2003/01/14 カネボウ繊維

高い保湿性と肌への潤い効果が期待できるナノテクノロジー繊維に反響大

『ナノデュウ』(NANO DEW)ブランドで製品化決定!
  4月より本格販売開始

 当社は、昨年10月、抗酸化作用のあるビタミンE誘導体を配合した、高い保湿性と肌への潤い効果が期待できるナノテクノロジー繊維を開発しました。この度、"アンチ・エイジングを目指す女性"をターゲットに『ナノデュウ』(NANO DEW)ブランドで製品化を決定、その第一弾として、ブラウス(2種・各9,800円)・Tシャツ(4種・3,700円・3,900円)を2003年4月16日より全国のカネボウ化粧品チェーン店から、また1月末よりインナー、アウター、寝装関連向けテキスタイルを大手アパレル・寝装メーカーへ向け販売を開始いたします。
 昨今、ナノテクノロジーに関する研究や事業に意欲を持つ企業が増加傾向にあり、ナノテクノロジーは企業の成長に欠かせない技術になると予測されます。新しい機能や特性を発現するものとして多分野で注目を集めておりますが、繊維への応用は困難とされてきました。
 カネボウ(株)は、長年にわたり皮膚生理研究・製剤開発技術の研究を行った結果、
液晶(層状)構造を持った製剤を開発、2001年に、この製剤を使用した保湿性の高い高級基礎化粧品「DEW」の美容液を発売しました。カネボウ繊維が開発したナノテクノロジー繊維は、この美容液に使われている液晶製剤を応用したものです。従来の吸湿加工とは異なり、繊維表面にナノサイズの多重保湿膜を形成するため、適度な水分を安定して肌に与えます。これにより保湿や美肌効果、肌本来のバリア機能の回復など"アンチ・エイジング効果"が期待できると考えております。
 当社は昨年10月にこの技術開発に関する発表を行ったところ、マスコミや一般消費者から大きな反響をいただきました。そこでこの度、幅広い年齢層の女性に関心が高い"アンチ・エイジング効果"が期待できる繊維製品の販売を開始いたします。その第一弾として、ファッションのキーアイテムであるブラウス・Tシャツを当社の全国の化粧品チェーン店より販売、UVカット加工も付与し紫外線によるエイジングを防ぎます。またインナー、アウター、寝装関連向けテキスタイルを大手アパレル・寝装メーカーへ販売、製品とテキスタイルの両面から"アンチ・エイジングを目指す女性"を応援いたします。
 当社は、今後もカネボウグループの強みを生かし、化粧品や食品といった複数の事業領域の技術を融合させ、他メーカーには開発できない独自商品の開発・販売を行ってまいります。
 『ナノデュウ』(NANO DEW)の概要は、下記の通りです。 

1.化粧品チェーン店展開
(1)ブラウス(2種) 綿92%/シルク8% ホワイト  9,800円          
                 綿100% ブラック    9,800円
(2)Tシャツ(4種) 綿100% 半袖 オレンジ、ブラック  3,900円
          フレンチ袖 オレンジ、ブラック  3,700円
 《サイズはともに9号・11号・13号で展開》                     
   
2.テキスタイル展開  
  インナー、アウター、寝装関連向けテキスタイル
   
3.商品特徴
(1) 抗酸化作用のあるビタミンE誘導体を含む油分層と水分層を、ナノサイズでサンドイッチ構造に重ねた液晶製剤加工を繊維に応用。繊維表面に多重保湿膜を形成し、適度な水分を肌に与え、高い保湿性と美肌効果など"アンチ・エイジング効果"が期待できる。

              

      <水分層と油分(脂質)層のナノサイズの
                      サンドイッチ構造>

(2) ブラウスとTシャツにはUVカット加工を付与し、紫外線によるエイジングを防止。
   
4.技術特徴
(1) カネボウ・総合研究所、基礎科学研究所の開発技術と、カネボウ繊維の染色・仕上げ加工技術の融合
(2) 液晶製剤加工にビタミンE誘導体を付与する技術
(3) 他の機能加工付与が可能
(4) 繊維の新加工技術に関する特許出願済み
   
5.ターゲット
  アンチ・エイジングを目指す幅広い年齢層の女性
   
6.販売計画
(1) 販売先:<ブラウス・Tシャツ> 全国のカネボウ化粧品チェーン店
      <テキスタイル>    大手アパレルメーカー、寝装メーカー
(2) 販売計画:初年度 200百万円、2年度 600百万円

 <参考:*エイジングは加齢、アンチ・エイジングは加齢に伴う皮膚の抗老化を指す>


2003/04/22 丸紅

丸紅繊維(上海)有限公司の設立について

 このたび丸紅株式会社(本社:大阪市中央区、社長:勝俣宣夫)は、繊維原料及びテキスタイル販売の丸紅グループ100%出資の事業会社として中国上海外高橋保税区に丸紅繊維(上海)有限公司を設立し、2003年5月1日より営業を開始致します。

 上海では1999年11月にアジアを中心とした繊維原料、テキスタイル貿易の拠点として香港に設立した丸紅繊維亜洲有限公司の連絡事務所として活動していた同上海事務所と、現地法人で以前より中国との貿易を行っていた丸紅上海有限公司繊維部という二つの組織で運営していましたが、WTO加盟もあり今後中国がアジア繊維素材販売の中心となり同国繊維産業がますます大きく伸張することが期待される中、中国市場全体における繊維原料及びテキスタイル事業の司令塔的組織を構築すべきとの判断から、丸紅繊維亜洲有限公司から上海事務所を分離し丸紅上海会社繊維部と統合した現地法人の設立を決定致しました。

 今後は同社を核に、これまでの日本からの繊維原料の輸出取引はもとより、中国での素材から製品までの一貫取引の更なる拡大、繊維素材地場取引の強化、中国からの素材輸出を含む外国間取引の強化、資材分野での取引の拡大等を目指し、当社繊維部門の海外での最重要拠点の一つとして運営したいと考えております。

 なお新会社は、当初上海を中心に営業を開始しますが、今後中国各地の繊維原料、テキスタイル関係の拠点を統合、一元化してゆく予定です。また、同社3年後の売上は約3億米ドルを見込んでおります。

新会社の概要

1.社 名 丸紅繊維(上海)有限公司(Marubeni Textile (Shanghai) Co., Ltd.)
2.代表者 董事長  川嶋寿彦
総経理  橋本雅至
3.住 所 中国上海市延安西路2200号 国貿中心2402室
4.資本金 50万米ドル
5.出資比率 丸紅株式会社      80%
丸紅上海有限公司   20%
6.人 員 45名(内 駐在員8名)
7.事業内容 中国を拠点とした繊維原料及びテキスタイルの輸出入、外国間取引、及び国内取引

 


2003/10/8 東洋紡績/ダウ・ケミカル

世界初のポリオレフィン系弾性繊維「DOW XLA*」の国内独占製造・販売権の契約をダウと締結、
国内での独占製造・販売を開始
   
http://www.toyobo.co.jp/press/press169.htm

 東洋紡績株式会社(本社:大阪市北区、社長:津村準二)は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー (本社:米国ミシガン州 社長兼CEO: ビル・スタブロプロス)のDFS(ダウ・ファイバー・ソリューションズ)部門との合意により、世界初のポリオレフィン系弾性繊維、「DOW XLA」繊維(ダウ XLA*繊維)の国内独占製造・販売を開始いたします。これは、ダウのポリマー製造技術と東洋紡の製糸技術を組み合わせて国内向けに製造される新しい弾性繊維です。
 「DOW XLA」繊維が持つストレッチ性、加工性、デザイン性、耐久性という特長により、加工の段階から製品にいたるまでの自由なアパレルデザインやその他の用途への活用ができるため、今までにない自由な製品展開を可能とし、次世代ジャンルの弾性繊維の世界を開拓しました。米国連邦取引委員会(FTC)から同繊維のユニークな組成および機能性が認められ、「ラストール」(Lastol)」という一般名が認可されました。

経緯
 ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーのDFS部門は、繊維販売に注力しています。 DFSはグローバル戦略として、ダウが開発したインサイト*技術によりデザインされたポリマーを基にして、世界の著名な機関、機構、大学、企業と共同で、製糸やテキスタイル加工の開発を進めてきました。これらの活動や東洋紡との協力が奏効して、2002年9月にはダウXLAを世界規模で上市しました。
 このたび、東洋紡は、「DOW XLA」繊維が、これまでの市場にはなかった大型有望繊維であると判断し、ダウと国内での独占製造・販売契約を締結しました。 今後、東洋紡はDFSと共同で、「DOW XLA」繊維のマーケテイング、販売促進を進めていきます。
  *ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標

特長
 「DOW XLA」繊維は、ダウ独自の高度なポリマー製造技術を基に、世界で初めて開発されたストレッチ性豊かなオレフィン系弾性繊維で、ソフトなストレッチ性や耐熱性、耐薬品性などの優れた特長があります。日本での繊維製品品質表示は、「指定外繊維」となります。

(1)耐熱性   摂氏220度までの耐熱性があります。
     
(2)耐薬品性   塩素系の晒し加工に耐える耐塩素性や硫酸などの酸にも耐える耐薬品性があります。
          :    
(3)ソフトストレッチ性
    従来のスパンデックスにはないソフトストレッチ性があり、ナチュラルな風合いの表現が可能です。


販売計画
(1)販売目標
    初年度     500トン/年
    3年後   2,000トン/年

(2)主要用途
    衣料(インナー、アウター、スポーツなど)、非衣料(シートなど)

 


1997/9/10 クラレ

エバール繊維「ソフィスタ」の開発、展開について
  
http://www.kuraray.co.jp/press/1997/sofista/sofista.html

 当社は、21世紀に向かって発展する「ユニークな化学企業体」を目指して、オリジナリティを重視した事業展開を図っています。合成繊維事業においても、従来にない特色ある素材展開に注力していますが、このほど独自に開発したポリマー(素材)を原料とし、新鮮な感性と機能性を備えた衣料用快適繊維の開発に成功しました。当社はこの新繊維を「ソフィスタ」と名付け、衣料事業の中核繊維として98年1月より本格的展開を図ります。
 「ソフィスタ」は、当社が開発した特殊ポリマー(素材)であるエチレン・ビニルアルコール共重合体(ブランド「エバール」)を主原料とする新合成繊維です(通産省登録済)。「エバール」を構成する分子に、肌に馴染みやすく、多くの機能を付加できる水酸基(OH基)があるため、「ソフィスタ」は感性面では爽やかな着心地や澄んだ発色性、機能面では優れた吸放湿性、速乾性、防汚性等という特長を持ち、従来の合成繊維とは一線を画した素材といえます。このような特長から、用途として、特に肌に直接触れる機会の多いインナーウェア、スポーツ衣料、婦人アウター、裏地等に適しており、また衣料資材用途でも可能性を秘めています。
 当社は他に例を見ないこの「ソフィスタ」を、グローバルに通用する画期的繊維と自負しており、世界同時に発売していく計画です。

<「ソフィスタ」の概要>

I.  素材について
  A.  「ソフィスタ」の主原料である、「エバール」
   (エチレン・ビニルアルコール共重合体)の分子構造
   

    OH基(水酸基)を持つところに分子構造上の特長があります。OH基は肌に対する触感に優れた親水性(水とのなじみの良さ)という特性を持つため、「ソフィスタ」は アクアファイバー と呼ぶにふさわしい繊維と言えます。
※通産省登録:エチレン・ビニルアルコール繊維
     
  B.  「ソフィスタ」の繊維構造の種類と素成
    (1)芯鞘タイプ・・・ 50デニール、75デニール、100デニール、150デニール
  芯部分 ポリエステル 45%
  鞘部分 エチレン・ビニルアルコール 55%
    (2)分割糸タイプ・・・ 50デニール、75デニール
  ポリエステル 67%
  エチレン・ビニルアルコール33%
    (3)中空タイプ・・・ 75デニール、150デニール
  エチレン・ビニルアルコール100%
  C. 商品特長
    適度な吸湿・吸水性と、従来の吸湿繊維にない優れた速乾性を併せ持つため、湿潤時での爽やかな快適性が得られる。
     
   1. 感性面
    化繊調の爽やかな涼感タッチ:親水性があり、湿潤時に適度な反発力があることによる。
透明感と光沢に富んだ鮮やかな発色性:光の屈曲率が1.51と低いことによる。
  (ポリエステル1.72、シルク1.57、ナイロン1.55、水1.00)
軽量性:比重が1.25(ポリエステル1.39)と低い。
ドレープ性:親水ポリマーの膨潤効果により適度な繊維間空隙を作ることによる。
     
   2. 機能面
    吸湿性:エチレン・ビニルアルコールの水分率が約3%で、適度な吸湿性がある。
吸水性:水とのなじみがよく、吸水性が高い。
速乾性:水の拡散効果が高く、速乾性に優れている。
吸放湿性:高湿時は吸湿率が高く、低湿時は乾燥性が高いため、着用感が爽やか。
防汚性:付着した汚れの除去性が優れているのと同時に、洗濯液からの再汚染防止機能に優れている。
(※クラレ測定データによる。)
     
   3. 特許関係
    保有(権利化):12件
出願中:50件
     
II.  販売展開について
     
  A. 基本方針
    21世紀をになう新合成繊維と位置づけ、日本国内とヨーロッパ、アメリカを中心とした海外において同時展開を行う。市場開発段階である1998年〜2000年は、用途展開・販売チャネルを限定し、集中的プロモーションを図った後、全面展開に入る。また当面テキスタイル(生地)販売より開始し、今後用途に応じて原糸販売を順次拡大する。

日本経済新聞 2003/12/20

旭化成、新型の高強度繊維 次世代タイヤやビルの補強材向け 接着性高く低価格に

 旭化成は次世代のタイヤやコンクリートの補強材に使う高強度繊維を事業化する。来春に試験プラントの建設に着手、来年末から年50−60トン規模で生産を始める。2006年度に生産能力を1千−2千トンに増やす許画で、タイヤメーカーや建材メーカーなどに売り込む。
 事業化するのは旭化成が開発した
ポリケトン繊維と呼ぶ高強度繊維。広く補強材に使われるアラミド繊維に比べ強度は8割程度だが、同繊維よりゴムとの接着性が高い。エチレンと一酸化炭素という比較的安価な原料から作るため、価格もアラミド繊雑より安く1キロあたり2千円以下に抑えられる。
 金属塩の水溶液を使う溶剤を新たに開発したことで、量産化が可能になった。試験プラントで生産しながら生産性を高め、量産ノウハウを確立する。
 ランフラットタイヤなどの次世代タイヤや耐震ビルの補強材、工場のガスフィルターや分離膜などとしての用途を見込んでいる。アラミド繊維など高強度繊維の世界市場は年4万−5万トンで、年率2ケタのぺースで拡大している。帝人や米デュポンがアラミド繊維を生産しているほか、東洋紡やクラレなども高強度繊維を事業化している。


NEDO   http://www.nedo.go.jp/kibanbu/saitaku/14h/nano_asahika.html

基盤技術研究促進事業平成14年度採択実績

高性能ポリケトン繊維の工業化基盤技術の開発

委託先 旭化成株式会社
協力機関 -
研究期間 平成14年8月〜平成19年3月
主な研究実施場所 宮崎県延岡市
プロジェクトリーダー 加藤 仁一郎 繊維技術研究所主幹研究員
     
研究概要:
  アラミド等のスーパー繊維は原料が高く高価格であり、価格に対する性能発現レベルが不十分なため用途が限定される。我々は安価な一酸化炭素とエチレンを原料とした脂肪族ポリケトンを用い、その特殊濃厚塩水溶液をゲル紡糸して低コストなスーパー繊維を得る基礎知見を見出した。本研究は、上記基礎技術をもとに、ポリケトン繊維の工業的な生産技術を確立すること、並びにポリケトン繊維の用途特性を明らかにすることで、その目的は、ポリケトン繊維の事業化を可能とすることである。

日本経済新聞 2004/1/30

国内の綿紡織撤退 カネボウ 不振天然繊維を縮小      発表

 カネボウは29日、国内の綿紡織からの完全撤退などを柱とする天然繊維事業の構造改革策を発表した。絹紡糸事業からも撤退、綿・羊毛加工事業は縮小する。不採算が続く国内の天然繊維生産を縮小し、ポリエステルなど化学繊維を中心に収益力の改善を急ぐ。
 綿事業では2004年3月末までに、紡績・織布生産を手掛ける浜松工場(静岡県新居町)と出雲織布技術センター(島根県出雲市)を休止、中国にある子会社へ生産を集約する。長浜工場(滋賀県長浜市)での綿加工も来年度から30%縮小する。
 綿紡織事業は120年近い歴史を持つが、中国や東南アジアからの輸入製品に押され、採算が悪化していた。羊毛事業は羊毛加工の不採算部門から撤退し、大垣工場(岐阜県大垣市)は2004年度から30%縮小する。羊毛事業は2001年に生産縮小など再編を進めたが、業績低迷が続いていた。
 工揚などの従業員の扱いについては、現在、労働組合と協議中で未定。構造改革策は中期計画に織り込みずみで、新たな特損の発生など、2004年3月期の決算予想への影響はないという。


平成16年1月29日 カネボウ

天然繊維事業の構造改革について
http://www.kanebo.co.jp/contents/fram/f_08rel.html

 当社グループは、本年度を「16年度から始まる中期再建計画の助走期間として徹底した構造改革を行う年」と位置付け、構造改革を断行しております。この度、100%子会社であるカネボウ繊維株式会社(本社:大阪市北区代表取締役社長平林司)を中心に展開している天然繊維事業について、今まで以上の安定収益体制確立の為、@「綿紡織事業の国内生産からの完全撤退(浜松工場・出雲織布技術センター休止)」、A「綿・羊毛加工事業の縮小(不採算品種の撤退、及び海外移管)」、B「シルクの絹紡糸事業からの撤退」を柱とする構造改革について決定しましたので、お知らせいたします。
 今後、当社天然繊維事業は、グローバルな生産・販売拠点で独自企画の商品を「カネボウブランド」で世界の高級品市場、ニューフロンティア市場(高機能・環境対応)で展開する「独創性溢れるテキスタイルメーカー」としての体制を確立してまいります。

1.市場環境と当社の状況
繊維産業は世界的に、中国の著しい拡大が継続する等、途上国・中進国の発展の中で生産過剰が常態化されることが予想されます。また市場が低価格のボリュームゾーンと、高価格で小ロットの高級品市場に分化される中、国内紡績メーカーは、品質・納期・コストでの競争激化による採算悪化から、工場閉鎖・海外移転等のリストラを加速しております。
このような環境において、当社「綿事業」においては中国、東南アジアの低価格汎用品に対する競争力低下、「羊毛事業」においては平成13年羊毛事業再構築を実施し、効果発現があったものの、輸入の拡大、価格の下落による競争激化が続いております。また「シルク事業」は、国内需要の減少、コスト競争力の失墜により、収支改善が困難となっております。
   
2.構造改革の骨子
1)綿事業部門
  国内の自社での紡績・織布生産を含む不採算事業から撤退し、高付加価値、機能性、ファッション性を訴求する高級差別化素材と高機能性衣料の領域へ特化する。
@ 浜松工場・出雲織布技術センターを16年3月末で休止の上、中国上海華鐘紡織への設備・技術移転により、高付加価値糸のグローバル生産・販売を強化する。
A 長浜工場の綿加工事業を不採算品種の撤退及び海外移管により、16年度から約30%縮小(14年度対比)すると同時に、中国・インドネシアでの生産・開発体制を強化する。
B 高機能素材(ベルベリー、ナノデュウ等)、環境対応素材(ISOP クラブ)など、顧客起点に立った独自商品を企画・開発・提案する「長浜工場テキスタイル開発センター」の機能強化を図る。
   
2)羊毛事業部門
  国内の原料及び織糸等の不採算事業から撤退し、ユニフォーム事業を中核事業として推進する。
@ 大垣工場の羊毛加工事業を不採算品種の撤退及び海外移管により、16年度から約30%縮小(14年度対比)すると同時に中国での生産・開発体制を強化する。
A 毛糸事業は、高級ニット糸に特化し、中国における原料加工の強化、中山華鐘毛紡活用によるコストダウンを徹底する。原料を供給しているラクラン(豪州)及び有限会社鈴鹿ウールは、16年3月末で休止する。
   
3)シルク事業部門
  絹紡糸事業から撤退する。
@ 生糸事業はブラジル子会社へ移管するとともに、絹紡糸事業は、海外子会社における事業を含め撤収する。
A 現在、シルク営業部で行っている絹テキスタイル、ケミカル事業は、カネボウ繊維(株)へ移管する。
   
4)製品事業部門
  競争が激化している不採算OEM並びに在庫リスクの高いNB分野の見直しを実施し今後は自社差別化素材の最終顧客への販売を中心とした「取組型」製品事業に特化する。

 こうした構造改革により、固定費削減を実現し、ゼロ成長でも収益の出せる体制を確立してまいります。
 尚、事業構造改革に伴う従業員の取り扱いにつきましては、現在、労働組合と協議中であります。

<ご参考>
1.当社天然繊維事業の沿革
  明治20(1887)年 東京綿商社として創立(当社創立)
  明治22(1889)年 綿紡績工場操業開始
  明治38(1905)年 綿織布部門進出
  明治41(1908)年 絹紡績部門進出
  大正10(1921)年 絹生糸事業開始
  昭和10(1935)年 羊毛事業開始
  平成8(1996)年 繊維事業(合繊・天然繊維)分社化
  平成9(1997)年 カネボウ繊維株式会社創立

2.天然繊維事業の現況
1)売上高 608億円(平成15年3月期・連結)
2)国内工場の概要

   浜松工場(昭和45年11月操業開始)
     所在地   静岡県浜名郡
     従業員数 86名
     生産品目 綿紡績(綿糸、合繊糸、合繊混紡糸、ミシン原糸)
     生産量   8,562梱/年
   出雲織布技術センター
     所在地  島根県出雲市
     従業員数 34名
     生産品目 織布製造(綿、合繊、複合織物)
     生産量   4,189千m/年
   長浜工場(昭和5年11月操業開始)
     所在地   滋賀県長浜市
     従業員数  247名
     生産品目  プリント加工、染色加工
     生産量   35,579千m/年
   大垣工場(昭和16年9月操業開始)
     所在地   岐阜県大垣市
     従業員数  105名
     生産品目  毛織物
     生産量   3,713千m/年


2004年5月12日 クラレ

中国における人工皮革合弁会社の設立について
http://www.kuraray.co.jp/press/2004/040513/index.html

 当社は浙江禾欣実業股(セッコウヘーシンジツギョウシブン)_有限公司(以下禾欣公司)との間で、人工皮革の生産合弁会社を中国に設立することで合意に達し、近日中に合弁契約に調印する予定です。
 中国政府の認可が下り次第直ちに工場建設に着工し、2005年春から年産4百万m2の設備稼働を目指します。

 当社のマイクロファイバー人工皮革<クラリーノ>は、靴、鞄、ボール、手袋、衣料、インテリア等幅広い用途向けに全世界的に展開しており、世界のトップシェアを有しています。当社はかねてより中国市場の規模と将来性に注目していましたが、2001年末のWTO加盟を契機に中国市場の開拓に本格的に着手し、中国最大の合成皮革メーカーである禾欣公司と、スポーツシューズ用での取組みを開始しました。
 その後の急激な需要増に対応して、新たな生産設備設置につき両社間で交渉を進めてきました。その結果、両社の取組みにおいては、当面中国内需向けの靴・インテリア用途を中心に展開する構想であるため、中国国内においてマイクロファイバー人工皮革の生産合弁会社を設立することで合意に至りました。

  この提携により、当社としては、中国内需マーケットへの浸透とコスト競争力の確保による全世界展開の基盤強化が図れるものと考えています。他方で、禾欣公司としても、マイクロファイバー人工皮革事業への円滑な参入による総合人工皮革メーカーへの脱皮と、これに伴う中国最大の合成皮革メーカーとしての地位確保を達成出来るものと考えています。
 今後は、増大が見込まれる中国内需に合わせた規模拡大を図りつつ、全世界への販売展開を睨み、岡山事業所と連携した生産体制構築を目指していきます。

新会社の概要(予定)
会 社 名 : 禾欣可楽麗超繊皮(ヘーシンクラレチョウセンピ)(嘉興)有限公司
事業内容 : 人工皮革の生産、販売
所 在 地 : 浙江省嘉興市亜太工業園区(敷地面積約66千m2)
設立時期 : 2004年5月
董 事 長 : 沈云平(禾欣公司 現総経理)
総 経 理 : 顧建慧(禾欣公司 現副総経理)
資 本 金 : 10.5百万US$(約12億円) 出資比率:禾欣66.6%、当社33.4%
従業員数 : 約140人
売上規模 : 約30億円

設備の概要(予定)
生 産 能 力 : 年産 4百万m2
稼 働 開 始 : 2005年4月
設備投資額 : 約16億円

合弁相手会社の概要
会 社 名 : 浙江禾欣実業股_有限公司
事業内容 : 合成皮革の製造・販売
所 在 地 : 浙江省嘉興市城東路435号
設立時期 : 1988年(国営企業としてスタートし、1998年完全民営化)
董 事 長 : 朱善忠
総 経 理 : 沈云平
資 本 金 : 約10億円
従業員数 : 約1,600人
売上規模 : 約85


日本経済新聞 2005/4/1

合繊、振るわぬ内需 頼みの中国は自給進む

 原料高を背景とした合成繊維メーカーの値上げ表明が相次いでいる。東レは「原料高は自助努力だけでは吸収しきれない」(橋本和司取締役)として、ポリエステル長繊維・短繊維の値上げを表明。帝人ファイバーも長短繊維の値上げを打ち出した。いずれも昨年から3回目の値上げとなり、4月からの実現を目指している。
 もっとも各社の値上げ姿勢に勢いはない。原油高騰による合繊原料価格上昇が値上げの理由だが「要求分をすべて取りきれるかどうか・・・」(合繊メーカー幹部)といった声も聞かれる。合成繊維の国内需要そのものが振るわないためだ。

 例えば高純度テレフタル酸やエチレングリコールを原料とするポリエステル繊維。帝人ファイバーは3月初めに短繊維で1キロ15−20円の値上げを打ち出したが、長繊維での表明は3月下旬にずれ込んだ。同じポリエステルでも長繊維の需要は衣料向けの影響を受けやすく、足元の出荷量は落ち込んでいる。
 合繊の内需は長期縮小が続いている。2004年の生産量は112万トンと1997年に比べて約3割減った。
川下の衣料に始まった生産拠点の海外移転が織物など川中に波及、川上の合繊需要の減少となってはね返っているのだ。
 このため昨年末以降、合繊メーカーは減産の動きを鮮明にしている。暖冬などの影響で需要は一段と低迷、値上げ実現には需給引き締めを図らざるを得ない。帝人ファイバーの岡田豊取締役は「春物衣料の動きは今一つ。長繊維で昨年10−12月比10%の減産を続ける」と語る。
 アジア市場向けでも合繊の値上げはスムーズに進まない。
中国や韓国で設備増強が相次ぎ、アジア市場全体に供給過剰感があるためだ。現在、日本の合繊メーカーはストッキングや靴下などに使うスパンデックスで原料高を理由に中国向け輸出提示価格を引き上げている。各社とも現状より2割ほど高い水準を提示しているもようだが「汎用性の高い中国製品の価格低迷の影響を受けて、なかなか浸透しない」(商社)。
 「
合成繊維は中国がすでに自給を達成しつつあるという点で、石油化学などほかの素材とは根本的に異なる」。 ドイツ証券株式調査部の渡部貴人ディレクターはこう指摘する。多くの素材の一大市場である中国。その中国が買い手ではなくなったことで、アジア市場の合繊の需給緩和を招いたともいえる。
 合繊は設備増強ぺ−スが需要の伸びを上回り、アジア市場での供給過剰が定着した。ある合繊メーカー幹部は「設備増強が続く石油化学などほかの素材も、いずれ供給過剰に転じ、合成繊維と同じ道をたどる可能性もある」とみている。


2005/04/07 クラレ

Celanese Advanced Materials 社<ベクトラン>事業の買収について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=97806&lindID=4

 当社は、米国Celanese Advanced Materials Inc.(以下CAMI社)のポリアリレート<ベクトラン>繊維事業を買収することを決定し、4月1日CAMI社と契約を締結しました。CAMI社のベクトラン事業に関する資産すべてを買収します。買収時期は今月中の予定です。

 当事業は、米国サウスカロライナ州フォートミルに本拠を置き、北中南米・欧州向けに<ベクトラン>繊維の開発・販売を行っています。買収後は当社の米国現地法人のKuraray America Inc.(以下KAI社)の新規事業部として運営をしていきます。この買収により、クラレグループが世界でただ一社生産する<ベクトラン>繊維は、グループの事業方針のもと、世界市場でさらに強力に展開されることとなります。

 1997年の「マーズパスファインダー」に続き、2004年、火星に降り立ったNASAの探査機「スピリット」「オポチュニティ」が着陸に成功した背景には、<ベクトラン>製の特殊エアバッグの活躍がありました。CAMI社の米国市場での幅広い用途展開が、NASAによる採用に繋がりました。

 ポリアリレート<ベクトラン>繊維は、一般的にスーパー繊維と呼ばれる高強力高弾性率繊維です。優れた低クリープ性・非吸湿性・極低温化での高強力物性・耐湿磨耗性など高機能繊維として種々の特長を持っています。日本国内では、水産資材などの既存用途に加えて、イヤホンコード・成層圏飛行船膜材のテンションメンバー、バレーボール・テニスのネットロープや海洋調査用ロープ、プラスチックの補強材料などベクトランの性能が際立って活かせる用途での利用が進んでいます。

 さらに欧米市場では、ロープ、膜体の基布、防護手袋といった広範な用途に展開され、土木・建築資材、光ケーブル、さらには新規用途の分野で一層の成長が期待されます。

 当社の<ベクトラン>事業は、1990年に生産を開始して以来、CAMI社との密接な協力関係のもと着実に拡大してきました。今回の買収は、当社の繊維資材事業の先端材料である<ベクトラン>をさらに拡大し、当社が保有するビニロン・K−IIなど産業向け機能繊維と市場開発面でのシナジーを強化していく戦略に合致したものです。大市場である欧米市場を当社自らが手掛けることにより、一貫生産・販売体制を確立することができ、当市場の情報・ニーズをより早くより正確に捉え、事業拡大の一層のスピードアップが可能になります。さらには研究開発の日・米一元化により、先進的なニッチ分野の開拓を推進し中長期的な事業拡大に繋げていきます。

CAMI社の<ベクトラン>事業の概要
1)会社名:Celanese Advanced Materials Inc. Vectran Division
       (米国Celanese Corporationの関連会社)
2)所在地:米国サウスカロライナ州フォートミル(Fort Mill)
3)売上高:約6百万US$(2004年)
4)従業員:7名
5)これまでのクラレとの関係:クラレの原糸売りの欧米向け販売窓口(distributor)

KAI社の概要
1)会社名:Kuraray America Inc.
2)社長:吉野博明
3)本社:アメリカニューヨーク
4)資本金:8,702千US$
5)従業員数:37名
6)主要事業:クラレ製品の輸入販売、新規・既存製品の用途・市場開発、新技術・新市場の探索・情報収集


2007年1月22日 クラレ

スーパー繊維<ベクトラン>の生産設備増強
グローバル戦略の第一歩と位置付け

 当社は、このたびポリアリレート系のスーパー繊維<ベクトラン>の需要増加に対応するため、クラレ西条株式会社(愛媛県西条市)での生産設備を増強します。総額7億円を投じ、紡糸設備の新設と熱処理設備のデボトルを行い、現在の600トン/年から1000トン/年体制に持っていきます。完工時期は2007年10月の予定です。

 クラレは、
1990年に当時のクラレ西条工場で<ベクトラン>の生産をスタートさせましたが、2005年4月には米国サウスカロライナ州にあるCelanese Advanced Materials Inc.(CAMI社)の<ベクトラン>事業を買収し、当社の米国現地法人Kuraray America Inc.(KAI社)の新規事業部としてスタートしました。これにより、<ベクトラン>繊維はクラレグループが世界でただ一社生産することとなり、その後、世界市場での更なる展開・拡販を図っています。

 このポリアリレート系繊維<ベクトラン>は、一般的にはスーパー繊維と呼ばれる高強力高弾性率繊維として位置付けられます。<ベクトラン>は、高機能繊維として優れた低クリープ性・非吸湿性・極低温下での高強力物性・耐湿磨耗性など、他のスーパー繊維には見られない種々の特長を持っています。
  日本国内では、水産資材などの既存用途に加えて、イヤホンコード・成層圏飛行船膜材のテンションメンバー、バレーボールやテニスのネットロープ、海洋調査用ロープ、プラスチックの補強材料などベクトランの性能が際立って活かせる用途での利用が進んでいます。
 また、1997年の「マーズパスファインダー」に続き、2004年火星に降り立ったNASAの探査機「スピリット」・「オポチュニティ」が着陸に成功した背景には、<ベクトラン>製の特殊エアバッグの活躍がありました。CAMI社の米国市場での幅広い用途展開が、NASAによる採用に繋がりました。
 最近の欧米市場では、防護手袋、ロープ、膜体の基布といった広範な用途に展開され、土木・建築資材、光ケーブル、さらには新規用途の分野でも一層の成長が期待されます。

 当社は、CAMI社を買収したことにより、大市場である欧米市場を自ら手掛けることで、市場ニーズ・情報をより早く的確に捉えることができるようになり、さらには一貫生産・販売を行うことで、日・米・欧3極におけるベクトラン事業拡大のスピードアップが可能になりました。今回の設備投資をグローバル戦略の第一歩と位置付けています。

●設備概要

1.場  所:クラレ西条株式会社  愛媛県西条市朔日市892
        (社長:広瀬 靖弘  資本金:1,000万円 クラレ100%)

2.設備投資額:7億円
3.生産能力:増強分 400トン(600トン/年 → 1,000トン/年)
4.完工時期:2007年10月予定