ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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田辺三菱製薬は同社の多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharma AGへの技術ライセンス契約に関し、2019年2月15日にNovartis Pharmaより仲裁の申立てを受け、国際商業会議所において仲裁手続きを継続していたが。2月13日に仲裁廷より同社に有利な仲裁判断を受領したと発表した。
Novartisは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、Novartisにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めていた。
仲裁廷は今般、Novartisの主張を全面的に否定する判断を下した。争点となったライセンス契約のロイヤリティ支払い義務を定める規定は全部有効であるとの判断がなされた。
田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っていたが、IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つに「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」があり、Novartisが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため、田辺三菱製薬は売上収益から除外してきた。
同社では上記の仲裁判断により、2023年3月期第4四半期で一括して売上収益として認識する。
付記 1,259億円を計上
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田辺三菱製薬は多発性硬化症治療剤「ジレニア」をNovartis(スイス)に技術供与し、そのロイヤリティ収入が同社の収益の柱となっていた。
多発性硬化症治療剤「ジレニア」(一般名:フィンゴリモド塩酸塩)は田辺三菱製薬の前身の吉富製薬と京都大学の藤多哲朗教授、台糖(現「三井製糖」)との共同研究から見出された世界初のスフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬である。
吉富製薬は1997年9月にNovartis Pharma AGとの間でライセンス契約を締結し、全世界における開発権(日本については共同開発権)および販売権をNovartisに対し許諾した。
田辺三菱製薬は、吉富製薬の本件契約上の地位を承継し、ロイヤリティの支払いを受けていた。
2019年2月、Novartisから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、Novartisを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。
Novartisは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、Novartisにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めていた。
田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っている。
本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われた。
IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、Novartisが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため、田辺三菱製薬は売上収益から除外してきた。
もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤
三菱ケミカルホールディングスは田辺三菱製薬の普通株式の全てを取得し、田辺三菱製薬は、2020/2/27に上場廃止となった。
田辺三菱製薬のコア営業損益の大半がロイヤリティ収益であり、その激減で業績が低迷していた。
単位:億円 売上高 営業損益
税引前
損益株主帰属
損益配当(円) コア うち
ロイヤリティ非コア 合計 中間 期末 2019/3 4,248 558 631 -55 503 504 374 28 28 2020/3 3,798 191 174 -252 -61 -65 1
非公表2021/3 3,778 210 159 -795 -585 -577 -46102 2022/3 3,859 -30 133 -127 -157 非公表 -102 増減 81 -240 -26 668 428 2023/3予 4,095 180 非公表 0 180 非公表
ロイヤリティ収益の過年度分の一括認識で本年度の利益は急増する。
(業績への影響については、本仲裁判断の詳細な内容を精査の上、今後、影響が明らかになった時点で発表する。)
付記 コア営業利益を1,260億円 上方修正した。
なお、田辺三菱製薬では最近、新型コロナワクチンからの撤退を発表、減損損失が480億円であることを明らかにしている。
2023/2/4 田辺三菱製薬、新型コロナワクチンから撤退、カナダ子会社を精算へ
Ford Motorは2021年9月27日、114億ドルを投資し、米国に電動ピックアップトラック F-150 Lightning Electric Truck の組立工場と、3つの電池工場を新設すると発表した。
3つの電池工場については設立を交渉中のFord とSK InnovationのJVのBlueOvalSK が建設、運営する。テネシー州Stanton にBlue Oval Cityを建設する。電動ピックアップトラック「F-150 Lightning Electric Truck」の組立工場と、新JVのBlueOvalSKのリチウムイオン電池工場及び主要サプライヤーの拠点とリサイクル施設が建設される。投資額は56億ドル。
ケンタッキー州Glendale には58億ドルを投じてBlueOvalSK Battery Parkを建設する。新JVのBlueOvalSKが2つの電池工場をつくる。
付記Fordは9月25日、ミシガン州の35億ドル規模の電池工場建設を一時中断したと発表した。「競争力を持って工場を運営できると確信できるまで」作業を中断し、建設支出を制限すると表明。中断のきっかけとなった具体的な理由については明かさなかった。
フォードは全米自動車労組(UAW)との賃上げ交渉で何度も提示額を引き上げているが合意に至っておらず、そうした中での発表となった。
議会共和党は、本計画に関し、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)の技術使用(下記)について調査している。
今回はFordの単独事業で、中国の大手電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。
FordとCATLは2022年7月21日、北米、欧州、中国での電池供給に関するGlobal Strategic Cooperation で合意した。CATLは2023年にFordの北米でのMustang Mach-E向け、2024年初めの同じくF-150 Lightning 向けにLFP電池を供給する。
新工場は、当初の生産能力がEV年間40万台分に相当する35ギガワット時で、2026年に稼働する予定。Fordはこの工場を含め、これまで北米と欧州に4カ所の電池製造工場建設を表明している。
リン酸鉄リチウムイオン電池はエネルギー密度の低さなど制約もあるが、Ford が工場建設を推進している背景には、CATLの技術によるコスト低下や再充電速度の向上などを通じて大口購入の法人など多くの顧客を取り込めるとの判断がある。
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Tesla は2021年10月20日の発表文で、同社が、航続距離が標準的なモデルの車載用電池については、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池に世界的に移行する計画だと述べた。同社は中国では寧徳時代新能源科技(CATL)から供給されるLFP電池を使用している。
CATLのLFP電池は正極側にリチウムや鉄、リンを使い、長寿命で、最高800℃までの耐熱性を有し、安全性と信頼性に優れていると言われる。火災や振動、衝突など様々な危険な状況を想定した300項目以上の試験で検証しているという。
Teslaは2023年1月24日、巨大電池工場を運営する米西部ネバダ州Renoに36億ドルを追加投資すると発表した。小型電気自動車(EV)200万台分に相当する100ギガワット時の年間生産能力を持つ電池工場 と、同社初の商用車であるEVトラック「Semi」の量産工場も新設する。
Teslaの米国製EVには、これまでパナソニック製の円筒型セルが採用されてきたが、今回はTeslaがLFP電池を自製すると見られる。
2023/1/31 テスラ、米ネバダ州でEV電池増産 36億ドルを追加投資
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Fordの米国内の電池生産は、昨年成立したインフレ抑制法(IRA)に基づく補助金を得ることもできる。
新法では、低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に、下記の条件を満たした場合、1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。
主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 - 車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 - 電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること どちらか
必須3,750ドル 電池用部品の50%が北米で製造されていること 3,750ドル
しかし、新車購入者のほかに、インフレ抑制法の条項45Xでは、上記条件を満たした車載電池メーカーに対し「先進製造業生産控除」と呼ばれる補助金が1キロワット時当たり35ドル割り当てられる。
Teslaはこのメリットを強調しているが(パナソニックとのJVの場合は35ドルを折半することになる)、Fordも、今回の工場建設決定に際してはIRAが非常に重要な要素になったと し、この補助金が2026年までのEV事業における目標としている利益率8%の達成に役立つとの見方を示している。
2023/2/17 米国、中国の気球開発企業など6社をEntity Listに追加
米国商務省Bureau of Industry and Security (BIS) は2月10日の公告で、中国軍の近代化の努力、特に飛行船と気球を含む航空宇宙プログラムに関するものを支える中国企業6社を米製品輸出禁止リストである「Entity List」に追加することを発表した。
Entity Listは輸出管理法(規則 744.11(b) )に基づき安保上懸念がある企業を指定するもので、海外企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。
米軍は2月4日、アメリカ本土を横断していた中国の気球を南部サウスカロライナ州の沖合の上空で撃墜し、FBIが海中などから回収した残骸の分析を進めてい る。バイデン政権は、この気球は中国軍の偵察用で、軍と直接関係がある企業が製造に関わっているとして、6社をEntity Listに追加した。
米紙Washington Post(電子版)は2月14日、米軍戦闘機が4日に撃墜した中国の偵察気球について、中国南部・海南島から打ち上げられ、直後から米軍と情報機関が太平洋を飛行する気球を約1週間にわたり追跡し続けていたと報じた。気球は中国空軍によるもので 、太平洋地域の米軍基地の偵察が目的だったとみられ、海南島の基地から離陸後、太平洋を東方へ飛行していたが、風の影響で予定の針路から外れ、途中で北方に進路を変えた。その後米アラスカ州のアリューシャン列島上空を通過しカナダにいったん入った後、米本土を横断し、4日に南部サウスカロライナ州沖で撃墜された。
中国政府はこの気球を気象観測用の民間飛行船と主張している。
なお、米国家安全保障会議の戦略広報調整官は14日の記者会見で、米軍戦闘機が10日から3日連続で撃墜した飛行物体について「商業か研究機関に関連した無害なものとみられる」と述べ、物体が中国の偵察気球だったことを示す兆候は現時点でないとの見方を示した。
発表では、「中国の高高度気球の使用は、我々の主権を侵害し、米国の国家安全保障を脅かしている。今日の行動は、米国の国家安全保障と主権を侵害しようとする団体が、米国の技術へのアクセスを遮断されることを明確にしている」と述べている。
リストに追加された企業は次の通りで、いずれも中国軍が偵察や情報収集で使用する気球や飛行船の製造など、航空宇宙計画の分野で中国軍を支援しているとしている。
北京南京航空宇宙技術(Beijing Nanjiang Aerospace Technology Co., Ltd.)
中国電子科技集団公司第48研究所(China Electronics Technology Group Corporation 48th Research Institute)
鷹門航空科技集団(Eagles Men Aviation Science and Technology Group Co., Ltd. )
東莞凌空遙感科技(Dongguan Lingkong Remote Sensing Technology Co., Ltd.)
廣州天海翔航空科技(Guangzhou Tian-Hai-Xiang Aviation Technology Co., Ltd.)
山西鷹門航空科技集団(Shanxi Eagles Men Aviation Science and Technology Group Co., Ltd. )
北京南京航空宇宙技術は、宇宙永久停泊飛行体、往復再利用飛行体および宇宙輸送ツールを開発する会社で、2015年に中国で初めて、高さおよそ10万メートルまでの宇宙空間に近い高度を飛行できる軍民共用の飛行船を北京市内の大学などと共同で開発した。当時の報道では、飛行船には地上と通信したり、地上を観測したりする機能が備わっていて、離着陸や飛行を遠隔で操作できるという。
中国電子科技集団公司第48研究所 は、公式ホームページによると、マイクロ電子素材・太陽電池・光電子材料の研究開発および生産のための国家級専門機関で、中国内の主要半導体装備の供給と太陽電池の設計および加工技術を保有している国家ハイテク産業化モデル工程基地という。
鷹門航空科技集団(EMAST) は偵察気球を開発した企業とみられる。2004年に北京で設立され、北京航空宇宙大学の武哲教授が代表者になっている。南方日報は武教授が2019年に成層圏である高度2万メートル上空に無人気球を飛ばして世界一周に成功したと報道していた。同社が知能型ドローンの製造、衛星航法サービス、通信装備開発などのプロジェクトを手掛けているとされる。東莞凌空遥感科技は2019年1月に設立され、設立目的は飛行船遠隔探知技術とイメージセンサーの開発、高分子フィルム素材の研究などとなっている。同社も武教授が監事に入っている。
廣州天海翔航空科技は軍用無人機を開発している。(中国は偵察気球ではなく気象観測用民間飛行船だと主張している。) 関連企業の製品目録を調べると気球・無人機から太陽光・イメージセンサー・半導体まで網羅されている。山西鷹門航空科技集団はEMASTが100%株式を所有する子会社である。
(以上、各社概要は韓国の中央日報日本語版2023.02.16 による)
今回の指定を受け、中国商務部の報道官は2月14日、コメントを発表した。
米国は中国企業6社が『中国軍の飛行船など航空宇宙事業への支援を行った』として、この6社を輸出規制対象の『エンティティリスト』に加えた。中国はこれに対し断固たる反対を表明する 。
長期間にわたり、米国は国家安全保障の概念を拡大し、輸出規制措置を乱用し、他国の企業を抑圧・抑制し、正常な経済貿易往来を人為的に妨害し、企業の合法的権利に重大な損害を与え、グローバルサプライチェーン・産業チェーンの安全と安定を破壊し、世界経済の回復と発展を阻害してきた。
中国は、米国が中国企業に対する理不尽な抑圧を停止することを望むとともに、今後必要な措置を取って、中国企業の合法的権利を断固守り抜く 。
昨年5月以降、米国は本土で大量の高空気球を飛行させて(気球が)持続して全世界を回っており、中国関連部署の承認なく、新疆・チベットなどを含めて少なくとも10回余り中国領空を不法飛行した。
2023/2/20 LG Chem、北米産リチウム精鉱購買契約を締結
LG Chemは2月17日、ノースカロライナ州に本社を置く鉱山会社Piedmont Lithiumとの間で計20万トン規模のリチウム精鉱“SC6” (含有量6%のリチウムを含むリシア輝石) 購買契約を締結した発表した。
Piedmont LithiumはカナダQuebecの鉱山から出るリチウム精鉱を今年3四半期から年間5万トンずつ4年間、LG化学に供給する。 これはリチウム約3万トンを抽出できる量で、高性能電気自動車約50万台相当の規模である。
LG ChemはPiedmont Lithiumと7500万ドル規模の持分投資契約も締結し、Piedmont Lithium社の持分約6%を確保した。 LG Chemはケベック鉱山のリチウム精鉱の他にも、Piedmont Lithiumが米国で生産する水酸化リチウム物量年1万トンに対する優先交渉権を得るなど、原材料供給の安定性を一層高めることになった。
Piedmont Lithiumは2021年にSayona Quebecに25%出資した。
Sayona Quebec は2021年8月に、北米で唯一商業生産が可能なリチウム鉱山であるTansim Lithium Project を運営していたNorth American Lithiumを買収した。2019年以降操業を停止している同鉱山及び建設中の鉱石処理施設、Sayona Miningが近郊に保有するAuthier リチウム鉱山を統合することで、同州におけるバッテリー向けリチウム製造ハブの構築を目指している。
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リチウム精鉱はリチウム鉱石を加工して濃縮した高純度鉱物で、バッテリーの原料である水酸化リチウムを抽出できる。
LG Chemはこれを北米の主要顧客に供給する陽極材の生産に使用する。
韓国電池素材メーカーの中で北米産リチウムを確保したのはLG化学が初めてで、北米産リチウム精鉱を使えば、米政府のインフレ削減法(IRA)による税制優遇基準を満たす。
新法では、低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に、下記の条件を満たした場合、1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。
主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 - 車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 - 電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること どちらか
必須3,750ドル 電池用部品の50%が北米で製造されていること 3,750ドル しかし、新車購入者のほかに、インフレ抑制法の条項45Xでは、上記条件を満たした車載電池メーカーに対し「先進製造業生産控除」と呼ばれる補助金が1キロワット時当たり35ドル割り当てられる。
韓国統計庁が2月22日に発表した韓国の2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数、暫定値)は0.78となった。
統計を取り始めた1970年以降で最低で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(1.59)の半分にも満たない。2023年には0.68人まで下がると予想されている。
韓国政府が対策に多額の予算を投じてきたにもかかわらず少子化に歯止めがかからず、昨年の出生数は25万人弱と、20年前の半分に落ち込んだ。
2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
出生数(千人) | 471.3 | 484.6 | 436.5 | 435.4 | 438.4 | 406.2 | 357.8 | 326.8 | 302.7 | 272.3 | 260.6 | 249.0 |
合計特殊 出生率 |
1.24 | 1.3 | 1.19 | 1.21 | 1.24 | 1.17 | 1.05 | 0.98 | 0.92 | 0.84 | 0.81 | 0.78 |
「異次元の少子化対策」の検討を開始した日本は2021年が1.30である。 出生数が近年大幅に減少している中国でも2020年が同じく1.30である。それに対して韓国は2022年に0.78に下がった。
韓国は2018年に既に1を割っており、今後も更に下がると予想されている。しかも効果的な対策を打っているとも見られない。将来についてどう考えているのだろうか。
付記 厚生労働省は2月28日、人口動態統計の速報値を公表した。2022年の出生数は過去最少の79万9728人で、統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割った。
ーー→ 付記 |
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参考 | ||
日本の労働政策研究・研修機構は韓国の状況を下記の通り分析している。
少子化の主な原因として指摘されているのは「結婚してから子どもを産む」という風潮である。
結婚せずに子どもを産む家庭の割合は2018年時点で韓国は2.2%、日本は2.3%と、それぞれOECD加盟国の最下位、下から2番目という極めて低い水準だった。
韓国の場合、このような認識は政策にもつながっており、非婚家庭に対する出産支援政策などは他国に比べて劣悪な状況である。
日本と韓国に共通する要因もあるが、韓国特有の事情もある。
第一の事情は、韓国の就職難とそれによる就職年齢の上昇。
男性に徴兵制度があるため、男性の社会進出は他国に比べて遅れるが、これに加えて就職難が重なったことで、さらに結婚年齢が遅れる状況となった第二の事情は、急激に上昇した結婚費用の増加である。これが結婚年齢を遅らせる主な原因として指摘されている。特に男性にその負担が大きかった。
結婚した顧客の結婚費用を見ると、住宅を用意するのに約2,200万円、嫁入り道具を購入するのに約130万円、結婚式および新婚旅行などに約250万円を支出しており、費用の平均60%を男性が負担していた。
このように、結婚に必要な初期費用が急激に増える中で、十分な結婚費を貯蓄し終える時期がさらに遅くなり、これが結婚年齢を遅らせるのに大きな影響を及ぼしたと解釈される。同時に、政府が不動産価格の急騰を抑制するために継続的に実施した不動産関連の貸出制限強化政策 等も、新婚夫婦の住宅準備を難しくした要因となった可能性がある。
就職と結婚に成功したとしても、仕事と育児の両立が不可能な文化による出産放棄、女性がやるべきものとされる家事労働の強い性別役割分担意識、教育の競争激化による育児費用の増加などが少子化の加速要因として指摘されている。
このように多様かつ複合的な要因によって、韓国の出生率は世界で最も低くなったと考えられる。
(中国)
なお、中国の2022年末の人口が前年比85万人減の14億1175万人となったが、合計特殊出生率は2020年が1.3で、今後大幅に向上する公算は小さく、今後も人口減少が続く可能性がある。
出生数の継続的な減少によるものであり、これは主に2つの要因の影響を受ける。
第一に、出産可能年齢の女性の数は減少し続けた。
2021年には、15歳から49歳までの出産可能年齢の女性が前年比で約500万人少なくなり、21歳から35歳までの出産可能年齢の女性が約300万人少なくなった。
第二に、出生率は低下し続けている。出産の概念の変化と初婚・出産年齢の遅れ(10年で約2年)の影響を受けて、出産可能年齢の女性の合計特殊出生率は2019年の1.70から2020年は1.30と急降下し、世界各国の水準を大きく下回ったが、2021年も低下し続ける。 (2020年の急減は異常だが、下のグラフのとおり、それまでの横這いが不自然で、過去分の修正を一気に行ったのではと思われる。)
地方政府は2021年以降、税控除や産休の延長、住宅補助など出産奨励策を実施しているが、これらの措置で長期的な出生率低下傾向に歯止めをかけることはできないとみられている。
2022/1/20 中国の出生率、建国以来最低、2021年1,062万人で5年連続減
なお、欧米では低迷していた出生率がプラスに転じている。
韓国、中国、日本のアジア3国が下降を続けている。人口の減少は経済停滞につながる。
各国の合計特殊出生率(日経)
付記 日本の出生率の低い理由 2012/12/17 ブログ
政策研究大学大学院の松谷明彦・名誉教授によると、日本の今後の少子高齢化と人口減少の割合は他の諸国よりもはるかに大きい。
これは過去の2つの政策(当時は止むを得なかった)による人口構造の歪みによるもので、対策はない。
第一は戦前(1920〜40年前半)の「産めよ増やせよ」政策で、出生数が急増している。
この年代は現在70歳〜90歳で、今後人口急減の原因となる。
第二は1948年の優生保護法である。
1947〜49年に復員や外地からの引き揚げ等で第一次ベビーブームが起こった。
食料不足のなか、餓死を避けるため優生保護法がつくられた。
産児制限により、年間270万人の出生数が160万人にまで減少した。
この結果、次の世代、その次の世代の出生数が激減することとなった。
* 特殊出生率は一人の女性が一生に産む子供の平均数
松谷名誉教授は、現行の年金制度などは継続不可能で、少子高齢化・人口減を前提にした別の社会保障政策を検討すべきだとする。
例えば、100年債を出して、国有地に100年住宅を建設、住宅コストを大幅に下げるなど。
2023/2/24 Ford、トルコでの電池JVの相手をSKからLGに変更
LG Energy Solutionは2月22日、Ford Motorと合弁でトルコに電池工場を建設すると発表した。
当初、FordはLGの競争相手の韓国の SK onと合弁工場を建設すると発表していた。Ford Motor とSK on、トルコ財閥の Koc Holdingの3社による合弁として2022年3月に基本合意した。
その後は資金調達の不調や物価高などで3社の協議が進まず、韓国メディアによると、JV計画を白紙撤回する見通しとなっていた。SK Onは「基本合意後の協議は長期化している。ただ(白紙撤回の)最終決定はしていない」とし、交渉が難航している状況は認めていた。
関係者によると、電池分野で後発のSKが電池の歩留まり向上に苦戦しており、Fordが提携先をLGに入れ替えたとされる。LGがSKの最重要顧客を奪った格好で、SKの電池戦略にとって痛手となる。
SK on とFordの合弁の米国の電気車用バッテリー生産会社「Blue Oval SK」が2022年7月に公式発足した。
テネシー州Stanton にBlue Oval Cityを建設する。電動ピックアップトラック「F-150 Lightning Electric Truck」の組立工場と、新JVのBlueOvalSKのリチウムイオン電池工場及び主要サプライヤーの拠点とリサイクル施設が建設される。投資額は56億ドル。
ケンタッキー州Glendale には58億ドルを投じてBlueOvalSK Battery Parkを建設する。新JVのBlueOvalSKが2つの電池工場をつくる。
電池工場の年間能力はテネシー工場が43GWh、ケンタッキー工場が86GWhで、合計129GWhとなる。フル稼働時にEV約220万台のバッテリーを供給できる。
これに加え、トルコでのJVを検討していた。
2023/1/11 韓国SK On のトルコの電池JV計画 白紙撤回へ
Ford は2月13日、ミシガン州Marshall近郊に35億ドルを投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)
電池製造工場 BlueOval Battery Park Michigan を建設する計画を発表した。
韓国のSK InnovationとのJVではなく、Fordの単独事業で、中国の大手電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。
Ford のSK離れが目立つ。
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Ford Motor、LG Energy Solution、Koç Holding の3社は2月21日、新しいJV設立のMOUを締結した。
トルコのAnkara近郊のBaşkent工業ゾーンにに欧州最大級の自動車用電池工場を建設する。
本年後半に起工し、2026年に最低25GWh でスタート、最終的に 45GWhに拡大する。
FordとLG Energy Solution、Koç Holdingとの関係は古い。
LG Energy Solutionは米国ではGMとの50/50 JVのUltium Cells LLCを持つが、単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、Ford Motor(やGM、Chrysler など)に供給している。
LG Chem は2018年11月にポーランドのヴロツワフ(Wroclaw)工場の増設に571百万ドルを投じることを決め、ポーランドの能力を年間10万個から30万個に引き上げた。最近ではここからFord Mustang Mach-E 、E-Transit 向けに電池を供給している。
Ford は トルコに Koc Holding との合弁会社Ford Otosanを持ち(60年以上の歴史)、主に商用車を年間45万台ほど生産している。
LG Energy Solutionの生産基地は下図の通り。
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GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。
LG Energy Solution との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州 Lansing に第3工場を建設する。
2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も
Stellantis N.V.は2021年10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。
StellantisとLG Energy Solutionは2022年3月23日、本契約を締結した。
立地:カナダ オンタリオ州 Windsor (デトロイト市に隣接)
能力:45 gigawatt hours (GWh)
投資額:41億米ドル
予定:2024年第1四半期生産開始2022/5/27 Stellantis、米国での2つのEV向け電池合弁会社の内容が確定
エレベーター大手のフジテックは2月24日、臨時株主総会を開いた。
香港の投資ファンド、Oasis Managementが提案していた5人の社外取締役の解任議案のうち、取締役会議長など3人の解任が可決された。Oasisが提案していた新たな6人の選任議案は4人が可決された。会社が提案していた2人の社外取締役の追加選任は否決された。
Oasis Managementは2022年5月18日時点でフジテック株式の9.92%を所有していたが、11月29日の大量保有報告書の変更報告書で17.26%になっている。
株主提案によって社外取締役が解任されるのは極めて異例。経営陣の半数近くが入れ替わることになり、経営の混乱は避けられない。
付記
フジテックは3月27日、取締役会議長にオアシス推薦の社外取締役の海野薫氏が就任したと発表した。
3月28日、創業家出身の内山高一会長を解任した。解任を決議した取締役会は全9人で、オアシス側の取締役は4人。会社側の取締役の一部が賛成に回った結果、過半数に達したとみられる。
オアシスは内山氏に権限乱用があったと指摘。一方、内山氏は同日、オアシス側に名誉毀損されたとして、損害賠償を求める訴訟を起こす意向を明らかにした。
付記
遠藤社外取締役が3月30日付けで辞任した。会社側推薦で、49.77%のギリギリで解任が否決され、留任したが、オアシス側が辞任を求めていた。
Oasisは2022年にフジテックと創業家(内山家)の間に疑わしい取引があると主張し、創業家の内山高一前社長の再任反対を呼びかけた。内山氏が個人の利益のために権限を濫用していると指摘し、独自の調査に基づく資料を公開、ほかの株主の賛同を得ようと動いており、その結果が株主総会で明らかになるはずだった。
フジテックは1948年に富士輸送機工業として内山正太郎氏により設立された。富士電気よりエレベータやエスカレータにつかうモーターなどの供給を受けた。
1974年に現在のフジテックに改称した。
Oasisは、内山社長が自身の保有する法人を通じて、フジテックでの地位を利用し、すべての利害関係者に不利益をもたらす個人的利益を得ているのではないかという合理的な疑いを有しているとし、下記の例を挙げた。
・ フジテックが内山家の私的利用のために超高級マンションを取得した
・ 内山社長が保有する法人の不動産投資の失敗を補填するために、フジテックが買い取った
・ フジテックは内山家が保有する法人の抱える債務に保証を付けたほか、内山社長が保有する法人に11年間にわたり担保なしにフジテックの手許現金の2割にも及ぶ、莫大な額の現金を貸付けていた
・ フジテックは内山家及び内山社長本人が保有する法人から、その保有不動産を賃借
・ フジテックが入札や株主への開示なしに非公開の会社の株式を内山社長が保有する法人に売却
・ 内山社長が自宅の庭の手入れにフジテック社員を利用
フジテック側は、内山氏及びその関係会社との間での関連当事者取引その他行為について、企業統治上の問題があるとの主張がなされているが、当該主張は全くあたらない又は事実誤認に基づく主張であると認識している。いずれも所定の法令・手続等に従ってなされた適法かつ適切な取引及び行為であり、企業統治上も問題はないものと考えていると主張していた。
しかし、フジテックは定時総会の1時間前に内山氏の取締役再任議案を取り下げた。これについて同社は、取締役会が第三者委員会による追加調査及び検証を実施することを決議しており、その調査結果の報告を受けるまでの間、取締役に就任しないものとし、当該調査の結果、問題のないことが確認された際には、改めて、取締役就任の是非を株主に諮るべきと考えたためとした。
「問題ない」と断言しながら、第三者委員会による追加調査、検証を実施するとした。その後、現在に至るまで、第三者委員会の設置・人選、調査検証の途中経過など一切発表していない。本当に設置したのだろうか。 そのうえで、総会後に内山氏を取締役でない会長に任命した。同社では今回 の臨時総会前に、同氏を会長とした理由として下記を挙げた。(上場企業で、こんな理由が通るだろうか?)
@当社事業の特徴として長期間にわたるプロジェクトが多く、経営者として最前線で活動を行っていた内山氏がいなくなることでの当社事業及び業績への影響を最小限にするA社長就任以来20年間、会社を牽引してきた内山氏が退くことへの取引先・従業員の不安は極めて大きく、当社事業へも大きな影響があると考えられたため
会長としての役割
取締役・執行役員ではなく、当然ながら取締役会・執行役員会には参加せず、現経営へも関与なし
執行サイドが必要に応じ、従前の経験・知見に基づく事業に関連したアドバイスを依頼
Oasisはこの人事が株主への背信行為であり、「社外取締役は経営陣の悪質な行為を見逃した」と主張し、12月に社外取締役の交代を求めて臨時総会の招集を請求した。
米議決権行使助言会社Institutional Shareholder Services は6人全員の解任に賛成を推奨していた。現取締役会が創業家である内山家の強い影響力を克服する能力がなく、取締役会の総点検が必要だなどとしている。
引頭社外取締役は2月20日に「ガバナンスに関する考え方が会社とは大きく異なるた
」辞任した。会社側は 臨時総会前には単に「自己都合」としていたが、本人からの申し出を受け、総会後に修正した。解任提案からは除外された。
定時総会と今回の臨時総会の人事案は下記の通り。
2022/6/23 定時総会
2022/6/1 2022/6/23 第5号議案 取締役10名選任の件 議案の一部撤回 総会 総会後 社内
内山高一(留任)
岡田隆夫(留任)
浅野隆史(留任)
土畑雅志(留任)内山高一(撤回)
岡田隆夫
浅野隆史
土畑雅志
岡田夫
浅野隆史
土畑雅志内山高一会長(非取締役) 社外
杉田伸樹(留任)
山添 茂(留任)
遠藤邦夫(留任)
引頭麻美(留任)
三品和広(新任)
大石歌織(新任)
同左
同左
2023/2/24 臨時総会 赤字は解任、辞任、非選任
2022/6/23総会選任 2023/2/9 臨時株主総会招集 2023/2/24 臨時総会 会社提案 株主提案 会社側 OASIS側 社内
岡田隆夫社長
浅野隆史専務
土畑雅志専務岡田夫
浅野隆史
土畑雅志社外
杉田伸樹
山添 茂
遠藤邦夫
引頭麻美
三品和広
大石歌織(追加選任)
岩ア 二郎
海部 美知(解任)
杉田伸樹
山添 茂
遠藤邦夫
引頭麻美
(2/20 辞任)
三品和広
大石歌織(選任)
浅見 明彦
Torsten Gessner
Clark Graninger
海野 薫
Ryan Wilson
嶋田 亜子遠藤邦夫
(後、辞任)
三品和広Torsten Gessner
Clark Graninger
海野 薫
嶋田 亜子解任された杉田取締役は立命館大特別任用教授、山添取締役(取締役会議長)は元丸紅副会長、大石取締役は弁護士、辞任した引頭取締役は大和総研。
OASIS側推薦で選任されたのは、エレベーター業界出身のTorsten Gessner、金融業界の経験が長いClark Graninger、弁護士の海野薫、知財やグローバルM&Aに詳しい嶋田亜子の4氏。
最終的に取締役は、会社側提案が5名(うち社内が3名)、OASIS側提案が4名となる。
下記の通り、株主提案の否決は数%の差(0.23%ポイント〜3.41%ポイント)で、全てが通る可能性もあった。
なお、OASISからは、人事に加え、4つの提案をしており、下記の通りとなった。会社側はすべて反対していた。
社外取締役の個人別基本報酬額:基本報酬を1,250万円とする。可決
社外取締役に対する事後交付型株式報酬付与 可決
社外取締役に対する株価条件付 事後交付型株式報酬付与 否決
社内取締役に対する株価条件付 事後交付型株式報酬の付与 否決
付記
2023年6月21日の提示株主総会で、創業家出身で前会長の内山高一氏が社外取締役8人の選任を求めて株主提案したが、否決された。
会社側が提案した取締役9人の選任議案が可決された。
株主提案=否決 会社提案=可決 社外
木村 一義
西川 徹矢
小手川 大助
萩谷 麻衣子
杉原 伸生
杉田 晃
沖本 普紀
Uenishi Kenji社内 原田 政佳 社長
中島 隆茂 専務
佐藤 浩輔 専務社外 三品和広
海野 薫
Torsten Gessner
Clark Graninger
Anthony Black現在の岡田隆夫社長が退任し、新たな社長に原田政佳 常務を昇格させる。
岡田社長再任に大株主の投資ファンドが難色
2023/2/28 三菱ケミカルグループ、経営方針「Forging the future 未来を拓く」に関する今後の実行計画
三菱ケミカルグループは2月24日、2021年度から2025年度までの経営方針「Forging the future 未来を拓く」に基づき、今後の詳細な実行計画を明らかにした。
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三菱ケミカルホールディングスは2021年12月1日、新経営方針「Forging the future 未来を拓く」を策定した。経営戦略における最重要ポイントとして下記を挙げた。
1.市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ
2.分離・再編し、独立化を進める事業
3.グループ全体におけるコスト構造改革
4.戦略遂行のためのスリムな組織
5.戦略的なキャピタル・アロケーション
3つの評価基準(市場の魅力度、グループの強み、カーボンニュートラル)に基づき注力事業を選別した。
1) 最重要戦略市場
@エレクトロニクス
EV:軽量化材料、車載電池材料、Wide Band Gap半導体
デジタル:半導体材料、高速通信関係Aライフサイエンス
ヘルスケア
食品:機能性食品材料、ニュートリション、長期保存材料
2) 強みを有する市場は下記の通り。
@強固な機能性素材事業群
ケミカル:MMA、機能性モノマーポリマー:バイオプラスチック、EVOH、機能性樹脂
フィルム:光学フィルム、バリアフィルム、工業フィルム
モールディングマテリアル:炭素繊維・複合材料、スーパーエンプラ
A産業ガス
3) 残る石油化学事業及び炭素事業については、分離・再編し、独立化を進めることで、国内基礎化学産業の再編を主導する。
2024年3月期をめどに分離する。他社との事業統合などを検討する。両事業とも、採算が低く、温暖化ガスを大量に排出する。業界も伸びていない。
2021/12/2 三菱ケミカルホールディングス、石油化学事業及び炭素事業を分離・再編へ
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三菱ケミカルグループは2月24日、2021年度から2025年度までの経営方針「Forging the future 未来を拓く」に基づき、今後の詳細な実行計画を明らかにした。
同社のビジネスの成長とパフォーマンスの主要ドライバー
機能商品
すべての製品ラインアップをグローバルに展開
マーケット志向型の組織に転換産業ガス
世界4極での成長拡大
競争力のさらなる強化ヘルスケア
日米を中心とした重点製品の価値最大化
開発・販売におけるパートナーシップ強化とアライアンス構築メディカゴ社の事業撤退など、一部事業の再編
効率的な研究開発投資MMA
世界ナンバーワンの地位を確立
アルファ法の展開拡大
産業ガスとMMAは既に一定市場を押さえているが、それそれで国際競争が熾烈な機能商品で「すべての製品ラインアップをグローバルに展開
」するのは難しいのではないか。選択と集中が必要であろう。(どれを選択するかが難しいが。)
ヘルスケアをどのように展開していくかが問題だろう。
・田辺三菱製薬は2月3日、Medicago Inc.の全事業から撤退することを決定したと発表した。
植物由来のウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社として注目されたが、量産できず、撤退を決めた。減損損失480億円を計上する。
2023/2/4 田辺三菱製薬、新型コロナワクチンから撤退、カナダ子会社を精算へ
・現在の同社の利益のほとんどは過去の技術供与のライセンス収入である。
この内の過半を占める多発性硬化症治療剤「ジレニア」 (年間500億円程度の収益)については、特許上の紛争で3年間、収益計上を取りやめていた。
今回、仲裁廷より同社に有利な仲裁判断を受領し、遡及して合計1,260億円の利益を計上する。
2023/12/15 国際商業会議所の仲裁判断で田辺三菱製薬のロイヤリティ収入が復旧
しかし、これは前身の吉富製薬は1997年9月にライセンスしたもので、いつまでも続かない。
・2020年9月中間決算では、田辺三菱製薬が買収したイスラエルのNeuroDerm Ltd. が開発を進めているパーキンソン病の治療薬の仕掛研究開発費について845億円の減損損失を計上している。
(なお、開発は継続しており、2023年1月10日に、事前に設定した重要な評価項目を達成するトップライン結果を取得したと発表した。)
2020/11/7 三菱ケミカルHD、医薬品で減損損失計上
・医薬品は多額の投資をして開発に成功し、登録が取れ、その上で他社との競争に打ち勝って初めて利益が計上できる。買収には数兆円単位の資金が必要である。実質的にこれからのスタートで、ヘルスケアを事業の柱の一つにするのは簡単ではない。
成長とサステナビリティの期待に合致しない事業からはエグジットする。
石化事業については当初案の分離・再編から、JV化に変更した。ギルソン社長は、「日本の主要石化プレーヤーとの統合のほか、新規株式公開や株式売却も選択肢で、中期的なゴールは石化・炭素事業を完全に切り離すこと」と述べた。
日本の石化事業が国際競争力を持たないのは明らかである。
但し日本の市場の特殊性(需要家が在庫を持たないカンバン方式、需要に合わせたグレード開発等)から輸入品が市場を押さえることにはならない。工場数を減らして能力を国内需要相当まで落とせば、収益は期待できる。
雇用の問題もあり、工場が減らないのが問題で、恐らく当初の売却案が潰れたのもこれが原因ではないかと思われる。
買い手は商権が欲しいのであって工場が欲しいのではない。
三菱の場合、鹿島と水島を持つほか、ポリエチレンでは旧日本ポリオレフィン(川崎、大分)とのJV、ポリプロの場合はチッソ(千葉、四日市)とのJVであり、簡単ではない。
さらなるJV化は解決に結びつくであろうか。