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目次これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2018/4/16 米財務省、日本を引き続き「為替監視対象国」に
米財務省は4月13日、半期に一度の為替報告書を発表し、為替操作国に認定された主要貿易相手国はなかったことを明らかにした。
ただ、中国、ドイツ、日本、韓国、スイスを引き続き為替監視対象国に指定したほか、インドを為替監視対象国リストに追加した。
Report to Congress:Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major
Trading Partners of the United States
日本:
2017年の日本の対米貿易黒字は減らず、年間で690億ドルに達する。経常黒字は2010年以来の最大のGDP比4%にもなった。
日本の当局者は公に円高への懸念を口にしているが、過去6年間は外為市場に介入していない。財務省では、介入は非常に例外的な場合のみに、かつ、適切な事前協議を行ったうえでやるべきものと考える。
日本は現在の堅実な成長を利用して構造改革を行い、それにより、国内の産業を拡大し、長期的成長への道筋をつくり、財政赤字を減らし、貿易の不均衡を是正するべきだ。
中国:
米国に対し、非常に大きく、かつ継続する貿易黒字を持つ。2017年の黒字は3750億ドルに達し、前年比で280億ドルも増加した。
人民元は2017年は全般的にドルに対し元高に動いた。他の条件が等しければ対米貿易黒字を減らすのに役立つ。
しかしながら、貿易量を加重した幅広い基準でみると、人民元のベースは変わっていない。
更に、市場原理から乖離する中国経済の動向が、主要貿易相手国や長期の世界成長見通しに及ぼすリスクは増大している。
中国はマクロ経済の改革をすすめ、家計消費を拡大し、設備投資からの方向転換を行うべきだ。
財務省は、中国が為替に関するG20のコミットメントを順守し、競争的な元の切り下げを控えることが重要だと考える。
注.
2017年を通じ、人民元は対ドルでは上がっているが、13の通貨で構成される新たな人民元の指数であるCFETS指数やBIS(国際決済銀行)通貨バスケットの為替レート指数、SDR決済通貨バスケットの為替レート指数でみると、横ばいである。2018年に入ると、これらも上昇している。
インド:
2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて外貨購入を拡大した。通年では過去最大の560億ドルと、同国のGDPの2.2%の水準に達した。
「インドが民間資本の流出入管理を一部で継続していることを踏まえ、外貨準備の積み増しが必要なようにはみられない」との認識を示した。
ーーー
2016年2月24日、2015年貿易円滑化・貿易履行強制法が成立した。
これはアンチダンピング法、相殺関税法および貿易救済法などを強化したものだが、上院の審議で為替操作国に対する措置が盛り込まれた。
第701条「米国の主要貿易相手国との為替レートおよび経済政策の取り極めの促進」に次の規定がある。
A重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国については、マクロ経済および為替政策に関する高度な分析を行い、財務長官はこの法律制定から90日以内に、この分析で使用した諸要因を公表する。
C大統領は財務長官を通して、(3つの条件を満たす)対象国と高度な二国間取り極めを開始する。
米財務省は上記Aの「重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った貿易相手国」の分析に関し、次の基準で選ぶこととした。
重大な対米貿易黒字 |
対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 |
実質的な経常黒字 |
経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 |
外為市場に対する介入 |
GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入 |
財務省は2016年4月の報告で、3つの基準全てに当て嵌まる国はないことを確認したが、米国の主要貿易国の5カ国が3つの基準のうち2つに該当することを見つけた。
このため、新しい「監視リスト」を創設し、この5国を監視していくこととしたもの。
2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に
その後の「監視リスト」の対象は次の通り。
|
日本 |
中国 |
韓国 |
台湾 |
ドイツ |
スイス |
インド |
2016/4 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ー |
ー |
2016/10 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ー |
2017/4 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ー |
2017/10 |
〇 |
〇 |
〇 |
ー |
〇 |
〇 |
ー |
2018/4 |
〇 |
〇 |
〇 |
ー |
〇 |
〇 |
〇 |
中国は、2016/10以降は1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。今回も同様である。
台湾は2017/4
に1つしか基準を超えなかったが、外為市場介入で対象外となったのが一時的かどうかをチェックするため、監視国に残った。2017/10からは外れた。
今回の各国の状況は下記の通り。赤字の項目が基準を超えた項目。なお、独、伊、仏、及び英
はユーロ圏で独自の通貨がないため、「外為市場介入」は対象外。
ーーー
過去の状況
中国は、2016/10以降は1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。
台湾は2017/4
に1つしか基準を超えなかったが、外為市場介入で対象外となったのが一時的かどうかをチェックするため、監視国に残った。
2018/4/17 LG
Chem、中国の浙江華友コバルトとリチウムイオン電池材料のJVを設立
LG
Chem は4月11日、リチウムイオン電池用のコバルトの供給を確保するため、浙江華友コバルト(浙江華友鈷業股份有限公司)と2つのJVを設立することで合意したと発表した。
LGは合計225百万ドルを投じて2020年までに中国にプレカーサーと正極(カソード)のJVを設立し、年間4万トンを生産する。
製造したプレカーサーと正極は、中国とポーランドのリチウムイオン電池工場で使用する。
付記
LG化学と浙江華友鈷業の合弁会社、楽友新能源材料(無錫)は2020年9月10日、江蘇省無錫市で新エネルギー車向けバッテリーの正極材工場の竣工式典を行った。
リチウムイオン電池では、正極にはリチウムの酸化物(コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなど)が、負極には黒鉛(グラファイト)などが使用される。
このうち、コバルト酸リチウムは、最もバランスの取れた正極材料として、モバイル機器を中心に幅広く使用されているが、コバルトが高価でありかつ価格変動が大きいのが問題である。また熱暴走の危険があるため車載用への応用は安全性に課題があるといわれている。
1979年に水島公一博士が、リチウムイオンを吸収・放出するリチウムコバルト酸化物(LixCoO2)が電池陽極として活用可能であることを示した。これがリチウムイオン電池の技術的土台となり、今日では携帯電話・デジタルカメラ・ハンディビデオ・ラップトップPCなど、様々なポータブル電子機器に搭載されている。
浙江華友コバルトは、子会社の剛果東方国際鉱業(CDM)がコンゴで採掘するコバルトを中国で精製し、正極材メーカーの中国の湖南杉杉(Pulead)や北大先行科技産業(Shan
Shan)、韓国のL&F新素材などに供給している。
LG Chem は浙江華友コバルトと組むことで、コバルトの安定供給を確保する。
なお、コバルトを扱うGlencoreは2018年3月、中国の資源会社の格林美(GEM
Co., Ltd)に同社が販売するコバルトの約3分の1を販売することで合意した。
2017年のGlencoreのコバルト生産量は27,400トン、販売数量は42,000トンであった。
両社の販売契約によれば、2018年は13,800トン、2019年は18,000トン、2020年は21,000トンとなっている。
格林美は中国の正極メーカーに供給する。
リチウムイオン電池用のコバルトは、下記の通り、主にコンゴ民主共和国(旧 ザイール)で生産され、中国とフィンランドなどで地金に生産される。
浙江華友コバルトは子会社剛果東方国際鉱業(CDM)がコンゴ民主共和国で生産するコバルト原石を中国で地金に生産している。
Glencoreは
傘下のKatanga
Miningがコンゴ民主共和国で生産するコバルト原石を購入し、フィンランド
などで地金に生産している。
Glencore傘下のKatanga
Miningは2017年11月、事業を展開しているコンゴ民主共和国で、2019年に(2017年生産予定量のほぼ倍増の)最大34千トン前後のコバルトを産出する計画だと発表した。
Glencoreは、自動車・バッテリー事業者からの需要増でコバルト価格が上昇していることを受けて、コバルト生産に照準を定めている。
Glencoreによる格林美への販売で、世界のコバルトのほとんどが中国に買い占められることとなる。
コバルトの供給不足の懸念を背景に、2018年2月には、Apple
Inc.が年間5〜6千トンのコバルトを5年間以上にわたって直接購入すべくサプライヤーと交渉していると報じられた。
Glencoreは、コバルトについて話をしている数社のなかにAppleが含まれていると述べた。
ーーー
コバルトの主要産出国は、コンゴ民主共和国、カナダ、中国、ロシア、ザンビア、オーストラリアだが、生産量ベースで約4割、埋蔵量ベースで4〜6割がコンゴ民主共和国に偏在している。
コバルトのほとんどは銅やニッケルの副産物で、これらの価格が低迷すると、コバルトの供給も絞られる。
2013年 鉱石生産量
コンゴ民主共和国
57,000t、カナダ 8,000t、中国 7,100t、合計 120,000t
2013年 地金生産量
中国
36,062t、フィンランド 10,010t、カナダ 5,559t、合計 85,904t
浙江華友コバルト子会社の剛果東方国際鉱業(CDM)は2015年にコンゴ産のコバルト(手掘りのコバルトと産業鉱山のコバルトの両方)を7万2000トン輸出し、コンゴ国内で3位の鉱山会社となった。また、業界のアナリストによると、コンゴ産の手掘りのコバルトの輸出量は剛果東方国際鉱業が断トツの1位とされる。
コンゴ産の20%は手掘りで、狭い坑道の中で採掘する労働者が、致命的な事故に遭ったり、深刻な肺疾患にかかったりするリスクにさらされている。
子供がマスクなどの保護具も身に着けないまま、手掘りで働かされている。
Amnesty International は、同国で採掘されたコバルトが、中国系の加工会社、華友コバルトに渡るまでを追跡した。
Amnestyは2017年11月、コンゴ民主共和国の労働者や子どもたちが劣悪な環境で採掘したコバルトが、鉱業、精錬、部材メーカー、バッテリーメーカーというサプライチェーンを経て、電子機器や自動車の大手メーカーの製品に入り込んでいると発表した。
Amnestyは2年前、同国のコバルトをめぐるサプライチェーンを調べ上げ、いずれの企業もその人権デューディリジェンスが不十分であることを指摘したが、この2年で改善があったのはほんの一握りの企業に過ぎず、多くの企業は、同国のサプライチェーンを調べるというような基本的対応さえも手をつけていなかったとしている。
2018/4/18 Cove Point
LNGが商業運転開始
Dominion Energy Inc の米国メリーランド州のCove
Point LNGプロジェクトが、4月9日に商業運転を開始した。
米国の本土48州では、2016年2月に稼働したCheniere Energy
のルイジアナ州のSabine Pass LNG輸出ターミナルに次ぐ第二のLNG輸出ターミナルとなる。
Sabine Pass
LNGについては 2018/2/14 米国のCheniere
Energy、中国CNPCとLNGの長期供給契約締結
Cove Point LNGの正式稼働に先立ち、3月2日にShellが所有するLNGタンカーのGemmataが行き先不明で初荷を出荷している。
日本への初出荷は4月下旬以降となり、その後約1か月を経て、神奈川県内の東京ガスLNG基地で受け入れる予定。
米エネルギー省は2013年9月11日、住友商事が輸入契約を締結しているLNG輸出プロジェクト、Dominion
Cove Point LNGに対し、Maryland 州 Calvert County にあるCove
Point LNG Terminal から米国とFTAを締結していない国に対するLNGの輸出を承認した。(FTAを締結している国への輸出については、既に2011年10月7日に承認を受けている。)
輸出承認は日量770百万立方フィート(0.77Bcf/d
)の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは525万トンの輸出枠となる。
2013/9/13
米、日本向けLNG輸出 2件目を承認
Dominion
Energyでは既に住友商事との間で年間230万トン、インドのGailとの間で230万トンの輸出契約(20年間)を締結している。
住友商事では、東京ガスに対して140万トン、関西電力に対して80万トンの供給を約束している。
具体的には、Dominion
Energyは、住友商事と東京ガスのJVのST
Cove Point LLC 、及びインドのGail の米国子会社のGail Global (USA)
から受託し、それぞれが持ち込む天然ガスをLNGに加工して供給する。
住友商事は子会社PSEを通じて天然ガスを持ち込む。
東京ガスと関西電力は、2016年4月に合意した「LNG調達における弾力性向上に資する連携」に基づき、需給の変化に柔軟に対応すべく、相互にLNGを交換・融通するなど協力する。
なお、日本着のLNG価格は、天然ガス価格+固定費+運賃となる。
2018年2月のLNG通関価格と米国の天然ガス価格、それを基にしたLNG輸入価格
(Henry Hub 天然ガス価格 + 口銭15% +液化費 3$ + 運賃 3$で試算)
住友商事の天然ガス供給価格は不明だが、通常はHenry
Hub 渡し市況+マージンとなる。
液化費はCheniereが公表しているインドのGail、韓国のKogas向けは100万BTU当たり3ドルとなっている。
日本向け運賃は、(2012年9月のPlatts資料では)、US
Gulf Coast からは100万BTU当たり2.96ドル、Cove
Pointからは3.07ドルとなっている。
最近の価格では、既存の日本の輸入LPG価格が下がっているため、パナマ運河経由の米国からの輸入品は若干高めとなっている。
場合によっては、米国品を欧州に出し、アジアから欧州に向かっているものとスワップを行って運賃を節約することも考えられる。
東京ガスは2016年11月に、英エネルギー大手 Centrica
のトレーディング事業会社であるCentrica
LNG社と、「相互協力に関する協定」を締結したと発表した。その具体的な取り組みの第一歩として、LNGのスワップを行い、「LNGの輸送効率向上を通じたコスト削減を目指す枠組み」の実現を目指すことに合意した。
2016/11/22 東京ガス、英のCentrica
とLNGをスワップ
2018/4/19 米国が中国通信機器大手 ZTEへの製品販売を7年間禁止
米商務省は4月16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE
Corporation)がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していた件で、商務省との約束を守っていなかったため、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。
ZTEは1985年に深圳市中興半導体有限公司(Zhong
Xing Telecommunication Equipment
Company Limited)として設立され、以降、携帯電話網設備、携帯電話端末、無線製品、ネットワークプロダクトなどの開発および生産を主に手がける。
ZTEは米国でAT&T やT-Mobile US、Sprint
など携帯電話大手にスマートフォンを供給する一方、Qualcomm、Microsoft、Intel
など米企業の製品を採用している。
Qualcommの半導体などスマートフォンに不可欠な部品を含め、米サプライヤーから技術を得られなくなる。禁止期間の7年間は次世代となる第5世代無線通信技術への移行で重要な時期と重なる。
今回の措置は同社に深刻な打撃を与えるとみられる。ハーシュホーン元商務次官は「ZTEが問題を解決できない場合、廃業に追い込まれる可能性が高い。米国外の銀行や企業でさえ、多くがZTEとの取引を望まない」と指摘した。
また、米企業はチップセットなどの対象製品をZTEに直接輸出することも、第三国を通じて輸出することも、直ちにできなくなる。
付記
台湾経済部はこのほど、米国の制裁に合わせ、中興通訊(ZTE
Corporation)を輸出制限の対象に指定した。台湾企業が同社に輸出する場合は許可が必要となる。
台湾のMediaTec (聯發科技)
は同社への製品供給を一時停止した。
日本では、ZTEジャパンが2008年に設立され、日本の消費者および通信事業者向けに、最先端の携帯端末やスマートフォン、有線・無線の通信ネットワーク・ソリューション、データカード等の製品とアフターサービスを提供している。
なお、Qualcomm、Microsoft、Intel
などの代わりに日本企業がZTEに製品を供給するのではないかとの報道が米国の一部にあるが、トランプ政権の反感を買うことを恐れ、積極的に供給する企業はないと思われる。
別途、米連邦通信委員会(FCC)は4月17日、国内の通信会社に対し、安全保障上の懸念がある外国企業から通信機器を調達するのを禁じる方針を決めた。対象企業は今後詰めるが、華為技術(Huawei
Technologies)と中興通訊(ZTE
Corp.)の中国大手2社を念頭に置く。
新規制は、全国に通信回線を普及する目的で設けられた同委員会の補助金を使う通信会社が、安保上の懸念がある外国企業の製品
を買うのを禁じる。企業など一般から意見を募って禁止対象の企業や製品を確定し、その後に規制を導入する。
FCCの委員長は「敵対的な外国勢力は通信機器に仕掛けたバックドアを使ってウイルスを侵入させ、米国人から情報を取ったり基幹インフラを攻撃したりできる」と述べ、規制の意義を強調した。
付記
米国防総省は5月3日、全世界にある米軍基地にある店舗で、中国の華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE)の携帯電話の販売を取りやめたことを明らかにした。安全保障上のリスクがあるためだという。軍人には基地の外でも中国製品の使用に注意するよう求めた。
米軍基地の店舗に対して4月25日に製品を引き上げるよう指示した。米情報当局は盗聴などのリスクがあると指摘しており、米軍の作戦などの情報が漏れることを警戒した。
米国政府や議会はHuawei
などの通信機器が中国政府のスパイ活動に使われる懸念があると疑っている。
ーーー
米商務省は2016年3月、ZTEが2010年にイランや北朝鮮に禁輸措置品を輸出し、その事実を隠ぺいしたとして、輸出禁止の対象とした。商務省は半月後に、ZTEが社内コンプライアンス体制の改革や情報提供を行うことを条件に規制の一部緩和措置を発表した。
輸出禁止措置の4度目の猶予期間中の2017年3月に、ZTEは米国による対イラン制裁措置などに違反し、米国製品や技術をイランに輸出していたことで有罪を認め、8億9000万ドルの罰金支払いや、さらなる違反があった場合に3億ドルの追徴金を支払うことで合意した。
更に、幹部社員4人を解雇し、他の社員35人については賞与減額か懲戒処分とすることを約束した。
同時に、これらの条件に反したり、新しく米国輸出管理規則(Export
Administration Regulations) に違反した場合、米企業によるZTEへの製品販売の7年間禁止することに同意した。
しかし、同社は今年3月、幹部4人を解雇したものの、他の35人については賞与減額も懲戒も行っていなかったことを認めた。
ロス商務長官は声明で、ZTEが同問題を巡り、米政府に繰り返し虚偽の報告を行っていたことを指摘した。
中国商務省は4月17日、質問に対し、次のように述べた。
この米国の措置に中国も留意している。中国は中国企業に対して、海外でビジネスを展開する過程で、現地の法律、政策を遵守し、合法的にビジネスを展開するようにと一貫して求めている。
中興通訊は米国企業数百社と提携し、貿易、投資を広く展開し、米国で数万人の雇用を創出している。米国が法律、規則に基づき、適切に問題を処理し、企業のために、公正、公平、安定した法律、政策環境を整えることを願っている
。
当部は今後も事態の進展を見守り、必要な対策を講じ、中国企業の合法的権益を守る用意を随時行っていく。
付記
中興通訊(ZTE )は4月20日、下記の通り述べ、法的手段を用いて権益を守る考えもあることを明らかにした。
中興通訊がこの2年間、輸出に関する法律を遵守してきたことや、いかに米国に投資して進歩をとげてきたかを、米商務省が無視している。
総裁直属のコンプライアンス管理委員会を設立したり、ベテランの輸出管理コンプライアンス専門チームを設立したりするなどして、法令遵守に努めてきた。
また、指摘を受けた問題点をすぐに改善し、米国の法律事務所に調査を依頼したにも関わらず、米商務省は調査結果を待たずに最も厳しい制裁を下した。
「このような不公平な扱いを受け入れることはできない。」
輸出品規制措置は中興通訊の生存を脅かすだけでなく、米国企業を含む提携企業の利益にも影響を及ぼす可能性がある。
2018/4/20 Goodyear とブリヂストン、米国で共同のタイヤ卸売会社を設立
The Goodyear Tire
& Rubber Companyと米国ブリヂストンは4月17日、タイヤの卸売会社 TireHub, LLC.を共同で設立すると発表した。
両社が50%ずつ出資し、両社から独立して事業を行
う。必要な許認可を取得後、2018年半ばに設立する予定。
TireHubは両社の乗用車用・小型トラック用タイヤの米国における卸売事業を行い、両社の持つ充実した商品ラインナップを供給することで急速に伸長する大口径プレミアムタイヤの需要増にも対応
する。
両社が全米各地に保有している合計80以上の物流拠点を活用して、商品の在庫・販売・配送まで一貫したサービスを提供する。販売窓口を一本化し、販売店のPOSシステムと容易に統合できるオンラインポータルなど、業界最高水準のサービスを導入し、全米のほとんどの販売店に毎日配送できる体制を構築する。
Goodyearは2015年10月、住友ゴムとのアライアンス契約および合弁事業を解消
、北米のタイヤ製造・販売合弁会社を住友ゴムに売却している。
北米では、市販用タイヤと非日系自動車の新車用タイヤで Dunlopブランド商標使用権を持つ。
今回、新たにブリヂストンと共同会社を設立し、タイヤ事業の成長とブランド価値向上を図る。
ーーー
住友ゴムは2015年6月4日、Goodyear Tire & Rubber とのアライアンス契約と合弁事業を解消する契約を締結した。解消手続きは10月1日付けで完了した。
主な合意内容は以下の通り。
(1) |
北米JVと「ダンロップグッドイヤータイヤ」は住友ゴムが買取り
欧州JVと「日本グッドイヤー」はGoodyear社が買取り
共同購買及び技術交流、共同開発JVは解散 |
(2) |
Dunlopブランド商標使用権の帰属 |
(3) |
住友ゴムは、Goodyearから271百万USドルを受領 |
(1) JVの解消
合弁会社 |
事業内容 |
現状 |
解消後 |
住友 |
GY |
北
米 |
Goodyear Dunlop Tires North America
含 バッファロー工場 |
タイヤ製造・販売事業 |
25% |
75% |
住友ゴム
100% |
欧
州 |
Goodyear Dunlop Tires Europe B.V. |
タイヤ製造・販売事業 |
25% |
75% |
Goodyear 100% |
日
本 |
ダンロップグッドイヤータイヤ |
新車向けタイヤ販売事業 |
75% |
25% |
住友ゴム
100% |
日本グッドイヤー |
市販用グッドイヤー・ブランド・タイヤ販売事業 |
75% |
25% |
Goodyear 100% |
Goodyear -
SRI Global Purchasing |
共同購買 |
20% |
80% |
解散 |
Goodyear -
SRI Global Technology |
共同技術開発 |
49% |
51% |
解散 |
(2) Dunlopブランド商標使用権の帰属
|
現状 |
解消後 |
|
住友 |
Goodyear |
北米(米・加・メキシコ) |
米国JV |
新車用 |
日系自動車新車用 |
非日系自動車新車用 |
市販用 |
|
市販用 |
モーターサイクル |
新車用、市販用 |
|
欧州 |
欧州JV |
|
|
新車用、市販用 |
日本 |
日本JV |
新車用 |
新車用、市販用 |
|
住友ゴム |
市販用 |
旧ソ連・トルコ・西アフリカ等33カ国 |
住友ゴム/
欧州JV |
|
新車用、市販用 |
|
|
現在も今後も商標権保有 |
|
アジア、中東、中南米、東アフリカ |
豪州・NZ |
2015/6/8
住友ゴム、Goodyearとのアライアンスを解消
ーーー
トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom
Limitedによる米Qualcomm
Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。
半導体業界のアナリストは「Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」と指摘する。
2018/3/14
米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令
Qualcommは米国の政治力でBroadcom
による買収から逃れたが、今度は中国政府により、悲願としたNXP買収を認めてもらえない状況となった。米中の通商摩擦に完全に巻き込まれた形となっている。
ーーー
Qualcommは2016年10月27日、NXP
Semiconductorsを買収することで合意したと発表した。
NXPの発行済み株式を1株当たり110米ドル(11.5%のプレミアムを上乗せ)で買い付ける。買収額は約470億米ドルで、Qualcommは全て現金で支払う。
負債を除くと約390億米ドルとなり、旧Avago
TechnologiesによるBroadcomの買収額である370億米ドルを越え、半導体ICメーカーの買収金額としては過去最高となる。。
2016年2月に、Hewlett-PackardやAgilent
Technologiesの半導体部門を起源とするAvago
TechnologiesがBroadcomを370億ドル(現金170億ドルとAvago株式200億ドル)で買収し、Avago
Technologiesは社名をBroadcom
Ltd.に改称した。現在のBroadcomは、当初のBroadcomを含めた元のAvago
Technologiesである。
なお、NXP株の約28%を保有するアクティビスト(物言う投資家)のElliott
Managementなどが1株110ドルについて「著しい過小評価だ」と主張していたが、Qaulcommは2018年2月に買収額を16%引き上げ、1株127.50ドルとした。