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2019/2/1 米司法省、Huawei を起訴 

米司法省は1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。

米国は孟副会長の引き渡しを正式に要請し、カナダ司法省は受理した。

孟副会長は保釈条件の協議のため、1月29日に裁判所に出廷した。裁判所は、米国からの正式引き渡し要請を受け、次回出廷日を2月6日から3月6日に変更した。

中国政府はカナダ人2人を逮捕するとともに、カナダ政府に圧力をかけているが、司法の場などで争う構えを示しており、手続きの長期化は必至。

カナダ政府は司法の問題としているが、カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、犯罪人引渡条約の対象にならない可能性がある。カナダの裁判所の判断が注目される。
(一般に、引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」がある。また、基本的に他国からの引き渡し請求に応じる義務はない。)

付記

司法省は2020年2月13日、北朝鮮との取引を隠したり米国企業から企業秘密を盗んだりしたとして、華為技術(Huawei Technologies)を詐欺罪などで追起訴した。

被告はHuawei本体と米国の関連会社4社(Huawei Device、Huawei Device USA、Futurewei Technologies、Skycom Tech )及び創業者の娘である孟晩舟・副会長兼CFOで、不正な利益取得や銀行詐欺など16の罪で起訴した。

起訴状によると、米国や国連が経済制裁を科している北朝鮮に対し、製品を販売していたにも関わらず社内で隠蔽工作を図り、取引金融機関には「一切の取引はない」と虚偽を説明していた 。

このほか、米国企業からソフトウエアの設計図となるソースコードや、通信機器のマニュアルを盗み出した罪も取り上げた。情報を盗み出した従業員には報奨金を出していたと指摘している。

 

司法省の起訴はは2つの案件で行われた。告発の内容は以下の通り。

1) イランとの取引関係

被告 銀行詐欺 通信詐欺 IEEPA違反 資金洗浄 司法妨害
Huawei Technology
Huawei Devices USA        
Skycom Tech  
孟晩舟 Huawei副会長      

 

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、一般的に金融機関は米国の法律や規制を遵守するために、イラン事業に関係がないことを確認する。IEEPA(International Emergency Economic Power Act :国際緊急経済権限法)により、イランは金融制裁の対象となっている。

Huawei Technologiesはイランとの取引を香港のSkycom Tech(星通技術)を通して行っていたが、米ドルの決済は米国の銀行を通して行っている。

実際にはSkycomはHuaweiの子会社で、イランに事務所を有している。このため、取引はHuaweiによるイランとの取引であり、本来なら米国の銀行は取引ができない。

Huawei および孟晩舟がイラン事業に関して米国の金融機関および米国政府を長期的に欺いたことを訴えの対象とした。

2007年以降、Huaweiの従業員はSkycomはHuaweiの関係会社でないと偽った。更に、Huaweiのイラン取引に関し、米国その他の法律・規則に違反していないと偽った。

2012年終りから2013年に新聞が、HuaweiがSkycomを非公式の関係会社としてイランで使っていること、孟晩舟がSkycomの取締役であることを報じると、Huawei従業員と孟晩舟は取引銀行に対しSkycomとの関係について嘘をついた。Huaweiは2007年にSkycom株を無関係の第三者に売却しており、Skycomは単なる取引相手であり、取引は第三社間の取引であるとした。

実際にはSkycomの売却先のHUA YING MANAGEMENT (華盈管理)はHuaweiが実質的に支配している会社である。

Huaweiによる繰り返しの弁明を信じ、銀行は取引を続けた。ある銀行は2010年から2014年にかけて、Skycom関連で1億ドル以上の取引を決済した。

米国政府からの問い合わせに対しても、繰り返し嘘をついた。例えば、米国議会に対し、同社のイランとの取引が米国法に違反しないと嘘の報告をした。2007年のSkycom株の見せかけの売却の数カ月前にHua   wei創業者はFBIに対し、Huaweiはイランの企業と直接取引は行っておらず、米国の輸出に関する法律に違反していないと述べた。

2017年に取引銀行の1行がHuaweiのリスク懸念から取引を止めようとした際に、その情報が他の銀行に伝わるのを防ぐため、他の銀行に偽りの説明をし、Huawei 側がその銀行との取引をやめると伝え、他の銀行との取引継続に成功した。

2017年に米国政府の調査に気づき、Huaweiと米子会社は、関係者を中国に帰国させ、米国にあったイラン関係の書類を処分した。

2) 米企業 T-Mobile からの技術窃取

被告 企業秘密窃盗 通信詐欺 司法妨害
Huawei Device
Huawei Devices USA

Huawei は2012年に、米国のT-Mobile がスマートフォンの品質検査に用いる「Tappy」と呼ばれるロボットの技術情報を盗むための行動を開始した。

秘密保持契約に違反して、密かにTappyの写真を撮り、部品の寸法を測定し、ロボット1基を盗み、自ら作ろうとした。

T-Mobile がこれを知り、犯罪行為を防ぎ、訴えるぞと脅した。

それに対し、Huaweiは嘘の報告書をつくり、盗みは社内の不良分子が行ったもので、Huaweiの米国および中国の組織がおこなったものでないとした。

捜査中に見つかったメールに、これが同社の会社ぐるみの犯罪であることが示されている。

2013年7月に、Huaweiが世界中の他の企業から盗んだ情報の価値に基づいて従業員にボーナスを払うことを示すメールをFBIが入手している。

ーーー

カナダ司法省は12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies )の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した。

米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 2018年8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。

2018/12/10 華為技術(Huawei Technologies )の副会長の逮捕

カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払ったり追跡装置を身につけたりする。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

カナダの裁判所は来年2月に、米国の正式な要請に基づいて身柄を引き渡すかどうかを別途判断する。

米側は逮捕から60日以内に具体的な証拠を裁判所に示す必要がある。

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付記

カナダ政府は3月1日、米国への身柄引き渡しに関する審理を認めると明らかにした。 カナダと米国の犯罪人引き渡し条約に基づき検討した結果、「手続きを進めるための要件は満たされており、十分な証拠があると確信した」としている。

孟CFOは、3月6日にバンクーバーの裁判所で始まる審理に出廷する。

トランプ大統領は12月11日、ロイターとのインタビューで、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。しかし、米国政府はこれを否定した。

国際シンクタンク The International Crisis Group(ICG)は12月11日、同団体の上級顧問を務めるカナダの元外交官、Michael Kovrigが中国で拘束されたとの情報が入ったことを明らかにした。カナダ外務省は12月13日、カナダ人実業家 Michael Spavor氏が中国の国家安全保障に脅威を与えた疑いで中国当局に拘束されたことを認めた。

カナダのトルドー首相は2019年1月26日、同国のジョン・マッカラム駐中国大使が同日付で辞任したと発表した。首相が辞任を要請した。

マッカラム氏は1月22日に中国語メディアとの会合で孟氏の逮捕にはトランプ米大統領の政治的な意向が反映されていると指摘。逮捕容疑であるイラン制裁違反に関して「カナダは(米国が求める)イラン制裁措置に署名していない」とし、引き渡しが行われない可能性を示唆していた。
 


2019/2/2   米連邦準備理事会(FRB)、追加利上げを見送り 

米連邦準備理事会(FRB)は1月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。

声明文には「政策金利の調整を様子見する」と盛り込み、2019年中に2回を見込んでいた追加利上げを棚上げする考えを示した。

FRB2018年12月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3カ月ぶりの利上げ(利上げ幅は0.25%)を決めた。

2019年の想定ペースを従来の3回から2回に引き下げ、2020年までに利上げを停止する考えも示唆した。

 
2008/10 2.00%→1.00%
2008/12 1.00%→0.00%
    ↓   0.00%
2015/12 0.00%→0.25%
2016/12 0.25%→0.50%
2017/3 0.50%→0.75%
2017/6 0.75%→1.00%
2017/12 1.00%→1.25%
2018/3 1.25%→1.50%
2018/6 1.50%→1.75%
2018/9 1.75%→2.00%
2018/12 2.00%→2.25%

パウエル議長は1月30日、米連邦公開市場委員会の終了後に会見し、次のように述べた。

我々の目標は米国民の利益のために労働市場の強化物価安定をもたらす経済成長を維持することだ。

米景気の状態は良好であ る。米経済は2018年よりも成長が鈍化しているものの、2019年も堅調なペースで拡大するとみている。

労働市場は強固な状態を維持し、失業率は歴史的低水準で賃金上昇率も堅調。
インフレ率は2%の目標水準近くで推移している。

しかし、過去数カ月間にいくつかの逆風我々の見通しに相反する景気のサインも散見される。

海外には経済成長の鈍化が目立ってきた主要国もある。とくに中国と欧州
不透明感が高まっている問題もある。英国のEU離脱、貿易摩擦を巡る交渉、米国の政府機関の部分的閉鎖の問題
2018年終わりには金融市場がかなりのレベルで逼迫し、2018年の初めまで享受した成長率を維持するのが難しくなった。
企業経営者や消費者の信頼感を示す指標は低下を示している。

我々の金融政策はデータ次第であるということはいつも強調している。
逆風も垣間見られる局面での常識的リスク管理のやり方は、状況が明確に把握できるまでは様子見をすべきだということだ。

加えて、金利を引き上げる必要性がやや低下したともいえる。インフレ率は低下し、先ごろの原油価格の下落によって、今後さらにインフレ率全体が下がることが予想される。金融市場の不均衡のリスクも低下している。

発表では、「世界経済と金融市場の動向、インフレ圧力が低い状況に照らして、将来のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導水準をどう調整するかを決定する際にFOMCは様子見をする」 とした。

従来の「いくらかのさらなる緩やかな利上げが、経済活動の安定的な拡大に見合う」との表現を削除。「政策金利の誘導目標をどう調整するか決めるに当たっては辛抱強くなるだろう」との文言を加えた。


2019/2/4     大林産業、AramcoとTotalのサウジの新石油化学計画の一環でポリイソブチレンを製造

Saudi AramcoとTotal は2月1日、韓国の大林産業(Daelim)との間でポリイソブチレン(PIB)製造の覚書に調印したと発表した。

Saudi AramcoとTotal は、Jubailにある両社JVの SATORP製油所に隣接して、ワールドクラスの混合ガス(エタンが50%、製油所のオフガスが50%)スチームクラッカーを建設し、年産150万トンのエチレンを生産する計画(Amiral)を推進している。(下記)

大林産業は、Amiral complexからの原料を使用して、年産80千トンのポリイソブチレン(PIB)工場を建設することを計画している。2024年のスタートを目指す。基本設計(FEED)は2月にスタートし、年内に終了する。

ポリイソブチレンは、イソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成されており、化学的な安定性と、通常の条件下での高い電気特性、耐候性、耐酸化性を備えた液状ポリマーで、無色透明・無毒で、疎水性にも優れている。
用途は、接着剤、潤滑油、添加剤、チューインガム基礎剤、医療用途粘着剤など。

大林産業の技術を使用し、1プラントでconventional PIB(CPIB) からhighly reactive PIB (HR-PIB)までの生産ができる。

PIBの生産はサウジで初めてとなる。

ーーー

Saudi Aramco は2018年8月15日、取締役会がサウジでの石油化学計画を承認したと発表した。Total とのJV SATORP 製油所での石油化学計画で、Amiral と呼ばれる。

SATORPはフランスのTotal とのJV (Saudi Aramco 62.5%、Total 37.5%)で、Jubail に日産40万バレルのワールドクラスの製油所を建設(2014年の手直し増設で現在能力は44万バレル)、Arabian Heavy 原油を精製して、高品質の石油製品を製造する。世界でも最も効率のよい製油所の一つと見られている。

ディーゼルとジェット燃料の生産を最大化することを狙っており、これに加え、パラキシレン(年産70万トン)、ベンゼン(同14万トン)、ポリマーグレードプロピレン(同20万トン)を生産する。

当初は 25%分を公募し、両社は37.5%ずつとなる予定であったが、公募増資を取り止め、当初比率で倍額増資をしている。

2009/6/22 Saudi Aramco、製油所建設を再開

今回の石油化学計画は、4月10日にサウジ皇太子のパリ公式訪問中にAramcoとTotalが覚書を調印した。

精油所に隣接して、ワールドクラスの混合ガス(エタンが50%、製油所のオフガスが50%)スチームクラッカーを建設し、年産150万トンのエチレンを生産する。

投資額は約50億ドル程度で、両社は2018年第3四半期にfront-end engineering and design (FEED)を開始する。

エチレンは、第三者が建設する誘導品工場に供給する。これらの投資額は40億ドル程度を見込むとしたが、その後50億ドルとされた。2024年のスタートを見込む。

2018/8/20  Saudi Aramco、サウジと米国での石油化学計画を承認 

AramcoとTotal は2018年10月、新たな石油化学コンプレックス建設に向け、FEED (FrontEndEngineeringDesign) を開始すること合意した。

 



2019/2/5  「北マケドニア」、NATO加盟へ

NATOは2月6日に全加盟国が「北マケドニア」の加盟を承認する議定書に署名する。2日に発表した。

ギリシャが国名を巡り、マケドニア共和国の加盟に反対していたが、マケドニアがこのたび「北マケドニア共和国」に国名を変更し、障害がなくなった。

NATOは創設70周年の今年中に30か国体制となる。

付記 2020年3月27日、東欧の北マケドニア(旧マケドニア)がNATOに加盟した。

ーーー

「マケドニア」の名称は、アレクサンドロス大王で知られる古代ギリシャのマケドニア王国に由来する。

1991年に独立したマケドニア共和国はマケドニア地域全体の約4割を占め、残りの約5割はギリシャに、約1割はブルガリアに属している。

歴史的には、マケドニア共和国の多数民族はスラヴ語を話し、ギリシャ系の言語を話していたと考えられる古代マケドニア王国の人々と直接の連続性はない。

ギリシャは、「マケドニア」名の使用は、ギリシャ北部のマケドニア地方の領有権の主張に当たるとした。

マケドニア共和国で流通している地図のマケドニア共和国が拡大され、ギリシャ北部の大部分に覆いかぶさっている。

憲法に、「周辺国に住むマケドニア人の権利を擁護する」との記載がある。

また、古代ギリシャのアレキサンダー大王の遺産をはく奪するものとし、反対した。

アレキサンダー大王のシンボルであった16本の光芒を放つ古代ギリシャの太陽のシンボル「ヴェルギナの星(Star of Vergina)」を国旗に選定したことも、ギリシャへの挑発行為とみなされた。

 ヴェルギナの星     当初の国旗
 

ギリシャは翌1992年、マケドニア共和国に対する禁輸措置を宣言した。

ギリシャの反対を受け、1993年にマケドニア共和国は国際社会における暫定的呼称を「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」とし、国際連合に加盟した。(日本もこの国名で国家承認をしている。)

1995年に両国は暫定合意に達し、ギリシャが禁輸を解除する見返りにマケドニアが譲歩し、ギリシャにおけるマケドニアの領土の主張を放棄するために憲法改正を行い、国旗も変更した。

新国旗   参考 旭日旗
 

マケドニア国歌の初めの Today over Macedonia, is being born the new sun of liberty から。

しかし、ギリシャは依然として国名への反対を続け、マケドニアのEU加盟やNATO入りを拒否してきた。

2018年6月12日、両国政府は欧米の仲介で マケドニアの国名を「北マケドニア共和国」に変更することで合意した。ギリシャがEUなどへの加盟反対を取り下げることでも合意した。

マケドニアは2018年9月30日、国名を「北マケドニア」に改め、NATOとEUに加盟することの是非を問う国民投票を実施した。しかし、投票率は3割台と低迷、無効となった。

しかし首相は、国民投票に法的拘束力はないと主張、投票での9割を超える賛意を理由に「議会が投票者の多数派の意思を確認する番だ」と述べ、10月19日に国名変更に必要な議会での改憲手続きを開始した。

NATO外相理事会は12月5日、マケドニアのNATO加盟に向けた進捗状況を協議し、「北マケドニア共和国」への国名変更が実現すれば、30カ国目の加盟国となると改めて確認した。

マケドニアの国会は2019年1月11日、「北マケドニア共和国」に国名を変更する憲法改正案を3分の2以上の賛成で承認した。

ギリシャ国会は1月25日、マケドニアが「北マケドニア共和国」に国名変更する両国政府間の合意を賛成多数で承認した。
1991年にマケドニアが旧ユーゴスラビアから独立後、四半世紀以上に及ぶ国名論争に終止符を打った。

これを受け、NATO加盟が決まった。今後、EU加盟も視野に入る。

 

NATOとEUの加盟状況は下記の通り。赤字は旧ユーゴスラビア 6か国。

NATO EU
原加盟国 米国 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ
フランス
ベルギー
ルクセンブルク
英国 1973
デンマーク 1973
ポルトガル 1986
アイスランド

非加盟

ノルウェー
1952/2

ギリシャ

1981
トルコ 非加盟
1955/5 ドイツ(西ドイツ) 1952
1982/5 スペイン 1986
1999/3 チェコ 2004/5
ポーランド
ハンガリー
2004/3 エストニア 2004/5
ラトビア
リトアニア
スロバキア
スロベニア
ブルガリア 2007/1
ルーマニア
2009/4 アルバニア 非加盟
クロアチア 2013/7
2017/6 モンテネグロ 非加盟
2019 マケドニア
非加盟 アイルランド 1973
オーストリア 1995
フィンランド
スウエーデン
キプロス 2004/5
マルタ
非加盟 スイス 非加盟
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
30か国  

28か国

 


2019/2/6 GAFA 対 BATIS 

2月4日付の日本経済新聞に「中国『BATIS』の野望」という記事がある。

「BATIS」。習近平指導部が国家プロジェクト「AI発展計画」で17〜18年に指名した5大プラットフォーマーだ。百度(バイドゥ、自動運転)、アリババ(スマートシティー)、テンセント(ヘルスケア)、アイフライテック(音声認識)、センスタイム(顔認識)の5社は補助金や許認可で手厚い支援を受ける。

グーグルなど米IT大手「GAFA」が激しい市場競争を勝ち抜いてきたのに対し、党が選んだ中国のBATISは14億人の人口から得られる膨大なデータを吸い上げて突き進む。イノベーション(革新)は自由競争から生まれるという従来の常識への挑戦状だ。

グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社がGAFAと呼ばれるのに対し、中国の国家プロジェクト「AI発展計画」で政府が指名した5大プラットフォーマーがBATISと呼ばれる。

Baidu=バイドゥ(百度)、Alibabaアリババ(阿里巴巴)、Tencent=テンセント(腾讯)、Iflytek (アイフライテック=科大訊飛)、SenseTimeセンスタイム=商湯科技)の5社である。

Baiduは自動運転、Alibabaはスマートシティ、Tencentはヘルスケア、Iflytek は音声認識、SenseTimeは顔認識の分野をリードする。
 


中国政府は2017年7月に「次世代AI発展計画」を発表した。

AIを「国際競争の新たな焦点になり、将来をリードする戦略技術」と位置付け、AI産業発展の3段階戦略を描いた。

ジェトロ作成

第1段階は、2020年までにAIの全体的な技術とその応用を「世界先進水準に引き上げる」。関連産業も含めた規模を1兆元(約17兆円)と見込む。

第2段階は2025年までで、基礎理論を進展させ、一部技術と応用を「世界トップ水準に向上させる」ことを目標としている。関連産業も含めた規模は5兆元(85兆円)。

第3段階として、2030年までに「理論、技術、応用の全ての分野で世界トップ水準」に引き上げ、中国を世界の主要な「AIイノベーションセンター」にする目標を設定した。関連産業を含めた規模は10兆元(170兆円)。

計画の旗振り役である工業情報化部は2017年末、目標達成へのアプローチの第1段階として、「次世代人工知能発展三カ年行動計画」(2018〜2020年)」を打ち出した。2020年までにAI製品やコア技術、製造業のスマート化、支援システムなどにおける行動目標をそれぞれ定めた。

また科学技術部は2017年11月、次世代AIの発展計画および重大プロジェクトの推進と実施を担う「AI発展計画推進弁公室」を発足させた。

科学技術部をはじめ、工業情報化部、国家発展改革委員会などの政府部門、協会、研究機関の計15機構により構成され、イノベーションを中心にAI産業に関する計画を推進する。

第1期として、政府主導で4つのAI分野を定め、分野ごとにリード企業を選定する戦略を発表した。

4分野とリード企業は、

そして2018年9月に、SenseTimeがIntelligent Vision(画像認識)の分野でリードする企業として選定された。これで「BATIS」となった。

画像認識では次の4社が新四天王と呼ばれる。


2019/2/6 Bayer、血友病治療薬の特許訴訟で武田薬品子会社 Baxaltaに勝訴 

デラウエア州 Wilmington 連邦地裁で陪審員は2月5日、武田薬品の子会社Baxalta に対し、同社の血友病治療薬がBayer 特許を侵害していると判断し、155.19百万ドルを支払うよう命じた。

武田薬品は2019年1月8日付でアイルランドの製薬大手Shire plc の買収を完了した。

Shire plc は2016年にBaxaltaを買収した。(Baxaltaは2015年7月にBaxter Laboratoriesからスピンオフした会社である。)
 Shireはこれにより、3つの治療領域(血液、免疫、腫瘍)に進出 し、希少疾患の患者のため尽力するバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニ
ーに なるとした。

2015/8/8  アイルランドのShire Pharmaceuticals、Baxalta に買収提案

賠償額は、対象期間を2016/6/14〜2018/11/30とし、872.84百万ドルの売上高に対し、17.78%のロイヤリティとした。

問題の血友病治療薬はAdynovate で、Baxalta によると次の通り。

Bayerの血液凝固第[因子製剤(遺伝子組み換え型)Kogenate 及びその後継品 Kovaltryは次の通り。

新規のペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤で、ポリエチレングリコール(ペグ)分子が部位特異的に第VIII因子と結合(ペグ化)することにより、生体内半減期を延長し、長時間体内での血液凝固活性を維持できるように設計されている。

Bayerの訴状によると、事態は次の通りで、San Franciscoに拠点を置くNektar TherapeuticsがBayerとの契約で実験を行い、Bayerの特許の存在を知りながら、その技術をBaxterに独占的に供与したことから発生した。

Bayer とNektar は2003年12月に "Research Agreement" を締結し、Nektar は Bayer の指示のもとに、Bayerの遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子をペグ化した。

Nektarは1年後に報告書を出したが、実用化には問題があることが分かり、Nektar との契約を終了した。
Bayerは独自で研究を続け、2016年に米国で特許(No. 9,364,520)を出した。

その後、いろいろあり、Nektar はBayer の '520' 特許の中身について熟知しているのは明らかである。

Nektar は2005年9月にBaxterとの間でペグ化候補についての独占研究開発・ライセンス・製造・販売契約を締結した。
2007年12月に契約改定を行い、Nekatarのペグ化技術についてBaxterに独占供与を行った。

2005年の契約に基づき、両グループはAdvate[遺伝子組換え血液凝固第[因子製剤]に基づく開発を行い、ペグ技術を使用して、Adynovate の開発に至った。

Baxter からスピンオフしたBaxaltaが現在、Adynovate の権利を持っている。

Baxaltaは直接、'520 patentに違反している。


2019/2/7  日産自動車、英国でのSUV生産計画取り止め

日産自動車は2月3日、欧州向けスポーツタイプ多目的車(SUV)Nissan X-Trail を日産自動車九州で生産することを決定したと発表した。
これについては、2016年に英国サンダーランド工場で生産することを発表していた。

日産では、「英国サンダーランド工場で生産する新型車に搭載される新技術や新型パワートレインの開発に多額の投資を行ってきた。これら技術開発への投資を引き続き進めていくため、次期型『エクストレイル』の生産を従来の九州工場で行い、同モデルの先行投資コストの削減を進めていく」としている。

実際には、英国のEU離脱に備えるもので、現状では「合意なき離脱」となる可能性が高く、さまざまな混乱が起きると予想されている。

なお、英国サンダーランド工場での将来の次期JUKEとQashqaiの生産計画については、変更はない、としている。

 

これを受け、英国には大きな衝撃が広がった。

これまでも英国外に事務所や生産拠点を移す動きはあったが、日産は規模が大きい。英国最大の自動車工場であり、7000人の従業員がいる。

さらに、サンダーランドは英国の中でも経済的に厳しい地域で、日産の自動車工場とその関連企業に支えられている側面が強く、日産の投資が落ち込めば、地域経済に与える影響は大きい。

「日産の発表は自動車産業と地域にとって打撃だ」。英国のクラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相は3日の声明で危機感をあらわにした。

ーーー

日産自動車は2016年10月26日の経営会議で、英国のSunderland 工場で現在生産しているSUV「Qashqai」の次期型車に加え、次期型「X-Trail 」を同工場で生産することを決定した。

Qashqai は日産自動車がかつて日本国内で製造・販売していた「デュアリス」で、フルモデルチェンジを受けて欧州その他で販売している。


日産はSunderland 工場への投資を増やし、同工場で働く 7,000人以上の雇用を確保、維持することになる。
同工場は7,000人以上の従業員に加え、サプライチェーンにおける 28,000人の雇用を支えている。

同社は発表で、本決定は、Sunderland 工場の競争力維持を公約する英国政府の表明を受けてなされたものとしている。

ゴーン社長は、「英国政府から支援と公約を得られたことで、Sunderland 工場での次期型Qashqaiと次期型X-Trail の生産決定につながった。Theresa May首相の、英国の自動車産業および産業戦略全体の発展に対する強い決意に敬意を表す」と語った。

ゴーン社長は10月14日にTheresa May首相と面会している。

面会後に社長は、「英国が事業を展開する上で競争的な場所であることを英政府が引き続き保証すると確信している」と述べた。
May首相は声明で「英政府は自動車業界にとり適切な環境を作り出し、支援することにコミットしている」との立場を示した。

日産自動車の投資継続の発表を受け、英紙 The Timesは10月27日、この決定が英国政府からの秘密の保証を受けてなされたと報じた。
May首相がゴーン社長に対し、英国で新しい自動車を生産する場合、日産はBrexitにより損をすることはない(not "lose out") と約束したとする。

更に28日には、Greg Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相が日産の経営陣に対し、「英国からEUへの自動車輸出に関税が生じる場合でも、日産が負担する必要はない」との内容の手紙を送っていたと報じた。

2016/11/5  日産自動車、英国での投資継続で英政府と密約 ? 

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英政府は2019年2月4日、2016年10月21日付(10月26日の経営会議の前)
Greg Clark 民間企業・エネルギー・産業戦略相が日産自動車に送った書簡を公表した。

EU離脱による不透明感を払拭すると伝えた上で、多目的スポーツ車(SUV)次期モデルの英国での生産を前提に、最大8000万ポンド(約115億円)の支援を申し出ていた。

I understand, of course, your worries now about uncertainties as the UK prepares to leave the EU.
In particular, your fear that potential future trade arrangements could affect the business case for your investments.   As a demonstration of the UK Government’s commitment, we are already working with your UK team on a package of support in areas such as skills, R&D and innovation. Work continues but I understand this could amount to additional support of up to £80m.

これまで非公開だったが、日産が前日に生産計画を撤回したのを受けて開示した。

支援額はその後、6100万ポンドに決まった。これまで払われた支援金は260万ポンドとされる.。

 


2019/2/7     EU大統領「英国離脱の推進者は地獄に」 

メイ英首相は2月7日、EU離脱問題の打開策の協議のため、Jean-Claude Juncker EU委員長と会談するが、EUのDonald  Tusk大統領(首脳会議常任議長)は前日の2月6日、アイルランドのLeo Varadkar首相と離脱問題などを協議した後の共同記者会見で、英国のEU離脱を安易に推進した人々には「地獄」が用意されていると痛烈に批判した。

内容は次の通り。

離脱まで50日しか残っていない。やめた方が良いという人が英国にも、欧州大陸にも、アイルランドにも多い。しかし英首相や野党首脳はこれを拒否している。残留を主張する勢力はない。不満だが・・・。

There are 50 days left until the UK's exit from the European Union, following the decision and the will of the UK authorities. I know that still a very great number of people in the UK, and on the continent, as well as in Ireland, wish for a reversal of this decision. I have always been with you, with all my heart. But the facts are unmistakable. At the moment, the pro-Brexit stance of the UK Prime Minister, and the Leader of the Opposition, rules out this question. Today, there is no political force and no effective leadership for remain. I say this without satisfaction, but you can't argue with the facts.

最も重要なことは、「合意なき離脱」を避けることだ。EU側の姿勢は、英国との合意文書にあるように、新しい提案はしないということだ。再協議はないと言っている。メイ首相から明日、現実的な提案があると期待している。

Today our most important task is to prevent a no deal scenario. I would, once again, like to stress that the position of the EU27 is clear, as expressed in the documents agreed with the UK government – that is the Withdrawal Agreement and the Political Declaration – and the EU27 is not making any new offer. Let me recall that the December European Council decided that the Withdrawal Agreement is not open for re-negotiation. I hope that tomorrow we will hear from Prime Minister May a realistic suggestion on how to end the impasse, in which the process of the orderly withdrawal of the UK from the EU has found itself, following the latest votes in the House of Commons.

我々にとって最も重要なことは、アイルランド島の国境問題と、1998年4月10日のベルファスト合意(Good Friday Agreement)による平和プロセスの保証だ。我々は平和に関してギャンブルはしない。
これがBackstop案にこだわる理由だ。北アイルランドの平和を保証してくれるなら、英国はEUを離脱してもよい。英国政府が、この観点を満たし、かつ、下院を通せる提案をしてほしい。解決案があると信じている。

The top priority for us, remains the issue of the border on the island of Ireland, and the guarantee to maintain the peace process in accordance with the Good Friday Agreement. There is no room for speculation here. The EU itself is first and foremost a peace project. We will not gamble with peace; or put a sell-by date on reconciliation. And this is why we insist on the backstop. Give us a believable guarantee for peace in Northern Ireland, and the UK will leave the EU as a trusted friend. I hope that the UK government will present ideas that will both respect this point of view and, at the same time, command a stable and clear majority in the House of Commons. I strongly believe that a common solution is possible, and I will do everything in my power to find it.

うまくいかない場合にも備える必要がある。アイルランド首相とは「合意なき離脱」の場合の必要な行動について議論した。

A sense of responsibility also tells us to prepare for a possible fiasco. The Taoiseach(アイルランド語でアイルランド首相)and I have spoken about the necessary actions in case of no deal; I know that you will also be discussing this shortly with the European Commission.

ところで、安全に離脱する計画も無しにBrexitを推進した人にとって用意されている地獄はどんな所なんだろうか。

By the way, I've been wondering what that special place in hell looks like, for those who promoted Brexit, without even a sketch of a plan how to carry it out safely. Thank you.

 

参考 2019/1/21 Brexitの問題の根源 

 

付記 2月7日のメイ首相とユンケル委員長との会談で、ユンケル委員長は再交渉を拒否した。協議を続けるとしたが、具体的な道筋は示せなかった。2月末までに再会談する。

 



2019/2/8    キリンホールディングス、協和発酵バイオを子会社に

協和発酵キリンは2019年2月5日、連結子会社である協和発酵バイオの株式の95%を 親会社のキリンHDに約 1,280 億円で譲渡する契約を締結した。

協和発酵バイオの事業は次の通り。

ファインケミカル事業:各種医薬用アミノ酸、核酸関連物質、医薬品原料等

ヘルスケア事業:各種アミノ酸、ビタミン、カロチノイド等の機能性食品素材、健康食品

医療食事業(オルニュート・ペムノン)は2018年7月にキリンへ移管した。
 

キリンHDは将来の成長ドライバーとするべく注力する健康領域事業における更なる協業の可能性につき、子会社の協和発酵キリンと協議・検討を進めた。
その結果、協和発酵バイオを直接の子会社とすることによって、相互の強みや経営資源の更なる有効活用及び健康領域を始めとした事業開発スピードの向上を実現することが可能となり、グループシナジー及び協和発酵バイオの企業価値の最大化につながると判断した。

一方、協和発酵キリンにおいても、新薬開発を中心とした医薬事業に経営資源を集中することで、さらに成長スピードを加速させることが可能とな る。

株式譲渡実行日は 2019 年4月24日の予定。

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協和発酵工業とキリンファーマ、キリンホールディングスは2007年10月、両グループの戦略的提携で合意し、協和発酵とキリンファーマを統合することを決めた。

2008年10月1日に協和発酵とキリンファーマは合併し、協和発酵キリンに商号変更を行った。キリンHDが50.1%を出資する。

その後、協和発酵の医薬以外の事業について下記の再編を行った。

協和発酵のバイオケミカル事業は、100%子会社の協和発酵バイオとした。

協和発酵フーズはキリンフードテックと事業統合し、キリンホールディングス子会社のキリン協和フーズとした。

協和発酵の化学品事業は協和発酵ケミカルとしたが、「今後、他社とのアライアンスを含めて収益の安定化と競争力強化に注力」としていた。

2007/10/25  協和発酵とキリンファーマの統合

協和発酵キリンは2010年10月22日、連結子会社の協和発酵ケミカルの全株式を日本産業パートナーズに売却する基本合意書を締結したと発表した。

2011年1月28日、株式譲渡契約を締結した。譲渡先は日本産業パートナーズの買付会社 のケイジェイホールディングス。

3月31日 ケイジェイホールディングスに譲渡を完了した。

協和発酵ケミカルは2012年4月1日、KHネオケムに改称、KHネオケムは2016年10月12日付で東京証券取引所市場第一部に上場された。

2010/10/27 協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意 

 

今回、協和発酵バイオをキリンホールディングスに売却することで、協和発酵キリンは医薬事業会社となる。


2019/2/9 千代田化工、米国 Golden Pass LNG輸出基地設計、調達、建設業務を受注 

 

千代田化工建設は2月6日、米国のZachry Group 及びMcDermott International と共同で、Golden Pass Products LLCから、米国テキサス州 Sabine Passで計画されているLNG輸出基地の設計、調達、建設(EPC)業務を受注したと発表した。

Golden Pass Products LLCはQatar Petroleumが70%、ExxonMobilが30%を出資する。計画は、既存のGolden Pass LNG 輸入基地に天然ガス液化設備等を建設し、同基地を市場の状況に応じてLNGの輸入と輸出を行えるようにするものである。

既存のGolden Pass LNG 輸入基地は、Qatar Petroleum (70%)、ExxonMobil (17.6%) に加え ConocoPhillips (12.4%) が加わるJVである。
年間1560万トンの輸入LNG(天然ガス換算 日量20億立方フィート)を2つのバースで輸入し、ガス化する。2010年に完成した。

今回の計画は、年産520万トンの液化設備3基(合計能力 1,560万トン)を建設する。用役設備の増設や既存の輸入設備との連結、安全設備の拡充なども含める。パイプラインも拡充する。
ConocoPhillipsはこの事業には参加しない。

投資額は100億ドルで、2024年に運転を開始する予定。

Golden Pass はエネルギー省から、FTA締結国向けには2012年に、非締結国向けには2017年に、20年間の輸出承認を受けている。

千代田化工は、下記の通り、米国Cameron LNGプロジェクトで大幅赤字を計上している。米国ではトランプ政権の移民規制でエネルギー開発の人手不足が深刻になっており、工期遅延のリスクがある。

このため、今回の契約では、ZachryMcDermottが労働者の生産性など現地建設関連のリスクの責任を負うスキームとし千代田の負うスコープは基本的に設計と調達に限定した

但し、リスクを回避する代わりに、日経報道によると、得られる利益も最大でも300億円程度と、通常のプロジェクトに比し少ない。

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千代田化工建設は2018年11月9日発表の中間決算で、連結決算の最終損益が1086億円の赤字と発表した。

米国で工事を進めているCameron LNGプロジェクトで工事コストが約850億円の大幅増加となる。

Cameron LNGプロジェクトは、米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGが、ルイジアナ州HackberryのLNG輸入基地の輸出基地への転用のため、総工費60億ドルで1系列年間400万トン能力の液化設備3系列(合計能力 1,200万トン)を建設するもの。

先ず2017年に、製造、設計、建設拠点での大雨と洪水が原因で遅れが生じ、顧客Cameron LNG社との間で契約条件交渉を行い、合意に至った。

2017/12/27  千代田化工、キャメロンLNGプロジェクトの契約変更

同社は 2018年3月期決算で、123億円の営業損失を計上したが、その後、本プロジェクトで下記の問題があることが分かった。

・2018年初頭からの現場作業員、特に技能工の不足が今後も続くこと

・それに伴う人件費の大幅高騰

・現場が市街地から離れ不便なことなどから作業員の定着性が極めて低く、現場工事の生産性が再び低下

このため、現場作業員の人件費を含む工事コストが大幅に増加することが分かり、約850億円を追加した。

2018/11/14 千代田化工建設、米国LNG計画で850億円の追加工事 

 


 

2019/2/11  Brexitの問題の根源(続き)−「北アイルランド国境問題」 

英下院は1月29日夜、EU離脱を巡り、メイ首相が推進してきた離脱合意案の主要条項を変更することを求める議員提案を賛成多数で可決した。

メイ英首相は2月7日、EU離脱問題の打開策の協議のため、Jean-Claude Juncker EU委員長と会談したが、ユンケル委員長は再交渉を拒否した。協議を続けるとしたが、具体的な道筋は示せなかった。2月末までに再会談する。

その前日、EUのDonald Tusk大統領(首脳会議常任議長)は、アイルランドのLeo Varadkar首相と離脱問題などを協議した後の共同記者会見で、英国のEU離脱を安易に推進した人々には「地獄」が用意されていると痛烈に批判した。

2019/2/7 EU大統領「英国離脱の推進者は地獄に」

Brexitの問題の根源は、アイルランドとの国境問題が最重要であることが分かっていながら、どう対処するのかを全く検討せず、Brexitを決めてしまったことである。

これとは別に、離脱賛成派が、離脱の必要性やメリットについて虚偽の説明をし、それをBBCを含む報道機関がそのまま伝え、国民が間違った情報を基に離脱に賛成したことも問題である。

Brexitの問題の根源

EU離脱を決めた国民投票後の2016年7月26日、メイ首相はアイルランド首相との会談に臨んだ。

英国民とアイルランド国民は、共通旅行区域(CTA)制度の下、パスポート検査などもなく両国間を往来できる。これは特に直接アイルランドと国境を接する北アイルランドにとって重要で、アイルランド国民と同じカトリック系の住民が自由に国境を越えられることは、北アイルランド和平プロセスの核をなしている。

EU離脱により移民対策を強化する場合やEUの関税同盟から外れる場合には、国境線での取り締まり強化や税関設置などの対策を迫られることも考えられるが、メイ首相は「両国にはCTA維持についての強い意志がある」と述べた。アイルランド首相も「国境の壁が存在した過去に戻ることを両国ともに望んでいないことで完全に合意した」と応じた。

共通旅行区域(CTA)制度は両国のEU加盟以前からある取り決めであると指摘し、税関や検疫も含め、物理的な国境設備の設置を避けることを目指すと明言し、日常的に住民や農業従事者、小規模な商業従事者が往来し物資の移動が行われている現状に配慮する必要性を訴え、通関申告を免除するなど「可能な限り摩擦のない陸上国境の実現」を目指すべきとしている。

また、ベルファスト合意を全面的に支持する姿勢を強調、同合意で定められた通り、北アイルランドの住民には両国間の往来の自由を認めると共に、両国の二重国籍を取得する権利やアイルランド国籍に由来するEU市民権も認めるよう求めている。

アイルランドと北アイルランド(英国)はEU加盟とベルファースト合意により、税関や検疫も含め、物理的な国境設備の設置なしで問題がなかったが、北アイルランド(英国)のみがEUを離脱する場合、国境設備の設置無しでどうやって管理するのかについて、事前に検討した気配はない。

 

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北アイルランド問題の根は深い。

1541年、イングランド王ヘンリー8世がアイルランド王を自称し、これ以降、イングランドからの入植者が増えた。アイルランドの貴族はこれを認めずヘンリー8世と対立した。

19世紀以降、アイルランドの民族運動が高揚したが、17世紀にアイルランドに移住したイングランド系・スコットランド系入植者の子孫のプロテスタント系住民は、カトリック系住民が多数をしめる新国家で少数派となることを恐れ、独立に反対した。特に、プロテスタント住民が多数派を占める北部のアルスター地方にある6州で最も強かった。

1919年、アイルランド独立戦争が勃発した。
1920年、イギリス政府はアイルランド全島をアイルランド自由国とし、北アイルランドと南アイルランドの2つに分割して、それぞれの自治権を認めた。


1922年に北アイルランド政府はイギリスへの再編入を希望することをイギリス政府に公式に通告した。
北アイルランド離脱後のアイルランド自由国は、1937年に自治領から独立の共和国へ移行し、1949年にはイギリス連邦も離脱した。

その後、独立戦争を戦ったアイルランド共和軍 (IRA) は北アイルランド政府に対し、テロ行為を行うようになった。これに対し、1966年にIRAに対抗する非合法の民兵組織が組織され、カトリック住民に対するテロ行為を開始した。

北アイルランド政府に解決能力がないと見たイギリス政府は1972年、北アイルランドをイギリス本国政府の直轄統治下に入れた。
互いに攻撃・テロを繰りかえし、これらの事件による死者は3,000名に及んだ。

1998年4月10日、イギリスとアイルランドの間でベルファスト合意(聖金曜日協定)が締結された。

この合意の主な要点:

・北アイルランドでの住民投票とアイルランドでの国民投票による和平合意の確認

1998年5月22日、北アイルランド住民投票では71.1%の賛成、アイルランド国民投票では94.4%の賛成

・北アイルランド地方議会の新設=英国政府の直轄統治から地方自治へ

・イギリスとアイルランド共に北アイルランドの領有権を主張しない。アイルランドは北アイルランド領有をうたう憲法を修正

・北アイルランド住民の過半数の合意なしに北アイルランドの現状を変更しない

・北アイルランドの将来の帰属は北アイルランド住民の意思によって決定される。

北アイルランドの人口構成は、プロテスタント系が50%強、カトリック系が40%半ばと拮抗している が、カトリック系の方が出生率は高いため、北アイルランドは将来的にアイルランドへ帰属を変更する可能性 が高い。

・帰属が確定するまではプロテスタント、カトリック系政治勢力が共同参加する自治政府によって統治される。

両国は北アイルランドの住民が国籍を、自身の選択で、アイルランド、英国、又は両方とすることを認める。将来の北アイルランドの帰属がどうなるかに関係なく、英国とアイルランド両方の国籍を持つことを認める。(→アイルランド国籍を持てば、Brrexit後も北アイルランドの住民はEUに属することとなる。)

英国とアイルランドは1923年に共通旅行区域(CTA)制度をつくり、パスポート検査などもなく両国間を往来できることとなっていた。但し、1923年に国境に税関が設置されている。

英国とアイルランドは1973年にともに欧州共同体(EC)に加盟、1993年11月1日にEUになったことで、EU加盟国間の人・モノ・資本・サービスの4つの自由が保証される単一市場が形成され、北アイルランドとアイルランド間の税関も撤去された。

EUは「人、物、サービス、資本の自由移動」を保障しているが、英国はシェンゲン協定の国境検査撤廃の適用対象から除外されている。
アイルランドと英国は共通旅行区域(CTA)制度により、シェンゲン協定未加盟の英国に国境検査なしで入国できる唯一のEU加盟国となっている。

建前は上記の通りだが、北アイルランド紛争のため、国境では英国の治安部隊の検問所や監視塔が武器や過激派の流入に目を光らせ、自由な行き来が妨げられた。

ベルファスト合意により、自由な行き来が可能となった。

アイルランド共和国と北アイルランドのアイルランド人にとって、表面上は国境で分断されてはいるが、ベルファスト合意により、北アイルランド住民が両方の国籍を持つことができ、自由に行き来ができるようになって、実質的な国境はなくなった。

将来は住民投票の結果、北アイルランドとアイルランドが統一される可能性も見えていた。

これで長年の流血の争いが収まった。

再度国境ができ、アイルランド共和国と北アイルランドのアイルランド人が分断されると紛争が再開される可能性もあり、英国もアイルランドもEUも望まない。


しかし、EU にとっては、EUの制限物質が北アイルランドを通じてアイルランド(EU)に入るのは困る。このため、北アイルランドについては今後もEU規則の適用を求める。(Backstop案)
これを呑めば、英国は本土と北アイルランドで分断される。

英国ではBackstopの期間を限定することを求めているが、実際には解決策はないであろう。

元 Economist 誌のBill Emmottは述べている。(2019/2/3 毎日新聞)

「解決できるのは、北アイルランドが英国から分離してアイルランドに加わるか、もしくは英国がEUに非常に近い形で残留しEUの交易ルールに従い続けるかである。 」

アイルランド側は、Backstop案を続け、そのうちに北アイルランド住民の意思で、アイルランドへの統合が決まるのを待つという思惑かも知れない。

 


2019/2/12 米国の下院選挙でいまだに1議席が未確定

2018年中間選挙(11月6日投票)で下院の1議席(North Carolina 州 第9選挙区)が未確定となっている。

  共和党 民主党 民主系
無所属
未確定 合計
上院 53 45 2   100
下院 199 235   1 435

2018/11/12     米中間選挙の結果と当面の問題 

2019年1月3日に新メンバーでの下院がスタートしたが、この選挙区だけは議員を出せないでいる。

 

投票結果は次の通りで、共和党候補が僅差で勝利した。

Mark Harris (共和党) 139,246 差 905
Dan McCreay (民主党) 138,341
Jeff Scott 5,130  
Total 282,717  

しかし、共和党候補者の側に不正投票があることが明らかになり、調査が始まった。

次の点が報道されている。

しかし、次の点は不明である。

Leslie McCrae Dowless Jr.は不正はしていないと述べているが、選挙管理委員会の調査員とは話をしていない。


共和党のMark Harris候補は12月28日、選挙結果を認めるよう緊急要請書を提出したが、North Carolina 州の選挙管理委員会は、その直後、9 区の結果を決めることなしに解散した。
12月1日付でHarris側に資料提出命令を出したが、ごく一部しか提出しなかった。何度も提出すると言いながら、提出しなかったとしている。

選挙管理委員会は裁判所により解散を命じられた。背景は次の通り。

2016年12月の知事選挙で民主党のRoy Cooperが勝利した。

共和党が多数のNorth Carolina州議会は直後に、100年以上前から州憲法に基づき知事が選挙管理委員会の委員を選定することになっていたのを、 州法の改正により、議会が選定することに変更した。
現在の選挙管理委員は議会が選定したものである。

Cooper知事はこれを州憲法違反として争ってきた。

2018年10月に3人の裁判官のパネルは知事の主張を認め、現在の選挙管理委員会の構成は違憲であるとしたが、今回の選挙の不正調査が終わるまでは存続を認めた。

しかし、選挙管理委員会が年末に至るも結論を出せなかったため、裁判所は12月28日付で解散を命じた。

2018年10月の違憲判決で、議会は12月に、選挙管理委員会の委員指名は再び知事が行うよう法改正を行ったが、改正法は翌 1月31日に発効する。

共和党のMark Harris候補は自らの勝利を認めるよう、州最高裁に訴えた。ヒアリングは1月22日に行われ、判事は双方から意見を聞いた。その結果、判事はHarris候補の訴えを拒否した。

「非常に異常な事態だ。選挙管理委員会が存在せず、裁判所に選挙の勝利者を決めろとしている。これは州政府の他の部門の権限範囲のものだ」と述べた。

Cooper知事は1月31日、新しい選挙管理委員5名を指名した。慣例により、知事が民主党のため、民主党から3名、共和党から2名を選んだ。

選挙管理委員会は2月18日からヒアリングを行い、早急に選挙の結果について判断する。

州の規則では、Harris候補を勝利者とみなすには3人の賛成を要する。共和党委員は2名のため、これはない。
但し、選挙のやり直しには4人の賛成が必要となっており、共和党委員の1名が賛成する必要がある。

仮にHarris候補が勝利者とされた場合でも、民主党が多数を占める連邦下院は州の選挙管理委員会の結論に係らず選挙についてチェックするとしており、簡単には終わらない。

付記 選挙管理委員会のヒアリングは2月18日の1日の予定が4日間続き、2月21日に全会一致で選挙やり直しを決めた。

   予備選挙からやり直すことになり、議席確定にはさらに数カ月を要することになる。

付記 予備選挙は5月14日、選挙は9月10日と決まった。 予備選挙で30%以上の票を得た候補がなく、二度目の予備選挙が要求された場合、本選挙は11月となる。

付記 予備選挙の結果、共和党は前回候補のMark Harris (参加せず)に代わって州上院議員のDan Bishop、民主党は前回候補のDan McCreadyで決まった。選挙は9月10日。

 


2019/2/13  トランプ大統領、石炭火力発電所閉鎖に反対

トランプ大統領は2月11日、国営電力会社テネシー川流域開発公社(TVA)に対し、石炭火力発電所の閉鎖を見送るよう求めた。

TVAは経済上の理由で、石炭火力から天然ガス・原子力発電や再生可能ネルギーへの移行を進めて おり、ケンタッキー州 Paradise発電所で最後の石炭火力発電となっている 3号機について今後の方針を決定する。

トランプ大統領はツイッターに「石炭は発電燃料の重要な一部だ」と投稿。「Paradise 3 号機のような操業可能な発電所の閉鎖を決める前にあらゆる要素を真剣に検討すべきだ」と主張した。

Coal is an important part of our electricity generation mix and TVA should give serious consideration to all factors before voting to close viable power plants, like Paradise #3 in Kentucky!

炭鉱労働者はトランプ大統領の支持基盤で、ケンタッキー州選出の共和党のRand Paul 上院議員や Mitch McConnell 上院院内総務も、石炭が雇用創出や安定した電力供給につながるとして、石炭火力発電の継続を求めている。

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TVAのParadise石炭火力発電所はケンタッキー州西部の Paradise のGreen River 沿岸にある。石炭火力が3基あったが、1号機、2号機(1963年稼働で、いずれも704MWで当時世界最大) は2017年に閉鎖し、10億ドルを投資して天然ガスによるコンバインドサイクル発電所を建設、2017年4月に稼働させた。

3号機は1970年稼働で、能力は1,150 MW。1985年にバージ荷揚げ設備が完成し、石炭を列車やトラックのほか、バージでも運び込むことができるようになった。

年間で140億kwの発電を行い、95万戸以上の家庭に電気を供給している。

TVAでは2019年2月11日に次のように発表した。

今後の電力需要がフラットか減少すると見られ、再生可能エネルギー利用により負荷率が変動するため、TVAでは設備をどうするか、検討する必要がある。

将来のメンテナンスコストが比較的高く、環境対策費用が高い設備は閉鎖の候補となるが、Paradise 3号機はこれに該当する。

このため、閉鎖の影響をチェックするため、National Environmental Policy Actに基づく環境評価を作成した。

2018年11月〜12月にパブリックコメントを得て、重要な影響がないとの結論を得た。今後、取締役会に提出する。

TVAでは同時に、テネシー州Oak Ridge のBull Run 石炭火力(900MW)についても閉鎖を決めた。

TVA はこれまでに、59 の石炭火力のうち、32を閉鎖してきた。1980年代のピーク時にはTVAは電力の2/3 以上を石炭火力で賄ったが、現在では20%程度に縮小した。

昨年8月以降、Paradise を2020年までに、Bull Run を2023年までに閉鎖することを検討してきた。

TVAのBill Johnson CEOは、今後、石炭火力を天然ガス、原子力、再生可能エネルギーに換え、CO2排出量を減らすとしている。2013年の就任以来、近代化のために150億ドルを投資しており、経済的理由から石炭火力を閉鎖すると述べている。

 

トランプの就任後の2年で、米国では共和党の石炭産出州への選挙時の約束にもかかわらず、Obama政権の最初の4年間よりも多くの石炭火力が閉鎖されている。

Rick Perryエネルギー相は2017年に連邦エネルギー規制委員会に対し、安く豊富な天然ガスと競争できるよう、石炭火力と原子力発電に対し補助金を出すよう指令した。委員会は昨年、これを拒否したが、石炭火力救済の他の方法を検討する。

 


2019/2/14 米与野党が予算案で基本合意 

トランプ米大統領は1月25日、連邦政府の一部閉鎖を2月15日まで3週間解除することで与野党と合意したと発表した。

上院は同日、満場一致で「国境の壁」建設費を含まないつなぎ予算を承認、その後、下院が承認し、ホワイトハウスに送った。大統領が署名し、2018年12月22日から始まり、35日間続いた政府閉鎖はいったん終わった。

2019/1/26 米国、政府閉鎖を一時解除

 
その後、共和党と民主党は主に2つの問題で議論を続けてきた。

1つはトランプ大統領が強硬に主張する壁の建設費 57億ドルである。

もう一つは民主党が、壁の見返りに主張する移民税関執行局 (ICE)の不法移民収容施設のベッド数の大幅引き下げである。

最新の数値では2月10日現在で49,057人を収容している。民主党は当初、上限を16,500人とすることを提案した。

ICEの幹部は犯罪者釈放につながりかねないと指摘する。
ICEによると、昨年収容した159千人の66%が以前に犯罪を犯していた。但し、ほとんどは重罪犯ではなく、酒気帯び運転、麻薬、移民法違反、交通違反などである。

米与野党の議会指導部は期限が迫る2月11日、新たな予算案で基本合意した。スタッフが急いで詳細を詰め、議会に提案する。

壁予算については、大統領の要求する57億ドルよりも、はるかに少ない13億75百万ドルとなっている。これは過去数年間、議会が認めてきた予算とほぼ同額である。

昨年12月のホワイトハウスの要求が215マイルの壁の建設であったが、合意では、テキサス州のRio Grande Valley に55マイルの壁を建設する。コンクリート壁ではなく、金属の薄板か、他のタイプの新しいフェンスである。

壁の建設費に加え、国境のセキュリティの新設備の費用、民主党の要求する人道援助、追加の税関要員の費用を含む。

民主党は不法移民収容施設のベッド数の上限を16,500と主張したが、共和党の反対を受け、現在の49,057人を40,520人に下げるに留めた。

問題は、この案が上院と下院で通るかどうかと、通った場合に大統領がこれを認めるかどうかである。

 

大統領は当初、 ‘I can’t say I’m thrilled’ と述べ、合意案に不満を示した。

その直後、「不満ではあるが、壁の建設に向かっていることには“thrilled” である」とし、とにかく多くの壁をつくることだとした。

その後、大統領は上院のRichard Shelby歳出委員長と話し合った後、呟いた。

他の財源から多くの資金が付くと理解した上で全ての側面に目を通しているところだ。国境警備で230億ドル近い資金が確保される。
壁予算がどうであれ、壁は作れるのだ。

共和党の努力に感謝する。

Was just presented the concept and parameters of the Border Security Deal by hard working Senator Richard Shelby.

Looking over all aspects knowing that this will be hooked up with lots of money from other sources....

Will be getting almost $23 BILLION for Border Security. Regardless of Wall money, it is being built as we speak!

I want to thank all Republicans for the work you have done in dealing with the Radical Left on Border Security.

Not an easy task, but the Wall is being built and will be a great achievement and contributor toward life and safety within our Country!

Shelby歳出委員長は、今回の両党合意は大統領が求めていた国境の壁の「手付金」のようなものだと述べ、「大統領が支持すると期待している」と語った。

230億ドルがどういう意味か分からないが、大統領がこんな発言をすれば、逆に民主党が法案に反対するかも分からない。

 


 


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