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2013/6/17  物質・材料研究機構、抗癌活性を有するファイバーを開発

物質・材料研究機構は6月14日、癌の温熱療法と化学療法を同時に実現させることが可能なナノファイバーのメッシュを開発したと発表した。

上皮性の悪性腫瘍のひとつである扁平上皮癌は、例えば、食道癌の90%以上、子宮頚部癌の80%以上、肺癌の 30%以上を占めているといわれている。

「上皮性」とは外界と接触しているもので、皮膚、消化管の内側すべて(口・食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門)、肝臓や膵臓、肺・気管支、尿管・膀胱・腎臓、膣や子宮など。
扁平上皮はその表面を覆っている細胞。

「非上皮性」とは体を支えている部分で、骨・脂肪・筋肉・血管・結合織・脳・神経など。

上皮由来の悪性腫瘍を「がん」、非上皮由来の悪性腫瘍を「肉腫」と呼ぶ。

扁平上皮癌の治療方法は、癌の進行度によって手術、放射線療法、化学療法が三本柱となっているが、これらに加え、温熱療法が注目されている。
これは癌細胞が正常な細胞と比べ熱に弱いことを利用し、がん細胞を死滅させるもの。
温熱療法は、化学療法などと併用することで抗癌剤の効果が向上するが、これまで併用は困難であった。

今回の研究では、上皮性悪性腫瘍に対して温熱療法と化学療法を同時に行う方法の開発に成功した。

開発したのは患部に直接貼れるメッシュ状の材料(直径500ナノメートルのナノファイバーをメッシュ状にしたもの)で、温度応答性高分子(温度が上がると縮む性質のある高分子)、磁性ナノ粒子、抗癌剤を組み合わせたハイブリッド材料。

ナノファイバーメッシュに含まれた磁性ナノ粒子に交流磁場をかけることでファイバーを加熱する。生じた熱(43〜45度)に応答し、温度応答性高分子が収縮することで、内部の抗癌剤を外部に放出させ る。

ファイバー内の磁性粒子は安定に存在するため体内への拡散も抑えられ、ドラッグデリバリー技術を応用して磁性粒子を直接投与する方法と比べて安全性は高い。

このナノファイバーメッシュはハンドリングしやすく、内視鏡手術などでも使える。

物質・材料研究機構では、このナノファイバーメッシュを用いることで、上皮性の癌細胞を効率的に自然死(アポトーシス)させることに成功した。

培養した皮膚がんの細胞の上にこの繊維を置き、磁場を2回(各5分間)かけて45度まで熱したところ、がん細胞は5日後に27%まで減少した。抗がん剤だけを加えた時は40%までしか減らず、何もしないと2.4倍に増殖した

再発防止のためにがん細胞を切除した後に内臓や皮膚の表面に貼ると効果的という。

この研究成果は、科学雑誌「Advanced Functional Materials」のオンライン速報版で公開された。

今後、動物実験で安全性と有効性を確認し、臨床試験を実施する。


2013/6/18 米最高裁、人の遺伝子の特許を認めず 

米最高裁判所は6月13日、人の遺伝子は特許の対象にならないとの判決を全員一致で言い渡した。遺伝子に特許を与えた場合、科学的な研究や医療行為を妨げると主張した医師や患者のグループが勝訴したことになる。ただし、人工的に合成された遺伝子については特許の取得が可能とした。

この裁判は、米バイオ医薬品会社
Myriad Geneticsが乳がんと卵巣がんに関連した2つの遺伝子(BRCA1とBRCA2)の特許を取得したことに、医療研究者らが反対し、争われていた。

BRCA1,2(breast cancer susceptibility gene 1,2 )は、がん抑制遺伝子の一種であり、その変異により遺伝子不安定性を生じ、最終的に乳癌や卵巣癌を引き起こす。

今回、最高裁は人の遺伝子は特許の対象にならないとした。

Clarence Thomas判事は、Myriad が重要で有用な遺伝子を見つけたのは確かだが、遺伝子の分離は発明行為ではなく、同社は何も創造していないとした。

一方、単離されたDNA分子や人工的に合成された遺伝子(cDNA)については「自然に発生はしない」とし、特許で保護されるとした。

オバマ政権は、自然に形成された遺伝子の抽出は特許対象とはならないが、人工的に合成された遺伝子はそうなるとの立場を取っており、最高裁はこれを受け入れた。

Myriad Geneticsでは判決を受け、最高裁はDNAに関する特許は否定したが、相補的DNA (cDNA)の特許を認めたとし、BRACAnalysis テストに関する24の特許(有効なクレイムは500以上)が維持されると述べた。

ーーー

Myriad Geneticsは1994年に特許を出願した。

同社は特許に基づき乳がんと卵巣がんの発症しやすさを調べる遺伝子検査の市場を支配してきた。

同社のBRACAnalysis テストで陽性になった女性は生涯で乳がんになる確率が82%高く、卵巣がんになる確率が44%高い。

女優のAngelina Jolieが最近、がんに関連した遺伝子変異が見つかったため予防措置として両乳房の乳腺切除手術を受けたことを明らかにして、こうした遺伝子検査が注目を浴びた。

2009年に研究者や患者らを代表するアメリカ自由人権協会(SCLU) が乳がんと卵巣がんの発症における遺伝子特許無効の訴えを行った。

同特許の対象範囲があまりに広いため、BRCA1やBRCA2に関する研究者の調査や比較を阻害すると主張。
あらゆる人間が持つ最も基本的な要素を知的財産として認めることの合法性・合憲性を問うものである。

この特許がMyriad Geneticsに対し乳がんや卵巣がんに関連する検査への独占的権利を与えるもので、該当する遺伝子の検査におけるすべての新しい科学的方法論なども、権利保護の対象にしており、同社が乳がんや卵巣がんの遺伝子検査のタイプや種類を決めるとともに、他の研究所の研究を阻害している。
この特許のもとでは、BRCA1やBRCA2の検査や分析を
Myriad Geneticsに依頼すると、テスト1回ごとに3,000ドル以上の支払いが課され、これらの遺伝子検査を求める女性の障害になっているという。 (他の企業が安価な検査法を開発しようとしても、特許を盾に認められない。)

2010年3月29日、ニューヨーク州南部地区米連邦地裁が特許無効の判決を下した。

Myriad特許の「身体から取り出した遺伝子」は「ヒトの細胞の自然産物としての遺伝子」とは目立って違いもなく、取り出し精製することでその遺伝子の本質的特性が自然産物としての遺伝子の特性から変化したわけでもない。

検査方法も遺伝子情報集め以上のものではなく数学的アルゴリズムといえる。

Myriadは控訴した。

2011年7月29日、米連邦巡回控訴裁判所はMyriadの BRCA1とBRCA2の特許を認めた。

身体の中に自然にある遺伝子ではなく、遺伝子の特定の化学形態をテストするものとした。
但し、DNAの塩基配列を分析する方法は特許を認めなかった。

2012年3月、米最高裁は、別件のPrometheus社の投薬方法に関する特許について、特許適格性が無いとする判決を下した。

同特許は、自己免疫疾患を治療するためのチオプリンが投与された患者の血中の代謝物量を測定し、それに合わせて投与量を増減させる方法に関するもの。

連邦巡回控訴裁判所の判決では、同特許は、薬物が人体内で代謝されることで物質として変化すること、そして、対象クレームでは人体内から血液を抽出し測定することを必然的に伴うから「トランスフォーメーション」があるとし、特許対象であるとしていた。

しかし最高裁は判事の全員一致でこれを覆し、特許適格性無しとしたもの。

「自然法則」あるいは「自然現象」は特許可能ではないが、それが公知の構造や方法に対する応用である場合には特許可能となる。
しかし、そのためには、クレームに具体的な応用に関する記載がなければならない。

本件のクレームは、投薬後の血中の代謝物の量と、当該薬剤による予想される効果、危険度との相関性を記載しているが、これは自然法則そのものである。
自然法則の応用を確実に具現化する追加的特徴を記載しない限り、特許適格性を満たさない。
工程を組み合わせたところで、自然法則以上のものを何ら付加するものとはいえない。

最高裁はPrometheus判決をもとに、米連邦巡回控訴裁判所に対し、2011年の判決の再検討を指示した。

2012年8月、米連邦巡回控訴裁判所は再度、Myriad のBRCA1 とBRCA2の特許を2:1で認めた。
しかし、DNA塩基配列を「比較」したり、「分析」したりする特許は否定した。

原告は遺伝子は自然の産物と主張したが、判決では、
「全てのもの、全ての人間は自然の産物ではあるが、このBRCA1とBRCA2は自然の法則に従ってはいるが、自然物ではなく、人間のつくったものである」とした。

裁判では Dr. James Watsonが特許化に反対し、裁判所が人間の遺伝子の非常にユニークな性質を認めないのかと恐れると証言した。
「遺伝子は化学物質ではあるが、人間を創る指令を暗号化して伝えるもので、生命の指令を法律上の独占で支配するべきものではない」とした。

しかし判決は、特許はイノベーションを促進するとして特許を認めた。

今回の訴訟は、米国自由人権協会や15万人以上の研究者、医師、患者らが、特許対象の遺伝子を使用した今後の研究・調査の妨げになるとして、先の控訴審判決を覆すよう最高裁に申し立てたもの。

2013年6月13日、米最高裁判所は上記の判決を下した。


2013/6/19  武田薬品、米国での医薬品特許侵害訴訟で和解、但し和解金は収益にならず

武田薬品は6月13日、イスラエルのTeva Pharmaceutical とインドのSun Pharmaceutical の両社と和解したと発表した。

両社が米国で同社の胃食道逆流性疾患を治療するプロトンポンプ阻害薬 Protonix®( 一般名 pantoprazole)の物質特許が満了する2011年1月より前に後発品を販売したことに対し、武田薬品(が買収したNycomed)とPfizer が特許侵害で訴えていたもの。
Nycomedは米国で
Pfizer の子会社のWyethに独占的使用を許諾している。

和解により、Tevaは16億ドル、Sunは5.5億ドル、合計21.5億ドルの和解金を 支払う。このうち、Pfizer が64%の13.76億ドル、武田が7.74億ドルを受け取ることとなる。

しかし、本件は2011年1月以前の特許侵害に対応するものであり、武田薬品はそれ以後の2011年5月にNycomedの買収契約を締結(2011年9月30日に買収完了)したため、Nycomedの買収契約に基づき、受領する和解金の全額をNycomedの旧株主に支払うことにな る。

Nycomedの株主は下記の投資ファンド
  Nordic Capital  41.2%
  DLJ Merchant Banking  25.6%
  Coller International Partners  9.7%
  Avista Capital Partners 8.9%
  Others  14.6%

ーーー

WyethはNycomedから米国におけるProtonixの独占的使用権を許諾されており、Protonixは同社の売れ筋商品であった。

Protonixに関する基本特許は、2011年1月まで有効であったが、TevaとSunはそれ以前にFDAからジェネリック版を販売する最終承認を取得した。

NycomedとWyethは基本特許の侵害を主張、訴訟を提起したが、仮差し止めが裁判所に却下され、Tevaは2007年12月、Sunは2008年1月にジェネリック版を発売した。
特許無効を理由に特許の失効前に販売するもので、特許が有効とされると3倍賠償となるため「リスクのある販売 at-risk launch 」と呼ばれる。

WyethのProtonix の売上高は2007年に19億ドルあったが、TevaとSunによるジェネリック品の発売後、2008年の売上高は58%ダウンし、8億ドルになった。WyethはTevaとSunに対抗して、公認ジェネリック薬を米国で販売した。
(損害賠償訴訟でTevaとSunはこれを理由に賠償額の減額を主張したが、成功しなかった。)

WyethとNycomedは両社の特許満了前の販売から生じた損害賠償金を求め、訴えた。

2010年4月、陪審員は基本特許の有効性を支持し、Sunがこれを不服として起こした動議を7月に裁判所が却下した。

損害賠償額を争う裁判が始まった直後に双方は和解を決めた。

ーーー

Pfizerは2009年1月26日、Wyethを総額約680億ドルで買収する正式買収契約を締結した。

2009/1/27 Pfizer、Wyeth を買収


武田薬品は2011年5月、スイスのチューリッヒに本社を置く非上場製薬会社Nycomed A/Sを買収すると発表した。

買収額は株式価値+純負債ベースで96億ユーロ(約1.1兆円)で、武田の既存事業と重複するため買収対象外の米国の皮膚科事業(Nycomed US Inc.)の株式を除き、100%取得する。

同年9月30日に買収を完了し、同日をもって100%子会社とした。

2011/5/23  武田薬品、Nycomed社を買収  


イスラエルのTeva Pharmaceutical は後発医薬品(ジェネリック)メーカー最大手。

2011/5/12 イスラエルの後発薬最大手テバ、日米で買収


Sun Pharmaceutical はインドのムンバイに本社を置くジェネリックメーカー。

1983年に設立後、ICNのハンガリー事業、Caraco Pharmaceutical、Taro Pharmaceutical などの買収、MSD(Merck)とのJV設立などで拡大、ジェネリック医薬品やノーブランド医薬品を中心にアメリカ合衆国やヨーロッパおよびアジアなど世界中に輸出している。

武田薬品は2012年にURL Pharmaを買収したが、その後同社の後発品事業をSunに売却している。

武田薬品とURL Pharmaは2012年4月、武田がURL Pharmaを800百万米ドルで買収することについて合意した。買収完了後、武田ファーマシューティカルズUSAに統合した。
URL Pharmaの2011年の売上高は約600百万米ドルで、そのうち痛風の予防および治療薬であるColcrysの売上高が430百万米ドル強を占めている。

武田薬品は2012年12月、URL Pharmaの後発品事業をSun Pharmaの100%子会社のCaraco Pharmaceutical に譲渡した。


2013/6/20   DowとAramco のJV Sadara Chemical の協調融資まとまる 

Dow Chemical と Saudi Aramco がJubail Industrial Cityにワールドクラスの統合石化コンプレックスを建設するため設立したSadara Chemical Company は6月17日、世界の輸出信用機構や商業銀行、サウディ公的投資基金との間で総額約105億ドルの協調融資契約を締結したと発表した。

これには2012年9月に
米国の
Ex-Im Bankが承認した過去最大の49億75百万ドルの直接融資を含む。
輸出信用機構としては、他に、フランスのCOFACE、ドイツのEuler Hermes、スペインのFIEM、韓国のK-Exim とK-sure、英国のUK Export Financeが含まれている。

銀行団は三井住友銀行など邦銀勢のほか、英HSBCやドイツ銀行、米大手銀、中東各国の銀行、Export Development Bank Canada、Islamic Development Bank、Saudi Public Investment Fund などで構成される。
融資期間は2025年6月まで。

利率は当初はLIBOR + 1.25%、建設完了後の最初の5年は+1.55%、その後は +1.85% と報道されている。

Sadaraは本年4月には20億ドルのイスラム債(Sukuk)を発行しており、融資総額は125億ドルとなった。

Sadaraはイスラム債の発行を決めたが、当初発行予定の14億ドルに対し2.6倍の応募が殺到、最終的に20億ドルを発行した。
期間は16年で、6カ月物SAIBOR+95 basis points 相当の金利を支払う。(単なる金利支払とは異なる形態をとる)

総投資額は約200億ドル(現在の予算は193億ドル)で、借入は65%と想定しており、これで資金計画がまとまった。

ーーー

DowとSaudi Aramcoは2011年7月25日、両社の取締役会が、サウジのJubail Industrial Cityにワールドクラスの統合石化コンプレックスを建設するJVの設立を承認したと発表した。

JVの名称は "Sadara Chemical Company"(Forefront Chemical Companyの意味)で、一部を公募し(2014年初めを予定)、残りを両社が均等出資する。(Dowは一部を技術供与などの形で出資する)

両社は2011年10月8日、Sadara ChemicalについてのJoint Venture Shareholders’ Agreementに調印、11月28日にJV設立を発表した。

総投資額は200億ドルと見込み、自己資本で35%、輸出信用機関や金融機関からの借入金で65%を賄う。

エタンからのエチレンのほか、ポリウレタン(イソシアネート、ポリエチレンポリオール)、酸化プロピレン、プロピレングリコール、エラストマー、LLDPE、LDPE、グリコールエーテル、アミンなど、合計26基のプラントを建設する。

2011/7/26  DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定

DowはサウディでのSadara計画と、米国での安価なシェールガスを原料とする石化計画の二正面作戦をとる。

2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表


2013/6/21 Shintech、生産能力拡大を決定 

信越化学は6月19日、米国子会社のShintechがルイジアナ州での電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定したと発表した。
増強する生産能力はVCM 約30万トン/年、カ性ソーダ 約20万トン/年、PVC 約30万トン/年で、完成は2015年頃を目指す。投資額は5億ドル。

増設後のシンテックの塩ビ樹脂の生産能力は、ルイジアナ州の工場の既存分とテキサス州の工場を併せて295万トン/年となる。

立地 PVC VCM カ性ソーダ
Texas州 Freeport  145   −   −
Louisiana州 Addis   58   −   −
Plaquemine   60   160  106
今回増設 32 30 20
合計  295  190   126

信越化学では、Plaquemine工場の総投資額2500億円に上る塩ビの原料からの一貫生産工場建設を決断した2004年当時は、米国では天然ガスの高騰が続いていて、それが恒久化するという考えが趨勢であったが、同社は「米国にはエネルギー問題を解決する力がある」と確信して一貫工場の建設を進めたという。

シェールガス革命とも称されるブームが起きる前に踏み切ったこの投資が、シンテックの最高益に大きく貢献した。

ーーー

信越グループの全世界のPVC能力は415万トンとなる。

日本 鹿島 55  
USA Shintech  295  
オランダ Shin-Etsu PVC 45 1999年、ShellとAkzoの50/50 JV のRovinを買収
ポルトガル CIRES 20

2009年8月、完全子会社化

合計 415  

2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学

2007/6/1  シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請

2010/4/6  信越化学、米国でVCM増強

 

Shintechが1974年に操業開始した当時の能力は10万トンで、米国での順位は13位であったが、今回の増設で、2位のOxyvinylの能力の約2倍のダントツのトップとなる。(能力:万トン)

 1974年当時

塩ビ事業のその後  

 増設完了後

1 BF Goodrich  49 GeonPolyone Oxyvinyls
その後PolyoneはOxyに持分売却
1 Shintech  295  
2 Diamond Shamrock 26 Goodrich (Geon)に売却 2 Oxyvinyl 168 OxyとGeonのJV
Oxy 100%
3 Borden 24 Westlake, Formosa, Shintechに工場売却
Shintechは廃棄
3 Formosa 127 台湾資本
4 Tenneco 22 Oxyvinyl、Bordenに売却 4 Georgia Gulf 120 カネカがペースト工場を
買収するが撤退。
5 Conoco 21 DuPontに売却
その後、Vista、Condea Vistaを経由、
Georgia Gulfに売却
5 Westlake 76 台湾資本
6 Firestone 20 Oxyに売却  
7 Union Carbide 18 閉鎖?
8 Stauffer 16 Formosaに売却
9 Certainteed 14 Saint-Gobain子会社
パイプ、窓枠など塩ビ製品製造
10 Goodyear 12 閉鎖
11 Robintech 11 当初、Shintechの50%株主で需要家。
倒産
12 Georgia Gulf 10  
13 Shintech 10  

 (各社の能力は信越化学発表から)


2013/6/21  原子力規制委員会、原発新基準を決定 

原子力規制委員会は6月19日、福島第1原発事故の教訓を踏まえた新しい規制基準を決定した。7月8日に施行する。

テロ対策などを盛り込んだ「過酷事故対策編」、既存設備の安全対策を強化する「設計基準編」、活断層調査の強化や津波防護策を定めた「地震・津波編」の三つに大別され る。手順やマニュアルまでを含めると約4000ページに及ぶ。

基準には、最新の安全対策を義務付ける「パックフィット制度」が導入され、既設原発も対象になる。

毎日新聞 2013/6/20
過酷事故対策編 「特定安全施設」(事故の際、中央制御室の代替として機能) 5年間猶予
「緊急時対策所」(前線本部となる免震重要棟) 仮設も当面可能(機能を満たせば)
フィルター付きベント装置 加圧水型原発は現状でも当面容認
電源車やポンプの配備  
航空機墜落などのテロ対策 5年猶予
非常用バッテリー(3つ目) 5年猶予
設計基準編 ケーブル難燃化(火災対策)  
活火山、竜巻対策の強化  
冷却装置、電源設備の多重化、多様化  
地震津波対策編 最高の耐震性  
防潮堤、水密扉  
活断層の調査対象を必要に応じて「40万年前以降」までさかのぼって拡大  
最高津波の高さ(「基準津波」)に応じた安全対策を実施  
活断層直上に重要施設の設置を認めない 日本原子力敦賀2号を認定

地震津波対策編では「活断層直上に重要施設の設置を認めない」とされたが、現在のところ、日本原子力敦賀2号は活断層直下とみなされている。

全ての基準が直ちに適用されるのではなく、5年間猶予されるものや、条件付きで当面容認されるものもある。

 

国内には運転開始から40年超の原発が3基、30年超が14基ある。

「40年運転制限制」では、運転期間が原則40年に限定される。1回に限り最大20年延長できるが、原子炉圧力容器のコンクリートのサンプル分析などを行う「特別点検」に合格しなければな らない。

ーーー

早期再稼働を目指す電力会社は、急場しのぎの対策で申請に殺到する見通しだが、審査の布陣は、規制委事務局である原子力規制庁や「原子力安全基盤機構」の職員ら約80人。3つの審査チームと、地震・津波分野について横断的に審査するチームに分かれて行う。
過去の審査では、申請から安全判断まで半年〜1年程度かかったが、今回は申請が殺到する上、過酷事故対策の審査も加わる。

現在、関西電力が高浜3、4号機と大飯3、4号機、九州電力が玄海3、4号機と川内1、2号機、北海道電力が泊1─3号機、四国電力が伊方3機の計12プラントについて安全審査を申請する見通し 。(大飯3、4号機は当面の運転継続は認められる模様だが、9月の定期検査で停止後の再稼働時に審査を受ける。)

付記 上記のうち、玄海3,4号機は準備が遅れ、7/12に申請、他は7/8申請した。
    7/8申請を発表した東電柏崎刈羽6,7号機は地元の反対で、7/8の申請取り止め。

伊方3号機と高浜3、4号機について、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルを前提に申請書を出した。

各原発の状況は以下の通り。

 
申請準備中
電所名
運転開始 型式 40年
まで
年数
能力
(万KW)
稼働 PWR フィルタ

ベント
(PWRは
猶予)
緊急時対策所
(仮設可)
電源
ケーブル
活断層
(規制委)
北海道電力
 泊
@ 1989/6/22   PWR   57.9   15年度 15年度   OK
A 1991/4/12   PWR   57.9  
B 2009/12/22  PWR   91.2  
東北電力
 東通
@ 2005/12/8  BWR
(Mark-I 改)
  110.0   X 15年 16年   調査中
東北電力
 女川
@ 1984/6/1   BWR
(Mark
-I)
  52.4   X 検討中   OK
A 1995/7/28 BWR
(Mark-I 改)
  82.5  
B 2002/1/30 BWR
(Mark-I 改)
  82.5  
東京電力
 福島第一
D 1978/4/18 BWR
(Mark
-I)
5 78.4   X 未定   OK
E 1979/10/24 BWR
(Mark-U)
6 110.0  
東京電力
 福島第二
@ 1982/4/20 BWR
(Mark-U)
9  110.0   X 未定   OK
A 1984/2/3 BWR
(Mark-U改)
  110.0  
B 1985/6/21 BWR
(Mark-U改)
  110.0  
C 1987/8/25 BWR
(Mark-U改)
  110.0  
日本原子力
 東海
A 1978/11/28 BWR 5 110.0   X 設置予定   OK
東京電力
 柏崎刈羽
@ 1985/9/18 BWR
(Mark-U)
  110.0   X 着工   調査必要性
検討中
A 1990/9/28 BWR
(Mark-U改)
  110.0    
B 1993/8/11 BWR
(Mark-U改)
  110.0    
C 1994/8/11 BWR
(Mark-U改)
  110.0    
D 1990/4/10 BWR
(Mark-U改)
  110.0    
E 1996/11/7 ABWR   135.6    
F 1997/7/2 ABWR   135.6   着工
中部電力
 浜岡
B 1987/8/28 BWR
(Mark-I 改)
  110.0   X '14年度   調査必要性
検討中
C 1993/9/3 BWR
(Mark-I 改)
  113.7   '14年度
D 2005/1/18 ABWR   138.0    
北陸電力
 志賀
@ 1993/7/30 BWR
(Mark-I改)
  54.0   X '15年度 '13/9   調査中
A 2006/3/15 ABWR   135.8  
日本原子力
 敦賀
@ 1970/3/14 BWR
(Mark
-I)
0 35.7   X 検討中 X 調査中
A 1987/7/25 PWR   116.0   検討中   リスク認定
関西電力
 美浜
@ 1970/11/28 PWR 0 34.0   検討中 検討中 X 調査中
A 1972/7/25 PWR 0 50.0  
B 1976/3/15 PWR 3 82.6  
関西電力
 大飯
@ 1979/3/27 PWR 6 117.5     仮設
対応
X 調査中
A 1979/12/5 PWR 6 117.5    
B 1991/12/18 PWR   118.0 '15年度  
C 1993/2/2 PWR   118.0 '15年度
関西電力
 高浜
@ 1974/11/14 PWR 1 82.6   検討中 検討中 X 調査必要性
検討中
A 1975/11/14 PWR 2 82.6  
B 1985/1/17 PWR   87.0    
C 1985/6/5 PWR   87.0  
中国電力
 島根
@ 1974/3/29 BWR
(Mark-I)
1 46.0   X   '14年度 X OK
A 1989/2/10 BWR
(Mark-I改)
  82.0   '14年度  
四国電力
 伊方
@ 1977/9/30 PWR 4 56.6   '15年度 X OK
A 1982/3/19 PWR 9 56.6    
B 1994/12/15 PWR   89.0    
九州電力
 玄海
@ 1975/10/15 PWR 2 55.9   '16年度 仮設
対応
X OK
A 1981/3/30 PWR 8 55.9    
B 1994/3/18 PWR   118.0    
C 1997/7/25 PWR   118.0  
九州電力
 川内
@ 1984/7/4 PWR   89.0   '16年度 仮設
対応?
  OK
A 1985/11/28 PWR   89.0  

PWR:加圧水型、APWR(Advanced PWR) :改良型加圧水型 −−−フィルタ付ベント設置猶予 
BWR:
沸騰水型、
ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型 −−−フィルタ付ベント即時設置要

フィルタ付きベントは全て未整備だが、申請準備中の12基は全てPWR(加圧水型)のため、設置が猶予される。

また、12基のうち、「緊急時対策所」の整備を終えた原発は、四国電力伊方3号機1基のみだが、機能を満たせば仮設でも当面可能となる。

但し、九州電力川内は中央制御室横の「控室」を仮施設として位置付けているが、規制委は稼働中の中央制御室横の部屋を使うことに難色を示している。

付記 
九電は6月26日、免震棟の完成までの間に使う緊急時対策所を建設すると公表した。
建設費は20億円近くで、9月末までの突貫工事となる。

大飯3,4号機は、2015年に完成するまで、1, 2号機の会議室を仮設として使う計画だが、規制委は、その間は「1, 2号機の運転停止を条件に」認める方針。(当初は3,4号機の会議室を使用する計画であった。)

関西電力大飯のように、同じ原発で申請しないものがあるのは、ケーブルの難燃化が出来ていないなど、他の条件が整わないため。


2013/6/22 中国、神舟10号で人参の種を宇宙へ、漢方薬の発展を推進 

中国の有人宇宙船「神舟10号」が6月11日、内モンゴル自治区の酒川衛星発射センターから中国の最先端ロケット「長征2F」に搭載されて宇宙に打ち上げられ、6月13日に中国宇宙ステーションの実験第1号機「天宮1号」とのドッキングに成功した。
女性1人を含む3人の宇宙飛行士は「天宮1号」に10日間以上滞在し、部品交換や科学実験、宇宙からの授業などを行う予定となっている。

神舟は打ち上げのたびに研究対象を搭載する。神舟10号は人参のタネを宇宙に運んだ。

専門家は「現在われわれは漢方薬の重点研究室を澳門に設けている。澳門科技大学はこの分野で非常に高い水準と進んだ設備を備えている。今回われわれは人参の種を宇宙へ運んだ。帰還後に栽培し、澳門と吉林省の協力、わが国の新たな漢方薬産業の発展を促す」と説明した。

宇宙環境は種子に大きな影響を与える。「科学研究機関は良い変異を選択して栽培し、良質な人参の生産を実現する」としている。

酒泉衛星発射センターがあるゴビ砂漠の
東風航天城の北東の一隅に野菜栽培エリアがあり、宇宙に運ばれた野菜の種子を植え、栽培している。
種子を宇宙に運ぶのは「宇宙でのアップグレード改造」の第一歩に過ぎず、地上での栽培、ふるい分け、鑑定を経て合格した種子のみが試験栽培の対象となる。

ーーー

2003年10月に中国は有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げと回収に成功し、世界で三番目に人類を宇宙へ送り出した国となった。

神舟5号はカボチャのタネを宇宙に運んだ。

宇宙で育種したカボチャが、150キログラムを超える実を結んだ。この巨大カボチャは哈爾濱の軍隊基地で育てられ、哈爾濱香坊公園に運び込まれた。重さ150〜200キログラムの実が次々と収穫されているという。

この巨大カボチャは400斤巨型太空南瓜と呼ばれている。(中国の1斤は500g)
高い価格で販売されているという。

人民網日本語版 2004/9/2

ーーー

日本もカボチャのタネを宇宙に上げた。

国際宇宙ステーション「きぼう」が民間にも有償利用されることになり、さまざまな植物の種子を打ち上げて「きぼう」に一定期間保管し、回収後は教育及び文化事業に活用するという企画が採用された。
国際総合企画とラグランジェが提案したペポカボチャ (Cucurbita pepo)、別名 「おもちゃカボチャ」の種子もその一つ。 ハロウィンの飾りに使われるもので、西洋カボチャに比べるとずっと小さく、形も丸やひょうたん形などさまざまで、見て楽しむ種類。

200811月にスペースシャトル「エンデバー」で打ち上げ、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」に搭載、保管され、2009年7月、若田宇宙飛行士ととも地球に帰還した。

弘前大学農学生命科学部で栽培・採種され、応募した各地の小学校に贈られ、栽培された。
特に通常と異なった結果は報告されていない。


2013/6/24 中国政府、BP珠海のPTA第三期計画を承認 

BPは6月18日、広東省珠海のPTA第三期計画の最終承認を中国政府から取得したと発表した。

本計画は2011年2月に発表したもの。
   
2011/2/22  BP、中国のPTA事業を拡大

第三期計画は能力125万トンで、2014年遅くにスタートする予定。
BPの最新技術を使用するもので、既存技術と比べ、排水量が75%減、温室効果ガスも65%減少する。固形廃棄物は95%少ない。

建設するのはBP Zhuhai Chemical で、BPが85%、Zhuhai Port Co.(珠海港集団、旧称 Fu Hua Group:富華集団)が15%出資する。

同社は1997年に設立され、2003年に第1系列 35万トン、2008年に第2系列 90万トンの生産を開始した。
第1系列はその後、60万トンに増強され、2012年に第2系列のデボトルネッキングで20万トンの増強を行った。

第3系列完成で、合計能力は295万トンになる。

第一系列  35万トン  60万トン
第二系列  90万トン 110万トン
第三系列     125万トン
合計     295万トン

この完成後のBPの全世界能力は930万トン、BP持分では830万トンとなる。

ベルギー Geel 130万トン PX 70万トン
PETプラント誘致
英国 Huls

ー 

酢酸 60万トン
台湾 高雄 140万トン
(90万トン)
China American Petrochemical Company (CAPCO)
   BP     61.4%

他に麦寮で酢酸 40万トン
Formosa BP Chemicals:BP 50%)

台中 70万トン
(50万トン)
210万トン
(140万トン)
インドネシア Merak 60万トン
(30万トン)
Amoco Mitsui PTA Indonesia
 BP50%、三井化学45%、三井物産5%
中国 珠海 295万トン 重慶で酢酸 40万トン(YARACO:BP 51%)
南京で酢酸 60万トン(
BYACO:BP 50%)
米国 Cooper River,
South Carolina
130万トン  
Decature, Alabama 100万トン PX 110万トン
PET工場誘致
230万トン 他にTexas CityでPX 130万トン、酢酸 60万トン
MX 10万トン
合計   925万トン
(825万トン)
 
 
韓国 蔚山 110万トン Samsung Petrochemical
2006年 持分を三星に売却

他に蔚山で酢酸60万トン
(Samsung BP Chemicals:BP 51%)

大山 70万トン
180万トン
マレーシア Kuantan 60万トン 2012年 Relianceに売却

 ーーー

BPが石油化学に参入したのは、1947年にBP(当時はAnglo Iranian Oil)がウイスキーメーカーのDistillers とのJVのBritish Petroleum Chemicals を設立したのがきっかけである。

2006/8/29 BPの石油化学のオリジン

BPは2005/4/1、石油化学の大半をInnoveneとして分離、2005年末にIneosに売却した。
     2006/6/14 
事業買収で急成長した化学会社

但し、PTAとその原料であるパラキシレン、酢酸、及び中国でのエチレンJVはその後もBPのコア事業である。

現在のBPの事業一覧は http://www.bp.com/content/dam/bp/pdf/investors/FOI_2008_2012_full_book.pdf


2013/6/24 Rosneft とExxonMobil、戦略的協力関係を促進 

Rosneft とExxonMobilは6月21日、2011年に締結した戦略的協力協定の進展状況を発表した。

Rosneftは2011年にBPとのグローバルな戦略的提携が破綻した後、BPに代わる提携先を探していたが、2011年8月30日にRosneftとExxonMobilは両社が北極海と黒海の開発、技術協力、米国その他での共同事業の実施で合意したと発表した。

両社はこれに先立ち、黒海の海底油田の開発で合意しているが、これを包含した。

両社は2012年4月16日、上記のStrategic Cooperation Agreementを実施する契約を締結した。

  2011/9/1    Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

両社はまた、サハリン1計画に参加している。

1)黒海と北極海(Kara Sea)開発のJV

2つのJV、黒海(Tuapse Block)のTuapsemorneftegaz SARL、Kara SeaのKarmorneftegaz SARLが設立され、活動を開始する。
ともに、Rosneftが66.67%、ExxonMobilが33.33%を出資する。

これらの開発資金は合計で32億ドル以上とみなされており、大半はExxonMobilが負担する。

2013年中にデータを収集し、2014年に掘削を開始する。

2)北海の7ブロック追加

本年2月、両社は戦略的協力の範囲を拡大、北海の7つのブロックを追加した。ロシア領北海のChukchi Sea、Laptev Sea、Kara Seaの鉱区で、約60万平方kmに及ぶ。

近くJVを設立する。

3)西シベリアのタイトオイル開発

西シベリアでタイトオイルを開発するJVの設立を準備中。

Rosneft が51%、ExxonMobil が49%出資する。

4)ロシア極東でLNGプラント建設

2013年末までにLNGプラントの立地、天然ガス液化技術、運営形態を決定する。
現在のところ、プラントはサハリン1に建設する見込み。

Rosneft のSechin社長は、サハリン1計画に30%出資するサハリン石油ガス開発(SODECO;石油公団・伊藤忠・丸紅等のJV)や同じく20%出資するインドのONGC Videshを参加させる可能性があると述べた。
また、
生産能力は年500万トンを想定しており、既にこれを上回る購入希望があるという。

Rosneft は6月21日、丸紅及びサハリン石油ガス開発(SODECO)との間でLNG供給の覚書(Heads on Agreement)に調印した。
丸紅に年間125万トン、SODECOに100万トンを供給する。

これらに加え、両社は6月11日に、Arctic Research Centerの設立と、世界中の他の地域で技術を共同利用する契約に調印した。

Arctic Research Centerの出資比率はRosneftが 66.67%、ExxonMobil が33.33%で、第一段階の費用200百万ドルはExxonMobilが負担する。第二段階の250百万ドルは両社が折半する。


2013/6/25 伊藤忠等の日本連合、GazpromとウラジオストックでのLNGプロジェクトの覚書  

昨日の記事「Rosneft とExxonMobil、戦略的協力関係を促進」で、
・RosneftとExxonMobilが
ロシア極東でのLNGプラント建設について、2013年末までに 細目を決定する
Rosneft がこれにサハリン石油ガス開発(SODECO;石油公団・伊藤忠・丸紅等のJV)やインドのONGC Videshを参加させる可能性がある
Rosneft が丸紅及び
サハリン石油ガス開発(SODECO)との間でLNG供給の覚書(Heads on Agreement)に調印した
ことを報告した。
プラントはサハリン1に建設する見込み。

現在のロシアの法律では、Gazpromのみが天然ガス、LNGを輸出する権利を持っている。

しかし、プーチン大統領は「ロシアが世界のLNG供給で3.6%しか占めていない」とGazpromに対する不満を示しており、2月13日、LNG輸出の段階的な自由化を検討するよう政府に指示した。

今回のRosneft のLNG供給の覚書締結はこれに基づくもの。

これに対し、GazpromもウラジオストクでのLNGプラント建設を計画している。

伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)、丸紅、国際石油開発帝石(INPEX)及び伊藤忠石油開発が出資する極東ロシアガス事業調査 とロシア国営ガス会社の Gazpromは6月22日、ウラジオストクにおけるLNGプロジェクトに関するMOUに調印した。

極東ガスは、2011年から2012年の間、Gazpromとの間で、ウラジオストク市周辺におけるLNGプロジェクトの共同事業化調査を実施致した。
この結果を受け、共同事業会社の設立に向けた協議を行い、並行して日本での共同マーケティング活動を実施することにつき基本合意した。

2030年に年産500万トンの第1プラントを、2032年に第2プラントを建設し、将来は年産1500万トン態勢とする計画。
LNG生産のためのガス田は、サハリン3のキリンスキー鉱区を想定している。

資源エネルギー庁とGazpromは2011年1月17日、ロシア東部での協力推進に関する合意文書に調印したと発表した。

内容は、
・ウラジオストク周辺における
LNG製造プラント建設に関するPre-FEED(初期設計前段階)、
CNG(圧縮天然ガス)生産・海上輸送、
・ガス化学製品の生産
に関する共同FSを2011年末までに完了するというもの。

2011/1/21 日ロ、LNG事業協力で正式調印

事業遂行のため、2010年12月6日に新会社「極東ロシアガス事業調査」が設立された。
  伊藤忠 32.5%、
伊藤忠石油開発 5%、石油資源開発 32.5%、丸紅 20%、国際石油開発帝石 10%

Gazpromは現在、サハリン南端のPrigorodnoyeにあるロシア唯一のLNG施設(サハリンエナジー所有)を通じて日本にサハリン2の天然ガスを供給している。

サハリン2プロジェクト
事業主体 Shell 55%→27.5%-1株
Gazprom 0%→50%+1株
・三井物産 25%
→12.5%
・三菱商事 20%
→10%
投 資 額 200億ドル
開発鉱区 ピルトン・アストフスコエ、ルンスコエ
推定可採
埋蔵量
@原油 10億バレル
A天然ガス 4,080億立方メートル
<石油>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬後、新設港湾よりタンカーで日本等へ輸出
<ガス>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬、同地で液化後、LNGをタンカーで輸出

Gazpromはサハリン3でも、キリンスキー鉱区 とアヤシ・東オドプト両鉱区を開発している。

                       サハリン3プロジェクト
鉱  区 キリンスキー アヤシ(Ayashsky)、東オドプト(Odopinsky) Venin
事業主体 未定(2006年入札の見込み)
ガスブロム
未定(2006年入札の見込み)
 →ガスブロム
ヴェニネフチ(ウェーニン)

<出資企業>
・ロスネフチ・アストラ(露、49.8%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ
 (露、25.1%)
シノペック(中、25.1%)

    
Rosneft 74.9%
Sinopec25.1%

当初
・エクソンモービル社(米、33.35%)
・テキサコ社(米、33.35%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.55%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.55%)
当初
・エクソンモービル社(米、66.7%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.65%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.65%)
推定可採埋蔵量 @石油    約4.53億トン
  天然ガス  約7,200億立方メートル
@石油    約1.67億トン
A天然ガス  約670億立方メートル
@石油 約1.682億トン
A天然ガス
    約2,580億立方メートル
開発の現状 99.4 生産物分与対象鉱区に認定
   (ただし、未だ生産物分与契約は締結
    されていない。)
02.9 テキサコが今後20年間で90億ドル
   の投資を検討していることが明らかに
   した。
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった

09.6 ガスプロムが開発権を取得
93   開発権を入札、モービル
   (現エクソンモービル)とテキサコが落札
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった
09.6 ガスプロムが開発権を取得
03  ロスネフチが地質調査の権利
  を取得
05.7 中国のシノペックと探鉱事業
   のための合弁企業を設立   

   地震探査調査を開始 

Gazpromは、LNG輸出事業の一環として、サハリンからハバロフスクを経由しウラジオストクに延びるガス輸送用パイプラインの敷設を進めている。プリゴロドノエに次ぐ国内2番目のLNGプラントをウラジオストクに建設し、LNGを輸出する計画である。

 

2013/6/26   Michelin とChandra Asri 、インドネシアに合成ゴム製造JV設立

Michelin とインドネシアのChandra Asri は6月17日、インドネシアに合成ゴム製造JVを設立する契約に調印した。

設立するJV(名称未定)はMichelin が55%、Chandra Asriの100%子会社のPT Petrokimia Butadiene Indonesia (PBI)が45%出資する。
投資額は435百万ドルで、工場建設は2015年初めに開始、2017年初めのスタートアップを目指す。

付記 社名はPT. Synthetic Rubber Indonesia
    ミシュラン社55%、チャンドラアスリ社子会社のPT Styrindo Mono Indonesia 45%出資のJV

   東洋エンジニアリングは2015年7月、建設を受託した。

生産品目は明らかにしていないが、Michelin は、新興国での自動車産業の高成長とグローバルな高機能タイヤ(安全で長持ちし、燃料効率がよい)への傾向で、より技術的な合成ゴムの需要が増えているとしており、溶液重合SBRなどではないかと思われる。

付記  Polybutadiene Rubber (PBR) and Solution Styrene Butadiene Rubber (SSBR).

Petrokimia Butadiene はインドネシア初のブタジエン工場をジャワ島西部 Cilegon Chandraのコンプレックスに隣接して建設 している。
能力は年産
10万トンで、本年7月の商業生産開始を目指している。
原料のC4はChandraのナフサクラッカー(エチレン 60万トン)から供給を受ける。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画

Michelin はアジア市場でのタイヤ生産を増やすことを計画している。

インドネシアではタイヤメーカーのPT Gajah Tunggalに10%出資しており、乗用車用タイヤの製造に焦点を当てた協力協定を2004年に締結している。

ーーー

Chandra Asri は当初、Barito group75%日本インドネシア石油化学投資(丸85%、昭和電工 10%TEC 5%)が25%出資して設立され、1995年に生産を開始したが、2005年に日本側は撤退した。

2006/4/26  インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加−1

その後、株主が次々に代わった。

PT Chandra Asri2007年に豊田通商からスチレンモノマー製造・販売の PT.Styrindo Mono Indonesia を買収し、2011年11日付でPPメーカーの PT Tri Polyta Indonesiaを統合し、新社名PT. Chandra Asri Petrochemical Tbk.として上場した。

タイのSiam Cement Group は2011年9月、Chandra Asriの株式30%を取得、経営に参画した。
シンガポールのTemasekから23%、Baritoから残り7%を買収した。

Barito Pacific    59.35%    当初の株主
Temasek Holdings      シンガポールの政府系投資機関
Siam Cement Group   30.06%    
Marigold Resources   5.52%    
一般株主   5.07%    (上場)

現在の同社の能力は以下の通り。

  能力
 千トン
系列 スタート 技術
ナフサクラッカー   1 1995 Lummus
 Ethylene 600
 Propylene 320
 Crude C4 220
 Py-gas 280
LLDPE 200 1 1995 Union Carbide
HDPE 120-136 1 1995 昭和電工
PP
(旧
Tri Polyta )
480 2 1992 Union Carbide
1 1995
SM
(Styrindo Mono)
340 1 1992 Lummus
1 1999
Butadien
(Petrokimia Butadiene )
100 1 2013  

同社はエチレン40万トン増設などの大増設計画を打ち出したが、2011年12月、大増設計画を棚上げすると発表した。世界経済の状況が不安定なためで、状況が好転すれば再検討する。


2013/6/27   サウジ、週末を金曜・土曜に変更 

サウジのKing Abdullahは6月23日、勅令を発し、国の週末をこれまでの木曜・金曜から金曜・土曜に変更することを命じた。今週末から適用される。
サウジと世界の他の諸国との間の週日が異なることによる悪影響と経済機会の喪失に終止符を打つためとしている。

これまでは週7日のうち4日が欧米かサウジのいずれかで金融市場やビジネス世界が休みとなり、週に3日しか相互取引が出来なかったが、今回の変更で週4日が取引可能となる。

「休日変更」を提起したサウジ政府の研究会によると、木曜の休日(年間48日)によって貿易決済や金融取引ができないため、およそ10億ドルの逸失利益があるという。

 
欧米                  
サウジ                  
相互取引 不可能 可能 不可能

        

 
欧米                  
サウジ                  
相互取引 不可能 可能 不可能

イスラム世界ではムハンマドがメッカを脱出した金曜日が安息日となっており、集団礼拝が定めである。

旧約聖書では週の7日目(土曜日)が安息日と定められている。

出エジプト記(モーゼの十戒の四戒):
「安息日を心に留め、これを聖別せよ。---七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。」

申命記:「あなたの神、主は安息日を守るよう命じられた」

ユダヤ教徒は土曜日にいかなる労働も行わないことが求められる。

イスラエルの週末は、金曜日の日没から土曜日の日没後。

キリスト教の場合は当初は安息日(土曜日)に集まって礼拝を行っていたが、のちにキリストの復活の日である日曜日に礼拝を行うようになった。

このため週5日制になった現在、週末は金曜を挟んで、木曜・金曜とするか、金曜・土曜とするかのどちらかとなる。

GCC 6か国(UAE・バーレーン・クウェート・オマーン・カタール・サウジアラビア)では、サウジ、オマーン、UAEが木曜・金曜で、クウェート、カタール、バハレーンが金曜・土曜であった。

UAEの場合、政府各部局や教育機関では木曜・金曜だが、民間セクターは多くが金曜・土曜としていた。
2006年9月1日から、政府各部局や教育機関も金曜・土曜に変更となった。

オマーンも本年5月1日から金曜・土曜に変更となった。
オマーンでも銀行は早くから木曜開店、金・土曜休みに変更し、一般企業も金・土曜が休みとなっていた。

サウジの場合、2007年に変更案が出たが、諮問評議会(Shura Council)が宗教的理由でこれを拒否した。
今回は Ministry of Civil Service(民生サービス・住宅省)の報告を検討した結果、諮問評議会が本年4月に週日変更の検討を勧告した。

サウジでは勅選議員150名からなる諮問評議会が実質的に立法権を持つ(但し国王が最終決定権)。


2013/6/28  豪州鉄鉱山開発で2つの動き 

中国需要の減で鉄鉱石の価格が低迷するなか、豪州の鉄鉱山開発を巡り、日本企業で2つの異なる動きがあった。

1)伊藤忠と三井物産、ジンブルバー鉄鉱山の新規権益取得

伊藤忠商事と三井物産は6月21日、BHP Billitonの鉄鉱石事業の一部で、西豪州Pilbara地区のJimblebar 鉄鉱山を開発しているBHP Iron Ore Jimblebarの株式を一部取得する契約を締結した。

取得後の権益比率は伊藤忠商事8%、三井物産7%、BHP Billiton 85%となる。
取得総額は伊藤忠商事が約8億米ドル、三井物産が約7億米ドルで、両社はJimblebar 鉄鉱山に関連し今後発生する開発費用も、持分権益比率に応じ負担する。

Jimblebar 鉄鉱山は西豪州Pilbara地域のNewmanより東41km地点に位置し、年産35百万トン(100%ベース)体制に向け現在開発中 。

ーーー

両社とBHP Billitonは同じPilbara地区の
Mt Newman、Yandi、Mt. Goldsworthy の3つの鉄鉱石・鉄道・港湾JVを運営している。
このうち、Mount GoldsworthyはYarrie Nimingarra 地区とNewmanの北西のC地区に分かれている。

3社の持分は、今回のJVと同じく、BHP Billiton 85%、伊藤忠商事 8%、三井物産 7%となっている。

これら3つのJVの2012年度の出荷量は約180百万トンで、中国向けを中心に輸出している。

開発中の上記のJimblebar鉄鉱山(35百万トン)を含め、年間出荷量220百万トン体制へ向け、拡張を進めている。

ーーー

両社とBHP Billitonはこれまで、西豪州鉄鉱石事業の出荷能力拡張に向け、段階的な拡張計画(Rapid Growth Projects)を推進して きた。

2007年にはPort Headlandで行っていた最終処理プロセスをMt. Newman 鉱山に移設する工事や、鉄道と港湾の拡張を行った。

2010年には19.3億米ドルの先行投資を行い、鉄道・港湾、並びにJimblebar 鉱山(BHP Billiton 100%)の開発推進のため、資機材の調達や、鉄道複線化・港湾拡張工事のエンジニアリングを実施。

2011年には74億米ドルを投じ、港湾での鉱石ブレンディング用設備を新設、年間出荷能力を220百万トン超とした。

2012年には9.17億米ドルを投じて、Port Headlandの外洋に鉄鉱石出荷設備、内陸にストックヤード及び鉄道支線等の鉄鉱石供給設備を新設して年間100百万トンの港湾出荷能力を追加する計画の先行投資を決めた。

ーーー

足元の鉄鉱石需要は低迷し、アジア向けの豪州産スポット(随時契約)価格はピーク時に比べると4割程度安いが、両社は中長期でみれば需要は回復すると判断している。

両社は中長期的に見込まれる鉄鉱石の世界的な需要増に対応する為、今回の権益取得により、西豪州鉄鉱石事業の供給能力を更に拡充する。

なお、BHP Billitonは2004年にJimblebar鉱山の一部のWheelarra鉱区を中国の製鉄会社4社とのJVにサブリースした。
JVはWheelarra JV で、近隣のMt. Newman に出資する伊藤忠と三井物産も参加した。

 出資
  中国4社(武漢鋼鉄、馬鞍山鋼鐵、江蘇沙鋼集団、唐山鋼鉄集団)40% 
  
BHP Billiton  51%
  伊藤忠        4.8%
         三井物産       4.2%

Wheelarra JVは中国4社に25年間にわたり年間約12百万トンのMt. Newman鉄鉱石を供給する。
BHP Billitonはこれに加え、追加で10年間にわたり12百万トンのC地区のMarra Mamba 鉄鉱石を供給する契約も締結した。

2)三菱商事、豪西部の鉄鉱山開発 を延期

豪州紙は6月17日、三菱商事が子会社Crosslands Resourcesの西豪州のJack Hills鉄鉱山開発とOakajee港湾・鉄道プロジェクトの作業を正式に延期したと報じた。

昨年11月には、コスト削減と縮小改編を発表していたが、JVパートナーが見つからず、今回の決定となった。

このプロジェクトは、Jack Hills鉱山の37億豪ドル規模での拡張と、Oakajeeでの港湾・鉄道インフラ整備の59億豪ドル規模の事業で合計96億豪ドルの予定であったが、Crosslands ResourcesのCEOは現状では100億豪ドルを超えるとし、パートナーの支援が必要としている。

三菱商事では、鉄鉱石の価格が下がっているため、現状では採算が合わないと判断した。

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三菱商事は2007年6月、豪州のMurchison Metalsと50/50JVで鉄鉱山拡張と輸送インフラの建設を行うことを決めた。
鉄鉱山開発のCrosslands Resources、これに関連する鉄道・港湾インフラ事業体のOakajee Port and Railを設立した。

Murchison Metalsには韓国のPoscoが14%出資している。

Jack Hills鉄鉱山では年産150万トン程度の小規模な試験操業が2006年末から開始されていたが、2011年頃に年産2,600万トン規模に拡張し、約420kmの鉄道を敷設、Geralton北方23kmにOakajee港を建設する計画であった。
当時は総事業費を30億豪ドルとみていた。

鉄鉱山の拡張には港湾・鉄道プロジェクトがキイとなるが、その後、建設予算は急騰、Murchison Metalsの資金繰りが難航したことから、同プロジェクトは保留状態が続いていた。

このため、三菱商事は2011年11月にMurchison Metalsの権益を3.25億豪ドル(約250億円)で買収し、100%子会社とした。

三菱商事はこの6 - 12カ月の間に提携先を求める意向で、候補とし中国の中鋼集団(SinoSteel)、宝山鋼鉄、鞍山鋼鉄集団、韓国のPoscoなどが挙がっていたが、いずれもまとまらなかった。

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西豪州での日本企業の鉄鉱山開発計画は以下の通り。

西豪州 Pilbara
  Robe River 鉱山
  
West Angelas鉱山
Robe River 三井物産   33%
新日鉄     10.5%
住友金属工業 3.5%
Rio Tinto 53%
西豪州 Pilbara
  Mt Newman
  Yandi
  Goldsworthy
   +
Jimblebar
BHP Billiton J/V 伊藤忠   8%
三井物産 7%
BHP Billiton 85%
西豪州中西部
  
Jack Hills 鉱山
Crosslands Resources 三菱デベロップメント
(三菱商事)
50%
Murchison Metals Ltd
 50%
三菱デベロップメント 100%
西豪州 Pilbara
  Beasley River 鉱山
Beasley River JV Beasley River
 Iron Associates 47%
新日鉄  60%
三井物産  20%
住友金属工業  20%
Hamersley Iron 53%
(Rio Tinto group)

 


2013/6/29 中国、遺伝子組み換え大豆の輸入を追加承認 

中国農業部は6月14日、数日前に3種類の遺伝子組み換え大豆の輸入安全証書を発行したことを発表した。
中国政府がアルゼンチンとブラジル産の遺伝子組み換え作物の輸入を許可したという報道に続くもの。

農業部の発表では、承認を受けたのは:
 CV127   BASF開発   イミダゾリノン系除草剤耐性 大豆
 MON 87701   Monsanto開発   チョウ目害虫耐性大豆
    MON 87701 x MON 89788
     (INTACTA RR2 PRO)
  Monsanto開発   上記と、除草剤グリホサート(Roundup)耐性ダイズの掛け合わせ

この発表はアルゼンチンとブラジルの発表と一部異なっている。
MON 87701の代わりに
Bayer CropScienceが開発した除草剤グリホシネート耐性のLiberty Linkが入っており、アルゼンチンの場合はコーンも入っている。

アルゼンチンの農業大臣は6月8日、中国の農業部長(大臣)と北京で会談後、中国が新たに3種の遺伝子組み換え大豆と1種のコーンの輸入を承認したと発表した。

対象:CV127、PR2 PRO、Liberty Linkの各大豆と、1161という名前のコーン

ブラジル農業省は6月10日、中国がブラジルの3種の遺伝子組み換え大豆の輸入を認めたと発表した。
両国の農業大臣は北京で開催されている中国ーラテンアメリカ・カリブ海農業大臣フォーラムに出席していた。

対象CV127、RR2 PRO、Liberty Link の各大豆

中国農業部によると、中国では既に下記の5種の遺伝子組み換え大豆の輸入が認められている。

GTS40-3-2〔モンサント〕除草剤Roundup 耐性 Roundup Ready 
MON89788〔モンサント〕
除草剤グリホサート(Roundup)耐性
A2704-12 〔Aventis Crop Science〕 除草剤グルホシネート耐性
356043〔
DuPont-Pioneer ] 除草剤グリホサート及びアセト乳酸合成酵素阻害剤耐性
305423 〔DuPont-Pioneer ] 高オレイン酸含有

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農林水産省のレポート「中国における遺伝子組換え作物の導入と今後の見通し」によると、中国では非食糧では既に、トマト、綿花、ペチュニア、ピーマン、ポプラ、パパイヤなどの遺伝子組み換え作物の栽培が承認されている。

このうち、綿花については1998年に中国と米国(Monsantoの抗虫綿花MON531/757/1076)がそれぞれ開発した遺伝子組換え抗虫綿花の商業化生産を許可し、河北省などで試験栽培が始まった。

遺伝子組み換え抗虫綿花の栽培面積推移は下記の通りで、全体の80%近くにも達している。

栽培用ではなく、生産加工用としては、トウモロコシ、綿花、大豆、ナタネでの輸入が承認されている。

食糧作物では2009年に、10年を超える研究開発と試験段階を経て安全性評価の審査を通過した2種類の遺伝子組換え稲と1種類の遺伝子組換えトウモロコシが「農業遺伝子組換え生物安全証書」を取得した。
引き続き、商業栽培の審査プロセスに入っている。

抗虫稲「華恢1号」:華中農業大学
抗虫稲「Bt 汕優 63」:同上 (上記「華恢1号」と一般の「珍汕97A」を交雑したもの)
トウモロコシ「BVLA430101」:中国農業科学院生物研究所 フィターゼ挿入

フィターゼはフィチン酸からリン酸を切り離す酵素群。
豚、鶏ではフィターゼ産生菌をほとんどもたないため、植物性飼料原料に多く含まれているフィチン態リンを消化・吸収することができず、消化・吸収できなかったフィチン酸は、糞中に排泄され、環境汚染の原因となる。
フィターゼ挿入でフィチン酸のリン酸を切り離し、体内で吸収させ、排出させない。

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