読売新聞 2001/3/15
省エネで注目、塩ビサッシが350億円市場に
断熱性に優れている塩化ビニール(塩ビ)樹脂の特性を生かした塩ビ製サッシが人気を集めている。政府が99年3月に策定した「次世代省エネルギー基準」で、断熱サッシの採用を奨励したことも追い風となり、出荷額は2年連続で前年を上回り、2001年は過去最高となる勢いだ。塩ビは、ダイオキシン発生問題などで「問題児」扱いされているが、省エネという観点で、地球温暖化防止に対応した素材として見直されつつある。
塩ビは、熱の伝導率がアルミの1000分の1と小さく、サッシの素材では最も断熱性が高い。冬は室内の熱を逃がさず、夏は室外の熱の流入を防ぎ、1年を通じて冷暖房効率を高められる。欧米では、大半の新築住宅のサッシが塩ビなどのプラスチック製で、中国政府も新築住宅に塩ビ製サッシを推奨しているという。
国内では20年前から塩ビ製サッシが商品化され、北海道では新築のほとんどが塩ビ製サッシに切り替わり、最近では東北地方にも市場が拡大している。
国内出荷額は、97―98年は300億円を割り込んだが、99年は300億円を確保、窓枠数で1百万個を超えるまで回復した。昨年の出荷額は310億円程度にまで拡大した模様だ。この数字は、住宅用サッシの年間需要の1割以上を占めている計算で、今年は過去最高の350億円超となる見込みだ。
需要の急増には、政府が省エネ住宅普及に向けた「次世代省エネ基準」で、断熱サッシの採用を奨励した影響が大きい。断熱サッシを使った省エネ住宅を建てる場合、住宅金融公庫から約250万円の割増融資が受けられる。
さらに、防火性能や価格など、これまで普及のネックとなっていた問題も解決されてきた。割高だった価格はアルミサッシ製並みに低下している。化学メーカー、トクヤマの子会社で塩ビ製サッシ最大手「シャノン」社では「来年も10%超の伸びが期待できる」と予想している。
http://www.iijnet.or.jp/ibec/pdf/sjutaku.pdf
「省エネルギー住宅」とは
住宅において使用されるエネルギーは、暖冷房、給湯、炊事、冷蔵庫、パソコン、テレビ等の家電製品など、実にさまざまなものがあります。なかでも、その大半を占めているのが、暖冷房と給湯のためのエネルギーです。
地球温暖化防止のためにも、この消費量をより少なくするよう、建設省(現国土交通省)では平成11 年3 月、これまでの住宅の省エネルギー基準を改正して、新しい基準(次世代省エネルギー基準)を定めました。この基準に適うような、室内環境を一定に保ちながら、使用するエネルギー量を少なくできる住宅が、省エネルギー住宅といわれています。「次世代省エネルギー基準」とは
通称「次世代省エネルギー基準」(以下、次世代省エネ基準)とは、平成11 年3 月に改正告示された「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断と基準」及び「同設計及び施工の指針」のことです。この基準は、昭和55 年に初めて定められ、平成4年に一度、改正されていたものですが21 世紀の住まいづくりに照準を合わせて、全面的に改正されました。
住宅金融公庫 割増融資額 http://www.jyukou.go.jp/
工事の種類 融資額 バリアフリー住宅工事(※1) 150万円 省エネルギー住宅工事(次世代型)(※2) 250万円 省エネルギー住宅工事(一般型)開口部断熱なし(※2) 50万円 省エネルギー住宅工事(一般型)開口部断熱あり(※2) 100万円 太陽光発電設備設置工事 200万円 暖冷房・給湯設備設置工事 150万円 換気設備設置工事 50万円 高規格住宅工事 200万円
(※2) パッシブソーラーシステムを併設した場合はさらに150万円を加算できます。
鐘淵化学
プラスチックサッシ 省エネ需要で拡販
鐘淵化学工業は、プラスチックサッシ「エクセルウィンド」の販売を強化する。2001年3月期は13万窓の出荷を見込んでいるが、来年度は2万窓増の15万窓出荷を目指す。プラスチックサッシは北海道を中心とした寒冷地で販売していたが、次世代省エネルギー基準に代表される高気密・高断熱住宅が増加していることから全国での販売増を狙う。また価格の安いアルミサッシよりも結露に強いことを武器に拡販する。
同社は地域工務店を対象とした高気密・高断熱住宅部材「ソーラーサーキット住宅」を展開。好調に推移していることから、フランチャイズチェーン(FC)向けだけで来年度約4万窓(前年度比1万窓増)の出荷を見込む。
エクセルウィンドは昨年からガラス面積が広く、枠の小さいスリムタイプにマイナーチェンジしており、規格商品230種類の切り替えをこのほど完了。「ド
イツでは半分以上がプラスチックサッシ。まだ伸びる」(鈴木秀五郎鐘淵化学工業常務)との判断から新商品を拡販する。
アルミサッシにも断熱タイプがあるが、「窓枠部分の結露のつきにくさではプラスチックサッシのほうが1位」(同)としており、結露がつきにくい安全性を前面に売り込んでいく。
東北シャノン・三協・立山・新日軽4社、中国で樹脂サッシ生産、来年にも開始
「アルミ」移管も視野
三協アルミニウム工業、立山アルミニウム工業、新日軽、東北シャノン(岩手県花巻市)の4社は共同で04年にも中国で樹脂サッシの生産に乗り出す。進出場所や生産規模は未定で、7月までに詳細をまとめる。将来のアルミサッシの生産移管も念頭に置いている。サッシ業界ではINAXトステム・ホールディングスグループなどが海外生産を積極化させており、三協アルミなどもこれに追随する。
中国進出する4社のうち、三協アルミと立山アルミは共同持ち株会社を設立、経営統合することで基本合意した関係にある。この2社に日本軽金属系の新日軽と、三協アルミと立山アルミが出資している樹脂サッシメーカー、東北シャノンが加わる。三協アルミは立山アルミとの経営統合に、新日軽を加えた3社統合に向け検討を始めたばかりだ。新日軽を加えた中国での共同生産は、国内の経営統合より一歩先行した形となる。
アルミサッシ業界は公共投資の減少、住宅着工数の減少などで環境が厳しく、INAXトステムグループ、YKKAPが生産コストの低い海外生産拡大に力を入れている。これに対し第3勢力の三協アルミは出遅れの感があったが、追随して海外生産に乗りす。
詳細はまだ煮詰めていないが、新日軽が加わることで、新日軽の親会社である日本軽金属の海外拠点の活用も検討する。また委託生産なども含みに入れている。生産品は型材だけでなく、完成品までを手がける意向。
三協アルミはマグネシウムビレットを、立山アルミニウムは商品陳列棚部品をそれぞれ中国から輸入しているが、両社とも本格的な海外生産は初めてという。
2003/3/14 Financial Times
Kommerling AG to Expand Production
of PVC Section Bars in Tianjin (天津)
Kommerling AG, the largest
manufacturer of PVC section doors and windows, has started to expand production scale
in Tianjin. With production area extended to 90,000 square
meters, annual output of PVC section doors and windows will
increase from current 16,000 tons to 50,000 tons when the
production line which is now under construction accomplishes. By
then, Kommerling (Tianjin) will become a large enterprise
producing multi-series of high-grade PVC section products such as
58, 78 and 80.
Kommerling AG co-established with
Tianjin Building Material Corp. Tianjin Kommerling Macromolecule Section
Co. in 1995, which is the
first joint venture enterprise manufacturing PVC section doors
and windows in Tianjin.
The new computer-monitored
production line of Tianjin Kommerling has been put into
production. QC in Tianjin Kommerling stresses the four rules:
first, to select global suppliers strictly; second, to operate
according to accepted formula of the corporation precisely;
third, to spot check basing on German standards; fourth, to
monitor and manage production according to international
practiced procedures in material inspection, mixed operation,
technological process and product examination.
* | The KOMMERLING Group of
companies is the largest manufacturer of PVC-U window and
door profiles in Europe. KOMMERLING was founded in 1897 and is still family owned and run firm with over 2500 employees. The headquarters are based in Pirmasens in the South West of Germany and cover an area of 225,000 square metres. The company also has further production plants in Germany, France, Italy, Switzerland, Spain and Brazil. |
2007年11月16日 トクヤマ/カネカ
樹脂サッシ事業の統合について
株式会社トクヤマ(東京本部:東京都渋谷区
社長:中原 茂明)と株式会社カネカ(本社:大阪市
社長:大西 正躬)は、株式会社トクヤマの100%出資子会社である株式会社シャノン(本社:東京都港区
社長:横地 旦 樹脂サッシ製造販売会社)と株式会社カネカの樹脂サッシ事業を統合することに関する基本合意書を締結いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
1.事業統合の概要
(1)株式会社シャノンと株式会社カネカ、株式会社カネカの100%出資子会社である北海道カネカ株式会社および栃木カネカ株式会社の樹脂サッシ事業を2008年10月1日までに統合する。
(2)事業統合の方法、事業統合会社への出資比率等は今後検討して決定する。
2.目的
樹脂サッシ事業の効率化と基盤強化を図り、競争力を強化する。
3.事業統合に至った背景
国内樹脂サッシの需要は、CO2削減、省エネ推進により、今後拡大すると見込まれます。将来、樹脂サッシ事業において、より確固な基盤を確立するためには、更なるコスト競争力、技術開発力の強化が求められます。そうした中で、株式会社トクヤマと株式会社カネカは、営業上・生産上・開発上のシナジー効果が大いに期待できることから、双方の樹脂サッシ事業を統合することで考えが一致し、基本的事項に関する合意書を締結するに至りました。
【株式会社シャノンの概要】
事業内容:プラスチックサッシ等の建材製造・加工・販売並びに輸出入
住所:〒105-8429 東京都港区西新橋1-4-5
トクヤマビル
代表者名:横地 旦
資本金:495百万円
売上高:124億円(2007年3月期)
従業員数:188人
【カネカグループの樹脂サッシ事業の概要】
事業内容:樹脂サッシ「エクセルウインドR」及び関連商品の製造・販売
製造部門は100%子会社である北海道カネカ株式会社、栃木カネカ株式会社
・株式会社カネカ
住所:〒530-8288 大阪市北区中之島3-2-4(朝日新聞ビル)
代表者名:大西 正躬
資本金:330億円
売上高:4,732億円(2007年3月期)
樹脂サッシ事業を含む発泡樹脂製品セグメントの売上高715億円
樹脂サッシ事業関連従業員数:85人
(北海道カネカ株式会社、栃木カネカ株式会社を含む)
・北海道カネカ株式会社
住所:〒061-1411 北海道恵庭市恵南13番地
・栃木カネカ株式会社
住所:〒321-4367 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘14番地
なお、本件によって見込まれる売上高の増減額は、両社共10%未満です。
株式会社トクヤマの平成18年度の連結売上高292,764百万円(単体売上高
192,693百万円)株式会社カネカの平成18年度の連結売上高473,170百万円(単体売上高
296,411百万円)