対象者の在留資格は2018年3月までは保護されるが、新たな申請は認めない。
DACAは民主党のオバマ前政権が2012年に取り入れた。
制度が、議会を通った法律ではなく、大統領令で決まったことが問題であるため、議会に代替の法律をつくる猶予を与えた。
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp
2019/1/15 Saudi Aramco、パキスタンで製油所建設へ
Saudi AramcoがパキスタンのGwadarに製油所を建設する。60〜100億ドルの投資とみられており、サウジによるパキスタンへの最大の投資となる。
また、サウジアラビアのエネルギー会社であるACWA Power International が再生可能エネルギー分野での同様規模の投資を検討している。
パキスタン側は、これらを加えたサウジからの投資を3年間で150億ドル程度になると期待している。
パキスタン政府筋によると、サウジの15人の代表団がこのたびGwadarを訪問し、Aramcoによる製油所建設についてのMoUを締結した。
サウジのMuhammad bin Salman皇太子の2月のパキスタン訪問時にこれらを含めた多数の投資契約に調印する。
パキスタン外務省は2018年10月23日、サウジアラビアから総額60億ドル相当の経済支援を受け入れることで合意したと発表した。
国際収支状況を支援するための融資30億ドルをサウジがパキスタンに1年間供与する。またサウジはパキスタンに対し、原油・石油輸入額の支払いを最大30億ドル、1年間まで延期できる措置を、今後3年に渡って供与する。
外貨準備高が2年で半減し、対外支払いのデフォルト危機に直面するパキスタンにとって、資金繰り改善の一歩となる。サウジは記者殺害事件で国際的な批判が高まるなか、友好国を広げる狙いもある。
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なお、代表団のパキスタン訪問時に、パキスタン側は中国パキスタン経済回廊やGwadar 開発のMaster Planを含め、現在の開発状況について説明した。
パキスタンと中国は2013年2月、Gwadar港の港湾管理権をシンガポールのThe Port of Singapore Authority (PSA)から中国のChina Overseas Port Holding Companyに移譲する契約に調印した。
Gwadar港は南アジアと中東を結ぶインド洋の戦略的要衝で、中国は中東やアフリカから石油を運ぶための拠点を確保したことになる。
今後、原油貯蔵設備や製油所を建設するとされる。
約4.1億ドルを投資した第1期工事では総延長660メートルのコンテナターミナルが完成。オフィス棟や税関などを備えた貿易ゾーンの工事も急ピッチで進む。今後は水産加工施設や倉庫などを備えた物流センターをはじめ、湾岸高速道路や新空港、職業訓練校なども整備していく。
2013/2/20 中国、パキスタンのグワダル港の運営権を取得
中国の習近平国家主席は2015年4月に就任後初めてパキスタンを訪問し、両国が協力してパキスタンの道路や港湾、水力発電所の大規模なインフラ整備を進めることで合意した。中国パキスタン経済回廊(China-Pakistan Economic Corridor)と呼ばれ、「一帯一路構想」を構成する重要な一部となっている。
パキスタン政府によると、その規模は280億ドルで、このうち、水力発電所のプロジェクトには、2014年末に設立されたばかりの中国政府系の投資ファンド「シルクロード基金」が初めての投資を行う。
2015/5/2 中国のシルクロード基金が初投資、パキスタンで水力発電所整備へ
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ACWA Powerは中東、北アフリカ、南アフリカ、東南アジアを含む10カ国で発電や海水の淡水化事業を行っている。
同社は自然エネルギーに力を入れており、補助制度による利点を加味した状態の石油やガスによる火力発電よりも、太陽光・風力・集光型太陽熱発電(CSP)・廃棄物発電が勝る領域が出てきているとしている。
モロッコの砂漠地域にあるワルザザート(Ouarzazate)郊外において、エンジニアリング会社SENERと組んで、世界最大のCSP発電所「Noor」を開発している。投資額は30億ドルで、3フェーズの合計出力は510MWとなり、稼働後はモロッコの110万人の消費電力を賄うのに十分な量を発電する。蓄熱によって、夜間でも7時間、発電できる設備としている。
モロッコのほか、アラブ首長国連邦(UAE)で同200MW、ヨルダンで同100MW、南アフリカで同150MWなどを計画している。
国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では2018年12月22日午前0時1分に予算が失効した。
2019年1月12日、一部閉鎖は22日目に入り、これまでの最長(21日)を超え 、いろいろな影響が出ている。しかし、解決の兆しはない。
2019年1月3日に米国議会は新しい体制となった。
共和党 民主党 民主系
無所属未確定 合計 上院 53 45 2 100 下院 199 235 1 435
下院の未確定分については 2018/12/31 米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く 参照。
国土安全保障省については、メキシコとの国境の壁の建設費用は盛り込まず、2月8日までの支出を手当てする法案を 賛成239、反対192の賛成多数で可決した。
共和党から5人が賛成に回った。
共和党 民主党 合計 賛成 5 234 239 反対 192 0 192 計 197 234 431 残る国務省、商務省、農務省、労働省、財務省などについては、9月30日までの予算案を 賛成241、反対190賛成多数で可決した。
共和党から7人が賛成に回った。 (共和党2名、民主党1名は欠席?)
共和党 民主党 合計 賛成 7 234 241 反対 190 0 190 計 197 234 431
これに対し、共和党の上院院内総務は事前に、この法案は「政治的な余興」、「まったく成功の見込みがない」などとし、共和党が過半数を維持する上院では採決を行わない方針を示した。
トランプ米大統領は1月9日、連邦政府の再開について協議するため、ホワイトハウスで野党・民主党のNancy Pelosi下院議長および"Chuck" Schumer上院院内総務と会談した。
しかし、大統領が、「速やかに政府機関を再開した場合、30日間でどうなるのか、壁または鉄のフェンスを含む国境警備案を承認するのか」と尋ねたが、Pelosi下院議長が「ノー」と言うと、大統領は退席した。ツイッターで下記の通り述べた。
Just left a meeting with Chuck and Nancy, a total waste of time.
I asked what is going to happen in 30 days if I quickly open things up, are you going to approve Border Security which includes a Wall or Steel Barrier?
Nancy said, NO.
I said bye-bye, nothing else works!
大統領は1月14日にツイッターで「政府閉鎖は民主党に責任がある」と投稿した。
これに対し、 Pelosi下院議長は「共和党が『トランプ閉鎖』を始めた。民主党は終わらせるために取り組んでいる」と応酬した。Nancy and Cryin’ Chuck can end the Shutdown in 15 minutes. At this point it has become their, and the Democrats, fault!
The truth? Republicans started the
#TrumpShutdown — and Democrats are working to end it.DonaldTrump, it’s time for you to stop standing in the way of re-opening the government. Let the Senate vote! End The Shutdown.
大統領に近い共和党のLindsey Graham上院議員は1月13日、政府を3週間限定で再開し、野党・民主党との協議が不調に終われば「非常事態」を宣言して壁建設を進める案を大統領に提案した。
これに対し、大統領は「興味がない。交渉をただ遅らせることはしたくない」と述べた。
大統領は記者団に、議会承認を得ずに壁建設費を現行の政府予算から手当てする非常事態宣言は「考えていない。する必要がないだろう」と指摘し、当面は民主党との協議に集中する考えを表明した。
与野党協議が膠着状態に陥っていることを受け、非常事態宣言で壁建設を強行する考えに一時は傾いていた。憲法違反の恐れがあるため、政府・与党内から反対意見も出ている。
非常事態宣言が発令された場合、国防長官は「軍隊の派遣を支えるために必要」な「軍の建設プロジェクトに着手」することができる。その際、議会の事前承認なしに国防総省の建設予算を用いることが可能。
ただ、議会が既に承認した米軍住宅などのプロジェクト予算から拠出する必要がある。
トランプ米大統領は1月8日夜、メキシコ国境に壁を建設する必要性を国民に訴えるテレビ演説を行った。
米国がこれ以上不法入国する移民を受け入れることはできないとの見解を示し、国民に対し議員に訴えてほしいと述べた。
「議会が仕事をするまでどれだけの米国人の血を流せばいいのか」「これは善か悪か、正義か不正かの選択だ。これは我々が仕える米国市民に対する神聖な義務を履行するかどうかの問題だ」と国民に語り掛けた。「南の国境で高まっている人道上、安全保障上の危機」を警告。移民問題は「心の危機、魂の危機だ」とも述べ、「危機」という言葉を6回用いた。
当時考えていた非常事態宣言で壁建設を強行するための伏線かともみられる。専門家の多くは壁建設につながる危機は存在しないと指摘している。
2019/1/16 英下院、ブレグジット協定を歴史的大差で否決
英議会下院(定数650)は1月15日午後8時半すぎ、Brexit について英政府がEUとまとめた離脱条件の協定の承認採決を行い、432対202の大差でこれを否決した。メイ首相にとっては、大きな敗北となった。また、これを受けて最大野党・労働党は、政府に対する不信任案を提出した。16日午後7時(日本時間17日午前4時)に投票が行われる予定で、採択されれば総選挙となる可能性がある。
英国は3月29日にEUを離脱する予定だが、離脱の方法や時期についての先行きはますます不透明になった。
投票の結果は次の通りで、与党・保守党から118人の議員が造反した。一方、労働党議員でメイ首相の協定を支持したのはたった3人だった。
議員 | 議長他 | 議決権 | 賛成 | 反対 | 棄権 | |
保守党 | 318 | 2 | 316 | 196 | 118 | 2 |
民主統一党*1 | 10 | 10 | 0 | 10 | 0 | |
労働党 | 256 | 2 | 254 | 3 | 248 | 3 |
スコットランド国民党 | 35 | 35 | 0 | 35 | 0 | |
自由民主党 | 11 | 11 | 0 | 11 | 0 | |
独立党 *2 | 8 | 8 | 3 | 5 | 0 | |
シン・フェイン党*3 | 7 | 7 | 0 | 0 | 7 | |
プライド・カムリ*4 | 4 | 4 | 0 | 4 | 0 | |
緑の党 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | |
合計 | 650 | 4 | 646 | 202 | 432 | 12 |
*1 北アイルランド地域政党で閣外協力
*2 当初議席ゼロ、その後、労働党から6名、自由民主党から1名、無所属から1名が独立党に移った。
賛成は元労働党1、元無所属1、元自由民主党1の3名*3 シン・フェイン党はアイルランドのナショナリズム政党
エリザベス2世女王への宣誓を拒否して登院せず、議員歳費も受け取らず *4 プライド・カムリはウェールズの地域政党で、独立国ウェールズを建国することを最終目的としている。
メイ首相は、採決後の声明で、現職に留まることを表明した。さらに、政府の目標はあくまでも秩序ある離脱で、政府の批判勢力が懸念するような、3月29日の離脱期限まで時間切れを目指すことなどあり得ないと強調した。
付記
英国議会下院は1月16日、最大野党・労働党が出したメイ政権への不信任案を、賛成306、反対325の反対多数で否決した。
閣外協力の民主統一党に救われた。
議員 | 議長他 | 議決権 | 賛成 | 反対 | 棄権 | |
保守党 | 318 | 2 | 316 | 0 | 314 | 2 |
民主統一党 | 10 | 10 | 0 | 10 | 0 | |
労働党 | 256 | 2 | 254 | 251 | 0 | 3 |
スコットランド国民党 | 35 | 35 | 35 | 0 | 0 | |
自由民主党 | 11 | 11 | 11 | 0 | 0 | |
独立党 | 8 | 8 | 4 | 1 | 3 | |
シン・フェイン党 | 7 | 7 | 0 | 0 | 7 | |
プライド・カムリ | 4 | 4 | 4 | 0 | 0 | |
緑の党 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | |
合計 | 650 | 4 | 646 | 306 | 325 | 15 |
2019/1/17 BASF、Solvayのポリアミド事業買収に注力
BASFは2017年9月、Solvayのポリアミド関連事業を買収することでSolvayと合意したと発表した が、欧州委員会は2018年6月27日、競争制限の恐れが強いとして本格調査を開始することを決定した。
欧州委員会の懸念を受け、BASFは2018年10月にSolvayの欧州のポリアミド事業のうちの一部を買収しない案を欧州委員会に提案した。Solvayはその部分を他社に売却する。
BASFでは、投資銀行のLazardを使い、売却先を探している。候補としては、韓国のSK Innovation、中国の KingFa (金發科技)、米国のSK Capital(ナイロンメーカーAscendの親会社)などで、1月末までに入札を済ませたいとしている。
ーーー
BASFは2017年9月、Solvayのポリアミド関連事業を買収することでSolvayと合意したと発表した。キャッシュフリー・デットフリーベースの購入価格は16億ユーロ。
BASFのエンジニアリングプラスチック製品のポートフォリオを補完するもので、自動車、建設、工業用途、およびコンシューマー産業に対するソリューションプロバイダーとしてのBASFの地位を強化することになる。
地域的な観点では、アジア、南米の主要成長市場への進出が促進される。
同時に、今回の買収では重合能力を拡充し、主要原材料ADN(アジポニトリル)からの一貫生産を行うことで、BASFのポリアミド6.6のバリューチェーンを強化することになる。
ポリアミド6.6 はアジピン酸とヘキサメチレンジアミン(HMD) を原料とする。
アジピン酸はシクロヘキサンの酸化若しくは、ADN(アジポニトリル)の加水分解で生産される。 ヘキサメチレンジアミンはADNにニッケルなどを触媒として水素を付加することでが得られる。BASFはLudwigshafenでPolyamide 6.6を製造している。
BASF は他に、Ludwigshafen、Antwerp、Freeport でカプロラクタムを原料とする Polyamide 6 を一貫生産している。
BASFはADNを持たない。HMDは英国TeessideのSeal Sands 工場で生産している。
Seal Sands工場(主製品は年産23万トンのANM)は2008年8月にIneosに売却したが、HMDプラントは売却せず、Ineosに製造委託している。
原料のADNも生産していたが、2008年末に停止し、2009年初めからInvista(下記)から購入している。2008/3/20 INEOS、BASFのアクリロニトリル工場買収
Solvayにとっては、大量生産製品分野から、より高い利益率が期待できる航空機、自動車、石油・ガス産業向けの特殊用途に重心を移す方針に沿ったものである。
Solvayから買収を予定している事業の売上高は、2016年通年で13億1,500万ユーロ、EBITDAは約2億ユーロ。世界各地に12の生産拠点を置き、4つの研究開発施設、10カ所の技術サポート拠点を有してい る。
SolvayはADN(アジポニトリル)については、Invista との50/50JV の Butachimie (在フランス)で生産している。
Invistaは、BASFを今後のパートナーとして歓迎するとしている。
Butachimie は元はDuPont (繊維部門 Invista)と Rhone-Poulenc のJVとして設立された。
2004年にKoch Industries がInvistaを買収した。
Rhone-Poulenc は化学品部門をRhodia として分離し、2011年にSolvayがRhodiaを友好的買収した。
この結果、ButachimieはSolvayとInvista のJVとなった。
SolvayとInvistaは2019年の定修時に、Invistaの最新のADN技術に置き換えることで合意している。
2014/5/2 Invista、アジポニトリルの知的所有権問題でSolvayと和解
なお、Invistaは米国に2カ所のADNプラントを持つほか、中国で工場を建設中。
欧州委員会は2018年6月27日、本事業買収計画について、本格調査を開始することを決定した。
欧州委員会は以下の状況から、買収がナイロンの生産チェインで競争を阻害することを恐れた。
Solvay は欧州で、ADN(アジポニトリル)からナイロンコンパウンド、ナイロン繊維まで全体で生産設備を持つ唯一のメーカーで、ナイロンコンパウンドや繊維を生産する他社に中間体を供給している。BASFもこの分野で垂直統合しており、ADN(アジポニトリル)を生産していないだけである。中間体はほとんど外販せず、自社のナイロンコンパウンド、繊維の生産用に自消している。
買収により、ナイロンコンパウンドでは次に大きいコンペティターの2倍のプレーヤーとなる。ナイロン生産チェーンの全ての段階で市場のかなりの部分を支配し、生産能力でも同様である。
他には同様の統合生産チェーンを持つ企業はない。このため、コンペティターは重要な原料を統合会社に依存することとなり、新しい競合社が出てくる可能性も少ない。
欧州委員会の懸念を受け、BASFはSolvayの欧州のポリアミド事業のうちの一部を買収しない案を欧州委員会に提案した。Solvayはその部分を他社に売却する。
買収しない部分が何かは明らかにしていないが、「欧州におけるSolvayの中間体及びエンプラ事業のイノベーション能力と生産設備」としている。
アジアや南米の事業は除外する部分には含まれない。
BASFでは、SolvayのADN(アジポニトリル)については心配していない。これまでSolvayが欧州で唯一のメーカーであり、単にその所有者が変るだけである。
付記
欧州委員会は1月18日、両社が提出した下記の条件を守ることを条件に、これを承認した。
Belle-Etoile and Valence (France), Gorzow (Poland), and Blanes (Spain)
これらは、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸塩ヘキサメチレンジアミン、ナイロン66ベースポリマー、ナイロン66エンプラ、ナイロン6 3D プリンティングパウダーを生産する。
ーーー
Solvayから買収する事業は、BASFのMaterials 事業のPerformance Meterials, Monomers事業本部に統合される。
欧米では石油化学などから生命科学に重点を移す企業が多い中、BASFは依然として総合化学メーカーである。
2019/1/18 Alliance to End Plastic Waste (AEPW) 発足
住友化学、三菱ケミカルホールディングス、三井化学は1月17日、環境中の、特に海洋における廃プラスチック問題を解決するための新たな国際アライアンス「Alliance to End Plastic Waste (AEPW) 」に設立メンバーとして参加すると発表した。
のサイト https://endplasticwaste.org/
APEWは、プラスチックの製造から廃棄物処理に至るまでの製品ライフサイクルに携わるグローバルな企業からなるNPOで、1月16日に発足した。
発足時点で、日本の3社のほか、北米、南米、欧州、アフリカ、中東、東南アジア地域から合計約30社が参加している。
Berry: プラスチックの消費者包装、不織布特殊材料と工学材料のプロバイダー
Suez :水処理・廃棄物処理
Veolia: 水・廃棄物・エネルギー管理
2019/1/19 原子力規制委員会、高浜原発に「警報ない津波」の影響評価を要求
原子力規制委員会は1月16日、関西電力高浜原発について、津波警報が発表されない津波に襲われる場合の施設への影響を評価し、報告を求めることを決めた。
2018年12月22日、インドネシアのスンダ海峡にある火山島のアナク・クラカタウの噴火に伴い津波が発生した。津波の高さは数m程度、津波の原因は、火山噴火の山体崩壊により大量の土砂の塊が海に滑り落ちたことによるものと考えられる。日本の地球観測衛星「だいち2号」の衛星画像でみると、山の南西部が大きく消失している。
沿岸地域で数百人の死者があった。津波警報は発表されていなかった。これを受け、原子力規制委員会では、新規制基準における「地震以外の要因による津波」の取扱い、津波警報が発表されない可能性がある津波への対応について報告した。
新規制基準の考え方では、基準津波に対して地上部、水路、地下部等から敷地への遡上・流入を防止することを要求しており、津波警報が発表されずに敷地に到達する津波であっても基本的に原子炉施設の安全機能が損なわれることはない。
高浜原発は3号機、4号機が安全審査に合格し、再稼働している。
東海第2については、規制委員会は2018年9月26 日に「審査書」を了承、2018年11月7日に運転期間の延長を認可した。再稼働には、安全対策工事と地元の合意が必要。
ただし、日本原子力発電東海第二原発及び関西電力高浜原発では、設計に該当する運用として、津波警報が発表された後、常時開いている放水路又は取水路のゲートを閉止することにより津波の敷地への遡上・流入を防止している。
このうち、東海第二では放水路ゲートが開いた状態であっても敷地へ遡上・流入する可能性は無い。
しかし、高浜原発では、約100キロ沖合の「隠岐トラフ海底地すべり」が単独で発生した津波の場合は、津波警報が発表されずに津波が敷地に到達する可能性があるが、取水路防潮ゲートが開いた状態における津波高さ、遡上域及び津波防護の評価は行われていない。
このため、高浜原発について、津波警報が発表されない可能性がある「隠岐トラフ海底地すべり」による津波について、取水路防潮ゲートが開状態での遡上評価、津波による海水ポンプ等の重要な設備への影響等を確認する。
BASFにとってインドでのこれまでの最大の投資となるもので、立地はGujarat州のMundra 港。2019年末にFSを完了する。
投資額は約20億ユーロで、BASFが過半を出資する。
プロパン脱水素、ブタノール、2-エチルヘキサノール、精製アクリル酸(GAA)、ブチルアクリレート及びその他の下流製品を考えており、製品は主にインド市場で建設、自動車、塗料その他の幅広いローカル企業に販売し、モディ首相の主導する “Make in India” 政策に貢献する。
BASFのcarbon neutral 成長戦略に沿い、Mundraの工場はBASFで最初のCO2-neutral な工場となる。新技術や100%再生可能エネルギー導入を考えており、BASFはJVへの参加に加え、風力・太陽光発電基地にマイナリティなパートナーとして参加することも計画している。
付記
両社は10月18日、Abu Dhabi National Oil Company (“ADNOC”) と Borealis AG を加えた4社でMundraでの化学コンプレックス建設のFSを進める覚書を締結した。
検討には、ワールドスケールのプロパン脱水素(PDH) を含む。プロピレンの一部は、ADNOC とBorealisが計画するPPコンプレックスの原料に使われる。
JV相手のAdani Groupは、Ahmedabadに本拠を置く企業で、資源(石炭採掘・販売)、物流(港湾、船舶・鉄道輸送)、エネルギー(再生可能エネルギー、石炭火力、送配電)、農業(コモディティ、食用油、食品、冷凍倉庫、穀物サイロ)、不動産、公共交通インフラ、消費者金融、防衛などを行うインド最大の統合インフラコングロマリットの一つ。
‘Nation Building’ と ‘Growth with Goodness’ を基本思想とする。
President Donald J. Trump’s Plan to Reopen the Government and Fund Border Security
幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する制度「DACA」の3年間延長、内戦や災害から逃れてきたアフリカや中東の特定国出身者の一時滞在を認める制度「TPS」の存続をうたい、「国境の壁」建設費の予算計上を求めるもの。
議員に危機を終わらす法案の議決を求め、国民には、国境問題は善か悪か、正義か不正義かの問題であるとし、国境を守るよう議員に伝えることを求めた。
To every member of Congress: Pass a bill that ends this crisis.
To every citizen: Call Congress and tell them to finally, after all of these decades, secure our border. This is a choice between right and wrong, justice and injustice. This is about whether we fulfill our sacred duty to the American citizens we serve.
ポイント:
1) 国境関連予算の可決要求
鋼鉄製壁(既存の115マイルの壁に追加) $5.7 billion 麻薬、武器等の流入阻止のための技術、要員、犬の費用 $805 million 人道支援、医療支援、仮住居 $800 million 国境管理要員 2,750人追加 $782 million 移民関連裁判官等追加 $563 million
2)解決のための妥協策
@ DACA制度の3年間延長
子供の頃に親に連れられ入国した不法移民強制送還を免除する制度の3年間延長
対象は70万人で、強制送還が免除され、就労許可、social security numberの付与が可能となるとしている。
A 内戦や災害から逃れてきたアフリカや中東の特定国出身者の一時滞在を認める制度「TPS」の3年間存続
対象は30万人
これらの制度の現状は次の通り。
@ DACA
セッションズ司法長官は2017年9月5日、幼少時に親と米国に不法入国した若者 (「ドリーマー」)に滞在許可を与える制度(DACA)を撤廃すると発表した。
対象者の在留資格は2018年3月までは保護されるが、新たな申請は認めない。DACAは民主党のオバマ前政権が2012年に取り入れた。
制度が、議会を通った法律ではなく、大統領令で決まったことが問題であるため、議会に代替の法律をつくる猶予を与えた。
2017/9/6 新たな不法移民問題
カリフォルニア州の連邦地裁は2018年1月9日、子供の頃に親に連れられ入国した不法移民の強制送還を免除する制度の撤廃について、一時差し止めを命じた。
これについてトランプ政権は、控訴裁を飛ばして最高裁の判断を求めていたが、米連邦最高裁は2月26日、トランプ政権の訴えを退けた。
救済措置は打ち切りが3月5日に迫っていたが、カリフォルニア州の連邦地裁による一時差し止め命令は効力が全米に及ぶため、司法手続きや議会での対応が続く間は引き続き有効となる。
A TPS
国土安全保障長官は2018年1月8日、2001年に中米エルサルバドルで起きた2度の大地震を受け同国出身者 5,300人に与えられていた「一時保護資格(Temporary Protected Status:TPS)」について、「地震が引き起こした当時の状況がもう存在しない」ことを理由に打ち切りを発表した。
Temporary Protected Status(TPS)の概要:
国土安全保障長官は、以下の場合に特定国をTPSに指定できる。
その国民が一時的に安全に帰国できない状態。
特定の事情で、その国が国民の帰国を適切に処理できない状態。
具体的には、内戦など軍事衝突が発生、地震・ハリケーン・伝染病などの環境上の災難、その他特別で異常な状態にある場合。
その場合、米国に既に滞在しているその国の国民にTPSを与えることができる。TPSを認められた期間中は、米国からの追放はなく、雇用承認ドキュメントの取得が可能。
その間はヴィザの問題で抑留されることはない。
永久居住権はないが、いろいろなヴィザの申請は可能である。2018/1/12 米、エルサルバドル移民20万人の在留資格打ち切り
ーーー
民主党のペロシ下院議長はトランプ氏の演説直前に「(事前に報道された新提案は)下院で通らないだろう」と反対する声明を発表した。
下院の過半数を占める民主党はDACAの一時的な存続ではなく、恒久的な措置を求めてきた。壁の建設も認めていない。
付記 大統領のつぶやき
Nancy Pelosi and some of the Democrats turned down my offer yesterday before I even got up to speak.
They don’t see crime & drugs, they only see 2020 - which they are not going to win. Best economy! They should do the right thing for the Country & allow people to go back to work.
2016/6/25 英国、EU離脱
英国政府は2017年3月29日にEUに対し「EU離脱通知」を行った。2年後の2019年3月29日の離脱となる。
英国のEUからの離脱交渉が2017年6月19日、ブリュッセルで始まった。
下記の協議を最優先する方針で一致した。
(1)英国で暮らすEU市民の権利や地位の保護
(2)最大600億ユーロ(約7兆4000億円)とされる英国の未払い分担金など「清算金」支払い
(3)離脱後の英国とアイルランドの国境管理2017/6/21 BREXIT 交渉 開始
Theresa May英首相は2018年11月14日夜、13日に英国と欧州連合(EU)が合意したBrexitをめぐる合意案を、内閣が承認したと発表した。
首相は、「この合意か、合意なしでの離脱か、Brexitをやめるかだった」と述べた。
2018/11/19 英内閣、Brexit合意案を承認 国内では反発も
英議会下院は2019年1月15日午後8時半すぎ、Brexit について英政府がEUとまとめた離脱条件の協定の承認採決を行い、432対202の大差でこれを否決した。
2019/1/16 英下院、ブレグジット協定を歴史的大差で否決
このままでは、3月29日には「合意なき離脱」(‘no deal’ Brexit) となる可能性が強く、大きな混乱が予想される。
付記英下院は1月29日夜、EU離脱を巡り、メイ首相が推進してきた離脱合意案の主要条項を変更することを求める議員提案を賛成多数で可決した。
首相は、いったん下院が否決した合意案のうち、根幹部分の離脱協定について、アイルランドの国境問題への対応でEUに再交渉を要請する。下院はこの日、合意なき離脱を拒否するとの超党派議員提案も賛成多数で可決した。「2月26日までに議会で離脱案の承認がない場合に、離脱時期の延期を求める」案は与野党からの支持があったものの否決された。
EUのトゥスク大統領は同日、英下院がEUとの再交渉を支持したのを受けて声明を発表し、離脱合意案の根幹である離脱協定は「再交渉しない」との姿勢を明確にした。
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最大の問題はアイルランドとの国境問題である。
北アイルランドでは、少数派カトリック系住民とプロテスタント系住民との衝突が尖鋭化して北アイルランド紛争が起こったが、1998年4月10日のベルファスト合意により和平がもたらされた。
和平合意により、住民らは通勤や買い物で自由に国境を往来できるようになった。
アイルランドとの統合を悲願に争ってきた北アイルランドのアイルランド人にとっては、Brexitにより再度国境が設置され、アイルランドと遮断されることは耐えられない。
北アイルランド紛争の再発を防ぐため、EUと英国は、北アイルランドとアイルランドの国境問題について、国境復活などの厳格な対応ではなく、柔軟で建設的な解決を模索することで合意した。
しかし、これの解決策は見つかっていない。
国境を設置しない場合、EUーアイルランドー北アイルランドー英本土が結びつき、人やモノが自由に移動できることとなり、EU離脱の意味が無くなる。
逆に北アイルランドと英本土の間を遮断すれば英国が分断される。
EU側は、EU制限物品が外国から北アイルランドを経由して入るのを防止するため、工業製品、環境、農産品などに関してEU規制を適用し、通関手続きはEU関税法典に従うことを求めている。
これは、北アイルランドを実質的にEUに残存させることを意味し、ここでも英国が分断される。
現在の合意案では2020年末までの移行期間 を置くが、その間に解決策が出る可能性は少ない。その場合のBackstop案では英国はEUのルールから外れることができない。英国が提案してもEUが了承しない限り、英国が永遠にEU関税同盟に残ることとなり、これに対する反対が強い。
本件は離脱交渉の最初に重要課題として取り上げられたが、不思議なことに、こんな重要な問題についてBrexitの検討中に議論された様子が全く見られない。
離脱すればどうなり、どんな問題が起こるかを全く検討せず、Brexitを決めてしまったのは不思議である。
また、離脱賛成派は、離脱しないと大変だ、離脱するとこんなに良いことがあると主張したが、その多くが全くの嘘であった。
多くの国民が、この嘘を信じて、離脱に賛成票をいれたこととなる。
その一つが、EUへの拠出金である。
離脱派は拠出金が週3.5億ポンド(約480億円)に達すると主張、与党・保守党のBoris Johnson 前ロンドン市長らが全国を遊説したバスの側面にも、巨額の拠出金を「国民医療サービスの財源しよう」と書かれていた。
一方で残留派は、EUから英国に分配される補助金などを差し引くと、拠出金は「週1億数千万ポンドだ」と反論していたが、 多くの報道が無視したため、国民に伝わっていない。
実際は次の通り。
英国の2015年の拠出金は180億ポンドである。
週当たりでは3.5億ポンドで、離脱派はこれをそのまま、「国民医療サービスの財源にしよう」と訴えた。
実際には、英国に限り、50億ポンドのリベートがすぐに払われる。さらに、EUの政策に基づき、英国に45億ポンドが支出される。
このため、ネットでは英国のEUに対する支出は85億ポンド(週当たりでは1.6億ポンド)に過ぎない。
移民問題でも嘘があった。
政府は移民を10万人以下と公約していたが、2015年の移民は33万 人の純増であった。
離脱派はこれを引き合いに出し、今後数年で400万流入の可能性 があるとか、トルコがEUに参加し、100万人 が流入するなどのデマを流した。英国がトルコ参加の拒否権を持たないとのデマも流した。
しかも、BBCを含めた報道が、誤りを修正せずにそのまま報道した。
庶民が読む地方紙は賛成派、反対派に分かれ、虚偽の報道をした。
キャメロン政権の首相付き政務広報官であったCraig Oliverの著書「ブレグジット秘録 英国がEU離脱という 『悪魔』を解き放つまで」がこれを詳しく報じている。
国民投票後に、賛成派の政治家が自身の説明が嘘であったことを認めた。このため、「うそを信じてしまった」と離脱に投票したことを後悔する書き込みが増加し、「BREXIT」(Britain Exit )に絡め、BREGRET (Britain Regret) が使われている。
2016/6/28 BREXIT からBREGRET(Britain Regret) へ
結局、離脱すればどうなるのかを検討し、議論して決めるのではなく、国民を騙して離脱に賛成票を入れさせた結果が現在の状況を生んだ。
十分な、正しい情報なしで国民投票が行われた結果であり、もう一度国民投票をするのがよいのかも分からない。
メイ首相は1月14日の英議会の演説で「EU離脱を止めることは民主主義の破壊になる」と述べ、EU残留派を中心に広がる国民投票の再実施論を強くけん制した。
EU側は、離脱が容易にできると追随する国がでる恐れがあるため、英国の失点を逆手に強硬な姿勢を続けている。
英国は離脱協議の初めに、アイルランドとの間に国境を設置しないことを了承した。これは止むをえないことだが、外国品の移動、外国人の移動、その他について、いろいろな条件交渉の手はあったと思われる。
Grangemouth とノルウェーのRafnes のエチレンプラントをそれぞれ年産100万トンに増設する。これによりエチレン能力を90万トン増やす。
Ineosは他に、ドイツのKölnとフランスのLavéraにエチレンプラントを持つ。後者はIneosとTotalの50/50JVのNaphtachimieが生産する。
これらを合わせて、INEOS は現在、欧州で約450万トンのエチレンとプロピレンを生産するが、欧州で最大のエチレン、プロピレンの購入者でもある。
プロピレンの新設、エチレンの増設は誘導品の原料の自製体制を強化するものである。
Ratcliffe会長は、この計画は20億ドルを投じたDragon-class輸送船( 27,500 m3の液化ガス輸送船で、エタンを燃料とする)建造により、米国から大量のエタンやLPGを輸入できることとなって可能となったものであると述べた。
Ineosは2012年9月26日、欧州のエチレン原料用にエタンを輸入するため、供給契約と輸送契約を締結したと発表した。まず、ノルウェーのRafnes 工場で使用する。
2012/10/2 Ineos、米のシェールガスからのエタンを欧州のエチレン原料用に輸入
Ineosは4億5千万英ポンドを投じて、Grangemouth工場に新しいエタン輸入ターミナルを建設した。
大量をエタンを輸送する船がないため、Ineosは2013年1月、デンマークの造船メーカーのEvergas とパートナーシップを設立し、Dragon-classの輸送船建造を決めた。
まず、最初の4隻が中国で建造された。更に4隻が建造された。
2016年9月に、 INEOS Insight号が米国のシェールガスからのエタンを積み、Grangemouth に到着した。
Ineos は2018年7月3日、具体案を発表した。
エチレンについては、既存プラントの増設ではなく、クラッカーの新設とした。プロパン脱水素については当初と同じく新設。
投資額は27億ユーロとした。
エチレン新設は欧州では20年以上ぶり。
エチレン、プロピレンともに、米国のシェールガスを利用する。
今回、立地を
経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が昨年末の報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について 次のように述べたとされる。(2019/1/5 東京新聞)
東日本大震災から8年がたとうとしているが、東日本の原発は再稼働していない。
国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない。
真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。
東京新聞はこの発言について、以下のように分析している。
中西氏が会長を務める日立の前会長の川村隆氏は現在、東京電力ホールディングスの会長を務める。本来なら中西氏は原発の推進に回ってもおかしくない立場だ。
それにもかかわらず、中西氏が国民的議論の必要性を指摘するのは、日立の英国への原発輸出計画を通じて、コスト面からの原発への逆風を身をもって感じているからにほかならない。日立と英政府は英中西部のアングルシー島で原発建設を計画しているが、安全対策の強化で必要な投資額は当初の2兆円から1.5倍の3兆円まで膨張。採算が合わないため、暗礁に乗り上げようとしている。
一方で、再生可能エネルギーのコストは急低下しており、日本の原発輸出計画はトルコやベトナムなどでも相次いで行き詰まっている。日立には、このままでは経産省の政策に沿って海外の原発会社を買収した結果、大損失を被った東芝の「二の舞い」になりかねないとの危機感もあるとみられる。
原発への逆風は国内でも同様。国民の反発が強いのに無理に進めれば、安全対策は膨張し、採算をとるのは困難だ。ーーー
日立は2019年1月17日、英国のHorizon Projectを凍結すると発表した。民間企業としての経済合理性の観点から、判断したとしている。
減損損失等 約3000億円を計上する予定。これまでの交渉では、日立、日本政府・企業、英国政府・企業が3千億円ずつ出資、残り約2兆円を融資で賄まかなう案が検討されてきた。
ところが、日立が当てにしていた東電が難色を示したのをはじめ必要な資金が集まらず、このままでは傷が広がるばかりだとして、すでに昨年12月の段階で計画断念の意向を英政府に伝達していた。同社では、「コストを民間企業の日立が全て負担することには限界がある」としている。
英国側の支援を求めたが、メイ首相は1月10日の安倍首相との会談後に、「最終的には会社の経営判断次第だ」と述べた。2018/8/22 日立の英原発計画がピンチ
2017年11月には、東芝が、英国における原子力発電所新規建設事業からの撤退を決定し、連結子会社のNewGeneration (NuGen)を解散すると発表している。
2018/11/9 東芝、英原発事業を清算
また、政府や三菱重工業などの官民連合がトルコの原子力発電所の建設計画を断念する方向で最終調整に入った。
2018/12/13 三菱重工、トルコ原発計画断念へ
なお、日立の発表を受け、世耕経済産業大臣はエネルギー政策に大きな変更はないと述べた。
「(日本政府としては)将来にわたって責任あるエネルギー政策を進めていく上において、原子力を含め、あらゆる選択肢・可能性を追求していく。」
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不思議なことに、中西会長のこの発言は、一部メディアは取り上げたが、大手新聞、テレビは東京新聞以外は全く取り上げていない。
1月1日付の日本経済新聞はインタビュー記事を載せているが、該当部分は次の通り。
「日本のエネルギー問題は危機的だ。コストが高く、世界から批判され、再生エネルギーを増やせず、投資は停滞している。11年の東日本大震災から3年くらいは世界中が『仕方ない』と言っていたが、最近では同情はない。どうするか真剣に討論すべきだ」
ところが、中西会長の、原発再稼働「どんどんやるべき」との、全く逆の発言が各紙に大きく取り上げられた。
2019/1/15 日本経済新聞
経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は15日の記者会見で、停止中の原子力発電所に関し「再稼働はどんどんやるべきだ」と述べた。「再生可能エネルギーだけでまかなえるとは思っていない」とも語った。
経団連発表の「定例記者会見における中西会長発言要旨」の「エネルギー問題」の箇所は以下の通り。
【エネルギー問題】
エネルギー問題については、2030年のエネルギー基本計画の実現、パリ協定に基づく削減目標の達成など課題が山積している。先のCOP24では、先進国と途上国の溝を埋めるという難しい課題はあったものの、会期延長の末、「パリ協定作業計画」が取りまとめられ、パリ協定を具体化するステップへと進むことができた。経団連も、現地に代表団を送り、グローバル・バリューチェーンを通じて温室効果ガス削減に取り組むことを、COP24の場で積極的に訴えた。
エネルギー問題については、資源エネルギー庁、経済産業省だけでなく、外務省、環境省、財務省なども関係する横断的な課題だという問題意識を持っている。政、官、産、学で真剣に議論していく必要がある。
近年の猛暑や自然災害の激甚化は地球温暖化が一因ともいわれている。温室効果ガスの削減は地球規模の課題である。翻って日本の現状を見ると、エネルギーの9割近くが化石燃料由来である。東日本大震災直後ならいざしらず、8年経過した段階で、国際社会はこの現実をよしとしてくれない。
原発の再稼働が進まないことも直近の課題であり、積極的に推進するべきである。安全性の議論が尽くされていても、地元の理解が得られない状況に立ち至っている。その説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論することが必要になっている。それにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない。
仮に原子力をベースロード電源として使わない場合、長期的に見て、何が人類のエネルギー源になるのか、冷静に考えてみるべきだ。再生可能エネルギーだけで賄うことは到底不可能である。原子力技術を人類のために有効に使うべきである。
中西会長の「国民が反対するものはつくれない」発言から2週間後の「どんどんやるべき」発言について、憶測が飛び交っている。
日刊ゲンダイは、安倍官邸から怒られたのではないか、という見方が流れていると報じている。
原発推進は安倍政権の基本政策なのに、『国民が反対するものはつくれない』と異を唱えた。安倍官邸から激怒されておかしくありません。世論調査では反対が多数ですからね。それで慌てて官邸に聞こえるように“原発推進”を叫んだのではないか、とみられています」(財界関係者)
しかし、この経団連会長の重大発言を、マスコミがろくに報道すらしないのはどうしてなのか?
ジャーナリストの高野孟氏はこう述べている。
消えた経団連会長の重大発言……。権力による言論封殺なのか、それとも経団連官僚からマスコミのほとんどまでが結託した“忖度”なのか。この国ではどうも、ボーッと生きていると、国の運命に関わるような重大ニュースもいつのまにか消されて「なかったこと」にされてしまうようである。
米共和党のマコネル上院院内総務は1月22日、約1カ月に及ぶ政府機関一部閉鎖の解除に向けた法案2件の採決を1月24日に実施する考えを示した。
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上院は2018年12月19日、2019年2月8日までの「つなぎ予算」を可決した。国境の壁建設費用は含んでいない。
トランプ米大統領は12月20日、与党・共和党幹部に対し、「国境の壁」建設費用が計上されていない予算案に署名しない方針を伝えた。
これを受け、下院は同日、「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を217対185で可決した。与党共和党から8人が反対に廻った。
米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では12月22日午前0時1分に予算が失効した。
2018/12/31 米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く
12月22日に始まった政府機関閉鎖は米国史上最長となっており、自宅待機や無給での労働を続ける職員は約80万人に上るが、近く政府機関が再開する兆しはまだない。
2019年1月12日には、これまでの最長(21日)を超え 、1月22日には32日となった。
2019/1/16 米国の政府機関の閉鎖 続く
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今回、米共和党のマコネル上院院内総務が採決を決めたのは次の2つ。
第一は、共和党案で、トランプ大統領が週末に提案した妥協案に基づく。
57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用を予算に盛り込むと同時に、幼少期に親と共に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を3年間延長する内容。
2019/1/20 トランプ大統領、政府再開へ新提案
第二は、民主党案で、各政府機関の資金を2月8日まで手当てするつなぎ予算案となっている。トランプ大統領が求める壁建設費は含まれていない。
トランプ米大統領は2018年12月20日、与党・共和党幹部に対し、「国境の壁」建設費用が計上されていない予算案に署名しない方針を伝えており、マコネル上院院内総務はこれまで、大統領が署名を拒むようなつなぎ予算は検討しない考えを示してきたが、採決を認める姿勢に転じた。
2019年1月3日に米国議会は新しい体制となった。
共和党 民主党 民主系
無所属未確定 合計 上院 53 45 2 100 下院 199 235 1 435
上院の可決には60票が必要。
第一の共和党案は、57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用の予算を含んでおり、民主党員が賛成する可能性はない。
代償として「ドリーマー」の在留資格を3年間延長することを含んでいるが、民主党は制度の廃止そのものに反対している。
カリフォルニア州の連邦地裁は2018年1月9日、子供の頃に親に連れられ入国した不法移民の強制送還を免除する制度の撤廃について、一時差し止めを命じた。
これについてトランプ政権は、控訴裁を飛ばして最高裁の判断を求めていたが、米連邦最高裁は2月26日、トランプ政権の訴えを退けた。
しかも、米最高裁はこの日、ドリーマーの強制送還を猶予する措置(DACA)を当面維持する判断を下しており、交渉の切り札を失った。
仮に上院を通っても、下院で可決される可能性はない。
第二の民主党案は2018年12月19日に上院で可決した案である。共和党から13人が賛成に回れば通る。但し、大統領が拒否権を使えば、通らない。
トランプ米大統領は2018年12月20日、与党・共和党幹部に対し、「国境の壁」建設費用が計上されていない予算案に署名しない方針を伝え、上院で可決した案を潰している。
今回、政府機関の閉鎖が長引き、国民の不満が高まる中、上院議員が民主党案に賛成するかどうか、可決した場合、大統領が尚も拒否するかどうか。
但し、民主党案が採用されたとしても、2月8日までの暫定予算であり、同じ問題が再度繰り返される可能性がつよい。
大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「ラツーダ」の 物質特許は本年1月2日に失効した。
しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、昨年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。
業界紙の取材に応じた野村博社長はこれにより「4年で4000億円以上のキャッシュフローが生み出され、成長投資に振り向けたい」と話した。
重点とする「精神神経」「再生・細胞医薬」の分野で「15年後に世界のリーダーになることをめざす」と語り、再生医療では米国に進出する方針を打ち出した。
非定型抗精神病薬「LATUDA」(一般名:ルラシドン塩酸塩)
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大日本住友製薬はこれまで、後発薬企業がFDAに簡易新薬申請(ANDA:Abbreviated New Drug Application)を提出したのに対し、特許侵害訴訟をおこない、勝訴している。
1)物質特許
2015年1月14日、後発品申請(ANDA)を行ったEmcure Pharmaceuticals、Emcure Pharmaceuticals USA、InvaGen Pharmaceuticalsに対し、物質特許の侵害を理由として、特許侵害訴訟
その後、Teva Pharmaceuticals USAおよびTeva Pharmaceutical Industriesを追加
第一審で地裁は特許侵害を認め、物質特許のクレームは有効かつ法的強制力を有するという判決および恒久的差し止め命令を下した。
2018年4月16日、連邦巡回区控訴裁判所が第一審によるクレーム解釈を支持した。
但し、物質特許は2019年1月2日に失効した。
2)用途特許&製剤特許
2018年2月13日、後発品申請(ANDA)を行ったEmcure PharmaceuticalsおよびAmneal Pharmaceuticals に対し、用途特許の侵害を理由として、特許侵害訴訟
2018年2月23日、下記15社を追加Accord Healthcare、Amneal Pharmaceuticals、Aurobindo Pharma、Dr. Reddy's Laboratories、First Time U.S. Generics、InvaGen Pharmaceuticals、Jubilant Generics、
Lupin、MSN Laboratories Private、Par Pharmaceutical、SUN PHARMA GLOBAL FZE、Teva Pharmaceuticals USA、Torrent Pharmaceuticals、Watson Laboratories,
Zydus Pharmaceuticals (USA)2018年5月 製剤特許に基づく請求を追加
2018年12月 和解成立
本訴訟の提起後、本訴訟の追行と並行して、裁判所からの指示等を受けて被告各社との間で個別の協議を実施した 。
その結果、訴訟の取下げや和解契約による訴訟の終結などを通じて本訴訟の被告数は減少していたが、2018年11月、全ての被告との間で和解が成立した。
裁判所への必要書類の提出と確認の手続きが全て完了し、2018年12月3日付けをもって正式に本訴訟が終結した。和解契約に基づき、本訴訟の被告であった複数の後発品メーカーは、2023年2月20日以降本製品の後発品を販売することができ る。他の和解条件は非開示。
なお、Emcure Pharmaceuticals、Amneal Pharmaceuticalsと他1社は用途特許を無効とする「パラグラフIV」を提出したため、特許侵害訴訟を提起した。現在、なお継続中。
パラグラフIVは新薬の特許が、無効、法的強制力がない、または後発薬の製造、使用、もしくは販売によって侵害されることはないと主張するもの。
Chinese FDI into North America and Europe in 2018 Falls 73% to Six-Year Low of $30 Billion
中国の北米。欧州向け投資は、2016年は940億ドル、2017年は1110億ドル(うちSyngenta買収が430億ドル)に対し、2018年は300億ドルだった。
国別 | |
対米直接投資は2016年に過去最高の456.3億ドルに達した後、2017年は290億ドルに減り、2018年はさらに大幅に減少して48億ドルになった。カナダ向けは増加した。
減少の原因として、米国が外国からの投資への審査を強化したこと、中米貿易摩擦が二国間関係の緊張をもたらしたことを挙げている。
対欧州直接投資も減少したが、全体として対米投資よりは好調で、英国、オランダ以外は増加している。中欧、東欧への投資も全面的に増加した。
投資審査ルールによるが2018年に少なくとも21件あった。うち欧州が7件で、北米が14件である。
米国、英国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、リトアニアが投資審査を強化した。ベルギー、オランダ、チェコ、ギリシャ、スロバキア、スウェーデンも強化を検討している。EUも投資審査規則を作成中である。
2018年には欧州と北米での中国企業による資産売却も増加した。欧州で50億ドル、北米で130億ドルを売却し、更に2019年に120億ドルの売却が決まっている。
25日は給与が支給されない2度目の給料日で、米連邦航空局が航空交通管制官の不足を理由にニューヨークのラガーディア空港行きのフライトを一時的に停止する一件があり、大統領と議会には政府閉鎖解除の圧力が一層強まっていた。
上院は同日、満場一致で「国境の壁」建設費を含まないつなぎ予算を承認、その後、下院が承認し、ホワイトハウスに送った。大統領が署名し、2018年12月22日から始まり、35日間続いた政府閉鎖はいったん終 わった。
1995年12月は、両院で多数を占める共和党と民主党クリントン政権が、予算と国債上限引き上げで対立した。
上下両院の合同委員会があと3週間、国境警備計画について交渉する。
大統領は、今後3週間の協議で与野党が妥協案を見いだせなければ、再び政府閉鎖も検討すると表明した。また、議会の承認を得ずに政府の現行予算から建設費を捻出する「非常事態宣言」の発動も検討するとしており、2月16日以降、再び混乱するリスクは残る。
非常事態宣言が発令された場合、国防長官は「軍隊の派遣を支えるために必要」な「軍の建設プロジェクトに着手」することができる。その際、議会の事前承認なしに国防総省の建設予算を用いることが可能。
ただ、議会が既に承認した米軍住宅などのプロジェクト予算から拠出する必要がある。
ーーー
これまでの経緯:
米議会上院の与野党は2018年12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では12月22日午前0時1分に予算が失効した。
2018/12/31 米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く
12月22日に始まった政府機関閉鎖は米国史上最長となっており、自宅待機や無給での労働を続ける職員は約80万人に上った。
この間、大統領と民主党のペロシ下院議長との間で、さや当て合戦があった。 野党・民主党のナンシー・ペロシ下院議長は1月16日、政府閉鎖の影響で安全面の懸念が生じていることを理由に、1月29日に予定されている大統領の議会への一般教書演説の日程を遅らせるか、演説内容を書面で提出するよう大統領に提案した。 大統領の議会での演説は議会の招待に基づき行われるもので、ペロシ下院議長は一旦、招待していた。
トランプ米大統領は1月23日夜、これを受け入れた。
トランプ米大統領は1月17日、連邦政府の部分閉鎖を理由に、ペロシ下院議長のアフガニスタンへの出張を直前で中止させた。 議長の出張には空軍機を使うことが認められているが、大統領は、議長と同行議員団が乗る予定だった米空軍機の使用を直前に禁止した。
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2019年1月12日には、政府閉鎖はこれまでの最長(21日)を超え 、1月22日には32日となった。
米共和党のマコネル上院院内総務は1月22日、約1カ月に及ぶ政府機関一部閉鎖の解除に向けた法案2件の採決を1月24日に実施する考えを示した。
上院は1月24日、両案を否決した。
第一は共和党提案で、トランプ大統領が週末に提案した妥協案に基づく。
57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用を予算に盛り込むと同時に、幼少期に親と共に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を3年間延長する内容。
2019/1/20 トランプ大統領、政府再開へ新提案
これは、賛成50票、反対47票となり、可決に必要な60票の賛成票を得ることができなかった。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 49 1 50 反対 1 44 2 47 棄権 3 3 合計 53 45 2 100
第二は民主党案で、各政府機関の資金を2月8日まで手当てするつなぎ予算案となっている。トランプ大統領が求める壁建設費は含まれていない。
これも、賛成52票、反対44票となり、可決に必要な賛成票を得られなかった。
事前にペンス副大統領が昼食会で民主党案に反対するよう要請したが、共和党議員6人が賛成した
。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 6 44 2 52 反対 44 44 棄権 3 1 4 合計 53 45 2 100
今回、大統領は壁建設予算なしでのつなぎ予算を認めた。
2019/1/28 ドイツの政府委員会、2038年までに石炭火力全廃を答申
ドイツ政府の諮問委員会は1月26日、2038年までに石炭火力発電所を全廃し「脱石炭」を行うよう求める答申をまとめた。産業界や環境団体、学識者などが参加する政府委員会は25日から夜通しで協議し、26日朝に合意した。ドイツ政府は今後、法整備の本格検討に入る。
二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、ドイツ政府が決めた気候変動目標を達成する手段となる。
ドイツの発電量の4割弱は石炭や石炭の一種で特にCO2排出量が多い褐炭に由来し、環境保護派と褐炭産地の間で廃止時期を巡る議論が続いていた。ドイツは世界最大の褐炭産出国。
石炭火力からの撤退で影響を受ける州に対して20年間にわたり総額400億ユーロ(約5兆円)を支援することでも合意した。 これからの問題は、連邦政府と16の州がこの費用をどのように分担するかである。
ドイツでは2022年までの脱原発を決めており、これに加え、脱石炭を行うこととなる。
2002年に当時のSchröder政権(ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権)が原子力法を改正し、原発の運転年数を32年と定めて順次停止し、2022年までに原発を廃止すること、原発の新規建設は認めないことを決定した。
しかし、2009年にMerkel 政権(キリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権)が成立し、方向転換した。
1980年以前に稼働を開始した原発7基の稼働期間を8年、1981年以降に稼働を開始した原発10基の稼働期間を14年延長する「エネルギー計画2050」を決定し、2010年12月に原子力法を改正した。
ところが、2011年3月11日の福島第一原発事故で、この決定が覆ることになった。メルケル政権は、すべての原発を2022年までに廃止するという以前の決定を受け入れることになった。
2011年の福島第1原発での事故を受け、ドイツ政府が自国の原発の停止を命じたことについて、ドイツの連邦憲法裁判所は2016年12月6日、原発を操業していたエネルギー企業各社が補償を求める権利を認める判断を下した。
2016/12/9 ドイツの憲法裁判所、原発廃止で原発事業者の補償請求権を認める
提案では先ず、石炭火力業者(RWE、Uniper、EnBW、Vattenfall など)に2022年までに12.7gigawatts の能力(大規模火力の約24基に相当)を停止することを求めた。
2030年までにドイツの石炭火力能力を半分以下の17gigawattsに落とす。
提案には、RWEの褐炭の主要なソースであるHambach の森の保存が望ましいと述べており、RWEにとり打撃となった。
ハンバッハ鉱山は、Nordrhein-Westfalen州 Elsdorf にある大型露天採掘鉱山で、RWEによって運営され、年間約4000万トンの亜炭(褐炭)を産出している。
ハンバッハでの採掘が始まったのは1980年の初めで、森を潰して広がっていったハンバッハの採掘現場は85㎢にもなり、露天掘りのまま、最高450mの深さまで褐炭含みの土が削られた。
REWは、石炭火力発電所に燃料を供給するために2040年までの間に24億トンの褐炭を採掘する計画をつくり、所有するハンバッハの森200haの半分の伐採を2018年10月15日に始めると発表した。
市民がこれに反対、停止を求めて提訴し、同州ミュンスターの裁判所が2018年10月5日、森林伐採計画をめぐる環境訴訟の審理にはさらなる時間を要すると判断し て計画を差し止めた。電力を確実に供給するためには新たな森林伐採が早急に必要だというRWEの主張は十分に証明されなかったと判断した。
今回、政府の委員会が森の保存が望ましいとしたもので、石炭火力廃止により、この森が守られることとなる。
2019/1/29 SABIC、カーボンナノチューブJVの過半数を取得
SABICは1月17日、2014年12月設立のカーボンナノチューブのJV Black Diamond Structures (BDS)の株式の過半数を取得したと発表した。 今後は、SABICのスペシャリティ事業の傘下に加わることになる。
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SABICは2015年1月5日、米国のMolecular Rebar Design との間で、特定の市場向けのカーボンナノチューブ(CNT)を開発・販売するため、合弁契約を締結したと発表した。
JVの名称はBlack Diamond Structures LLC で、Molecular Rebar Design 社のユニークなCNT技術 “Molecular Rebar” を使う。
2015/1/16 SABIC、カーボンナノチューブでJV
BDSは、米テキサス州オースティンに本社、量産工場およびワールドクラスのバッテリ試験能力を有しており、世界の160社以上におよぶバッテリメーカーと協力してい る。
Black Diamond
Structuresは独自の改質技術を用いたカーボンナノチューブMOLECULAR REBAR®を製造・販売している。これは、鉛電池およびリチウムイオン電池を使用したエナジーストレージ用途の性能向上に大きな可能性を提供するものである。
同社はエネルギー貯蔵市場におけるMOLECULAR
REBAR®の独占使用権を保有している。
カーボンナノチューブは、一般的な製法(アーク放電法、レーザーアブレーション法、流動床リアクターなど)では、沢山のナノチューブが絡まった束の“fuzzy
balls”の状態で生成する。長さ、直径、らせん度が揃っていないだけでなく、ナノチューブの配向や配列もまったくのランダムということが多い。また、不純物が残留する傾向にあり、実際の用途において、電気的および機械的な材料特性に制約が生じることになる。
絡まった束をほぐし、理想的なチューブにしないと利用できないが、通常のやり方では難しく、これが商業利用を妨げている。
Molecular Rebar Design の“Molecular Rebar”は、一般に入手できる“fuzzy balls”の状態のCNTからスタートし、いくつかの工程を経て、理想的なアスペクト比(60〜100)の綺麗なチューブになる。
BDSでは、「この独自のナノ材料は、新たな投資を必要とせず既存のバッテリー製造プロセスに直接組み込むことができるため、電池メーカーは次世代バッテリーの迅速な開発が可能となる。試験の結果では、MOLECULAR REBAR®タイプのカーボンナノチューブは鉛電池のサイクル寿命を大幅に改善し、またリチウムイオン電池の性能向上によって電力容量の増加に対する業界ニーズに応えうることが示されてい
る」とコメントしている。
SABICでは、「BDSのカーボンナノチューブ技術を活かし、エナジーストレージ市場で要求される厳しい課題の数々に取り組んでいく。特にBDSは、充電率、バッテリーサイクル寿命、エネルギー密度を大幅に改善可能なソリューションを求める電池メーカーに画期的なメリットを提供 する」と話している。
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マサチューセッツ工科大学の研究者が、電池の電極の一方にカーボンナノチューブを使用することで、従来のリチウムイオン電池よりも電力量が大幅に増大し、電極材の単位質量あたりの電力量を最大10倍にまで、大幅に増大できることを発見した。
Saudi Aramco は1月28日、現代重工からHyundai Oilbank の株式 19.9% を16億ドルで買収することで合意した。両社が来月の取締役会でこれを承認する予定。
付記
Saudi Aramco
韓国 | Hyundai Oilbank | 17% | 4月発表 |
S-Oil | 63.41% | 1991年 35% / 2015年 28.41% | |
日本 | 昭和シェル | 14.96% | Shellから 2004年 9.96%、2005年 4.99% |
マレーシア | RAPID計画 | 50% | マレーシアのRAPID計画、間もなくスタート |
インド | Ratnagiri計画 | 25% | アブダビ国営石油と共同参加 |
インドネシア | Cilacap 計画 | 2015/2 基本覚書 | |
パキスタン | Gwadar 計画 | 2019/1 基本覚書 | |
中国 | 浙江石油化工 | 9% | 浙江石油化工に出資 |
盤錦 Norinco計画 | 製油所/エチレン100万トン | ||
雲南 | PetroChina計画 | ||
Fujian Refining & Petrochemical | 25% | 福建石化計画 |
Hyundai Oilbank は元々、現代重工の子会社であったが、1999年のアジア危機に際し、UAEのInternational Petroleum Investmentのオランダ法人Hanocal BV が50%を取得、2003年に20%を追加購入し、70%とした。
2010年8月に現代重工がこれを買い戻した。
2009/11/21 現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還
現在、現代重工はHyundai Oilbank の91.13%を所有している。
Hyundai Oilbank
は大山に日量65万バレルの製油所を持ち、石油製品を世界に輸出している。韓国には2400カ所の給油所を運営している。
また、下記のJVで、年産120万トンの混合キシレン工場、年産118万トンのパラキシレン工場、25万トンのベンゼン工場を持つ。
Hyundai Oilbank とLotte Chemical は大山にJVの現代ケミカルを持ち、混合キシレンを生産するが、昨年に重質油石油化学の投資で合意した。
Hyundai Oilbank とLotte Chemicalは2014年1月、両社が進出している大山工業団地に合弁でコンデンセート精製プラントと混合キシレン(MX)プラントを建設する契約を結んだ。
両社はHyundai Oilbank が60%、Lotte Chemical が40%で新会社「現代ケミカル」を設立した。混合キシレンを年120万トン生産し、Lotte Chemical とHyundai Cosmo(下記)に供給する。2016年11月に完成した。
Hyundai Oilbank とLotte Chemicalは2018年5月、重質油石油化学設備(Heavy Feed Petrochemical Complex)の投資で合意した。
現代ケミカルで、原油の常圧蒸留によって残った重質油(残渣油)を主原料とし、年間75万トンのエチレンを生産、これをもとにポリエチレン75万トン、ポリプロピレン40万トンを生産する。これらはほとんど海外に販売される予定。2021年末の商業運転開始をめざす。
別途、Hyundai Oilbankとコスモ石油は2009年に50/50JVのHyundai Cosmo Petrochemical を設立した。
Hyundai Oilbankよりナフサを原料とする既存パラキシレン製造設備を譲り受けた。
パラキシレン 380,000トン/年、ベンゼン 13万トン/年
ミックスキシレンを原料とする新規パラキシレン製造設備を新設、2013年1月から生産する。
パラキシレン生産量800,000トン/年(合計118万トン/年に)、ベンゼン 12万トン/年(合計 25万トン/年に)
2009/5/8 コスモ石油、韓国でパラキシレン製造へ
富士フイルムは1月24日、細胞培養に必要な培地のビジネス拡大に向けて事業体制をより強化するため、2019年4月1日付で富士フイルム和光純薬にアイエスジャパンを統合 すると発表した。
研究開発・製造・販売機能の一体化による機能強化などを図り、培地の事業成長を加速させる。
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富士フィルム和光純薬は、試薬、化成品ならびに臨床検査薬の製造・販売を行っている。
富士フィルムは2016年12月15日、武田薬品から和光純薬工業を買収する契約を締結した。富士フィルムが2017年2月にTOBを実施 し、武田薬品が応じた。
2016/12/22 富士フィルム、和光純薬を買収
和光純薬は2018年4月1日付で、富士フィルムファインケミカルズと統合し、富士フィルム和光純薬に改称した。
富士フィルムファインケミカルズは旧称三協化学で、写真用原料メーカーで1990年代に医薬品製品に進出した。
富士フィルムは 1971年に40%出資し、2006年にこれを100%子会社とし、富士フイルムファインケミカルズに改称した。
アイエスジャパンは、細胞培養に必要な培地のリーディングカンパニーで、米国のIrvine Scientific Sales CompanyとともにJXTGの100%子会社であったが、富士フイルムは2018年3月29日、両社の全株式を約800百万米ドルで取得する契約を締結した。
培地は、細胞の生育・増殖のための栄養分を含んだ液状や粉末の物質で、バイオ医薬品や再生医療製品などの研究開発や製造における細胞培養に必要不可欠なもの。また、培地の品質によって細胞培養の品質や効率が左右されるといわれており、近年、培地に対する注目がますます高まってい る。Irvine Scientific Sales Companyと、アイエスジャパンは、バイオ医薬品製造向けの培地や体外受精・細胞治療用途の培地などを幅広く取り扱う、培地のリーディングカンパニーで 、前者が欧米、後者が日本・アジアを中心に販売展開し、全世界の製薬企業やバイオベンチャー、アカデミアなどに培地を提供している。
1987年にJXエネルギーが将来的なバイオ医薬品市場の成長に伴う培地市場の拡大を期待し、Irvine Scientific Sales Companyの株式を取得するとともに、1989年に日本での同社製品の販売会社アイエスジャパンを設立した。
(Irvine Scientific Sales Companyは FUJIFILM Irvine Scientific に改称した。アイエスは現在、開発・生産の機能も兼ね備えている。)
富士フイルムは、両社の買収により、バイオ医薬品から体外受精・細胞治療の領域にわたり幅広い製品ラインアップをそろえることができるとともに、海外展開も強化することができ る。
また、写真フィルムで培った高度な化学合成力・設計力、グループのジャパン・ティッシュ・エンジニリアングやCellular Dynamics International、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesが持つ、細胞の作製・培養技術などを活かして、競争力の高い培地の開発を加速させ、培地事業のさらなる成長を図ってい くとしている。
今回、富士フイルム和光純薬にアイエスジャパンを統合し、研究開発・製造・販売機能を一体化させることで、各機能の強化と効率的なオペレーションを実現 する。
研究開発・製造面では、両社が持つ培地の開発ノウハウ・製造技術などを融合し、研究開発のスピードアップや生産効率のさらなる向上を図る。
販売面では、富士フイルム和光純薬が持つ、強固な国内販売網や幅広い細胞培養関連試薬ラインアップなどを活かして、より一層の増販を進め る。
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