと思われる。

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シリコンがこのように状況になることは、数年前までは考えられなかった。

2011年9月に倒産した米国の太陽電池メーカーのSolyndra は、高価なシリコンの代わりに、光吸収層の材料として銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などを用いたCIGS型太陽電池を事業化した。

米国のエネルギー革新のモデル企業とされ、
2009年にオバマ大統領の「Green New Deal」政策の一環として535百万ドルの融資保証を受け、2011年5月にはObama大統領も訪問した。

しかし、たった4年で、新しいポリシリコン製造工場への投資が増え、シリコン価格はkg当たり400ドルから20ドルにまで下がり、その恩恵を受けられずに同社は倒産した。

2012/10/19 倒産した米太陽電池メーカーSolyndra、中国の太陽電池企業を独禁法違反で訴え

液晶関連事業もあっという間に状況が激変した。

世界中のいろんな分野の企業が新規成長分野に競って参入することとなったため、今後もこのような事態は発生すると思われる。


2013/3/6     速報 NYダウ、史上最高値更新 

3月5日のニューヨーク株式市場は、アメリカの景気や企業業績の回復への期待を背景に、取引開始直後から多くの銘柄に買い注文が広がり、ダウ平均は史上最高値を更新した。

ダウ平均は一時 14.286.37ドルをつけ、過去最高の2007年10月11日の 14,198.10ドルを5年5か月ぶりに更新した。終値も 14,253.77ドルとなり、2007年10月9日の14,164.53ドルを更新した。

先週から高値が続いていた。

     終値    一時  
過去最高  14,164.53
(2007/10/9)
   14,198.10
 (2007/10/11)
 
       
2/27  14,075.37    
28  14,054.49    
3/1  14,089.66    
4  14,127.82    
5  14,253.77    14,286.37  
       

付記 その後も14日まで、最高値更新が続いた。

  終値 一時  
3/6 14,296.24 14,320.65  
7 14,329.49 14,354.69  
8 14,397.07 14,413.17  
11 14,447.29 14,448.06  
12 14,450.06 14,478.08  
13 14,455.28    
14 14,539.14 14,539.29  

これに対し、3月5日の東京株式市場では、日経平均株価は11,683円45銭となり、2008年9月29日(11,743円61銭)以来、約4年5カ月ぶりの高値を付けた。(レーマンショック前の2007年の最高値 18,300円39銭にははるかに及ばない。)

しかし池田信夫ブログは、「最近の日経平均の動きは為替に比べても上ぶれしており、これは日本経済の実態を反映しないバブルである」としている。

「今まで日本株は出遅れていたので水準訂正するのは理解できるが、日経平均はPERでみると25倍を超えており、NYダウ(12倍)や(ロンドン市場の)FT100(11倍)の2倍以上である。」

 


2013/3/7   石油資源開発、カナダのシェールガス開発計画及びLNG計画に参画 

石油資源開発(JAPEX)は3月4日、マレーシアの国営石油会社 Petronasとの間で、Petronasが推進するカナダBritish Columbia 州でのシェールガス開発・生産プロジェクトおよび同州西海岸で検討中のLNGプロジェクトに参画することで基本合意したと発表した。

同州North Montney地域におけるシェールガス鉱区の10%権益を取得するとともに、同州西海岸におけるPacific Northwest LNG Project(生産量1,200万トン/年)の10%権益と同権益比率相当のLNG(120万トン/年)を引き取る権利を併せて取得する予定。

石油資源開Petronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を開発している。

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

海外事業シフトを進める石油資源開発と、日本向けのLNG販路を確保したいPetronasの思惑が一致した。

計画概要は以下の通り。

1)シェールガス鉱区

North Montney地域のAltares、Lily、Kahta鉱区。
現在、Petronasが天然ガスを生産し、AECOハブ(西カナダの主要ガス市場)で販売中。

2)LNG計画

Prince Rupert 市のLelu島で年1,200万トンプラントを計画しており、2018年末に生産開始の予定。
上記の鉱区からガスパイプラインで結ぶ。

ーーー

Petronasは2011年6月2日、カナダのProgress Energy Resources Corporation との間で、British Columbia州のNorth Montney地域のAltares、Lily、Kahtaのシェール鉱区の権益の50%を10.7億カナダドルで取得する契約を締結した。Progressが運営する。
これはPetronasにとってカナダへの初進出となる。

上記に加え、LNG輸出計画も合意した。これは西海岸にLNG基地を建設、運営するもので、Petronasが80%、Progressが20%出資し、Petronasが運営を担当、Petronasの世界のLNG市場の需要家ネットワークを使い、共同でLNGを輸出するもの。


その後2012年6月に、PetronasはProgressを55億カナダドルで買収することで合意した。

しかしカナダ政府は2012年10月、カナダにとって“net benefit”でないとして、買収不承認を決めた。

これに対し(Bloomberg Newsによると)、マレーシアのRazak首相がカナダのHarper首相に親書を送り、Petronasが今後30年にわたり、Progressの事業に680億~700億ドルを投資すると伝え、マレーシア政府はPetronasの意思決定や事業に関与しないとして、買収の承認を求めた。

カナダ政府は2012年12月7日、中国海洋石油(CNOOC)によるNexen買収と、PetronasによるProgress Energy Resources の買収を承認した。

CNOOCによるNexen買収は、カナダの承認の後、2013年2月12日に米政府の外国投資委員会から承認を受け、2月26日に買収を完了した。

承認に当たり、カナダのHarper首相は以下の通り述べた。

カナダは事業を解放しているが、これはカナダを外国政府に売り渡すということではない。(We do not mean that Canada is for sale to foreign governments.)

一連の外国の国営企業による大規模な買収で、産業が自由市場産業から外国政府の管理下の産業に変換する恐れがある。

カナダ政府は、これ以上の外国政府管理下のオイルサンド開発はカナダの利益にならないところまで来たと考える。

この決定を受け、Petronasは12月12日、Progress Energy の買収を完了した。

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カナダ西海岸のアジア向けLNG輸出計画については 
  2013/2/1    出光興産とAltaGas、カナダ産LNG、LPGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結
 


2013/3/8 EU、ENIの合成ゴムカルテル罰金でEU普通裁判所の判決を覆す 

EUは3月5日、ENIに対し、合成ゴムカルテルでEU普通裁判所が認めなかった重犯理由の罰金50%増しを行い、追加で90.75百万ユーロを科す旨の通告を行った。

 

欧州委員会は2006年11月、ブタジエンゴム(BR)とエマルジョンSBR(ESBR)の価格カルテルで合成ゴムメーカー5社に519百万ユーロの罰金支払いを命じた。
1996年から2002年までの間、価格カルテルを結んでいた。ESBRは全社が、BR は Eni, Bayer, Shell、Dowが生産していた。

罰金の内訳は以下の通り。

  社名・国 減免率
   %
減免額
     euros
罰金
     euros
2011/7
General Court
1. Bayer, Germany    100   204,187,500         0  
2. Dow, USA     40    43,050,000    64,575,000  
3. Eni, Italy     0         0   272,250,000 181,500,000
4. Shell, Netherlands     0         0   160,875,000  
5. Unipetrol, Czech Republic     0         0    17,550,000 0
6. Trade-Stomil, Poland     0         0     3,800,000  
  TOTAL     247,237,500   519,050,000  
 

2006/12/5 EC、合成ゴム価格カルテルで5社に約800億円の罰金支払い命令

Eniについては、Eniと子会社のVersalis S.p.A.(当時はPolimeri Europa )の行為が対象となり、以下の2つの前科があるため、重犯として50%(90.75百万ユーロ)増しとなっている。

1986年のPPカルテル:Anicが摘発された。
1994年のPVC
Ⅱカルテル:Enichemが摘発された。

しかし、EU普通裁判所(General Court )は2011年7月13日、同一主体が違反行為を繰り返したという十分な証拠を出していないとして、50%増し分の罰金を減額する判決を行った。
(チェコの
Unipetrolについては、カルテル参加の証拠が不十分として罰金を取り消した。)

今回、EUは普通裁判所の指摘した問題点を正すため、異議申立書のなかで以下の点を明らかにした。

Eniは上記2つのカルテルの時点で、AnicとEnichemの株式をほぼ100%所有していた。
Anicはその後 Enichemに引き継がれ、そのEnichemはその後Versalisに引き継がれた。
このため、EniとVersalisの合成ゴムカルテル参加は重犯になり、罰金は50%増しとなる。

こんな簡単なことを、裁判の過程で説明できず、しかも判決から1年半もかかったのは、何故だろうか?

ーーー

欧州委員会は2007年12月、クロロプレンゴムの市場棲み分けと価格操作を理由に5社に総額 243.2百万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。制裁金支払いを命じられたのは、バイエル、電気化学、旧DuPont Dow Elastomers、ENI、東ソーの5社。

1993年から2002年の間、各社はクロロプレンゴムの市場棲み分けと価格操作を行なったというもの。
Bayerからの情報提供で、2003年3月と7月に各社に立ち入り調査を行なった。

各社の罰金は以下の通り。(単位:千ユーロ)

  本来の制裁金 減額 実際の制裁金
Bayer     201,000  100%        0
東ソー        9,600   50%     4,800
DuPont/Dow
(うちDow) 
    79,000
    (60,475)
  25%     59,250
    (44,250)
Dow  

25%

4,425

ENI      132,160      132,160
電気化学      47,000       47,000
合計        247,635

EU普通裁判所は2012年12月17日、Eniへの制裁金を106.2百万ユーロに減額した。理由は「当事者からの要請」で明らかにしていない。
前年のカルテルがあるため、重犯での割増には異論はない筈で、別の理由と思われる。

2007/12/11 欧州委員会、クロロプレンゴムのカルテルで 243.2 百万ユーロの制裁金


2013/3/9  SABIC/Sinopec のTrinidad and Tobagoメタノール計画 取り止め 

SABICは3月3日、同社とSinopecが共同で計画していたTrinidad and Tobagoでのメタノール計画を取り止めると発表した。

同国政府との間で原料の天然ガスの価格と供給条件で合意に達せず、交渉を中止することで合意したとしており、SABICとSinopec側は状況が変われば交渉を再開したいとしている。

同国政府は、この計画は、天然ガスを原料に、メタノールから更にメタノール誘導品、Methano--to-Olefinsによるポリエチレン、ポリプロピレンまでを含む一連の計画の中枢の計画であるとし、計画遂行のため他のパートナーを探したいとしている。

入札の第二位はNational Gas Companyであった。

他の参加者には以下の各社がある。
 Celanese
 Methanol Holdings Trinidad Ltd (MHTL)
 Integrated Chemicals  (ICCL:米国):三菱ガス化学、Neal and Massy of Trinidad and Tobagoと提携
 Saudi International Petrochemical (SipchemとJapan-Arabia MethanolのJV):三井物産、ダイセルと提携

ーーー

2012年2月、SABICとSinopecは共同で53億ドルを投じてTrinidad and Tobagoでメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。両社は他の各社も入った入札で一番札となった。

SABICとSinopecは2012年1月14日、新規事業開発に関する協力覚書を締結している。

具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じている。同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。

2012/2/15  SABIC/Sinopec のTrinidad and Tobagoメタノール計画

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当時、本計画の入札の透明性についてTrinidad and Tobago で論争が起きていた。野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかったと述べ、交渉内容を明らかにするよう求めた。

米大使は政府に書簡を送り、米国企業などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表した。日本大使館も懸念を表する書簡を送ったとされる。

もう一つの問題は原料の天然ガスの価格の大幅値引きである。
SABICはNYMEXでの天然ガス価格が当時 100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられている。
これは第二位の
National Gas Companyの求める価格より36%低いもので、国内メーカーよりも極端に安い価格を外国企業に認めるのはおかしいとの声が出ていた。

計画によれば日量225百万立方フィートの天然ガスが必要だが、SABIC/Sinopec側は政府が十分な量の天然ガスを供給できるのか疑問を持ったとされる。


2013/3/11 菱ケミカルホールディングス、中期経営計画を下方修正  

三菱ケミカルホールディングスは3月5日、中期経営計画APTSIS 15(2013年度-2015年度)の説明会を開いた。

2012年度(2013年3月期)見通しがAPTSIS 15の当初計画に対し大幅なギャップを生じていることを勘案し、「基本戦略は変更しないが、実行可能な目標を再設定する」とし、2015年度(2016年3月期)の営業損益予想を大幅に下方修正した。

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同社は2008年5月、2008年度-2010年度の新中期経営計画 APTSIS 10の策定 を発表した。

APTSISは、強い企業体として持続的成長を遂げるために欠かすことのできない6つの要素 であるAgility、Principle、Transparency、Sense of Survival、Internationalization、Safety, security and sustainabilityの頭文字からとった。

同社は2010年3月に三菱レイヨンを子会社化し、2010年10月1日に完全子会社化したが、これを折り込み、同年12月に、2011年度から2015年度を対象とする新中期経営計画「APTSIS 15」を策定した。

この時点の2010年度の営業損益予想は三菱レイヨンの連結効果もあり、前年度実績の663億円を著しく上回る2,030億円であったが、2015年度の営業損益を、機能商品とヘルスケア分野でのアライアンスとM&Aによる「飛躍」の利益 700億円を含んで、4,000億円とした。

2010年度の営業損益実績は2,265億円と予想を更に上回ったが、翌2011年度は 特に素材部門が大幅な減益となり、1,306億円に減少した。

2012年度は業績は更に悪化し、現時点での予想ではAPTSIS 15での目標の2,300億円に対し、1,000億円まで減少すると見込まれている。

主な問題点は以下の通り。

素材(テレフタル酸、ポリオレフィン、フェノール・PCチェーン等):
  景気後退による市況低迷、中国を含む新興国の過剰投資による需給バランス悪化

グリーンエネルギー(LiB、LED関係、炭素繊維・複合材料等):
  市場の立ち上がり遅延、過剰投資による需給バランス悪化

フラットパネルディスプレイ関連(OPLフィルム、PETフィルム、PMMA導光板等):
  欧州景気低迷や中国成長鈍化、ニーズ変化に伴う市場縮小

これを受け、今回、基本戦略は変更しないが、目標と事業管理手法を見直すこととした。

自助努力による改善を重視、セグメントごとに実行可能な目標を再設定した。
機能商品とヘルスケア分野でのアライアンスとM&Aによる「飛躍」も、700億円から200億円に減らした。

なお、前提条件を一部変更した。
 ナフサ価格(2013~2015年度):55,000円/kl65,000円/kl
 為替レート:80円/$→90円/$

セグメント別営業損益対比は以下の通り。

  2010/3 2011/3 2012/3   2013/3   2016/3
実績 実績 実績 計画 予想 差異 計画 見直し 差異
機能商品 エレクトロニクス
アプリケーションズ
-14 10 -53 120 -40 -160 300 50 -250
デザインド
マテリアルズ
133 365 240 540 240 -300 1,000 800 -200
ヘルスケア 710 851 764 790 770 -20 1,200 1,100 -100
素材 ケミカルズ 69 530 149 350 20 -330 350 250 -100
ポリマーズ -225 550 254 480 10 -470 700 350 -350
その 62 45 61 70 75 5 100 100 0
全社 -73 -86 -108 -50 -75 -25 -50 -50 0
Contingency
(安全をみたもの)
            -300   300
飛躍 (アライアンス + M&A)             700 200 -500
合計 663 2,265 1,306 2,300 1,000 -1,300 4,000 2,800 -1,200
 
当初のAPTSIS 15
 
今回見直し

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化学業界とその周辺を取り巻く状況は大きく変わりつつある。

「素材」分野では、海外では中東で依然として設備新設が盛んである。

従来の計画と異なるのは、これらでは汎用品だけでなく、最新技術を入れた高付加価値製品が生産されることである。
これまで安泰であった製品も今後はそうではなくなる。

さらにシェール革命を受けて、米国の天然ガス価格が大幅に下落し、米国の石油化学産業が大々的に復活しつつある。

2012/12/25      2012年 回顧と展望

「機能商品」分野では、液晶関連や太陽光発電(太陽電池、シリコンなど)のように、世界中のいろんな分野の企業が新規成長分野に競って参入することとなったため、状況は短期間で 激変する。

「ヘルスケア」分野でも世界のトップメーカーによる生き残り競争が熾烈である。

今後もこれまでは考えられなかった状況変化が起こり得ると思われる。


2013/3/12   BASF、新疆美克化工とBDOとPolyTHFのJV 

BASFと新疆美克化工(Xinjiang Markor Chemical Industry )は3月5日、新疆ウイグル自治区の庫爾勒 (Korla) でブタンジオール(BDO)とポリテトラヒドロフラン(PTMG、商品名polyTHF)を製造する2つのJVを設立すると発表した。

2015年に生産開始する予定で、能力はBDOが年産10万トン、polyTHFは年産5万トン。

PolyTHF はスパンデックスやポリウレタンの原料。BDOはTHF用の他に、エンプラのPBTやポリウレタン、溶剤などに使われる。

新疆美克化工はMarkor Investment Groupの子会社で、庫爾勒周辺の天然ガスを利用し、アセチレン、メタノール、 ホルムアルデヒド、BDO、THFを製造販売している。

同社のBDOは第一期が6万トンで2008年5月にスタート、第二期10万トンが最近完成した。合計能力16万トンは中国最大。

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BASF の現在のBDOの合計生産能力は535千トンで、ドイツ Ludwigshafen、米国 Geismar、上海 Caojing、マレーシア Kuantan、千葉の5工場で生産している。
PolyTHFの生産能力は 250千トンで、Ludwigshafen、Geismar、上海 Caojing、韓国蔚山で生産している。

付記 BASFは2013年7月、能力増強を発表した。
      BDOを535千トンから650千トンに、PolyTHF を250千トンから350千トンにする。
            ①上記の
庫爾勒のJVでBDOを100千トン、PolyTHFを50千トン生産。
     ②手直し増設 
Geismar, LouisianaでのBDO、Caojing, ChinaのPolyTHF

  BDO THF PolyTHF  
Ulsan (Korea) X X 三菱化学のブタジエン法BDOTHFの技術
→2009年停止
 2009/1/20 BASF、韓国のBDO、THFプラントを永久停止
Ludwigshafen (Germany)  
Feluy (Belgium) X     2005年停止
Geismar (USA)  
Caojing (China) 当初、BDOを経由せず、ブタンTHFプロセス
 
2007/10/18 BASF、上海でのTHF製造再開
Kuantan (Malaysia)   BASF Petronas
千葉     BASF千葉:BASF 67%(当初は50/50の出光BASF
四日市   X X BASFジャパン、2006年停止

永久停止した蔚山工場は三菱化学のブタジエン法BDOプロセスのライセンスを受け、三菱化学がTHFを一部引き取る契約を結んでいた。
(ブタジエンをパラジウム触媒と酢酸で 1,4-ジアセトキシ化した後、還元、加水分解するもの)

上海
Caojing 工場では、当初はBASFが新たに開発したブタンから直接THFを生産 (BDO工程を省略)するという独自の技術を初めて採用することとした。
しかし、THF プラントは「技術的理由」で停止し、プラントを塩漬けした。

同社はその後、
無水マレイン酸とBDOの設備を追加し、生産を再開した。

他の工場では、アセチレンとホルムアルデヒドからBDOを生産するプロセスを使用している。
今回のBASFのJVも同様と思われる。

参考 

サウジでは Sipchem がマジョリティのInternational Diol Company が無水マレイン酸からBDO、THFを生産している。

2008/2/29 サウジ Sipchem の石油化学計画

 


2013/3/13 Lanxess、ブラジルの乳化重合法SBRプラントを溶液重合法に転換

Lanxessは3月4日、グリーンタイヤ(省燃費型高性能タイヤ)の需要増大に対応するため、ブラジル Triunfo工場(Rio Grande do Sul 州)の乳化重合法SBR(e-SBR)プラントを溶液重合法(s-SBR)に 転換すると発表した。

能力は現在と同じ年産11万トンで、2014年末にスタートする。投資額は8千万ユーロ。

e-SBRについてはDuque de Caxias工場(Rio de Janeiro 州)で引き続き生産し、ブラジル市場に供給する。

Lanxess は2007年にブラジルのBraskem とUnipar などからブラジルの合成ゴムメーカー Petroflex の株式の70%を購入、2008年に残りの株式についてTOBを行い、100%子会社化した。

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EUのタイヤの「ラベリング(表示)制度」導入や燃費規制で、グリーンタイヤの需要が増えている。
Lanxessではグリーンタイヤ用の高機能ゴムの需要は2017年まで年率10%程度伸びると予想しており、ブラジルでもタイヤのラべリング制度が2016年下期に始まる予定であることから、既存プラントの転換を決めた。

日本の各社も s-SBRプラントを新設している。

2010/12/27 溶液重合法SBRの増設相次ぐ

タイヤラベリング制度で省燃費のため「転がり抵抗」と「ウェットグリップ」が問題とされるが、Lanxessによれば、Nd-PBRはこれに加え、需要家の求める耐久性でs-SBRを上回る。

Lanxessは各地でs-SBRや同じく高機能のネオジウム触媒ポリプタジエンゴム (Nd-PBR)の増設を行い、シンガポールでは年産14万トンのNd-PBRプラントを新設中である。 今回、更にs-SBRを11万トン追加することとなる。

2011/6/6 Lanxess、シンガポールでポリブタジエンゴムを生産 

同社は現在、ドイツ(Dormagen)、ブラジル(Cabo)、フランス(Port Jerome)、米国(テキサス州Orange)の工場でNd−PBRを製造している。

同社は2010年3月に、上記の4拠点で2012年第1 四半期までに年間計5 万トン(うちテキサスで2万トン)の追加増産を発表した。
同時にSSBRでの手直し増強を行っている。

NKNK(Nizhnekamskneftekhim) はロシアの化学会社
Sythos S.A.はポーランドの化学会社
KKPCは韓国のKumho Petrochemical(錦湖石化)の略称
SIBUR Group はGAZPROMが100%出資するロシア最大の垂直統合石油化学会社
Polimeri EuropaはENI 100%
Karbochem (Pty) Ltd は南アの合成ゴムメーカー


2013/3/14 メタンハイドレートからのガス採取成功 

経済産業省は3月12日、愛知・三重県沖の海底にある「メタンハイドレート」からガスの取り出しに成功したと発表した。
水深約1000メートルの海底から330メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレートを減圧して水とガスに分解し、回収した。

水をくみ上げて井戸の周辺の圧力を減らし、これによりメタンハイドレートの分解を促し、気化したメタンガスを回収する。

減圧開始から約4時間後の午前9時半ごろにガスの産出を確認した。

海底からガスを取り出すのは世界で初めてで、取り出したガスを燃やして出る炎も確認された。

資源エネルギー庁は1月29日、渥美半島から志摩半島の沖合(第二渥美海丘)において、海底面下のメタンハイドレートを分解し天然ガスを取り出す、世界初の海洋産出試験を実施すると発表した。

試験時期は2013年1~3月末の予定で、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が事業主体となり、石油資源開発がオペレーターとなる。
地球深部探査船「ちきゅう」が清水港を出港し、1月28日、試験地点にて準備作業を開始、3月12日に世界初の海洋産出試験を開始した。

2013/1/31 メタンハイドレート海洋産出試験の実施 

今後2週間ほどかけて数千~数万立方メートルのガスを取り出す計画で、 経産省では今回の結果をもとに2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料のためのガスとして生産する目標を掲げている。

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経済産業省は2009年3月、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を取りまとめ総合海洋政策本部会合で了承を得た。

本計画は、2008年3月閣議決定の海洋基本計画に基づき、メタンハイドレート及び海底熱水鉱床の実用化に向けた探査・技術開発に係るロードマップ等を示した。

 

メタンハイドレートは、低温かつ高圧の条件下で、水分子の立体の網状構造の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になっている。

安定しているメタンハイドレートを分解させるためには、メタンハイドレートを含む地層の「温度を上げる」(加熱法)か「圧力を下げる」(減圧法)というオペレーションが考えられる。
加熱法はエネルギーを得るためにエネルギーが必要で、効率が悪い。

  メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム

2002年、5カ国(日本・カナダ・米国・インド・ドイツ)、7機関(JOGMECの前身の石油公団を含む)の共同研究として、カナダ北西準州のマッケンジーデルタ地域マリックサイトにおいて、第1回陸上産出試験が実施された。
加熱法の一種である「温水循環法」が選択され、約470m3のメタンガスを生産することに成功した。

2008年3月、石油天然ガス・金属鉱物資源機構がカナダの天然資源省との共同研究で、減圧法により、カナダ北西部のBeaufort 海沿岸陸上地域で、永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を実施し、メタンガスを連続的に生産することに成功した。

このほか、清水建設が2009年3月、ロシア科学アカデミー陸水学研究所、北見工業大学及び北海道大学と共同で、バイカル湖水深約400mの湖底で、湖底表層に閉じ込められたメタンハイドレートから、ガスを解離・回収する実験に成功した。

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商業化にはコストが壁となる。

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムの試算では、開発コストは100万BTU当たり30ドル前後で、現時点でのLNG輸入価格の2倍となる。生産量が予想を下回ると60ドルまで上がる。
産出規模が大きくなり、技術革新が進むと15.8ドル程度ま下がるという。(日本経済新聞 2013/3/13)

米国のシェールガス価格は4ドル程度で、LNGでの日本向け輸出が認められると、LNGへの加工費が約 3ドル、輸送費がメキシコ湾岸からなら約3ドルで、合計10ドル程度で輸入できることとなる。

「国産燃料の切り札」とか「天然ガス消費量100年分」などの見出しの記事が見られるが、メタンハイドレートが国産燃料のためのガスとして利用できるまでには、まだまだ技術革新が必要であろう。


2013/3/15 中国のSuntech Power、倒産の危機 

世界最大の太陽光発電モデュールメーカーSuntech Power(尚德太陽能電力有限公司)が倒産の危機に瀕している。
無錫市政府の持株会社である
無錫国聯発展集団が株式を取得し、事業再編を主導する計画との噂が流れている。

同社は今週末に541百万ドルの転換社債の返還を控えているが、資金繰りに困っている。

付記

中国江蘇省無錫市の中級人民法院は3月20日、「破産法」の関連規定に基づき、Suntech Powerの破産・再編手続きを決定した。
3月15日に償還日を迎えた転換社債541百万ドルが債務不履行(デフォルト) となり、2月末で合計71億元(約1,065億円)の貸出残を持つ中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行など9行が申請した。

今後は地元当局主導による再建が図られる見通し。

付記

日本法人のサンテックパワージャパンは11月13日、中国の太陽光パネルメーカー、江蘇順風光電科技社から出資を受ける中国・無錫サンテックパワー社の子会社として、これまでと同様に、日本における太陽光発電システムの販売、保証、アフターサービスを継続すると発表した。

同社は2008年に欧州で太陽光発電プロジェクトを行うGlobal Solar Fundに80%出資(他にSuntech CEOの施正栄が10%出資)し、製品を供給し、保証も行ってきたが、昨年7月、これらの担保として受け取っていたドイツ国債560百万ユーロが偽物であることが分かったと発表した。Global Solar Fundの10%を所有し、会社の運営に当たっていたJavier Romeroに騙されたとされる。

この結果、事業の不振が続く中で資金が急速に減少した。

同社の取締役会は先週初めにCEOの施正栄会長から会長職を奪うとともに、会社と会長の取引関係を調べるよう命じた。

ーーー

同社は3月12日にアリゾナ州Goodyear市の工場を閉鎖すると発表した。
同工場では中国から輸入した太陽光発電セルをアルミ枠にはめ、配電盤を設置して、 “Buy American” 基準に合致する太陽光発電パネルとしている。

過当競争で製品価格が大幅に下落するなか、米国政府は昨年11月に中国製の太陽電池及びモデュールに反ダンピング関税と相殺関税を課すことを決定、Suntechは合計で35.97%の課税となり、同工場は、主材料の大幅コストアップで操業継続が困難になった。
同工場は2010年10月に生産を開始、2011年の生産は50メガワットであったが、昨年11月には年率15メガワットにまで減っていた。

2012/11/14 太陽光パネルを巡る貿易戦争

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Suntechの創設者でCEOの施正栄(Shi  Zhengrong )は豪州のニューサウスウェールズ大学の太陽光発電工学最先端技術センターの薄膜太陽電池研究グループの上位研究担当科学者及びリーダーを務めた後、2001年9月にSuntech Powerを設立した。2005年にはNew York証券取引所に上場した。

同社では2011年に3つの世界No.1に輝くとしている。

年間生産量 2.2GW (2008年から結晶系モデュール年間生産量4年間連続世界一) 

年間出荷量 2.1GW (2010年、2011年と2年連続で太陽光発電モデュール出荷量世界No.1)

累積設置量 7.0GW (2011年10月に世界で初めて累積5GWを達成、2012年8月に7GWに達した)

 


2013/3/16 イランーパキスタン 天然ガスパイプライン起工式 

イラン産天然ガスをパキスタンに輸出するパイプライン(Peace Pipeline)の起工式が3月11日、両国国境に近いイラン南東部Chabaharで両国大統領が出席して開かれた。

パイプラインはイラン南部のAsaluyehからパキスタン南部Nawabshahまでの約1880kmを結ぶもので、日量2150万立方メートルのSouth Pars ガス田の天然ガスを輸出する。

South Pars ガス田は世界最大のガス田で、イランとカタールの領海にまたがっている。(カタール側はQatar North Field

イラン側はほぼ完成しており、未着工のパキスタン側の約780kmをイランとパキスタンの企業が2014年末までに完成させる予定。
総工費は75億ドルで、パキスタン側の建設費は約15億ドル。このうち3分の1をイランが融資する。

イランの最高指導者ハメネイ師は2月下旬にパキスタンのザルダリ大統領と会談し、5億ドルを融資することを約束した。
残りの5億ドルは中国からの融資、5億ドルは電力料金値上げで賄う計画とされるが、実際に手当てできるかどうか、疑問との声もある。

パキスタンは米国に配慮し、また資金不足もあって、自国内でのパイプライン建設をためらってきたが、国内の電力不足の解消のため容認に転じた。東部パンジャブ州では停電が多発し、工場の支障が出ている。

パイプラインが完成すれば、核開発を巡って欧米の制裁下にあるイランが外貨を獲得する手段となり得る。制裁が骨抜きになる可能性があるため米国は強く反発しており、パキスタンとの間の火種となる可能性がある。

米国務省報道官は3月7日の記者会見で「パキスタンがエネルギー需要を満たすうえで解決方法はほかにある」と発言。イランとの計画を断念し、トルクメニスタンやアフガニスタンからガスを調達するよう促していた。

米国務省報道官は3月11日の記者会見で、「この計画が実際に前進すれば、制裁の引き金になるという深刻な懸念を持っている」と述べ、パキスタンへの制裁発動の可能性もあると警告した。

付記

パキスタン側は、パイプラインを建設するための資金確保が課題で、海外銀行からの資金調達もままならず、建設作業は遅々として進んでいない。

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パイプラインの交渉はイランとパキスタンの間で1994年に始まり、1995年に予備契約が締結された。
その後インドへの延長構想が生まれ、1999年にはイランとインドの間で予備契約が締結された。
イランは中国やバングラデッシュにも参加を呼びかけている。

インドは2008年10月に米国との間で原子力協力協定を署名した後、2009年に価格問題と安全保障問題を理由に、この計画から撤退した。

既報の通り、中国はパキスタン南西部のGwadar港の港湾管理権を取得した。

Gwadar港からパイプラインでカラコルム・ハイウェイを通って新疆ウイグル自治区の喀什市(カシュガル、Kashgar)まで結ぶKashgar Corridor構想があり、将来これが実現すると、イランの天然ガスを直接中国に受け入れることも可能となる。

2013/2/20 中国、パキスタンのグワダル港の運営権を取得 

中国はイランの天然ガス開発にも参加している。

2009/6/12 中国CNPC、イランで天然ガス開発


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