日本経済新聞 2002/10/23        会社発表

産業資材用ナイロン 東レ、生産能カ倍増 
  2005年までに   エアバッグ需要増

 東レは22日、自動車のエアバッグなどに使うナイロン66糸の生産能力を国内外で2005年までに2001年度の2倍の年1万5500トンに引き上げると発表した。自動車の側面衝突時に乗員を保護するサイドエアバツグなどの需要拡大に応じる。エアバッグ関連の繊維事業の売上高を2007年度に2001年度比2.5倍の100億円に高める。
 国内では来年9月までに岡崎工揚(愛知県岡崎市)の生産能力を現在の3割増の年9500トンに高める。タイヤの補強材用に使う糸の生産設備を改良し、エアバッグ用に転用する計画。
 海外ではタイの子会社に生産設備を新設、2005年までに年6千トンの生産体制を整える。同時に、これまで北陸の織物業者などに委託していたエアバッグの基布となる生地も現地で年350万メートルの生産能力で自社生産を始める。総投資額は明らかにしていない。
 東レはエアバッグ用ナイロン66糸で米デュポンなどに次いで世界3位のシェアを持つ。世界需要は2001年で約6万トン。欧米や日本のほか東南アジアなどで採用車種が拡大し、2005年には年10万トン程度に需要が拡大する見込み。同社は増産で現在の10%の世界シェアを15%程度に高めたいとしている。


2002/11/1 日本経済新聞

衣料用ナイロン繊維 東洋紡に生産委託 旭化成、原料供給し年1500トン

 旭化成は東洋紡に衣料用ナイロン繊維の製造を委託する。旭化成は今年3月に
工場の火災事故でナイロン繊維の生産を休止。来年4月に産業資材用だけで生産を再開することを決めており、衣料用での提携先を探していた。
 製造を委託する衣料用のナイロン66繊維は、パンティストッキングやスポーツ衣料などに使われている。旭化成が東洋紡に委託する生産量は年1500トン前後になる見込み。事故前の旭化成の生産能力は同3千トンだった。
 旭化成が東洋紡に原料を供給し、東洋紡が糸を生産、旭化成が販売する。旭化成はレオナ工場、(宮崎県延岡市)で11月にナイロン66繊維の原料の生産を再開。同工場から東洋紡の敦賀繊維工場(福井県敦賀市)に原料を供給する。旭化成は来年の4月と10月に分けてレオナ工場での繊維生産を合計年3万2千トンの規模で再開する。ただ、衣料用に比べ糸の直径が太いタイヤ補強材用の紡糸機械を導入し、衣料用については生産から撤退することを決めていた。

 


2003/08/06 東レ

タイの原糸、プラスチック関係会社の統合について

 東レおよび、東レのタイ地域統括会社であるトーレ・タイランド社(TTH)は、このたび、タイにおける原糸事業とプラスチック事業の関係会社計3社を、今年10月に統合することを決定いたしました。統合するのは、
トーレ・ファイバーズ・タイランド社(TFL)、トーレ・ナイロン・タイ社(TNT)、および3TMプラスチックス社(3TP)で、TFLを存続会社として、新会社名は「タイ・トーレ・シンセティックス(TTS)」となります。新会社は資本金を22億バーツ(63億円、予定)として、ナイロン・ポリエステル長繊維、エンプラコンパウンド、CPPフィルム、蒸着フィルム事業を有する総合化学企業に再編され、初年度の売上高は185億円を計画しています。今回の統合は、各社の営業・生産・開発ノウハウを結集することで、タイのグループ素材事業の競争力を一層強化する一方、将来の事業拡大に向けて、より機動的な事業運営を推進するために行うものです。

 当社はタイにおいて、TFLとTNTで合繊事業を、TNTと3TPでプラスチック事業を展開してきましたが、近年は同国における自動車産業や包装用フィルム市場の急成長に伴い、TNTの樹脂コンパウンド事業拡大や、3TPのフィルム事業における蒸着ライン増設、TFLでは従来の衣料用ポリエステル長繊維に加えて、新たにエアバッグ用ナイロン原糸の生産を開始するなど、各社毎に事業を拡大してきました。しかし一方では、アジアにおける合繊市況の低迷や樹脂・フィルム業界における相次ぐ増設、新規メーカーの参入、さらには中国の台頭など、タイにおける事業環境は厳しくなっています。3社はこれらの環境変化に対応して、高機能素材の開発、新規用途・顧客の開拓に注力し、体質強化と事業拡大を推進してきましたが、今般、抜本的なグループ経営の強化策として、3社の統合を決定しました。新会社は引き続き、自動車産業向けをはじめとした基礎素材事業を拡大していくとともに、東レグループの経営改革プログラム“プロジェクトNT21”で掲げる「成長3領域」での新規先端材料事業への進出も視野に入れ、総合化学企業として発展・拡大してまいります。

 東レは“プロジェクトNT21”において、世界の成長地域に即した事業展開を主体的に運営するため「地域本部制への転換」を掲げ、中国、インドネシア、タイ、マレーシアにおいて各国別に統括会社を設立し、事業・収益の拡大を図っています。今回のタイにおけるグループ3社の統合も、昨年5月に設立されたタイ統括会社TTHによるタイでの事業拡大に向けた経営の構造改革の一環です。


I. 新会社概要(2003 年10 月予定)

タイ・トーレ・シンセティックス社 Thai Toray Synthetics Co., Ltd.
1.事業内容 (1)ナイロン・ポリエステル長繊維の製造販売
(2)ナイロン・PBT 樹脂コンパウンドの製造販売
(3)蒸着フィルム・CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムの製造販売
2.設立 2003 年10 月見込み
3.本社 タイ国バンコク市
4.資本金 22 億バーツ(63 億円)
5.出資比率 東レ66.5%、ラッキーテックス20.7%、MITSIAM10.5%、他2.3%
6.社長 (未定)
     
II.各社概要
1. トーレ・ファイバーズ・タイランド社 Toray Fibers(Thailand) Ltd. (TFL)
(1)事業内容 ポリエステル長繊維の製造販売(ナイロン長繊維の製糸設備を建設中 )
(2)設立 1991 年4 月
(3)本社 タイ国バンコク市
(4)資本金 20 億バーツ(57 億円)
(5)出資比率 東レ57.7%、ラッキーテックス19.9%、トーレ・ナイロン・タイ19.9%、MITSIAM2.5%
(6)社長 横山恒郎
     
2. トーレ・ナイロン・タイ社 Toray Nylon Thai Co., Ltd. (TNT)
(1)事業内容 ナイロン・ポリエステル長繊維の製造販売、ナイロン・PBT 樹脂コンパウンドの製
造販売
(2)設 立 1963 年12 月
(3)本社 タイ国バンコク市
(4)資本金 1.2 億バーツ(3.4 億円)
(5)出資比率 東レ45.0%、ラッキーテックス26.0%、MITSIAM 20.0%、他9.0%
(6)社長 横山恒郎
     
3. 3TM プラスチックス社 3TM Plastics Co., Ltd. (3TP)
(1)事業内容 蒸着フィルム・CPP フィルムの製造販売
(2)設 立 1988 年1 月
(3)本社 タイ国バンコク市
(4)資本金 1 億バーツ(2.9 億円)
(5)出資比率 タイ・トーレ・テキスタイル・ミルズ60.0%、東レ合成フィルム25.0%、
東洋メタライジング10.0%、東レ5.0%
(6)社長 渡辺敬