トランプ前大統領が要求し、民主党が反対している米国有権者資格保護法案の条項を除外した。
トランプ氏に対する2回の暗殺未遂事件を踏まえ、シークレット・サービスに2億3100万ドルの追加予算を盛り込んだ。追加資金は「2024年大統領選挙活動を含む警護活動の遂行に必要な業務に充てられる」としている。
9月18日につなぎ予算を下院が否決したが、これは米国有権者資格保護法案条項が入って いるためで、民主党に加え、共和党からも14人が反対にまわった。今回はこれを除外した。
ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp
2024/12/3 「ブレイクスルー ノーベル賞科学者カタリン・カリコ自伝」
河出書房新社の上記自伝を読んだ。
彼女については下記ブログで取り上げた。
2023/10/3 ノーベル生理学・医学賞に新型コロナワクチンのカリコ氏ら
1985年に夫と娘と共に渡米し、ペンシルベニア州のテンプル大学でポスドク研究員として働き始めた。しかし、テンプル大学の上司が国外退去させようとしたため、4年間務めた同学を辞職してペンシルベニア大学に籍を移した。
mRNAの抗ウイルス応答が癌ワクチンの腫瘍予防に有効であることが分かったが、応募を重ねても研究助成金がまったく得られず、大学では降格された。
そのなかで学内で免疫学者の
Drew WeissmanはHIVワクチン製造のため、抗原を細胞に届ける方法を模索、試していないのがmRNAであった。
やってみると、樹状細胞が想定をはるかに超える大量の炎症性サイトカインを産出した。mRNAが炎症を引き起こす。
mRNAはDNAの遺伝情報をたんぱく質に翻訳する橋渡しの分子である。DNAの情報は転写プロセスでmRNAに写し取られ、mRNAは細胞核から細胞質に移動し、リボソームがmRNAをタンパク質に翻訳する。このタンパク質が細胞や組織で各種の役割を担う。
問題は注射すると身体の免疫系が異物と認識し、炎症反応を引き起こす。
ミトコンドリアや細菌のRNAは炎症反応大、哺乳類のmRNAや細菌や哺乳類のtRNA(transfer RNA)は炎症反応小と判明。
前者にはRNAヌクレシオド修飾が少なく、後者には多い。修飾されていないRNAが炎症を起こす?10年ほど前にトル様受容体が警戒している事実が判明していた。
RNAで最もよく見られる修飾ヌクレシオドはシュードウリジン。これを持つmRNAは翻訳効率よく、10倍以上のタンパク質を翻訳。
ウリジンをシュードウリジンにかえたmRNAは危険な免疫応答をせず、かつ、より多くのタンパク質を翻訳する。
mRNAは、「アデニンA」「ウラシルU」「シトシンC」「グアニンG」という4種類の塩基からなる。その一つ が問題であることが分かり、それをわずかに細工すること(RNA修飾)で免疫系をすり抜け、炎症を回避し、細胞にたんぱく質を作らせる手法 を考えた。
ウラシルから誘導されるヌクレオシドはウリジンであるが、ウリジンをシュードウリジン(Ψ)などに置き換えると、mRNAの二次構造が変化し、効果的な翻訳を可能にしながら、自然免疫系による認識を低下させる 。
最初に論文を提出したのNature 誌だっが。編集者は論文がIncremental 貢献にすぎないとして即座に却下した。
次に論文をImmunity誌に送った。差し戻しや追加の実験を経て、ようやく掲載が決まった。
電話は鳴らなかった。雑誌が出版された日も、翌日も、翌週も、翌月も、その後の数年で講演に招かれたのは2回だけ(2006年)だった。
2013年にはペンシルベニア大学を放り出された。
この論文に注目し、行動したのは、ModernaとBioNTech(&ワクチン開発で提携する Phizer)であった。
2019年末にCOVID-19が発生、2020年1月に中国の張永振がウイルスの遺伝子配列を公表した。
両社は直ちにワクチンを発表した。
偶然の出会いから20年、Drew Weissmanと二人でワクチンを受けた。
なお、彼女の娘のスーザンはボートの米国代表として、2008年の北京五輪、2012年のロンドン五輪で金メダルを取った。
山中伸弥氏の評 「どんな困難や理不尽なことが起こっても屈せず、自身の信念を貫き通してきたカリコ先生を心から尊敬しています」
12月初めに、米下院選挙でカリフォルニア州の最後の1議席がようやく確定した。民主党候補が187票差で勝利した。
カリフォルニア州では本人確認に時間がかかる郵便投票を投票日の7日後に届いた分まで受け付けたことで開票作業が長引いた。
この結果、上院が共和党53:民主党系47、下院が共和党220:民主党215 で、「Whitehouse、上院、下院ともに共和党 」(党の色は赤)で「トリプルレッド」となった。
@ 大統領選挙 9月の討論会ではハリス候補が勝ったが、本番では共和党トランプ候補が勝利、激戦7州で全勝した。
大統領選挙では下記の激戦州で勝敗を左右 するといわれているが、Trumpが93票全てを確保した。
ペンシルバニア(19票) 、ミシガン(15票)、ウイスコンシン (10票) 、ネバダ ( 6票)
ノースカロライナ(16票)、ジョージア(16票)、アリゾナ (11票)
A上院)過半数は51 賛否同数の場合は副大統領(上院議長を兼務)が投票
定員100名 50州 x 2
任期 6年 2年ごとに約1/3ずつ 改選(本年は33名 が改選)
共和党の非改選 -1、改選 +1 は特別選挙
Nebraskaの議員が2023/1に辞任、知事は後任を指名したが、任期を今回選挙までとした。このため、今回、非改選期の議員が1名選ばれる。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 2024年改選前 49 47 4 100 非改選 A 39-1 28 67-1 (66) 改選 10+1 19 4 33+1(34) 同改選後 B 15 17 2 33+1 (34) 改選後合計 A + B
5345 2 100 47
民主系無所属はSanders議員、 King 議員、Sinema議員(不出馬)、Joe Manchin 議員(不出馬)
*Rubio 上院議員が国務長官になるため、新議会で後任決定まで欠員1 となる。
B下院)
定員 435名 過半数は218
任期 2年 全員改選
共和党 民主党 合計 欠員 2024年改選前
220 212 432 3 改選後
220 215 435 0 選挙後に辞職
1 再計
219 215 433 1
下院で調査が行われ、議員に不利な結論が出たため、議員を辞職し、調査は無効と主張した。
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詳細は下記の通り。
選挙人:
下記2州を除き、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。
メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者
上院の@ABはClass 今回はClass 1 が改選 Nebraskaのみ上記の通り、Class 2 も選挙
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2024/12/9 武田薬品とイスラエルのTEVA、JVの武田テバファーマを国内投資ファンドに売却
武田薬品工業は12月6日、後発薬を扱う武田テバファーマの株式をイスラエルのテバファーマスーティカル・インダストリーズに譲渡すると発表した。今回の譲渡に伴い、現時点で約550億円を受けとる見込み。
テバファーマは同日、取得した株式を含む武田テバの全株式を2025年4月1日までに国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が設立した潟Wェイ・ケイ・アイに売却すると発表した。売却総額は明らかにしていない。武田テバはJWPの傘下に入ることになる。
JWP移管後の2025年9月に武田テバは社名を「T'sファーマ」へと変更する予定で、武田薬品が流通を担当する製品は、引き続き武田が担う。
ーーー
武田テバは、武田薬品とテバファーマが共同出資してジェネリック医薬品などを取り扱う会社として2016年に設立された。武田薬品は武田テバの株式49%を保有している。
2016年
テバファーマは「成長戦略に沿った決定だ。売却によって日本での革新的な医薬品事業に注力できるようになる」、武田薬品は「日本における医療用医薬品ビジネスの環境変化を踏まえ決定した」とコメントした。
テバファーマは2024年5月の決算説明会で日本の後発薬事業の売却を検討すると発表していた。
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医薬品卸のメディパルホールディングスは12月6日、ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が運営管理するファンドが設立したジェイ・ケイ・アイによる武田テバファーマの全株式取得を受け、ジェイ・ケイ・アイに対して直接又は間接に出資すると発表した。
出資割合は 20%となる予定。
同社は、JWPが管理・運営するファンドと共に、これまで後発医薬品メーカーである日医工(富山市)、および共和薬品(大阪市)への出資を実施しており、出資先において品質システムの継続的な改善を推進。加えて、計画生産等の取り組みを通じて、安定的かつ効率的に後発医薬品を提供するための生産流通モデルを構築してきた。
今回の出資を通じて、これまでの出資先との取り組みをさらに前進させ、必要な患者に品質の確保された後発医薬品を安定的に届けられる体制のさらなる発展を目指す。
2024/12/19 米議会、つなぎ予算で攻防、トランプ次期大統領が介入
米議会は例年と同様、2025会計年度(2024/10/1〜2025/9/30)開始前に予算を通すことができなかった。
下院のジョンソン議長(共和党)は9月22日、9月末の予算切れによる政府機関の一部閉鎖の回避に向け、期間3カ月のつなぎ予算案を提示した。
トランプ前大統領が要求し、民主党が反対している米国有権者資格保護法案の条項を除外した。
トランプ氏に対する2回の暗殺未遂事件を踏まえ、シークレット・サービスに2億3100万ドルの追加予算を盛り込んだ。追加資金は「2024年大統領選挙活動を含む警護活動の遂行に必要な業務に充てられる」としている。
9月18日につなぎ予算を下院が否決したが、これは米国有権者資格保護法案条項が入って いるためで、民主党に加え、共和党からも14人が反対にまわった。今回はこれを除外した。
与野党指導部は9月22日、「つなぎ予算案」で合意した。
バイデン大統領が署名して成立し、11月の大統領選前に政府機関が閉鎖されて混乱する事態は回避された。
2024/9/25 米議会、大統領選挙後までの「つなぎ予算案」で合意
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そのつなぎ予算は12月21日で切れる。
米議会共和・民主両党の指導部は12月17日、2025年3月14日までの連邦政府予算を確保するつなぎ予算案を発表した。
法案は連邦予算を現在の約6兆2000億ドルに維持し、軍や航空管制官、医薬品の安全性から証券市場まで幅広い分野の規制当局のプログラムに資金を提供する内容。災害支援向けに1004億ドル 、農家支援に100億ドル、3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などのの新たな緊急予算も含まれる。
トランプ次期大統領は12月18日、つなぎ予算案に反対するよう議員らに促した。政府機関が一部閉鎖される可能性が高まった。
声明では、(1)民主党への「利益供与」のないつなぎ法案とすること、(2)2025年1月2日から再び有効となる債務上限に関し、今すぐに引き上げを議論することの2点を求めている。
(2)に関しては、バイデン政権の間に解決することを要請しており、「2025年に債務上限に直面することを許したことは、議会共和党員によってこれまで行われた最も愚かで無能なこと」「トランプ次期政権で債務上限問題を解決しようとする愚かな共和党議員は予備選挙にかけられるべきだし、そうなるだろう」と激しく非難している。
2023/6に可決された法案の主な内容は下記の通り。
債務上限を2025年まで凍結
2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。
下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。
しかし今回、上限は変更せず、2025年1月1日まで凍結する。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 45 37 3 85 反対 3 10 1 14 棄権 1 1 合計 49 47 4 100
米国のつなぎ予算は12月21日で切れる。
米議会共和・民主両党の指導部は12月17日、2025年3月14日までの連邦政府予算を確保するつなぎ予算案を発表した。
法案は連邦予算を現在の約6兆2000億ドルに維持し、軍や航空管制官、医薬品の安全性から証券市場まで幅広い分野の規制当局のプログラムに資金を提供する内容。災害支援向けに1004億ドル 、農家支援に100億ドル、3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などのの新たな緊急予算も含まれる。
2024/12/19 米議会、つなぎ予算で攻防、トランプ次期大統領が 介入
トランプ氏はABCに対し、債務上限が撤廃されるか、引き上げられない限り、政府機関は閉鎖されるとの考えを表明。「われわれがそれを得られなければ、政府機関は閉鎖されるだろう。しかし、それはバイデンのせいだ」とし、政府機関が閉鎖されても、バイデン大統領に打撃を与えるだけだと語った。
NBCニュースとの電話インタビューでは、債務上限を完全に撤廃することは、議会が「成し得る最も賢明なことだ。私は全面的に支持する」と述べた。
トランプ氏と下院共和党は12月19日、連邦政府機関の閉鎖を回避し、連邦債務の上限を2年間停止することで合意した。トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、新たなパッケージには被災者や農家への支援が含まれており、「米国民にとって非常に良いディールだ」と称賛した。
また、次期政権で歳出削減を主導する組織「政府効率化省」の責任者に起用されたイーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、新たな合意はこれまでのものより「はるかに優れた法案であり、真の継続決議案に近い」とし、「民主党がこれを拒否し、政府機関が閉鎖されれば、中間選挙で大敗するのは当然だ」と述べた。
しかし、下院は12月19日、2025会計年度(2024年10月〜2025年9月)の歳出法案成立までの間、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算法案の修正案を賛成174票、反対235票で否決した。
共和党 民主党 合計 賛成 172 2 174 反対 38 197 235 棄権 9 12 21 合計 219 211 430
今回否決された法案は、トランプ次期大統領らの批判を受けて12月17日に発表された法案に修正が加えられたもので、事前にトランプ氏も支持を表明していた。
修正法案では、当初の法案と同様、(1)3月14日まで現状と同水準の支出を維持、(2)ハリケーンなどの被災に対応するため災害援助資金を追加、(3)農業法を1年間延長、(4)3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などの条項は維持されていた。
一方で、農業関連で盛り込まれていたトウモロコシなどから生成されるバイオエタノールの通年販売を承認する条項や、議員歳費に関する条項、小児がん研究に対する資金を提供する条項など複数の条項が削除された。
また、修正法案にはトランプ氏の要望を反映して債務上限の適用を2027年1月30日まで停止する条項が盛り込まれていた。
2023/6に可決された法案では、2025年1月1日まで凍結する となっており、次期政権下でトランプ減税の延長をはじめとする財政政策が制約される。
債務上限の適用を2027年1月30日まで停止すれば、財政赤字の規模に縛られることなく実施することが可能となる。
これが今回の採決に当たっての最大の争点となった。同条項に対しては、ジェフリーズ下院民主党院内総務が、下院共和党は政府閉鎖の脅しの下、「議会をほんの一握りの富豪や億万長者の意向に従わせようとしている」と述べるなど民主党が反対したほか、ロイ下院議員をはじめ財政緊縮を主張する共和党保守派からも強い批判があり、共和党からも38人もの反対票が投じられた。法案に反対したロイ議員は、「財政責任を訴えながら、国民に向かって、これは財政的に責任ある法案だと思うと大胆に言う党には本当にうんざりだ」と述べた。
前日には、トランプとイーロン・マスクが反対を表明したことにより、超党派の合意が破棄されていた。
2024年1月19日、洋上風力第3ラウンドの事業者公募が開始された。今回の対象区域は「青森県沖日本海(南側)」「山形県遊佐町沖」の2つで、公募の期間は2024年1月19日〜2024年7月19日。
第1ラウンド 2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に
第2ラウンド 2024/4/18 洋上風力第2ラウンド
経済産業省及び国土交通省は12月24日、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域である「青森県沖日本海(南側):下表のF」における事業者について
「つがるオフショアエナジー共同体」、
「山形県遊佐町沖」Iについて 「山形遊佐洋上風力合同会社」を選定した。
海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域公募占用指針(令和6年1月策定)に定める評価基準に基づき、供給価格(120点満点)及び事業実現性に関する要素(120点満点)について評価を行い、下記のとおり採点した。
青森県沖日本海(南側)
山形県遊佐町沖
全体計画は下記のとおり。
選定事業者 | 運転開始 | |||
促進地域 | @長崎県五島市沖 | 1.7万kw | 戸田建設グループ | |
A秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 | 47.88万kw | 三菱商事連合 | ||
B秋田県由利本荘市沖 | 81.9万kw | 三菱商事連合 | ||
C千葉県銚子市沖 | 39.06万kw | 三菱商事連合 | ||
D秋田県八峰町・能代市沖 | 37.5万kw |
ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOS グループ) イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、 東北電力 |
2029/6/30 | |
有望な区域 | E長崎県西海市江島沖 | 42.0万kw | 住友商事、東京電力リニューアブルパワー | 2029/8/31 |
F青森県沖日本海(南側) |
|
つがるオフショアエナジー: |
2030年6月 |
|
G青森県沖日本海(北側) | ||||
H秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 | 31.5万kw | JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 | 2028/6/30 | |
I山形県遊佐町沖 |
|
山形遊佐洋上風力合同会社: |
2030年6月 |
|
J新潟県村上市及び胎内市沖 | 68.4万kw | 三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪瓦斯 | 2029/6/30 | |
K千葉県いすみ市沖 |