PPTAアラミドフィルムの合弁会社設立および営業開始について
帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長島 徹)と旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:山本 一元)は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)フィルムの事業を行う合弁会社を新たに設立し、本年4月1日より営業を開始致します。
新会社の名称は「帝人アドバンストフィルム株式会社」で、今後は、これまで両社が蓄積してきたPPTAアラミドフィルムの技術を新会社に結集し、当事業に関するユーザーの様々な要望に応えていきます。
また将来的には、高い競争力を備えたPPTAアラミドフィルムにおける世界のトッププレイヤーを目指していきます。
詳細は下記のとおりです。
1.PPTAアラミドフィルムについて
(1)全芳香族ポリアミドの総称である「アラミド」は、さらにパラ系とメタ系に分かれます。パラ系の中で、ベンゼン環が直線状に並んだ剛直な分子構造を持つものをPPTAと呼びます。
(2)PPTAは、既に高剛性・高耐熱繊維として、帝人グループの「トワロン(Twaron®)」等の製品名で世界的に知られています。
(3)今回、新会社が扱うPPTAアラミドフィルムは、このPPTAから作られた高剛性・高耐熱性、且つハロゲンフリーの高機能フィルムです。
(4)PPTAアラミドフィルムは、本来一方向に極端に配向(整列)しやすい液晶溶液を原料としながら、画期的な溶液製膜技術によって縦横にバランスよく配向したしなやかなフィルムを実現したもので、ポリイミドフィルムの4倍という、フィルム素材として最高レベルのヤング率、約355℃という高いガラス転移点、そして有機素材として最も低い熱膨張係数を併せ持つ素材です。
(5)これらPPTAアラミドフィルムの持つ優れた特徴は、電子基板などに用いられる電気絶縁材料基材として、重要な要求特性を満足させるものと考えています。
2.合弁設立の経緯
旭化成は自社技術でパラ系アラミド(PPTA)の画期的な溶液製膜技術を開発し、1999年にアラミドフィルム事業を創業して用途開拓を進めてきました。
また、帝人はアラミドの原料・繊維・不織布などを事業化しており、アラミドをグループのコア事業の1つに位置付けて展開しています。
このたび、その両社の有するフィルムに関する技術・市場のノウハウを持ち寄ることにより、シナジーを最大限に引き出し、新規高性能材料としてのPPTAアラミドフィルムの事業展開を強力に推進していくことで合意し、合弁会社設立に至りました。
3.新合弁会社の概要
■会社名 | :帝人アドバンストフィルム株式会社(英文名:Teijin Advanced Films Limited) | |
■本社 | :東京都千代田区内幸町2丁目1番1号(飯野ビル) | |
■資本金 | :3億6,000万円 | |
■出資比率 | :帝人株式会社 67%、旭化成株式会社 33% | |
■代表者 | :代表取締役社長 加藤 純生(帝人株式会社) | |
■設立日 | :2003年3月5日 | |
■営業開始日 | :2003年4月1日 | |
■事業内容 | :PPTAアラミドフィルム(商標名:アラミカ®)の開発、製造および販売 | |
■販売地域 | :全世界 | |
■売上目標 | :2005年度 20億円、2007年度(設立5年目) 40億円 | |
化学工業日報 2000/8/22
旭化成、層間絶縁材にアラミド製極薄品を投入
旭化成工業は、プリント配線板のビルドアップ用に、接着層を含め15マイクロメートルの極薄化を実現したアラミド製層間絶縁材のサンプル供給を開始した。3層のプリプレグや銅箔を片面、両面に貼ったタイプを品揃え、リジッド基板の高密度実装向けに市場浸透を狙う。同社が開発したアラミドフィルムは、パラ系アラミド樹脂を特殊な製法により生産、腰があって極めて高い強度、耐熱性を示す。ここ数カ月のユーザー評価も良好で、新規製品として育成を急ぐ。
旭化成ホームページ 「コア・テクノロジー」
膜技術
ポリマー加工技術の一つとして、相分離技術や相転換技術、電気化学技術等のコア技術を用い、微多孔膜や機能性フィルムを創出しています。これらは化学工業・電子材料分野はもとより、環境浄化材料・医療材料等、幅広い用途で利用されます。
相転換技術
・ PPTAアラミドフィルム(アラミカTM)
日本経済新聞 2003/3/29
高強度繊維、欧州で増産 帝人、米デュポンに対抗
帝人は2006年までに約100億円を投じ、アラミド繊維の世界での生産能力を現在の15%増の年2万3500トンに引き上げる。戦略拠点の欧州に集中投資し、コスト競争力を高める。帝人は米デュポンと並ぶアラミド繊維の二大メーカーで、今後、アスベストの代替品や自動車用材料として需要が拡大するのを見越し、大型投資でデュポンをリードする考えだ。
アラミド繊維は強度と耐熱性に優れている。生産能力を増強するのは、防弾チョッキや光ファイバー補強材など幅広い用途で使われるパラ系アラミド繊維。帝人とデュポンだけが生産している。
オランダのテイジン・トワロン(アーネム市)の工場で新たな生産ライン(投資額約200億円)を4月に稼働させるのに続き、2006年にさらに1ライン稼働させる予定。同工場の生産能力は今年4月時点の年1万8500トンから年2万1500トンに増える。帝人は国内にも年2千トンの生産設備を持ち、世界全体で能力が15%拡大する。今回の増産で約90億円の増収を見込んでいる。
帝人によると、パラ系アラミド繊維の2002年の世界市場規模は約3万3千トン。自動車の摩擦材や屋根材に使われるアスベスト規制が強まりアラミド繊維への代替が進むなど、今後、年率6%の成長が見込まれる。
化学工業日報 2003/7/3
帝人、蘭でパラ系アラミド繊維の増設完了
帝人は2日、パラ系アラミド繊維の中核会社「テイジン・トワロン」(本社・オランダ・アーネム市)における増設工事が完了、同日操業式を開催したと発表した。年産7500トン能力の増設プラントを加えることで、1万8500トン体制を確立。松山事業所(愛媛県松山市)で生産する「テクノーラ」(2000トン能力)と合わせ、世界市場で50%のシェアを占めることになるとしている。
日本経済新聞 2005/3/6
帝人、高機能繊維を増産 オランダ工場で2割
195億円投資、世界首位に 光ファイバーや自動車向け
帝人は2006年7月から、自動車のブレーキ材や光ファイバーの補強に使う高機能のアラミド繊維を増産する。約195億円を投じてオランダ工場の生産能力を2割引き上げる。アラミド繊維の中でも強度や耐熱性に優れた「パラ系」と呼ばれる製品は需給がひっ迫し、市場規模も年率約10%拡大している。帝人は今回の増産でこの分野で生産量首位の米デュポンを抜く。
帝人の全額出資子会社であるテイジン・トワロン(アーネム市)が運営するエメン工場など2工場の生産能力を増強する。現在9つある製糸ラインを10ラインに増やす。パラ系アラミド繊維の年間生産量は今年7月時点の約1万9千トンから2万3千トンに増える。
アラミド繊維は帝人の産業繊維売り上げの約4割を占め、中でもパラ系は中核製品。世界で帝人と米デュポンの2社が生産している。デュポンは年間生産量を公開していないが2万トン強とみられ、帝人の増産で首位が入れ替わる見通しだ。
パラ系アラミド繊維は引っ張り強度が鉄の7−8倍あるうえ耐熱性に優れ軽量。ブレーキの摩擦材やタイヤの補強剤に使うタイヤコードなど自動車向けをはじめ油送管の補強材、防弾チョッキなどセキュリティー関連分野でも需要が急増している。
帝人もオランダ工場をフル操業しているが、需給がひっ迫していることから積極投資による増産で収益拡大を狙う。
▼アラミド繊維 ナイロンの一種。1974年に米連邦通商委員会が従来のナイロンと区別するために名付けた。分子骨格が全体に直線状のパラ系とジグザグ状のメタ系がある。パラ系は強度や耐熱性に優れ、メタ系も強い耐熱性を持つ。 |
2006年11月24日 帝人
パラ系アラミド繊維「トワロンR」の生産増強について
帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長島
徹)は、帝人グループでアラミド繊維事業の中核を担っているテイジン・トワロンB.V.(オランダ国アーネム市)の生産能力を、増設および付随する増産対応により約15%増強することを決定しました。本年11月に着工し、2008年末から順次立ち上げていく予定です。
パラ系アラミド繊維は強度、耐熱性、モジュラス、防護性などに優れた高機能繊維で、帝人グループのコア素材の1つです。国内においては帝人テクノプロダクツ(株)の松山製造所で「テクノーラR」を生産しており、2種類のパラ系アラミド繊維を持つ世界で唯一の会社として、その強みをフルに発揮して成長を遂げてきました。
このたび増設を決定した「トワロンR」は、自動車関連用途や安全・防護用途をはじめとして年率10%のペースで順調に需要が拡大しており、今後も革新的な用途開発を積極的に進め、さらなる成長を図っていきます。
詳細は下記のとおりです。
1.経 緯
(1)
タイヤコード、ゴム補強材、ブレーキ・ガスケット等の摩擦材、光ファイバー補強材、安全・防護用途、ロープ・ケーブル、コンポジット材料などに幅広く使われている「トワロンR」は、その需要の拡大から2003年、2004年、2006年と生産能力アップを続けてきました。
(2)
しかし、自動車関連用途、摩擦材用途、光ファイバー補強用途などを中心に、世界的な需要はさらに成長を続けており、これまでの増強によってもなお需給ギャップは解消していません。こうした玉不足の状態は当面続くと予想され、さらに新しいタイヤ補強材や木材補強用途など、有望な新規用途展開が期待されることから、このたび増設を決定しました。
2.増設の内容
(1)生産能力 : 約15%アップ
(2)着工時期 : 2006年11月
(3)稼動時期 : 2008年末から順次立ち上げ(予定)
(4)増設場所 : デルフザイル工場(Delfzijl)<原料・重合>
エメン工場(Emmen)<製糸>
【 参 考 】
テイジン・トワロンB.V.概要
1.会 社 名
テイジン・トワロンB.V.(TEIJIN TWARON B.V.)
2.設 立 2000年12月
3.本社所在地 オランダ国アーネム市
4.代 表 者 社長 Alberda Van Ekenstein(アルバータ・フォン・エッケンシュタイン)
5.従 業 員 数 約1,100名
6.事 業 内 容 パラ系アラミド繊維「トワロンR」の製造販売
化学工業日報 2007/4/3
帝人テクノプロ、FRP向けパラ系アラミド繊維事業化
帝人テクノプロダクツは、繊維強化プラスチック(FRP)向けに新たなパラ系アラミド繊維技術を開発、熱可塑性樹脂向けに本格事業化する。新規のサイジング技術を駆使することで樹脂中に均一に分散できるようにした。少量の添加で耐久性、耐摩擦性などを大幅に高めることができ、とくにナイロン66樹脂やポリアセタール(POM)樹脂など結晶性のエンプラに適している。すでにオランダの独立研究機関で機能が実証されており、今秋をめどに本格的な市場供給を始める。
パラ系アラミド繊維は軽量で高強度、耐熱性、摩擦特性、軽量性などに優れるという特性を持つため、樹脂やゴムにコンパウンドすることで素材の剛性や耐摩耗性を高めることができる。とくにゴム資材関連で幅広く使われているが、帝人テクノプロダクツではこのほど、熱可塑性樹脂への分散性に優れたアラミド繊維「トワロン」「テクノーラ」を開発、用途開拓を本格化する。
樹脂への分散性は新規のサイジング剤技術を繊維に施すことで実現した。とくに結晶性樹脂への分散が容易で、少量添加で製品の耐久性を大幅に高めることができる。ナイロン66樹脂にトワロンを5%添加した場合、摩耗率を4分の1程度に、15%添加すれば8分の1以下に低減できる。またテクノーラは剛性を付与するのに適しており、15%の添加で引っ張り強度、弾性率を倍以上に高められる。
帝人テクノプロダクツ株式会社
以下にあげる製品についての研究開発、製造、販売等
【1】アラミド繊維及びこれを使用した製品
【2】ポリ塩化ビニル繊維、無水酢酸
Teijin Twaron changes
name into Teijin Aramid
New name for leader in Aramid
fibers
As of today, Teijin Twaron will change its name into Teijin Aramid. This change of name affects all locations worldwide, from production and headoffice in the Netherlands to all sales offices in the various continents.
Why Teijin Aramid?
Over the years Teijin Twaron has become a leading supplier of aramid products, with around 50% market share worldwide. This leading position is the result of constant improvement of the performance of its products, achieved in close cooperation with its customers. Since the acquisition by the Teijin Group in 2000, Teijin Twaron evolved from one brand company (Twaron) to four aramid brands; Twaron, Technora, Sulfron and Teijinconex. Based on a firm belief in the future of the aramid market, the new name Teijin Aramid reflects accurately the present focus of the company and will allow fully expansion and further development of the product range.
This expansion is being supported by the Teijin Group, which considers high performance fibers (a.o. aramid) as one of the core business of the group. For the last seven years the Teijin Group has proved its commitment to the market by investing consecutively in capacity expansion for the aramid business.
What happens to the name Twaron?
Twaron is the flagship para-aramid product of Teijin Aramid and its name will remain unchanged. Twaron is applied in an unparalleled number of applications in the automotive industry, protective (bullet, fire and cut resistant) clothing, optical fiber cables, civil engineering and construction industries.
Teijin Aramid is an
international company that supplies customers throughout the
world with aramid yarn, fiber, and pulp under the trade names
Twaron®, Technora®, Sulfron®
and Teijinconex®. Twaron®
and Sulfron®
are produced by
Teijin Twaron in the Netherlands. Technora®
and Teijinconex®
are produced in
Japan.
Aramid finds its application in numerous markets, such as
automotive (tires, hoses, belts), aerospace, civil engineering,
construction, leisure goods (e.g. boats), protective clothing
(bullet-, fire- and cut resistant clothing), optical fiber
cables, friction and sealing materials and more. These worldwide
markets are served by a global sales and marketing network. The
laboratories and technical service centers of Teijin Aramid are
constantly improving the performance of its products and actively
supporting customers with the development of new products and
application areas.
Teijin Aramid is a member of the Teijin Group. Teijin is a global, technology-driven company, listed on the Tokyo and Osaka Stock Exchange with a market capitalization of USD 5.5 billion. It operates in five main business segments: synthetic fibers; films and plastics; pharmaceuticals and home health care; trading and retail; and IT and new products. Teijin's consolidated turnover amounts to USD 8.5 billion. Teijin has approximately 19,000 employees worldwide. (See www.teijin.co.jp for more information).
2007年9月4日 帝人
テイジン・トワロンB.V.の社名変更について
帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長島
徹)は、9月3日を以って、アラミド繊維事業の中核を担っているテイジン・トワロンB.V.(オランダ国アーネム市)の社名を、「テイジン・アラミドB.V.」に変更しました。
同社は、当社が買収した2000年12月以前からパラ系アラミド繊維「トワロン®」の製造販売を行っていますが、当社のグループ会社となってからは、帝人グループが独自開発したパラ系アラミド繊維「テクノーラ®」およびメタ系アラミド繊維「コーネックス®」をラインナップに加え、グローバル・ネットワークを活用して3種類の特徴あるアラミド繊維を市場に提供しています。
こうしたことから、このたび「テイジン・アラミドB.V.」へと社名変更し、これを契機として、今後は高機能繊維であるアラミド繊維による統合的ソリューションをグローバルに提供する企業として、国内でアラミド繊維事業を展開する帝人テクノプロダクツ(株)と共に、さらなる成長を図っていきます。
なお、これに伴い、世界各地の同社グループ会社の社名も変更しています。(*)
* 次のグループ各社も社名変更しました。(「Teijin
Twaron」 ⇒ 「Teijin Aramid」)
■ | Teijin Aramid USA Inc.(米国 ジョージア州) |
■ | Teijin Aramid GmbH(ドイツ ブッパタール) |
■ | Teijin Aramid Do Brasil LTDA(ブラジル サンパウロ) |
■ | Teijin Aramid Asia Co., Ltd.(中国 上海) |
■ | Teijin Aramid France Eurl(フランス ダーディリー) |
■ | Teijin Aramid Italy Srl.(イタリア ミラノ) |