2015/2/3 米、海上貨物輸送カルテルで日本人に禁固刑
米司法省は1月30日、川崎汽船の元幹部 H. T. 氏が海上貨物輸送に関するカルテルを認め、メリーランド州の地方裁判所で1年6ヶ月の禁錮刑と罰金2万ドルが言い渡されたと発表した。1998年4月から2012年4月までの間、乗用車などの roll-on, roll-off cargo の輸送で価格を操作したり、顧客の割当などを行った。
川崎汽船は2014年9月に関与を認め、67.7百万ドルの罰金支払いに同意している。
付記
米司法省は2月6日、川崎汽船の元幹部 T. Y. 氏が海上貨物輸送に関するカルテルを認め、14ケ月の禁錮刑と罰金2万ドルが言い渡されたと発表した。
米司法省は3月10日、日本郵船の幹部 S. T. 氏が海上貨物輸送に関するカルテルを認め、15ケ月の禁錮刑と罰金2万ドルが言い渡されたと発表した。
(2014年12月29日、日本郵船がカルテルを認め、59.4百万ドルの罰金支払いに同意した。 )
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日本の公取委は2014年3月18日、自動車運送業務を行う船舶運航事業者に対し、独禁法違反行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
各社は遅くとも2008年1月以降、日本から北米、欧州などに新車を運ぶ4航路で、値上げ幅などを事前に話し合い、航路ごとに同じ会社が継続受注できるようにし、価格維持を図ったという。
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《 》は減免率 日産専用船は商船三井、日産自動車、ノルウェーのHoegh AutolinersのJV |
2014/3/22 公取委、自動車運送の船舶運航事業者に課徴金納付命令
米国も米国発、米国着の乗用車・トラックなどの
roll-on, roll-off cargo の輸送のカルテルの調査を行った。
これまでに川崎汽船を含め3社が有罪を認め、合計136百万ドルの罰金支払いで同意している。
2014年2月にチリのCompañía Sud Americana de Vapores S.A.が8.9百万ドルの罰金を払った。
2014年9月26日、川崎汽船がカルテルを認め、67.7百万ドルの罰金支払いに同意した。
2014年12月29日、日本郵船がカルテルを認め、59.4百万ドルの罰金支払いに同意した。
付記
罰金
(百万$)決定日 個人 禁固刑 罰金 決定日 Compañía Sud Americana de Vapores S.A.(チリ) 8.9 2014/2 川崎汽船 67.7 2014/9 H. T. 1年6ヶ月 2万ドル 2015/1 T. Y. 14ケ月 2万ドル 2015/2 日本郵船 59.4 2014/12 S. T. 15ケ月 2万ドル 2015/3
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米国で日本人がカルテルで禁固刑となったのは、これで31名となる。(付記 +2名)
2004年 ソルビン酸カルテル ダイセル 1名 2008年 マリンホースカルテル ブリヂストン 1名 2011年〜 自動車部品カルテル 13社 28名(うち外国企業の日本人1名)
他に日本企業の米人1名
他に起訴段階 21名
自動車部品カルテルでの摘発 合計 50名2015年 海上貨物輸送カルテル 川崎汽船 1名 一覧表 2014/11/19 米国、自動車部品カルテルの摘発続く (追加分 付記)
2015/2/4 アルゼンチンのYPF、中国のSinopecとエネルギー分野で提携
アルゼンチンのYPF
SAは1月28日、Sinopecとの間でアルゼンチンでの石油とガス開発のJVを設立するMOUを締結した。
石油とガスの上流部門と恐らくは下流部門をもカバーするJVを設立するというもので、北京で調印された。
石油・ガス開発は在来型とシェールの両方をターゲットとする。
Sinopec は既にアルゼンチンに進出しており、同国で4番目の地位にある。
2011年2月に Occidental Petroleum からアルゼンチンの資産を25億ドルで買収している。
2010/12/17 Sinopec、Occidental からアルゼンチンの石油権益を買収
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アルゼンチン政府は2012年4月16日、スペインの石油会社Repsol-YPFのアルゼンチン子会社YPFを国有化する方針を明らかにした。
アルゼンチン下院は5月3日、国有化法案を可決した。上院は可決済で、大統領の署名で施行された。
YPFはもともとアルゼンチンの国有石油会社だった。1999 年の民営化に伴う政府放出株式をRepsolが購入した。
アルゼンチン政府は0.2%の“golden-share”を持ち、買収拒否権などの重要事項についての権利を持つ。RepsolはYPFの買収後、アルゼンチンの億万長者Eskenazi 一族のPetersen Groupに25.5%を売却するなどで、Repsolは当時、YPFの57.4%を保有していた。
アルゼンチン政府はRepsolの持ち株57.4%のうち、51%分を接収した。
時価による買収ではなく、資産没収で、石油生産の低迷や投資をめぐり対立していたスペインの親会社Repsol-YPFから経営権を奪った。
2012/4/19 アルゼンチン大統領、スペイン石油大手傘下を国有化へ、スペインは反発
Repsolは2012年5月にニューヨークの裁判所に105億米ドルの損害賠償を求めて民事訴訟を起こし、2012年12月3日にアルゼンチン政府を相手取り、世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターに仲裁を提訴したが、Repsolは2014年2月25日、アルゼンチン政府との間の合意書を取締役会が承認したと発表した。
合意書は、YPF の51%持分の接収の補償として50億米ドルを支払うとしている。
接収の結果、出資比率は政府が26.01%、州政府が24.99%、Petersenが25.5%、Repsol 6.4%、その他 17.1%となったが、その後、Petersenが破綻して債権者が取り上げ、債権者の1社のRepsolの持株は12%となった。
2014/3/3 アルゼンチン政府、YPF の接収で補償
なお、アルゼンチン政府の国有化発表直後に、SinopecがRepsolからYPFの買収で交渉しており、150億ドルで買収する非拘束の合意に達したと の報道があった。
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アルゼンチンには大量のシェールガス、シェールオイルがある。
2013年6月のEIA発表では、技術的回収可能量は下記の通りとなっている。
シェールガス(単位:Tcf ) シェールオイル(単位:億バレル) 1 中国 1,115 ロシア 750 2 アルゼンチン 802 米国 581 3 アルジェリア 707 中国 322 4 米国 665 アルゼンチン 265 5 カナダ 573 リビア 261 6 メキシコ 545 豪州 175 7 豪州 437 ベネズエラ 134 8 南ア 390 メキシコ 131 9 ロシア 285 パキスタン 91 10 ブラジル 245 カナダ 88 世界合計 7,299 世界合計 3,450
アルゼンチンのシェールガスの70%以上はNeuquen Basinにある。
Vaca Muerta というジュラ紀と白亜紀の地層がシェールオイル、シェールガスを含んでいる。
YPFは2012年2月に、南アルゼンチンのVaca Muertaシェールオイル層に少なくとも230億バレルの油があることが分かったと発表した。そのうち、130億バレルがYPFに帰属する。
アルゼンチンはYPFの持つVaca Muerta油田の開発に外資を必要とするが、Repsol からの訴訟を恐れ、外資は参入をためらっていた。
Repsolとアルゼンチン政府の紛争解決により、開発が進んでいる。
現在の開発状況は下記の通り。
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4960/1308_out_l_ar_ypf.pdf
鉱区 | 状況 | ||
YPF | Chevron |
Loma La Lata/ Loma Campana |
2013/7 鉱区開発契約 2014年中に16億ドルで170抗掘削 |
Chihuido de la Sierra Negra | シェール探鉱を計画 | ||
Dow | El Orejano | 2013/9 シェールガス生産の契約 Dow Chemicalが1億2000万ドル、YPFが6800万ドルを投資 |
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Petrolera
Pampa (同国) |
Rincon del Mangrullo | 2013/11
開発契約 第1フェーズでは、各 8150万ドル投資、第2フェーズではPetrolera Pampaが7000万ドルを投資 |
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Petronas | La Amarega Chica | 2014/2 共同開発でMOU | |
− | Puesto Hernández | 2014/2 PetrobrasよりPuesto Hernández鉱区の権益の38.5%を4070 万ドルで取得。 | |
− | 2014年2月Apacheのアルゼンチンの全ての資産を買収(8億ドルの現金、借入金
5200万ドル肩代わり)
Apacheは2006年にPioneer Natural ResourcesのNeuquén、Rio Negro、Tierra del Fuego州の33鉱区の権益を
買収。 |
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GyP(同国) Wintershall (BASF) |
Aguada Federal | 2014/1
Wintershallが50%権益取得 第1フェーズに1億900万ドルを投資 |
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Americas
Petrogas(加) ExxonMobil |
Los Toldos I | 2013年6月に坑井をパイプラインにつなぎ込み、ガスの販売を開始 | |
Total | La Escalonada、 Rincón La Ceniza等 |
2010年以降、権益取得 2014年2月以降、La Escalonada 鉱区とRincón La Ceniza鉱区はTotal 42.5%、Shell 42.5%、GyP 15% |
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Shell | Sierras Blancas | 出油、出ガスに成功。 投資額を2013年の1億70 0 0万ドルから、2 0 1 4年には3倍の5億ドルに増やす。 |
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La Escalonada、 Rincón La Ceniza |
2014年2月、Totalの鉱区に参加(42.5%) | ||
Petrobras | Puesto Hernández |
2014年中にアルゼンチンに3 9億40 0 0万ドルを投じる計画で、うち32%はVaca Muertaシェールの探鉱・開発に充てる
。 2 01 4年2月、YPFにPuesto Hernández鉱区の権益の38.5%を4 0 7 0 万ドルで売却。 |
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Pan
American Energy |
Lindero Astravesado、 Aguada Pichana、 San Roque 他に |
株主はBridas
100%(当初はBridas 40%、BP 60%) BridasはCNOOCが50%出資する。 2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 CNOOCは2010年にBridasの株式50%を31億ドルで取得したが、Bridas株式売却を検討している 。 |
アルゼンチン政府は、シェールオイル・ガスの生産が本格化するのは2018年、ガス輸入の必要がなくなるのは2023〜24年としている。
そのためには500〜1000億ドルの投資が必要とされる。