Z 海外進出(エチレン、汎用樹脂)-2                      目次へ

  4) シンガポール第2エチレンJV構想        (資料7-13) 
   
2003/1、住友化学はシンガポールでの新たなエチレンプラントの建設について、シェルケミカルズとともにFSを開始する旨の契約を締結した。

住友化学はポリオレフィンを中心とする石油化学事業を重点事業の1つと位置づけ、成長の著しいアジアにおいて、先行の強みを生かしつつ、高付加価値・高機能分野へのシフトを進め、欧米・中東メーカーに対抗して、アジアでトップクラスの高収益事業としていくという事業方針に沿って、さらなる強化を図るもの。

計画概要
  立地   シェルのリファイナリーがあるブコム島                                              
 ジュロン島の5km南東で、パイプラインで接続
  能力   エチレン 100万トン/年
  稼働開始   2007年予定
       
  誘導品   ジュロン島で住友化学が実施
 高機能品を中心
  ポリエチレン:強度が高く加工性に優れた新型ポリマー
  ポリプロピレン:自動車向けを中心とした高強度ブロックコポリマーを主体
     
    2004/5 住友化学はサウディのアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ)との間で、サウジアラビア紅海沿岸のラービグにおける石油精製と石油化学との統合コンプレックス開発計画に参加する覚書を締結した。

住友化学は重点事業のひとつの石油化学事業の中長期的な収益性を向上させるためには、安価原料を安定的に確保することが最重要課題と考え、産油地立地を選んだ。

これにより、同社はブコム島でのエチレン計画から撤退することとなった。

シェルは住友化学の離脱後もシンガポールの経済開発局とともに本計画を進めることとしており、2005/11、東洋エンジニアリングとABBルーマス・グローバルBV社のJVに基本設計業務を発注した。プラントの完成を2009年下期と予定、2006年に最終決定を行う。

     
  5) 住友化学 サウディ「ラービグ」計画       (資料7-14)  
   
2004/5、住友化学はサウジ・アラムコとサウジのラービグでの石油精製・石油化学事業開発の共同企業化調査実施について発表した。

両社が本計画の事業主体として共同出資会社を設立し、アラムコがサウジアラビア紅海沿岸のラービグに所有する日量40万バレルの原油処理能力を持つ製油所をインフラも含めてこの会社に移管、これに加え、新たに世界最大級のエタンクラッカーと流動接触分解装置(FCC)、エチレン、プロピレン各誘導品の生産プラントを新設するというもの。総投資額は約43億ドル(約5千億円)を見込み、折半で負担する。(後、85億ドルに増加)

    住友化学は世界最大の産油国のサウジで石油精製事業に加わり、安価な原料を安定的に確保することで石化事業を大幅に強化することを狙った。
     
    2005/8、住友化学はアラムコとの合弁会社の設立に着手した。
概要
  社名   Rabigh Refinery & Petrochemical Co. (Petro-Rabigh)
  出資   住友化学 50%/SaudiAramco 50%
  製品   下図参照
  着工   2006年初め
  完成   2008年後半
  総投資額   85億ドル*

 * 製油所購入額を含む
  資材価格や建設費用が当初予想より高騰
  電力や工業用水の大型付帯設備追加
   丸紅・日揮 伊藤忠がサウジのACWAパワーと共同で建設するが、事業費の8割(約10億ドル)を新会社が融資

   
 
 
新会社製品構成
 
     
  6) その他の海外進出(オレフィン)
  @ チャンドラ アスリ(インドネシア/丸紅ー撤退)      (資料7-15
    同社はインドネシア唯一のエチレンセンターとして1989年に当時のスハルト大統領の肝いりで計画が進められ、大統領の次男のBambang TrihatmodjoのBimantara GroupやBarito Groupなどにより設立された。建設を請け負った丸紅が1993年に資本参加し、インドネシア側が75%、日本側が25%のJVとした。(建設には昭電が参加)
   
  社名   PT Chandra Asri Petrochemical Center
  工場   インドネシア  西ジャワ、アニエール地区
  設立   1989年
  操業   1995年
  総事業費   1,882百万ドル
  株主構成
(最終)
 
PT Inter Petrindo Inti Citra(インドネシア)   49.55%
Glazers & Putnam Investment Ltd. (マレーシア)   25.86%
日本インドネシア石油化学投資梶@*   24.59%

* 日本インドネシア石油化学投資
   資本金:20,846百万円
   株主  :丸紅 85%、他 15%

  能力  
エチレン   51万トン
プロピレン   24万トン
ポリエチレン   30万トン
     
    2005/4、丸紅は日本インドネシア石油化学投資のチャンドラ・アスリ石油化学事業関連の投融資資産を、Commersbank International Trust (Singapore) Ltd.(ClTS)に売却し、その対価として、ムシパルプ事業関連の株式等を取得することで合意した。
     
  A エチレン マレーシア(マレーシア/出光興産) 
   
  社名   Ethylene Malaysia Sdn Bhd 
  立地   マレーシア  Kertih
  出資   PETRONAS
      出光興産  12.5%
      BP       15%
  能力    40万トン
  製造開始   1995/9
     
  B Tuban 計画(インドネシア/ 伊藤忠・日商岩井ー計画変更)      (資料7-17
    チャンドラアスリなどと並ぶインドネシア四大石化事業の一つで、伊藤忠、日商岩井が各5%を出資、以下の製品をつくる計画であった。
ジャワ島東部の沿海部で工事が始まったが、経済危機後にインドネシア側の資金繰り悪化で工事が中断。全体の約6割が完成しているが、搬入された大型設備などは野ざらしのまま。エチレン設備は中国のBASFのエチレン設備に転用された。総事業費は10億−20億ドルに達する。
中心のTirtamas Groupが銀行管理となり、参加者に変動があったが、現在は芳香族部分のみを実施する方向で進んでいる。
     
   
  社名   PT. Trans-Pacific Petrochemical Indotama
  立地   東ジャワ ツバン
  能力  
当初計画 現計画
  エチレン   70万トン
  aromatics    
  paraxylene   50万トン
  HDPE   10万トン
  LDPE   30万トン
  PP   20万トン
  SM   50万トン
  aromatics   100万トン
  light naphtha   100万トン
  kerosene and diesel   160万トン
       
     
  7) その他の海外進出(ポリオレフィン)
   
米国 PP 住友化学 Phillips Sumika Polypropylene 資料 7-18
米国 PPほか 三菱商事 Aristech Chemical 撤退 資料 7-19
PP 伊藤忠 ARCO Polypropylene 撤退 資料 7-20
ブラジル LDPE 住友化学/伊藤忠 Politeno 資料 7-21
ブラジル HDPE 三菱化学/双日 ポリアルデンペトロキミカ 撤退 資料 7-22
韓国 PP サンアロマー Polymirae 資料 7-23
フィリッピン PE、PP 丸紅 JG Summit Petrochemical 資料 7-24
フィリッピン PP 双日 PT Polytama Propindo 資料 7-25
フィリッピン PE 住友商事  Bataan Polyethylene 撤退 資料 7-26
インドネシア PE 三井物産・住友商事 PT Petrokimia Nusantara Interindo (PENI) 撤退   資料 7-27
タイ PE 三井物産 Bangkok Polyethylene 撤退 資料 7-28
イラン HDPE 伊藤忠 Mehr Petrochemical Company Ltd 資料 7-29
     

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