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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2018/11/1   米、中国半導体 JHICCへの製品輸出を制限

米商務省は10月29日、中国の福建省晋華集成電路(Jinhua Integrated Circuit Company:JHICC)に対する米国企業の輸出を制限したと発表した

輸出管理規則(Export Administration Regulations) 744.11(b) の“Entity List”に加えた。

米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動を行う、又は行う可能性のあると信じられる企業のリストで、その企業への輸出や再輸出は承認が必要となり、申請しても否定される可能性が強い。
再輸出」の規制は米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制」であり、もし、日本企業がこれに違反し、米国品を再輸出した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じる。

これまでは、Entity Listは大量破壊兵器(WMD)プログラム、テロリズム又はその他の行為のリスクをもたらす恐れのある企業が対象で、「知財戦争」に適用するのは初めて。

商務省はJHICCには米国のセキュリティに反する行動を行う重要なリスクがあるとする。

同社はDRAMの大量生産が間近であり、米国発の技術であるこれらの生産は、米国の軍事システムに欠かせない製品を供給する米国企業が脅かされるリスクがあるとし、軍事上欠かせない部品のサプライチェーンを脅かすリスクを排除するとしている。「外国企業が米国の安全保障に反する活動をする場合、セキュリティ保護に強力な行動をとる」と述べた。

JHICCは米国のMicron Technology の技術を盗用しており、今後、同社が大量に生産を行うと、米国の競合企業が苦境に陥り、最終的に米国の軍事用重要な部品をJHICCに牛耳られることとなり、米国の国家安全保障を損なうという理屈である。

JHICCは、台湾の半導体大手UMC(United Microelectronics Corporation:聯華電子)から技術を導入し、56億5千万米ドルを投資して、福建省晋江市にメモリ製造工場を建設している。

完成予想図


米国のMicron Technology は、UMCがMicronの台湾拠点から人材を引き抜いて 半導体メモリーに関する企業秘密を不正に持ち出させたとし、UMCと
JHICCを営業秘密防衛法及び不正収益・腐敗組織法に基づき、米カリフォルニア州の裁判所に訴えている。

付記 米司法省は11月1日、連邦大審院が両社を起訴したと発表した。Micronの台湾子会社に所属した台湾籍の3人も起訴した。

逆に、UMCはMicronが中国で販売する製品が自社の特許を侵害したとして訴訟し、福州中級人民法院はUMCの主張を認め、MicronのDRAMやNANDフラッシュメモリー関連など26の半導体製品の販売を差し止める仮処分を下した。

2018/7/5 中国、Micron製品の一部販売差し止め命令

今回の米商務省の決定は、これに対する報復とみられる。

JHICCが実際に大量生産を行うためには、Applied Materialsや、半導体エッチング装置でNo.1 のLam Research、プロセスコントローのKLA-Tencor などの米国企業の半導体製造装置が不可欠とされる。日本企業などの製造装置で一部は代替できるが、全ての工程は難しい。

JHICCは2016年に福建省政府系の福建省電子信息集團や晉江能源投資集團などの共同出資で設立され、「中国製造2025」の柱となる企業だが、今回の措置で半導体の量産に赤信号が点いた。

中国商務部は10月30日、下記の談話を発表した。

米国の一方的な措置に反対する。米国が適切な措置を執り、直ちに誤ったやり方をやめるよう呼びかける。

米商務省が福建省晋華集積回路有限公司を輸出規制の『実体リスト』に入れたことに注目している。中国は米国が国家安全保障の概念を一般化し、輸出規制措置を乱用することに反対し、米国が一方的な制裁を実施し、企業の正常な国際貿易・国際協力の展開への干渉に反対する。

中国は米国が適切な措置を執り、直ちに誤ったやり方をやめ、双方の企業の正常な貿易・協力の展開を円滑にし促進し、双方の企業の合法的権利を守るよう呼びかける。

米国と中国の知財を巡る争いはドンドン激化しつつある。

 


2018/11/2 Novartis、米がん薬メーカー Endocyte を21億ドルで買収
 

Novartisは10月18日、米国のがん治療薬メーカー Endocyte を買収すると発表した。買収額は21億ドル で10月17日の終値に54%上乗せした1株24ドルで全株を取得する。

Endocyteは米パデュー大学発のバイオ医薬品メーカーでナスダックに上場している。

Novartisは放射性医薬品に強みを持つEndocyteを買収することで、先端医療への集中を加速する。

買収により、Endocyteが開発中の有力な新薬候補を手に入れる。前立腺がん向けの新薬で、生化学物質が がん細胞だけを狙って攻撃する特長を持つ。

Endocyteが開発中の177Lu-PSMA-617 は転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の放射性リガンド(放射性生化学物質)療法で、開発のPhaseUで良い結果を出しており、Phase III 段階にある。

ーーー

Novartisは2014年4月22日、大規模な事業再編を発表した。

GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合し、GSK主体のJVとする。更にインフルエンザ以外のワクチン事業をGSKに売却する。
これとは別にインフルエンザワクチンの売却を進めており、動物薬事業はEli Lillyに売却する。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 

Novartisは2018年6月29日、眼科分野の子会社Alconをグループから分離すると発表した。
2019年前半にスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場させる。時価総額は250億ドル以上とみられている。

2018/7/5   Novartis、眼科分野の子会社 Alcon を分離・上場

Novartisは9月6日、後発医薬品子会社Sandozの米国事業の一部(皮膚科領域と錠剤などの経口投与剤)を9億ドルでインドの後発薬大手、Aurobindo Pharma USA Inc.に売却すると発表した。

2018/9/8 Novartis、米後発薬の一部を売却

 

汎用分野を売却する一方で、がん治療薬などの先端医薬品分野を強化している。

上記の通り、GSKから大衆薬事業との交換で抗がん剤製品群を買収したが、その後も買収を続けた。

2018年1月22日、フランスのAdvanced Accelerator Applications の全株式の公開買付を完了した。総額39億ドル。

Advanced Accelerator Applicationは放射線医薬品の会社で、分子核医薬品の開発、製造販売を行っている。

この公開買い付けにより、Novartisのオンコロジー領域の神経内分泌腫瘍のポートフォリオが拡大し、放射線医薬品のテクノロジープラットフォームが加わる。

2018年4月9日、遺伝子治療薬開発の米 AveXis Inc. を87億ドルで買収すると発表した。

2018/4/26   Novartis、遺伝子治療薬開発のAveXis を買収

 

同社の部門別業績は下記の通り。(百万米ドル)

  2013年

2017年

2018/1-9

 
  Sales Operating
Income
Sales Operating
Income
Core
Operating
Income
Sales Operating
Income
Core
Operating
Income
 



Innovative Medicines 32,214 9,376 33,025 7,782 10,330 25,870 6,571 8,382  
Alcon (Eye care) 10,496 1,232 6,024 -190 857 5,361 -142 999

2019年分離

Sandoz (Generics) 9,159 1,028 10,060
 
1,368 2,080 7,400 1,095 1,520  

Vaccines and Diagnostics 1,987 -165 - - - - - -  
Consumer Health 4,064 178 - - - - - -  
Others - -739 - -331 -417 - -654 -465  
Total 57,920 10,910 49,109 8,629 12,850 38,631 6,870 10,436  

  

2018/11/3  イクシスLNGプロジェクトからのLNG第一船入港 

 
国際石油開発帝石は10月31日、同社がオーストラリアでオペレーターとして操業を行なっている イクシスIchthysLNGプロジェクトより初めて出荷されたLNGを輸送するLNG船が、同日朝、同社の「直江津LNG基地」に入港したと発表した。

日本企業が主体のLNG計画での初めての輸入である。

 

受け入れたLNGは気化された後、南長岡ガス田で生産した天然ガスと合わせて、関東甲信越及び北陸地域に広がる総延長約1,500キロメートルの天然ガスパイプラインネットワークを通じて需要家に供給される。

イクシスプロジェクトは2018年5月末に生産開始に必要な試運転作業が完了、7月に生産井からのガス生産を開始、10月1日に沖合生産・貯油出荷施設よりコンデンセート(超軽質油)の出荷を開始したのに続き 、10月23日にDarwinの陸上液化プラント設備からLNG船 PACIFIC BREEZEでLNGの初出荷を行った。

 

日本向けLNG運賃は以下の通りで、パナマ運河を経由するLNGと比べ、非常に有利である。

  Kitimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25 

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Ichthysプロジェクトは、国際石油開発帝石(INPEX)がTOTALとともに推進する西豪州沖合WA-37-R鉱区ほかに位置するIchthys ガス・コンデンセート田の開発プロジェクトで、日本企業が主導する初の大型LNG(液化天然ガス)開発プロジェクト。

 
1998年の公開入札により本プロジェクトが位置する鉱区の探鉱権を取得、その後の探鉱・評価作業や基本設計作業などの開発検討作業を経て2012年1月に最終投資決定した。

2012/12/22 豪州イクシスLNGプロジェクトのファイナンス契約締結 

Ichthys ガス・コンデンセート田の埋蔵量は、年間800万トン超のLNGを約20年の長期にわたり生産できる規模。

産出される天然ガスを、Darwinに建設する陸上プラントで液化し、年間890万トンのLNGと年間約160万トンのLPGとして生産・出荷する。
また、洋上貯油・出荷施設(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)等から日量約10万バレル(ピーク時)のコンデンセートを生産・出荷する。

LNG 890万トン
LPG 160万トン
コンデンセート 10万バレル/日

権益比率(%)と製品引取比率は下記の通り。2017年から15年間の長期LNG売買契約を締結した。

  権益比率 製品引取
(万トン)
INPEX (オペレーター) 62.245 90
Total 30.000 90
CPC (2013/6 参加) 2.625 175
東京ガス 1.575 105
大阪ガス 1.200 80
関西電力 1.200 80
JERA 東京電力 0.735 105
中部電力 49
東邦ガス 0.420 28
九州電力 30
合計 100.000 832

 

主要EPC請負業者は次の通り。
上流事業 沖合生産・処理施設(CPF) Samsung Heavy Industries(韓)
海底生産システム(SPS) GE Oil & Gas(米)
沖合生産・貯油出荷施設(FPSO) Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering (韓)
フローライン、フレキシブルライザーなどの接続作業等 McDermott(米)
下流事業 陸上LNGプラント 日揮、千代田化工、KBR社(米)のJV
  低温タンク4基   川崎重工、Laing O’Rourke
ガス輸送パイプライン(GEP) Saipem(伊)・三井物産・住友商事・メタルワン

このうち、低温タンクについては、川崎重工とLaing O’Rourkeの間に争いがおこり、工事が遅延するトラブルがあった。

2017/3/20 豪州のイクシスLNG事業のタンク建設工事 中断、川崎重工と豪建設会社で争い


2018/11/5 三菱瓦斯化学のSaudi Methanol、合弁契約の期限切れ 

三菱瓦斯化学は11月1日、SABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)との50/50JVのSaudi Methanol Company (AR-RAZI) が11月29日に合弁契約の期限切れを迎えると発表した。

両親会社は、現行の契約の延長の交渉を行っているが、現時点で最終合意ができていない。

このまま期限が来た場合、JVは解散する。その場合の取り扱いは明らかにされていないが、しかるべき条件でSABIC 100% になると想像できる。

三菱瓦斯化学の連結決算での本件の投資損益は、2008〜2017年度平均で約120億円(日本側全体ではその倍)となっており、解散の場合はこの分が減益になる。

同社の経常損益と、そのうちの持分損益の推移は下記の通り。サウジの他にもブルネイ、ベネズエラにメタノールの持分法JVを持つ。

ーーー

サウジは1970年代央に、油田で燃やされていた石油随伴ガスを貴重な原料として石油化学を興すことを決めた。

1975年に石油化学基地として2つの工業都市の建設が決められた。1つは油田に近いペルシャ湾岸のAl-Jubail、もう1つは紅海沿岸のYanbu である。

1976年9月にサウジ基礎産業公社 (SABIC)が設立された。

石油化学計画実施のため、ガス収集システムと両工業都市を結んで原油とガスを送るパイプラインが建設された。

石油計画の遂行に当たり、サウジ政府は海外の石化メーカーに参加してもらい、50%出資と技術供与、従業員の教育を依頼するという戦略を決め、シェル、モービル、ダウ、エクソン、三菱グループ、三菱ガス化学等と交渉を始めた。

以下のJVが設立された。いずれもSABICが50%出資した。

Al-Jubail
・SHARQ (Eastern Petrochemical):三菱ほか日本側;PE、EG (後、Ethyleneも)
・KEMYA (Al-Jubail Petrochemical ):Exxon;PE (後、Ethyleneも)
・PETROKEMYA (Arabian Petrochemical):(SABIC 100%);Ethylene
・SADAF(Saudi Petrochemical):Pecten Arabian (Shell);Ethylene、工業用Ethanol、SM、Caustic Soda、EDC、MTBE
・AR-RAZI(Saudi Methanol):三菱ガス化学ほか日本側;メタノール
・IBN SINA(National Methanol):Hoechst-Celanese、Pan Energy;メタノール、MTBE

Yanbu
・YANPET (Saudi-Yanbu Petrochemical):ExxonMobil:Ethylene, PE、EG

2006/3/30 サウジアラビアの石油化学の歴史

 

メタノールでの海外進出を狙っていた三菱瓦斯化学は、FSの結果、ナショナルプロジェクトでの事業化を決定、海外経済協力基金のほか、国内メーカーの参加を求めた。
 
1977年11月に投資会社の日本・サウジアラビアメタノール梶iJSMC) を設立した。
三菱ガス化学が47%、海外経済協力基金が30%、三井東圧・住友化学・協和ガス化学が各5%、日本化成・新日鐵化学・東邦理化が各1%、それに伊藤忠が5%出資した。

1980年2月に日本・サウジアラビアメタノールとSABICの50/50出資でSaudi Methanol Company (AR-RAZI) が設立された。

1983年2月に第1期 60万トンが完成、日本側は半分の30万トンの引取り権を得た。

需要の増大(最近はMTBE原料用)に伴い、同社は増設を続けた。
1992年1月に第2期(63万トン)、97年6月に第3期(85万トン)、99年4月に第4期(85万トン)が完成した。
現状能力は4期までが合計320万トン          



順次、サウジ側の引取りが増え、第2期分は31.5万トンは日本で引取り、残りを双方で半分ずつ販売した。第3期分は25%はサウジのMTBE用、残りは日本側、サウジ側均等販売、第4期はIbn Zahar と SADAF のMTBE向けが中心である。

更に、2008年5月1日、第5期170万トンが操業を開始した。合計能力は490万トンとなった。

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途上国が初めて新規事業を行う際、海外の 企業に参加してもらい、出資と技術供与、運営、従業員の教育などを依頼するというのは通常である。

その場合、一定期間が経過すると、合弁契約を解消し、自らで運営するというのもよくある。

インドネシアのアサハンアルミがその例である。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

2018/7/17 インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得


サウジの場合も、当初から合弁契約の期間を決めていたようである。

2017年にShellはSADAFの持分50%をSABICに820百万ドルで売却し、SABIC 100%とした。JV契約は2020年に終了するが、それより早く終了させることで合意したとしている。

サウジでは、Saudi AramcoとSABICを統合し、石油化学を石油精製に次ぐ国の産業として拡大する動きがある。両社のCrude Oil-to-chemicals JVの立地もYanbuに決まり、動き出した。
今や、技術ライセンスは別として、海外の企業の支援は不要である。むしろ、全体の運営上で支障になることもある。

Saudi Methanol Companyの場合、1983年2月に第1期 60万トンが完成しているが、おそらく商業運転開始が1983年11月であったのであろう。本年は丁度 35年になる。

今や、技術的には三菱瓦斯化学の指導は必要がないし、最近は日本側の製品引取も減っており、SABIC側にとって、契約期間延長のメリットはないと思われる。

SHARQ (Eastern Petrochemical Company) も同時期に日本側50%のJVとしてスタートした。

しかし、この場合は、エチレン年産130万トンを含む新計画が2010年4月に商業運転を開始している。この時点で契約の変更が行われている可能性もある。

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日本・サウジアラビアメタノールの2017年歴年の決算は次の通り。

  売上高  646億8600万円
  営業利益 262億3600万円
  経常利益 254億4200万円
  純利益 239億8900万円
  利益剰余金 311億6800万円

 



2018/11/6  「サムスン半導体白血病紛争11年ぶりに終結へ  

「半導体事業場での白血病など疾患発病と関連した問題解決のための調停委員会」は11月1日、サムスン電子と市民団体「パンオリム」(半導体労働者の健康と人権守り)に仲裁内容が盛り込まれた2次調停案(仲裁判定書)を送ったと明らかにした。本年7月に両者が「内容と関係なく受け入れる」と約束していた。

11月10日までに補償業務委託機関などについて合意をし、11月30日までに調停案の内容を実行しなければならない。

サムスン電子は、「長年続いた白血病論争を決着させるために努力してきた調停委に感謝を表する。仲裁案を無条件で受け入れることにした以上、迅速に履行していく」と述べた。

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サムスン電子京畿道龍仁市の器興 工場の半導体製造ラインでは、半導体の洗浄にベンゼンを使用していた。

サムソン電子は、有機溶剤に人体に有害な化学物質が含まれている事実を工員はおろか弁護士にさえ、企業機密だとして明らかにしなかった。その結果、複数の労働者が急性骨髄性白血病やリンパ腫といった稀病を発症した。

被害者5人が2007年から二度にわたり、勤労福祉公団に労災を申請するも、全員が不承認の通知を受けたため、2009年、労災認定を求めてサムソン電子を提訴した。2011年に一部について労災が認められた。

2007年3月に白血病問題が提起されてから 6年余りの間、白血病だけでなく脳腫瘍・乳癌・子宮頸部癌・皮膚癌・生殖毒性を訴える三星労働者160人余りの情報提供が「パンオルリム」に相次いで寄せられた。

パンオルリムの集計によれば60人余りが治療も補償もまともに受けられずに亡くなった。

その間、サムスン電子は半導体工場と白血病は関係がないと主張して遺族などと対立した。

ソウル行政裁判所は2013年、工場勤務と白血病の因果関係を認める判決を下した。判決では、サムスン電子に勤務し、白血病で死亡した従業員2人について、工場で持続的に有害化学物質や放射線を浴びたとし、そのために「(白血病が)発症したり進行したと推定できる」と認定。「白血病と業務に因果関係があるとみるのが相当」として、労災と認めず遺族給付金を支給しなかった勤労福祉公団の決定を取り消すよう命じた。


2014年2月、1本の映画「もうひとつの約束」が韓国で話題を集めた。

サムスン電子半導体工場で働くうち、白血病を患って2007年に22歳で他界したファン・ユンミの父親、ファン・サンギの裁判闘争を元に、キム・テユン監督が取材し、脚本化した。

どの製作会社からも歓迎されず、韓国映画史上初のクラウドファンディング方式で資金を集めた。ファンディングに参加した個人の数は1万人にのぼり、中にはサ スソンの社員、サムスンの半導体研究者もいた。

江原道・束草のタクシー運転手、ファン・サンギは妻と2人の子供と、平凡ながら幸せな家庭を築いていた。娘のユンミが韓国随一の企業、ジンソン電子(サムスン電子)の半導体工場に就職したことに、家族も誇らしげだ。ところがほどなく、ユンミの体に異変が現れる。ジンソンの社員が見舞金を手に一家を訪れ、辞職願と労災申請放棄の覚書にサインを迫る中、ユンミは22歳の生涯を閉じる。病名は急性骨髄性白血病。

タクシー運転手をしていた父親は、娘の白血病が、死の原因が、ジンソン電子(サムスン電子)にあると認めさせるため、誰もが恐れて口をつぐむ巨大企業を相手に一人立ち上がる。

ジンソンの執拗な妨害工作に離脱者が相次ぐ中、サンギは言う。「絶対にあきらめない。父親だから」——そして裁判は結審を迎える。


 

サムスン電子は、2015年9月に1000億ウォン規模の基金を用意して独自に補償を進めた。
現在までに130人余りに220億ウォンの補償が行われた。

今回、調停委員会は、被害補償範囲、規模だけでなく、サムスン電子代表理事の公式謝罪、今後の労災予防への発展基金500億ウォン拠出なども仲裁案に含めた。

サムスン電子は今月中に記者会見を開き、謝罪文を発表する。

調停委員会は、「個人別の補償額は低くし、被害の可能性がある人を最大限含めるために補償の範囲を大幅に拡大した」と明らかにした。

内容は次の通り。

1) 補償対象

サムスン電子が最初に半導体量産を開始した京畿道龍仁市の器興工場の竣工日である1984年5月17日から2018年10月31日まで半導体や液晶表示装置(LCD)ラインで1年以上働いたサムスン電子 と協力会社(下請け)の在職・退職者全員。

 補償疾病範囲は 、対象疾病をこれまでの26種類から46種類に増やし、白血病をはじめ多発性骨髄種や肺がんなど16種のいわゆる一般がんと、環境性疾患に属する希少がん22種、全身性強皮症など環境的要因によって発病すると言われている希少疾病全体。流産や死産、小児がんなど、 子供の疾患も含まれた。

2)  補償額

癌は1人あたり最大1億5000万ウォン(約1500万円)で、正確な補償額は勤務場所や勤続期間などによって変わる。
白血病が最大1億5000万ウォン(約1500万円)、卵巣がんと乳がんが最大7500万ウォンなど。


希少疾患、子供の疾患は初回診断費500万ウォンと完治までに毎年300万ウォンを支援し、流産や死産は1回最大300万ウォン(最大3回)を補償する。


 

 


2018/11/7 Ineos の自動車生産計画

Ineosは、2016年にJaguar Land Roverが生産をやめた Land Rover Defenderをモデルにオフロード車を生産する計画を進めている。

 DefenderはLand Roverの神髄とされ、エリザベス女王が所有していることでも知られる。

英国で68年間生産が続けられていたLand Rover Defender、2016年に英Solihullにある工場で最後の生産を終えた。

これについて、Ford が同社の英国のBridgend工場を使うよう、Ineosと交渉していることが一斉に報じられた。

この工場ではJaguar Land Rover向けのエンジンを製造しており、1500名以上が雇用されているが、昨年9月にJaguar Land Roverが2020年に購入契約を終了すると通告した。Fordとしては他の自動車メーカー向けの供給を検討しているが、この工場のエンジンは同社の Dagenham 工場製よりコストが高いと報じられており、雇用の継続が懸念されている。

交渉は始まったばかりで、どうなるか不明である。特に、Brexit問題がどう決着するか分からず、場合によっては英国の生産では採算がとれないということにも成りかねない。

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車好きのIneosの会長 Jim Ratcliffeは、Land Rover Defender の生産停止を惜しみ、Ineosで生産することを決意した。

2016年に子会社 Ineos Automotive を設立、2017年2月13日に自動車生産に乗り出すと発表した。 Defenderを模した四輪駆動車の新モデルを年間2万5千台規模で生産する。6億ポンド(約914億円)を投資し、2020〜2021年の間に生産を開始する。

Ratcliffe会長は声明で「私は旧式Defenderのファンで、そのオフロードの能力には敬意を払ってきた」と述べた。

英国内が望ましいが、もし価格を抑えられるならば、ドイツなどすでに訓練された作業員のいる場所を利用することも選択肢だと述べた。
(この時点では、英国から補助金を得るための発言であった。Brexitの行方次第では、英国立地が難しくなる可能性がある。)

 

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Land Rover は、四輪駆動車を専門とする英国の自動車メーカーであったが、1986年からは Rover Group、1988年からはBritish Aerosp、1994年からはBMW親会社が変わった。BMWは2000年にLand Rover をFordに売却した。

Fordは、1989年に英国のJaguarを買収、1991年に買収した英国のAston Martin、1998年に買収したスウェーデンのVolvoと、Land Rover という4つのブランドをプレミアム・オートモーティブ・グループで運営した。

Ford は2008年3月に、JaguarとLand Rover をインドのTata Motorsに約23億ドルで売却した。
(Volvoは2010年に浙江吉利控股集団に18億ドルで売却された。Aston Martinは2007年に投資グループに売却された。)

Tata Motorsは現在もJaguarとLand Rover を経営している。Land Roverブランドのうち、オフロード車のDefenderの生産を停止した。
 



2018/11/8   
米国、イラン経済制裁を再開 

米国は11月5日、イランの石油や金融部門を中心に経済制裁第2弾を再開した。イランのミサイルや核開発を制限すると共に、中東地域で高まるイランの軍事・政治的影響力を抑える狙い。


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トランプ米大統領は5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。

2018/5/10 トランプ大統領、イラン核合意離脱表明  

制裁内容は次の通り。

最初の期限 8月6日

各企業はイラン国債ないしイラン通貨の保有を段階的に縮小しなければならない。
イラン政府のドル獲得ないし買い増しを助ける個人ないし企業はこの日までに制裁を科される。

イランの金などの貴金属、黒鉛・石炭、アルミニウムや鉄鋼などの金属の貿易や、イラン自動車業界、じゅうたんやキャビアなど高級品への制裁も8月6日に再開される。

イランの石油業界とビジネスを行っている企業への制裁は11月5日に再開される。これにはイラン中銀と大きな取引を行っている外国金融機関への制裁も含まれる。

さらにイランのエネルギー業界に制裁を科すほか、イラン国営石油などの企業との石油関連取引も対象とする。

トランプ政権は制裁解除の条件として、全ての核関連施設での国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れや弾道ミサイル開発の停止など12項目を満たすようイランに求めている。

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米国は11月5日午前0時過ぎから、イランへの制裁を再開した。ホワイトハウスは制裁が「史上最強」のものになると強調している。

今回の制裁では、石油輸出、船舶、金融など経済の重要部門全てが対象になる。

今回の制裁は、700以上の個人、組織、船舶、航空機が対象となる。この中には大手銀行、石油輸出企業、船舶会社も含まれる。

ポンペオ長官によると、すでに20カ国超がイランからの原油輸入を日量100万バレル超減らしているという。

長官は、イラン産原油の主要輸入国である日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾に対しては、180日間イラン産原油の輸入を容認する方針を明らかにした。

これらの国が既に「イランからの原油輸入を大幅に減少」させているが、「輸入量をゼロにするには、もう少しの時間」が必要と語った。2カ国がイランからの石油輸入を最終的に止め、残る6カ国も大幅に輸入量を減らすだろうと述べた。

米議会ではトランプ政権の姿勢が弱腰だとの批判が出ている。

共和党のルビオ上院議員はイラン産原油の輸入を中国に認めることを批判し、中国以外の国についても「早期に適用除外をやめるべきだ」と訴えた。

 

イランのこれまでの輸出先は次の通り。

しかし、仮にこれら8カ国が従来通り輸入を続けたら、今までの3/4の輸入が出来ることとなり、制裁の体をなさない。

調べると記者会見でポンぺオ長官は、8カ国の名を挙げた後に次の通り述べている。

Additionally today, 100 percent of the revenue Iran receives from the sale of oil will be held in foreign accounts. Iran can only use this money for humanitarian trade or bilateral – in bilateral nonsanctioned goods.

石油代金は外国の口座に入れられ、人道的な取引か、制裁対象外の商品の購入にのみ使うことができる。

具体的に、どのように規制するのか明確ではないが、8カ国が当面輸入をするのは認めるが、イランがその代金を自由に使うのは許さないということと思われる。

更に、米国の制裁開始に歩調を合わせ、銀行間の国際決済ネットワークを運営する「国際銀行間通信協会」(SWIFT)は11月5日、複数のイランの銀行をSWIFTの国際送金網から遮断すると発表した。

核合意存続を訴える欧州はイランとの貿易にSWIFTは欠かせないとして遮断に反対したが、制裁の抜け道をふさぎたい米国はSWIFTも制裁対象になると警告し圧力をかけ 、押し切った。

SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication )は、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステム。

200 以上の国・地域の金融機関1万1千社以上が参加。送金に必要な通信ネットワークの管理を担う。送金情報を伝えられなければ銀行は国境を越えて送金できなくなる。

国際送金網から完全に遮断されれば、イラン企業は外国企業との商取引で多額の現金決済を強いられ、イランと貿易を続けようとする外国企業との決済は困難になる。

核合意成立前の2012年に、米欧とイランの対立が深まった際にイランはSWIFTから遮断されたことがある。

SWIFTは声明で「世界金融システムの規範を維持する使命に従う」と表明した上で「残念ではあるが、(遮断)措置を取った」と説明 している。

遮断するイランの銀行の数は明示しなかった が、制裁が目的のため、主要銀行は全て含まれていると思われる。

 

日本の石油会社は、制裁発動に備え、イランからの輸入を停止していたが、今回の措置で、輸入を再開するであろうか。出来るのだろうか。

 

中国外務省の華春瑩副報道局長は定例会見で制裁再開について「遺憾」の意を表明。「中国はイランの努力を高く評価しており、包括合意へのたゆまぬ努力を続けると同時に、我々の合法的な権益を守る」と述べ、「中国とイランの正常な協力は国際法のもとで尊重され、維持されるべきだ」として、イランからの原油輸入を続ける意向を示した。

欧州連合と英独仏の外相と財務相は制裁発動に先立つ2日、「大変遺憾」とする共同声明を出した。声明は、米国が抜け出たイラン核合意は「核不拡散のための世界的な枠組みだ」とし、イランが核合意を順守し続けるよう、イランと欧州企業間の原油や金融取引が続けられる方策を模索するとしている。

 


2018/11/9 東芝、英原発事業を清算


東芝は11月8日、英国における原子力発電所新規建設事業からの撤退を決定し、連結子会社の
NewGeneration (NuGen)を解散すると発表した。

これまで売却交渉を続けてきたが、2018年度中のNuGen社の株式売却完了の見通しが立たないこと、及びNuGen社維持費用の継続負担等を勘案し、経済合理性の観点から、今般、解散を決めた。

連結税引前損益ベースで約150億円の損失を計上する見込み。

ーーー

東芝は2014年1月15日、スペイン大手電力会社Iberdrola S.A.から、英原子力発電事業会社 NewGeneration (NuGen)の株式50%を、GDF Suez から同社保有のNuGen社株式10%を、それぞれ譲り受けると発表した。取得額は総額で約1億ポンド。

NuGenは東芝 60%、GDF Suez 40%の出資となった。(GDF Suezは2015年4月24日にEngieに改称した。)

NuGen は、英中部Sellafield で合計出力360万キロワットの原発建設を予定している。

東芝は 原発設備を納入した後に経営権を売却することを想定しているとされている。

2013/12/27 英国が原発建設再開、固定価格買取制度導入、東芝と中国企業が計画に参加

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだが、覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power の英中部Wylfaの原発計画に加え、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)で計画する原発について言及している。

2016/12/27  日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

東芝は2017年4月4日、同社が60% 所有する英国の原発事業会社 NewGeneration (NuGen) の残り40%をフランスのEngieから買収すると発表した。

2017年7月25日に買収が完了した。買収額は158.62億円(108.8百万ポンド)。

NuGen はいったん東芝の完全子会社となるが、東芝はNuGenの完全売却も視野に入れており、「引き続き出資者の募集や持ち分売却を検討する」としていた。

東芝は2017年12月、英国で原子力発電所の新設事業を行うために保有している NewGeneration (NuGen)の株式100%の売却について、韓国電力公社(KEPCO)を優先交渉対象者に選定した。

しかし東芝は本年7月31日、KEPCOにNuGen売却優先交渉先から解除すると通知した。

韓国側はまだ諦めておらず、英政府が本年6月に原発事業への適用を発表した新たな事業モデルについて、そのリスクや収益性などに関する共同研究を東芝に提案している。

2018/8/4 東芝の英国原発計画の現状 

東芝は8月に、交渉先をカナダの投資ファンドのBrookfield Asset Managementに変えた。

Brookfield Asset Management Inc.の傘下のBrookfield Business Partnersが2018年1月に東芝の元子会社の米原発大手Westinghouse を46億ドルで買収した。

2018/1/9   カナダの投資ファンド、米Westinghouseを買収

2018/1/19    東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却

しかし、Brookfield Asset Managementとの交渉もまとまらなったとみられる。

ーーーー

東芝は11月8日、東芝Nextプラン(2019〜23年事業計画)を発表した。

4つの改革の@構造改革の一つが非注力事業からの撤退で、本件と次項のLNG事業が例示されている。


2018/11/9 東芝、米国LNG購入契約を譲渡 

東芝は11月8日、米国産液化天然ガス(LNG)に係る事業から撤退すると発表した。

LNG事業に係る全ての契約も移管または 解除することで、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させて、LNG事業から撤退することを目指す。

相手先は開示していないが、中国の民間ガス大手、新奥能源 (ENN Energy Holdings)であると報道されている。


米国のFreeport LNG はテキサス州Quintana Island にLNGプラントを建設中で、2011年に米エネルギー省からFTA締結国向け輸出の承認を受け、2013年5月に日本などFTA非締結国への輸出の承認を初めて受けた。
第4系列については2018年3月にFTA非締結国向け輸出の承認を受けた。

東芝は、日本をはじめとする各国の需要家へのLNG販売を目的として、2013年に年間220万トンの20年間(2019年から)の契約を締結した。
Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
 

大阪ガス

  220万トン
  中部電力   220万トン
  BP Energy   440万トン
  東芝   220万トン
  SK E&S LNG  

220万トン

  Trafigura  

50万トン

  再計  

1370万トン

2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可

 

東芝は、これを武器に日本の電力会社などに火力発電設備を売り込もうとしたとされる。

東芝が契約した2013年当時は、東日本大震災後で日本では原子力発電所が停止し火力発電所に依存してLNGの需要が高まっていた。

しかし、現時点でも販売先は全く決まっていない。これらは全て Take or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取りが必要である。このため、同社では(過去に)最 大1兆円の損失の恐れがあるとしていた。

同社では、LNGについて、市況の悪化、より低コストのプロジェクトが今後開発されること等により当初想定していた取引条件を下回る条件、あるいはコストを下回る価格での販売を余儀なくされ、それにより将来的に損失が発生する可能性があるとしている。

本年8月に入り、東芝はこれを売却する方針を固めた。米のLNG業者のTellurian Inc.や中国石油天然気(PetroChina)など10社程度が同事業の買収に関心を示していたとされる。

Tellurian は10月31日、「検討の結果、買い取らないことを決めた」と語った。

ーーー

売却先の新奥能源(ENN Energy Holdings)は、香港証券取引所に上場する中国の民間ガス大手。

中国で都市ガス供給やガス導管の管理、トレーディングなどを手掛ける。近年は米シェブロンや仏トタルなどとLNGの調達契約を結ぶなど積極的に取引量を増やしている。東芝のLNG事業を取り込むことで調達先の多様化を進める。

東芝では、交渉相手のなかで、LNG事業に付随する損失リスクの明確化・最小化・一括処理の観点から同社を選択した。

譲渡の条件は次の通り。

・事業会社(東芝アメリカLNG)の売却 売却額15百万ドル

LNG全量引取基本合意書でのLNG引取義務の引き継ぎ  821百万ドルを支払う

  この保証のため、500百万ドルの銀行保証状の差し入れが条件となっている。

 

東芝は新奥能源に支払う予定の821百万ドルを損失に計上する。


2018/11/10 東海第2原発の運転延長を認可 

 
原子力規制委員会は11月7日、稼働から40年を迎える日本原子力発電・東海第2原発の運転期間の延長を認可した。

 

規制委は既に9月26日に安全審査の合格証に当たる「審査書」を了承している。

東海第二は2011年の東日本大震災で5.4 メートルの津波に襲われ、運転を緊急停止し、外部電源を失い、非常用発電機1台が停止した。安定した冷温停止になるまで3日半かかった。

東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発としては初の合格となる。

安全審査の合格は全国で8原発15基目で、東京電力福島第一と同じ沸騰水型炉(BWR)としては、柏崎刈羽6、7号機(2017年12月27日正式決定)に続き2カ所目となる。

2018/7/4  東海第2原発、 新規制基準に適合の審査書案
 

原発の運転期間は原則40年に制限されたが、認可によって最長20年間延長できる。

原発の運転期間延長が認められるのは、関西電力高浜原発1、2号機、美浜原発3号機(2017/12/27「審査書」を正式決定)に次いで3原発、4基目。
福島第1原発と同じ沸騰水型の原発では初めて。

    運転開始 万KW 運転延長認可 再稼働
関西電力 高浜@ PWR 1974.11 82.6 2016/6/20  2019年10月の工事完了を目指す。
関西電力 高浜A PWR 1975.11 82.6
関西電力 美浜B PWR 1976.3 82.6 2016/11/16 2020年1月の工事完了を目指す。
原電 東海A BWR 1978/11 110.0 2018/11/7  2021年3月の工事完了を目指す。

再稼働までに2つの問題をクリアする必要がある。

1) 安全対策工事

高さ20メートル、全長約1.7キロの防潮堤を建設して津波の浸入を防ぐ。
また原子炉格納容器の容積が小さく、事故時に事態が悪化しやすい沸騰水型の特徴を踏まえ、炉心を冷やす予備の冷却装置を追加で備える。

安全対策費に1740億円が必要としたが、原発専業の原電は自前で調達できず、規制委は資金確保を合格の前提条件とする異例の対応をとった。
原電は東京電力と東北電力から支援を受ける方針を示した。

2) 地元の同意

東海第2は首都圏唯一の原発で、30キロ圏内に全国の原発で最多の96万人が暮らしている。

既存の安全協定では事前了解権が東海村と県に限られるが、東海村・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・水戸市の要求を受け、東海村のほか周辺5市にも「実質的な事前了解権」を認める全国初の安全協定を結んでいる。 但し、「事前了解を得る」とはしているが、自治体間で賛否が分かれた場合、再稼働を止められるか、決められていなかった。

6市町村は11月9日の首長懇談会で、1市町村でも了解しなければ、再稼働には進まないとの認識で一致した。

那珂市の海野徹市長は10月22日、「完全な避難計画の策定はできない」と述べ、再稼働に反対する意思を表明した。難航が予想される。

付記

原電の和智信隆副社長は運転期間延長が認可された11月7日、報道陣に「拒否権という言葉は新協定の中にはない」と発言、これに対し首長側が強く反発、原電に対し、発言の撤回と謝罪を求めた。

和智副社長は11月24日、同意対象の6市村長に「不用意な発言だった。撤回させていただきたい」と述べ、「地域の皆さまに大変不愉快な思いをさせてしまい、深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 


2018/11/10 LG Chem、新CEOを外部から招聘 

LG Chemは11月9日、3Mの副会長兼副社長のShin Hak-Cheol (61歳)を新しいCEOに選んだと発表した。2019年3月の株主総会後に就任する。

現在のCEO(2012年就任)のPark Jin-Soo(朴鎭洙)は引退する。

1947年の設立以来、同社がCEOを外部から招聘するのは初めてである。

LGグループの具本茂会長が5月20日に死去し、養子(具本茂の弟の長男)の具光謨・LG電子常務 (40)が会長を継いだ。

2018/7/7 韓国のLG、具光謨氏が4代目の会長就任

業界では、今回の人事は具光謨会長の下での同社の改変の始まりと見ている。

LG Chem では、電気自動車の需要増に応じてリチウムイオン電池の需要が増大したため、グローバルな事業をシステム化できる人材を探していたとし、Shin 氏はグローバルな材料・部品の事業の運営で経験が豊富で大局観を持っており、変化の激しい事業に対応し、企業カルチャー、構造を変える能力があると評価している。

Shin Hak-Cheol は1984年に韓国3Mに入社、1995年にフィリピン3Mの社長になり、2011年に3Mの海外事業の副社長になって3Mの海外事業を束ねる最初の韓国人となった。

2017年に3M本社の副会長兼副社長(vice chair and executive vice president)に就任、R&D戦略や事業開発、事業改変チームを含めたグローバルチームのリーダーとなった。

 


2018/11/11  浙江省鳥鎮に「無人クリニック」、AI アナウンサーも登場

浙江省の鳥鎮インターネット国際エキシビション・ コンベンションセンターに「無人クリニック」が登場した。11月9日の「人民網日本語版」が報じた。

第5回世界インターネット大会は11月7〜9日、中国浙江省桐郷市の烏鎮で開催された。

このクリニックは、「診察ボックス」と「薬の自動販売機」からなっている。

診察ボックスで「クラウドドクター」の問診を受けた後、患者が訴えた症状と設備を使った検査の結果を通して、ドクターが初期段階の診断結果を説明してくれる。

 

問診が終わると、「ドクター」のアドバイスに基づいて、隣の「薬の自動販売機」で薬を買うことができる。

スタッフによると、この「1分間クリニック」では、常備薬100種類以上をカバーしている。

自動販売機で扱っていない場合は、アプリを通してオンラインで購入し、提携している薬局に配送してもらうことができる。

頭痛や風邪などよくある病気の場合、このようなセルフサービスを利用すると、時間を節約でき、とても便利だとしている。

ーーー

第5回世界インターネット大会では、人工知能(AI)を使ったアナウンサーも発表された。

AI アナウンサーは新華社とIT企業が共同開発した。実在のアナウンサーの映像と声を利用し、表情やしぐさもつけてニュースを読む。放送した内容からさらに自分で学習し、読み間違いもない。英語と中国語を開発しており、近く実用化の予定という。

 


2018/11/12     米中間選挙の結果と当面の問題  

11月6日の米国の中間選挙の結果は、下記の通り、上院では与党共和党、下院では野党民主党が勝利を収めた。

    共和 民主 欠員 未確定
上院

任期6年
1/3ずつ改選

現状 非改選 42 23     65
改選 9 #   26     35
合計 51 #   49     100
 
結果 当選 11 #   24     35
新体制 53 #   47     100
 
下院

任期2年
過半数は218

現状 全員改選 235 193 7   435
 
結果 新体制 200 234   1 435

上院民主党の # 印は民主党系無所属(Vermont州のBernard Sanders とMaine 州のAngus King 議員)

フロリダ州の上院選では得票差が0.5ポイント以下のため、ルールにより再集計となり、確定に時間がかかる。

付記 アリゾナ州は民主が勝利、フロリダ州は再集計中→フロリダ州は共和党が勝利
              ミシシッピー州は11月27日に決選投票→共和党が勝利。

   下院は11/27時点で上記の通りとなった。残り1議席(カリフォルニア州21区)はなお集計中。


下院では民主党の賛成がないと法案が通らない。委員会の委員長はすべて民主党が握り、審議する法案を決めることができる。

上院でも、与党共和党が勝利を収めたものの、60票には未達で、フィリバスター制度があるため、下記のような例外を除き、共和党の賛成だけでは議決できない。

上下両院で調整した予算決議案を可決すれば、財政調整法に基づき、その関連法案は多数決で議決できる。

トランプ政権は最高裁判事の選任で「核オプション」と呼ばれる禁じ手を使い、多数決で決議した。

今後、議会とトランプ大統領の争いが頻発する見通し。トランプ大統領の弾劾の可能性さえ噂される。
(弾劾には、下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、上院出席議員の2/3多数の賛成が必要である。)

すぐに問題になるのは連邦予算である。

2019会計年度(2018年10月〜2019年9月)の米連邦予算の法案が9月28日にトランプ大統領が署名し、成立したが、トランプ大統領がメキシコとの間の壁の建設費用を認めない場合に政府を閉鎖するとの脅しを続ける中、国防省等については正式予算、メキシコとの間の壁の建設を担当する国土安全保障省等については、中間決算の結果待ちで、12月7日までの「つなぎ予算」とする異例の形となった。

2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避 

壁の問題での大統領と民主党の争いが再開されることとなる。

トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

下院は壁無しの予算を通過させるであろうし、上院も大統領の求める額の予算は通せない。

その場合、妥協して予算案を成立させたとしても、大統領は拒否権を発動すると思われる。

上下両院がそれぞれ3分の2以上の多数で再び採択すれば、拒否権にもかかわらずその法案は連邦法として発効するが、それが出来ない場合、これまで続けてきたとおり、暫定予算でつなぐこととなる。
政府機関閉鎖の恐れもある。

付記  

「つなぎ予算」期限の12月7日、トランプ米大統領は12月21日までの歳出を可能にする「つなぎ予算」に署名し、成立した。両院が前日に議決していた。

ブッシュ元大統領の死去(11/30)を受けて国境の壁の議論を先送りした。

また、債務上限問題もある。

2018年2月に、短期間の政府機関閉鎖の後、両党の合意で、債務上限を2019年3月まで停止することを決めたが、来年には上限を引き上げる必要がある。

2018/2/10   米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

 


2018/11/13  Biogen、Samsung BioLogics 子会社に追加出資

韓国の医薬品受託製造大手のSamsung BioLogics は11月6日、同社の創薬子会社Samsung Bioepis に米製薬大手のBiogenが追加出資すると発表した。11月7日に7595億ウォン(約676 百万ドル)を出資し、現在の5.4%からで「50%マイナス1株」とする。Samsung BioLogics は現在の94.6%から「50%プラス1株」となる。

Samsung BioLogicsは2011年12月、バイオシミラー(バイオ医薬品後発薬)の生産のため、米国のBiogen と合弁会社 Samsung Bioepis 設立の契約を締結した。

出資比率はSamsung BioLogicsが85%、Biogen が15%であったが、現在はそれぞれ 94.6%と5.4%となっている。
Samsung BioLogicsはMerck とも開発で提携している。

 Biogenは2012年の設立契約でSamsung Bioepis への「50%マイナス1株」までの追加出資の権利を保有しており、その権利を行使した。

資金力のあるサムスングループと結びつきを強めることが得策と判断した模様。

「Samsung Bioepis のこれまでの実績に満足している。オプション行使で、有力なバイオシミラー企業に有利な条件で出資を増やせた。Samsung BioLogicsとの関係強化を期待している」と述べた。

 

Samsung BioLogicsにはサムスン物産が43%、サムスン電子が31%を出資する。
サムスン電子はバイオ医薬を4つある重点成長領域の1つに掲げ、主力の半導体事業で培ったクリーンルームの運営ノウハウを応用して医薬品受託製造事業の育成に力を注いでいる。

本年10月、仁川市に第3工場を完成させた。投資額は8500億ウォンで、医薬品の生産能力は従来比2倍の36万リットルに増えた。サムスンはスイスのロンザやドイツのベーリンガーインゲルハイムを抜いて「生産能力では世界最大になった」としている。

新工場が欧米の関係当局の基準を満たすことを検証する試験運転を近く開始し、2年後に本格稼働させる。

第1プラント 3万リットル 2015年に米FDAから正式に生産認可
品質安全性など3つの核心基準ですべて「無欠点」通知を受けた。
第2プラント 15万リットル 2016年3月に操業開始
第3プラント 18万リットル 2018年10月 完成
合計 36万リットル  

2015/12/26  Samsung BioLogics、バイオ医薬品受託生産 世界首位へ

Samsung BioLogicsはこれで大型投資が一服し、今後は、成功すればより高い収益を期待できる創薬事業の育成に力を注ぐ方針とみられる。

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Samsung Bioepisはバイオシミラーの開発と承認プロセスを劇的に減らし、グローバル市場に定着した。

関節リウマチ治療剤である「エンブレル」のバイオシミラーを豪州・カナダ・韓国・ヨーロッパで、関節リウマチ・強直性脊椎炎などの治療薬である「レミケード」のバイオシミラーを米国・豪州・韓国・ヨーロッパなどで販売している。

 

Samsung Bioepisは2017年8月、武田薬品工業との間で開発中の複数の新規バイオ医薬品を共同開発する内容の戦略的提携契約を締結した。両社で開発業務を分担することで、失敗のリスク半減を図る「リスクシェアリング・パートナーシップ」の形式を採用している。

武田の癌や消化器疾患といった重点領域への選択と集中の一環であり、まずは武田の重点領域から外れている前臨床段階の急性膵炎治療薬「TAK-671」の共同開発を行う。 動物実験から臨床試験までを共同で実施し、今後は他のバイオ新薬にも協力対象を拡大していく。

Samsung Bioepisは2018年8月、急性膵炎治療薬「TAK-671」の臨床試験(治験)を始めると発表した。米食品医薬品局(FDA)に治験の計画を申請し、認可を得た。新薬候補が人体に安全かを評価する初期段階の治験を実施する。

同社によると、米国や韓国では、急性膵臓炎の患者は人口10万人あたり20人前後の割合でいる。アルコール消費量の増加に伴って男女とも年々増える傾向にある。治療薬の市場規模は5兆ウォン(約5000億円)程度とみられる。


2018/11/14 千代田化工建設、米国LNG計画で850億円の追加工事 

千代田化工建設は11月9日発表の中間決算で、連結決算の最終損益が1086億円の赤字と発表した。

米国で工事を進めているCameron LNGプロジェクトで工事コストが約850億円の大幅増加となる。

同社は「継続企業の前提に関する注記」で、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識」しているとし、筆頭株主の三菱商事(33.39%) などと財務体質の強化で協議している。

ーーー

Cameron LNGプロジェクトは、米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGが、ルイジアナ州HackberryのLNG輸入基地の輸出基地への転用工事を2013年後半より開始し、総工費60億ドルで1系列年間400万トン能力の液化設備3系列(合計能力 1,200万トン)を建設するもの。

三井物産、三菱商事、GDF Suez が年間400万トンずつLNGを引き取る契約を結んでいる。

千代田化工とCB&IとのJVのCCJVは、天然ガス液化設備と輸出設備の設計・調達・建設業務を担当する。

 


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