米国における炭素繊維生産設備の増強について
三菱レイヨンは、米国の100%子会社であるMitsubishi Rayon Carbon Fiber and
Composites, Inc. (本社:カリフォルニア州アーバイン市、社長:佐々木
晋、以下「MRCFAC社」)において炭素繊維生産設備を増強することを決定しました。年間生産能力2,000トンの生産設備を既存のサクラメント工場内に増設し、2016年中頃に稼働開始する予定です。新設備稼働後の同工場年間生産能力は倍増の4,000トンになります。
世界の炭素繊維需要は、風力発電をはじめとする再生可能エネルギー用途、燃費向上や電気自動車の航続距離延長のための車体軽量化用途等の産業用途を中心に拡大しており、年率20%以上の伸びを示しています。近年、米国のシェールガス開発による天然ガス価格の低下や、各国の自動車排出ガス規制強化の動きから大型トラックを中心に圧縮天然ガス(CNG)への燃料転換が進んでおり、車両に装備する燃料タンク圧力容器用途の需要が急速に伸長しています。また、シェールガス開発を一因とする世界的な天然ガス製造・消費の拡大を背景に、大規模輸送用の大型圧力容器の需要も増加しています。加えて、「究極のエコカー」として商業生産化の緒に就いた燃料電池車(FCV)の高圧水素ガス燃料タンクや水素ステーションの貯蔵タンクにも炭素繊維が使用される見込みであり、クリーンエネルギーの製造・使用に直結する材料として、2020年に向けて更なる需要成長が期待されています。
当社は、MRCFAC社を高性能レギュラートウ炭素繊維の供給拠点として位置付けて、北米を中心とする需要増大に対応する体制を強化し、炭素繊維・複合材料事業のバリューチェーンをグローバルに展開していきます。
<ご参考>
MRCFAC社の概要
名称 : Mitsubishi Rayon Carbon Fiber and Composites, Inc.
事業内容 : 炭素繊維、炭素繊維・複合材料およびその関連製品の製造、販売
所在地 : 米国カリフォルニア州アーバイン市.
設立 : 2013年4月 ※いずれも三菱レイヨン100%子会社であった旧Grafil社(カリフォルニア州サクラメント市)と旧Newport社(カリフォルニア州アーバイン市)を統合し現社名に変更
資本構成 : 三菱レイヨン100%
代表者 : 佐々木 晋
2014年07月31日 三菱レイヨン
ドイツWethje社の株式取得について
三菱レイヨンは、このたび欧州の自動車用途における炭素繊維・複合材料事業の強化拡大を図るため、ドイツの自動車用炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製部品メーカーであるWethje
Holding GmbHの株式の51%の取得を目的とする「株式売買契約書」を、Wethje社の親会社であるオーストリア国
CROSS Industries
AGと締結しました。関係当局の許認可を前提として、所定の手続きを経て、本年9月を目途に当社の連結子会社とする予定です。
また、CROSS社グループは、オーストリアを拠点とする自動車・二輪車用部品のリーディングカンパニーですが、当社は、Wethje社を長期的に共同保有することにより、同グループと強固なパートナーシップを構築していくことを確認しています。
ドイツを中心とする欧州の自動車市場では、環境規制が強化される中で、CFRPを車体構造材に全面的に使用した電気自動車「BMW
i3」が昨秋に販売開始されるなど、高い強度と軽さを併せ持つCFRP部品を本格的に採用する動きが加速しています。1979年創業のWethje社は、高級車への豊富な採用実績を通して、高い技術力を持つ自動車用のCFRP製部品メーカーとして欧州市場で広く認知されています。また、小規模生産向けのオートクレーブ工法※だけでなく、中規模量産向けのRTM※工法の両方に対応できる数少ないメーカーのひとつです。
当社は、これまでも、ハイサイクルプレス成形(PCM工法※)用プリプレグ材料など中間基材の開発・製品化や、株式会社チャレンヂの買収及び中国のAction
Composites International社への出資を通じたCFRP製自動車部品の量産拠点の整備、RTM工法の中間基材となる多軸ファブリックの開発に強みを持つ独
TK Industries社のグループ会社化など、自動車向けの炭素繊維・複合材料事業の強化に努めてきました。
新たに当社グループに加わるWethje社を当社の欧州におけるCFRP製自動車部品の開発・製造・販売拠点とし、その製品を通じて当社の炭素繊維・複合材料の欧州での実績をさらに高め、欧州における自動車向けの炭素繊維・複合材事業のサプライチェーンを一層強化していきます。
【Wethje社について】
名称:Wethje Holding GmbH
所在地:ドイツ国バイエルン州ヘンゲルスブルグ市
創立:1979年
代表者:アルフレッド・F・ヘーテンフーバー
事業内容:炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製自動車部品の開発と製造販売
【CROSS社について】
社名:CROSS Industries AG
所在地:オーストリア国ヴェルス市
代表者:ステファン・ピエラー
事業内容:二輪車及び自動車・二輪車用部品の製造販売
※ PCM(Prepreg Compression Molding)工法
三菱レイヨンが開発したCFRP部材の量産成形技術。積層したプリプレグをプレス機で圧縮成形する。約5分のサイクルタイムで、自動車向け部材の量産を可能とする。また、成形品は表面の平滑性が高いためクラスA塗装が可能で、外板部材としても利用できる。
※ RTM(Resin Transfer Molding)工法
欧州で一般的なCFRP部材の量産成形技術。主にラージトウ炭素繊維を用いた多軸ファブリックを配置した型に液状樹脂を注入、熱硬化させる工法。風車翼など大型成形品にも用いられる。
※ オートクレーブ工法
オートクレーブ(圧力窯)内の高圧環境下で、積層したプリプレグを配置した型を加熱・加圧し3~4時間かけて硬化させる工法。
2015/1/7 三菱樹脂/三菱レイヨン
炭素繊維事業の強化について
三菱樹脂と三菱レイヨンは、炭素繊維・複合材料事業の強化を目的とし、三菱樹脂のピッチ系炭素繊維事業と三菱レイヨンのPAN
系炭素繊維事業を統合することを合意いたしました。三菱レイヨンが、三菱樹脂のピッチ系炭素繊維事業を会社分割の方法で継承し、2015 年4 月1
日付でPAN 系炭素繊維事業と統合した新組織を発足させる予定です。
三菱ケミカルホールディングスを共通の持株会社とする事業会社である三菱樹脂と三菱レイヨンは、単一のグループとして、石炭ピッチ系炭素繊維とPAN
系炭素繊維の両方の技術を持つ世界で唯一の炭素繊維メーカーです。これまで共同マーケティングや技術交流などを通じてグループシナジーを追求し、PAN
系とピッチ系の炭素繊維をそれぞれ適材適所に配置した新設計のゴルフシャフト≪Diamana≫ B、W、R
各シリーズを三菱レイヨンが開発するなど、具体的な成果を実現してきました。
今後、三菱ケミカルホールディングスグループとして、世界首位のピッチ系炭素繊維事業に由来する知見をPAN
系炭素繊維の領域に応用し、戦略重点分野である自動車、圧力容器、風力発電翼など産業用途における顧客へのソリューション提案力を強化していきます。また、すでにグローバルに展開中のPAN
系炭素繊維・複合材料事業の製造・販売・開発に係る事業インフラを活用し、ピッチ系炭素繊維事業の価値を最大化していきます。
2015年02月05日 三菱レイヨン
エアバス社『A320neo』エンジン部品への炭素繊維採用について
三菱レイヨンのPAN系中弾性グレード炭素繊維が、エアバス社の新型機A320neo用新型エンジンPW1100G-JMのファン構造部材に採用されることが決定しました。民間航空機用エンジンの構造案内翼に炭素繊維が使われるのは世界で初めてです。
PW1100G-JMは、米国・Pratt & Whitney、ドイツ・MTU Aero Engines
AG、一般財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)の3者で共同開発する低燃費、低公害、低騒音を実現した民間航空機エンジンです。JAECの主要メンバーである株式会社IHIが当社の中弾性グレード炭素繊維を採用し、エンジン前部から空気を取り込むファン内部に配置された構造案内翼を世界で初めて複合材料化しました。従来使われたチタンやアルミを軽くて強度のある炭素繊維強化樹脂(CFRP)複合材料に置き換えることで、鳥衝突にも耐える強度を保ちながらエンジンを大口径化し、エンジンの軽量化と燃費改善に大きく貢献しています。当社は、豊橋事業所内に現在保有する生産設備・体制を活用し、急激な立ち上がりが計画されているPW1100G-JM向け炭素繊維の製造に対応していきます。
今後、航空機エンジンの大型化に伴って軽量化素材が求められるなか、CFRP複合材料の適用が進むことが期待されます。当社は、このたびのPW1100G-JMへの採用を契機に、航空機エンジン部品への炭素繊維の適用拡大により一層注力していきます。
“トレカ®”炭素繊維織物のボーイング787向け供給について
東レは、この度、グループ企業の創和テキスタイルにおいて、ボーイング社向け炭素繊維織物の生産設備認定テストを完了しました。
創和テキスタイルは、第1四半期(4〜6月)中に、ボーイング787“ドリームライナー”機向けに“トレカ®”炭素繊維織物の供給を開始する計画です。
東レは、ボーイング787型機向け“トレカ®”炭素繊維材料の需要が増大するのに対応して、日米両国におけるサプライチェーンの増強を進めてきました。
2014年1月に米国子会社Toray Composites (America), Inc.(所在地:米国ワシントン州タコマ市、「TCA」)における“トレカ®”プリプレグの増強を決定したのに続き、同年9月には、石川工場(石川県能美市)へスリットテープの生産設備を導入する計画を公表しています。
今回供給予定の“トレカ®”炭素繊維織物は、米国TCAにてプリプレグ加工され787型機の構造材料として使用されるものです。従来、TCA社がプリプレグ加工する炭素繊維織物は全て米国内で外注にて製織していましたが、創和テキスタイルが、東レ愛媛工場(愛媛県伊予郡)で製造された炭素繊維を製織しTCAへ供給することで、東レグループ内で一貫製造することが可能になりました。
愛媛(炭素繊維)→創和テキスタイル(製織)→TCA(プリプラグ)→TCA(スリットテープ)→Boing
(従来TCAが外注)
愛媛(炭素繊維)→創和テキスタイル(製織)→石川工場(プリプラグ)→石川工場(スリットテープ)→Boing
(従来TCAから輸入)
創和テキスタイルは、今後徐々に製織数量を引き上げて、787型機向けに供給を拡大していく計画です。
創和テキスタイルは、東レのグループ企業で、北陸繊維産地を拠点に繊維製品の企画開発から製造・販売まで一貫して手掛ける一村産業株式会社(本店:石川県金沢市)の子会社です。合繊織物事業では、その生産力、商品開発力によりユニフォーム用途で国内最大のシェアを有していますが、近年カーシート等の産業用途も拡大しています。また、その優れた製織技術と品質管理力を生かして炭素繊維織物事業にも進出しています。
東レは現在、中期経営課題“プロジェクトAP-G
2016”に取り組んでおり、その基本戦略のひとつとして、成長分野における事業拡大「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」を掲げ、環境問題や資源、エネルギー問題の解決に貢献する事業の拡大にグループ一丸となって取り組んでいます。
東レは、航空機や自動車をはじめとする輸送機器の軽量化素材として期待される炭素繊維複合材料事業に積極的に経営資源を投入し、更なる事業拡大を図って参ります。
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東レは2014年11月17日、The Boeing
Companyとの間で、新型機「777X」向けに炭素繊維“トレカ®”プリプレグを供給することに基本合意したと発表した。
東レでは、“トレカ®”プリプレグを、日本の愛媛工場と石川工場、ワシントン州タコマ市のToray
Composites (America), Inc.で生産している。
Toray Composites (America),
Inc.では現在、「787」月産12機への増産に対応するため、2016年1月稼働開始予定で“トレカ®”プリプレグ生産系列の増設工事を進めている。
また、今回の受注拡大を受け、2014年2月に米国サウスカロライナ州スパータンバーク郡に取得した事業用地での原糸(プリカーサ)から炭素繊維“トレカ®”および“トレカ®”プリプレグまでの一貫生産設備の新設計画を近く具体化する。
石川工場では、2009年7月に稼働したプリプレグの第1系列生産設備で、ボーイング787型機向け及びスポーツ、産業用途向けに
“トレカ®”プリプレグを生産しているが、第2系列生産設備が11月10日より稼働開始した。
今回の第2系列は、IT機器の筐体や自動車の外板(ボンネットやルーフ等)など、品質の均一さや外観の良さが求められる産業用途高付加価値プリプレグの需要増に対応するための能力増強であり、あわせて増産効果によるコスト競争力強化も狙いとしている。
787型機向けのプリプレグ生産にも対応できる仕様となっており、今後の需要動向にあわせた柔軟な用途対応を可能にしている。
2014/11/20 東レ、ボーイング777X向けに炭素繊維“トレカ®”プリプレグ供給
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ボーイング向け炭素繊維“トレカ®”プリプレグにおけるスリットテープ生産設備導入について
東レは、この度、石川工場(石川県能美市)において、炭素繊維“トレカ®”を使用したプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)をスリットテープに加工する生産設備を導入することを決定しました。スリットテープは、“トレカ®”プリプレグを細幅にスリットしたもので、ボーイング社による設備認定を取得した後、2016年7月にボーイング787型機向けに供給を開始します。
石川工場では、2009年7月に“トレカ®”プリプレグ第1系列を稼働した後、スポーツやIT機器、自動車などの高付加価値産業用途に加えて、ボーイング787向けに“トレカ®”プリプレグを供給しています。また石川工場は、2013年7月には第2系列増設を決定しています。
今回導入する設備で生産するスリットテープは、米国の子会社Toray
Composites (America), Inc.が供給しているもので、日本国内における787型機向け需要も米国からの輸入で対応しています。石川工場にスリットテープ生産設備を導入することで、当社では初めてのスリットテープ国産化となり、日米二拠点供給によりボーイング787型機向け材料供給がさらに盤石なものとなります。
ボーイング787型機は、現在月産10機で生産されていますが、2016年に月産12機に、2019年末までには14機へ生産機数が引き上げられる計画です。東レは、増大する787型機向け“トレカ®”プリプレグ需要に対応して、今年2月にTCAにおける“トレカ®”プリプレグ設備能力の増強を決定しており、今回のスリットテープ生産設備導入と併せて787型機向け需要増に対応していきます。
スリットテープとは
炭素繊維を一方向に配列した広幅プリプレグを、繊維方向と平行に、幅数mmから数cmにスリット加工したテープ状プリプレグのこと。
スリットテープが自動機を用いてツール上に連続的に積層され、部材形状に加工されることから、この加工法はAFP(Advanced
Fiber
Placement)と呼ばれる。細幅のスリットテープが曲面に沿いやすいことから、AFPは複雑形状を有する複合材料部材の高精度・高速生産に適した成形加工法として近年有望視され、適用事例が増えている。
ボーイング社との炭素繊維トレカ®プリプレグ包括的長期供給契約の正式締結 および
米国での炭素繊維トレカ®プリプレグ一貫生産設備の新設について
東レは、このたび、米国のThe Boeing Company
との間で、既存の「787」プログラムに加え、新型機「777X」プログラム向けに炭素繊維トレカ®プリプレグを供給する包括的長期供給契約を正式に締結しました。
2014/11/20 東レ、ボーイング777X向けに炭素繊維“トレカ®”プリプレグ供給(基本合意)
本契約は、2005年11月に締結した包括供給契約を本年からさらに10年以上延長するもので、今後の「787」、「777X」両プログラム向けの契約期間における東レグループの供給総額は、1.3兆円(110億ドル)を超える見込みです。
これに合わせて東レは、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ郡の新規事業用地において、約500億円を投じ、原糸(プリカーサ)から焼成まで一貫の高性能炭素繊維トレカ®生産設備(年産能力
2,000トン)、および炭素繊維トレカ®を使用したプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)の生産設備の新設を決定しました。
東レは新規事業用地において、2020年までに1,000億円規模を投じて米国での炭素繊維複合材料事業の拡大を図ることを計画しており、今回の投資はその第一弾です。原糸(プリカーサ)から炭素繊維トレカ®およびトレカ®プリプレグまでの一貫生産設備の建設は、米国では初めてとなります。
2017年5月以降、原糸(プリカーサ)から順次生産を開始し、ボーイング社向けトレカ®プリプレグの供給開始は認定取得完了後の2019年を予定しています。
「787」では、当初から主翼、胴体などの一次構造部材にトレカ®プリプレグが採用されていますが、生産機数を現行の月産10機から、2016年に月産12機、更に2019年末までには月産14機まで引き上げることが計画されていることに加え、今後は「787」ファミリーの派生型(モデルミックス)の導入により、炭素繊維複合材料の大幅な需要増が見込まれています。 また、「777X」は、ボーイング社が現行「777」の後継機として2020年に初号機を納入する計画で開発を進める大型双発旅客機で、このたびの契約締結により、その主翼材料としてトレカ®プリプレグの採用が正式に決定しました。
東レは現在、「787」月産12機への増産に対応するため、米国子会社Toray
Composites (America), Inc.(所在地:米国ワシントン州タコマ市、社長:Dennis Frett)において、2016年1月稼働予定でトレカ®プリプレグ生産系列の増設を進めています。今回の新規事業用地での一貫生産設備の新設は、「787」月産14機への増産、および今後の「777X」プログラムの立ち上がりによる需要拡大に対応するものであり、ボーイング社に向けた安定供給体制をより強固にするものです。 東レは、「787」「777X」両プログラム向け出荷量の増加に伴い、引き続き新規事業用地における生産設備の増強を実施していく予定です。
東レは、2014年4月からスタートした新中期経営課題"プロジェクト AP-G
2016"の中で、炭素繊維複合材料事業における航空宇宙分野での飛躍的な事業拡大を目指しています。東レは、ボーイング社の増産計画に沿って引き続きトレカ®プリプレグの安定供給体制の拡充を図るとともに、米国での炭素繊維複合材料事業の高度化と収益拡大を進めてまいります。
2016年9月13日 帝人
米国 Continental Structural
Plastics社の買収について
帝人は、このたび、北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーである
Continental Structural Plastics Holdings
Corporation の全株式を取得し、完全子会社とすることとしました。
これにより、当社は北米における自動車向け複合材料製品事業の基盤となる強力な販売チャネルを獲得し、同事業のTier
1 サプライヤーとしてグローバル展開を加速していくことになります。 Tier 1
サプライヤー:メーカーに直接納入する一次サプライヤー
なお、このたびの買収金額は、総額825百万米ドルとなります。
1.背景
(1)当社は長期ビジョンとして「ソリューション提供型事業体への進化」を掲げており、高機能素材の領域においては複合材料を中心に事業拡大を図るべく、自動車の量産部品への適用を見据えた事業展開を推進しています。
(2)世界的に環境規制の強化が進む中、自動車業界においてはCO2排出量の抑制や燃費効率の飛躍的な向上が求められ、従来は到達し得なかった水準の車体軽量化が不可避となっていることから、複合材料の適応部位拡大が喫緊の課題となっています。
(3)こうした中、当社では将来のさらなる車体軽量化を睨み、自動車向け複合材料製品事業の展開を加速するためのプラットフォームを構築して、自動車メーカーに対してより広範なソリューション提供を可能にする体制を早期に確立することを目指しています。
2.当社の取り組みの経緯
(1)2008年には複合材料開発センターを開設し、他に先駆けて複合材料製品の事業化に向けた技術開発と用途開拓を強力に推進。2011年には世界初となるCFRTP(Carbon
Fiber Reinforced Thermo Plastic:熱可塑性炭素繊維複合材料)の1分成形量産技術を確立。
* 帝人は、世界で初めて炭素繊維複合材料(CFRP)を1分以内で成形する量産技術を確立した。これは熱可塑性樹脂を使用することで実現したもの。
2012年には米国に複合材料用途開発センター、松山事業所にCFRTP
一貫生産のパイロットプラントを新設し、「Sereebo」のブランド名で量産型CFRTP製品の開発、国内外の複数企業との共同開発を推進してきました。
(2)また、帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開する東邦テナックスにおいて、CFRP(Carbon
Fiber Reinforced Plastic:熱硬化性炭素繊維複合材料)の端材を極小化するプリフォーム*製造技術「PvP」(Part via
Preform)を核に一貫生産体制を構築し、顧客ニーズに合致した複合材料の生産体制を構築してきました。
(3)さらに、昨年は複合材料製品の物性評価における国際的な試験所認定規格である「ISO/IEC
17025」、本年は欧米の自動車メーカーがTier1メーカーに対して認証取得を必須としている品質マネジメントシステム規格「ISO/TS
16949」を取得し、グローバル水準の自動車部品メーカーに向けて体制構築を進めてきました。
* プリフォーム : 事前に炭素繊維シートを金型に合うように切り取り、賦形すること。
3.CSP社について
(1)CSP社は、1969年の設立以降、自動車の軽量化のための樹脂製部品を北米の自動車メーカーに提供してきており、中でもGFRP(Glass
Fiber Reinforced
Plastic:ガラス繊維強化複合材料)などの熱硬化性複合材料を使用した自動車向け部品においては、北米最大のTier1メーカーとして、米国の主要な自動車メーカーと強固な関係を構築しています。
(2)また、自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観を有する外板部品においては、業界のグローバルリーダーとして、米国のみならず、欧州・日本の自動車メーカーに向けても数々の採用実績を誇っています。
(3)CSP社の概要は次のとおりです
社名 |
Continental Structural Plastics Holdings Corporation |
設立 |
1969年 |
拠点 |
本社・開発拠点:米国ミシガン州 オーバーンヒルズ
生産拠点:米国10拠点、メキシコ2拠点、フランス、中国 |
売上高 |
634百万米ドル(2015年12月期) |
従業員数 |
約3,200名 |
事業内容 |
自動車向け複合材料/部品の設計・成形・加工 |
主な保有技術 |
シート・モールディング・コンパウンド(SMC)
樹脂に硬化剤や増粘剤などを混合したペーストをガラス繊維などに含浸させたシートを金型で加圧加熱して成形する製法
【特長】優れた生産性、表面性、寸法精度、品質安定性 |
主な製品 |
GFRPを用いた軽量・美麗な外観部品 |
4.今次買収について
(1)今次買収の概要は次のとおりです。
買収金額 |
825百万米ドル |
実施時期 |
2016年12月(予定) |
出資元 |
Teijin Holdings USA
Inc.(米国持株会社) |
資金調達 |
手元資金および新規調達で充当(予定) |
(2)当社は、このたびの買収により、北米自動車市場における強力な販売チャネルを獲得すると同時に、CSP社が自動車メーカーから求められてきたさらなる軽量化や高強度化などの要求に対し、当社が有する炭素繊維複合材料の技術を活用することでより幅広いソリューション提案力を有することとなり、自動車向け複合材料製品事業において強固なプラットフォームを構築することができます。
(3)世界的な環境規制強化に伴う環境負荷低減やコストダウンといった自動車メーカーのニーズに対し、CSP社が有するGFRPや、当社が有するCFRTPなどの高機能複合材料により、「車体部品の軽量化」「部品点数の削減」「リサイクル性の向上」、さらに「従来部品を超える付加価値」を提供することができます。
(4)こうしたシナジー効果により、川上から川下に至る一貫でのソリューション提案が可能となり、当社が2014年に発表した修正中期計画において発展戦略として掲げた「高機能材料による新たな価値創造」の具現化へとつながっていきます。
5.今後の展開
(1)当社はTier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化や、グローバル安定供給体制の確立とともに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体軽量化に向けて提案力を強化するため、炭素繊維、ガラス繊維に限らない材料の拡充や、他の材料メーカーとの協業などを図り、自動車メーカーに対するソリューションプロバイダーとなることを目指していきます。
(2)さらに、CSP社の有するフランスの開発センターや、帝人グループの関連拠点を活用し、欧州・日本・アジアの自動車メーカーに向けた提案力を拡大することによりグローバル展開を推進していきます。
(3)こうした展開により、今後一層厳しくなる環境規制に向けたソリューションを提供する事業として、自動車向け複合材料製品事業を、2030年近傍に売上2,000百万米ドル規模に拡大していくことを目指します。
【
帝人株式会社 代表取締役社長執行役員 鈴木 純 のコメント 】
社長就任以降、10年、20年と社会から必要とされる企業であり続けるため、素材・ヘルスケア・ITの3つの領域での強みを活かし、それらを「融合」「複合化」することにより、顧客に新しい価値の提供を可能にするビジネスモデルの創造を追求しています。そして将来は、複合高機能材料とヘルスケアを大きな柱として、社会にソリューションを提供する企業体を目指しています。このたびのCSP社買収は、自動車向け複合材料製品事業のプラットフォーム構築につながるものであり、目指すべき将来像に向けた第一弾として、複合高機能材料拡大への橋頭堡となるものです。これを1つの起爆剤として、今後も帝人グループ一丸となって常に進化を続け、「未来の社会を支える会社への変革」に取り組んでいきます。
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両社のシナジーを生み出すことで2015年に6億3400万ドルだった帝人グループの自動車向け複合材料事業売上高を2020年近傍に9億ドル、2025年近傍に15億ドル、2030年近傍に20億ドルへと引き上げていく。
2017年11月30日 帝人
東邦テナックスの統合について
帝人は、2018年4月1日付にて、帝人グループで炭素繊維事業を展開している東邦テナックスを統合することとしました。
帝人グループは、今年度よりスタートした中期経営計画「ALWAYS
EVOLVING」において、マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域を2本の柱とし、成長戦略および発展戦略を強力に推進しています。そして、マテリアル事業領域においては、世界的な環境規制の強化に伴う低燃費化の要請に応えるため、「軽くて強い」高機能素材の拡大に取り組んでおり、航空機分野や自動車分野への展開に注力しています。
こうした中、グループ内の情報・技術の共有や人財の最適配置などによる総合力の発揮を通じて、さらなる企業価値の増大を図るため、このたび炭素繊維事業を担う東邦テナックスを帝人に統合することとしたものです。
なお、このたびの統合に伴い、ヨーロッパ、アメリカ、シンガポールの事業会社であるトーホウ・テナックス・ヨーロッパ、トーホウ・テナックス・アメリカ、トーホウ・テナックス・シンガポールについては、それぞれテイジン・カーボン・ヨーロッパ、テイジン・カーボン・アメリカ、テイジン・カーボン・シンガポールへと名称変更を予定しています。
帝人グループは、モビリティの環境負荷低減に貢献する「環境価値ソリューション」を重点領域の1つとして掲げ、高機能素材や複合化技術を強みとしたマルチマテリアルでの事業展開を推進しています。このたびの東邦テナックス統合により、グループ内の技術やノウハウの複合化によるシナジーの最大化を図り、グローバル市場における川上から川下に至るまでの顧客対応力の強化を図っていきます。
「人民網日本語版」2021年9月10日
中国最大の炭素繊維基地が稼働 総投資額約850億円
中国建材集団の1万トン級の炭素繊維生産ラインが8日、青海省西寧市で稼働を始めた。ここは中国最大の炭素繊維生産基地でもある。
2016年8月26日、中国建築材料集団(北京市海淀区)と中国中材集団(北京市西城区)の合併によって誕生した中国建材集団が正式に発足した。
国務院(中央政府)が進める国有企業再編の一環として、国有資産監督管理委員会が直轄する建材企業2社を統合した。
セメントやコンクリート、石こうボード、ガラス繊維、風力タービン、セメントガラスエンジニアリングサービスなどで世界一の規模で、超薄型電子ガラスや高性能炭素繊維、リチウムイオン電池の隔離膜、ハイパワー用圧電セラミックなどで中国をリードしている。
このプロジェクトの総投資額は50億元(約850億円)に上り、超大容量ポリマー、乾湿式紡糸法などのコア技術でブレークスルーを達成し、中国で初めて独自の知的財産権を備えた千トン級の産業化した乾湿式炭素繊維紡糸生産ラインを構築した。
また、ライン1本あたり年間3千トン規模の高性能炭素繊維生産ラインの設計と先端プラント技術の自主コントロールを中国で初めて実現した。
ここで生産される先端技術の炭素繊維は耐熱温度が摂氏2千度を超え、重量は鋼鉄の4分の1だが、強度は鋼鉄の10倍になる。国産大型航空機など航空・宇宙分野、交通輸送分野、新エネルギー分野など幅広い応用が可能だ。
現在、中国の炭素繊維の年間需要は5万トンに迫るが、国産品の供給量は2万トンに届かず、市場は深刻な供給不足に陥っている。中国建材のこの1万トン級炭素繊維生産基地が稼働したことで、供給不足が効果的に緩和され、中国の炭素繊維オリジナル技術の「資源供給地」構築と現代型産業チェーン延伸が加速されることになる。