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ギリシャ議会は7月16日未明(日本時間16日午前)にも、金融支援協議の前提としてEUなどの債権団から要求された財政改革の関連法案を採決する。
― 付加価値税率の簡素化
― 広範な課税
― 年金削減
― 国家統計局の独立付記 ギリシャ議会は、賛成は229票、反対は64票、白票は6票 (欠席1人)で可決した。
しかし、これを可決しても、終わりではない。EUはギリシャ議会での法制化を待って、7月15日にユーロ圏財務相会合を開催して改革の実行を確認し、各国議会での承認を経てようやく、正式に支援策の交渉を開始するが、以下の措置へのコミットメントが、協議開始への最低条件である。
◎ギリシャは7月22日までに民事司法改革やEUの銀行破綻ルール実施を可決。
付記
ギリシャ議会は7月23日未明、財政改革法案第二弾を可決した。
ギリシャの金融システムや訴訟制度の安定性を高めるための法案で、銀行が破綻した場合に保護する預金額を一定基準に抑える制度を導入する。民事訴訟の手続きを簡略化し、費用を減らす司法制度改革も進める。◎以下の改革について明確な日程を設定。
― 大胆な年金改革
― 製品市場の改革
― 送電網の民営化
― 団体交渉、ストライキ、集団解雇などの見直し
― 不良資産への対応や政治的介入の阻止など金融セクターの強化
◎以下の措置を講じる。
― 民営化や資産移管による独立基金で500億ユーロを設定。このうち3分の2は、銀行の資本増強や債務削減に充当。
― 行政コスト削減と政治的な影響力を抑制。7月20日までに最初の提案。
― 主要法案を議会などに提示する前に債権団の承認を得る
ギリシャの円建て国債「サムライ債」のうち7月14日に償還期限が来た約117億円は全額返済されたが、7月13日が期限のIMFからの借入金 4.5億ユーロは返済されなかった。
7月17日は、2014年7月発行の3年もの国債の利払い(7100万ユーロ)があり、7月20日にはECBへの 35億ユーロが待っている。
正式な支援策が決まるまでに、つなぎ融資がどうしても必要だが、これについて、EU内部での抗争がある。
EUの執行機関である欧州委員会は、7月のギリシャの資金不足を手当てするために欧州金融安定メカニズム(EFSM:European Financial Stability Mechanism)を活用して70億ユーロのつなぎ融資を実施することを提案している。
これに対し、英国のGeorge Osborne財務相は、14日の協議を前に各国の財務相と電話で会談し、以下の通り述べ、EFSMを活用することに反対すると強調した 。
EFSMを使って、ギリシャ向け繋ぎ融資を実行すると聞いている。そのためには、EU加盟28ヶ国全体で、100〜120億ユーロを払い込まなければならない。そうなると、英国の支払い額は、10億ユーロ規模となる。
英国は、前回ギリシャ債務危機が発覚した2010年に欧州連合との間で、ユーロ圏で起きた危機に関してはEFSMは使わない、ユーロ圏の国だけで対応するという合意を取り付けており、今回どうしてギリシャ危機に対する融資にEFSMが使われようとしているのか、理解出来ない。
英国とともに、非ユーロ圏のチェコも強く反対しているとされる。
2009年10月のギリシャの政権交代後、前政権による財政赤字と債務の“粉飾”が明るみに出たことから、ギリシャの財政危機が発生、財政懸念がポルトガルやスペインその他に拡大した。
このため、2010年5月のEUの臨時閣僚会議で、2つの組織の設置を決め、それらとIMFを加えた3つの柱からなる包括的支援策がつくられた。
EFSM (欧州金融安定メカニズム:European Financial Stability Mechanism)EU27カ国の組織
EFSF(欧州金融安定ファシリティ:European Financial Stability Facility)ユーロ圏17カ国の組織(時限組織)
EFSM はEFSFとIMFとともに、アイルランドとポルトガル向けの支援を行った。
EFSFは ギリシャ、アイルランド、ポルトガル向けに1920億ユーロを、スペインの銀行資本増強に1000億ドルの支援を行った。
ユーロ圏のEFSFは2010年6月から2013年6月までの時限機関として設立されたため、その後継としてESM(欧州安定メカニズム:European Stability Mechanism)が設立された。
EFSFの債権のうち、スペインの銀行資本増強分1000億ユーロはESMに肩代わりされた。
EFSFはその後は融資はしないが、1920億ユーロの債権回収完了までは存続する(現在も存続)。ESMの融資能力は5000億ユーロだが、既存の(EFSFの)1920億ユーロを含めると、最高貸付金額は約7000億ユーロとなる。
現時点での体制は下記の通り。
EFSM(EU27カ国)
ESM+EFSF(残務整理)(ユーロ17カ国)
英国によると、ユーロ圏で起きた危機に関しては今後はEFSMは使わず、ユーロ圏の国だけで対応するという合意があったという。
その場合、当然ESMを使うこととなる。
しかし、欧州委員会は、7月のギリシャの資金不足を手当てするためにEFSMを活用して70億ユーロのつなぎ融資を実施することを提案している。
この理由としては、下記の事情があるのではと噂されている。
ESMを使う場合、緊急動議という議決方法が必要だが、それには議決権の85% 以上の賛成が必要となる。
この場合、ドイツの議決権は26%を超えているため、ドイツが賛成しなければ繋ぎ融資が出来ない。ギリシャが全ての要件を満足させるまでの間は、ドイツの賛成は無理と思われ、当面の資金手当てはEFSMに頼らざるを得ない。
しかし、ユーロ圏の内部事情(ドイツの反対)で、合意に反してEFSMを使うというのは筋が通らず、非ユーロ国の賛成を得られないだろう。
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付記
欧州中央銀行(ECB)は7月16日、ギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)の上限を引き上げた。
引き上げ幅は1週間で9億ユーロとした。
これを受け、ギリシャの国内銀行は週明け7月20日から営業を再開する。1日60ユーロの引き出し制限は続けるが、引き出さなかった分を翌日に持ち越すことが出来るようにする。
→ 1週間あたり420ユーロに変更
ギリシャの財政改革の関連法案可決を受け、ギリシャ支援に議会承認が必要なドイツ、フィンランドなど6カ国の議会が承認した。
電話によるユーロ圏財務相会合が開かれ、3年間で820億ユーロを超える新たな支援に向けた手続き開始を決めたが、支援の正式決定は8月になる見通し。
EUは7月17日、EFSMを活用してギリシャに71.6億ユーロの短期のつなぎ融資を行うことを決めた。期間は最大3ヶ月で、2回分割で返済する。
短期のつなぎ融資ということで、英国も同意したとみられる。
これで当面の債務返済の目途がたった。
7月20日、71.6億ユーロのつなぎ融資を実施。
ギリシャは同日、欧州中央銀行(ECB)が保有する同国国債の元本と利息を合わせて42億ユーロを支払った。IMFにも延滞していた20億ユーロを返済し、IMFは声明でギリシャが「延滞国」でなくなり、同国の金融安定と成長を支えると表明した。
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付記
ユーロ圏財務相会合は8月14日、ギリシャに対し3年間で最大860億ユーロの新たな金融支援を行うことで正式に合意した。
ドイツなど関係国の議会での承認手続きを経て、「欧州安定メカニズム(ESM)」から、まずは10月までに計260億ユーロを融資する予定。8月20日に欧州中央銀行が保有する約32億ユーロのギリシャ国債の償還期限を迎えることから、先行して130億ユーロを同日までに融資、残りの130億ユーロのうち、100億ユーロは銀行の資本増強にあてる計画。
ギリシャは支援を受ける代わりに、財政再建に向け、今後も年金改革や税収増のための税制改革などを続ける必要がある。
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付記 チプラス首相は8月20日夜にテレビを通じて演説し、辞任して、総選挙を行うと表明した。改めて信任を問う。投開票日は9月20日の見通し。
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IMFは7月14日、ギリシャの財政に関する報告書を発表した。
http://www.imf.org/external/pubs/ft/scr/2015/cr15186.pdf
IMFは6月26日付けで、報告書を発表したが、その後の変動を織り込み、見直した。
内容は以下の通り。
2週間前の報告時以降、銀行休業、資本規制導入により銀行システムと経済は痛んだ。
ギリシャの2018年末までの金融支援の必要額は850億ユーロに及ぶ。
早期の対策の合意がなければ、債務は2年間でGDPの200%に達する。ギリシャは欧州が考えているものを超えた救済策がなければ持続不能となる。
選択肢として、融資の金利を極めて低い最優遇金利にした上で30年以上の返済猶予を行うか、債権の一部放棄を行うことだ。
JG Summit Olefinsのフィリッピン初のナフサクラッカーは、昨年6月に試運転を開始したが、技術問題により商業運転は年末にずれ込み、最近、ようやく稼働率を85%程度まで上げてきた。
JG Summit Holdingsの100%子会社JG Summit
Petrochemical が1990年代初めに構想し、検討してきたもので、2005年末にようやく構想が前進した。
しかし、JG Summit Olefinsは最初
2005年に登記されたものの、資金問題で計画が遅延し、2010年に再登記された。
マニラ南方のBatangas のJG
Summit Petrochemical のPE、PPに隣接して建設したもので、
能力はエチレンが320,000トン、プロピレンが190,000トン、分解ガソリン 216,124トンとなっている。
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JG Summit Holdingsはフィリッピンのコングロマリットで、下記の7つのコア事業を行う。
消費財、食品:Universal Robina Corporation
不動産、ホテル:Robinsons Land Corporation、United Industrial Corporation (Singapore)
航空:Cebu Pacific Air
石油化学:JG Summit Petrochemicals、JG Summit Olefins
金融:Robinsons Savings Bank
テレコム:Philippine Long Distance Telephone Company
電力:Manila Electric Company
JG Summit Petrochemicalは1998年4月に JG
Summit Holdings 80%/丸紅20%のJVとして設立された。
BatangasにPE(HDPE/LLDPE) 175千トン(現在 200千トン)、PP 180千トンプラントを建設した。
丸紅はその後、出資比率を17.72%としたが、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。
JG Summit Olefinsは、同国最初のナフサクラッカーとして、6年間(2014年1月から)の免税など、税務上その他の恩典を受ける。
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現在のフィリッピンの石油化学のメーカーは下記の通り。
メーカー 立地 製品 Capacity 増強案 JG Summit Olefins Batangas エチレン 320,000t プロピレン 190,000t JG Summit Petrochemical PE(HD/LL) 200,000t →310,000t PP 180,000t Philippine Polypropylene Inc.
(旧称 Petrocorp)Bataan PP 160,000t →225,000t
NPC-Alliance
(旧称 Bataan Polyethylene)Bataan PE(HD/LL) 250,000t Philippine Resins Industries Bataan PVC 100,000t →140,000t
→180,000tChemrez Technologies PS 30,000t
各社の概要は下記の通り。
Philippine Polypropylene Inc.(旧称 Petrocorp:Petrochemical Corporation of Asia-Pacific)
PetrocorpはChemical Industries of the Philippines, Inc. (CIP) のDr. Eusebio S. Garcia などにより設立された。
Petrocorpは採算悪化や原料プロピレン不足などで何度も操業を停止した。(原料のプロピレンは韓国、台湾、日本などから輸入しており、採算はよくなかった)
2004年頃から外資への売却を検討、2008年11月には株主のCIP や関連会社は所有するPetrocorp の株式を全額評価減している。
その後、同社はVantage Stride (Mauritius) Ltd. に売却された。フィリピン最大の石油会社Petron Corp.は2010年3月、石油化学事業の強化のため、 Vantage Stride (Mauritius) からPetrocorpの株式の40%を買収したと発表した。
2010/3/19 フィリッピン最大の石油会社Petron、PPメーカーPetrocorpに出資
その後、PetrocorpはPhilippine Polypropylene Inc.に改称した。
Philippine PolypropyleneはBataanに年産 160 千トンのPP工場を持っている。
Petronは同じ Bataan に日産18万バレルの製油所を有し、国内に1300のガソリンスタンドを持つ。
2008年にBataanの製油所にFCCとプロピレン回収設備を設置、2009年にはBTX設備を稼動させている。Petron は、川下の石油化学に進出し、プロピレンやBTXを加工し、場合により最終製品まで作りたいとしていたが、買収により、自社のプロピレンをPP原料として供給し、付加価値を高める。
NPC-Alliance (旧称 Bataan Polyethylene)
Bataan Polyethylene は当初、BPが39%、マレーシアのPetronasが39%、住友商事が6%、現地株主のコンソーシアムのProfinda Holdingsが16%を出資して設立された。
その後、採算悪化からBPと住友商事が離脱を決め、その分をPetronasが購入する予定であったが、結局まとまらず、2003年に一旦清算された。
2004年に「プラスチック王」の異名を持つWilliam Gatchalian がMetro Alliance Holdings and Equities (Manila)を通じてBataan Polyethylene の債権を世界銀行のIFCから買い取り掌握した。
GatchalianはイランのNational Petroleum Companyとの間でエチレンの長期供給契約を締結した。
2005年にイランのNational Petroleum Company がMetro AllianceからBataan Polyethylene の60%を買収、同社をNPC-Allianceと改称した。
現在の出資比率は:
イランのNational Petrochemical Company 40%
イランのInternational Petrochemical Company 20%
Philippines Polimax (Metro Allianceグループ) 40%BataanにHDPE/LLDPE 250千トンを持つ。
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Philippine Resins Industries, Inc.
1994年7月に設立された。出資比率は二度変更されている。
設立時 2001/3 2004/3 東ソー 20% 50% 80% 三菱商事 20% 50% 20% Bank of Philippine Island 11% ー ー Mabuhai Vinyl 49% ー ー BataanにPVCの工場を持つ。
能力は当初の70千トンから90千トンに、2004年5月に100千トンに拡大された。
設計能力としては140千トンから最終180千トンまで可能となっている。原料のVCMは東ソーが日本から供給している。
なお、当初の株主のMabuhai Vinyl はフィリッピンの現地資本のPVCメーカーで、隔膜法電解 16千トンを持ち、PVC 28千トンを生産していた。
その後、三菱商事が10%強出資、2000年に東ソーが22.68%出資した。
2009年末にTOBを行い、東ソー 94.24%、三菱商事 5.76%出資とし、現在に至っている。その後、PVCから撤退し、隔膜法(16千トン)に加え、東ソー技術でIM法電解(8千トン)を加え、電解事業に特化している。
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Chemrez TechnologiesはD&L Industriesが事業を多角化したもの。
2015/7/18 温室効果ガス 2030年に2013年比 26%減
政府は7月17日、地球温暖化対策推進本部を開き、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai30/yakusoku_souan.pdf
この目標を同日、国連に提出する。日本は目標策定が遅れ、G7の中で最も遅い提出となった。
政府は目標の検討にあたり、2030年時点の再生可能エネルギー比率を22〜24%、原発を20〜22%と決め、2013年比で排出量を21.9%削減できるとした。
2010年度 2030年度 再生エネルギー(含水力) 9.6% 22〜24% 原子力 28.6% 20〜22% LNG 29.3% 27% 石炭 25.0% 26% 石油 7.5% 3%
⇒
再生エネルギー内訳 安定 水力 8.8〜9.2% バイオマス 3.7〜4.0% 地熱 1.0〜1.1% 不安定 太陽光 7.0% 風力 1.7% 2015/6/4 エネルギーミックス最終案
さらに代替フロン類削減などで1.5%減、森林整備などによるCO2吸収分2.6%を上乗せし、計26%削減を目指す。
内訳(百万トン- CO2) 比率は2013年合計量 (1,408)に対する削減率
2005 2013 2030 2030/2013
エネルギー起源CO2 1,219 1,235 927 -308 -21.9% 非エネルギー起源CO2 85.4 75.9 70.8 -5.1 -0.4% メタン 39.0 36.0 31.6 -4.4 -0.3% 一酸化二窒素 25.5 22.5 21.1 -1.4 -0.1% HFC等4ガス 27.7 38.6 28.9 -9.7 -0.7% 小計 1,396.6 1,408.0 1,079.4 -328.6 -23.3% 温室効果ガス吸収量 - - -37.0 -37.0 -2.6% 再計 1,396.6 1.408.0 1,042.4 -365.6 -26.0%
温室効果ガス吸収源
森林吸収源対策 2,780万t
農地土壌炭素吸収源対策、都市緑化等の推進 910万トン
合計 3,700万トン
政府は目標達成のための対策計画の策定に着手するが、家庭では201百万トンから122百万トンへ、業務・オフィスでは279百万トンから168百万トンへと、それぞれ40%の排出削減が必要で、ハードルは高い。
電気事業連合会と新電力などの電力業界は7月177日、2030年度の電力販売量1キロワット時当たりの温室効果ガスの排出量を、2013年度に比べ約35%削減する自主目標を正式に発表した。但し、各社の負担割合などは未定。
ーーー
毎日新聞によると、各国の目標は下記の通り。
2030年 | 2025年 | |
日本 | 2013年比 26%減 | |
中国 | 2005年比 GDP当たり60〜65%減 | |
米国 | 2005年比 26〜28%減 | |
EU | 1990年比 40%以上減 | |
ロシア | 1990年比25〜30%減 | |
韓国 | 対策とらない場合比 37%減 | |
カナダ | 2005年比 30%減 | |
メキシコ | 対策とらない場合比 25%減 |
日銀は金融経済月報の7月号に消費者物価指数の新指標を掲載した。
天候に左右され、変動が大きい生鮮食料と、昨年以来の原油安の影響が大きいエネルギーを除いたもの。
総合 |
コア |
コアコア
|
その他全て (酒類を含む) |
日銀 新指標 |
その他食品(酒類を除く) |
食品(酒類を除く) | |||
ガソリン | エネルギー | エネルギー | ||
電気・都市ガス・プロパンガス・灯油 | ||||
生鮮食品(天候に左右され、変動が大きい) | 生鮮食品 | 生鮮食品 |
「除く生鮮食品・エネルギーの前年比をみるとこれによると、昨年2月をピークに緩やかなプラス幅の縮小を続けたあと、1〜2月をボトムに再び伸びが高まってきている。」
(同月報)
コアコアCPIとの違いは、生鮮食料以外の食料を含んでいることだが、最近は円安によりこの分野での値上がりが大きい。
「食料工業製品は、昨年7月をピークにプラス幅が緩やかな縮小傾向にあったが、4月以降は、個人消費が持ち直すなかで、為替相場の動きによるコスト高の転嫁を背景とした価格改定が幅広い品目(牛乳、ヨーグルト、インスタントコーヒー等)でみられたことから、プラス幅が再び拡大している。」(同月報)
輸入価格アップのコスト高を転嫁する物価上昇は、メーカーの利益にも、消費者の利益にもならず、好ましいものではない。
政府は2030年時点のエネルギーミックスで、原発を20〜22%と決め 、それに基づき、温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。
2015/6/4 エネルギーミックス最終案
しかし、現存する全ての原子炉が40年で運転終了するとすれば、2030年頃に設備容量が現在の約半分となる。
2030年に原子力を20〜22%にするためには、建設中の島根・大間を稼動させた上で、40年経過の原発の半分を延長する必要がある。
既存の原発の再稼働のための安全審査の状況は下記の通り。
安全審査に合格したのは、川内1・2号機、高浜3・4号機、伊方3号機の5基だが、高浜3・4号機については福井地裁の仮処分が出ている。
2015/4/15 高浜原発、再稼働認めず 福井地裁が仮処分決定
福島第一の1〜6号機に続き、40年超運転の5基(日本原子力発電・敦賀1号、関電・美浜1・2号、中国電力・島根1号、九電・玄海1号)が廃炉を決めた。
日本の原発は48基が43基になる。(他に、建設中がJパワー・大間、東電・東通、中国電力・島根があり、Jパワー大間は安全審査を申請している。)
日本原子力発電の敦賀2号機の直下の断層が活断層と断定された。廃炉は必至である。
北陸電力・志賀1号については、有識者調査団が炉建屋直下のS-1断層が活断層の可能性高いと判断した。廃炉の可能性が強い。
また、同1・2号機タービン建屋直下のS-2、S-6断層も地層に変形を生じた可能性を否定できないとしている。地震・津波対策が課題の原発も多い。
40年超の運転を目指し、関電が本年3月に、美浜3号、高浜1・2号の申請を行った。原子力規制委員会がどう判断するか、注目される。
廃炉決定
安全審査合格
運転開始 | 型式 | 能力 万KW |
申請 |
状況 (2015/7) | ||
北海道電力 泊 |
@ 1989/6/22 | PWR | 57.9 |
2013/7/8 |
積丹半島西岸の隆起は「過去の地震が原因ではない」こと 了承 | |
A 1991/4/12 | PWR | 57.9 | ||||
B 2009/12/22 | PWR | 91.2 | ||||
電源開発 大間 |
ー |
ABWR | 138.3 |
2014/12/16 |
2014/4 対岸の函館市が建設、運転停止求め、訴訟 | |
東北電力 東通 |
@ 2005/12/8 |
BWR (Mark-I 改) |
110.0 |
2014/6/10 |
専門家調査団判断 「将来活動する可能性のある(活断層)」 |
|
東北電力 女川 |
@ 1984/6/1 |
BWR (Mark-I) |
52.4 | |||
A 1995/7/28 |
BWR (Mark-I 改) |
82.5 | 2013/12/27 | 規制委、火山灰の降下量の再検討指示 | ||
B 2002/1/30 |
BWR (Mark-I 改) |
82.5 | ||||
東京電力 福島第一 |
@ 1971/3/26 |
BWR (Mark-I) |
46.0 | 2012/4/19 廃炉 | ||
A 1974/7/18 | 78.4 | |||||
B 1976/3/27 | 78.4 | |||||
C 1978/10/12 | 78.4 | |||||
D 1978/4/18 |
BWR (Mark-I) |
78.4 |
|
2014/1/31 廃炉 | ||
E 1979/10/24 |
BWR (Mark-U) |
110.0 | ||||
東京電力 福島第二 |
@ 1982/4/20 |
BWR (Mark-U) |
110.0 | 地元が廃炉要求 | ||
A 1984/2/3 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
B 1985/6/21 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
C 1987/8/25 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
日本原子力 東海 |
A 1978/11/28 | BWR | 110.0 | 2014/5/20 | PWR優先で審査停滞 | |
東京電力 柏崎刈羽 |
@ 1985/9/18 |
BWR (Mark-U) |
110.0 | |||
A 1990/9/28 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
B 1993/8/11 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
C 1994/8/11 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
D 1990/4/10 |
BWR (Mark-U改) |
110.0 | ||||
E 1996/11/7 | ABWR | 135.6 |
2013/9/27 |
海底断層がつながっている可能性 | ||
F 1997/7/2 | ABWR | 135.6 | ||||
中部電力 浜岡 |
B 1987/8/28 |
BWR (Mark-I 改) |
110.0 |
2015/6/16 |
4号機審査優先 | |
C 1993/9/3 |
BWR (Mark-I 改) |
113.7 |
2014/2/14 |
地震・津波対策が焦点 | ||
D 2005/1/18 | ABWR | 138.0 | ||||
北陸電力 志賀 |
@ 1993/7/30 |
BWR (Mark-I改) |
54.0 |
2015/7/17 1号直下のS-1断層が活断層の 可能性高いと判断。 1・2号機タービン建屋直下の断層も問題 |
||
A 2006/3/15 | ABWR | 135.8 | 2014/8/12 | |||
日本原子力 敦賀 |
@ 1970/3/14 |
BWR (Mark-I) |
35.7 | 2015/3/17 日本原子力発電が廃炉決定 | ||
A 1987/7/25 | PWR | 116.0 | 2013/5/27 敦賀2号機直下の断層を活断層と断定 |
|||
関西電力 美浜 |
@ 1970/11/28 | PWR | 34.0 | 2015/3/17 関電が廃炉決定 | ||
A 1972/7/25 | PWR | 50.0 | ||||
B 1976/3/15 | PWR | 82.6 |
2015/3/17 |
震源断層の深さで規制委と対立 規制委、8月末までに基準地震動が確定 しなければ、審査打ち切りを示唆 |
||
関西電力 大飯 |
@ 1979/3/27 | PWR | 117.5 | |||
A 1979/12/5 | PWR | 117.5 | ||||
B 1991/12/18 | PWR | 118.0 |
2013/7/8 |
2014/5 再稼働を認めない判決 2014/5/30 大飯原発差し止め訴訟判決
控訴審で係争中、差し止めの効力は |
||
C 1993/2/2 | PWR | 118.0 | ||||
関西電力 高浜 |
@ 1974/11/14 | PWR | 82.6 |
2015/3/17 |
2015/4/30 運転期間延長申請 | |
A 1975/11/14 | PWR | 82.6 | ||||
B 1985/1/17 | PWR | 87.0 |
2013/7/8 |
2015/2/12 安全審査合格 |
2015/4/14 福井地裁 仮処分 | |
C 1985/6/5 | PWR | 87.0 | ||||
中国電力 島根 |
@ 1974/3/29 |
BWR (Mark-I) |
46.0 | 2015/3/18 中国電力が廃炉決定 | ||
A 1989/2/10 |
BWR (Mark-I改) |
82.0 | 2013/12/25 | |||
四国電力 伊方 |
@ 1977/9/30 | PWR | 56.6 | |||
A 1982/3/19 | PWR | 56.6 | ||||
B 1994/12/15 | PWR | 89.0 | 2013/7/8 | 2015/7/15 安全審査合格 | ||
九州電力 玄海 |
@ 1975/10/15 | PWR | 55.9 | 2015/3/18 九電が廃炉決定 | ||
A 1981/3/30 | PWR | 55.9 | ||||
B 1994/3/18 | PWR | 118.0 | 2013/7/12 | 2015/3/20地裁判決 プルサーマル差し止め認めず |
||
C 1997/7/25 | PWR | 118.0 | ||||
九州電力 川内 |
@ 1984/7/4 | PWR | 89.0 | 2013/7/8 |
2014/9/10 安全審査合格 |
2015/7/10 核燃料装填作業完了 |
A 1985/11/28 | PWR | 89.0 |
PWR:加圧水型、APWR(Advanced PWR) :改良型加圧水型 −−−フィルタ付ベント設置猶予
BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型 −−−フィルタ付ベント即時設置要
河野太郎代議士の「ごまめの歯ぎしり」(2015/7/15)は「原発停止の燃料コスト」を取り上げた。
これまで経産省は、原発が停止したことによる燃料費の増加がいくらだという数字を何回か出している。
2012年度に3.1兆円増えたと経産省は主張している。
しかし、これは嘘だったとし、経産省に2010年度から2014年度までの各年度に電力10社が使用した実際の化石燃料の使用量、その年度の平均燃料価格を出させた。
LNG、石油、石炭、ウランの合計輸入金額は急増している。
しかし、化石燃料の価格は2010年以降、ドル建ての単価の上昇に加えて、アベノミクスによる円安も相まって、円建ての価格は大きく値上がりしている。
そこで、2010年度と比べて増加した化石燃料の使用量に2010年度の価格をかけて、輸入金額がいくら増加したかを計算し、そこからウラン燃料の輸入が減った分を差し引いた。
「これは資源エネルギー庁の電力基盤整備課と原子力政策課が調べて出してきた数字だ。
もちろん焚き増しで燃料費が増えたことは間違いがない。だがしかし、その規模を正確に国民に伝えるのは行政の役割のはずだ。
行政が、いいかげんな「前提条件」をでっち上げて、現実とは全く違う数字をあたかも現実のように伝えようとするならば、政治がそれをやめさせなければならない。」
ーーー
実はこの分析は正しくない。
ここでは、化石燃料の価格の上昇を原発停止には関係のないものとして、無視している。
アベノミクスでの円安による円建価格上昇はその通りだが、少なくとも量が急増しているLNGのドル建て価格については、無関係とはいえない。
最近こそ、新価格方式が出てきたが、これまでは、日本のLNGの購入契約はほとんどが原油価格スライドであった。
2010年度と2013年度を比べると、WTI原油価格は年平均で79.59ドル/バレルから98.05ドル/バレルに123%アップしている。
しかし、この間のLNGドル建て輸入価格は、55.91セント/kgから83.22セント/kgと、149% 高騰している。
これは原発停止により、不足燃料を補うために各電力会社がLNGのスポット買いに走ったため、足元を見られたものが主と思われる。
当ブログでは、2013年度について、2010年度と比較して、原油価格アップを上回る分を1兆2252億円と計算した。
この分は原発停止の影響として加える必要があろう。
2014/3/9 LNG輸入金額分析--- 原発停止の影響
なお、本年に入り、円安にもかかわらず、LNGの通関価格は急落している。
現時点では、LNGの価格の面では、原発停止の影響はなくなったといえる。
タイ石油公社PTTはタイの6つの製油所のうち、5つを所有し、独占との批判を受けていた。
同社は本年に入り、そのうちの1社の持株全てを売却、他の1社についても年内に手放す。
精製能力 (千bpd) |
PTT | 他株主 | |
Thai Oil | 275 | 49.10% | |
IRPC (旧称 TPI) |
215 | 38.51% | |
PTT Global
Chemical (旧称 PTT Aromatics & Refining) (元はRayong Refinery) |
145 | 48.89% | |
Star Petroleum Refining |
155 |
36%→0%(IPO) |
Chevron 64%→55%(IPO後) |
Bangchak Petroleum | 120 | 27.22%→0% |
買い手 Vayupak Fund →15.60% Social Security Office →14.43% |
Esso Thailand | 177 | ExxonMobil |
2015年2月、PTTはBangchak Petroleumの持株 27.22%のうち、15%を政府のVayupak Fundに売却、続いて2015年4月に残りの12%を政府のSocial Security Fundに売却した。
売却後のBangchakの株主構成は、Vayupak Fund 15.60%、Social Security Fund 14.43%、財務省 9.98%、一般株主 59.98%となっている。
PTTの関係者はこのたび、Star Petroleum
Refining がPTTの持株(36%分) をもとに株式公開(IPO)を行うことを明らかにした。
これにより200〜250億バーツ(588〜735百万ドル)を集める計画で、PTTはStar Petroleum を手放すこととなる。
PTTは独占の批判を避けるため、以前からIPOを通じての売却を検討してきたが、規制面での諸問題とJV相手のChevronとの意見の相違からIPO 実施が何年も遅れていた。
当初、政府はIPO実施後もPTTが少なくとも25%を保有することを求めていたが、本年3月にこの条件を外した。
JV相手のChevronはIPO後にも55%の出資を行う。
この結果、PTTの石油精製事業は、Thai Oil、IRPC (旧称 TPI)、PTT Global Chemical(元はRayong Refinery)の3つとなる。
PTTの精製事業そのものは、比較的好調で、2015年第1四半期の稼働率は
97%、精製マージンは前年同期比で13%増、純利益は3億5,500
万ドルで前年同期から274%増加している。
同社では、「ガス時代の到来に向けた準備を整える」としており、上流ではパイプラインやLNGターミナルの新増設、下流では石油化学事業の収益力強化に向け投資を積極化していく方針としている。
ーーー
各社の概要は下記の通り。
Thai Oil
半世紀前に35千bpdでスタートし、現在は275千bpdでタイ最大の製油所。
下記の子会社を持つ。
Thai Paraxylene
Paraxylene 527千トン Mixed Xylen 52千トン Benzene 259千トン Thai Lube Base
Solvent and Chemical Products
IRPC(旧称 Thai Petrochemical Industry:TPI)
Thai Petrochemical Industry (TPI) はPrachai Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、Prachai が居座りを続け、迷走した。
2005年にはタイ証券取引所が、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
2006年5月になり、同社取締役会はようやくPrachai を解任した。
IRPCと改称した現在の同社の株主はPTT が38.51%、Government Savings Bank 9.54%など。石油化学の状況は 2006/6/8 タイの石油化学の現状
PTT Global Chemical
1991年にShellとPTTがRayong Refineryを設立し、145千bpdの製油所を建設した。
1999年のアジア経済危機に直面し、Rayong Refinery(Shell/PTT) はStar Petroleum Refining(Chevron/PTT) とのJVのAlliance Refining Companyを設立し、営業提携した。
(2009年に提携を解消)2004年にShellは持株をPTTに譲渡し、撤退した。
2007年にRayong Refinery とPTT傘下のAromatics (Thailand)が合併し、PTT Aromatics and Refining とし、2011年にPTT Chemical と合併してPTT Global Chemical となった。
Star Petroleum Refining
1992年にChevron South Asia 64%、PTT 36%の出資で設立。
1996年に130千bpdでスタート。
1998年に能力を155千bpdにアップ。1999年にRayong Refineryと提携したが、2009年に解消。
Bangchak Petroleum
1984年設立。
120千bpdの製油所を運営、1000箇所以上のサービスステーションを持つ。
太陽光発電も行っている。2014年10月に、フィリッピンで主に活動する豪州の石油・ガス会社 Nido Petroleumの株の81.41%を買収した。
2015/7/24 台湾政府機関、新型インフルエンザ対策として「アビガン錠」の備蓄を決定
台湾の感染症対策を行う衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)はこのたび、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(Favipiravir)
を備蓄することを決定した。
これを受け、富士フィルムは7 月13 日に同署へ「アビガン錠」を供給した。
今回の備蓄は、台湾でヒトへの感染の危険性が高まっている鳥・豚インフルエンザおよび新型インフルエンザの治療薬として台湾国民のリスクに備えるもので、「アビガン錠」は現時点では台湾CDCから製造販売承認されてはいないが、台湾CDC は「アビガン錠」の持つ新しい作用メカニズムなどを評価し、「アビガン錠」の特例輸入を決定した。
「アビガン錠」はヒトが鳥・豚インフルエンザや新型インフルエンザに感染した時に使用され、また実際投与された場合には、その情報が富士フイルムに提供される。
今回の供給は、台湾CDC から「アビガン錠」の輸入委託を受けた、現地製薬大手の生達化学製薬を通じて行った。今後、富士フイルムは、同社と提携し、台湾での製造販売承認の早期取得を目指す。
ーーー
ファビピラビルは富士フイルム傘下の富山化学工業 (富士フイルム 66%、大正製薬 34% 出資)によって1998年に発見された。
インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大する。
現在、治療に用いられている抗ウイルス剤はノイラミニダーゼ阻害剤(Neuraminidase inhibitors)で、増殖されたウイルスの放出を阻害して感染の拡大を防ぐものだが、アビガンは、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。
鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)及び A(H7N9)等に対する抗ウイルス作用が期待されており、実験動物レベルでは既に効果が確認されている。
富山化学工業は2014年3月24日、日本で錠剤タイプの新しい抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」の製造販売承認を取得した。アビガンは、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、既存の抗インフルエンザ薬が無効又は効果不十分である場合に備え、新しいメカニズムのアビガンを使用可能な状況にしておくことは意義があると判断され、世界に先駆けて国内で承認となった。
直ちに医家向けに販売するのではなく、厚生労働大臣から要請を受けて製造・供給等を行うもので、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される。
承認には次のような厳しい条件がついている。
・動物実験で初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
・日本人を対象にした薬物動態試験と追加臨床試験結果を医薬品医療機器総合機構に提出し、成績が確認されるまでは「原則製造禁止」 。
(申請に用いたのが米国の試験結果で、日本人を対象にしたものがなかった。)
但し、パンデミック時など厚労相が「要請」した際は製造できる。
ーーー
WHOは2014年8月、エボラ出血熱の患者が過去最大の規模で増え続けている事態を受け、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにした。
ファビピラビルは既にインフルエンザ感染者の抗ウイルス剤として治験が重ねられており、エボラ出血熱の治療に適用する上で優位性がある。
富士フイルムは2014年9月26日、「アビガン®
錠200mg」が、エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため、フランスの病院で投与されたと発表した。
「アビガン錠」を含む3剤を服用していたエボラ出血熱によるフランス人女性患者は10月4日に無事退院した。
韓国保健福祉部は2014年10月30日、「富士フイルムとの間でエボラ治療剤アビガンの供給について合意した」と明らかにした。
ギニア南東部の治療センターでアビガンの臨床試験を行っている国際医療活動連盟(ALIMA)は、血中のウイルス量が低・中レベルの患者では、死亡率が30%から15%に低下したと発表した。ただ、ウイルス量が多ければ効果はみられないという。
富士フイルムHDの古森重隆・会長兼CEOは2015年2月27日、アビガンにはこれまでに約20カ国が関心を示し、大量の注文に応じる用意ができていると述べた。
2015/7/25 イラン、制裁解除で原油の輸出、生産を拡大へ
イラン核問題をめぐってウィーンで協議を続けていた米英独仏中露の6カ国とイランは7月14日、問題解決のための「包括的共同行動計画」で最終合意に達した。
イランは今後10年以上にわたり核開発を大幅に制限し、軍事施設に対する査察も条件付きで受け入れる。
6カ国は、イランが核開発を縮小する見返りに、原油禁輸や、金融取引を制限してきた対イラン制裁を解除していく方針で、AP通信は、今回の合意で数百億ドル分の制裁が緩和されると伝えた。
ただし、米議会は本年5月に最終合意の内容を検証し、承認するかどうかを判断する決議を可決している。
米議会は今後60日間にわたり、最終合意の内容を検証するが、この間は大統領は対イラン制裁を解除できない。
議会が合意を承認しない場合、大統領は「合意の履行を妨げるいかなる立法にも、拒否権を発動する」としている。
イランは国際的な経済制裁の解除をにらみ、原油の供給拡大の準備に入った。
付記
イランと米英独仏中ロの6カ国は2016年1月16日、イランへの制裁を解除すると発表した。
日本を含む各国が凍結していたイラン産原油の売上金など、少なくとも総額500億ドルの支払いが始まる。国際的な銀行間取引からのイランの排除や、イラン産原油の禁輸も解除になる。
イランの足元の輸出量は日量 約120万バレルで、制裁前の半分以下に落ち込んでいるが、石油相は、輸出は制裁解除直後に日量50万バレル、6カ月後には100万バレル増えるだろうと指摘し、近い将来に輸出量は日量250万バレルまで回復するとの見通しも語った。
イランのタンカー船団は約4千万バレルの原油を蓄えており、制裁解除に伴う在庫放出で1700万バレル以上を直ちに出荷できる模様。
イランは、制裁が解除された場合に、潜在的な出荷分を吸収してもらうほか、新たな油田に投資してもらうため、以前同国から原油を購入していたEUの企業、例えば世界最大の独立系石油取引会社のスイスのVitol Groupや、Shell、TOTAL、ENIといった石油生産大手、アジアの既存の輸入者とも連絡を取っているとされる。
原油相場で一段の価格下落圧力になる。
ーーー
イランはOPEC第2位の生産国としてのかつての地位を取り戻すことに意欲を示しており、OPEC内の競争が激化する可能性があ る。
OPECの国別生産枠は2008年11月が最終で、イラクを除く全体 日量 27,300千バレルのうち、サウジの8,477千バレルに次ぐ第二位の3,618千バレルであった。
OPECは2012年1月にイラクを含めた全体枠を30,000千バレルと決め(国別枠なし)、その後変更していない。生産枠 日量千バレル
2008/11
(除イラク)2009/1
(除イラク)2012/1〜
(含イラク)Algeria 1,286
国別なし
国別なし
Iran 3,618 Kuwait 2,399 Libya 1,623 Nigeria 2,050 Qatar 785 Saudi 8,477 UAE 2,433 Venezuela 2,341 Angola 1,801 Equador 493 Iraq (ー) (−) 合計 27,300 24,845 30,000 サウジの現在の生産量は約1千万バレルとなっているが、イランは2012年7月の制裁開始で生産量は大きく減少しており、6月の生産量は日量2,800千バレルとされる。
イランの場合、老朽施設の更新が急務で、2022年までにエネルギー産業に1800億ドル(約22兆円)を投資する計画を表明している。
外国の石油大手の誘致のため、資源開発の契約方式の見直しも進めている。現行の「バイバック契約」に代え、外国企業が出資比率に応じ収益を得られるようにする見通し。
但し、国際石油資本がイランに再参入し、増産が軌道に乗るには1〜2年かかるとの見方がある。OPECも、年内は生産枠を据え置く見通し。
来年は世界の原油需要が日量134万バレル拡大すると予想 しており、「非OPEC国の生産が想定通りに鈍化し、同時に需要の伸びが来年も続くなどの条件が満たされれば、市場はイラン産原油を吸収することができる」としている。
2015/7/27 富士フイルムと協和発酵キリン、バイオシミラー医薬品の開発・販売で AstraZeneca と提携
富士フイルムと協和発酵キリンは7月24日、両社の共同出資会社の協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)が開発中のバイオ後続品(バイオシミラー)で、英 AstraZeneca と提携すると発表した。
対象となるバイオシミラーは、FKB が2014年11月から欧州で第T相臨床試験を開始している「FKB238」で、大腸癌や非小細胞肺癌などに高い治療効果を持つ抗VEGF ヒト化モノクローナル抗体製剤アバスチン(一般名 bevacizumab)のバイオシミラー。
VEGF(血管内皮細胞増殖因子)の働きを阻害することにより、血管新生を抑えたり腫瘍の増殖や転移を抑えたりする作用を持つ。
Genentech (Rocheの100%子会社)が2004年に開発した。米調査会社IMS Healthによると、アバスチンの世界売上高は2014年に6,070百万ドルで、製品別の売上高が11位だった。
日本ではRoche子会社の中外製薬が販売している。
JV(社名未定)は英国に設立する。AstraZenecaとFKBは4500万ドルずつを出資、FKBは「FKB238」に関する権利をJVに移行させ、対価として一時金4500万ドルを受け取る。(AstraZenecaは現金4500万ドルを、FKBは4500万ドルと評価した権利を出資するもの)
FKBの非臨床および臨床などの開発データをもとに、AstraZeneca が持つ癌領域での開発を販売に関するノウハウを活かし、世界的な開発と販売に向けた取り組みを加速する。アバスチンの特許が切れる 2018〜19年の発売を目指す。
IMS Healthによると、AstraZenecaの2014年の売上高は33,313百万ドルで、世界第7位。
(@ Novartis、A Pfizer、B Sanofi、C Roche、D Merck & Co.、E Johnson & Johnson、F
AstraZeneca、G GlaxoSmithKline )
ーーー
協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)はバイオシミラー医薬品の開発・製造を目的に、2012年3月27日、富士フイルム 50%、協和発酵キリン 50%で設立された。
医薬品市場において、化学合成では達成できない薬理作用がある複雑な構造を持ったタンパク質などの生体分子を活用した、副作用が少なく高い効能が期待できるバイオ医薬品の比率が高まっており、バイオ医薬品と同等・同質の効果を持つバイオシミラー医薬品市場は、医療費の高騰問題や、2020年にかけて先行バイオ医薬品が特許満了を迎えることを背景に、世界的に拡大していくと予想されている。
富士フイルムは、医薬品事業を重点・成長分野として位置付け、事業展開を行っており、なかでもバイオ医薬品分野においては、「ペルセウスプロテオミクス」によるバイオ新薬の開発や英・米の子会社「FUJIFILM Diosynth Biotechnologies」によるバイオ医薬品受託製造を通じて、取り組みを加速させている。
ペルセウスは、東京大学先端科学技術研究センターのシステム生物医学ラボラトリーからタンパク質発現等に関する研究成果の技術移転を受け、同ラボラトリーが誇る世界最先端の分子生物医学分野のサイエンティストと臨床医とともに、がんや生活習慣病に対する抗体医薬品を始めとするバイオ医薬品やバイオ マーカーを開発。
富士フィルムは2006年に第三者割当増資を引き受け、22%の筆頭株主になったが、2009年2月に第三者割り当てにより株式の77%を取得、子会社とした。
協和発酵キリンは、バイオテクノロジーを主要技術とした新薬の創出を行っている。
新会社では、富士フイルムが長年写真フィルムなどの事業で培った高度な生産技術や品質管理技術、解析技術と、協和発酵キリンがバイオ医薬品の研究・開発・製造で蓄積してきた独自技術・ノウハウを融合させて、バイオシミラー医薬品の画期的な生産プロセスの創出やコスト低減を行っていく。
協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)は、設立後、第一弾として、関節リウマチなどに高い治療効果を持つヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤
Humira(一般名 adalimumab
のバイオシミラー医薬品(FKB327) の開発を始めた。現在、米国などで臨床第V相試験を実施している。
Humila(adalimumab) は抗体成分である蛋白配列が完全ヒト由来であるため、先行のキメラ抗体製剤よりも理論的に生体適合性が高い(より過敏症を起こしにくい)とされる。
BASF傘下の製薬会社であったKnoll AG(後に米 Abbott Laboratories が買収)が創製した。
米調査会社IMS Healthによると、2014年の売上高は11,844百万ドルで第一位となっている。
日本では、アボットジャパンが輸入し、エーザイが販売している。
2012年10月に、第二弾として、bevacizumabのバイオシミラー(FKB238)の開発を決めた。
協和発酵キリンがすでに確立している生産細胞(バイオ医薬生産用の細胞にbevacizumabの遺伝子を導入したもの)を導入する。
ロッテホールディングスはホームページに、2013年度日韓ロッテグループ業績報告を掲載している。
単位:億円、韓国分は年平均レート(1ウォン=0.0893円)で換算
日本 韓国 合計 (売上高) 菓子 1,605 921 2,526 冷菓 689 444 1,133 飲料 0 1,698 1,698 飲食等 605 1,768 2,372 (食品合計) 2,899 4,831 7,730 流通 0 22,611 22,611 観光・サービス 1,145 4,296 5,441 化学・建設 0 14,404 14,404 金融・投資 34 3,347 3,381 売上高合計 4,078 49,489 53,567 営業利益 227 2,673 2,900 経常利益 228 2,387 2,615 当期純利益 160 1,803 1,963
Lotte Chemical は韓国(2箇所)とマレーシアに合計280万トンのエチレン能力を持つが、ルイジアナ州にシェールガスに付随するエタンを分解し、エチレンを生産するJVと、エチレングリコールのJVの設立を決めた。
2015/6/22 韓国 Lotte Chemical、米国で石油化学
なお、ロッテホールディングスの最近の発表では、2014年時点の連結の資産は8兆9000億円、負債は5兆7000億円で、売上高は6兆5000億円、営業利益は2300億円だった。
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ロッテホールディングスは7月17日、韓国ロッテの会長でロッテホールディングスの取締役副会長の重光昭夫(辛東彬)氏が、ロッテホールディングスの代表取締役副会長に就任した。
重光昭夫(辛東彬)氏は重光武雄(辛格浩)会長の次男。
重光武雄(辛格浩)会長、重光昭夫副会長、佃孝之社長の代表取締役3人体制となった。
付記
ロッテホールディングスは7月28日、取締役会を開き、創業者の重光武雄会長(92)が代表権を外れ、名誉会長に就く人事を決めた。
一族の内紛の結果とされ、今後の株主総会が注目される。
本年1月、ロッテホールディングスは、副会長の重光宏之(辛東主)氏(重光武雄会長の長男)を解任した。重光武雄(辛格浩)会長の決定とされる。
日本担当の長男が韓国のロッテ製菓株を買い進め、創業者がこれに怒った、との説もある。
これまでは、兄が日本、弟が韓国と、兄弟で分業体制を敷いてきたが、今後は昭夫氏が韓国の会長、日本の副会長として、日韓両方を見ることとなる。
韓国ロッテ幹部は「日本ロッテは佃氏を中心に引き続き経営を担い、昭夫氏が韓国事業の経験を生かして経営戦略をサポートする」と指摘し、日韓のロッテ間では事業交流がほぼ皆無だが「今後はより親密になるだろう」と話した。
今後はアジア地域の免税店、製菓事業などで協力・提携を具体化するなど一体経営をスタートさせる。
付記
ロッテグループ4社の社長などを不当に解任されたとして、創業者の重光武雄氏の長男、宏之氏がロッテ側に計約6億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2018年10月4日、請求を棄却した一審東京地裁判決を支持し、宏之氏の控訴を棄却した。
裁判長はロッテホールディングスの取締役会で、グループ会社の事業に関し担当者にうその説明をさせたと認定し「解任されてもやむを得ない理由があった」と判断した。
2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米
後発医薬品世界最大手の
買収額は405億ドルで、現金で337.5億ドル、Teva株式で67.5億ドルで支払われる。
Allerganはこれに加え、免疫調節薬 lenalidomide (Revlimid®)
のジェネリック医薬品の今後の利益の50%分を受け取る。
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Allerganは1948年に抗アレルギー点鼻薬の製造販売のため設立された。抗ヒスタミン点眼薬、ALLERGAN®を発売した。2012年4月25日、米ジェネリックメーカーのWatson Pharmaceuticalsは同じくジェネリックメーカーのActavis Groupを42.5億ドルで買収することで合意した。
Watsonは2012年10月31日、統合会社の社名を2013年からActavisにすると発表した。Actavisは2014年11月17日、しわ取りの医薬品BOTOX®が有名な
Allergan plc を660億ドルで買収することで合意した。
Actavis は Allergan の買収完了の3ヵ月後の本年6月15日に、買収した会社の社名の Allergan に改称した 。2回の買収で、ともに被買収会社の社名に改称したこととなる。
Watson Pharmaceuticals → Actavis →
Allergan Aktavisは日本ではあすか製薬とのJVの「あすかAktavis製薬」を持っている。
現在は、複数の専門領域に特化し、アイケア、神経科、皮膚科、美容医療、泌尿器科の有力な製品を抱え、売上高
54億ドルのグローバルヘルスケア・カンパニーに成長している。
しわ取りの医薬品BOTOX®が有名。
Allerganを巡っては買収合戦が繰り広げられた。
Allerganは2014年11月17日、Actavisによる660億ドルの買収案に合意した。
2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
関係する企業のその他の買収合戦は下記参照
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今回、
Allergenには、ブランド医薬品、メディカルエステティック事業、バイオシミラー開発、流通(ANDA)が残る。
事業 2015年売上高 Allergan Allergan、brand医薬品、流通(ANDA)、Biosimilars 155億ドル 売却 Actavis、MEDIS、Generic R&D、OTC 65億ドル
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Teva Pharmaceuticalsは同じ2015年4月21日、後発薬大手のMylanに対し買収提案を行った。
Mylan N.V. は2015年4月8日、アイルランド製薬大手のPerrigo Company plc に買収を提案したと発表した。
2015/4/16 ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手に買収提案
しかし、4月21日に同社の取締役会が満場一致でMylanの買収提案を拒否したと発表した。
Teva PharmaceuticalsはPerrigoによる拒否発表の同日、そのMylanに対し現金と株式による400億ドルでの買収提案を行ったことを明らかにした。
Mylanの全株式を1株当たり82ドルで、半分を現金、半分をTeva の株式で買収するもの。
Mylanは4月27日、Tevaの買収案を拒否した。Mylanの企業価値を「大幅に過小評価している」としている。
2015/4/24 イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案
Tevaは今回の
Tevaは2016年前半にも買収を完了する予定。
合併により、売り上げ規模は2014年の203億ドルから2016年に約260億ドルに上る見通しで、後発薬市場で他社を引き離し、首位を固める。
製造及びR&D拠点も世界中に広がる。
2015/7/30 鹿児島大、ガン化の恐れのある細胞の除去方法を開発
iPS細胞やES細胞を目的の細胞に変化させて人に移植するとき、目的細胞に変化できずに残った細胞があると 、それが腫瘍になるおそれがある。
鹿児島大の小戝健一郎教授(遺伝子治療・再生医学)のチームは、がんになる可能性がある細胞だけを特殊なウイルスで取り除く方法を開発した。
研究チームは、がん細胞で働いているサバイビン(survivin) という遺伝子に注目した。
細胞は、DNAを損傷するストレス刺激や、細胞へのウイルス感染やがん化させる刺激など、さまざまな刺激に対する生体防御機構の一つとして、自らアポトーシス(細胞死)を起こして自殺する機構を持っているが、複数のカスパーゼ (タンパク質分解酵素)が順に活性化される一連のシグナル伝達経路でこれを誘導している。
サバイビンタンパクは、カスパーゼの活性化を阻害し 、アポトーシスを抑制するため、ガン細胞が増殖する。
逆に、ガン細胞でサバイビンの機能を破壊すると増殖が止まり、アポトーシスが誘導され、ガン細胞が消滅する。
サバイビンはほとんどの種類のガン細胞で高度に発現しているのに対し、完全に分化した細胞ではほとんど産出されない。また、がん患者でのサバイビンの量は、がんの悪性度や患者の予後とよく相関することも分かっている。
研究チームは、ヒトの風邪の原因となるアデノウイルスを使い、サバイビンを持つ細胞だけで増殖して、その細胞を殺すように遺伝子を組み換え たサバイビン反応性 m-CRAをつくった。
これまでに、遺伝子治療の技術を発展させてガンのみで特異的に増殖する制限増殖型アデノウイルス(CRA=Conditionally replicating adenovirus)によるウイルス療法が報告されているが、CRAの ガン特異性(ガン細胞だけを攻撃して、正常細胞は攻撃しない ⇒ 安全性と治療効果)は完全ではなく、また効率的な標準化作製技術も未確立である。
チームは、このCRAの問題点を克服するためにガン特異性の向上と標準的な作製技術の確立を目指し、多因子による精密な ガン特異化や、自由な治療遺伝子導入もできる次世代のCRAであるm-CRA(CRA regulated with multiple tumor-specific factors)を標準的に作製できるシステムを開発した。
単一の因子でガンの特異化を試みる従来の単純なCARではなく、ウイルスの増殖制御部を最大4つの異なるガン特異化の因子で精密に制御することで、ガンの特異標的化を精密に行うことが可能となり、安全性が格段に向上される。
さらに治療遺伝子も搭載可能であるため、ガン治療効果の増強も可能である。
ウイルス遺伝子の改変を行い、その性格を変えることも可能である。
iPS細胞やES細胞から作った未分化細胞と正常に分化した細胞を混ぜて培養し、改変したウイルスを投与すると、未分化細胞だけが1週間ですべて破壊された。正常な細胞は死滅しなかった。
小戝教授は「ガン化するかもしれない細胞を積極的に取り除こうとする全く新しい方法で、再生医療の臨床現場で使える可能性がある」と話している。
貿易統計(7月30日発表)によれば、2015年6月のLNGの輸入価格は55,251円/トンとなった。
2010年1月の輸入価格は48,834円/トンであったが、2011年3月の東京電力福島第一原発事故とその後の日本の全原発の停止により、電力各社はLNGのスポット買いに走り、その結果、LNG価格
(ドル建て)は上昇した。2012年末からは急激な円安となり、輸入価格(円建)は急騰した。
税関長レートは貿易統計で示されている。
ドル建て価格で見ると、原発事故前には10ドル/百万BTU程度であったのが、事故後は16ドル前後で推移した(一時は18ドルを超えた)。
しかし、2014年夏以降の原油価格の下落により、長期契約では原油価格スライドが主の天然ガスの平均通関価格も本年初めから急激に下落し、2015年5月には 9ドルを割り、6月には 8.47 ドルまで下がった。 (原油の指標価格の下落と、それを基にしたLNG契約による輸入LNGの通関時期には数ヶ月のズレがある)
輸入LNG 1トン=53百万BTUで計算し、税関長レートでドルに換算した。
円建ての輸入価格も、最高価格は2014年12月の96,535円/トンで、 その後、円安は続くものの下落し、2015年6月の輸入価格は55,251円/トンとなった。
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経済産業省では2014年から、LNGのスポット取引の動態を明らかにし、LNG先物市場の検討など行政施策の基礎材料とするとともに、LNGの輸入や消費などをする事業者の事業に資することを目的とし、スポットLNG価格調査を行い、発表している。
2015年6月の契約ベース、入着ベースはともに7.6ドル/百万BTUとなっている。(5月については、報告者がゼロまたは1社のため非公表)
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数年後に米国産LNGの日本への輸出が始まる。
現在の通関価格は現時点の米国産LNGの想定輸入価格を下回る水準になっている。
2015年6月時点の計算は下記の通り。(百万BTU当たり)
天然ガス スポット価格 2.78ドル LNGのFOB価格 6.20ドル (2.78x1.15+3) 同 CIF価格 9.20ドル LNG通関価格 8.47ドル
天然ガス スポット価格は米国EIA(Energy Information Administration) の発表による。
米国産のLNGの輸出が開始されると天然ガス価格は6ドル/MBTU程度まで上昇するとの説があるが、現在のところは3ドルを下回る水準である。
米国のLNGのFOB価格はCheniere Energy の契約価格フォーミュラによる。
原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費
固定費分は韓国向け、インド向けなどの 3ドル/MBTUとした。
運賃はGulf Coast からの3ドル/MBTUとした。(カナダ西海岸からの場合は1.24ドルとされる)2012/2/24 米国からのLNG輸入問題
6月の通関平均価格が8.47ドル、入着ベーススポット価格が7.6ドルであることから、スポットの方が安い。
現時点では価格面では原発停止の影響はないといえる。
2015/7/22 原発停止の燃料コスト
最新分は http://blog.knak.jp