ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから
目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
2017/4/17
トランプ大統領、「中国を為替操作国に認定しない」
Trump 大統領は、大統領選挙前の2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約
"Donald Trump's Contract With The American Voter"
を発表した。「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランである。
そのなかで、北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思の発表、TPPからの撤退の宣言などとともに、中国を為替操作国に指定することを挙げている。
2016/11/11 トランプの公約
NAFTAについては1月20日の就任直後の1月22日に再交渉を始めると表明、TPPについても翌 23日に「永久に離脱する」と発表した。
中国についても、大統領は何度も「中国の為替操作」を非難しており、1月31日の製薬業界との会談では、中国と日本をやり玉に挙げた。「他国は通貨切り下げに依存している。中国がなにをやっているか、日本が何年も何をやってきたか。彼らは為替市場に介入し、通貨の切り下げをしているが、我々はボーっとしているだけだ」
2017/2/2
「トランプの公約」の現状−1
これに対し、Jacob Lew前財務長官は本年1月の退任に当たり、「過去18カ月、中国は人民元為替レートの安定に力を入れているが、人民元安に導いて不公平な貿易政策によって優位性を得ようとはしていない。トランプ政権が中国の政策を、人民元安に導いて不公平な貿易政策によって優位性を得ようとしていると見なすなら、非常に危険」と警告していた。
今回、大統領は前言を撤回した。
トランプ大統領は4月12日のWall Street
Journalとの会見で、「考えを変えた。中国は現在は為替操作をしていない」と述べた。
大統領は「北朝鮮の核の脅威を抑え込むのに中国の支援を求める」と加えており、先週の習近平・中国国家主席との首脳会談で「取引」した可能性があると報じられている。
大統領は4月16日のtwitterで、「中国が北朝鮮問題で我々に協力してくれているのに、為替操作国だと呼べるか」とつぶやいた。
Why would I call China a currency manipulator when they are working with
us on the North Korean problem? We will see what happens!
大統領はまた、4月14日に財務省が公表する主要貿易相手国の為替報告書で中国を為替操作国には認定しないと明らかにした。従来通り中国を為替操作国にしないという財務省の報告を大統領が承認した。
しかし、米ドルについては、ドルが強くなり過ぎているとし、ドル高はいずれ米経済に打撃を与えるとの考えを示した。
「ドルが強くなり過ぎている。これは人々が私を信頼しているためで、私のせいでもある。だが、結果的には打撃となる。他国が通貨を切り下げる中でドルが強ければ、競争するの
は非常に、非常に難しい」と述べた。
FRBのYellen議長についての話のなかで、「正直に言って低金利政策が好きだ」とも述べた。
大統領がドルの価値について直接コメントするのは異例で、中国を為替操作国とみなし輸入関税を引き上げることは止めるが、貿易赤字対策をとる必要性を考えていることは変わっていない。
ーーー
米財務省は4月14日、為替報告書(REPORT TO CONGRESS:Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United
States)を発表した。
これは2016年2月に成立した2015年貿易円滑化・貿易履行強制法案に基づくものである。
この第701条は、「米国の主要貿易相手国との為替レートおよび経済政策の取り極めの促進」と題し、次のように規定している。
@財務長官はこの法律制定から180日以内に、米国の主要貿易相手各国について、米国との貿易収支、直前の3年間における経常収支のGDP比、外貨準備額の短期債務額比とGDP比を含む報告書を上院財政委員会および下院歳入委員会に提出し、以後半年毎に提出する。
A重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国については、マクロ経済および為替政策に関する高度な分析を行い、財務長官はこの法律制定から90日以内に、この分析で使用した諸要因を公表する。
財務省は上記Aの重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った貿易相手国の分析に関し、次の基準で選ぶこととした。
重大な対米貿易黒字 |
対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 |
実質的な経常黒字 |
経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 |
外為市場に対する介入 |
GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入 |
3つの基準全てに該当する国が701条の対象だが、財務省は、このうち2つに該当する国を「監視リスト」に入れ、監視していくこととした。1度指定されれば、次回の報告書でも自動的に指定される。
2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に
過去2回の報告で3つの基準全てに該当する国はなく、中国、日本、韓国、台湾、ドイツ、スイスが監視リストに入った。
2016/10/19
米財務省、外国為替報告書で前回4月に続き日本を「監視対象」に指定
今回の結果は下記の通り(赤字は基準に該当)で、3つの基準全てに該当する国はなく、2つの基準に該当するのは、日本、ドイツ、韓国、スイスの4国である。以前に該当した中国と台湾もリストに残る。台湾は介入をしているが、介入額が久しぶりにGDPの2%未満にとどまった。
中国についての報告は下記の通り。
2016年のモノの対米貿易黒字は、前年の3670億ドルから3470億ドルに減少した。中国への輸出も中国からの輸入も減少したが、輸入の減少の方が多かった。サービスについては米国の黒字が増加し、モノとサービスの合計の米国の赤字は3100億ドルとなった。
中国全体の経常黒字のGDP比は、2015年の2.8%から2016年は1.8%に減少した。(1回目の報告では3.1%で基準に該当したが、前回と今回は3%未満で、該当しない)
外為市場には一方的な、大規模な介入を続けている。これは人民元の切り下げのためではなく、米国、中国およびグローバル経済にマイナスとなる人民元の急落を防ぐための介入である。
財務省では、2015年8月から2017年2月までの間に、中国が8000億ドルもの外貨資産を売却したと推定している。
財務省は今後も、監視を続ける。
日本については、過去5年間、為替介入はしていないとしたが、下のグラフの通り、実質実効為替レートは過去20年の平均より20%弱く、過大評価である証拠はほとんどないと指摘し、一段の円安・ドル高をけん制している。
指数(2005/10=100) |
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参考 実数 |
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2017/4/18 Abbott、診断薬・機器の米Alere
の買収で再合意
Abbott Laboratories は4月14日、診断薬・診断機器メーカーのAlere
Inc.の買収で再合意したと発表した。
Abbott は2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。
その後、Alere側の問題を理由にAbbottが解約を申し入れたが、Alereがこれを拒否、法廷闘争に発展していた。
今回、買収条件を見直し、買収金額を53億ドルとすることで合意した。株主総会の承認や関係官庁の承認を受け、第3四半期末での取引完了を見込む。
両社は互いを相手とする訴訟を取り下げることで合意した。
買収により、Abbottは550億ドルの市場であるポイントオブケア検査(「患者の近いところ」で行われる検査で、簡単に、早く、正確に患者への対応ができる)部門でのリーダーの地位を確保する。
ーーー
2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。
買収により、Abbottはポイントオブケア検査部門でのリーダーの地位を確保し、診断部門の売上高は70億ドルを超えると見込まれた。
しかし、2016年4月に入り、AbbottはAlereに対し、買収の解約を申し入れた。30〜50百万ドル(Alere側の費用による)の違約金を払うとした。
理由として、買収契約により供与された経理情報の正確性に重大な懸念を持つとした。AlereがAnnual Report
を期限内に提出しなかったことを重視した。Alereが Foreign Corrupt Practices Act
違反の疑いで司法省から喚問されたことも挙げている。
これに対し、Alereは4月29日に、これらが契約上の解約の理由にならないとして、解約の要請を拒否したことを明らかにし、取引完了に向け、両社が努力すると述べた。
しかし、Abbottは前日の4月28日に医療機器メーカーのSt. Jude
Medical Inc. を250億ドルで買収すると発表している。
Abbottは、Alereの買収の代わりか?との質問に直接は答えず、AlereとSt.
Jude Medicalの両方の買収資金はあると述べた。
AbbottとSt. Jude Medical
はともに、カテーテル治療機器など心血管治療向けの医療機器に強い。St. Jude Medical
は心房細動、心不全、器質的心疾患、慢性痛分野といった高成長市場に強みを持ち、Abbottの冠動脈インターベンションや僧帽弁膜症の領域でのリーディングポジションを補完する。
買収により、心血管治療のほぼ全領域をカバーでき、それらいずれの領域の治療機器でも業界首位または2位の座が得られる。
この買収は、2017年1月4日に手続きが完了した。
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Alereに関しては、いろいろな問題が発生した。
1) 2015年度決算のAnnual Report
を期限内に提出できず、NY証券取引所から警告を受けた。
同社は、2013年〜2015年のアフリカと中国における売上高計上時期の問題で調査を行っており、その完了まで報告ができない旨を明らかにしていた。
なお、同社は2016年度決算についても、報告が遅れており、2017年3月に再度警告を受けている。今回は、韓国と日本での売上計上時期の問題としており、特に韓国の子会社
Standard Diagnostics の不適切な処理を理由に挙げている。
2) 2016年3月に、Alereはアフリカ、アジア、ラテンアメリカでの販売慣行に関し、Foreign Corrupt Practices Act
違反の疑いで司法省から喚問されたことを明らかにした。
3) Alereは2016年7月、全血中のプロトロンビン時間の測定キットであるINRatioの自主回収を発表した。特定状況下で測定結果が他の方法での結果より低値傾向を示すことが判明したため。
同社は2016年9月に製造中止、市場からの撤退を決めた。
4) Alereは2016年7月、患者のサンプルのテストの費用のMedicare
やMedicaid 等への請求に関して、司法省から記録の提出を要求された。
5) Alereは2011年に糖尿病のテスト資材の供給者であるArriva
Medical を買収し子会社としているが、Centers for Medicare & Medicaid ServicesがArriva
Medical を資格停止した。
Medicare やMedicaidでの治療に使用できないこととなる。
Arriva Medical
は不当であるとして取り消しを求めている。査定に対して非常に多くの再審を要求したのが理由で、それに対する嫌がらせとしている。
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Alereは2016年8月、契約に基づき合併に関する独禁法の認可を取る義務を果たすことをAbbottに求める訴えを、裁判所に出した。
これに対しAbbottは、Alereが財務資料を提出するのを遅らせているのが原因だと反論した。
2016年10月20日、中国商務部が合併を承認した。
2016年10月21日、Alereの株主総会でAbbottとの合併が承認された。
2016年12月7日、Abbottは上記のAlereのいろいろの問題点を理由に、Alereの価値が大幅に減少したとして、買収を取り消すことを求め、訴えた。
これに対し、Alereは同日、反論を発表した。
Abbott自身が分かっているように、挙げている問題点は買収を取りやめる根拠にはならない。
Alereは契約に基づく義務をすべて果たしており、株主を守るため必要な手続きを取る。
Abbottは、契約では有害事象がAlereの長期の見通しを著しく変える場合は解約できるとなっており、これらの事態はそういう有害事象であると再反論している。
2017年1月25日、欧州委員会が合併を承認した。
その後の経緯についての発表はないが、両社の間で協議を行い、買収価額を引き下げることで合意し、両社とも訴えを取り下げることとした。
中国とEUは既に合併を承認しており、米国その他の承認を得て、買収が完了する。
Abbottは、Alereを53億ドルで、St.
Jude Medical Inc. を250億ドルで買収することとなる。
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Abbott Laboratories は2016年9月16日、子会社の
Abbott Medical Optics (AMO) をJohnson & Johnson (J&J)に 43億2500万ドルで売却すると発表した。
AMOは売上高11億ドルで、眼科分野で3つのセグメントを持つ。
・白内障・緑内障手術
・レーザー屈折矯正手術(近視、遠視、乱視の矯正)
・眼科関係消費者用製品:ドライアイ用目薬、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品
Abbott
は「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させるとしていた。
2016/9/20
Johnson & Johnson、Abbott Medical Optics を買収
2017/4/19
ドイツで補助金ゼロの洋上風力発電
デンマークの電力最大手のDONG
Energyは4月13日、ドイツの北海地区での風力発電事業の入札で3つの計画を落札した。これはドイツの2つの入札の初めのもので、来年残りの入札がある。
このうち2つのプロジェクトは補助金ゼロで落札した。欧州では急速に価格破壊が加速しており再生可能エネルギーの普及が一段と進む。
下記の3つの計画を落札した。完成予定は2024年。
計画 |
発電量 |
補助金 |
OWP West
|
240MW |
zero EUR
/ MWh |
Borkum Riffgrund West 2 |
240MW |
Gode Wind 3
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110MW |
60EUR / MWh |
合計 |
590MW |
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DONG Energyでは、補助金ゼロは洋上風力のコスト競争力が高まったことを意味し、グリーンエネルギーへのシフトでの中心となるとしている。
但し、キイとなるのは、完成時期が2024年に延長されたことで、次世代タービン技術を利用できることとなり、大幅コストダウンが可能となるとしている。配電網の建設がふくまれていないこともある。
この計画では、DONG
Energyの担当はタービン、配列ケーブル、洋上のサブステーションで、陸上までは既存の回線が利用できる。陸上サブステーションと輸出用ケーブルの建設、運営は、ドイツの送電会社のTenneT
が責任を持つ。
DONG Energy はドイツに下記の洋上風力を持つ。独・英・蘭全体では、3,600MWの風力発電を運営している。
計画 |
発電量 |
Gode Wind 1&2 |
902MW |
Borkum Riffgrund 1
|
Borkum Riffgrund 2(2019稼働) |
450MW |
合計 |
1,350MW |
ドイツの主要な洋上風力は下図の地域に集中している。
DONG Energy
の洋上風力の位置は下記の通り。青字が既存、赤字が今回の落札分。
2017/4/20 NOVA Chemicals、Williams
PartnersからWilliams Olefinsの持分を買収
NOVA Chemicalsは4月17日、Williams Partners L.P.
からルイジアナ州 GeismarのWilliams Olefins LLCの同社持分(88.46%)を現金21億ドルで買収することで合意したと発表した。
契約完了後には、Williams Partnersの子会社がGulf
CoastのEthane pipeline systemを通じて原料を供給する長期供給・輸送契約をNOVAとの間で締結する。
Williams Olefins LLCは、NGLを原料に日量37,000
バレルのエタン、3,000バレルのプロパンを製造、これから、エチレン 年産88万トン(公称 19.5億ポンド)、ポリマーグレードプロピレン
50千トン、ブタジエン 13百万ガロンなどを生産する。
このプラントは当初、1967年にLummus Company
が設計、建設し、Allied Chemical が運営した。(当初、エチレン 27万トン)
その後1985年に Union Texas PetroleumがAllied Chemical から買収した。
1999年にAllied Chemical がUnion Texas
Petroleumと合併した際に、Williams が買収、その後サウジのSABICが11.54%を取得した。
2013年6月13日に大爆発事故を起こしている。
2015年に増設を行い、エチレン能力を年産61万トン(13.5億ポンド)から88万トン(19.5億ポンド)に増やした。
ーーー
Williams Partners
は天然ガスのインフラを扱うパートナーシップで、天然ガスとNGLの回収、処理、輸送から、エチレン、プロピレン、その他オレフィンの製造まで行っている。
33,000マイル以上のパイプラインを所有し、発電、暖房、産業用に供給している。米国の天然ガスの約30%に関与している。
同社はWilliams
Olefinsについて、最も高い買い手に売却し、代金を借入金返却と他の事業に投資する案と、増設して受託生産を行う案を考えていた。
同社は2016年8月に、カナダの資産(Fort McMurray の2つのNGLプラント、Redwater
のガス処理設備、それらを結ぶ420kmのパイプライン、および計画中の18.5億ドルのプロパン設備)をカナダの Inter Pipeline Ltd.に割安の
13.5億カナダドルで売却した。
同社は今回の売却で得た資金で、8.5億ドルの長期借入金を返済、残りを成長のための投資に使う。
ーーー
Novaは、主要な成長戦略として米国のGulf
Coastに展開し、次世代技術を使用して米大陸の顧客に貢献することを挙げている。米国のシェールガスと確立された石化事業、サプライチェーンのインフラを利用したいとしている。
本年3月27日には、Borealis
AG とTotal Petrochemicals and Refining USAとの間でJVを設立し、テキサス州に新しいクラッカーとBorealisのBorstar®
ポリエチレン(米大陸で最初)のプラントを建設する構想の予備契約を締結した。
これとは別に、同社はカナダでの増設も検討している。
同社はオンタリオ州Sarniaに3つのプラントを持つ。
Corunnaプラントには年産140万トンのエチレンプラントがある。当初は原油を処理したが、Marcellus Shaleの天然ガスを使うよう改造した。
St. River プラントとMooreプラントはこれを使ってPEを生産する。
現在、Corunnaプラントに10億〜20億ドルを投資して新しいエチレンプラントを建設することを検討している。Utica
Shaleの天然ガスも使用する。
NOVAはアブダビ国営の投資会社
IPIC(International Petroleum Investment Company )の100%子会社である。
IPICは2009年2月23日、NOVA Chemicals
の株式を借入金込みで23億米ドルで買収する契約を締結した。7月3日、Investment Canada Act に基づく承認を取得し、全ての手続きが完了した。
2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA
Chemicals を買収
2017/4/21
東京ガスと双日、米国の天然ガス火力発電事業に参加
東京ガスは4月18日、米国ペンシルベニア州においてAres EIF Management,
LLC が運用しているファンドから天然ガス火力発電所「Birdsboro発電所」の権益33.33%を取得することとしたと発表した。
Birdsboro発電所はマーセラス・シェールガス田が広がるペンシルバニア州において建設が進められている。
Ares EIFは米国での豊富な電力事業開発および運営実績を持つインフラ投資家で、Birdsboro発電所の株式の100%を保有していた。
本年4月6日に双日がAres EIFから33.33%の権益を取得したと発表している。双日はこれまでにも中東やアジアにおいて発電事業への豊富な投資実績を有して
いるが、北米市場では本件が初めての大規模発電事業への投資となる。
このあと、東京ガスがAres EIFが33.33%を取得するもので、3社のJVとなる。
Birdsboro発電所はペンシルバニア州バークス郡バーズボローにて建設が進められている合計出力488MWのコンバインドサイクル方式の発電所で、General
Electric 製の最新鋭のガスタービンおよび蒸気タービンを採用する。
完工・商業運転開始は2019年春頃を予定しており、運転開始後は北米最大のPJM電力卸売市場(米国北東部13州およびワシントンD.C.の全部または一部の電力市場で、独立系統運用者により管理されている)を通して米国北東部に電力を供給する。
高いエネルギー効率を持つ最新鋭の機器を採用し、環境負荷を抑えた電力を安定的に供給することで、米国の電力インフラの安定化に貢献する。
天然ガスを UticaおよびMarcellus
シェールガス田より調達することで収益性を確保する。
ーーー
東京ガスが海外において建設段階から発電事業へ参画するのは初めてで、米国での発電事業への参画は、2016年10月に発表したニューヨーク州エンパイア発電所に続き、2件目となる。
東京ガスは2016年10月、ニューヨーク州において米国ディベロッパー系プライベート・エクイティ・ファンドのEnergy Capital
Partnersが保有している天然ガス火力発電所「エンパイア発電所」の運営を行うことを目的として、伊藤忠商事100%出資の米国発電事業子会社(ティア・エナジー社)および関西電力100%出資の米国子会社(ケーピック・ユーエスエー社)と新たに設立した合弁会社を通じ、本発電所の権益25%を取得することとした。
日本の3社の持株会社がEnergy Capitalから権益100%を買収した。
本発電所は、ニューヨーク州レンセラー市に位置する合計出力63.5万kWのガスタービンコンバインドサイクル発電方式の発電所で、2010年の営業運転開始以降、安定した操業を続けている。
日本の各社の北米の天然ガス火力発電事業への参加が相次いでいる。
2017/4/1 大阪ガス、米国の天然ガス火力発電事業に参加 (+豊田通商の米事業
)
2017/4/22 Trump大統領、“Buy American”、“Hire
American”の大統領令
Trump大統領は4月18日、連邦政府機関に米国製品の調達を優先するよう求める“Buy American”、高度な技術を持つ外国人労働者を対象とするビザの審査を厳格化する“Hire
American”の大統領令を出した。
EXECUTIVE
ORDER Presidential Executive Order on
Buy American and Hire
American
大統領は中西部ウィスコンシン州で演説し、「労働者を守り、雇用を守るという力強いシグナルを世界に送る」と「米国第一」の姿勢を改めて強調した。
Twitterでは、こう呟いた。
We're going to use American steel, we're
going to use American labor, we are going to come first in all deals.
大統領令の内容は次の通り。
“Buy American”、“Hire
American” を政府のPolicyと規定した。
“Buy American”:経済及び国の安全保障を推進し、経済成長を刺激し、雇用を生み、中間層を強化し、米国の製造業・防衛産業を支援するため、法律の許す範囲で、米国で製造される物品の使用を最大化することが政府のPolicyである。
“Hire
American”:米国の労働者の賃金を上げ、雇用を増やすため、経済的利益を守るため、外国からの労働者の流入を規制する法律を厳格に施行し、管理することが政府のPolicyである。
1.“Buy American”
各省庁は、現在のBuy American
Lawsでの実情を直ちにチェックし、150日以内に、改善点を報告する。
商務長官は、国務長官等と相談し、大統領に報告する。
2009年2月に成立した米国の景気対策法では公共事業などに米国製の鉄鋼製品の購入を義務付けるバイアメリカン条項が盛り込まれた。WTO協定に違反しないよう「国際的な合意に沿って適用する」との文言が加えられた。
条項の例外措置が多いとして、米国製品購入の最大化に向けた方策を検討させる。
コストが安いという理由で外国品を使用する場合は、ダンピングその他の影響がないことを確認する。
2.“Hire
American”
国務長官、司法長官その他は、米国の移民システムの運営で、米国の労働者の利益を守るため、これまでのルールを改善する新ルール、新ガイドラインを提案する。
H-1B
visaを適切に機能させるため、H-1B visaは技能と賃金水準が最も高い申請者に与えるよう変更する。
現行規則では、H-1B visa発給は抽選で無作為に決められているため、どの候補者にも平等なチャンスがある。
H-1B
visaはProfessionalに発行されるビザで、要件は次の通り。年間の発行数が制限される。
・職務内容がプロフェッショナル(Specialty Occupation)なものであること。
・ビザ申請者がプロフェッショナルとしての資格を持っていること。
通常は学位によって判断されるが、特別なケースでは職業経験を学位に換算することが可能。
・ビザ申請者の学位と職務内容が一致すること。
H-1B visaは
、Apple、Google、Microsoftなど IT業界で働くアジアなどの移民技術者が多く利用する。低賃金で外国人を雇っているのが問題とされる。
大統領は、毎年8万5000人の技能労働者を米国にもたらす本制度について、「広い範囲で悪用」されていると訴えている。
米移民局はH-1B visaの申請を優先審査する「特急審査」をトランプ政権発足後に停止し、4年制大学を卒業していないプログラマー職をH-1B
visaの対象外とする制度の周知を関係部局に求めた。
今回の大統領令はこれらの措置の徹底を求めるもの。
ーーー
大統領は1月27日の大統領令で、イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国)へのビザ発給を90日間停止した。
この時、IT業界大手は死活問題として大統領令を批判した。
これについては裁判所が差し止めの仮処分を行った。
2017/2/5 米連邦地裁、移民の入国一時禁止の大統領令の即時差し止め仮処分
しかし、Bloombergは1月30日付で、Trump政権は、米国の就労ビザプログラムをターゲットとした新しい大統領令の草案を作成済みだと報じていた。
2017/4/22 Trump大統領、鉄鋼輸入規制に向け、実態調査を指示
トランプ大統領は4月20日、大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。
Memorandum for the
Secretary of Commerce
SUBJECT: Steel Imports
and Threats to National
Security
内容は次の通り。
政府のPolicy:
鉄鋼、アルミ、自動車、飛行機、造船、半導体などのコア産業は米国の製造・防衛産業にとり重大な要素であり、不公平な貿易慣行その他から防衛する必要がある.
鉄鋼の場合、米国およびグローバル市場が過剰能力で歪められている。その多くは外国政府の補助金やアンフェアな慣行によるものである。
米国は150件以上の反ダンピング、反補助金の命令を出したが、悪影響を緩和するに至っていない。米国が、他国に過剰能力を減らすよう繰り返し行った努力は効果が出ていない。
過剰能力とアンフェアな輸入により起こった人為的低価格は米国の鉄鋼産業の利益を圧迫し、業界の長期の投資をやめさせ、研究開発の努力を妨げている。これが続くと米国の鉄鋼産業が駄目になる。
指示
商務長官は、Trade Expansion
Act of 1962 (section
232(b))に基づき、鉄鋼輸入の安全保障に対する影響を調査すること。
section
232(b):輸入品が国の安全保障を脅かしている可能性を知った場合、大統領は注意深く調査をさせ、その恐れがあると分かった場合、恐れを取り除く程度まで輸入を制限する。
調査に当たり、
国の防衛上で必要な国産品の量、そのために必要な製造能力、等々を検討すること。
鉄鋼産業の海外の競合品が国内産業に与える影響を考えること。
国産品が輸入品に置き換わることで起こる大量失業、政府収入の減、技能や投資の減、その他の深刻な影響を考慮すること。
米国による世界中の鉄鋼の過剰能力の減少の交渉の努力の現状と有効性を考慮すること。
商務長官は大統領に報告を行うこと。
もし、鉄鋼の輸入が国の安全保障を害する恐れがあると分かった場合は、それを防ぐための行動、手続きを提言すること。
付記 大統領は4月27日、アルミニウムについての調査を指示する大統領令を出した。
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/04/27/presidential-memorandum-secretary-commerc
付記 大統領は7月21日、防衛産業の強化へ向け、国内製造業の防衛関連製品や部品の供給能力などについての実態調査を指示する大統領令に署名した。
Assessing and strengthening
the manufacturing and
defense industrial base and
supply chain resiliency of
the US
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/07/21/presidential-executive-order-assessing-and-strengthening-manufacturing
ーーー
調査の結果、中国など鉄鋼輸出国に対する新たな関税措置の発動につながる可能性がある。
4月20日の会見で、中国に関する大統領の発言と商務長官の発言が食い違った。
大統領は、鉄鋼のダンピングの調査命令は中国を狙ったものではないとした。「これは中国に関するものではない。世界中で起こっていることで、ダンピングは世界中の問題だ」と述べた。
これに対し商務長官は、中国が問題の大きな部分であるとした。「鉄鋼輸入は増え続けている。中国は能力を減らしているとするが、実際には絶えず増えている」と述べた。また、為替操作国と認定しないことと、この問題とは異なるとした。
さらに、「本年の数カ月で鉄鋼輸入は19.6%増え、今や米国市場の26%以上を占めている。国内の操業度は71%に過ぎない」と述べた。
2017/4/24 Trump
大統領、税制改革と金融制度改革へ大統領令
Trump大統領は4月21日、税制改革と金融制度改革(Dodd-Frank
Actの見直し)のための3つの大統領令を出した。
1)税制 Presidential
Executive Order on
Identifying and Reducing Tax
Regulatory Burdens
2) 金融制度
・金融安定監視協議会(FSOC)Presidential
Memorandum for the Secretary
of the Treasury on Financial
Stability Oversight Council
・破綻処理スキーム Presidential
Memorandum for the Secretary
of the Treasury on
Orderly Liquidation
Authority
ーーー
1) 税制改革
大統領令のタイトルにあるように、税規則を取り上げた。
減税や輸入税、多国籍企業の税回避などの大きな問題は取り上げていない。
大型減税を柱とする大統領案は4月26日に発表する。
大統領 twitter
Big TAX REFORM AND
TAX REDUCTION will
be announced next
Wednesday.
なお、現在の暫定予算は4月28日までのもので、2016年度の残り期間(9月30日まで)の予算を通す必要がある。4月28日までに通らなければ、政府機関の閉鎖に追い込まれる。
メキシコとの間の壁の建設(今回は諦めた筈が再燃している)やオバマケア関連費用など、難問が多い。
問題意識として次のように述べている。
連邦税制は簡単で、フェアで、効率的で、成長に役立つものでないといけない。税規則は複雑な税法を明確にし、納税者の役に立つガイドラインを供するべきである。
しかし、過去数年に出された規則は、税負担を増し、経済成長を妨げ、企業に罰金を課し、複雑な書類を求め、フラストレーションを与えている。
重荷を取り除き、税負担を軽減し、役に立つ簡単な税のガイダンスを供するため、早急な行動が必要である。
財務長官に対し、2016年1月1日以降の全ての重要な税規則をレビューし、納税者に不当な金銭的重荷を課しているもの、税法を不当に複雑にしているもの、IRS(国税庁)の権限を越えるものについて60日以内に報告を求める。
財務長官は150日以内に改善案を大統領に報告し、問題分について施行を遅らせたり、改正したり、取り消すなどを行う。
レビューする税規則を2016年1月1日以降のものに限った理由が不明
だが、米メディアは、2016年4月4日の企業の海外移転に伴う課税逃れ対策が主な見直し対象としている。
財務省は税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」をめぐり追加措置を発表した。これを受け、Pfizer
は4月6日、Allerganとの合併を中止すると発表した。
2016/4/7 Pfizer
とAllergan、合併計画断念
2) 金融改革
Trump大統領は2月3日、金融規制改革法(Dodd-Frank
Act)の見直しに関する大統領令に署名した。
Trump氏は選挙期間中、ドッド・フランク法
(Dodd–Frank Wall Street
Reform and Consumer
Protection Act)
の廃止を掲げており、公約の実現に向け一歩踏み出した。
2017/2/7 Trump大統領、金融規制改革法の見直しに関する大統領令に署名
今回は、Dodd-Frank
Actのなかの2項目(金融安定監視協議会と破綻処理スキーム)を取り上げた。
2010年7月に成立した Dodd-Frank Act
は、1920年代の世界金融不安および大恐慌の発生を根絶するため成立したGlass-Steagall
Act の現代版である。
「金融機関の説明責任と透明性を向上させることで米国の金融安定性を促進し、"too
big to
fail"
を終わらせ、特定の企業への財政出動を終わらせ、新たな金融危機を防止するための堅固な経済基盤を創出する」ことを目的とする。
具体的な内容としては消費者金融保護局をFRBの中に置くこと、Volckerルール(銀行が自己勘定でリスクを取って、金融商品を購入・売却また取得・処分をする事を禁止)、システム上重要な金融機関(SIFIs)の監視の強化、連銀法の修正などである。
@
金融安定監視協議会(Financial
Stability Oversight Council
:FSOC ) は、システミック・リスクを特定し、それらを監視する機能を担うため創設された。
問題意識
FSOCは、ノンバンクの経営危機が米国の金融制度の安定を損なうかどうかを判定する。(損なう場合、FRBの管理下に置き、行動が制限される。)
また、特定の金融機関をシステム上重要な金融機関と認定する権限を有する。(その場合、特定のリスク管理基準に従う必要がある。)
これらに指定された場合、その金融機関、業界、経済全体が影響を受ける。
このため、指定に当たっては正当、フェア、透明性のあるプロセスが必要である。
財務長官に対し、FSOCのプロセスについて、透明性、正当な手続きかどうか、等々について、またFSOCの行動が上記のCore
Principlesに沿っているかどうかの報告、改善提案を求める。
Aシステム上重要な金融機関(SIFIs)の破綻処理スキーム「秩序立った清算権限」(Orderly
Liquidation Authority;OLA)
問題意識
財務長官は、大統領と協議し、金融機関が破綻し、または破綻の危機にあり、他の法律の下で対応できない場合には米国の金融安定に重大な悪影響を与えると判断した場合、「秩序立った清算権限」を使って、その金融機関を管財人の管理下に置くか、清算を開始する。
「秩序立った清算権限」は、財務長官が大統領と協議し、いろいろの点を考慮し、これを使うことで米国の金融安定への悪影響を除去又は軽減できると確信した場合のみ可能である。
しかし、「秩序立った清算権限」の存在自体が、債権者や取引相手や株主の過度のリスクテイクを後押しする恐れ
(モラルハザードを生む恐れ)がある。清算にはOrderly
Liquidation Fund
を使われるからである。大部分は他の金融機関が出すことになるが、税金が使われる可能性もある。
債権者や取引相手や株主の損失が他に転嫁される場合、規律が弱まり、過度のリスクテイクを生む可能性がある。
また、破産法11条など他の解決法の方が効果的かどうかを評価することも重要である。
財務長官に対し、「秩序立った清算権限」をレビューし、潜在的な悪影響、これの使用が上記のCore
Principlesに沿っているかどうか、一般財政に影響を与えないか、等々について報告、改善提案を求める。
2017/4/25 東芝、主要事業を分社化
東芝は4月24日、4つの社内カンパニー、インフラシステムソリューション、ストレージ&デバイスソリューション、インダストリアルICTソリューション、エネルギーシステムソリューションを分社化すると発表した。
同社は本年1月には、原子力部門はエネルギーシステムソリューションから独立させ、社長直轄としてリスク管理体制を強化するとしていた
が、WestinghouseのChapter 11申請で原発事業の大半が東芝の実質的な支配から外れるため、再度、エネルギーシステムソリューションに含める。
2017/1/30
東芝、原発事業を見直し
4社は東芝の100%子会社で、エネルギーシステムは株主総会の承認を得て分割、他の3社は簡易吸収分割により実施する。
本体からの転籍対象となるのは、東芝単体の従業員数の約8割にあたる2万人。これに加えて本体の管理部門からも転籍させることを検討中。
半導体メモリー事業は既に新会社「東芝メモリ」として4月1日に分社し、約9千人が転籍した。
東芝本体には管理部門や研究所などが残る。
具体的には下記の通り。
付記
東芝は11月14日、東芝映像ソリューション
の発行済株式の95%を、中国ハイセンスグループに譲渡することを決定し、ハイセンスの中核事業会社である青島海信電器股份との間で、株式譲渡契約を締結した。
→2018年2月28日 譲渡完了
2017年度連結損益には、概算で、連結税引前損益ベース約250億円の売却益を計上する。
売却額は約129億円だが、同社は2017年3月期で約118億円の債務超過となっていた。
残る売却対象はパソコン事業
付記
東芝は2018年6月5日、パソコン事業を2016年4月1日に移管した100%子会社の東芝クライアントソリューション株式会社の発行済株式の80.1%
を40.5億円でシャープに譲渡することを決定し、 シャープ
との間で株式譲渡契約を締結した。2018年10月1日に完了す
る予定。
パソコン等に関するブランド(ダイナブック)の使用権
をシャープに許諾する。
付記
東芝では、事業責任の明確化等を分社化の理由に挙げている。
実際は下記が主な理由である。
建設業法では、社会インフラなどで4000万円以上の下請け契約を必要とする大規模工事で機器を設置する場合、「特定建設業」の許可が必要である。
この許可を受けるには会社の財務の健全性が求められ、資本金2000万円以上▽自己資本額が4000万円以上−−などの条件を満たす必要がある。
財産要件
申請時の直近の決算書において、以下の4つ全てを満たすこと。
・資本金の額が2000万円以上であること
・自己資本の額(純資産合計)が4000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%以内であること
・流動比率が75%以上であること (短期的な支払能力)
東芝は2017年3月期に債務超過になる。今年12月に5年に1度の許可の更新時期を控えるが、このままでは更新できず、社会インフラやエネルギーの事業で受注制限を受け、1兆円規模の売り上げを失う懸念がある。
このため、東芝の子会社とし、それぞれを上記条件を満たさせることで、子会社として「特定建設業」の許可を得る。
綱川智社長は4月11日の記者会見で、財務悪化による主要事業への影響について、「分社化も含めて対処していく」と述べていた。
2017/4/26 主要石油化学製品生産能力調査 (2016年12月末)
経済産業省は4月20日、2016年末時点の我が国の主要石油化学製品生産能力調査の結果を発表した。(単位:千トン)
|
2014末 |
2015末 |
増減 |
2016末 |
増減 |
主な理由 |
エチレン |
定修年 |
6,903 |
6,588 |
-315 |
6,155 |
-433 |
旭化成停止
|
スキップ年 |
7,658 |
7,317 |
-341 |
6,824 |
-493 |
LDPE |
合計 |
2,310 |
2,218 |
-92 |
2,233 |
+15 |
|
(うちLLDPE) |
1,046 |
954 |
-92 |
954 |
0 |
|
HDPE |
1,143 |
1,142 |
-1 |
1,142 |
0 |
|
PP |
2,883 |
2,874 |
-9 |
2,874 |
0 |
|
EO |
921 |
921 |
0 |
921 |
0 |
|
SM |
2,667 |
2,255 |
-412 |
1,949 |
-306 |
旭化成停止 |
PS |
816 |
816 |
0 |
816 |
0 |
|
VCM |
2,774 |
2,774 |
0 |
2,774 |
0 |
|
PVC |
2,009 |
1,929 |
-80 |
1,929 |
0 |
|
アセトアルデヒド |
289 |
289 |
0 |
289 |
0 |
|
アクリロニトリル |
496 |
496 |
0 |
496 |
0 |
|
合成ゴム |
SBR |
608 |
611 |
3 |
606 |
-5 |
|
BR |
296 |
296 |
0 |
295 |
-1 |
|
IR |
72 |
74 |
2 |
80 |
+6 |
|
MMAモノマー |
547 |
547 |
0 |
547 |
0 |
|
BTX |
ベンゼン |
6,034 |
5,667 |
-368 |
5,722 |
+55 |
|
トルエン |
2,667 |
2,606 |
-61 |
2,606 |
0 |
|
キシレン |
8,507 |
8,487 |
-20 |
8,844 |
+357 |
|
パラキシレン |
3,682 |
3,682 |
0 |
3,682 |
0 |
|
|
1.エチレン
|
合計 |
増減 |
主な内訳 |
2013年末 |
8,000 |
|
|
2014年末 |
7,658 |
-342 |
三菱化学鹿島@停止
-390 |
2015年末 |
7,317 |
-341 |
住友化学千葉停止
-415 |
2016年末 |
6,824 |
-493 |
旭化成水島停止 -504 |
三菱ケミカルと旭化成の両社は、2016年4月1日
に「三菱化学旭化成エチレン」でエチレン1基体制による運営を開始
した。
旭化成の50万トンは2月中旬に停止した。三菱化学の50万トンは567千トンに増強
した。
2014/2/27 旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意
2.ポリエチレン
プライムポリマー(出光・千葉)が2014年12月に LL 60千トン、停止。
日本ポリエチレンが2015年3月に鹿島のLL 92千トンを停止した。
三井デュポンが2016年に15千トン増。
プライムポリマー(出光・千葉)が2013年3月にHDPE 130千トン停止
日本ポリエチレン(東燃・川崎)が2014年に52千トン停止
3.PP
プライムポリマー(三井化学・市原) 2013年6月に工場のPP製造設備1系列98千トンを停止。
日本ポリプロ(川崎) 2014年4月に89千トンプラントを停止
付記 日本ポリプロ(チッソ千葉) 2017/3 11.6万トン停止、2019/10 15万トン増設
4.EO
5.SM
住友化学は千葉のエチレン停止に合わせ、2015年に日本オキシランのハルコン法のPO/SM併産設備(SM:412千トン、PO:181千トン、PG:100千トン)を停止した。
旭化成は水島のエチレン停止に合わせ、2016年3月にSMの1系列 306千トンを停止。
6.PS
7.VCM
2011/3 ヴイテック 停止 391千トン
2011/11 東ソー第2系列爆発事故 550千トン
2014 東ソー、第3系列(400千トン)を増強+200千トン)
8.PVC
ふ
トクヤマは塩化ビニル事業の抜本的な収益構造の改革を行うため、2015年秋に新第一塩ビの千葉工場(80千トン)を停止した。
なお、東亞合成はヴイテック解散時に川崎工場を引取り、カネカから製造を受託している。
9.アセトアルデヒド
昭和電工は2009年に徳山石油化学 140千トンを停止
10.アクリロニトリル
旭化成、2014年8月、川崎工場(150千トン)を停止
水島の269千トンのう78千トンを他製品用に転用
11.合成ゴム
12.MMAモノマー
13.BTX
|
2014末 |
2015末 |
2016末 |
増減 |
内訳 |
ベンゼン |
6,034 |
5,667 |
5,722 |
+55 |
昭和四日市石油 +59 |
トルエン |
2,667 |
2,606 |
2,606 |
0 |
|
キシレン |
8,507 |
8,487 |
8,844 |
+357 |
昭和四日市石油 +124
東燃ゼネラル +230 |
14.パラキシレン
2017/4/26 米政府機関閉鎖の可能性
ホワイトハウスは4月21日、政府機関閉鎖の可能性で省庁に準備を命じた。但し、大統領や側近は政府閉鎖はないと自信を示しており、命令は通常の危機対応策であり、前政権も暫定予算の期限切れが近づいた際に同じ手続きを実行したと強調した。
現在の暫定予算は4月28日までのもので、2016年度の残り期間(9月30日まで)の予算が4月28日までに通らなければ、政府機関の閉鎖に追い込まれる。
米上院は2016年12月9日午後11時16分に、2017年4月28日を期限とする連邦政府の暫定予算案を賛成
64票 反対36票で可決した。
昨年とほぼ同レベルの支出を政府に認めるもので、Hurricane
Matthew の災害対策など若干の追加を含んでいる。
4月29日以降についての本格予算はトランプ次期政権が発足してから審議する。
2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決
付記 米上下両院は4月28日、5月5日を期限とする1週間のつなぎ予算を可決した。短期のつなぎ予算でひとまず政府閉鎖を回避する。
2017/5/4 米議会、9月末までの予算案で合意、政府機関の閉鎖回避
しかし、議会では大統領の看板公約であるメキシコ国境の壁の費用計上を巡って、野党民主党が強く反対しており、成立のメドが立っていない。
上院で民主党のフィリバスターを阻止するには全100議席のうち60票が必要になるが、共和党は52議席しかない。
Paul Ryan下院議長は3月30日、メキシコ国境の壁建設について、来年度に予算計上を先送りする方針を示していた。
しかし、大統領は費用計上にこだわった。
最近の twitter
The Wall is a very important tool in
stopping drugs from pouring into our country and poisoning our youth
(and many others)!
If the wall is not built,
which it will be, the drug situation will NEVER be fixed the way it
should be! #BuildTheWall
審議時間が確保できないため、1週間程度の短期のつなぎ予算を可決する案も浮上している。
2017/4/26 聖域都市への補助金停止の大統領令にも差し止めの仮処分命令
カリフォルニア州の連邦地裁は4月25日、不法移民に寛容な政策をとる「サンクチュアリシティー(聖域都市)」への補助金を停止するトランプ政権の大統領令を一時差し止める仮処分命令を出した。
聖域都市は、不法移民者が生活し働くことができる都市で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、フィラデルフィア、ボストン、デンバー、ワシントン、シアトルなど全米に400
以上あるとされる。
Trump大統領は1月25日に、不法移民の強制送還などに協力しない聖域都市の補助金停止を盛り込んだ大統領令を出した。
Executive Order on
January 25, 2017
Executive
Order: Enhancing Public Safety in the Interior of the United States
これに対し、San Francisco 市と Santa Clara郡が米国憲法修正第10条に違反するとして訴えていた。San
Francisco 市では、年間20億ドルを失うことになると想定している。
修正第10条
本憲法によって合衆国に委任されず、また州に対して禁止されなかった権限は、それぞれの州又は人民に留保される
判事はこの主張を認め、大統領令を一時差し止める仮処分命令を出した。命令はカリフォルニア州にとどまらず、全米に適用される。
「憲法は歳出権限を大統領ではなく、議会に与えており、憲法上、大統領令で歳出に条件を付けることは出来ない」とした。
判事はまた、大統領令は既に認められている予算に条件を課すため違憲であるとした。大統領が認めない移民対策を行政がとったことを理由に、移民対策に直接関係のない予算が脅かされることがあってはならないとした。
ーーー
Trump大統領の1月27日の移民の入国を一時禁止する大統領令も連邦地裁で即時停止の仮処分を受け、この仮処分が連邦控訴裁で支持されている。
Trump大統領は3月6日、中東・アフリカ7カ国の国民を一時入国禁止にした米大統領令の一部を修正した新たな大統領令に署名したが、これについても、全米で執行を一時的に差し止める決定が出ている。
米司法省は、リッチモンド連邦高裁に仮処分の取り消しを求めて上訴の手続きを取った。
同高裁は事案の重大性を考慮し、判事3人による通常の合議とは異なり、十数人の大法廷で5月8日から審理する。
2017/3/14 Trump大統領の新たな入国禁止命令
当初の控訴裁の決定に対し政権側が最高裁に上告しなかったのは、保守派のScalia
判事死去により、保守派4人(中道1人含む)、リベラル派4人と勢力が拮抗しており、結果が予想できなかったためである。
米上院本会議は4月7日、トランプ大統領が保守派のNeil Gorsuch 連邦控訴裁判事を最高裁判事に指名した人事を、「核オプション」と呼ばれる禁じ手を使って、54
対 45 の賛成多数で承認した。
2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認
今回、White
Houseは控訴裁に控訴する予定で、ここで負ければ最高裁に上告する予定である。大統領首席補佐官は、「最高裁で勝つ」と述べた。
2017/4/27 中国化工によるSyngenta買収、各国が承認、5月に完了へ
スイスの農薬・種子メーカーのSyngentaは4月24日、中国化工集団(ChemChina)による買収が5月に完了する見通しだと発表した。
同社のCEOは、「買収はEUと米国の承認を得たことで大きく前進した。5月の完了を期待している」と述べた。
付記
Syngentaは6月27日、ChemChina による買収が完了したと発表した。
中国化工集団(ChemChina)は2016年2月、Syngentaを430億ドル余りで買収することで合意した。中国企業による過去最大規模の買収となる。
Syngentaの取締役会は満場一致で
当初は、TOBが数週間のうちに開始され、2016年末に買収が完了する見込みとしていた。
2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収
ーーー
Syngentaは2015年5月8日、Monsantoから総額450億米ドル(うち45%を現金)での買収提案を受けたが、拒否した。
Monsantoは8月18日にSyngentaに新しい提案をしたが、Syngentaは拒否した。この結果、Monsantoは8月26日、買収を諦めると発表した。
2015/5/12
Syngenta、Monsantoによる買収提案を拒否
ーーー
その後、各国の独禁法当局の承認が遅れ、買収完了を2017年4〜6月に修正していた。
問題となったのは、2011年にChemChinaが株式の60%を買収したイスラエルのジェネリック農薬メーカーのADAMA(旧称 Makhteshim Agan)である。
Makhteshim Aganは1997年にイスラエルの農薬メーカーであるMakhteshim と Agan
が合併したもの。2014年にADAMAに改称した。
欧州委員会と米国のFTCは、ChemChinaによるSyngentaの買収で、SyngentaとADAMAの農薬が統合され、一部製品で競争を制限することを問題視した。
ChemChinaとSyngentaが対応策をとることで、承認を得た。
米国FTCは4月4日、ADAMAが除草剤のparaquat、殺虫剤のabamectin、殺菌剤のchlorothalonilの3剤の権利と資産をカリフォルニアの農薬メーカーAMVACに売却することを条件に承認した。
欧州委員会は4月5日、ChemChina側の下記の製品の売却提案を実施することを条件に承認した。
- ADAMAの既存農薬事業のかなりの部分(具体案列挙)
- Syngentaの農薬の一部(野菜用殺菌剤、穀草・野菜・ヒマワリ用除草剤)
- Adamaが開発中のジェネリック農薬の29品目
- Adamaの穀草用成長抑制剤事業のかなりの部分
- 以上の製品の全ての無形資産
なお、中国商務部は4月12日に承認している。
各国の承認を受け、ChemChinaは4月13日、TOBを5月4日に終了すると発表した。
2017/4/28 トランプ政権
の税制改革案
トランプ米政権は4月26日、大型税制改革の基本方針を公表した。
「経済成長と米雇用のための税制改革」とするが、減税規模などの詳細は公表を先送りした。5月中に議会側と詳細を詰める
。
主な内容は次の通り。
過去最大の減税案で、連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げる
。大幅減税で「企業の競争力を高める」。
輸出の免税や輸入税の法人税の国境調整は導入を見送った。
現在は「全世界所得課税方式*」を採用しているが、改革案では、海外利益は課税対象外とする「源泉地国課税」に切り替える。
*
海外での税引き後利益を配当として米国に還流させると、米国税率との差額を追加的に米国で課税される。
企業が外国でためた利益を米国に戻す際、1回限り課税する。(税率は35%から引き下げる)
税額控除の縮小などによる税制簡素化。
個人所得税でも過去最大規模の減税を目指す。
最高税率を39.6%から35%に下げ、7段階ある税率構造も10%、25%、35%の3段階に簡素化する。
基礎控除も2倍に引き上げて低中所得層の減税幅を広げる。
相続税は廃止する。
キャピタルゲイン税は税率を23.8%から20%に下げる。
(2013年以降、オバマケアのためのMediCare
税として3.8%
が加算されているが、これを廃止する。)
現在、米国の法人実効税率は各国に比べ著しく高いが、一気に下がる。日本の実効税率は2018年度では29.74%まで下がるが(安倍首相は2014年6月、数年間で20%台に引き下げる方針を表明)、これを25%程度下回ることとなる。 (日本の実効税率は 2015/12/7 実効税率の引き下げ)
参考 日本の実効税率=(名目税率合計)
/(1+事業税率)
事業税は(翌期に)損金算入できるため、課税所得=税務利益 - 事業税
従い、税務利益=課税所得+事業税=課税所得+課税所得 x 事業税率=課税所得 x (1+事業税率)
実効税率=税金合計 / 税務利益=(名目税率合計) /(1+事業税率)
ーーー
Trump 氏は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald
Trump's Contract With The American Voter"
で、「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランを発表したが、下記の法案の提案が含まれている。
1)
中間クラスの減税、税簡素化:これにより4%の成長率と25百万の雇用を創生 法人税率は35%を15%に引き下げ
2) Offshoring
Act(事業の海外移転法)を廃止、米企業が海外移転のために国内の従業員をリストラする場合には彼等の対米輸出製品に関税を課す。
大統領は4月29日に就任100日目を迎えるが、オバマケアの見直しなどの公約がことごとく頓挫するなかで、「100日間での提案」になんとか形だけ間に合わせた。
下院共和の税制改革案では、現在35%の連邦法人税率を20%に引き下げ、輸出は免税して輸入品には20%をそのまま課税する「国境調整」の導入を求めている。
これに対し、Trump大統領は、法人税は一律15%とし、国境税調整は無し。その代り海外に工場を建て、そこで生産した製品をアメリカに持ち込もうとする企業には35%の関税をかけるとしていた。
2017/2/20 米国の国境税案
問題は、共和党案の20%を15%に下げ、輸入品への課税を行わないことで、財源の確保が難しくなる。
法人税率を1ポイント下げれば10年で1千億ドルの税収が減るとされ、トランプ政権の減税案では10年で2兆ドルもの歳入減となる。個人所得税などを含めた今回の減税案全体では4兆ドルの税収減につながるとの試算もある。
トランプ政権側は「経済成長率を3%以上に高めることで税収は増える」としているが、実現を疑問視する声が根強く、財政規律を重視する与党・共和党の保守強硬派は安定財源のない減税案には反対姿勢を強めている。
現行法では、財政赤字の拡大が見込まれる税制改革は時限措置とすることが原則となっている。恒久化には上院で60票が必要だが、共和党は52議席しかない。
2017/4/29 東芝のスイス子会社ランディス・ギアの売却
東芝は資産売却の一環として、子会社のスイスの電力計大手、ランディス・ギア(Landis
+ Gyr AG)の売却準備を進めている。
これについて日立製作所が英国の投資ファンド CVC
Capital Partners と組んで買収提案をしていると報じられた。
CVCが過半、日立が1〜2割程度出資するというもので、現在40%を出資している産業革新機構には保有株の一部を持ち続けてもらう枠組みとされ、買収額は2000億円前後とみられる。
付記
東芝は7月3日、ランディス・ギアについて、9月末までをめどにスイス証券取引所で新規株式公開(IPO)による上場を計画すると発表した。
同社の売却手続きも同時に進める。
日立製作所と英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズは価格などの条件面で折り合わず、手続きからいったん撤退したもよう。
付記
東芝は7月21日、同日付でスイス証取に上場することを決定した。
東芝(60%) と産業革新機構(40%)は全株を売却する。
東芝の売却額は約1617億円、売却益は約400億円。
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ランディス・ギアは電力制御用スマートメーター(次世代電力計)の世界最大手で、スイスに本拠を置き、30カ国以上に45の傘下企業を保有する。欧州でのシェアが高い。
スマートメーターのデータを収集する高度な双方向通信技術から
収集データを用いたアプリケーションサービスまでのメーターシステムを一括して提供することが可能であるとともに、先進的な通信技術とそれらを活用したサービス事業を有している。
東芝は2011年5月、スイス法人のランディス・ギアの全株式の取得に関する契約を締結したと発表した。買収額は23億ドル(純負債額含む)で当時のレートで1,863億円。
エネルギーサービスに不可欠な計量管理からクラウドを用いたサービス領域までをワンストップで担当することが可能となり、エネルギー総合管理を核としたスマートコミュニティの新たな事業領域に進出し、相乗効果を発揮することができるとしていた。
その後、東芝は資本パートナーとなる企業を募ってきたが、同年7月に産業革新機構の40%出資が決ま
り、東芝の出資比率は60%となり、現在に至っている。
買収後の運営は次の通り。
東芝は、ランディス・ギアとともに総合エネルギーソリューションを実現するためのハードウェア及びソフトウェアの標準方式を確立し、スマートグリッド及びスマートコミュニティ製品とサービスを世界に提供する。
ランディス・ギアは、世界各国の拠点の資産、設備、従業員、商標等の権利を保持し、東芝との補完関係を生かして事業の拡大、強化を図る。今後、低炭素化社会実現に向けた欧州、米国や、社会インフラの整備が急務な中国、インド、ブラジルで受注拡大を目指す。
産業革新機構は、ランディス・ギアの事業戦略の構築及び事業運営を支援するとともに、スマートグリッドビジネスの展開にあたり補完関係が見込まれるグローバルパートナー企業との連携を通じたオープンイノベーションの推進とビジネスのグローバル展開を目指す。
東芝は2013年9月に、 東京電力が進めてきた「スマートメーター用通信システム」を受注した。
東京電力は、今後最大10年間で2700万世帯にスマートメーターの導入を計画しており、システムの基盤となる通信方式および通信機器・通信ネットワークシステムの仕様ならびに調達先を決定するもの
で、東芝とは「スマートメーター用通信システム」、NTTデータとは「スマートメーター運用管理システム」をそれぞれ共同で開発を進めた。
東京電力は2015年2月に、多摩支店サービスエリアのスマートメーターが設置された約14万台の顧客に対して、スマートメーターシステムを活用したサービスの提供を順次開始した。
・電力使用量の見える化
スマートメーターで計測した30分ごとの電気の使用量データ1日分(0時〜24時)を、翌日夕方に無料WEB会員サイト「でんき家計簿」で見える化することにより、顧客の省エネに貢献。
さらに、顧客宅にHEMS機器を導入することで、30分ごとの電気のご使用量に加え、リアルタイムの電流値などを把握することが可能。
・契約アンペア変更の簡素化
契約アンペア変更の際、遠隔でスマートメーターのアンペアを設定することにより、顧客の立ち会いや東電サービスブレーカー取替時の停電などの負担を軽減。
しかし、報道によると、「東電のスマートメーターは、東芝が担当した通信部分がほとんど機能していない」とされた。東電は、同時期に同地域で、メーターの検針員の募集を行ったとされる。
付記
@30分に一度データを収集し、送信する必要があるが、ランディス・ギアに技術無し。欧米では検針業務合理化のためで、週に1回。
Aデータは、携帯電話回線では費用が高いため、無線マルチホップ方式を採用。
メーター間通信は不安定で、高度な技術が必要だが、ランディス・ギアの技術ではダメ。
2015年6月12日発表の東芝の不適切会計による減額修正では、スマートメーター分が255億円となって
おり、下記の説明が行われている。
受注時から損失の可能性が認識されていたにもかかわらず、合理的な理由なく、一切、工事損失引当金が計上されていなかった。また、2014年3月に具体的な裏づけのないコスト削減策を織り込んだ見積工事原価総額に基づいて、工事進行基準が適用されていた。
付記 損失を計上すると、ランディス・ギア買収が失敗だったと知られるため、隠したとされる。
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