2010/8/6 三井化学/帝人 

日本国内におけるボトル用樹脂事業の統合について

 三井化学株式会社と、帝人株式会社は、今般、下記のとおり日本国内におけるボトル用(ポリエチレンテレフタレート)樹脂事業を統合し、新たに合弁会社を設立することを基本合意しました。
 新設する合弁会社は、三井、帝人がそれぞれに展開している樹脂原料事業とのシナジー効果を含めたサプライチェーン一貫での競争力を徹底的に強化するとともに、高い品質とコスト競争力で顧客のニーズに応え、事業価値の最大化を図ってまいります。

1.事業統合の背景・意義
(1) 日本国内における飲料需要の減少、アジアからのボトル用樹脂の輸入拡大などに伴い、ボトル用樹脂事業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
(2) 現在、三井はボトル用樹脂事業、およびその原料である高純度テレフタル酸(以下、PTA)事業を展開しています。一方、帝人はボトル用樹脂事業、およびPTAの粗原料であるパラキシレン(以下、PX)事業を展開しています。
  (注)帝人のボトル用樹脂事業は、帝人(株)が製造、帝人化成(株)が販売を行っています。
(3) こうした中、三井と帝人は、厳しい事業環境にあるボトル用樹脂事業において、生産・販売・研究に亘るシナジー効果を追求すべく、両社の事業統合について検討を重ねてきました。
(4) このたびの事業統合により、生産を集約することによる操業度向上、販売部門統合によるマーケティング力の強化、両社の技術の融合による生産技術力の強化といったシナジー効果が新合弁会社で実現されるとともに、樹脂の原料である帝人のPX事業および三井のPTA事業を含むサプライチェーン一貫での競争力の徹底強化を図ることができます。
(5) さらに、このたびの事業統合により、三井は自社で製造するPTAの原料となるPXを競争力ある価格で安定的に調達することが可能となり、また、PTA事業の安定化を図ることができます。一方、帝人は国内におけるPXの安定大口顧客を確保することになり、PX事業の安定化を図ることができます。
(6) 三井、帝人の両社は、それぞれが保有するボトル用樹脂事業におけるシナジー効果発現に向けて今後さらに詳細の検討を進め、一層のコスト競争力強化を図ることにより、持続的な事業価値拡大を目指してまいります。


2.事業統合の概要
(1)両社は、それぞれのボトル用樹脂事業を統合し、以下のとおり新たに合弁会社を設立します。

<新会社の概要>

項 目 内 容
社 名 未定
事業内容 日本国内におけるボトル用樹脂の生産、販売および研究
所 在 地 東京都港区東新橋1−5−2汐留シティセンター(三井本社内)
資 本 金 4.9億円
出資比率 三井80%:帝人20%
生産能力 14.5万d/年(三井岩国大竹工場に新会社が生産を委託)
売 上 高 約250億円(2009年度両社合算値)
役 員 出資比率に応じて三井および帝人が指名
営業開始日 2011年4月1日を目途
(公正取引委員会の承認を取得次第、早期に設立)

(2)これにより、両社によるボトル用樹脂のサプライチェーンは次のようになります。

主要原料   生産   販売
パラキシレン

  (帝人)
ー→
高純度
テレフタル酸
 (三井)
ー→
ボトル用
PET樹脂
 (三井)
生産委託
  ←
  →
ボトル用
PET樹脂
(新会社)

(3)このたびの新合弁会社設立に伴い、帝人は徳山事業所内にあるボトル用樹脂の生産設備を休止します。

帝人は松山の40千トンに、Bottle-to-bottle で徳山に50千トンを建設、合計90千トンの能力となった。
しかし、
Bottle-to-bottleを休止、徳山はTPAからの生産に切り替え、松山は休止した。
http://www.knak.jp/munikai/recycle/tteijin-pet-n.htm#btb-kyushi

ボトル用PET樹脂メーカー

  国内 海外
三井化学 145 175
日本ユニペット 140 52
帝人 90→50→0  
ユニチカ(日本エステル) 10  
クラレ 10  

三井化学

  インドネシア P.T. Petnesia Resindo(三井化学 41.58%、 東レ 47.1%)
                     能力 75千トン
  タイ     
Thai Pet Resin Co., Ltd.三井化学 40%、東レ40%、SCG Chemicals 20%
                     能力 
100千トン

2005年7月20日

三井化学は、タイ合弁でボトル用ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を50%増産する方針を明らかにした。2006年中に
年15万トン体制に引き上げる考え。さらに現在開発中の新技術を導入する意向など、高成長をみせる一方、競争が激化しているアジア市場で優位性を維持し、攻めの戦略に転じる。

日本ユニペット株式会社

    三菱化学 44.9%、東洋紡 44.9%

工場・生産拠点
 岩国工場:東洋紡績株式会社岩国事業所内      66千トン
 四日市工場:三菱化学株式会社四日市事業所内   46千トン
 (委託)越前ポリマー株式会社(福井県鯖江市)     28千トン 国内計 140千トン
      (三菱化学 95%出資、当初は
三菱化学50%/カネボウ50%


2020年1月8日 三菱商事     

循環型PET製造事業への参画

三菱商事は、台湾ポリエステル繊維・PET樹脂製造大手の新光合成繊維股份有限公司傘下で、タイにて飲料ボトル用PET樹脂の製造を展開するThai Shinkong Industry Corporation Ltd.の第三者割当増資を引受け、出資比率を現行の3.85%から34%へ引き上げることについて合意しました。

PET樹脂は優れた透明性や光沢性、バリア性の特徴を有し、回収・リサイクルシステムが構築されたリサイクル性の高い単一素材であり、飲料用ボトルや食品用容器、衣料用繊維等幅広い用途に使用されています。世界的な循環型社会への移行要請が高まる中、タイ新光では、モノマテリアル化(単一素材での使用促進)の進展に対応しPET樹脂製造能力の拡張、及びリサイクル率向上に向け導入が期待されるケミカルリサイクル技術によるリサイクルPET樹脂の製造を計画しております。

新光は台湾民間企業でトップクラスの資産規模を誇る新光グループの中核企業です。三菱商事は1967年の新光設立に関与し、三菱商事の石油化学領域におけるコア事業であるPETバリューチェーンにおいて、原料取引、及び製品取引を通じて、現在まで戦略的パートナーとして良好な関係を継続しております。今回の出資比率引上げに際して、タイ新光へ三菱商事より経営幹部を派遣し、タイ新光の事業経営に貢献すると共に、新光の技術力・知見を活用し、海洋プラスチック*3問題への対処を加速させます。また、本邦市場を中心に市場ニーズの高まるリサイクルPET樹脂を販売することで、三菱商事がサステナビリティ重要課題の一つとして掲げる「持続可能な調達・供給の実現」に関する取組みを強化し、経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現を目指します。
   
世界的なプラスチックに対する環境意識の高まりがある一方で、プラスチックは持続的な経済発展を支える優れた機能性を有する基盤素材です。三菱商事は斯様なプラスチック事業の展開において、リサイクル率の向上、代替素材の開発等を通じて、循環型社会の実現に貢献することを目指していきます。
 
 
タイ新光 新工場建設予定地
<Thai Shinkong Industry Corporation Ltd.の概要>
本社所在地 : North Sathorn Rd., Silom, Bangrak, Bangkok 10500, Thailand
設立            : 1994年
事業内容     : PET樹脂の製造販売
出資比率     : 新光:90.38%、三菱商事:3.85%、その他:5.77%
代表者        :  President 魏 大原
 
<新光合成繊維股份有限公司の概要>
本社所在地 : Sec.2, Nanking E. Rd., Taipei 104, Taiwan
創立            : 1967年
事業内容     : PET樹脂、ポリエステル繊維、光学フィルムの製造販売
代表者        : 董事長 呉 東昇