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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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 2016/3/15 三井物産、ミャンマーで肥料事業に参画 
 

三井物産は3月10日、下記の2つのJVを通じてミャンマーでの肥料事業に参画すると発表した。

1) シンガポールに投資会社BMM Venture (S) Pte. Ltd を設立

東南アジアの化学品販売大手で175年の歴史を持つ Behn Meyer が51%、三井物産が49%を出資

2) ミャンマーに肥料の製造・販売及び輸入肥料販売を行う事業会社 Agri First Co.,Ltd.(AFC)を設立

BMM Venture (S) が60%、ミャンマーのMyanmar Agribusiness Public Corporation(MAPCO)が40%を出資

三井物産はBehn Meyer とは肥料・農薬分野で長年の取引関係がある。

MAPCOは2012年に設立された企業で、ミャンマー農業の発展に寄与する中核的な存在と目されている。
三井物産は、2013年2月にミャンマーでコメ事業への参入を発表、MAPCOとコメ事業で幅広く提携した。

三井物産とMAPCOは2013年9月に 、ミャンマーでコメとコメ製品を生産するため、Myanmar Japan Rice Industry を設立した。
三井物産が49%、MAPCOが51%出資した。

トゥワンテ、ネピドー、チャイクレ、ラトパタンの4箇所に精米工場を建設、インドネシアなどのアジアやモザンビークをはじめとするアフリカ東部にコメを輸出する。
精米以外に、くず米を原料とする麺や米ぬかを使った食用油、油かすを利用した飼料も生産する

今回設立するAgri First は、ミャンマーのティラワ工業団地内に約12億円を投じて年間10万トン規模の粒状配合肥料の製造設備と倉庫等を建設する。

2017年5月の操業開始を目指しており、Behn Meyerが有する粒状配合肥料の製造・販売に関する知見と経験、MAPCOの国内農業従事者とのネットワーク、さらに肥料の原料開発、物流、販売事業に長年取り組んで来た三井物産のファイナンス・物流・調達・マーケティング機能を融合し、ミャンマーの農業の発展に貢献してい くとしている。

.. ミャンマーには3つの経済特区計画がある。

北部のチャウピュー(Kyaukpyu)で中国が開発しており、既に中国向けの原油とガスのパイプラインが完成している。

2013/5/24  パイプライン万里長城が完成

ヤンゴン南部のティラワ(Thilawa SEZ)は日本が担当する。
2015年9月23日に開業式が行われた。

2013/5/29 ミャンマーの経済特区

南部のDawei SEZはタイが担当する。

2015/8/18 ミャンマーのDawei 経済特区、ようやく前進 

ミャンマーは日本の約1.8倍の国土、約2.8倍の農用地面積を有しており、二期作や二毛作に適した気候と水資源にも恵まれ、農業分野において高い成長が期待されてい る。
現在のミャンマーの肥料需要は100万トン超の水準で推移しており、農地面積や農作物の種類が似通っているベトナムやタイなどと比較すると、その規模は約5分の1程度にとどまっているため、今後の高い伸びが予想されてい る。

日本とミャンマーの国土と農用地面積

  ミャンマー 日本
面積(万ha) 比率(%) 面積(万ha) 比率(%)
国土全体 6,766 100.0 3,780 100.0
農用地 1,259 18.6 455 12.0

出所:農林水産省ホームページ

 

三井物産は新中期経営計画で掲げた7つの攻め筋における事業展開に取り組んでいる。

ハイドロカーボンチェーン エネルギーの上流〜下流、関連事業の展開
資源(地下 + 地上)・素材 資源採掘から素材加工、循環型社会構築への取組
食糧と農業 食糧増産と食の安定供給に貢献するソリューション提供
インフラ 国造りへの貢献とインフラを起点とするビジネスの広がり
モビリティ 輸送機械等の製造・販売・金融・関連サービス
メディカル・ヘルスケア 病院を中核とした事業展開と医薬バリューチェーン
衣食住と高付加価値サービス 次世代機能(IT/金融/物流)活用による消費者連動型ビジネス

本件は農業資材事業の基盤拡大を通じ、「食糧と農業」の攻め筋を強化するもの。

三井物産はこれを機に、これまでの日本、欧米、南米といった地域に加え、今後ミャンマーをはじめとする東南アジアにおける肥料・農業資材関連ビジネスへの取り組みを強化してい く。


2016/3/16    DSMの変身

DSM は2015年3月、ポリマー中間体(カプロラクタムおよびアクリロニトリル)事業およびコンポジットレジン事業を拠出し、英国の投資顧問会社であるCVC Capital Partners とともに新会社ChemicaInvest を設立すると発表した。

新会社にはCVCが65%、DSMが35%を出資する。

DSMが拠出する事業と能力は下記の通り。(千トン)

 
場所 カプロラクタム アクリロニトリル Composite Resins
オランダ Sittard-Geleen 工場 270 Sittard-Geleen 工場  280 Schllnebeek 工場
フランス         Compiegne 工場
イタリア         Filago 工場
中国 DSM Nanjing Chemical 
(Sinopec 40%出資)
400     Jinling DSM Resins
(Sinopec 25%出資)
米国 DSM North America
(Shaw 引取権 45)
250      
合計   920   280  
全社 Licensing    

カプロラクタムについては、DSMは自社のナイロン原料用の少なくとも80%分の引取権を15年分確保する。

2015年7月31日、この取引が完了し、新会社 ChemicaInvest がスタートした。

このうちDSM Acrylonitrileについては、2015年12月1日に AnQore と改称した。.
acrylonitrile (AN) を基盤(“core”) にするという意味。

DSM Caprolactamは2016年1月18日に Fibrant と改称した。

DSM Composite Resins はAliancys と改称した。

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DSMは2007年に新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。

Life Sciences Materials Sciences へのシフトを進める。

2007/10/3 DSMの経営方針

DSM20101221日、米国のMartek Biosciences10.87億ドルで買収する契約を締結したと発表した。

この買収はDSMLife Sciences Materials Sciences会社に変身して最初の買収で、Nutritionを強化するという同社の方針に沿うものである。

2011/1/5 DSMMartek Biosciencesを買収 再構築をほぼ完成 

中国国有化学大手の中国中化集団(Sinochem Group)は2010年1217日、DSM の抗感染症薬事業(DSM Anti-Infectives)50%を買収すると発表した。
社名は DSM Sinochem Pharmaとなった。

2010/12/23  中国シノケム、DSMの抗感染症薬事業の50%を買収

DSMと未公開株式投資会社のJLL Partners は2013年11月、DSM Pharmaceutical Productsと (JLL が大株主の) Patheon Inc. を統合し、医薬品メーカーに対する製剤開発・受託製造機関(CDMO)の世界的リーダーをつくると発表した。
新会社はDPxで、JLLが51%、DSMが49%出資する。

これにより、DSMの医薬品部門は、Sinochemとの50/50JVのDSM Sinochem Pharma とDSMが49%出資のDPx の、いずれも持分法会社のみとなった。

今回のポリマー中間体およびコンポジットレジン事業の拠出で同社の変身はほぼ完了した。


現在の主力製品は以下の通り。

Performance Materials
  Engineering Plastics  ナイロン、高機能プラスチック
  Dyneema   超高分子ポリエチレン繊維
  Resins & Functional Materials  コーティングレジン、機能材料
  ---  
Nutrition   ビタミンの世界市場ではトップシェア、世界で唯一ビタミン全13種類を扱う。
  Animal Nutrition & Health  動物用飼料
  Human Nutrition & Health  食品、製薬向け
  Personal Care  化粧品向け(スキンケアの有効成分やUVフィルター、乳化剤等)
  ---  
Emergin Business Areas
  Biomedical    バイオメディカル素材と、医療機器や、ドラッグデリバリーシステムに用いるコーティング剤
  Bio-based Products   トウモロコシの非可食部分を使ったバイオエタノールを世界で初めて商業生産                                   
     バイオコハク酸などを世界に先駆けて開発
  Advanced Surfaces  高品質のコーティング剤
     
     

 


2016/3/17  日立化成、がん免疫療法を始めとする再生医療用細胞等の受託製造事業に参入
 

日立化成は3月15日、再生医療等製品の開発を行っているCaladrius Biosciences, Inc.の子会社であり、再生医療用細胞の受託製造の分野で米国最大手の一社であるPCT, LLC, a Caladrius Company へ出資するとともに技術提携契約を締結し、再生医療用細胞等日本国内向けの受託製造事業に参入すると発表した。

PCTは再生医療用細胞の受託製造で17年間の実績を持つ。需要家のニーズに応じ、開発・製造のどの段階でも支援を行う。

日立化成はPCTの株式 19.9% を1,940万ドルで購入する。Caladrius Biosciencesは残り80.1%を保有する。

日立化成は、PCT が行う米国における受託製造事業の経営に参画するほか、PCT から本事業に関する技術およびノウハウの供与を受け(日本を含むアジア地域がテリトリー)、再生医療用細胞等日本国内向けの受託製造事業に2018 年度をめどに参入する。
2030
年度に売上高 100億円を目指す。 

PCT からの技術およびノウハウの取得に加え、日立グループの技術支援を受け、自動化設備等を備えた生産管理システムを開発することで、高品質・低コストの再生医療用細胞等の受託製造が可能となる。

日立はPCTに一時金として560万円を支払うとともに、事業収入に応じ、サービスフィとロイヤリティを支払う。
日本とアジアにおける事業の投資資金と運営費用は日立が負担する。

日立とPCTは更に、欧州でのJV設立について検討することで合意した。

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再生医療は、けがや病気で損傷した臓器および免疫の機能を回復させるため、細胞を体外で培養するなどして体に移植する治療法であり、がん免疫療法や、体性幹細胞・iPS 細胞等を用いた治療法がある。

近年、特にがん免疫療法、体性幹細胞を用いた治療法の臨床応用例が急増している。

さらに日本での法規制緩和およびiPS 細胞の実用化等により、再生医療の急速な立ち上がりが期待され、周辺産業市場は2025 年頃から急拡大し、2030 年には5 兆円、2050 年には15 兆円の世界市場が見込まれている。
(経済産業省「再生医療の実用化・産業化に関する報告書」2013 年)

日本では、2014 年11 月、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、細胞培養加工について、医療機関から企業への外部委託が可能となり、さらに「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(略称: 医薬品医療機器等法)」の施行により、再生医療等製品の特性に応じた早期承認が可能となった。

これらにより、国内再生医療市場の急速な拡大が期待されている。

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日立化成は、1981 年から診断薬を中心とした医療関連製品を手掛けている。

 扱い製品

・臨床化学自動分析装置:特定健診に必要な血液検査項目がこれ1台で測定可能
・同時多項目アレルゲン特異的IgE 測定試薬:血清を用いてアレルギーの原因となる物質の特異的IgEを測定
・アレルギー性結膜疾患迅速測定試薬
・抗クラミジア トラコマチス IgA、IgG、IgM抗体測定試薬:
性感染症の一種であるクラミジア トラコマチス感染症を診断する検査試薬
 

医薬品医療機器等法の下での医薬品の臨床試験、薬事承認取得および製造販売で蓄積してきたノウハウを生かし、高品質と低コスト化を両立した、がん免疫療法用をはじめとする細胞の自動培養システムの確立および本事業の早期立ち上げを目指す。

さらに、容器や試薬などの消耗材についても取り組む。


2016/3/18  キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手 
 

キヤノンは3月17日、東芝の医療機器子会社、東芝メディカルシステムズを買収する契約を結んだと発表した。

3月9日に東芝から独占交渉権を得て協議を続け、合意したもの。買収額は6655億円で3月17日に決済した。
これとは別に、東芝アメリカが保有する東芝アメリカメディカルシステムズ等の株式を東芝メディカルシステムズに約225億円で譲渡した。

東芝は2015年12月21日、画像診断装置などを手掛ける全額出資子会社の東芝メディカルシステムズを売却する方針を明らかにした。「少なくとも50%以上、場合によっては100%の株式売却も考える」としている。

2016/1/5 東芝メディカルシステムズの争奪戦?

3月4日に実施した第2次入札にはキヤノン、富士フイルム、コニカミノルタと英投資会社Permiraの企業連合の3陣営が応札していた。

東芝は3月9日の取締役会で東芝メディカルシステムズの売却先としてキヤノンを選び、独占交渉権を付与した。
キヤノン側が示した7000億円規模の買収額や、事業の重複が少なく、独占禁止法の審査が容易で売却手続きが円滑に進むとみられる点を重視した。

一方、富士フイルムホールディングスは3月16日、東芝メディカルシステムズの売却に関し、東芝宛に質問状を送付した。
売却手続きに疑問があると訴え、キヤノンと最終合意を結ぶ前に回答するよう求めた。

東芝が2月4日に発表した2016年3月期の損益予想は、売却益を含まない前提で、7100億円の赤字となっている。東芝が3月末までに東芝メディカルの売却益を計上できれば、債務超過に陥るリスクが遠のくが、質問状では、「キヤノンによる東芝メディカルの株式取得手続きが本年3月までに完了し、2016年3月期決算で売却益計上が可能とは考え難い」と指摘している。

独禁法第10条では、(株式取得で)一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、取得してはならないとしている。

独禁法第10条2項で、会社が他の会社の株式取得する際、一定の基準に当たる場合には、公正取引委員会に事前に届出しなければならないとされている。

これによれば、独禁法による承認を得るまでは株式を取得できないこととなる。

3月中に承認を得るのは極めて難しい。日本以外でも、米国や中国の承認を得る必要がある。

この問題に対処するため、キヤノンは異例な手法をとった。

東芝は発表で次のとおり述べている。

当社は、本日東芝メディカルシステムズの売却を決定し、キヤノンと株式等譲渡契約書を締結いたしました。決済は本日完了しており、東芝メディカルは確定的に当社の子会社ではなくなりますが、キヤノンが主要各国の競争法規制当局からのクリアランスを得られた時点で子会社とするために、それまでの間は独立した第三者であるMSホールディングが東芝メディカルの議決権を保有することになります。

株式の譲渡先は明確にキヤノンであるが、当面の東芝メディカルの議決権は購入したキヤノンではなく、MSホールディングが保有する。

MSホールディングは株式の保有及び運用を目的として設立された特別目的会社で、株主は東芝とキヤノンのいずれからも独立した第三者の3人。

宮原賢次(住友商事名誉顧問) 33.3%
吉戒修一(弁護士・元東京高裁長官) 33.3%
横瀬元治(公認会計士・元あずさ監査法人専務理事) 33.3%

独禁法第10条2項の規定は、具体的には、取得後の議決権の数の割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合となっている。キヤノンが株式を取得するが、議決権は第三者のMSホールディングが保有するため、条文の上からは公取委の承認前の株式取得は認められることになる 。

キヤノンは公取委と海外の当局の承認を得た時点で、議決権を取得し、正式に子会社とすることになる。

東芝は、この会計処理が認められた場合、2016年3月期に売却益 5900億円を計上する考えで、「慎重に検討している」としている。

しかし、独禁法の条文は、普通株式の取得=議決権の取得を前提にしており、これが認められるかどうか、疑問である。
公取委の承認を得るまでの間の東芝メディカルの運営にキヤノンの意向が反映されないとの担保が取れるだろうか。

富士フィルムは3月17日、「これが認められるなら、独禁法が形骸化するのではないか」と批判した。

付記

公認会計士協会の森公高会長は3月31日の会見で、本件に関し、「個別の事案には答えない」と述べた。

そのうえで一般論として、公正取引委員会が今回の案件を認めなければ、東芝による売却益計上が会計原則上、認められない可能性に言及した。

モノの所有権が移転しているかどうかなどの「経済実態」に即して、会計処理していくべきだとの見解を示し、公取委が買収を承認しない場合、経済実態がないとの認識になるのか、との質問に「その可能性が高い」と指摘した。

付記

キヤノンは12月19日、申請を行っていた各国・地域において所要の競争法規制当局のクリアランス取得が完了したため、東芝メディカルの株式取得(子会社化)を行うことを、取締役会で決議した。

3月17日に下記取引を行っており、今回はMSホールディングスが持つA種類株の取得となる。

3/17 東芝メディカルの売却を発表  
    A種類株(議決権あり)20株   MSホールディングに譲渡(対価 9万8600円)
         
    B種類株(議決権なし) 1株

キヤノンに譲渡(対価 6655億円)
    新株予約権

 

ーーー

東芝は3月18日、家庭電器事業の売却も発表した。

テレビ、生活家電などの開発、製造、販売を行う東芝ライフスタイルについて、映像事業を東芝グループに移管したうえで、株式の大半を美的集団に売却する基本合意書を締結した。
売上規模は2014年度連結で2,254億円となる。

今後、2016年3月末までの最終合意に向け協議する。

対象事業は売却完了後も、「東芝ブランド」の冷蔵庫、洗濯機、掃除機やその他の小型家電などの白物家電をグローバルに開発・製造・販売を継続する。

映像事業(パソコン・タブレット:Dynabook、液晶テレビ:REGZA、その他)は東芝グループ内で事業を継続する。

付記

2016年6月30日、東芝ライフスタイル鰍フ発行済み株式の80.1%を美的集団の子会社のMidea Internationalに売却完了した。

東芝は引き続き19.9%を保有するが、8年経過以降に行使可能なプットオプション(東芝保有)とコールオプション(MICC保有)の契約を締結した。

なお、東芝ライフスタイルの映像事業は、東芝映像ソリューション(旧称東芝メディア機器)に承継。

東芝と美的集団は、コンプレッサー、小型家電およびインバーター等の分野で20年以上にわたり強固な協力関係を構築している。

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東芝メディカルと家電事業売却の発表と同時に、東芝は半導体製造棟の建設について発表した。

3次元フラッシュメモリの生産拡大を目的に、四日市工場に隣接する土地に新製造棟を建設し生産設備に投資する計画を取締役会で承認した。

この計画に3年間をめどに約3600億円を投資する。



2016/3/19  シャープ、蚊取り空気清浄機発売

シャープは3月17日、蚊の習性と空気清浄機の吸引力を利用し、薬剤を使わずに蚊を捕獲するプラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』を発売 すると発表した。

蚊が媒介する伝染病に悩むマレーシアの保健省医療研究所の協力を得て、6年がかりで開発、2015年秋から東南アジア6か国で発売し、半年間で3万台近く売れた。
シャープの実験では、6畳の部屋で22時間動かしたところ、9割前後の蚊を捕獲できたという。

空気清浄機としても高性能で、花粉の季節に役立つ「花粉運転」や睡眠に適した「おやすみ運転」を搭載しているほか、「スピード循環気流」と3つのフィルターで集塵・脱臭 する。

「スピード循環気流」
プラスとマイナス両方の静電気を除去できるプラズマクラスターイオンで、微小な粒子が壁などに付着するのを防ぎながら遠くのホコリも引き寄せる。

3つのフィルター
 ・大きなホコリを入り口でブロックする「プレフィルター」
 ・空中に漂うタバコ臭やペット臭、料理臭を脱臭する「脱臭フィルター」
 ・0.3μmの微小な粒子を99.97%以上集塵する「静電HEPAフィルター」

発売日は4月23日で、想定価格は税抜き5万円。

 

蚊取り機能の仕組みは次の通り。

「誘う」 蚊の習性の利用 360nmの紫外線に近寄る 360nmを含む紫外線を発光するUVライトで誘う
黒色など蚊自身が目立たない色を好む ブラックボディに近付かせる
暗がりなど狭い所に隠れる習性 小窓で誘惑
「吸い込む」 吸引力 近寄ってきた蚊を空気清浄する吸引の気流で吸い込む
「捕まえる」 粘着式 粘着式「蚊取りシート」で蚊を捕獲

蚊を捕獲した粘着式「蚊取りシート」は、2つに折り畳んで簡単に捨てられる。
薬剤を一切使わないので、小さな子供や年寄り、ペットのいる家庭などで幅広く使用できる。


2016/3/21 Petrobras のBraskem 売却構想 

ブラジルの国営石油会社Petrobras SAは2016年1月に Braskem の持株 36.1% を売却することを決めた。

Petrobrasを巡っては国を揺るがす騒動が起こった。

同社の元幹部が、同社との契約を希望する建設会社らに賄賂を要求し、契約額の数%相当、総額6千億円規模が与党政治家らに不正献金として渡っていた疑いで、捜査対象は政財界の有力者に広がっており、これまで元官房長官や、建設大手でBraskemの大株主のOdebrechtの経営幹部などが逮捕されている。

2008年から最近までOdebrechtの経営に当たっていた Marcelo Bahia Odebrechtは19年の懲役刑を受けた。

Petrobrasは1300億ドルに上る負債を圧縮し、資金繰りを確保するため、本年に140億ドルの資産売却を検討している。

Petrobras は2月26日、中国国家開発銀行から100億ドルの融資を受けることで合意したと表明した。
2009年には、中国開発銀から100億ドルの融資を受ける代わり、Sinopecに対して10年間にわたり日量20万バレルの石油を提供することで合意しているが、今回も同様に中国企業に対して燃料を供給する。

これまでに3社がBraskem株購入に関心を示しているとされる。
カナダのBrookfield Asset Management とSaudi Aramcoで、もう一社は中国の石油化学事業会社とされる。

中国企業については名前を挙げられていないが、別途、CNOOCが少数持分の購入に関心を示していると報じられている。

問題は、Braskemの主株主のOdebrecht とPetrobrasが意思決定を共同で行 っており、Petrobrasの持分売却の条件に、Odebrechtが売却先をパートナーとして受け入れることが含まれており、Odebrechtが決定を保留していることで売却交渉が止まったままになっている。

Braskemの株主 (過去の経緯は後記の通り)

  議決権 全体  
Odebrecht 50.1% 38.3% 共同意思決定
Petrobras 36.1% 36.1%
その他 2.9% 25.6%  

「その他」に議決権 0.96%をもつ双日が含まれる。

日商岩井と三菱化成は1974年にHDPE製造のため地元企業との合弁でPolialden を設立、1975年にPVC事業のためCPC(その後Trikemに改称)を設立した。
2003年にBraskemは三菱化学、日商岩井から両社の持株を買収したが、日商岩井はBraskem株式と交換した。

現地紙によると、Odebrecht もBraskemの持株を売却することを検討しているとされる。
しかし、今のところ、Odebrechtは売却を否定している。

現地紙によると、Odebrechtの関連会社のOdebrecht 農業法人が背負っている債務100億レアル(約3200億円)の返済計画見直しにあたって、貸付銀行団は追加担保として、Braskemの持分を狙っているとされる。

仮にOdebrecht と Petrobras が売却するとすると、持分総額は時価で111億レアル(3500億円)になるという。

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Petrobras(ブラジル国営石油会社)とOdebrecht(Braskemの主株主)2010年1月24日、Petrobras 40% / UNIPAR 60%出資のQuattor Petrochemical のUNIPAR持株を買収し、同社をBraskemに統合すると発表した。買収額は478百万ドル。

また、PetrobrasBraskemへの出資を増加する。

Odebrechtは議決権の50.1%を保持するが、 Petrobras OdebrechtBraskemでの意思決定を共同で行う。
このため、両社は持株会社
BRK Investimentos Petroquimicosを設立する。

2010/1/25 BraskemとPetrobrasの石油化学事業統合

                          

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Braskemの能力は下記の通り。(千トン)

 


2016/3/22   英国が北海の石油生産業者向け減税発表 

英国のOsborne 財務相は、3月16日に議会に提出した2016 / 17 年度 (2016年4月〜17年3月 ) 予算案で、北海沖で石油生産を行うエネルギー会社向けの減税措置を明らかにした。

石油収入税(Petroleum Revenue Tax)を事実上、廃止するとしたほか、石油・ガス生産業者に対する追加費用税(Supplementary Charge Tax)を20%から10%に半減する。本年1月1日に遡って適用する。

減税効果は2016 / 17 年度から2020 / 21年度の5年間で約10億ポンド(14億ドル)に上る見込み。

原油相場の急落により、とりわけ北海沖での石油生産が盛んなスコットランド北東部の雇用が大きな打撃を受けているほか、同地方の財政も圧迫していた。

オズボーン財務相は「スコットランドの主要産業と雇用を支援する」と表明した。

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Petroleum Revenue Tax、北海での石油操業の利益に対して英国が油田単位で課している特別税。

第一次石油危機を契機とする原油価格の高騰を受け、政府の税収増加と北海での石油操業における石油会社の過剰利益吸い上げを目的として、1975 年に導入した。

所得税課税前の収入に課せられ、所得税計算上は公租公課として経費処理される。

税率は当初 45 %であったが、1978 年に 60 %、1979 年に 70 %、1983 年以降は 75 %になった。
その後、50%になっていたが、2016年から35%に引き下げられた。今回、これを事実上廃止する。

Supplementary Charge Tax は、石油生産業者に対する法人税の追加税で、2015年1月からは20%となっているが、今回、これを10%に引き下げる。

なお、英国(UK and on the UK Continental Shelf) の石油・ガスの開発及び生産事業から得られた収益に対する法人税は、通称 Ring Fence Corporation tax と呼ばれる。

同一企業で石油事業以外の収益がある場合、石油事業の利益(ring fence profit)で他の事業の損失を消すことは認められない。
石油事業の損失を他の事業の利益で消すことは認められる。

一般の法人税率は、2015年4月以降、課税所得に関わらず20%となった。
2017年4月以降 19%に、2020年4月以降18%に引き下げられる予定。

これに対し、Ring Fence Corporation taxの税率は30%である。

石油事業の税率は下記の通り。

  一般事業

石油事業

 

従来

現状 改正後

表面

net 表面  net    表面 net
Corporation tax 20% 30% 15% 30% 19.5% 30% 30%  Petroleum Revenue Taxを控除した所得に課税される。
Supplementary Charge Tax 20% 10% 20% 13.0% 10% 10% 
Petroleum Revenue Tax 50% 50% 35% 35.0%  0% 0%   
合計 20%   75%       67.5%     40%   

 


2016/3/23 BASF、韓国のKolon Plastics とポリアセタール製造のJV設立 

BASFは3月16日、韓国でのポリアセタール(POM)の製造に向け、Kolon Plastics との折半出資の合弁会社「Kolon BASF innoPOM, Inc.」を設立する契約を締結したと発表した。

BASFはLudwigshafen に50,000トンのPOMプラントを持ち、Ultraform®の製品名で販売している。
一方、Kolon は金泉に65,000トンのPOMプラントを持っており(後記)、Kocetal® の製品名で販売している。

JVは金泉に70,000トンの設備を新設する。新設備が2018年下半期に稼動すると、金泉の合計能力135,000トンとなり、世界最大のPOM製造コンプレックスとなる。

新設備稼働後は、BASFはLudwigshafenでのPOMの製造を中止する予定。

BASFとKolonは、JVの製品を両社それぞれの製品名とフォーミュレーションで世界中で販売する。

Kolon側は、世界をリードするKolon Plasticsの技術と効率性の高い既存のインフラ基盤が大きな相乗効果を生み出すとしている。

BASF側は、「POM市場は世界中で拡大しており、合弁事業により、高性能で革新的なスペシャリティ製品で需要家をサポートする能力が、特にアジアで強化されることになる」としている。

ーーー

Kolonの金泉のPOMプラントは元は東レ技術である。

Kolon Industries と東レは1996年、金泉市にポリアセタールの製造販売のJVの KTP Industries  (Kolon Toray Plastics) を設立した。
当初は東レが30%、
Kolon が70% 出資した。

東レ独自開発の簡略化された重合プロセスを採用し、ポリマーベースで20,000トンのプラントを建設した。

その後、1998年東レが増資を全額引受け東レ68.9%、Kolon  31.1%とした。

しかし、2008年6月、東レはKTPへの出資を解消したと発表した。経営資源の集中による樹脂事業のコアABS樹脂、ナイロン樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂等)での競争力強化および事業拡大戦略に鑑み、出資を解消することとした

東レ撤退を受け、KTP IndustriesKolon Plastics と改称した。

Kolonは2012年1月に生産能力を20,000トンから65,000トンに引き上げた。

ーーー

Kolon グループは韓国の財閥の一つで、1954年に李源万、李源千兄弟により設立された繊維貿易商・開明商事が基である。

1957年にKorea Nylon を設立し、日本から輸入したナイロン糸の布地加工からスタートし、ナイロン原糸の製造を始めた。1969年にKorean Polyester を設立した。

その後、両社をKolon (Nylon) Industries、Kolon (Polyester) Industries と改称し、1981年に両社を合併して Kolon Industries とした。

別途、Kolon グループは1976年にKolon Chemical を設立し、石油樹脂からスタートし、SAP、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂に拡大したが、2007年6月にKolon Industries と合併した。

現在、Kolon Industries 、Chemical Material 部門で繊維、産業資材、フィルム、エレクトロニック資材、エンプラを、Performance Material 部門で石油樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を扱っている。

なお、SAPについては、1985年に韓国科学技術院と共同で製造技術を開発し、1987年に仁川で商業生産を行なったが、2008年6月にLuckyにSAP事業を87百万ドルで売却した。

2008/6/30 韓国LG Chem、高吸水性樹脂に進出

 



2016/3/24     SKグループ崔泰源会長が代表復帰 
 
SKグループの崔泰源会長が2年ぶりに、グループ持株会社であるSK鰍フ代表取締役に復帰した。

SK鰍ヘ3月18日、定期株主総会を開き、崔会長の取締役選任などの主要案件を全て可決した。
崔会長は、株主総会直後に開かれた取締役会で代表取締役に選任された後、取締役会議長に就任した。

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崔会長は2003年、不正な株取引によってグループ会社に損失を与えたとして,背任容疑で逮捕された。前年3月に、グループ支配強化のため,ウォーカーヒル・ホテル株(非上場)とSK鰍フ株式交換をした際,ウォーカーヒル・ホテルの株価を不当に高く評価して約700億ウォンの不当利益を得たというもの。

崔会長は一審で懲役3年の実刑判決を受け、7か月程服役したが、2審で執行猶予で釈放された。最終的に2008年に大法院で懲役3年・執行猶予5年を宣告されたが、直後に建国60年での特別赦免となった。

ソウル中央地裁は2013年1月31日、株式投資によって生じた損失を補填するため、グループ会社の資金を横領した特定経済犯罪加重処罰法違反の罪に問われたSKグループ会長の崔泰源被告に対し、懲役4年の実刑判決を言い渡し、身柄を拘束した。再犯 であることも考慮された。

韓国政府は2015年8月14日、光復節(独立記念日)65年を迎えて、2493人を特別恩赦、減刑、復権した。
崔泰源会長も再度恩赦となり、同日出所した。

2013/2/8 韓国SKグループ会長に懲役4年の実刑判決 

これに先立ち2015年4月20日に、SKグループはグループの事実上の持株会社のSK C&Cと持株会社のSKが合併すると発表した。

これまで、崔一族が大株主で、情報システム開発を手掛ける事業会社であるSK C&C が、持株会社のSKに3割超を出資するという形となっており、株式市場からは支配構造が分かりにくいとの指摘が出ていた。

両社は6月29日の株主総会で合併を承認し、8月1日に合併が完了した。

SK C&Cが新株を発行してSKの株式と交換する吸収合併方式をとるが、SKブランドの象徴性やグループアイデンティティ維持のため、合併会社はSK鰍ノなった。

合併後、崔泰源一家は合併持株会社の持分を30%以上保有する。

崔泰源会長の経営復帰を控え、グループ内の屋上屋構造を解消することにより支配構造を強化する一方で、財務構造の改善によって、新たな成長事業を積極的に推進できる足場を構築することになった。

崔会長は8月14日の出所直後にグループ経営陣に会い、グループの危機克服の現状や国家経済活性化への貢献策、創造経済革新センターの現状などについて報告を受け、事実上業務を開始した。

統合持株会社は、ITサービス、ICT融合、バイオ・製薬、半導体素材・モジュール、LNGバリューチェーンの5大新成長分野を集中的に育成して、2020年までに売上げ200兆ウォン、税引前利益10兆ウォンを達成するという経営目標を提示している。

崔会長はグループ強化に向け、急速に動き出した。

SKは2015年11月、半導体製造プロセスに不可欠な三フッ化窒素(NF3)世界1位のOCIマテリアルズの持分49.1%を買収し、半導体素材事業に本格的に進出できる基盤を作った。
また、国内カーシェアリング1位の「SOCAR」の株式20%を取得した。

SKテレコムはCJハロービジョンを買収し、ITサービス分野の強化に乗り出した。
LNG分野では
崔会長チェ会長が直接中国を訪問し、中国内で最大のLNG発電容量を保有している中國國電集團との合弁案を議論している。

またバイオ・製薬分野では、SKバイオテックを孫会社(SKバイオファーム子会社)から子会社に格上げし、増設計画を打ち出した。

ーーー

崔泰源会長(55歳)は昨年末に不倫を告白、隠し子もいることを明らかにし、妻との離婚意思を明かした。
妻は盧泰愚元大統領の次女で、離婚に応じない考えを示している。

ブルームバーグの世界の富豪リストによると、崔会長は世界367位、韓国5位の富豪で、資産総額は42億ドルとなっている。

ーーー

SKの起源は、1939年に日本資本の満綢緞(ジュウタン)が日本の都織物との合弁で作った「鮮京織物」で、1953年に崔鍾建が工場設備一切の払い下げを受け、1956年に法人化した。

1973年に鮮京油化を設立し石油精製に進出、その後、重化学工業部門や建設、ホテル・カジノ運営に進出し、1976年に本体の繊維部門が総合商社となって鮮京と改称した。
(1998年に社名をSKに変更)

1980年に韓国政府の民営化方針を受け、鮮京が大韓石油の政府とGulf Oil 持株を買い取り、100%子会社とした。一時、油公と改称、1997年にSKとした。

韓国では、政府が1962年に大韓石油を設立、1970年にGulf Oil が50%出資した。
子会社大韓油化は1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった。

油公は1987年にARCOとのJVのYukong ARCOを設立し、PO/SM併産プラントを建設した。1992年にARCOが撤退、Yukong ARCOはYukong Oxichemicalと改称、その後、SK Oxichemical 、SK Evertec を経て SKC となった。 

1994年には同じく国営の韓国移動通信の払い下げを受けて「SKテレコム」に改称、同社を韓国の携帯電話業界の最大手にまで成長させ、石油部門と並ぶグループの事業の柱を形成した。

ーーー

崔泰源会長が2年ぶりに SK鰍フ代表取締役に復帰する一方で、CJグループのCJ とCJ 第一精糖の株主総会では、李在賢会長の取締役選任案件が上程されなかった。
李会長がグループ内の系列会社の取締役の肩書を一つも持たなくなったのは、1994年の就任以来初めて。

CJグループは第一精糖グループが1993年に三星グループから分離したもので、李在賢会長は三星グループ創始者の李秉浮フ長男の息子。

ソウル中央地裁は2014年2月、横領、背任、脱税で起訴された李在賢会長に懲役4年、罰金260億ウォン(約25億円)の判決を言い渡した。

李会長は数千億ウォン台の不正資金を運用しながら546億ウォンを脱税し、グループの資産963億ウォンを横領したほか、会社に569億ウォンの損害を与えた背任の罪で2013年7月に在宅のまま起訴された。

李会長は現在、健康問題のため拘束執行停止の状態となっている。


2016/3/25 Shell とAramco、米国のJVのMotivaを分離 

ShellとSaudi Aramco は3月16日、両社のJVのMotiva Enterprises LLCの資産を分離する覚書を締結したと発表した。

Motiva は1998年に設立された石油精製・販売会社で、2002年以降、両社の50/50JVとして運営されてきた。

Shell は分離取得する事業と、自社の他の事業(精製、下流)と一体化して運営する。Saudi Aramco も、Shell とのJVを通じて米国の事業を拡大してきたが、それぞれが独自の下流事業の目的に向け動くときだとしている。
AramcoはMotivaの分離後、米国で更に事業を買収する考えを明らかにしている。

Motivaは合計日量100万バレル以上の精製能力の3つの精油所を持つが、次のとおり分割される。

  Aramco Shell  
社名(Motiva)    
製油所 Port Arthur, TX
(元 Texaco )
  米国最大の精油所(60万バレル)
単一工場で米国最大の潤滑油プラントを持つ。
Norco, LA
(元 Shell)
  能力 23.5万バレル
隣接してShellの石化コンプレックス
 エチレン 2系列 計 150万トン
 ブタジエン 26万トン

 Shell は1995年にPPプラントをUnion Carbide (Dow) に売却
 2000年にResinプラントを現在のMomentiveに売却
Convent, LA
(元 Texaco )
  1967年にTexacoが建設
1979年に増設し、能力23万バレル
ガソリンターミナル 26 9  

Aramcoは製品のガソリンとディーゼルについて、テキサス、ミシシッピー川流域、大西洋岸中部及び南東部で「Shell ブランド」の独占使用権を受け取る。
これに対し、Shellは、フロリダ、ルイジアナ、北東部で「Shell ブランド」で販売する。

付記 

2016/7/5のReuter報道では、Shellは上記の分割の差額として20億ドルを求めており、交渉の進展次第で分割が遅れる可能性がある。

ーーー

Motivaの歴史は次のとおり。

1988年にTexaco とAramco子会社のSaudi Refining が50/50JVのStar Enterprise を設立し、米国の東部及びメキシコ湾岸のTexacoの石油精製・販売事業を引き継いだ。

1998年にShell とTexacoは2つのJVを設立し、両社の石油精製・販売事業を統合した。
米国西部と中西部の事業のJVを Equilon とした。(Shell 56% / Texaco 44%)

米国東部と東南部の事業(TexacoはSaudi とのJVのStar)のJVをMotivaとした。(Shell 35% / Texaco 32.5% / Saudi 32.5%)

2001年にTexacoとChevronの統合後、Shell とSaudi はChevron持分を買収した。
EquilonはShell 100% となり、Motivaは50/50JVとした。



2016/3/26  米最高裁、Samsung とApple のデザイン訴訟を審理 

米国連邦最高裁は3月21日、Samsung が同社とAppleとの間で争われている知的財産侵害訴訟の判決を見直すよう求めて上訴した件について、Samsungの上訴を認める決定を下した。
連邦最高裁は10月から9カ月にわたり、口頭弁論を開くとみられる。

連邦最高裁が上訴を認める確率は1%にも満たない。連邦最高裁がデザイン特許事件を審理するのは約120年ぶりとなる。

本件経緯は下記の通り。

2011/4      Apple が提訴
          Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害

2012/8/24   陪審団は、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、1,050百万ドルのAppleの損害を認定

技術特許 
  @ Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能
  A Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム
  B Tap to Zoom ('163)  :画面タップにより文書を拡大
デザイン特許
  @ iPhone Front (D'677) 、A iPhone Back (D'087)、BiPhone Home Screen (D'305)

2013/3/1   

Lucy Koh判事は、陪審員による賠償金額の算定方法に2つの法的な誤りが見つかったとし、1次評決で陪審員団が算定した1,050百万ドルの賠償金のうち43%に当たる450.5 百万ドルを削減する」と判決し、
この部分について、
新たな陪審員団に知的財産侵害の損害を再算出するよう命じた。

その後、削減したうち、Galaxy SII AT&T に関する賠償金 40百万ドルを承認した。

2013/11/21  

削減した分についての算出を担当する新しい陪審員は、Samsungに290 百万ドルの支払いを命じた。
この結果、当初の1,050百万ドルの賠償金は、929百万ドルとなった。 (1,050ー451+40+290)

2015/5/18   米連邦巡回区控訴裁判所、 賠償の一部は無効と判断した。

一般に認識されているiPhoneの特徴的な外観やデザインをSamsung がまねたとする「Trade dress」については、米商標法の保護対象にならないiPhoneの機能的要素に基づくものだと判断、損害賠償額を見直すように、下級審に差し戻した。

Trade dress 分は382百万ドルで、これを除くと548百万ドルとなる。

2015/12/14  Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金支払

2015/12/14  Samsung、米最高裁判所に上告

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く 

高裁はSamsung が Apple のデザイン特許を侵害しており、特許デザインを使用したSamsungのスマートフォンによる利益の一部を受け取る法的権利がAppleにあると判断したが、Samsung はこれに異議を唱えた。

連邦最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは1800年代までで、その後は扱っていない。

最初の訴訟は1871年のGorham v. Whiteで、Gorham and Co.がスプーンやフォークの取っ手のデザイン(“cottage pattern”)で特許を取り、評判が良かったが、Whiteが類似品を出した件。


最高裁は、一般人はデザインの違いを認識できないとして、特許侵害と認めた。

1885年のDobson v. Hartford Carpet Co. ではカーペットのデザインが問題となった。

Samsungは申し立てで「スプーンやじゅうたんでは、特許を取得したデザインが本質的な特徴であるかもしれない。しかし、デザインとは全く無関係である顕著な機能性など他に多くの特徴を含むスマートフォンに同じことは当てはまらない」と主張し 、最高裁に対し、「意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか」、また「どのような賠償を請求できるのか」について指針を示すことを求めた。

これに対し、Appleは、この訴訟を「法的に例外的な事例ではない」と述べた上で、Samsung との法的闘争を「長引かせる」ことがないよう最高裁に求めていた。
Appleはまた、この件は米国の最高裁による解決を必要とするほどの重要な案件ではないとも主張した。

Samsung は、「この判例が効力を持った場合に影響を受けかねない大小すべての米国企業のために、米最高裁判所に上訴することが重要であると考えている」と述べている が、多くの企業、団体がSamsung を支持する法廷助言書(amicus curiae)を提出した

Google、Facebook、eBay、Hewlett-Packard、Dell、Vizioなどの各社に加え、スタンフォード大学やジョージタウン大学などの法律専門家、Public Knowledgeや電子フロンティア財団といったNPO、Computer & Communications Industry AssociationやHispanic Leadership Fundなどの権利擁護団体がそれぞれ提出した。

いずれもSamsung の要求を支持するもので、 「最近の判決は一部装飾的な特許を違反したとの理由で (スマートフォンのような)複雑な革新製品の全体を侵害したと見なしており、憲法的価値と合わない」と述べ、最高裁に対して、デザイン特許に関する定義を明確にすることや、この特許の侵害に関する賠償金の額を制限することなどを求めている 。

これはSamsungに好意をもってのことでなく、情報技術業界の利益がかかる問題であるためだと見られている。

最高裁の決定を受け、Samsung は3月21日の声明で、「われわれの上訴を受理した最高裁の決定を歓迎する。最高裁によるこの判決の見直しは、創造的な活動を支え、革新的な成果に報いるという特許法の公正な解釈を導き出す可能性があるものだ」と述べ た。

 


2016/3/28   三井物産と三菱商事、減損損失計上で2016年3月期損益予想を大幅に引き下げ

三井物産は3月23日、三菱商事は3月24日、それぞれ2016年3月期の連結最終損益予想を大幅に引き下げた。
両社とも、初の連結赤字決算となる。

損益予想の引き下げ理由は下記の通りだが、減損損失のうちの大口のもの(チリ銅事業と豪州LNG事業)は両社の共同事業である。

三井物産
事業分野 内容 主な理由 当期損益
税引き後 
  億円
金属 チリ銅事業 Anglo American Sur 銅価格見直し等 -900
カセロネス銅事業 -250
ブラジル資源事業 Vale 減損 -350
豪州石炭事業 長期石炭価格 -250
エネルギー 豪州Browse LNG事業の減損 開発計画遅延 -400
その他原油・ガス資産の減損 長期原油・ガス価格 -150
機械・インフラ 海外発電事業の減損 長期電力価格 -300
合計 -2,600
 
三菱商事
事業分野 内容 主な理由 当期損益
税引き後 
  億円
金属 チリ銅事業 Anglo American Sur 銅価格見直し等  -2,800
豪州鉄鉱石 鉄鉱石価格下落 -300
南ア フェロクロム フェロクロム価格下落 -200
エネルギー 豪州Browse LNG事業の減損 開発計画遅延 -400
上流部門 アジア 原油・ガス価格 -120
  同   北米   -60
  同   北海 廃坑費見直し -70
シェールガス 遊休資産再評価 -30
その他   -120
その他 海外発電事業 、船舶関連ほか   -200
減損損失 合計 -4,300
市況下落による持分損益の悪化等 -200
損益見直し 合計 -4,500

註) いずれも税引き後の損益であり、実際の減損損失計上額とは異なる可能性がある。
    (三菱商事のLNGの減損損失計上額は600億円となっている)

(1) チリ銅事業における減損損失

Anglo American Surは、チリ国内にLos Bronces銅鉱山、El Soldado銅鉱山、Chagres銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区などの優良資産を保有する。

同社については、2011年11月に三菱商事が24.5%の出資を発表したが、それまでに、世界最大の銅製錬企業であるCorporación Nacional del Cobre de Chile(コデルコ)と三井物産のJVのAcrux(Inversiones Mineras Acrux SpA)が最大49%の出資を約束していたことで、取り合いとなった。

本件は2012年8月に和解で解決し、次のとおりとなった。(三井物産は2012年11月にAcruxの出資を増加)

2012/8/27 チリ銅鉱山・製錬所運営会社の紛争で和解

両社は今回、昨今の市況及び今後の需給の動向を踏まえ、長期銅価格の見直しを行った結果、減損損失を計上する。

三菱商事は、銅市況の低迷に加え、新規鉱山プロジェクトの開発期間の長期化等を踏まえて総合的に見直したとしている。

同社では、取得時に1ポンド4ドル(8,800$/ton)程度だった銅価格が2ドル(4,400$/ton)程度に下落、 急回復は見込めないとして、中長期の価格見通しを3ドル(6,600$/ton)に引き下げた。

銅市況の推移は下記の通り。

両社の参加時の価格は8000$/tonを超えていたが、最近は4500$程度まで下がっている。

しかし、2005年までを見ると、4000$以下である。2010年頃から2014年頃までが中国の需要増により異常に上昇していたといえる。

三井物産はこれに加え、Minera Lumina Copper Chileのカセロネス銅事業について、足元の操業状況を勘案し、約250億円の減損損失を計上する。

三井物産が25%、Pan Pacific copper (JX日鉱日石金属 66%、三井金属鉱業 34%)が75%出資する。

なお、Pan Pacific copperは、これに隣接するFrontera 地域における銅・金資源の探鉱権益の40%を石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から譲り受けている。

Pan Pacific copper株主のJXホールディングスは800億円、三井金属鉱業は193億円の減損損失を計上している。

2012/9/13  JX日鉱日石金属と三井金属鉱業、チリ・アルゼンチンの銅・金の探鉱権益を取得 



(2) 豪州LNG事業

豪Browse LNGの当初計画は、西豪州沖合で採掘したガスをパイプラインで圧送し、James Price Pointに建設する施設で精製、液化、出荷するものであった。

両社は折半出資する豪Japan Australia LNG (MIMI) Pty Ltdを通じて、2012年4月に参加した。

しかし、計画を主導するWoodside は
2013年4月にJames Price PointでのLNG建設は投資基準に合致しないと判断したと発表した。
Shell社のFloating LNG技術及びWoodsideが有する上流開発における知見を活用した開発を検討中で、
最終投資決断は2016年後半を予定

両社は、開発実行が当面見送ることとなるため、減損損失を計上した。

なお、当初は東西地区で別のJVをつくっていたが、統合することで合意した。

  従来出資比率 新出資比率
East JV West JV
Woodside 34% 17% 30.60%
三井物産・三菱商事 16% 8% 14.40%
Shell 25% 35% 27.00%
PetroChina 8.33% 20% 10.67%
BP 16.67% 20% 17.33%
合計 100% 100% 100%

2013/4/16 三菱商事・三井物産出資の豪Browse LNG計画、採算合わず計画見直し

 

(3) 三井物産のブラジル資源事業会社Valeの損失取込 (約350億円)

三井物産は2003年に、ブラジル資源事業会社Valeの持株会社であるValepar の株式15%を取得し、役員差入れなどを通じてVale社の経営に参画している。

Valeが2015年12月期の第4四半期決算に減損損失を計上したことにより、取込損失約350億円を計上する。

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その他の商社の決算予想は下記の通り。

住友商事

2014/10/1  住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上 

本年1月にマダガスカルのニッケル事業で770億円の減損損失を計上すると発表した。

2016/1/19    住友商事、マダガスカルのAmbatovy ニッケルプロジェクトで約770億円の減損損失を計上

新たにチリの銅開発で140億円、南アの鉄鉱石関連投資で183億円の損失が発生した。1〜3月期にも、豪州の鉄鉱石などで追加損失が出る見込みと説明している。

 

丸紅

丸紅は前期比70.4%増の1800億円とする予想を据え置く。

北海やメキシコ湾での原油開発にからみ減損損失を計上するが、電力や環境インフラなどの増益でカバーする。

伊藤忠

伊藤忠は前期比9.8%増の3300億円という期初予想を据え置いており、このままいけば過去最高益を更新し、業界トップとなる。

生活資材や繊維などが好調で、資本提携した中国最大の国有複合企業CITICグループの利益が寄与する。

 


2016/3/29  国際石油開発帝石、インドネシア政府方針でLNG計画を大幅変更へ

国際石油開発帝石(INPEX) がインドネシアで進めてきた大型海底ガス田Abadi LNG の開発計画が大幅な変更を迫られることになった。

INPEX はシェルと共同で、洋上にLNGプラントを浮かべるフローティングLNG(FLNG)方式で政府に認可を申請していたが、ジョコ大統領は3月23日、陸上に建設すべきだとする政府方針を決定した。INPEXは正式な通知を受けた上で今後の対応を検討すると発表した。

陸上案は、大半の設備を国外で組み立てることが想定される洋上案より、地元経済の刺激効果があるためと見られる。

付記 INPEXは4月1日にインドネシア政府より陸上LNGによる開発計画の検討を求める内容の通知を受領した。

    その後、陸上LNG方式を軸としたガス田の最適開発について、概念設計(Pre-FEED)開始に係る準備作業を開始した。

付記

千代田化工建設は、PT Synergy Engineering との共同事業体にてSURF設備*1及び海底パイプライン設備のPre-FEED業務を受注しと発表した。
本件は液化天然ガスプラントへ原料ガスを供給するためのオフショアガス田開発の内、海底・海中設備に関わるPre-FEED業務。

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国際石油開発帝石(INPEX) は1998年11月にインドネシア政府の公開入札により Masela鉱区の100%権益を取得した。

その後、オペレーターとして探鉱作業を推進し、2000年に掘削した試掘第1号井によりAbadi ガス田を発見した。その後、6坑の評価井掘削を含むガス田評価作業を実施し、同ガス田にはLNG開発に十分な天然ガス埋蔵量を確認した。

参加権益比率はINPEXが90%(オペレーター)で、 インドネシアの有力エネルギー企業PT Energi Mega Persada社の子会社PT EMP Energi Indonesia(EMPI)が10%となった。

2010年12月に第一次として LNG年産250万トンをFLNG方式で開発する開発計画がインドネシア政府より承認され、その後、海底生産施設およびFLNGの基本設計作業を実施した。

2013年6月にEMPIの権益を買収し、INPEXが65%(オペレーター)、Shell 35% の体制となった。

2013年から2014年にかけて追加評価井3坑を掘削した結果、天然ガス埋蔵量の増大が確認され、インドネシア当局から認証を取得した。これを踏まえ、2014年にLNG能力を3倍の750万トンに拡大した「改定開発計画」の承認を申請した。

申請を受けたインドネシア政府の内部で意見が分かれた。

2015年9月に海洋担当調整省(Co-ordinating Ministry of Maritime Affairs)は陸上に建設すれば160億ドルで、洋上の場合の220億ドルにくらべ、60億ドルの節約になると主張した。

Abadiガス田から373マイルのパイプラインでAru 島に運び、陸上でLNGにすれば、コストダウンになるだけでなく、近辺の地域の経済発展にも役立つと主張した。

これに対し、エネルギー鉱物資源省と石油·ガス上流レギュレータ(SKK Migas)は、洋上なら148億ドルで、陸上より45億ドル安いと主張し、INPEXとShellも、計画が遅れることとコスト高を理由に、陸上案に反対している。

本年2月に、陸上案に賛成する海洋担当調整大臣(Co-ordinating Miniser of Maritime Affairs)が大統領が陸上案に決めたと発言したが、大統領報道官は、大統領はなお検討中であると述べた。地方経済への影響などを含め、両案を検討中であるとし、「このような大規模の事業は慎重に検討する必要がある。しかし、間もなく決定されるだろう」と述べた。

INPEXとShell は決定が遅れているため、現地の従業員を減らすと通告した。SKK Migasは、計画は少なくとも2年は遅れるだろうと述べた。


2016/3/30  ロックフェラー家基金が化石燃料への投資中止

ロックフェラー家関連のRockefeller Family Fundは3月23日、化石燃料関連投資を出来るだけ早く解消すると発表した。

世界が化石燃料の使用を止めようとしているときに、 企業がハイドロカーボンの新しいソースを開発し続けるのには健全な論理的根拠はないとし、それらの企業の株を持ち続けることは、経済的にも倫理的にも意味がないとし た。

ExxonMobilについて、1980年代以降、気候変動について隠して大衆を惑わせる一方、多額の投資をして自社のインフラを強化し、新しい開発を行ってきたと述べ、違反行為がなかったか調査すべき とした。そして、ガバナンスの観点から、公共の利益を明らかに無視するような企業とは関係を持つことは出来ないとし、ExxonMobil 及び全ての石炭企業タールサンド企業の株を直ちに処分するよう指示したとしている。

Rockefeller Family Fund の化石燃料への投資は、遺産のほんの一部の130百万ドルに過ぎない。

「Rockfeller 一族はExxonMobil を含む石油産業に長い間投資し、利益を得ていたため、この決定は軽いものではない。しかし、歴史は動く、動かねばならない」と述べている。

ロックフェラー家関係者は2008年、ExxonMobilに企業統治の在り方を変え、代替燃料への支出を増やすよう、すでに呼び掛けていた。
2014
年には、ロックフェラー家関連の別ファンド、Rockfeller Brothers Fundなど複数の慈善団体、非政府組織が、化石燃料関連の投資をやめる方針を示している。

 

ExxonMobilの広報担当者は、「同ファンドは当社への陰謀に既に資金提供しているため、当社から投資を引き揚げつつあることに驚きはない」とコメントした。

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Rockefeller Family Fundは1967年にJohn D. Rochfeller Jr の2番目の妻のMartha とJr.の息子のJohn、Laurance、Nelson、David によって設立された。

 

 

 

 

 

 

設立以来、環境保護、女性の経済的権利の推進、市民活動の支援などを行ってきた。

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アメリカの石油王 John Rockefellerは、ニューヨーク州の生まれで農民出身だが、クリーブランドで石油精製事業に成功する。
1870年1月10日にStandard Oil of Ohioを創設、アメリカ全製油量の10%を握った。その後、次々と合併を行って1879年にはアメリカの全石油精製の90%を独占した。その過程で弱小企業を倒産に追いこむなど世論批判を受けた。

1890年にアメリカ合衆国下院議会がシャーマン反トラスト法を可決、これがアメリカの全ての独占禁止法の源である。

1911年、Standard Oil は分割された。

Standard Oil の後継会社と、その後の姿は下記の通りである。

分割会社 その後 現在
Standard Oil of Ohio (Sohio)  BPが買収  BP Amoco BP
Standard Oil of Indiana(Stanolind) Amoco
Atlantic & Richfield Atlantic Richfield(ARCO)
Standard Oil of New York(Socony Vacuum Oil と合併→Mobil ExxonMobil
Standard Oil of New Jersey (Esso) Exxon
Standard Oil of Kentucky (Kyso) Socal が買収 Chevron
Standard Oil of California(Socal) Gulf Oil と合併→Chevron →
Texacoを買収→ChevronTexaco
Continental Oil (Conoco) Phillips と統合 ConocoPhillips

2016/3/31 韓国Hanwha Chemical、塩素化塩ビ樹脂に参入

Hanwha Chemical は3月22日、塩素化塩ビの開発に成功、蔚山石油化学産業団地に年産3万トン規模の生産ラインの建設に入ったと発表した。
年末に完成の予定としている。

塩素化塩ビはPVCを塩素化することにより、PVCの優れた性能を損なうことなく耐熱性を向上させたもので、耐熱性が必要とされる給湯用・工業用・スプリンクラー用の配管材などの原料として用いられている。

塩素化塩ビの世界の需要は昨年25万トンに達し、年10%で伸びている。生産しているのは、米国のLubizol や日本のカネカ、積水化学などに限られており、韓国は昨年9千トンを輸入した。

Hanwhaは2012年に始めた研究開発がようやく実を結んだとしている。PVCに比べて価格が高いうえに需要先が一定しており、安定した収益を期待できるとみている。

PVCについては、Hanwhaは蔚山に292千トン、麗川に310千トンのプラントを有している。

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塩素化塩ビのメーカーの状況は次のとおり。

1) Lubizol

Lubizolは米国の独立系の添加剤専業メーカーで、1959年に塩素化塩ビを最初に事業化した。

ケンタッキー州LouisvilleとベルギーのOevel にプラントを持つが、能力は明らかにしていない。
2011年にLouisville を拡張している。

2013年3月にPhase-1で  85千トン、Phase-2で85千トンの増設 計画を発表した。

同社の現状は下記の通り。

  既存 PhaseT Phase II (検討中)
Louisville, Ky 能力非公開
2011年増設
   
Oevel, Belgy 能力非公開    
Deer Park, TX   Resin 55 千トン
Compound 65千トン
 2014年末 稼動
Resin 55 千トン
Compound 65千トン
Dahej, India   Compound 55千トン
 2016/1稼動
Compound 35千トン
Rayong, Thailand
(下記)
  Resin 30千トン
 2015/6稼動
Resin 30千トン

タイの工場は、積水化学とのJV
 社名:
Map Ta Phut Specialty Chemicals
 出資:積水化学 51%、Lubrizol 49%

 両社がJVからレジンを同量引き取り、各自で新設するアジアの製造拠点でコンパウンドの生産と販売を行う。
 

2) カネカ

カネカは、日本に26千トン、米国子会社Kaneka North Americaで30千トンの能力を持っていたが、2013年7月に米国で20千トンの増強を行い、合計の能力を76千トンとした。

2011年12月にインドにTrience Speciality Chemicals (カネカ 41%、三井物産 20%、Meghmani Organic 39%)を設立し、グジャラート州での年産20千トンの生産計画を進めたが、最終的に合意に達せず、中止となった。


3) 積水化学

積水化学は2003年3月31日、日本カーバイドから塩素化塩ビの商権の譲渡を受け、子会社の徳山積水に33千トンのプラントを建設した。
2013年に40千トンに増設した。

上記の通り、タイにLubrizol とのJVを持ち、年15千トンの引取権を持つ。


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