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                                      2005年の中国の貿易摩擦

「人民網日本語版」2006年2月25日            EU、中越産革靴に再び反ダンピング課税

EU、中越の革靴に反ダンピング税 消費者は反発

  欧州連合(EU)欧州委員会はこのほど、中国・ベトナム製の革靴が国内生産コストより低い価格で欧州に販売されているとの調査結果を基に、同2カ国から輸入される革靴に対し、4月7日からの6カ年にわたり臨時反ダンピング税を課すよう提案した。欧州連合(EU)欧州委員会のマンデルソン委員(通商担当)が23日、発表した。

  マンデルソン委員によると、中国製の輸入革靴に対する反ダンピング税は、最初は4%とし、段階的に引き上げて最後は19.4%とする予定。ベトナム製の輸入革靴への反ダンピング税も、4%から16.8%に引き上げていく。臨時措置の6カ月間にダンピングが解消されなかった場合は、正式な反ダンピング税の課税に踏み切る。

  これに対し、輸入・小売業者が加盟する欧州商工会や欧州の消費者団体は、反ダンピング税に反対する共同声明を発表した。声明は、同措置が「貿易保護主義的な措置」であり、欧州の消費者や輸入・小売業者の利益にならないと指摘。EUにとって重要な輸出市場である中国・ベトナムとの間で、安定的で公平競争に基づく貿易環境を維持することが、非常に重要だと述べている。


 「人民網日本語版」2006年2月25日

「EUはWTO規則に基づく決定を」 革靴問題で商務部

  欧州連合(EU)の欧州委員会は23日、中国製の革靴に4月7日から臨時の反ダンピング税を課す考えを明らかにした。商務部の崇泉報道官はこれについて談話を発表し、不満を表明した。

  崇報道官は、談話の中で次のように述べた。

  製靴業は労働集約型産業だ。中国は労働コストの低さから同業界では相対的に優位であり、EU側の指摘は根拠を欠いている。EUによるダンピング調査には多くの問題があり、特に市場経済国待遇をめぐる問題で客観的な公正さを欠く。革靴業界は、中国でも市場化が最も進んだ業界の一つで、メーカーの98%が民営企業または外資系企業だ。EU側が応訴した中国企業に市場経済国待遇を適用しなかったことは、公平貿易の原則に反する。EU側が、応訴した中国企業を公平に扱い、WTO規則に合致した裁定を下すよう求める。

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市場経済国待遇
 「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際には国内の物価水準ではなく、経済発展レベルが近い別の市場経済国(代替国)の物価水準を基準に、製品のコスト算出が行われる。(非市場経済国待遇)
 EUは中国に市場経済国待遇を適用せず、しかも中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多い。この結果、中国製品のダンピング率が実際より高く計算されることになり、ダンピングと判定される確率も高くなっている。
 


「人民網日本語版」2006年2月9日

中国を完全な市場経済国と認定、51カ国に

  商務部対外貿易司の8日の発表によると、中国を「完全な市場経済国」と認めた国は、2004年4月のニュージーランドを皮切りに現在51カ国に達した。北京の日刊紙「京華時報」が伝えた。

  同部の担当責任者によると、昨年中国を「完全な市場経済国」だと認めた国は、韓国、オーストラリア、イスラエル、カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシ、アイスランドなど13カ国。なかでも
韓国は、同年11月、中国との貿易額が1千億ドルを超える国の中で最初にそれを認めた国となった。このほか、ダンピング調査の中で市場経済の地位を獲得した中国企業も、かなりの数に上る。現在、EUによるダンピング訴訟に応訴して市場経済の地位を獲得した中国企業は70社を超える。 


2006/2/23 EU IP/06/218

EU Trade Commissioner Mandelson proposes progressive duty following finding of dumping of Chinese and Vietnamese leather shoes
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/218&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

European Trade Commissioner Peter Mandelson has today confirmed that the European Commissions investigation into complaints of dumping of leather shoes from China and Vietnam has found compelling evidence of state intervention, dumping and injury. The Commissioner has recommended a progressive duty imposed over five months. This will ensure that retailers with goods in transit are not suddenly faced with an unexpected full tariff at the border. It nevertheless means that after five months a full duty will be in place and the damaging effects of dumping will be counteracted. This balanced solution corrects injury, but allows maximum predictability for importers. There would be no quantative limit on import of leather shoes from Vietnam and China.

Compelling evidence of serious state intervention, dumping and injury...
Although the EU investigation was undertaken in factories jointly agreed with the Vietnamese and Chinese governments, there is compelling evidence of serious
state intervention in the leather footwear sector in China and Vietnam - cheap finance, tax holidays, non-market land rents, improper asset valuation. This state intervention is leading to dumping unacceptable under WTO rules. Significant comparative advantage in China and Vietnam is being topped up with uncompetitive behaviour.

There is evidence of injury to EU producers. Since 2001, closely tracking the rise in dumped imports, European footwear production has contracted by about 30%, domestic prices have fallen by 30%. Some 40,000 jobs in the sector have been lost. This is not related solely to dumped goods. But state-intervention and dumping in China and Vietnam have exacerbated intense competition.

The Trade Commissioner has recommended provisional duties of 19.4% for China and 16.8% for Vietnam. He will recommend that this duty be phased in over a period of five months, beginning at about 4%.

The Commission will seek to work with the Chinese and Vietnamese to address the concerns raised by the EU investigation. The Commission welcomes signals from China and Vietnam that they are ready to engage to address the problem.

Retailer and consumer interests have been weighed carefully...
This case concerns about nine pairs of shoes from every 100 pairs bought by Europeans. There is clear evidence that although leather footwear import prices to the EU over the last five years have fallen by more than 20% consumer prices have remained stable and even risen slightly. A duty would add just over 1.5 euro on average wholesale prices of 8.5 euro for leather shoes that retail between 30-100 euros. There is margin within the supply chain to absorb a small duty on import costs by spreading it across product ranges and the distribution chain.

On grounds of Community Interest the Trade Commissioner will recommend that childrens shoes and high-tech sports shoes be excluded from provisional measures because its investigation suggests that there is not sufficient European production of these shoes for injury to have been caused.

Not a protectionist measure...
State intervention of this kind in a highly competitive industry is contrary to any notion of fair trade. The EU will
not target low costs and comparative advantage - but it will target uncompetitive behaviour. Because of our lesser duty principle Europes anti-dumping rules clearly ensure that anti-dumping measures cannot be used to make imports more expensive than the equivalent EU product - and they can and often do leave the competing export much cheaper than the European equivalent. This is not true of the rules used by India, the United States and China itself - nor do any of these countries apply a Community interest rule.


WTO協定上の根拠  http://www.jetro.go.jp/biz/world/international/column/pdf/029.pdf

WTO協定において非市場経済国の認定の根拠となっているのは、「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国ですべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、(ガット第6条1)の規定の適用上比較可能の価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める。」という規定である。

WTO協定では、AD手続におけるダンピング・マージンの認定は、輸出国の国内価格と輸出価格との比較によって行われることになっている。しかし、国内価格は通常の商取引における比較可能な価格である必要があるため、もし国内価格が通常の商取引における比較可能な価格でないとみなされるのであれば、ダンピング・マージンは、第三国への輸出価格、あるいは生産費、販売コスト、利潤などをもとに計算された価額(構成価額と呼ばれる)との比較によって決定される。そこで、上記の規定は、「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国」においては、通常の商取引が行われていないために、それらの国内で生産された産品の価格をもとにダンピング・マージンを決定することは必ずしも適当ではない、としているのである。

この規定に基づき、各国は一般に「非市場経済国」に対するAD調査における特別な扱いを規定している。ただし、この規定からもわかる通り、「非市場経済国」の定義がなされているわけではない。したがって、どのような場合に輸出国を「非市場経済国」として認めるかについては各国の裁量にゆだねられることとなった。

中国についても、WTO加盟交渉において問題となったが、最終的に加盟議定書第15条において、中国に対して、「調査の対象となる生産者が、同種の産品を生産している産業において、当該産品の製造、生産および販売に関し市場経済の条件が普遍的である旨を明らかに示すことができない場合には」、ダンピング・マージン算定の際の価格比較において、中国国内の価格コストを使わないことが認められた。この点で、同条は、中国に対してWTO協定上の非市場経済国の根拠であるガット注釈を適用することが可能であることを再確認したものであるといえる。

ただし、同条は中国の「非市場経済国」としての地位を再確認したにとどまらず、中国に対してAD措置を発動するWTO加盟国に対して手続的な義務も追加的に課している。すなわち、当該WTO加盟国は、市場経済の条件、価格比較可能性を決定する方法をWTO・AD委員会に通報しなければならないこと。また、個別の案件において、関係する中国の生産者、輸出者に意見を表明する機会を与えなければならないことである5。このほかにも同条は、中国のWTO加盟後15年(2017年)までには、中国の非市場経済国としての地位は失効すると定めている。

ECの制度
従来、ECのAD制度では、非市場経済国については、正常価額の算定において
「類似国」(analogue country)の価格を使用し、対象国全体に適用するダンピング・マージンを決定することになっていた。しかし、1998年の改正により、中国、ロシアについては、以下の基準を満たすことを調査対象企業が証明した場合には、「市場経済待遇」(Market Economy Treatment、MET)が認められ、通常のダンピング・マージン算定方法を用い、調査対象企業ごとにダンピング・マージンを算定することとなった。

基準として、
(1) 価格等に関する企業の決定が、国の重大な介入を受けることなく市場の動向に従って決定されており、かつ主要な投入財のコストがおおむね市場価格を反映していること、
(2) 企業が、国際会計基準に従い監査され、あらゆる目的に適用される基本的な会計記録を有していること、
(3) 企業の生産コスト、および財政状況が以前の非市場経済システムによる深刻な歪曲の影響を受けていないこと、
(4) 関連する企業が、企業の営業を法的に保証する倒産法、財産法の適用を受けること、
(5) 為替交換が市場レートで実施されていること、
の5点が判断基準として挙げられており、調査開始から3ヶ月以内に調査当局は調査対象企業がこれらの基準を満たすかどうかを決定することになっている。決定に際して、調査当局は詰問委員会と協議することになっており、また域内企業からもコメントを受け付けることになっている。

ECの場合、1998年以降、上記の基準を満たしていると主張する調査対象企業については、多くの場合その主張が認められ、実際には個別にダンピング・マージンが算定されている。
これ以外の企業に対しては、通常どおり「類似国」の価格によって正常価額を決定することとされ、サイクラミン酸ナトリウムの場合では、生産しているのはEC、中国、インドネシアのみであること、国内に生産業者が3社存在し、競争的な市場が存在すること、を理由に、インドネシアの国内価格を参考にして正常価額を決定することとなった。


  「人民網日本語版」 2006年1月14日

2005年の中国貿易を振り返る:各地で摩擦激化

  2005年は、中国と各国の貿易摩擦が激化した年だった。1年間で計 18の国と地域が、中国に対し調査金額で21億ドルに相当する63件の調査を行った。

  内訳は、反ダンピング調査が51件で、調査金額が17億9千万ドル。中国の世界貿易機関(WTO)加盟議定書に基づく「特定産品過渡性保護措置(特別保護措置)」に関わる調査が7件で、同2億2千万ドル、特別保護措置に関わる調査が5件で、同9千万ドル。

  このほか、米国は中国の7種類の産品に対して、調査金額で12億ドルに相当する337件の調査を行った。中国の繊維製品に対しては、ヨーロッパ連合 (EU)や米国、トルコなどが、調査または制限措置を242回行った。

  国別にみると、北米・南米の国からは中国に対し、特別保護措置に関する調査と「威嚇」が激増した。特別保護措置に関する7件の調査のうち、5件が北米・南米から起こされた。EUと米国は、対中貿易救済調査が依然として多く、関連金額も14億8千ドルと、全体の金額の7割を占めた。さらに、EUと米国は、反ダンピング規定の適用に関し、より厳格である。アジア、アフリカ、南米の発展途上国は、対中貿易救済調査が頻繁で、05年の1年間で救済調査を37件と、調査全体の60%を占めた。

  産品別でみると、軽工業、繊維産業、機械設備、電力設備など、中国が国際的な競争力を持つ産品に集中している。中でも、繊維製品に関わる貿易摩擦が突出して多い。

  救済措置でみると、依然として反ダンピング調査が主流だ。中国は 11年連続で、世界で反ダンピング措置を最も多くとられた国となっている。特別保護措置に関する調査は、05年の下半期に、2度目の集中期を迎えた。さらに先進国は、技術的な貿易措置と知識財産権保護措置を頻繁に使用した。一部の発展途上国も、輸入禁止令や、税関で価格を高く見積もるなどの「高等戦術」を使い、中国製品の輸入を制限した。(編集CS)



「人民網日本語版」2006年10月5日   

EU、中越産革靴に再び反ダンピング課税

欧州連合(EU)は4日、加盟国による投票を行い、中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決した。同法案に基づき、EUは今月7日から、
中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課される。期間は2年間。一時的な反ダンピング措置を適用されている児童用靴製品は現在、課税の対象外だが、近く対象となる見込み。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

欧州委員会の貿易担当者によると、同法案はフランスが提出したもので、EU加盟25カ国の常駐代表が同日ベルギー・ブリュッセルで行った投票により、僅差で可決された。投票結果は反対12、賛成9、棄権4。EUの規定では、提案を否決するには加盟国の過半数の票が必要で、
棄権票は賛成票とみなされることから、同法案はかろうじて可決された。同法案は5日にEUの内政・司法に関する閣僚級会議で採択され、承認を受けた後、7日から施行される。

欧州委員会は今年3月、中越産革靴が本国でのコストを下回る価格でEU市場で販売され、EUの関連業界に損害を与えていることが調査で判明したと発表。4月7日から、両国産の革靴に対し半年間の一時的な反ダンピング措置を取っていた。


「人民網日本語版」2007年11月22日

米、中国などのアート紙への反ダンピング措置を取消

  米国際貿易委員会(ITC)はこのほど、中国・韓国・インドネシアのアート紙に対する反ダンピング・反補助金措置を取消すことを本決定した。同3カ国の製品は米国の関連産業に重大な損害を与えるものではないため、反ダンピング・反補助金措置は適用しないと説明。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

  
米商務省は10月、同3カ国のアート紙企業に対し、ダンピングと補助金の不正受給を理由に反ダンピング・反補助金措置の適用を本決定したばかり。同措置が適用されれば、中国企業は最高で99.65%の反ダンピング関税と44.25%の相殺関税が課されるところだった。

ITC と商務部の判断が揃った場合に適用される。