化学工業日報 2001/4/13 

東燃化学、無水マレイン酸、1・4BDから撤退

 東燃化学が川崎工場の無水マレイン酸、1・4ブタンジオール(1・4BD)の統合プラントを6月末で操業停止し、両事業から撤退することが明らかとなった。すでにユーザーへは説明を行っている。無水マレイン酸事業は主用途の不飽和ポリエステル市場の低迷が続いて収益性が低下している。1・4BDはPBT(ポリブチレンテレフタレート)向け需要の伸びが見込まれるものの、同社の生産規模では競争力に劣っていた。さらに、昨年秋からプラントトラブルが続いており、安定操業に不安を抱えていたことも理由とみられる。同社は事業構造の再構築を推進しており、2月にはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂事業売却を発表している。


化学工業日報 2002/2/20 

三井武田、大阪の無水マレイン酸1万トン設備停止

 三井武田ケミカルは、3月末で大阪の無水マレイン酸設備(年産1万トン能力)を停止することを決めた。マレイン酸需要が低迷するなか、余剰傾向が強まっていることを受け、鹿島工場に生産を集約、効率的な生産体制を構築するのが狙い。なお国内での無水マレイン酸設備の操業停止は、昨年6月末の東燃化学に次ぐもの。


化学工業日報 2002/6/4

丸善石化、DICとアルキルフェノール生産受委託

 丸善石油化学は、新日鉄化学とのアルキルフェノール生産受委託契約を2002年3月末で終了し、4月から新たに大日本インキ化学工業(DIC)と同契約を締結した。丸善石化と新日鉄化学は1995年から提携関係にあったが、新日鉄化学は97年に生産子会社をDICに売却して同事業から撤退した。DICによる生産受委託の継承は、実質的な事業者間による契約となったもので市場への影響は軽微とみられる。DICは、PTBP(パラターシャリーブチルフェノール)のシンガポール生産を決めるなど同事業を強化している。

 


1997/4/10 大日本インキ化学

アルキルフェノール生産設備の新日鐵化学よりの譲受について

 当社は、新日鐵化学の100%子会社である
広畑アルキルフェノール株式会社(兵庫県姫路市)より、その所有するアルキルフェノール生産設備を実質的に譲り受けることで新日鐵化学と合意に達し、近く同設備によるアルキルフェノール生産会社を新日鐵化学との合弁により設立することとなりました。
 新会社の社名は「
西日本ブチルフェノール株式会社」、資本金は4億円(出資比率:当社90鐵化学10%)で、本年5月1日より営業を開始する予定です。
%、新日 新会社は年間1万1000トンの生産能力を持ち、アルキルフェノールの中でも最も汎用的な製品であるPTBP(パラターシャリーブチルフェノール)を生産し、その販売は当社が行います。
 当社は、千葉工場に1万2500トンのアルキルフェノール生産設備を有し、PTBP、DTBP(ジターシャリーブチルフェノール)など6品目のアルキルフェノールを生産していますが、このたびの新会社設立を通じて、
東西の生産拠点による生産能力の拡大、生産の効率化をはかるもので、需要が伸びているポリカーボネート樹脂原料であるPTBPの増産を行うとともに、酸化防止剤・紫外線吸収剤などの樹脂添加剤および農薬用原料として需要の拡大が期待される特殊アルキルフェノールの供給能力を大幅に拡大します。
 現在、アルキルフェノールに関して、日本で7社が生産を行っていますが、欧米メーカーと比較すると規模が小さく、生産体制の効率化、流通コストの削減などによる事業構造の再構築が求められています。
 当社としては、このたびの実質的な生産設備の拡大を通じて、汎用品であるPTB Pの生産基盤の拡大による国際的な競争力の強化と特殊アルキルフェノールの拡充な どによる収益力の向上をはかります。


2002/1/22 大日本インキ化学

シンガポールにおけるPTBPの生産販売会社の設立について

 当社は、
アルキルフェノールのアジアにおけるトップメーカーとして、今後同地域で見込まれる需要増に対応するとともに、同事業、特にその1種であるパラターシャリーブチルフェノール(PTBP)の国際競争力の一層の強化を目指して、シンガポールに100%出資によるPTBPの生産・販売会社「DIC Alkylphenol Singapore Pte., Ltd.」を2002年3月に設立することとしました。
 新会社の資本金は1000万シンガポールドル(約7億円)。約20数億円の投資によりシンガポールのジュロン島サクラ地区に年間生産能力16,000トンのPTBP専用プラントを建設し、2003年々央の稼働を目指します。
 PTBPはポリカーボネート樹脂(PC)や油溶性フェノール樹脂の原料の1つ。主用途であるPCは、IT不況下においても世界的に市場を拡大しており、今後も自動車・電子情報・OA用途を中心に高い成長が見込まれていることから、メーカー各社はアジア地域において大幅な増設を計画しています。すでに表明されている計画を合計すると、その生産能力は向こう4、5年間で60万トン以上の増加となることから、同樹脂の生産に際して分子量の調整剤として用いられるPTBPの玉不足への懸念が高まっています。当社は、
千葉工場および90%出資の子会社、西日本ブチルフェノール株式会社において、合計25,000トン能力のアルキルフェノールプラントを有し、アジア地域への輸出も積極的に行っています。しかし、現在では両プラントともに高稼働率で推移し、これ以上の増産・輸出の余力がなく、さらに玉不足を懸念する需要家からの進出要請も高まっていることから、このほど他社に先駆けてシンガポールでの現地生産を決定したものです。
 当社は今後、国内における生産を国内および韓国・台湾メーカー向けに特化する一方、新会社においては上記以外のアジア向けに、主原料の調達および製品の消費に適した立地などの優位性をフルに活かした生産を行います。これにより当社は、PTBP事業のトータルコストを削減し、国際競争力を高め、世界市場における一層の地位強化を目指します。また、現地生産の開始にともない、千葉工場での生産は新会社の稼働状況および需要に合わせた体制とします。

 


2003/1/8 三菱化学

アルキルフェノール事業におけるスケネクタディー・コリア社への出資について

 三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:冨澤 龍一)は、アルキルフェノール事業について、米国スケネクタディー社(Schenectady International Inc.、以下「SII社」、本社:米国ニューヨーク州、CEO:ウォーレス・エー・グラハム(Wallace A. Graham))より、SII社が保有するスケネクタディー・コリア社(Schenectady Korea Ltd.、以下「SKL社」)持分の50%を平成14年12月31日付で取得いたしました。

 当社は、現在SII社との間で折半出資する油化スケネクタディー株式会社(本社:東京都千代田区、社長:新国 時生)を通じて、日本及びアジアでのアルキルフェノール事業を展開しておりますが、今回のSKL社への出資により、SII社との提携関係を一層強化し、日本及び韓国に生産拠点を持つことでより安定した供給体制を確保することができ、アジアにおいて急速に拡大するアルキルフェノール需要に対応してまいります。

 アルキルフェノールは、ポリカーボネート樹脂の重合調整剤や印刷インキ用樹脂原料、界面活性剤などに使われておりますが、特に日本及びアジアにおけるポリカーボネート樹脂の成長は著しく、同樹脂向けグレード(PTBP)の出荷量は順調に推移しております。このため、SKL社においても本年年央を目処として、新たにSII社最新技術を導入したポリカーボネート樹脂向けアルキルフェノールの生産を開始するとともに、生産能力の50%増強を計画しております。
今回当社が新たに出資したSKL社の概要は、下記の通りです。

1. 社  名 : スケネクタディー・コリア社 (Schenectady Korea Ltd.)
2. 発  足 : 平成13年12月
3. 資 本 金 : 52億ウォン
4. 本  社 : 韓国・ソウル
5. 工  場 : 韓国・麗水
6. 社  長 : シム・ジン・サブ、Jin Sub Shim
7. 出資比率 : 三菱化学社            50%
  米国・スケネクタディー社   50%
8. 事業内容 : アルキルフェノールの製造及び販売
9. 生産能力 : 7,000トン/年  (能力増強後 約11,000トン/年)
10. 売上高 : 115億ウォン(平成14年12月期見込み)

化学工業日報 2002/9/6

ユニチカ、PLA事業を拡大へ

 ユニチカは、生分解性プラスチックであるポリ乳酸(PLA)事業を拡大強化する。新規用途としてPLAのスパンボンド(長繊維不織布)素材が、地方自治体の最終処分場におけるごみ飛散防止シートとして評価を受けており、機能が評価されれば全国の最終処分場への本格採用に向け積極展開していく方針。同社は
PLAのナノコンポジットを本格事業化するためのプロジェクトを発足させるなど、ここにきてこれまで培ってきたPLA技術を発展させ実際の事業収益向上につなげようとする姿勢を鮮明にしている。


化学工業日報 2001/9/14

ユニチカ−豊田工大、ポリ乳酸の弾性率・耐熱性アップ

 ユニチカ中央研究所と豊田工業大学大学院工学研究科(先端高分子材料工学研究室)の岡本正巳講師は13日、生分解性プラスチックのポリ乳酸(PLA)について、弾性率と耐熱性の向上につながる技術を開発したと発表した。
PLAと層状ケイ酸塩のナノコンポジット化に成功、弾性率は従来に比べ2.4倍に高まることを見いだしたもの。これまで一部の研究機関で1.2倍程度の値は報告されていたが、2.4倍という高弾性率を達成したのは世界で初めて。より高い強度と耐熱性が求められるフィルムや繊維などの押出成形品、シートからの真空・圧空成形品、射出成形品など各種成形品への応用が期待されるほか、溶融時の溶融粘度制御も可能となり、従来難しかった発泡体や発泡シート、ボトルなどの成形にも応用できる。ユニチカでは新技術の早期実用化を目指し、こうした新規用途へ積極展開していく。


日刊工業新聞 2003/7/3

ユニチカファイバー、竹とポリ乳酸を複合した成形品開発

 ユニチカファイバー(大阪市中央区、山田直伯社長)は京都工芸繊維大学の木村照夫教授らと共同で、竹繊維とポリ乳酸を複合した成形品の開発に成功した。竹を補強材にして、生分解性を損なわずにポリ乳酸樹脂で作る成形品の強度を8割方高めることできた。竹の有効利用法としても期待される。

 同社と木村教授らは竹繊維とポリ乳酸を原料にした繊維を混ぜて作った紙を加熱圧縮し、成形品を作る方法を確立した。原料がトウモロコシ由来のポリ乳酸と竹であり、生分解性のある成形品ができた。

 具体的には水に浸して撹拌、脱水した竹パルプとポリ乳酸繊維を混ぜ、手すき機によって湿紙を作成。この湿紙に190度Cの熱を加え、圧縮成形することで溶けだしたポリ乳酸が竹繊維と竹繊維をつなぐバインダーの役目を果たす。竹も補強材になり、ポリ乳酸成形品の強度を高める。


日刊工業新聞 2002/6/12

三井化学、生分解性樹脂事業に本格参入

 三井化学は、植物原料の生分解性樹脂「ポリ乳酸(PLA)」事業に本格参入した。
提携先の米カーギル・ダウから調達したPLAをベースに拡販と用途開発の布陣を構築。国内販売で1万トンを目指す1、2年後には、普及の課題となるコストで1キログラムあたり300円以下を狙う。並行して02年度内には現在比10―15%コストを抑えたPLAの量産化技術も完成させて、生分解性樹脂の市場創造に弾みをつける。

 三井化学は「戦略的事業開発単位(SBDU)」としてPLAの事業化を探っていた「
LACEA開発室」を「事業室」に格上げした。全社的SBDUの中で企業化が決まったのは長繊維強化複合材料、有機半導体基板に続いて3番目。用途開発に必要な物性などを把握するために「マテリアルサイエンス研究所」にも新たに担当を置いた。

 PLAはトウモロコシなどの植物に含まれる糖分を原料にした生分解性樹脂。


2002/4/2 Cargill Dow

Cargill Dow's World-scale Manufacturing Facility Comes On Line

 Minneapolis-based Cargill Dow LLC announced today the grand opening of the world's first global-scale manufacturing facility capable of making commercial-grade plastic from annually renewable resources such as ordinary field corn.

 What this announcement means for the global packaging industry is a significant increase in the commercial availability of NatureWorks TM PLA. According to Jim Hobbs, commercial director for packaging, this, in turn, will help spur the introduction of even more consumer products made with NatureWorks throughout 2002 and 2003.

 "The grand opening signals an exponential increase in the amount of product we can deliver to the market," Hobbs said. "It is also a clear sign to the packaging industry that we are a serious player and have the capacity to be more than just an innovator, but a true global leader."

 Cargill Dow has been aggressively pursuing a range of packaging applications and has successfully test marketed and launched products in Europe, Asia Pacific and North America. Prior to the completion of the Blair, Neb., facility, the company was producing a limited amount of PLA at its semi-works facility outside of Minneapolis. While the semi-works facility was, at that time, the largest polylactide (PLA) plant in existence, it lacked the size and scope to meet the true global demand for Cargill Dows breakthrough material. All of that has now changed with the Blair facilitys grand opening.

 Encompassing more than 16 acres of Missouri River bottomland in Blair, Cargill Dows new facility stands on a site that was once, itself, a cornfield. The plant is capable of producing more than 300 million pounds (140,000 metric tons) of NatureWorks PLA per year and uses up to 40,000 bushels of locally grown corn per day as the raw material for the manufacturing process.

 In essence, the facility harvests the carbon naturally stored in simple plant sugars when a plant, in this case corn, undergoes the process of photosynthesis. Through a process of simple fermentation and distillation, Cargill Dow is able to extract the carbon and use it as the basic building block for commercial grade plastics and fibers. In contrast to traditional thermoplastics that rely on the earths finite supply of petroleum as a base feedstock, the company is using raw materials that are annually grown and in abundant supply.

 From the corn planter to the retail counter, NatureWorks PLA has a lifecycle that reduces fossil fuel consumption by up to 50 percent. In addition, the process to make NatureWorks PLA generates 15 percent to 60 percent less greenhouse gases (GHG) than the material it replaces. Research also shows that technology advancements in PLA could allow up to 80 percent to 100 percent reduction in GHGs.

 "While the environmental and sustainability aspect of NatureWorks PLA is a significant driver of interest in Cargill Dows products, what really closes the sale is the polymers unique range of performance attributes," Hobbs said. "Were offering a range of film, rigid and bottle applications that have physical properties equal to or better than incumbent materials".

 "Brand owners can also experience significant market differentiation by packaging items in our material," he continued. "For example, grocery and food retailers can now introduce concepts such as natural in naturalwhere they can sell products, like produce, in a natural-based package that performs as well as existing materials."

 The versatility of the resin allows it to be used in film, rigid and bottle applications. Some of the inherent physical properties that make the resin popular with converters, brand owners and retailers include high gloss, superior clarity, excellent optics, strong deadfold, heat-seal ability, flavor retention, odor barrier and the ability to process on existing equipment.

 In addition, NatureWorks PLA is approved for food contact and is compatible with all standard waste management systems. One of the key selling points in Europe and Asia Pacific has been the fact that the plastic will fully decompose in municipal and industrial composting systems.

 Founded in 1997, Cargill Dow LLC is based in Minnetonka, Minn. It is the first company to offer its customers a family of polymers derived entirely from annually renewable resources with the cost and performance necessary to compete with packaging materials and traditional fibers. The company has achieved this breakthrough by applying its unique technology to the processing of natural plant sugars to create a proprietary polylactide polymer. For more company information, please visit the Cargill Dow Web site at
http://www.cargilldow.com.


2001/9/26 カーギル・ダウ、三井化学

カーギル・ダウと三井化学、植物由来のグリーンプラ、ポリ乳酸の事業提携

 カーギル・ダウLLC (本社:米国ミネソタ州、社長兼CEO :ランディ・ハワード)と三井化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:中西宏幸)は、本日、植物由来のグリーンプラ
*1 :ポリ乳酸(PLA )の事業開発において提携することに合意し、契約を締結いたしました。
 これは、PLA の商業化で世界をリードするカーギル・ダウと日本の代表的な化学会社である三井化学が、日本とその他の世界市場でPLA の市場開発を加速させることを目的としたものです。この契約により、PLA の用途開発に関する特許および技術情報の交換が両社間で可能になり、また、両社の顧客はカーギル・ダウあるいは三井化学が保有する幅広い特許について懸念なく事業を進めることができます。
 さらに、三井化学はカーギル・ダウが生産するPLA の日本における開発および販売を独占的に行うことが可能になります。

カーギル・ダウ 社長 ラ ンディ・ハワード:
「日本は、世界の中でPLA の開発が最も進んでいます。三井化学との契約は両社にとって理想的なものです。毎年再生することが可能な資源により、石油ベースの材料を置き換えていくという新たな産業革命への一歩となるでしょう。」

 PLA は米国のコーンなどの植物由来の糖分を原料として製造される天然系の樹脂です。PLA は、醗酵と蒸留といった化学プロセスをベースに、重合により容易に製造されます。カーギル・ダウはポリ乳酸「Nature Works TM PLA *2 」を製造する設備を、世界最大規模でネブラスカ州ブレアに建設しています。設備は2001 年末に完工予定であり、フル稼働時の生産能力は年産14 万dに達します。

三井化学 社長 中西宏幸:
「三井化学にとって、PLA の世界的リーダーであるカ−ギル・ダウと本契約に合意できたことは非常に喜ばしいことです。カーギル・ダウと三井化学の専門知識・技術の相乗効果によって、PLA 市場の拡大が加速されると期待しております。」

 三井化学はパイロットプラントで生産した「LACEA R PLA *3 」により、技術、市場の開発を行ってきました。LACEA R PLA を使って開発された材料・加工・用途技術は、カーギル・ダウが製造するPLA にも適用できることを確認しています。三井化学はカーギル・ダウのPLA を用いて、LACEA
® の名前でマーケティングを続けていきます。

 現在、日本はPLA の開発と商品化において世界でトップの位置にあります。カーギル・ダウは、今後もカネボウ合繊(株)、(株)クラレ、三菱樹脂(株)、ユニチカ(株)には、Nature Works
TM PLA の供給を続けていきます。日本におけるPLA の用途は、包装・容器、農業・土木、コンポスト関連、スポーツウエアや寝具製品などの繊維製品など多岐にわたります。
 市場をさらに拡大していくために、カーギル・ダウと三井化学は協力して、PLA のライフサイクルアセスメントの検討を行っていくとともに、食品容器に使用できることを示すポリオレフィン等衛生協議会のポジティブリストにPLA が掲載されることを目指していきます。また、日本の生分解性プラスチック研究会が制定したグリーンプラ認証制度とロゴの普及、ならびに生分解性プラスチック認証の国際的な標準化に努めていきます。
 1997 年、ミネソタ州ミネトンカに設立されたカーギル・ダウは、毎年再生することが可能な天然資源由来のポリマー製品を、包装材料や従来の繊維に競合できるコストと性能で市場へ提供した世界最初の会社です。カーギル・ダウ独自のユニークな技術を糖類の加工に応用することにより、PLA 製造へのブレークスルーに成功しました。ボトルの射出ブロー成型、発泡体、エマルジョン、中間化学材料などの用途に利用が期待されており、これらを含めて2010 年には世界で450 万トン/年の需要が見込まれています。
 三井化学は、東京に本社をおく総合化学会社であり、石油化学品、基礎化学品、機能樹脂および機能化学品などを主たる事業としております。2000 年度の連結ベースでの売上高は9 ,398 億円、また営業利益は545 億円です。三井化学は、戦略的事業開発単位としてLACEA R PLA の開発に注力し、製造・材料・加工・用途技術のブラッシュアップにつとめ、市場開発を積極的に進めてきております。

*1 グリーンプラは日本における生分解性プラスチックの愛称です。
*2 Nature Works はカーギル・ダウの商標です。
*3 LACEA は三井化学の登録商標です。


2002/3/29 三菱樹脂

植物系プラスチックフィルム「エコロージュ」の事業体制を拡大強化

 三菱樹脂株式会社は、カーギル・ダウ社(本社:米国ミネソタ州)のポリ乳酸製造プラントの本格稼働を受け、4月1日より組織変更を実施し、事業拡大に向けて事業体制の拡大強化を図ります。

 当社は、2000年1月から3年計画で植物系プラスチック事業の推進を全社プロジェクトとして取り組んできました。今般、事業展開の大きな制約となっていた原料(ポリ乳酸)の供給が、主要原料供給元である
カーギル・ダウ社の本格生産プラント(米国ネブラスカ州、年産14万トン)の4月からの本格稼働により、大量のポリ乳酸を入手できることが確実となりました。加えて、当社のフィルム・シート製品の品質・性能の改良が進み、実市場によるユーザーの製品評価、販売の拡大実現を見込める段階に到達したとの認識より、全社プロジェクトチームを1年繰り上げて発展的に解消し、4月1日付にて、新たに本社組織として「エコロージュ部」に昇格させ、本格的事業拡大に向けて販売体制も大幅に強化いたします。

 植物系プラスチックフィルム・シート「エコロージュ」は、原料のコスト高と原料供給枠の制限のため、市場の拡大が遅れてきましたが、カーギルダウ社の大型生産プラントの計画及びこれに呼応した欧米大手化学会社の相次ぐ原料投入計画により、将来に向けコスト競争力が大幅に改良される見込みです。品質面でも、本格生産設備による積極的な検討により、生産・フィルム加工技術についても大幅な技術改良が達成され、主製品である延伸熱固定フィルムを中心に収縮フィルム、無延伸フィルムを含めて製品の品質対応の幅も大幅に拡大しており、広範な顧客の要請に応えることができる体制も整いつつあります。また、これに呼応して、当社では、今後2〜3年で総額20〜30億規模の設備投資を順次行っていく計画です。

 今後は、当社のコアーテクノロジーであるフィルム加工技術を中心に、フィルム・シート分野での早期の販売拡大を積極的に図ると共に、関係会社も含めた三菱樹脂グループの総合力で、ポリ乳酸を主要原料とする植物系プラスチック製品の立ち上げを推進していきます。

【用語解説】
 ポリ乳酸

トウモロコシなどからつくられるデンプンや糖類を発酵させて得られる乳酸を重合し、製造される植物系原料の生分解性樹脂。マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、バイオリサイクルが可能な"循環型資源"として注目されています。

 延伸フィルム

プラスチックを強度向上などの機能性を与えることを目的に、ガラス転移点以上融点以下で縦もしくは横方向だけ、または縦横2方向に延伸して分子配向を与えたフィルム。延伸していないフィルムを無延伸フィルムという。


2002/06/26 三菱樹脂

ブリスター包装、キャラメル包装、オーバーラップシュリンク包装用
     植物系生分解性フィルム・シートの技術開発に成功
         ソニー製ポータブルラジオのブリスターパッケージとして初採用

 三菱樹脂株式会社は、植物系生分解性プラスチック事業の主力となるフィルム、シート分野で、透明性を保持したまま耐熱性と耐衝撃性を兼ね備えた成型用シートの開発やキャラメル包装、オーバーラップシュリンク包装の要求品質を満たした包装用フィルムの開発に成功いたしました。なお、今回開発した成形用シートは、7月からソニー株式会社製ポータブルラジオのブリスターパッケージに採用されることになりました。

 当社の植物系生分解性プラスチック製品の主原料であるポリ乳酸は、生分解性という特長がある反面、他の汎用樹脂と比較して、一般に耐熱温度が低く、耐衝撃性や柔軟性も低いため、さまざまな包装用の素材としての実用的な要求品質を満たしていませんでした。当社は、長年培ってきたコア技術である "高分子材料設計技術"と"フィルム加工技術"により、従来の生分解性フィルム、シートにはない広範な品質対応ができるよう改良を進めてきました。その結果、透明性を保持したまま耐熱性を向上させ、また耐衝撃性も改良した成形用シートの開発に成功し、その初めての採用例として7月からソニー株式会社製ポータブルラジオ「ICR−P10」のブリスターパッケージ包装の成形用シートに採用されることになりました。また、世界で初めてとなるフィルムの両面にヒートシール性を付与したキャラメル包装用フィルムの開発や低温で高い収縮率を発揮するオーバーラップシュリンクフィルムの開発にも成功、これらの包装形態において実用的な生分解性プラスチックフィルム、シートを顧客に提供できる体制が整いました。

 当社は、1992年から植物系生分解性プラスチックの事業開拓を進めてきましたが、本年4月の米国
カーギル・ダウ社のポリ乳酸大型製造プラント稼働に呼応して、事業体制を強化し、主力分野であるフィルム、シートの生産体制も強化しています。今後も包装資材分野において、より高範囲な市場からの要求に応えられるフィルム、シートを開発していくことにより、積極的な事業展開を進めていきます。

<用語説明>
・ブリスターパッケージ
   商品の形にあわせて膨らましたプラスチックシートと、厚紙とを合わせて商品をパッケージする包装形態です。
   
・キャラメル包装
   その名前の通りキャラメルの包み方と同じ包装形態です。
   
・オーバーラップシュリンク包装
   被包装物全体にフィルムをかぶせて、シール後、熱収縮させる包装形態です。
   
・ポリ乳酸
   トウモロコシなどからつくられるデンプンや糖類を発酵させて得られる乳酸を重合し、製造される植物系原料の生分解性樹脂。マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、バイオリサイクルが可能な"循環型資源"として注目されています。

 


化学工業日報 2000/11/14

三菱ガス化学、脂肪族ポリエス系生分解性プラを事業化

 三菱ガス化学は、生分解性プラスチックを事業化する。2001年初に鹿島工場で数百トンレベルのパイロットプラントを稼働させる。
2004年には30億円を投じて1万トン規模の量産プラントを建設する計画で、事業規模40億円を目指す。同社の脂肪族ポリエステルカーボネート「ユーペック」は熱安定性、強度に優れ、生分解速度の調節も可能。窒素を含まないので副生物の不安は少ないという。農業用マルチフィルムなどの需要にめどが立ったことから、事業化を決めた。海外市場開拓も進める方針。脂肪族ポリエステルは生分解性が確認されていたものの高分子化が難しいとされていたが、同社は脂肪族ポリカーボネートと共重合することで、その問題を解決した。共重合比率を変えることにより、生分解速度の調節も可能にしている。各種成形加工に対応でき、グレードにより95−110度Cの融点を持つ白色成形体となる。


Chemnet Tokyo 2001/7/30

生分解性プラスチックを巡って
    生分解性プラスチック研究会 大島一史

緒言:
   使用中は通常のプラスチック製品と同質の機能を持つグリーンプラ( 生分解性プラスチック )は,使用後は例えばコンポスト化装置により有機性廃棄物と共に微生物によってバイオマス形成に関わった後,最終的には二酸化炭素と水に分解する。
 有機性廃棄物と共に資化されコンポスト化される事をグリーンプラの姿形を変えた "再資源化" と捉え "バイオリサイクル" の一翼を担うと考える。グリーンプラは極めて今日的な素材であり,特性を生かした用途開発が盛んで,既に実用化されている製品も多くなった。
   
プラットフォームの整備:
   グリーンプラを巡る環境は大きく変わった。
 生分解性試験法の国際標準化(1999)とJIS化(2000)・環境関連6法成立(2000)・グリーンプラ識別表示制度発足(2000)・食品廃棄物リサイクル法基本運営方針でのグリーンプラ活用の明記化(2001)・識別表示制度の世界統合化への動き(2001)等,グリーンプラの普及・実用化に向けたプラットフォームの整備が急速に進んでいる。
   
グリーンプラ識別表示制度の世界統合化:
   生分解性プラスチック研究会は2000年6月16日から "グリーンプラ識別表示制度" を発足させ運営している。また2001年度にはコンポスト化に関わる規格を加え,欧米の同種制度との統合に向けた作業を開始した。
 具体的にはドイツに於けるグリーンプラ製品認証機関であるDIN CERTCO,及び米国のBPI(生分解プラスチック製品協会)と共通規格制定に関わる覚書を締結し(2001年3月及び4月),実質的な世界標準規格制定に向けて歩み始めた。
   
食品廃棄物再資源化への関わり:
   ドイツでは今春からカッセル市で食品廃棄物再資源化モデル事業が大規模に進められており,グリーンプラ製品の資源循環型社会に於ける補完資材としての位置づけが認知されるかどうかに注目があつまっている。
 我が国でも有機系廃棄物の再資源化及びゼロエミッションシステムを通しての資源循環型社会への移行が本格的な国家施策となった事を反映して,小規模地方自治体でグリーンプラ製コンポストバッグを利用した分別排出・分別収集・コンポスト化による再資源化システムの実証試験が展開されている。
   
市場動向:
   1990年代初期に100トン弱で始まった我が国のグリーンプラ市場も,1,600-2,000トン(1998),2,500-3,000トン(1999),昨年度は3,500-4,000トン(2000)と拡大しており,本年度は更に大幅な成長が予測される。
 その背景にはマルチフィルム・育苗用ポット・土嚢等農林土木用素材の大きな展開とグリーンプラ識別表示制度の認知がある。
 昭和高分子は2003年前後に現在の3千トン/年規模のビオノーレ(PBS)生産設備の2万トン規模への増設を,またダイセル化学工業が現行千トン/年規模のセルグリーン(PCL)生産設備の5千トン規模への拡大を発表している。三井化学も現行5百トン/年規模のレイシア(PLA)生産設備の拡大を計画している模様であり,カーギル・ダウの巨大とも言えるプラント稼働(本年秋口)に引き続いたグリーンプラ製造プラント増設が続き,価格問題は今や数年先には解決されると考える。
 2000年を元年とする循環型社会への移行に加えて,供給側の体制整備及び用途拡大が相俟って2003年度におけるグリーンプラ市場を2万トンと当研究会では想定している。更に2010年代後半には全プラスチック製品市場の10%台をグリーンプラ製品で置き換える事を将来目標としており,実現に向けた戦略策定が当研究会の最大課題である。

 


2002/06/12 ソニー

植物原料プラスチックを筐体に採用したウォークマンを商品化 
     筐体重量比9割以上に採用
 
 ソニーは、自然環境の保全に関する取り組みの一環として、植物を主原料とするプラスチックを電子機器筐体に採用する技術を確立し、第一弾として今秋発売予定のウォークマン1モデルに採用する予定です。 

 今回採用する植物原料プラスチックは、トウモロコシから作られるポリ乳酸※1をベースとしています。従来のポリ乳酸は、電子機器の筐体のような耐久消費財に用いるには十分な物性がありませんでしたが、今回三菱樹脂(株)および三宝化成(株)と共同で改良を加え、筐体にふさわしい耐久性と耐熱性、耐衝撃性、成形性を実現し、筐体の9割以上(重量比)に採用する予定です。 

 植物原料プラスチックは、毎年生産できる植物資源を主原料としているので、石油から作られる通常のプラスチックに比べて枯渇性資源の節約を図ることができます。廃棄後はコンポスト施設※2等で微生物や酵素により徐々に分解し、最終的には二酸化炭素と水と無機質になります。焼却した際も、ハロゲン物質を含まないので、ダイオキシンを発生させる原因となりません。なお、材料リサイクルも技術的に可能です。 

 また、植物原料プラスチックは、透明シートを熱成形することで製品の包装材にも応用が可能で、7月より小型ラジオのパッケージに採用される予定です。 

 ソニーはこれまで無鉛はんだやハロゲンフリーのプリント配線板の導入等、環境に配慮した材料を積極的に商品に採用してきました。今後も様々な商品とその製造過程において、環境負荷を可能な限り低減できる関連技術の確立および商品化に努めてまいります。


(注)

※1 ポリ乳酸:
   トウモロコシやジャガイモなどのデンプンや糖類を乳酸菌で発酵させ、さらに 化学的に結合(重合)して作られるプラスチック。生分解性があり、環境中で徐々に分解し、最終的に水と二酸化炭素になる。 
※2 コンポスト施設:
   落ち葉や生ごみ等の農業廃棄物を利用して堆肥を作る施設。温度、湿度が高く、微生物が住み、落ち葉や生ごみを自然分解するのに都合の良い環境となっている。

 


1996/5/30 興人/三菱化学

興人とのCVF事業提携

 株式会社興人(本社:東京都港区、社長:野口 秀雄)と三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:三浦 昭)とは、現在両社それぞれに於いて事業展開しているコンバーティング・プラスチックフィルム(以下「CVF」という。)事業について、今般、販売部門を、新たに発足する合弁会社に統合一本化(営業開始平成8年10月予定、詳細は別紙をご覧下さい。)する事を決定、あわせて3年以内の極力早い時期に、製造部門も本合弁会社に統合することで合意いたしました。
 興人と三菱化学は、CVFの一部に関し両社の共同投資により製造設備を共有しておりますが、今回の統合により、製販一体化の体制に向かって、更に提携を強めて行くことになります。

 コンバーティング・プラスチックフィルムとは、別紙販売品目に記載されているような各種フィルムの総称で、これらを貼り合わせた上で、主として食品用包装袋として使用されるものです。

 CVF業界を取り巻く環境は、数量的にはここまで比較的堅調ではありますが、価格的には低迷が続いており、最近では、海外品の流入が顕在化しつつあるなどますます厳しい状況となっております。このため、トータルコスト削減はもとより、品揃えの拡充、新規用途開発、技術サービスの強化などの事業基盤の強化が業界各社の大きな課題となっております。

 こうした中、両社は、抜本的対策として両社事業を統合、新体制のもとかかる課題に強力に取り組み、販売力の強化を図ることで認識が一致し、今回の提携と成ったものであります。


新合弁会社の概要

社   名   未定 →三菱化学興人パックス  
資 本 金   4億円(興人50%、三菱化学50%)  
社   長   足達 哲之(現興人専務取締役)  
販売品目   ・二軸延伸ナイロンフィルム
・二軸延伸ポリエステルフィルム(包材用途向け)
・二軸延伸共押出ナイロン系バリアフィルム
・リニアローデンシティポリエチレンフィルム
・ガラス蒸着バリアフィルム
・セロファン
 
売上げ見通し   初年度      75億円(6カ月間)
平成10年度  200億円
 
営業開始予定   平成8年10月1日  

2002/06/27 三菱化学、興人         興人 プラスチックフィルム事業の体制強化

コンバーティング・プラスチックフィルム事業の再編について

 株式会社興人(本社:東京都中央区、社長:横田勝行)と三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:冨澤龍一)は、このたび両社折半出資の合弁会社である「三菱化学興人パックス株式会社」(本社:東京都港区、社長:矢谷吉紀)を通じて行ってきたコンバーティング・プラスチックフィルム(CVF)の販売に係わる合弁事業を本年9月1日付にて解消することに合意いたしました。

 これにより興人社はCVF事業を自社で継続し、三菱化学社は同日付をもって、同社のCVF事業(ナイロン系及び透明蒸着ハイガスバリアフィルム)を
三菱樹脂株式会社(本社:東京都千代田区、社長:菅澤武彦)に移管することといたしました。従いまして、合弁解消後は、三菱化学興人パックス社(MKP)が販売しておりましたナイロン系CVFについては興人社及び三菱樹脂社が、また、透明蒸着ハイガスバリアフィルムについては三菱樹脂社が、それぞれ製造、販売を行うこととなります。

 また、MKP社が販売しておりました三菱化学ポリエステルフィルム株式会社が製造する包材用途向け
二軸延伸ポリエステルフィルムについては、同社が直接販売いたします。

 この合弁解消に伴い、MKP社が現在使用している「三菱」商号の返戻については、現在手続き中であります。

 興人社及び三菱化学社は、価格競争、海外品の流入増加等事業環境が厳しいCVF事業において、トータルコストの削減、品揃えの拡充、新規用途開発及び技術サービス強化等事業基盤の強化を目的として、平成8年春に事業統合することで合意し、同年10月1日に販売部門の合弁会社 MKP社を設立いたしました。

 しかしながら、景気低迷の長期化とそれに伴う価格下落は、MKP社設立時以上に厳しく、このため、両親会社及びMKP社はCVF事業の再構築について種々検討してまいりましたが、両親会社のグループ会社を含めた今後のCVF事業の位置付けが異なることから、今回MKP社を通じて行ってきたCVFの販売に係わる合弁事業を解消し、両社それぞれが持つ特質と優位性を発揮して、各々で今後の事業展開を行うことが両社にとって最善であるとの結論に達しました。

 合弁解消後は、興人社はフィルム・化成品事業部にてナイロン系CVFの製造・販売を行い、また、三菱樹脂社はフィルム包装材事業部にてナイロン系CVF及び透明蒸着ハイガスバリアフィルムの、製造・販売を行います。それぞれの取扱品目は、別表の通り(略)であります。
なお、今後も両社は、相互に相手方の製品を商社的に取り扱うことができることとしております。

[三菱化学興人パックス株式会社の概要]
1.本社 :東京都港区
2.資本金 :4億円(興人社、三菱化学社折半出資)
3.社長 :矢谷吉紀
4.事業内容 :次の製品の販売
  二軸延伸ナイロンフィルム(ボニール)
  包材用途向け二軸延伸ポリエステルフィルム(ダイアホイル)
  二軸延伸ガスバリアナイロンフィルム(スーパーニール)
  透明蒸着ハイガスバリアフィルム(テックバリア)
5.売上高 :約100億円
6.従業員数 :41人

2002/06/27 三菱樹脂

ナイロン系フィルムの事業移管によるフィルム事業の強化について

 三菱樹脂株式会社は、本年9月1日付で、三菱化学株式会社(本社:千代田区丸の内、社長:冨澤龍一)のナイロン系フィルムの事業を当社に移管することにより、当社のフィルム事業を拡大、強化し、主力の食品包装分野や電子部品包装分野、医療品包装分野への拡販を図っていきます。

 当社は、高機能フィルムの製造・販売両面でコアコンピタンスのある「高機能プラスチック分野」を中心として成長戦略を推し進めておりますが、一方、三菱化学グループのセグメント経営体制の中で「機能材料セグメント」に位置付けられ、機能性の高いフィルム系製品は、当社に事業統合をしていく方向で検討をすすめています。今回の事業移管についても、三菱化学のナイロン系フィルム事業を当社のフィルム事業に加えることによってシナジー効果が期待できることから、今般、両社で合意に至りました。

 当社は、ナイロン系フィルムの事業として、無延伸多層ガスバリアフィルムや熱収縮フィルムなどの製造・販売を行っておりますが、今回の事業移管により、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ガスバリアナイロンフィルム、透明蒸着ハイガスバリアフィルムが加わることになります。例えば、ハムなどの包装容器に使用されている蓋材部分のフィルムと容器部分のフィルムの両製品を当社が手掛けることにより、最終ユーザーとの一体となった商品企画・材料開発が可能となり、いわゆるカスタマー・ソリューション型の事業体制を確立し、付加価値の一層の拡大を図っていきます。また、製造面では、当社が長年培ってきた延伸・配向、多層化等の生産技術を駆使し、更なる高機能化を図り、当社のフィルム事業のコア商品に位置づけて、育てて参ります。

 当社としては、本事業の移管ならびに植物系生分解性プラスチックフィルムなどの新商品の拡販により、現状350億円規模のフィルム事業を5年後700億円規模に拡大していくことを目標にしています。

<移管商品>
 ・二軸延伸ナイロンフィルム「サントニール」(旧商品名「ボニール」)
 ・二軸延伸ガスバリアナイロンフィルム「スーパーニール」
 ・透明蒸着ハイガスバリアフィルム「テックバリア」

<用語説明>

 ・ナイロン系コンバーティングフィルム
   酸素あるいは水蒸気の透過を防止する機能を持ったフィルムで、主な用途としては、スナック菓子やお餅、惣菜、つまみ等の食品包装用が多く、今後の用途としては、電子部品包装、医薬品包装用が注目されています。

 


2002/08/22 興人

プラスチックフィルム事業の体制強化、並びに新製品発売について

 株式会社 興人(本社:東京都中央区日本橋室町、社長:横田勝行)は、本年9月1日付にて、三菱化学株式会社との販売合弁会社:三菱化学興人パックス株式会社(MKP)解消に伴い、当社八代工場(熊本県八代市)で生産し、MKP社が販売しているナイロン・コンバーティングフィルム(CVF)と当社が販売中のシュリンクフィルム(SRF)とを統合し、新たなプラスチックフィルム事業体制を構築いたします。また、今秋から来春にかけて、SRF、CVF両製品分野において、新規の機能性フィルムを上市することにより、機能性フィルムの総合メーカーとして事業展開を強化してまいります。

 当社は、昭和30年代末にプラスチックフィルム事業に進出し、八代工場において、当社独自のチューブラー法二軸延伸技術をコア技術としてSRF、CVFの両製品を生産しております。事業開始以来、同技術をベースに多層技術、コート技術、架橋技術等を蓄積し、常に特色ある製品の開発を行い、市場に送り出してきました。

 この度当社では、今秋から来春にかけて、高機能新製品の上市を決定いたしました。

1. SRFでは、トレーラップ包装用分野で従来品に加え、今秋、新たに2製品を追加発売いたします。「コージンコーラップ−SG」はコンビニエンスストアの弁当・惣菜用途向けに高収縮率で、かつ、電子レンジ適性を大幅に改善した架橋フィルムです。
「コージンコーラップ−ML」はスーパーや食品加工メーカー向けの自動包装機械適性に優れた多層共押出フィルムです。
これらの新製品投入により、大きな市場に育ちつつあるラップシュリンクフィルムの拡販を図ってまいります。
   
2. 当社製造のCVFについては、共押出ガスバリアナイロンフィルム「ボニール−SPY」の高品質が認められ、急速に販売を伸ばしていますが、新たに、非塩素系ハイガスバリアコートフィルム「HNフィルム」(仮称)を来春の本格上市に向けて準備中です。「HNフィルム」は、透明蒸着フィルムにも匹敵する優れた酸素バリア性に加え、優れた加工適性を有し、基材フィルムには、ナイロン(ONY)、ポリプロピレン(OPP)、ポリエステル(PET)を揃えており、幅広い用途分野でのユーザーニーズに応えることが可能です。

 近年包装フィルムには、市場から様々な機能が求められてきています。また、環境意識の高まりから、省資源、環境対応等が強く求められています。当社はこうした課題に対し、今後更にユーザーとの連携を密にし、当社技術の強みを活かした機能性フィルムを開発することで、これらの要請に応えてまいります。

 当社は、統合によるシナジー効果と新規機能性フィルムの市場投入を軸として、プラスチックフィルム部門の現在の売上高約100億円を、3年後には、約150億円に拡大することを目標としています。また、生産能力の不足に備えるための設備増強についても検討を進め、ユーザーの要請に応じられるよう、今期中にもその方向性を決定する予定です。