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東電は2月23日の会合で背景を説明した。

2014年の分析は、免震重要棟には西山層以深の地盤データが無いため、近接の1号炉建屋のデータを流用した。
地表面の振幅が4.5mを超えており、解析コードの適用限界を超えている。

このため、計算自体が正しい結果を示していないことから、報告するには適切でないと判断した。

今回の資料作成者は2016年夏に引き継いだが、2014年のデータの妥当性について十分な吟味をしなかった。組織内に2014年のデータに技術的な問題があるとの認識が共有されないまま、解析結果の存在だけを認識したため、結果がある以上は提示するべきだと考えた。

しかし、これだけで問題がないのかどうか、分からない。

原子力規制委員会は2月28日、免震重要棟の耐震性不足を巡り、東電の広瀬直己社長を呼び、臨時会合を開いた。田中俊一委員長は、再稼働の前提となる審査が終盤を迎えていた柏崎刈羽6、7号機に関し、 これまでの審査全体で説明の誤りや不足がないか点検し、申請書を改めて提出するよう求めた。

委員長は3月1日の記者会見で、次のように述べた。

もし今回問題になったようなたぐいの手戻りがあれば、そこは相当の覚悟を持って私たちも判断しなければいけないと思いますし、東京電力もそれくらいの覚悟を持って、社長の責任で出していただく必要があると思っています。

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東電内部の情報共有については以前から問題視されていた。

規制庁の幹部は、原発を安全に運転するには原子炉の設計を行う部署と、地震や津波対策を担う部署は、緊密に連携することが不可欠だが、「別会社のような組織だ」と証言する。

「昔からプラントと土木の仲が悪いといわれている。今回だけの問題ではない。一体どうなっているのか」と述べた。

東電は2008年に15.7mの津波を社内で試算しながらも対策を講じず、事故を防げなかった一因とされているが、政府の事故調査・検証委員会は、当時の小森原子力・立地副本部長にはワーキンググループの存在自体が報告されていないと指摘、その上で「東京電力社内で重要な問題として認識されていた形跡はうかがわれない」と問題視している。

新潟県の米山隆一知事は「事実と異なる説明をしていたのでは安全確保はできない」とした上で、原因や経緯を報告するよう求める要請文を東電に提出した。