ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp
2013/7/1 Tetra Pak、バイオベースのポリエチレンを採用
食品用紙容器大手のスイスのTetra
Pakは6月26日、ブラジルのBraskemとの間でブラジルでの紙容器製造用にBraskemのサトウキビ由来のバイオベースポリエチレン購入契約を締結すると発表した。
液体食品用の紙容器でのバイオベースPE採用は世界初。
テスト期間中はブラジル限定だが、その後は他地域にも広げる。
ブラジルで生産する130億個の容器のうち、82%がバイオベースPEを使用する。
同社の紙容器の構造は下記の通り。(同社ホームページから)
@ 紙 テトラパックの紙容器は、紙が主な原材料です。容器が安定するためにちょうど必要な量だけを使い、無駄に重くならないようにしています。紙は再生可能な原材料で、木から作られています。
A ポリエチレン
プラスチックの一種であるポリエチレンの薄い膜を貼って、液体が漏れないようにするとともに、外部の湿気から中身を守ります。
B アルミニウム
食品を常温保存できる紙容器には、アルミ箔が使われています。アルミ箔が、酸素、におい、光から中身のおいしさを守っています。
Tetra Pakは2009年11月、Braskemのグリーンプラスチック(PE)を試用する契約を締結している。
Braskemの生産開始後、2011年から年5,000トンを使用するもの。
2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用
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Braskemは2007年10月、サトウキビベースのエタノールを原料にした年産200千トンのPEプラント建設を発表した。
2007/11/5 Braskem、サトウキビからHDPEを製造
同社は2010年9月、Rio Grande do Sul 州の Triunfo Petrochemical Complexで サトウキビからのバイオエタノールを原料とするグリーンエチレン年産 20万トンとHDPE及びLDPEをあわせて年間20万トンのポリエチレンの生産を開始した。
同社は2013年5月21日、Green LDPE 30千トンの増設を発表した。2014年1月から生産を開始する。
同社はまた、グリーンPPプラントの建設も行っている。2013年に生産開始の予定。
2010/11/9 Braskem、Greeen PP 製造へ
豊田通商は2008年9月、Braskem が世界で初めて商業生産を開始する植物由来ポリエチレンに関し、日本を含むアジア地区の販売パートナーとしての業務提携を行うことに合意した。
双日は2012年7月、Braskem から、「グリーンポリエチレン」の販売代理権を獲得した。双日プラネットを通じて日本に加えて、アジア・オセアニア地域への販売も行い、3年後には年間取扱量2万トン規模を目指す。
グリーンポリエチレンのアジア向け販売代理権は豊田通商と双日が持つことになるが、豊田通商はトヨタ自動車など自動車関連向けへの販売が主力で、双日は生活消費財や民生機器分野を開拓する。
双日は、Braskemの親会社であるOdebrecht S.A.と共に、サトウキビ由来のバイオエタノールメーカーとして世界最大級のETH Bioenergia S.A に出資している。今回のグリーンポリエチレンの一部も、ETH社のバイオエタノールを原料として使用し、バイオエタノールチェーンを構築している。
2010/3/23 双日のブラジル・バイオエタノール事業
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2010年末のバイオPE製造開始を控え、Braskemは2010年上半期に登録商標 “I’m Green" を採用した。
バイオPEはこの商標で販売されている。
同社はまた、需要家に対し、バイオPEを51%以上使用する製品にこの商標の使用を認めている。
日本では椿化工株式会社が化粧品ボトルメーカーでは初めて、樹脂成型品の原料にこの “I’m Green"プラスチックを本格的に導入
する。
http://www.tsubaki-ka.co.jp/bio/index.html
BPは6月28日、Azerbaijan のカスピ海沖のShah Deniz ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルートをTrans Adriatic Pipeline (TAP) に決めたと発表した。
Azerbaijan とGeorgiaの間はSouth Caucasus Pipeline (SCP)を増設、トルコ国内はトルコ政府とアゼルバイジャン政府にBPも加わるTrans Anatolian Pipelineを新設するが、トルコから欧州へはNabucco (West) Gas Pipeline と Trans Adriatic Pipeline (TAP) の2つの計画があった。付記 Shah Deniz consortium は2013年12月17日、第二期の投資を最終決定した。
2013/5/10 BP、アゼルバイジャン産ガスの欧州向け輸送ルート検討
今回、ギリシャからアルバニアを経由、アドリア海を渡ってイタリアに通じる全長800kmのTrans Adriatic Pipeline (TAP) を選択した。
Shah Deniz ガス田第2期は年産160億立方メートルで、トルコが60億立方メートルを購入し、残り100億立方メートルを欧州に供給する。
付記
BPは9月19日、9社との間で年間100億立方メートルを25年間販売する契約に調印したと発表した。
このうち、10億立方メートルはブルガリアとギリシャ、残りはイタリアと周辺に供給される。トルコ分の60億立方メートルについては2011年にBOTAS (Turkish Petroleum Corporationが設立したパイプライン会社)との間で契約が締結されている。
Trans Adriatic Pipeline (TAP) AG の株主は以下の通り。
EGL(Axpo子会社) | 42.5% | スイス |
Statoil | 42.5% | ノルウェー |
E.ON Ruhrgas | 15% | ドイツ |
なお、Shah Deniz consortium がTAP 採用を決めたため、Shah Deniz コンソーシアムのメンバーのBP、SOCAR、Statoil、Totalの4社がTAPに合計で50%迄出資するオプションを持つ。
Shah Deniz consortium は既にイタリアとギリシャの数社と天然ガス販売の条件で合意している。
ブルガリアでのガス販売の交渉も行っており、トルコからブルガリアまでのパイプライン敷設も検討している。
なお、Croatia、Montenegro、Bosnia & Herzegovina、Albania の諸国はIonian-Adriatic Pipeline (IAP)を建設してTAPと接続する案を検討している。
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Azerbaijan国営石油(SOCAR)は、Shah Deniz ガス田に続き ACG(Azeri–Chirag–Guneshli )やAbsheron、Umid、Shafag-Asiman などの開発が進むと、Azerbaijanからの天然ガス輸出は飛躍的に増大し、今後、Nabucco (West) Gas Pipeline も必要になるとしている。
2013/7/3 理化学研究所、窒素分子の切断と水素化を常温・常圧で実現
理化学研究所は6月28日、新たに合成した多金属のチタンヒドリド化合物に窒素分子(N2)を常温・常圧で取り込ませ、窒素−窒素結合を切断し、窒素−水素結合の生成(水素化)を引き起こすことに成功したと発表した。
窒素と水素から省エネルギーでアンモニアを合成できる可能性が生まれた。
窒素分子(N2)は2つの窒素原子が三重結合という強い結合で結ばれているため、非常に安定な分子で、反応性が乏しく、ほとんどの生物は大気中の窒素を直接利用することができ
ない。
マメ科の植物に共生する細菌が持つ酵素「ニトロゲナーゼ」のみが常温・常圧で窒素の三重結合を断ち切って窒素をアンモニアへと変換している。
窒素は肥料の3要素の1つとして農作物にとって重要だが、農作物の増産には自然界が作った固定窒素だけでは足りない。
これを解決したのが窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法だが、合成時に500℃の高温と300気圧の高圧を必要とし、アンモニア合成に使われているエネルギーは、人類の年間消費量の1%に上るといわれてい る。
今回、理化学研究所では3つのチタン原子と7つのヒドリド(マイナスの電荷を持った水素イオン)原子からなる多金属ヒドリド化合物を開発した。
この化合物と窒素を反応させたところ、常温・常圧で窒素分子の「窒素―窒素結合」を切断し、「窒素―水素結合」を形成していることが分かった。
チタンヒドリド化合物のヒドリド原子(H−)が電子を与える電子剤として働いて窒素分子の結合を切断し、また電子を放出することでプロトン源の役割りを果たして、窒素の水素化を実現した。
次に、反応機構を明らかにするためにこの反応を低温で行った結果、以下のような反応プロセスと分かった。
図 A
−30℃で窒素分子がチタンヒドリド化合物に取り込まれると同時に4つのヒドリド原子から2つの水素分子が生成・脱離する。
水素分子生成で余った4つの電子を窒素が受け取り(還元)、窒素−窒素三重結合がより結合力の弱い単結合まで還元された。
図 B
さらに、−10℃で2つの3価のチタン(Ti V)から2つの電子を窒素に受け渡し窒素−窒素結合が切断され、2つの4価のチタン(Ti W)が生じる。
図 C
その後、室温の20℃で1つのヒドリド原子から2つのチタン(Ti W)へ2つの電子を受け渡したことで、プロトン(H+)と2つのチタン(Ti V)が生じ、このプロトンと窒素が結合し、窒素−水素結合が生成した。
このプロセスは、先に窒素−水素結合が生成し、その後に窒素−窒素結合が切断するプロセスより少ないエネルギーで進行することも分かった。
この成果は、将来的に窒素と水素から温和な条件下でアンモニアを合成する省資源・省エネ型手法の開発につながると期待される。
また、今回合成した多金属チタンヒドリド化合物は、非常に高い反応性を有しているため、窒素の固定化反応だけでなく、新たな触媒反応への展開も期待できる。
付記
理研は2014年8月28日、多金属のチタンヒドリド化合物を用いて、非常に安定なベンゼンの「炭素−炭素結合」を室温で切断することに成功したと発表した。
チタンヒドリド化合物とベンゼンの反応を試みたところ、室温という温和な条件で炭素−炭素結合が切断できることを発見した。
この反応を検証した結果、まずベンゼン環が3つのチタン金属上に結合し、その後これら3つのチタン金属が互いに協力し合って炭素−炭素結合の切断に働いていることが明らかになった。
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これより前、2010年12月に東京大学大学院の西林仁昭准教授らは、「温和な反応条件下での触媒的アンモニア合成法」の開発に成功したと発表している。
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/public/pdf/release_20101202.pdf
PNP型ピンサー配位子という、りん—窒素—りん原子が錯体を中心として三座で配位結合する化合物を有した、窒素分子架橋二核モリブデン錯体を新しく分子設計・合成を行い、これを触媒として用いることで常温常圧の極めて温和な反応条件下で窒素ガスをアンモニアへと変換する反応を開発することに成功した。
問題点として、西林准教授は以下の通り述べている。
工業化するためにはまだまだ解決しなければならない課題はたくさんあります。プロトン源として特殊な物質を使っているようではダメで、水を使えるようにしたいですし、触媒の寿命ももっと長くしなければなりません。もう一つ、窒素をアンモニアに変換する過程では還元剤、つまり電子の供給源が必要なのですが、現在はコバルトセンという物質を使っています。還元についても、こうした特殊な物質を使うのではなく、電気で行えるようにする必要があります。
http://archive.wiredvision.co.jp/blog/yamaji/201101/201101281403.html
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2012年12月、東大大学院の西林仁昭准教授らと九州大学の吉澤一成教授らの研究グループは、単純で安価な鉄錯体を触媒に用いた常温常圧の窒素ガスの還元に成功したと発表した。
フェロセンや鉄カルボル錯体に代表される鉄粉等から簡単に合成できる安価な鉄錯体を触媒として利用することで、常温常圧の極めて温和な反応条件下で窒素ガスを還元し、アンモニア等価体であるシリルアミンへと触媒的に変換する反応を開発することに成功した。
シリルアミンは水と接触されることで定量的に簡単にアンモニアへ変換することが可能で、窒素ガスからのアンモニア合成の別法と言える。
今後は反応効率化が課題になるとされている。
中国商務省は7月1日、2013年下期のレアアース輸出枠を15,500トンにすると発表した。
2012年は下期に枠を大幅に減し、本年上期も前年同期比5千トン以上減らしたが、下期は上期と同量とした。
この結果、通年で31,001トンとなり、2012年の輸出枠30,996トンと同水準となる。
付記 2014年の輸出枠を追加
2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | |||
輸出枠 | 上期 | 軽希土 | 18,585トン | 13,563トン | 13,314トン | |||
中重希土 | 2,641トン | 1,938トン | 1,796トン | |||||
合計 | 21,728トン | 22,282トン | 14,446トン | 21,226トン | 15,501トン | 15,110トン | ||
下期 | 軽希土 | 8,537トン | 13,821トン | 13,692トン | ||||
中重希土 | 1,233トン | 1,679トン | 1,809トン | |||||
合計 | 28,417トン | 7,976トン | 15,738トン | 9,770トン | 15,500トン | 15,501トン | ||
年間 | 軽希土 | 27,122トン | 27,384トン | 27,006トン | ||||
中重希土 | 3,874トン | 3,617トン | 3,605トン | |||||
合計 | 50,145トン | 30,258トン | 30,184トン | 30,996トン | 31,001トン | 30,611トン | ||
輸出実績 | 39,813トン | 18,600トン | 16,265トン | 22,493トン |
レアアースの輸出実績は以下の通りで2003年をピークに減少しているが、2009年から急減している。
2009年に全国人民代表大会(全人代)に「レアアース生産・輸出の厳格な規制を求める建議」が提出された。
中国のレアアース生産量は2005年に世界の96%を占め、輸出量で世界一となったが、乱開発されており、無秩序な開発で採掘現場での回収率も低効率の状態にある。乱開発がこのまま続けば、20〜30年で中国のレアアースは枯渇するとする。
2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?
これを受け、2010年の輸出枠は前年比40%減となった。
更に、2010年9月の尖閣諸島での中国漁船衝突事件を受け、中国政府はレアアースの日本への輸出を事実上止めた。
2011年の輸出実績は輸出枠を大きく下回った。
この結果、輸出価格は急騰したが、日本企業はレアアースの使用を減らす技術の開発を強化した。さらに各国がレアアース採掘を始めたことで調達先が多様化した。
2012年の輸出枠 30,996トンに対し、実際の輸出量は16,265トンにとどまった。
2013/7/5 中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始
中国商務部は7月1日、公告36号と37号を出し、EU原産の輸入ワインについて、反ダンピング調査と反補助金調査を開始すると発表した。
5月15日に中国ワイン協会が国内ワイン産業を代表して調査を要請した。
調査対象期間は2012年1月から12月末まで、被害調査の対象期間は2009年1月から2012年12月末までとしている。
ーーー
EUは6月4日、中国製太陽光パネルに対し、反ダンピング関税を暫定的に適用することを正式に決定した。6月6日から適用する。
12月に本調査を終え、5年間の反ダンピング関税を実施するかどうかを決める。
当初は平均 11.8%とし、8月6日までに交渉を通じて中国側に改善がみられなければ 47.6%に引き上げることとした。
これに対し、中国商務省は6月5日、欧州産ワインが中国で不当に安値販売されている疑いがあるとして、反ダンピング調査実施を検討することを明らかにした。
欧州各国の政府が補助金支給などでワイン産業を不当に保護しているとし、反補助金調査も行う。
2012年の中国のEUからのワイン輸入量は25万7千キロリットルと2009年比で4倍に膨らみ、約60%がフランスからとなっている。
EUの反ダンピング課税を強く支持したフランスを標的にした報復と見られる。
中国商務部は6月5日に中国ワイン業界による調査申請の内容をEUに通知し、17日に欧中双方による話し合いを行った。
6月21日にはEU欧州委員会から意見書を受け取った。
調査開始までの詳細な過程を発表するのは珍しく、協議を通じて貿易紛争を解決したいとの姿勢をアピールしたとも受け取れる。
EUのデフフト委員(通商担当)は6月21日、北京で中国の高商務相と会談し、太陽光パネル問題の解決に向け協議を続ける方針を確認した後、「中国製太陽光パネル摩擦をめぐり中国と合意できれば、欧州産ワインに対する反ダンピング調査をめぐる問題も解消される」との見解を示した。
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6月10日付 英Financial Times は「EUは中国への制裁課税を撤回せよ」との社説を掲載した。
欧州の多くの国は再生可能エネルギーを優先するため多額の補助金を支給している。そんな状況で太陽光パネルの価格を引き上げるのは、自らの不利益にしかならない。加えて欧州の消費者や中国への供給業者、報復措置による被害者も打撃を受ける。
当然のごとく中国は欧州産ワインの販売に標的を絞った調査で報復した。EU最大のワイン生産国であるフランスはデフフト(Karel De Gucht) 委員を支持した。対抗制裁は個人を狙ったものでもある。デフフト委員自身がワイン醸造業者だった。
現時点での最善策は、デフフト委員はひとまず方針を撤回し、地に足のついた対応を考えるべきだろう。
沖縄市諸見里にある市サッカー場で6月13日、ドラム缶15本ほどが見つかったが、このドラム缶にDow Chemicalの社名が記載されていた。
Dowはベトナム戦争当時に米軍が散布したダイオキシンを含む枯れ葉剤 Agent Orange
を供給した企業であることから、枯れ葉剤が県内で貯蔵されていたことを示すものである可能性が出てきた。
ドラム缶に内容物は見当たらないが、石油系燃料の異臭を放っている。
ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤は、散布しやすくするため、液体のディーゼルなどの燃料と混ぜて使用されていた事実がある。
小野寺防衛相は6月24日、ドラム缶の中身の調査を実施する考えを示した。「今週中に(調査の)契約を結ぶ。問題があれば最後まで責任をもって対応する」と述べた。
7月2日の調査では発見地点の残土やドラム缶から試料を採った。ダイオキシン類や農薬が残留しているかどうか、1カ月ほどかけて調べる。
Dow ChemicalではAgent Orange の缶ではないとするが、古い話で情報不足のため、ドラム缶の中味が何であるかは分からないとしている。
現地は嘉手納基地に隣接しており、1987年に返還された。
この周辺はゴミ捨て場になったが、沖縄市は1996年に2箇所の土質調査のみでサッカー場用に造成した。
今回、芝を人工芝に張り替える工事に取り掛かり、地下に排水管等を敷設する必要が生じ、50センチほど掘った時、ドラム缶が出て来た。
ベトナム戦争時に米軍はベトコンの隠れ場となる森林の枯死と、ゲリラ支配地域の農業基盤である耕作地域の破壊を目的に大量の除草剤を散布した。
オレンジ、ホワイト、ブルーの3種類の除草剤(Agent)が用いらた。総称して虹枯葉剤と呼ばれる。
Agent Orangeは2,4-D
と2,4,5-Tの50/50混合物、Agent Whiteは2,4-D
とPicloramの4:1の混合物で、Agent
Blueはカコジル酸を元にしたもので植物の脱水化を図る。
このうち特に大量に使用されたのがAgent Orangeで、Defence Production Actに基づき、Dow Chemical、Monsanto、Hercules、Diamond Shamrock、Uniroyal、Thompson Chemicals、T-H Agricultural & Nutrition が製造した。
Agent Orangeにはダイオキシン類が含まれており、動物実験では催奇形性が確認されている。
ベトナムの枯葉剤散布地区では、散布前と比べ流産が2.2〜2.7倍に、奇形は約13倍になっている。
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米国はこれまで、沖縄に枯葉剤が保管されたことはないとしてきた。
しかし、本土復帰前の沖縄に持ち込まれていたことが、住民や米軍関係者の証言で明らかになっている。
琉球朝日放送は1月14日、ベトナム戦争当時枯れ葉剤が嘉手納のアメリカ軍施設に保管されていたことを示す公文書がアメリカ陸軍への情報公開請求で見つか
ったと報じた。
1971年に作成された国防総省の文書で、太平洋軍司令部の管内で枯れ葉剤が備蓄されている場所として「タイ、そして沖縄・嘉手納」の名前が明記されている。
2012年には復帰直前にアメリカ空軍が沖縄にあった25千本の枯れ葉剤のドラム缶を南太平洋のジョンストン島に運んだという公文書が見つかってい るが、米政府は沖縄に枯れ葉剤があったことを否定し続けている。
付記
沖縄市は7月31日、市独自の調査を発表した。
ドラム缶の周辺液体や付着物から水質基準値の280倍、土壌基準値の8.4倍のダイオキシン類が検出された。
Agent orange の主要成分 2,4,5,T はドラム缶22検体中18検体で検出されたが、同様に主要成分の2,4-Dは全検体で検出されなかった。
一部検体でPCBやヒ素も検出された。
Agent Orangeは2,4-D と2,4,5-Tの50/50混合物。
調査結果の最高値
採取物 項目 検出値 環境基準値 ドラム缶付着物 ダイオキシン類 8400pg-TEQ/g 土壌参考 1000pg-TEQ/g 以下 ドラム缶周辺の液体 同上 280pg-TEQ/L 水質参考 1pg-TEQ/L 以下 ドラム缶付着物 PCB 3.2mg/kg 0.5mg/kg 以下 ドラム缶埋設地の土壌 フッ素 5.5mg/L 0.8mg/L 以下
中国の7月金融危機説がささやかれている。
中国の富裕層の多くは財テクの一環として、投資顧問会社や信託会社などが発行する高利回りの『理財商品』 を購入しているが、ほとんどが不動産投資に流れている。
不動産の値崩れで、その一部は満期を迎えても償還が難しいと懸念されているが、その償還が6月末から7月に集中しているためである。
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中国政府は銀行に厳しい規制を課しているが、信託会社や投資顧問会社などには緩やかで、理財商品のように銀行を経由しない金融取引は「シャドーバンキング」と呼ばれる。
Shadow Banking はPIMCOのManaging DirectorであったPaul. McCulleyの造語で、最初に講演で使用し、後に彼のレポート「Global Central Bank Focus」の中で紹介され、2007年頃から広まるようになった。
地方政府の開発とこれが結び付き、異常に膨張した。(それぞれについては後記)
理財商品残高は中国当局公表では2013年3月末で8兆2000億元(130兆円、GDPの16%)だが、実際には36兆元(GDPの7割) との説もある。
金融当局も規制・介入できない状況で、情報開示も不足しており、当局も含め誰も実態を把握しきれていない。
不動産バブルの崩壊で返済が不能となる恐れがあるが、 これらの商品では、債務不履行時の損失を誰が負担するかが曖昧なまま、高利回りをうたって資金を集めている。
米国のサブプライムローンと同じ構造である。
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背景には2つの問題がある。
1)人民銀行の金利規制
現在は、1年物の定期預金は基準金利が3.0%、金利上限が3.3% となっている。
(貸出金利は基準が6.0%、金利下限が4.2%)
定期預金金利は2012年初めまでは消費者物価を下回っていた。現在でもネットでは1.3%程度である。
このため、富裕層は10%程度の高金利を謳い文句にする理財商品を購入した。
また、国営企業などは、幾らでも銀行から金を借りることができるため、多額の余裕資金を抱えており、資金を有利に運用するため、これを利用した。
2)地方政府の開発投資
2008年のリーマン・ショック時に中国政府は4兆元の経済対策を打ったが、地方政府は競って大規模投資を行った。
この時、地方政府は「融資平台」と呼ばれる開発会社を設立、資金調達と開発を行わせた。運用先を探していたシャドーバンキングの資金がそこに流入した。
実際には、地方政府が建設した巨大なマンション群は多くが売れ残っている。
江蘇省常州市や内モンゴルのオルドス市、遼寧省営口市などには「鬼城」(Ghost town)がある。
中国の金融危機は経済危機につながり、日本や米国の経済にも大きな影響を与える可能性がある。
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中国の国務院は7月5日、シャドーバンキングの膨張で起こりかねない金融リスクを厳しく防ぐことなどが柱の金融行政・政策の指針を公表した。
声明では、中国経済は安定しているが、構造的問題はあり、資本の不適正配分が構造改善を妨げていると述べ、指針は先進的な製造業や新興産業などの“real economy”が必要な資金面のサポートを得られることを目的としている。
過剰能力を抱える産業では差別的支持政策をとり、競争力のある企業が資金サポートを得る。
信用供与はリーズナブルなレベルを維持するとしており、成長のために流動性を高めるのではなく、経済安定化のためのリストラクチャーリングに重点を置く。
経済安定化のため、多くの種類の財政的リスクを防ぐとし、シャドーバンキングの管理を強化する。
付記
中国人民銀行は7月19日、貸出金利下限規制を撤廃すると発表した。
貸出金利の下限撤廃で銀行間の競争を促し、企業の資金調達コストを引き下げる狙いがあるとみられるが、預金金利については自由化を見送ったため、預金金利の3%が事実上の下限となる。
これまではは基準金利が上限となっていた。今回、これを1.1倍までとした。
預金金利
貸出金利 基準 上限 基準 下限 従来 3.50% 基準x1.0 3.50% 6.56% 基準x0.9 5.904% 2012/6改正 3.25% 基準x1.1 3.575% 6.31% 基準x0.8 5.048% 2012/7/5追加 3.00%
基準x1.1 3.30% 6.00% 基準x0.7 4.200% 2013/7/19改正 ↓ ↓ ↓ 下限撤廃
カネボウ化粧品は7月4日、「美白効果」をうたった化粧品を使った際、肌がまだらに白くなるケースがあったとして、同社と子会社の製品、計約100万個を自主回収すると発表した。
利用者に肌がまだらに白くなる「白斑」と呼ばれる症状が39例報告された。
対象の製品には、同社が独自に開発した「ロドデノール」という成分が配合されていて、カネボウ化粧品では症状との関連性が心配されるとして、この成分が配合されている全ての製品の回収を決めた。
同社では問題の製品を使用している顧客は約25万人いるとみている。
ロドデノールは白樺やメグスリノキの樹脂に含まれている天然物質 4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールの美白効果に着目してカネボウ 化粧品が研究開発して、特許 を取得した。付記
カネボウ化粧品の7月23日の発表では、
「白斑様症状」を含む不安の声は6,808名、
うち、「3か所以上の白斑」「5cm以上の白斑」「顔に明らかな白斑」のいずれかの症状が2,250名あった。
メラニンは身体を紫外線から守り、悪性腫瘍の発生を防ぐが、シミの原因にもなる。
同社の
ロドデノールは3つのメカニズムでメラニン生成を抑える。
メラニンとは、フェノール類物質が高分子化して色素となったものの総称で、ヒトのメラニンには、 黒〜茶褐色をしたユウメラニン(黒色メラニン)と、淡褐色〜淡黄色のフェオメラニンの2種類があり、シミやくすみ等の色素沈着はユウメラニンによるものと考えられている。
血中から供給されたチロシンは、銅含有酵素のチロシナーゼによって酸化され、ドーパになり、さらにドーパキノンとなり、ユーメラニン とフェオメラニンが合成される。
ロドデノールの3つの作用:
1.チロシナーゼ活性阻害作用
ロドデノールはチロシンのかわりにチロシナーゼと結合し、チロシナーゼの活性化を阻害する。
2.チロシナーゼ分解促進
ロドデノールはチロシナーゼの分解を促進し、チロシナーゼの量を減少させる。
3.黒色メラニン生成抑制作用
ロドデノールには、ユウメラニンの生成に関わる酵素に働きかけ、その発現量や活性を低下させることで、ユウメラニンを減少させる。
カネボウ化粧品では、シミの生成過程における複数のプロセスにアプローチできるというのがロドデノールの最大の魅力であり、これが他の美白成分と比べて非常に高いシミ予防の効果を示す根拠になっているとしていた。
肌がまだらに白くなることについて、「正直なところメカニズムがわからない」としている。
カネボウ化粧品の直近の年間売上高は約1900億円とみられ、自主回収対象の製品の売上高は国内だけで50億円、このほか、台湾や韓国、タイなどアジアで卸売額ベースで約10億円とされている。
この問題はカネボウ化粧品を買収することで化粧品事業の拡大を図っていた花王にとっても痛手となる。
付記 花王は7月29日、第2四半期の業績予想の修正を発表した。
ロドデノール配合美白製品の自主回収関連による損失費用として、
売上原価で28億円(回収費用)、特別損失で56億円(治療費など)、合計84億円を計上した。
慰謝料は治療が終わった後に支払うとし、今回(第2四半期)は折り込んでいない。
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カネボウ化粧品は2006年に花王の100%子会社となった。
カネボウは伊藤淳二社長の下、繊維、化粧品、薬品、食品、住宅の5事業をベースに「ペンタゴン経営」といわれる多角化路線を取ったが、二度の石油危機と円高不況で収益環境が悪化した。
経営不振を補うため、「宇宙遊泳」と呼ばれる粉飾取引が行われた。
2004年2月、カネボウは産業再生機構に支援を要請した。
産業再生機構は多くの事業を順次売却、残る事業について入札の結果、カネボウ化粧品を花王に、残るカネボウをアドバンテッジパートナーズ、MKSパートナーズ、ユニゾン・キャピタルの国内投資フアンド3社の連合に売却した。
「カネボウ」ブランドはカネボウ化粧品だけが使える契約のため、カネボウ・トリニティ・ホールディングスグループは2007年7月1日付けで社名を「Kracie(クラシエ)」に変更した。
カネボウの歴史と産業再生機構による立て直しの経緯は
2007/3/6 カネボウ・トリニティ、社名をカネボウからクラシエに変更
2009年9月に染毛剤最大手のホーユーはクラシエの60%を購入、2012年3月に残る40%も取得し、完全子会社とした。
2009/9/25 ホーユー、クラシエグループ株式の60%を買収
中国国家発展改革委員会(NDRC)は7月2日、原子力発電の電気料金メカニズムを改善すると発表した。
中国では発電・送電が分離されているが、送電網への接続時の価格を、現行の個別の価格決定から「統一的電気料金」政策へと変更する。
全国の原発統一電気料金を1キロワット時あたり0.43元に設定する。
現状で 1ドル= 6.14元 → 0.43元=7セント
この価格は比較的安定的に維持されるが、定期的に評価をし、技術進歩やコストと需給の変化を折り込んで価格調整を行うとしている。
現在の中国の原発の平均コストは0.40元とされる。
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NDRCは2011年8月に、太陽光発電産業の健全で持続的な発展を促すため、統一電気料金を決定した。
2011年7月1日以前に建設が認可されたものは1kwhあたり1.15元で、7月1日以降のものは1.00元となる。
但しチベット自治区のみ、7月1日以降も1.15元とする。
現状で 1ドル= 6.14元 → 1.15元=18.7セント、1.00元=16.3セント
この電気料金は、平均投資と運営コスト、中国の太陽光資源の状況に基づいて確定したもので、太陽光発電所の入札価格を参考にしたとしている。
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中国の電気事業は国の直営として行われていたが、1997年に、中央政府内の電気事業運営部門が、国有企業である「国家電力公司」として分離された。
2002年末には、発電部門と送電部門が分離された。
発電事業者はこの5大発電会社のほかに、原発を担当する中国核工業集団 や、中央政府が管理する国有企業や地方政府が保有する発電会社、民間、外資などがある。
5大発電所会社や中国核工業集団は全国各地に発電所を保有しており、いわゆる地域割という形はとられていない。
送電網は以下の通り。
チベットについては、国家電網が代行管理している。
2013/7/10 公取委、再販売価格行為規制の変更説を否定
6月19日付日本経済新聞夕刊は「メーカーの価格指定容認 経産省・公取委、22年ぶり」と報じた。
経済産業省と公正取引委員会は、メーカーが小売店に販売価格を指定することを容認する検討に入った。
従来は価格競争を促すために価格指定を一律に禁止していたが、流通業界の交渉力向上を背景に欧米のように条件付きで認める。
販売競争による値崩れが緩和されれば、メーカーは収益改善で新商品開発を進めやすくなる一方、消費者の反発を招く恐れもある。
これを受け、公取委は6月26日の事務総長会見で、これを否定、諸外国の規制等の現状と公取委の考え方を詳細に説明した。
http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h25/04_06/kaikenkiroku130626.html
1)米国の状況
最低再販売価格維持行為については、1911年のドクターマイルズ事件の連邦最高裁判所の判決以降、「当然違法の原則」が継続されてきたが、2007 年のリージン事件における連邦最高裁判所判決は、5対4の僅差であったが、1911 年のドクターマイルズ事件判決を破棄して、最低再販売価格維持行為は「合理の原則」で律すべきであると宣言した。
医薬品製造販売のDr.Miles社は400以上の卸売業者、25千の小売業者との間に最低販売価格を定める条項を含む契約を結び、最低販売価格を下回る価格で販売する取引先に対し、差止請求をした。
連邦最高裁は1911年に、「譲渡した財産に対する一般的な制限は通常無効である」というコモンローの判例を引用し、無効とした。
これは垂直的最低販売価格協定を「当然無効」とするものと解釈され、1世紀にわたりその後の判決を拘束してきた。Leegin Creative Leather Productsは革製品とアクセサリーを製造販売しているが、1991年にBrightonブランドのベルトを発売した。
同社は1997年にBrighton価格設定および販売促進政策を定め、推奨価格を下回る価格で販売する小売業者に製品販売を拒否した。
同社の販売戦略の中心のサービスを顧客に提供できるだけのマージンを小売業者に与えること、値引きがブランドイメージと評判を害するというのが理由であった。最高裁判決は、水平的価格協定では、ほとんどの場合に競争を制限し供給を減少させるので「当然違法」であるが、垂直的協定の場合は、状況によって競争促進効果をもつことも、競争阻害効果を持つこともあり、「当然違法」とするのに適さず、「合理の原則」により判断すべきであるとした。
1911年以来保持されていた「当然違法」の原則は、そうした行為が行われただけで違反とされるというもので、反証なり正当化が許されないというものだが、これを「合理の原則」ということで、個別事案ごとに不当性を判断するという原則に立場を変えるということになったが、メーカーの価格指定が認められるようになったというものではない。
2)EU
EUでは、最低再販売価格の維持は原則禁止の考え方がとられている。
条件を満たせば一括適用免除の規定はあるが、購入者の販売価格を決定する能力に係る制限を目的とする垂直的協定は一括適用免除の対象ではない「ハードコア制限」と明示されている。
3)その他諸国
欧州の英国、ドイツ、フランス、カナダ、豪州、韓国らのいずれの国においても、メーカーによる小売業者に対する価格指定や、販売価格の拘束は法律等で禁止されている。
http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h25/04_06/kaikenkiroku130626.files/130626siryou.pdf
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メーカーによる小売業者に対する価格指定、いわゆる再販売価格の拘束という行為については、欧米諸国において厳しく規制されており、公取委としてメーカーによる価格指定を容認する方向での見直しを行う考えはない。
メーカーによる小売業者の自由な価格設定を制限することを容認するということは、公正かつ自由な競争を阻害し、消費者の利益を損なうものであり、適当ではないと考えている 。
昭和50年の最高裁判決(上位メーカーの2社に比べて、小さなシェアしか有していない事業者の再販行為 )や、平成20年のハマナカ事件(文化としての手芸手編み業を維持し、手芸手編み業界全体を守るため、毛糸の値引き限度価格を決めた)の高裁判決でも、正当性は否定されている。
METIは7月9日、平成25年度「アジア拠点化立地推進事業」の採択事業を決定したと発表した。
本事業は、グローバル企業による統括拠点又は研究開発拠点といった高付加価値拠点の国内立地の誘致のため、支援を行うもの。
日本を「アジア拠点」として復活させるため、横断的な事業環境整備と合わせて、高度人材等雇用への貢献度等と連動したアジア統括拠点・研究開発拠点等の誘致・集積を促すインセンティブ制度で、政府の新成長戦略(2010年6月閣議決定)に折り込まれた。
加えて、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」(2010年10月閣議決定)でも、グローバル企業のアジア統括拠点・研究開発拠点の誘致の支援を通じたアジア拠点化を推進することとした。
日本国内の法人格を有し、2以上の国においてグループ会社が実態のある事業を営んでいる法人が、 日本における研究開発拠点、アジア本社機能を新たに新設する場合、プロジェクトのハード部分の整備(土地、施設、機材、設計料等)のコストのうち1/2(中小企業)〜1/3を補助するもので、補助金額は上限10億円となっている。
過去及び今回の採択事業は以下の通り。
事業者名 | 本社国籍 | 整備する拠点 | 分 野 | |
2013年度 | Comverge Japan | 米国 | 研究開発拠点 | 電力デマンドレスポンス |
Siemens Japan | ドイツ | 研究開発拠点 | PET薬剤関連 | |
Nippon Busch | ドイツ |
統括拠点 研究開発拠点 |
真空ポンプ・システム | |
BASF Japan | ドイツ | 研究開発拠点 | 化学(バッテリー材料) | |
過去の実績 | ||||
2010年 | Salesforce.com | 米国 | 研究開発拠点 | ITサービス |
Zydus Pharma Japan | インド | 研究開発拠点 | 医薬品 | |
Dyesol Japan | オーストラリア | 研究開発拠点 | 次世代太陽電池 | |
Eurocopter Japan
T&E (2012/4 Eurocopter Japan ) |
フランス | 研究開発拠点 | 特殊用途ヘリコプター | |
Dou Yee International | シンガポール | 研究開発拠点 | 液晶ディスプレイ | |
2011年 | Sanofi Aventis (2012年 Sanofiに改称) |
フランス | 統括拠点 | 医薬品 |
3M Health Care | 米国 | 研究開発拠点 | ヘルスケア事業関連 | |
DSM Japan Engineering Plastics | オランダ | 研究開発拠点 | 化学品(プラスチック) | |
Cabot Microelectronics | 米国 | 研究開発拠点 | 電子材料(研磨剤) | |
NeoPhotonics | 米国 | 研究開発拠点 | 光通信機器 | |
みかど協和 (親会社:Vilmorin & Cie S.A.) |
フランス | 研究開発拠点 | 種苗 | |
Medasys Japan | フランス | 研究開発拠点 | 医療情報システム | |
Inteligent Energy Holdings | 英国 | 研究開発拠点 | 燃料電池 | |
Umicore | ベルギー | 研究開発拠点 | 工業化学品(触媒) | |
Volvo Technology | スウェーデン | 研究開発拠点 | 自動車関連技術開発 | |
2012年 | GE Japan | 米国 | 研究開発拠点 |
エネルギー(次世代エネルギー関連設備) ヘルスケア(医療用情報システム)等 |
Johnson & Johnson | 米国 | 研究開発拠点 | 医療機器 | |
Tenneco Japan | 米国 | 研究開発拠点 | 自動車部品(排ガス浄化装置等) | |
Faurecia Japan | フランス | 研究開発拠点 | 自動車部品(自動車用シート) |
今回の採択事業のうち、BASF Japanのバッテリー材料については、2月27日に同社が下記の発表をしている。
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BASF、尼崎研究開発センターを拡張し、バッテリー材料研究所を日本に新設
既存の尼崎研究開発センターを拡張し、 バッテリー材料に特化した研究施設「尼崎研究開発センター バッテリー材料研究所」を新設し、
2013 年内に本格的な業務開始を目指す。
同研究所では、 BASF
のグローバルな研究開発ネットワークの一部として、高性能バッテリー用の電解液と電極材料の研究に重点的に取り組み、日本のバッテリー業界へテーラーメイドのソリューションを提供する。
第 1 段階として、 2013年4月にバッテリー材料に特化した研究者が業務を開始する。2013年内には、尼崎研究開発センターを拡張し、新しいオフィスと研究所を新設し、本格的な稼働を予定している。総投資額は数百万ユーロ。
2013/7/11 Sinopec、韓国石油公社の蔚山オイルハブ計画に参加
韓国の朴槿恵大統領は、6月27日から30日まで、経済人71人を同行させ訪中した。
この間、6月28日にはSKとSinopecが武漢エチレンJVの設立の調印を行ったが、同じ28日に韓国石油公社(KNOC)はSinopecとの間で蔚山北港オイルハブ計画の投資意向書を締結した。
蔚山北港プロジェクトについて、合弁会社参加協力、事業段階発展のための緊密な協力、早期に最終投資意思決定を行うよう努力するという内容が盛り込まれている。実現すれば、世界第二の石油消費国の 中国の石油を韓国に貯蔵することとなる。
KNOCは本年5月には世界最大の石油・化学製品タンクターミナル企業のオランダのRoyal Vopakとの間で蔚山北港プロジェクト基本合意書を締結し 、合弁設立の交渉を行っている。
北東アジアのオイルハブを目指す蔚山北港プロジェクトが加速化するとみられる。
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韓国政府は国策として北東アジアオイルハブプロジェクトを構想した。
大規模商用石油貯蔵施設を建設して、石油製品と原油の供給・積み下ろし・貯蔵・仲介・付加処理を行い、石油取引所の形成も伴う。
世界3大オイルハブの中東湾岸地域、ベルギー・オランダ地域、シンガポールに続く、世界第4位のオイルハブを目指すもの。
構想は以下の通りで、麗水と蔚山に建設する。
1)麗水(Yeosu) Oil Hub
運営:OilHub Korea Yeosu
KNOC(29%)、China Aviation Oil (26%)、SK-energy(11%)、GS-Caltex(11%)、Samsung C&T(10%)、
Seoul Line Service (8%)、LG International (5%)貯蔵能力:820万バレル(原油:470万バレル、製品:350万バレル)
2013年3月完工
2)蔚山
貯蔵能力 バース数 第一段階:北港計画 990万バレル 5 第二段階:南港計画 1,850万バレル 3
予定:
北港計画は2016年に埋立、埠頭、港湾敷地造成を完了、その後、タンク42基を建設。
付記
2014年1月8日、建設事業に向け、合弁会社「コリア・オイル・ターミナル」の発足式を行った。
韓国石油公社(51%)、S-Oil (11%)、オランダのVopak(38%)が共同投資し、設立された。
付記
2015年3月、オランダのVopakが原油安を理由に韓国石油公社を通じて事業の先送りを提案した。「事実上の事業からの脱退だ」という。
韓国政府は当初、2015年3月中に「コリア・オイル・ターミナル(KOT)」を正式に発足させる方針だった。
韓国政府の高官は「ヴォパックの脱退に備え、中国石油大手の中国石油化工(Sinopec)と約25%の持ち分参加をめぐり交渉している」と伝えた。
2013/7/12 ドイツの太陽光パネルメーカー Conergy AG、破産を申請
ドイツの太陽光パネルメーカー Conergy AG
は7月5日、破産申請をした。
中国からの輸入品との価格競争と欧州市場の急速な縮小で赤字が続いていた。
独太陽電池専業大手の破綻は2012年4月のQ Cells 以来となる。
Q
Cellsは2012年10月に韓国のHanwhaが買収し、Hanwha Q.Cells GmbHとなっている。
2012/4/6 太陽電池大手
Q-Cells 破綻
2012/11/27 倒産したドイツの太陽光発電メーカーQ.
Cells、韓国ハンファグループのHanwha Q.CELLSとして再生
米国ではSolyndra 、中国ではSuntechなど、倒産した企業が多い。
2012/10/19 倒産した米太陽電池メーカーSolyndra、中国の太陽電池企業を独禁法違反で訴え
2013/3/15 中国のSuntech Power、倒産の危機
Conergyは1998年の創業で、2005年3月に株式公開をした。
創業以来、2.2GW以上を製造販売している。
2012年12月期の売上高は前期比37%減の4億7350万ユーロで、営業損益は8,380万ユーロの赤字だった。
2013年3月末の債務超過は9,630万ユーロ。
過去15か月にわたって、新しい投資家を入れる案を債権者と協議してきたが、まとまらず、支払不能に陥った。
2012年5月にFinancial Timesが、中国企業がConergyの株式30%の取得に向け交渉中と報じた。 社名は明らかにしていない。
Conergyと債権者が協議していたのはこの件であると思われ、関係筋は直前まで、合意に達するとの見方を示していた。
ドイツ国内に800名、海外に400名、合計1200名の従業員がいるが、3分の2がリストラ対象になる見通し。
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ドイツでは Sunways AGも5月初めに破産処理を行った。
70.88%を所有する親会社自身が倒産の危機に直面しており、支援不能となったもの。
かつて生産能力で世界最大の太陽電池用ウエハーメーカーだった中国 の江西賽維LDK太陽能高科技(LDK Solar)が本年1月、Sunways AGの増資(33%)分を220百万ユーロで引き受け、 更に4月にTOBを行い、合計70.88%の株主となった。(他に3%以上の株主はない)
しかし、LDK Solarの1-3月期決算は、ウエハー出荷量が会社予想を下回り、2桁減収となった。8四半期連続の赤字で、小幅ながら赤字が拡大した。
同社は中国の太陽電池メーカーで最も負債の多い企業で、来年に大部分が返済期限が来る。
現在、約30億ドルの負債のリファイナンスを交渉している。
関連記事 2013/7/5 中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始
2013/7/13 韓国政府、「第3次科学技術基本計画」を決定
韓国政府は7月8日、第1回国家科学技術審議会を開き、2017年までに科学技術の研究開発分野に92.4兆ウォン(約8兆1300億円)を投資することを柱とする
「第3次科学技術基本計画」を決定した。
64万人分の雇用を創出し、1人当たり国民所得3万ドル時代を実現することを狙う。
科学技術基本計画は科学技術基本法第7条に基づき、5年ごとに関係官庁の計画と施策を総合的に策定する科学技術分野の最上位の国家計画。
今回の5年間の予算は、前政権(68兆ウォン)より24.4兆ウォン上回る。
今後5年間の研究開発政策の基本となるもので、IT融合型の新産業、将来の成長動力創出、環境、高齢化対策、安全な社会構築という5分野で120項目の戦略技術を育成する 。
主な内容は以下の通り。
分野 | 重点技術 |
IT融合型の新産業創出 | ・次世代の有線・無線通信ネットワーク技術(第五世代:5Gなど) ・先端素材技術、環境対策車技術 |
将来の成長動力創出 | ・太陽エネルギー技術、宇宙ロケット技術 |
クリーンで便利な環境づくり | ・水質・大気などの汚染物質処理技術 ・高効率エネルギービル技術 |
健康・長寿時代の実現 | ・ニーズに即した新薬技術、疾病診断バイオチップ技術 |
懸念なき安全社会の構築 | ・社会的災害予測・対応技術(原子力安全・環境事故など) ・食品の安全性評価・向上技術 |
計画の履行に向けては、以下の5大戦略を提示した。
・国家研究開発投資の拡大および効率化
・国家戦略技術の開発
・中長期にわたる創意力の強化
・新産業創出への支援
・雇用拡大
官庁別に見ると、
保健福祉部は先進国の10%のレベルにとどまっている医療技術を17年までに75%まで引き上げることを目標に掲げた。
農林畜産食品部は予算全体のうち、研究開発に関する予算の割合を昨年の5%から22年までに10%に拡充する。
未来創造科学部は2017年までに基礎研究の割合を40%まで拡大し、科学技術論文の引用索引インデックス(SCI)で引用上位1%に含まれる論文数を世界10位に引き上げるほか、最高水準の先駆的研究者100人を育成する。
未来創造科学部では、「過去の科学技術政策が技術開発と人材育成に焦点を合わせたのに対し、今回の基本計画は研究開発段階から新産業、雇用創出までを初めて含むもの」と説明した。
韓国の科学技術革新能力を現在の世界9位から7位に引き上げたいとしている。
参考 日本の科学技術基本計画
最新分は http://blog.knak.jp