2018/5/28 主要企業の2018年3月決算 −
旭化成、三菱ガス化学
旭化成
ケミカル事業の営業損益が大きく増加し、増収増益となった。特別損益も黒字であった。
単位:億円 (配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
特別損益 |
当期損益 |
配当 |
中間
|
期末
|
2016/3 |
19,409 |
1,652 |
1,614 |
-150 |
918 |
10 |
10 |
2017/3 |
18,830 |
1,592 |
1,606 |
-32 |
1,150 |
10 |
14 |
2018/3 |
20,422 |
1,985 |
2,125 |
58 |
1,702 |
14 |
20 |
前年比 |
1,592 |
392 |
519 |
90 |
552 |
4 |
6 |
2019/3予 |
21,550 |
1,900 |
1,990 |
|
1,400 |
34 |
|
営業損益は下記の通り。
事業部別
|
16/3 |
17/3 |
18/3 |
増減 |
内訳 |
19/3予 |
数量差 |
売値差 |
コスト差 |
マテリアル |
ケミカル |
609 |
744 |
1,001 |
257 |
87 |
550 |
-379 |
935 |
繊維 |
139 |
117 |
121 |
5 |
27 |
16 |
-38 |
140 |
エレクトロニクス |
44 |
25 |
97 |
72 |
49 |
-25 |
48 |
75 |
住宅 |
住宅 |
654 |
595 |
602 |
7 |
26 |
23 |
-42 |
610 |
建材 |
58 |
45 |
40 |
-4 |
15 |
-2 |
-18 |
45 |
ヘルスケア |
医薬・医療 |
243 |
171 |
197 |
25 |
-5 |
6 |
24 |
175 |
クリティカルケア |
119 |
148 |
198 |
50 |
112 |
13 |
-75 |
200 |
その他 |
38 |
20 |
19 |
-1 |
-1 |
|
|
20 |
全社 |
-253 |
-271 |
-290 |
-19 |
|
|
-19 |
-300 |
合計 |
1,652 |
1,592 |
1,985 |
392 |
311 |
581 |
-499 |
1,900 |
ケミカル事業は、アクリロニトリル等の交易条件差、数量差で大幅増益となった。
クリティカルケアは2012年に買収した米国の救命救急医療機器大手であるZOLL
Medical Corporationだが、毎年増益となっている。
2013/3 -37億円、2014/3 -35億円、2015/3
41億円、2016/3 119億円、2017/3 148億円、2018/3 198億円
2012/3/19 旭化成、米国ZOLL
Medical Corporationを買収
特別損益は有価証券売却益が大きく(152億円)差引黒字となった。
ーーー
三菱ガス化学
営業損益は前年を190億円上回り、当期損益でも126億円の増益となった。大幅増配とし、次期も更に増配する。
特別損益は投資有価証券評価損 83億円を含む。
単位:億円 (配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
持分法 |
経常損益 |
特別損益 |
当期損益 |
配当 |
中間 |
期末 |
2016/3 |
5,935 |
340 |
167 |
454 |
4 |
341 |
8.0 |
8.0 |
2017/3 |
5,565 |
438 |
211 |
624 |
-13 |
480 |
8.0 |
22.0
(11.0) |
2018/3 |
6,359 |
627 |
183 |
807 |
-73 |
605 |
24.0(12.0) |
35.0(17.5) |
前年比 |
794 |
190 |
-28 |
183 |
-60 |
126 |
(4.0) |
(6.5) |
2019/3予 |
6,400 |
530 |
|
750 |
|
610 |
35.0(17.5) |
35.0(17.5) |
|
三菱ガス化学は海外メタノール事業が持分法であり、営業損益に含まれないため、部門別損益については従来からこれを含む経常損益を発表している。
2015年3月期までは経常損益に占める持分法損益の比重が非常に高かった。その後、
メタノールを主とする天然ガスの利益が減り、この3年間、利益が横ばいであるのに対し、芳香族、機能化学品の利益が急増している。
|
→ |
|
このうちの持分法 |
|
|
|
|
|
|
16/3 |
17/3 |
18/3 |
増減 |
19/3予想 |
天然ガス系 |
139 |
143 |
149 |
6 |
180 |
芳香族 |
137 |
175 |
251 |
76 |
212 |
機能化学品 |
156 |
268 |
386 |
118 |
306 |
特殊機能材 |
39 |
62 |
63 |
2 |
63 |
その他 |
3 |
3 |
3 |
-1 |
0 |
全社 |
-19 |
-27 |
-46 |
-18 |
-11 |
合計 |
454 |
624 |
807 |
183 |
750 |
天然ガス系化学品 |
メタノール、アンモニア、アミン系製品、メタクリル酸系製品、多価アルコール類、酵素・補酵素類 |
芳香族化学品 |
キシレン異性体及びその誘導品 |
機能化学品 |
過酸化水素、電子工業用薬品類、エンジニアリングプラスチックス |
特殊機能材 |
プリント配線板用材料、プリント配線基板、脱酸素剤「エージレスR」 |
その他 |
不動産業他 |
持分法損益は、
天然ガス系(メタノール)で93億円、機能化学品ではエンプラなどで79億円を、特殊機能材で3億円を計上した。
海外メタノールでは、ベネズエラのMETORの税制改正や、サウジのプラントトラブル、ブルネイメタノールの定修などで減少した。
芳香族では、高純度イソフタル酸の市況が大幅に上昇、メタキシレンの休止していた生産装置1系列を2017年3月末に再稼働し、販売数量が増加
メタキシレンジアミンも販売数量増加、販売価格上昇で増益となった。
機能化学品では、半導体向け薬液の販売数量が増加。ポリカーボネートも中国を中心に需要が好調、ビスフェノールAのスプレッドは非常に高い水準で推移
。
2018/5/28 小野薬品工業と
ブリストル・マイヤーズスクイブ、がん免疫療法薬2剤の併用療法の承認取得
小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブは5月25日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)」およびヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)」について、根治切除不能な悪性黒色腫に対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認承認
を取得したと発表した。
今回の承認は、国内で初めてのがん免疫療法薬2剤の併用療法の承認となる。
両社は腎細胞癌についても併用療法の承認申請を行っている。
ブリストル・マイヤーズスクイブ
は4月18日、FDAにより両剤併用療法が、未治療の中及び高リスクの進行腎細胞癌治療薬として承認されたと発表した。癌免疫治療法薬の併用療法としては米国で初の承認となる。
悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも転移率が高く、きわめて悪性度が高いとされてい
る。
オプジーボおよびヤーボイは、国内においてすでにそれぞれの単剤投与について「根治切除不能な悪性黒色腫」を対象として承認を取得している。今回の承認によって、併用療法が可能とな
った。
働きの異なる2剤を併用することで治療効果が上がるといい、患者の選択肢が増える。
ーーー
癌免疫薬は免疫チェックポイント阻害薬とよばれる。
(他に、自分のリンパ球を取り出し培養したうえで、活性化したリンパ球だけ、特にナチュラル・キラー細胞を戻すNK細胞投与がある。)
癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。
1) 癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1
に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。
2)
免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞から癌抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印に癌細胞を攻撃するが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4
に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、癌細胞を攻撃できなくなる。
これらの「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。
現在、日本で承認済みと開発中のものは下記の通り。小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS) は提携している。
|
機能 |
承認 |
開発中 |
抗PD-1抗体 |
免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 |
オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck) |
|
抗PD-L1抗体 |
癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止 |
バベンチオ(独Merck/Pfyzer)
テセントリク(Roche/中外製薬) |
デュルバルマブ(AstraZeneca)
|
抗CTLA-4抗体 |
免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 |
ヤーボイ(BMS/小野薬品)
|
|
承認取得は次の通り。
|
オプジーボ |
ヤーボイ |
オプジーボ/
ヤーボイ併用 |
キイトルーダ |
バベンチオ |
テセントリク |
悪性黒色腫 |
2014/7 |
2015/7 |
2018/5 |
2016/9 |
|
|
非小細胞肺癌 |
2015/2 |
|
|
2016/12 |
|
2018/1(二次治療) |
腎細胞癌 |
2016/8 |
|
|
|
|
|
ホジキンリンパ腫 |
2016/12 |
|
|
2017/11 |
|
|
頭頚部癌 |
2017/3 |
|
|
|
|
|
胃癌 |
2017/9 |
|
|
2017/12 |
|
|
尿路上皮癌 |
|
|
|
|
|
|
メルケル細胞癌 |
|
|
|
|
2017/9 |
|
http://answers.ten-navi.com/pharmanews/7342/
なお、エーザイと米 Merck
は3月8日、エーザイ創製の抗がん剤、経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表した。
両社は、「レンビマ」の単剤療法、ならびにMerck
の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。
2018/3/13
エーザイと米 Merck 、エーザイの抗がん剤「レンビマ®」のがん領域における戦略的提携に合意
2018/5/29
主要企業の2018年3月決算 −
帝人、宇部興産
帝人
ヘルスケアが前年の米国在宅医療事業撤退の効果もあり、増益となった。
増収増益だが、前年の法人税に特殊要因があったため、当期損益は若干の減益となった。
単位:億円 (配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
特別損益 |
法人税 |
当期損益 |
配当 |
中間 |
期末 |
2016/3 |
7,907 |
671 |
603 |
-147 |
164 |
311 |
3.0 |
4.0 |
2017/3 |
7,413 |
565 |
559 |
-220 |
-175 |
501 |
5.0 |
30.0
(6.0) |
2018/3 |
8,350 |
698 |
678 |
1 |
208 |
456 |
30.0
(6.0) |
30.0
(6.0) |
前年比 |
937 |
133 |
119 |
221 |
383 |
-46 |
1.0 |
0 |
2019/3予 |
8,800 |
700 |
710 |
|
|
470 |
30.0
(6.0) |
40.0
(8.0) |
|
2017/3の税金は、米国在宅医療事業(Braden
Partners, L.P.ならびにAssociated Healthcare Systems, Inc.)からの撤退を決定したことに伴う税効果会計の適用。
営業損益
|
16/3 |
17/3 |
18/3 |
増減 |
増減のうち |
19/3予 |
マテリアル |
671 |
312 |
336 |
24 |
償却費増 -75、価格差
-50、
為替差益 +25、構造改革 30 |
365 |
ヘルスケア |
248 |
359 |
112 |
米在宅医療撤退 65、先行費用 -52 |
340 |
その他 |
53 |
61 |
8 |
|
60 |
全社 |
-48 |
-59 |
-11 |
|
-65 |
合計 |
671 |
565 |
698 |
133 |
|
700 |
特別損益は次の通り。
|
2016/3 |
2017/3 |
2018/3 |
減損損失 |
- 43 |
- 14 |
-
11 |
事業構造改善 |
-55 |
-155 |
-5 |
固定資産除却、売却損 |
-29 |
-48 |
-41 |
固定資産売却益 |
3 |
3 |
56 |
その他 |
-23 |
-6 |
2 |
差引 |
-147 |
-220 |
1 |
ーーー
宇部興産
化学品が各分野とも好調で、増収増益となった。
単位:億円 (配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
特別損益 |
当期損益 |
配当 |
中間 |
期末 |
2016/3 |
6,418 |
414 |
396 |
-120 |
191 |
0 |
5.0 |
2017/3 |
6,166 |
350 |
333 |
-4 |
242 |
0 |
6.0 |
2018/3 |
6,956 |
503 |
507 |
-57 |
317 |
0
|
75.0
(7.5) |
前年比 |
790 |
153 |
174 |
-53 |
75 |
0 |
1.5 |
2019/3予 |
7,400 |
440 |
455 |
|
305 |
0
|
75.0
(7.5) |
|
営業損益
|
16/3 |
17/3 |
18/3 |
増減 |
内訳 |
19/3予 |
価格差 |
数量差 |
固定費差 |
その他 |
化学 |
121 |
97 |
290 |
193 |
108 |
45 |
6 |
35 |
225 |
医薬 |
11 |
25 |
21 |
-4 |
1 |
12 |
2 |
-19 |
5 |
建設資材 |
198 |
163 |
123 |
-39 |
-38 |
11 |
-23 |
11 |
125 |
機械・金属成形 |
46 |
37 |
55 |
18 |
-2 |
3 |
-35 |
52 |
60 |
エネルギー・環境 |
39 |
29 |
24 |
-5 |
-4 |
7 |
-2 |
-6 |
25 |
その他 |
11 |
8 |
9 |
1 |
|
|
|
1 |
10 |
全社 |
-12 |
-7 |
-19 |
-12 |
|
|
|
-12 |
-10 |
合計 |
414 |
350 |
503 |
153 |
65 |
78 |
-52 |
62 |
440 |
化学品が200%の大増益となった。内訳は下記の通り。(億円)
ナイロン・ラクタムチェーン |
+72 |
ラクタムは中国の環境規制等で需給がタイト化、売価アップ
ナイロンも原料価格上昇に応じ、売価アップ
アンモニア増収 |
合成ゴム |
+59 |
原料ブタジエンの価格アップに応じ売価アップ |
電池材料・ファイン |
+23 |
車載向け電池材料等が販売数量増 |
ポリイミド・機能品 |
+33 |
ポリイミドは回路基板向けに数量増 |
2018/5/29 デンカ、コンゴ民主共和国へエボラウイルス迅速診断キットを提供
デンカは5月28日、グループ会社のデンカ生研が、エボラウイルス迅速診断キット(クイックナビTMシリーズ) 試作品をコンゴ民主共和国の国立生物医学研究所(INRB)へ提供した
と発表した。
同社は、昨年の同地域でのエボラ出血熱流行時に、同国保険省のアドバイザーとしてJICAから派遣されている専門家からの要請で
この試作品を提供し、拡大防止に貢献した。
今回、エボラウイルス病の流行発表を受け、同国保健省エボラ対策国家調整委員会検査部会が、昨年の成果を踏まえ、JICA
経由で検査キットの提供要請を行い、それを受けてデンカ生研が無償にて実施した。JICAは医療従事者の移動手段としてバイク5台、簡易検査施設の電力供給用に発電機1台を提供した。
コンゴ民主共和国保健省は5月8日,赤道州ボコロ保健圏において,2例のエボラ出血熱が発生したことを発表した。
世界保健機関(WHO)は5月14日、4/4〜5/13に報告された感染例を次のとおり発表している。
|
確定 |
高い可能性 |
疑い |
ビコロ保健圏 |
2 |
20 |
7 |
イボコ保健圏 |
0 |
3 |
5 |
ワンダカ保健圏 |
0 |
2 |
0 |
合計(うち 死亡 19)
|
2 |
25 |
12 |
この検査試作キットは、高田礼人教授(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター)とデンカ生研が、ザンビアで実施中の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト」の研究成果を活用し、共同で開発したもので、特別な器具や装置無しに約15分で検査結果を判定でき、医療施設が十分に整っていない地域においても迅速な検査が実施できる。
デンカ生研では、インフルエンザ、ノロウイルス、RSウイルスなどの迅速診断キット製品群を有している。
同社はかねてより、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授と共同でエボラウイルス迅速診断薬の開発を行っていたが、2015年3月にその試作品開発に成功した
。
デンカ生研が製造・販売を行う感染症迅速診断キット「クイックナビ™」シリーズのプラットフォームをベースとするもので、血清を検体とした測定を行う。
毒性の高いウイルスを扱うことの出来る米国のBSL4施設(Biosafety Level 4)において、エボラウイルスに感染したサルの血清を用いた試験を行い、約15分でエボラウイルス感染の有無が判定できることを確認した。
エボラウイルス感染の判定には、主にELISA法や RT-PCR法などの測定法が使用されているが、これらは特別な装置と長い測定時間を必要とする。
ELISA(Enzyme-linked
immuno-sorbent assay)法:
抗原抗体反応を利用して、特定物質を測定する免疫学的測定法
RT-PCR (Reverse
Transcription Polymerase Chain Reaction)= 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法:
RNA(リボ核酸)から逆転写酵素によってcDNA(相補的デオキシリボ核酸)を合成し、ポリメラーゼ連鎖反応を行うことで、目的の遺伝子を増幅する方法
これに対し、デンカ生研の「クイックナビ™」シリーズが採用するイムノクロマト法は、特別な器具や装置を必要としないため、簡便且つ迅速な検査が可能で、電源などが十分でない地域においても活用が期待される。
クロマト(クロマトグラフィー)は、固定相の一端から多成分試料を移動させ、各成分の固定相に対する吸着や、分配の差異による移動速度の大小によって分離する方法
で、イムノクロマト法は、この原理と抗原抗体反応を組み合わせたもの。検出方法としては、酵素抗体法と凝集法(金コロイドや着色ラテックスなど)がある
。
2018/5/30 主要企業の2018年3月決算 −
チッソ
チッソは2011年1月に「事業再編計画」に記載した100%子会社
JNC
を設立し、事業を譲渡した。
2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社を設立
親会社のチッソは当面、子会社JNCの株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡し、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想である。
なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。
水俣病の公式確認から62年を迎えた5月1日の水俣病犠牲者慰霊式の後、チッソ社長が「水俣病の救済は終わっている」と述べて批判を受け、その後、取り消した。
2018/5/2
チッソ社長、「水俣病の救済は終わっている」 付記に「お詫びと撤回」
「救済の終了」には時間がかかるが、「市況の好転」についても、主力の液晶の利益が激減しており、2011年3月期に248億円あった経常損益は48億円に減っている。
液晶については、元の利益に戻る可能性は少なく、JNCを購入しようという相手が出てくるかどうか疑問である。
2018年3月末の未処理損失は
1,421億円である。資本金は78億円で、純資産は−1,111億円となっている。
単位:億円 (配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
特別損益 |
当期損益 |
配当 |
中間 |
期末 |
2016/3 |
1,718 |
129 |
138 |
-39 |
55 |
0 |
0 |
2017/3 |
1,540 |
61 |
75 |
-64 |
-14 |
0 |
0 |
2018/3 |
1,600 |
29 |
48 |
-40 |
-33 |
0 |
0 |
前年比 |
60 |
-32 |
-28 |
25 |
-19 |
|
|
2019/3予 |
1,680 |
|
55 |
|
|
0 |
0 |
|
経常損益
液晶を中心とする機能材料は、2015年3月期には182億円の利益を計上したが、その後、128億円、83億円となり、本年は26億円に激減した。
中国パネルメーカーの増産を受けて液晶ディスプレイパネルが供給過多の状況となってきており、顧客が稼働調整した影響から、液晶材料の販売
が減少した。
有機ELパネルが増えており、今後、液晶が元に戻る可能性は少ない。
|
15/3 |
16/3 |
17/3 |
18/3 |
増減 |
19/3予想 |
機能材料 |
182 |
128 |
83 |
26 |
-56 |
|
加工品 |
21 |
16 |
15 |
18 |
3 |
|
化学品 |
-11 |
17 |
-1 |
21 |
22 |
|
商業事業 |
4 |
3 |
3 |
3 |
0 |
|
電力 |
5 |
1 |
0 |
1 |
0 |
|
その他 |
2 |
1 |
2 |
2 |
-0 |
|
全社 |
-28 |
-28 |
-27 |
-23 |
4 |
|
合計 |
175 |
138 |
75 |
48 |
-28 |
55 |
機能材料 |
液晶関連材料、電子情報材料 |
加工品 |
ポリオレフィン複合繊維、被覆肥料、高度化製肥料 |
化学品 |
高級アルコール、可塑剤(三菱ガスとのJV シージーエステル)、溶剤、PP(三菱ケミカルとのJV
日本ポリプロ)、PE(丸善ポリマーとのJV 京葉ポリエチレン)、PP特殊コンパウンド |
商業事業 |
|
電力 |
水力発電、太陽光発電 |
その他 |
化学工業設備の設計、施工等 |
液晶は水俣で製造する液晶単品を五井と台湾の台南工場でブレンドし、ディスプレイ・メーカーに供給している。
特別損益には下記を含む。(億円)
|
14/3 |
15/3 |
16/3 |
17/3 |
18/3 |
水俣病補償損失 |
-41 |
-38 |
-37 |
-35 |
-33 |
被害者救済一時金 |
-46 |
-2 |
|
|
|
環境対策費 |
-20 |
|
|
|
|
災害損失 |
|
|
|
-16 |
-7 |
減損損失 |
-1 |
-5 |
-38 |
-3 |
|
固定資産圧縮損 |
|
|
-25 |
|
|
2018/5/30 7原発12基の換気系ダクトに腐食
原子力規制委員会は5月23日、全国の原発などで中央制御室の空調換気系ダクトを調査した結果、一部に腐食や穴、亀裂が見つかったのは下記の島根2号機以外に7原発12基だったと明らかにした。他に未報告分がある。
http://www.nsr.go.jp/data/000232172.pdf
(表では東海第二は報告待ちとなっているが、5/22に腐食ありの発表があった。)
2016年12月に中国電力島根原発2号機の中央制御室のダクトで腐食による複数の穴が見つかった
。ダクトを覆う保温材を外す点検で複数の穴が見つかり、最大で横約100センチ、縦約30センチだった。
原因は結露や外から浸入した雨水、塩分の付着と推定されている。
この問題を受け、規制委が2017年1月に各電力事業者に調査を指示していた。
東京電力柏崎刈羽3、7号機では計9カ所の穴や亀裂があり、3号機で最大の縦約13センチ、横約5センチの亀裂が見つかった。
ダクトに腐食があると事故時に中央制御室に放射性物質が流入して運転員が被ばくする恐れがある。腐食が大きい柏崎刈羽3号機は換気機能に異常がある可能性がある。
規制委の更田豊志委員長は記者会見で「腐食の程度や穴が大きい」と指摘し、東電に速やかな是正を求めた。
腐食がみつかった原発の全てが、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR) で、規制委によると沸騰水型の場合、ダクトの外気取り込み口に水分や塩分を除去するフィルターを設置しないメーカーが多かった。
原発は全て海岸沿いにあり、水分や海水の塩分を含んだ外気をダクトから取り込み、腐食が発生したとみられる。ダクトの材質は鉄や亜鉛メッキ鋼。
加圧水型 (PWR) では外気の取り入れ口の近くにフィルターを設置するなどの対策をしており、問題なかった。
規制庁によると、稼働中の原発で同様の腐食が見つかった場合、保安規定では10日以内に補修することになっており、補修できなければ原子炉を停止する必要がある。
発電所名 |
運転開始 |
型式 |
能力
万KW) |
廃炉 |
再稼働
合格 |
再稼働 |
今回調査 |
回答 |
機能・性能への影響 |
居住性に影響を与える範囲の腐食孔 |
北海道
|
泊 |
@
1989/6/22 |
PWR |
57.9 |
|
|
|
異常なし |
|
|
A
1991/4/12 |
PWR |
57.9 |
|
|
|
B
2009/12/22 |
PWR |
91.2 |
|
|
|
東北電
|
東通 |
@ 2005/12/8 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
異常なし |
|
|
東北電 |
女川 |
@ 1984/6/1 |
BWR |
52.4 |
|
|
|
異常なし |
|
|
A
1995/7/28 |
BWR |
82.5 |
|
|
|
B
2002/1/30 |
BWR |
82.5 |
|
|
|
ダクトフランジに腐食 |
無し |
無し |
東 電
|
福島
第一 |
@ 1971/3/26 |
BWR |
46.0 |
2012/4/19
|
|
|
|
|
|
A 1974/7/18 |
BWR |
78.4 |
|
|
|
|
B 1976/3/27 |
BWR |
78.4 |
|
|
|
|
C 1978/10/12 |
BWR |
78.4 |
|
|
|
|
D 1978/4/18 |
BWR |
78.4 |
2014/1/31
|
|
|
異常なし |
|
|
E 1979/10/24 |
BWR |
110.0 |
|
ダクトフランジに腐食 |
無し |
無し |
東電
|
福島
第二 |
@
1982/4/20 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
報告待ち |
|
|
A
1984/2/3 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
|
|
B
1985/6/21 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
|
|
C
1987/8/25 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
|
|
原電
|
東海 |
@1966/7/25 |
|
16.6 |
1998/3/31
運転終了 |
|
|
|
|
|
A
1978/11/28 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
|
東電
|
柏崎
刈羽 |
@ 1985/9/18 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
報告待ち |
|
|
A 1990/9/28 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
|
|
B 1993/8/11 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
有り(5個) |
C 1994/8/11 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
無し |
D 1990/4/10 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
異常なし |
|
|
E 1996/11/7 |
ABWR |
135.6 |
|
2017/12/27 |
|
ダクトに腐食 |
無し |
無し |
F 1997/7/2 |
ABWR |
135.6 |
|
ダクトに腐食 |
無し |
有り(4個) |
中電
|
浜岡 |
@1976/3/17 |
BWR |
54.8 |
2009/1/30
運転終了 |
|
|
|
|
|
A1978/11/29 |
84.0 |
|
|
|
|
B 1987/8/28 |
BWR |
110.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
有り(6個) |
C 1993/9/3 |
BWR |
113.7 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
|
D
2005/1/18 |
ABWR |
138.0 |
|
|
|
|
北陸
|
志賀 |
@ 1993/7/30 |
BWR |
54.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
|
A
2006/3/15 |
ABWR |
135.8 |
|
|
|
異常なし |
|
|
原電
|
敦賀 |
@ 1970/3/14 |
BWR |
35.7 |
2015/3/17
決定 |
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
|
A 1987/7/25 |
PWR |
116.0 |
|
|
|
異常なし |
|
|
関電
|
美浜 |
@ 1970/11/28 |
PWR |
34.0 |
2015/3/17
決定 |
|
|
異常なし |
|
|
A 1972/7/25 |
PWR |
50.0 |
|
|
|
B 1976/3/15 |
PWR |
82.6 |
|
2016/11/16 |
|
異常なし |
|
|
関電
|
大飯 |
@ 1979/3/27 |
PWR |
117.5 |
|
|
|
異常なし |
|
|
A
1979/12/5 |
PWR |
117.5 |
|
|
|
|
|
B
1991/12/18 |
PWR |
118.0 |
|
2017/5/24 |
2018/3/14 |
|
|
C
1993/2/2 |
PWR |
118.0 |
|
2018/5/9 |
|
|
関電
|
高浜 |
@
1974/11/14 |
PWR |
82.6 |
|
2016/6/20 |
|
異常なし |
|
|
A
1975/11/14 |
PWR |
82.6 |
|
|
|
|
B
1985/1/17 |
PWR |
87.0 |
|
2015/2/12 |
2016/1/29
2017/6/6 |
|
|
C
1985/6/5 |
PWR |
87.0 |
|
2016/2/26
2017/5/17 |
|
|
中国
|
島根 |
@ 1974/3/29 |
BWR |
46.0 |
2015/3/18
決定 |
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
吸気 4個
外気取入 83個 |
A
1989/2/10 |
BWR |
82.0 |
|
|
|
ダクトに腐食 |
無し |
|
四国
|
伊方 |
@ 1977/9/30 |
PWR |
56.6 |
2016/5/9
廃炉 |
|
|
異常なし |
|
|
A 1982/3/19 |
PWR |
56.6 |
2018/5
廃炉 |
|
|
|
|
B
1994/12/15 |
PWR |
89.0 |
|
2015/7/15 |
2016/9/7 |
|
|
九州
|
玄海 |
@ 1975/10/15 |
PWR |
55.9 |
2015/3/18
決定 |
|
|
異常なし |
|
|
A
1981/3/30 |
PWR |
55.9 |
|
|
|
|
|
B
1994/3/18 |
PWR |
118.0 |
|
2017/1/18
|
2018/3/23
4/18 |
|
|
C
1997/7/25 |
PWR |
118.0 |
|
2018/6予 |
|
|
九州
|
川内 |
@
1984/7/4 |
PWR |
89.0 |
|
2014/9/10 |
2015/8/11 |
異常なし |
|
|
A 1985/11/28 |
PWR |
89.0 |
|
2015/10/15 |
|
|
|
もんじゅ |
|
|
|
|
|
|
異常なし |
|
|
六ケ所 |
再処理 |
|
|
|
|
|
|
異常なし |
|
|
2018/5/31 医薬メーカーの3月期決算
2018年3月期決算がほぼまとまった。
各社の決算状況は http://www.knak.jp/kessan/
塩野義製薬と大正製薬と大日本住友製薬の2016/3が日本方式(グラフ斜線)で、他はすべてIFRS方式。
営業損益には、下記の通り、従来の営業外損益(金融費用・損益を除く)や特別損益を含むため、それ以前との対比はできない。
このため各社が独自の判断で、新しい営業損益から非経常的な損益を除外したものをコア営業損益として発表している。
コア営業損益は従来の営業損益に近いが、持分法損益やその他の営業外損益等を含んでいる。
経理処理も、ノレンの償却がなくなるなど、一部変更されている。 |
売上高
営業損益
IFRSの場合はコア営業利益(但し、エーザイはコアの記載がなく、営業利益全体)
税引後損益 (日本方式の場合は経常損益)
株主帰属損益
武田薬品は、主に営業損益の増により、前期から 719
億円増益の1,869億円となり、これまで大きく引き離されていたアステラス製薬を上回った。
なお、アステラス製薬の損益は1647億円だが、同社によると、コア当期純利益は2043億円となっている。(前年は2133億円)
塩野義の売上高には下記のロイヤリティを含み、この増加が営業損益に貢献
|
'17/3 |
'18/3 |
ViiV HIV治療薬 |
733億円 |
1,035億円 |
AstraZeneca クレストール |
330億円 |
226億円 |
その他 |
94億円 |
289億円 |
合計 |
1,157億円 |
1,550億円 |
また、主にViiVからの配当金が増大した。
|
'17/3 |
'18/3 |
配当金 |
180億円 |
265億円 |