化学工業日報 2003/5/7

協和発酵、高脂血症薬のバルク供給へ

 協和発酵は、高脂血症治療薬プラバスタチンのバルク(原薬)を供給する。遺伝子組み換え法により原薬を効率よく製造するプロセスを開発、厚生労働省の製造承認も取得した。機能性食材原料や食品・医療用アミノ酸を製造・販売しているバイオ・ケミカル事業の拡大が狙いで、三共の大型薬剤の特許切れにともないビジネス機会が訪れたと判断した。すでに供給先を確保しているが、三共のパテントには抵触しないと同社では説明している。

 


日本経済新聞きょうのことば 2003/4

分子標的治療薬

 病気に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬のことです。従来の治療薬に比べて副作用が少ないとされ、がん治療などで最近注目されています。例えばがん細胞の表面にあるたんぱく質が増殖していたとします。従来の抗がん剤はがん細胞を直接攻撃する一方、増殖している正常な細胞まで攻撃してしまう恐れがありました。分子標的治療薬はがん細胞を正常な細胞と見分けて狙い撃ちし、その働きを弱めて増殖を阻止します。
 分子標的治療薬の開発では欧米の製薬企業が先行しています。スイスの製薬会社、ノバルティスファーマの慢性骨髄性白血病治療薬「グリベック」がその代表例です。がん細胞を増殖させる信号を出すBCR−ABLというたんぱく質の働きを阻止するタイプで、日本でも使われています。
 スイスのロシュも乳がん細胞の表面にあるたんぱく質を狙い撃ちする乳がん治療薬「ハーセプチン」の開発に成功しました。日本ではロシュ子会社の中外製薬が販売中です。日本の製薬会社は出遅れましたが、塩野義製薬や第一製薬がベンチャー企業と協力して開発を目指しています。
 人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)が解読されたことを受け、病気と関係する細胞がどのように増殖するのかが明らかになってきました。医薬品の標的となる分子が解明されるにつれ、分子標的薬はがん以外の疾患でも将来広く使われそうです。
 ただ分子標的治療薬も万能の「夢の薬」ではありません。英製薬会社アストラゼネカが開発した分子標的薬の非小細胞肺がん治療薬「イレッサ」は間質性肺炎などの副作用で死亡者が相次ぎました。一つの抗がん剤だけでがんを治すのは限界があるうえ、作用の仕組みに未知の部分があることに注意する必要もあります。

日本で販売されている分子標的治療薬

製品名(一般名)   標的分子   対象疾患   販売会社
グリベック(イマチニブ)   BCR−ABLタンパク   慢性骨髄性白血病   ノバルティスファーマ
ハーセプチン(トラスツズマブ)   Her−2たんぱく   乳がん   中外製薬
リツキサン(リツキシマブ)   B細胞CD20陽性   リンパ腫   中外製薬
イレッサ(ゲフィチニブ)   EGF−Rたんぱく   非小細胞肺がん   アストラゼネカ

2003/5/19 化学工業日報

独BI、バイオ医薬品でPBIと提携へ

 独ベーリンガーインゲルハイム(BI)と国内抗体医薬製造・開発受託会社のパシフィックバイオロジックス(PBI、本社・大阪、川村良久社長)は、バイオ医薬品生産受託ビジネスで提携する。来日したロルフ・G・ヴェルナー・BIバイオ医薬品事業統括部長が本紙とのインタビューで明らかにした。今年1月に交渉を開始し、このほど仮契約にいたった。詳細の交渉を経て、今年6−7月には最終的な契約を締結する見通し。


パシフィックバイオロジックス(PBI)
    
http://www.pacbiologics.com/about_us/about_j.html

PBIは日本で初めての抗体医薬の製造・開発受託会社です。

 パシフィックバイオロジックス(PBI)は、高度なバイオ医薬品製造技術を基に、製造・開発の受託に実績を持つ東洋紡と、細胞培養用培地販売で長年の実績と信頼を得ているニチレイが合弁で設立したFDAのcGMP対応の4000L培養槽(2003年10月稼働予定)をもつバイオ医薬品製造受託機関としては国内最大規模の会社です。
 PBIは製剤製造受託の東洋紡大津医薬工場と連携していますので、多彩なスタッフで研究開発から医薬品製造まで、すべてのプロセスでお客様を総合的にサポートいたします。

■会社概要

会社名 株式会社パシフィックバイオロジックス(略称:PBI)
本社所在地 大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2-8(東洋紡本社内)
堅田事業所 滋賀県大津市堅田二丁目1-1
資本金 4億9500万円(出資比率:東洋紡51%、ニチレイ49%)
代表者 取締役社長 川村良久
役員 取締役6名(東洋紡3名、ニチレイ3名)
従業員 30名(東洋紡より28名、ニチレイより2名出向)
事業内容 動物細胞培養技術を利用した、医薬品原体の製造・開発の受託
会社設立日 2001年11月15日

受託業務内容

細胞培養
   細胞培養設備は、マイクロキャリアーを用いる培養も、浮遊細胞の培養も可能で、回分培養から連続培養まで実施できる最新の設備です。基礎研究用から医薬品製造のための大量培養まで、幅広く対応できます。科学技術庁の組換えDNA実験指針に記載されているLS−1適合の大量培養設備であり、FDAのcGMPにも準拠した大量培養も可能です。細胞のスクリーニングから培養条件の設定、MCB、WCBの作製等の開発研究やスケールアップの開発もお引き受けいたします。
   
精製
   皆様の多様なご要望にお応えできるよう、種々の規模のタンパク精製設備を完備。gオーダーの精製からkgオーダーの精製まで対応可能です。基礎研究用試料の精製から前臨床試験用の試料の精製はもちろん、FDAのcGMPに準拠した治療薬や医薬原体の製造まで実施できます。また精製法の開発や、スケールアップの研究もお引き受けいたします。
   
医薬品品質検査受託
   バイオ医薬品開発を通じて培ってきた優れた品質管理・分析技術と試験研究設備で、受託品に対するご要望の項目の原材料受入試験・出荷試験や工程管理試験及び各種試験法の設定とバリデーションも実施します。
   
東洋紡大津医薬工場との連携により次の業務が可能です。・・・
安定性試験受託
   ICH対応の製造承認申請用の安定性試験並びに治験担保や製剤処方検討のための安定性試験を受託いたします。
   
製剤製造受託
   バイアル製剤(凍結乾燥注・液注)、固形製剤に加え、プレフィルドシリジン製剤の製造もお引き受けします。種々の規模の製造設備を保有していますので、前臨床試験サンプルや治験薬、GMPに準拠した治験用製剤の製造から市販医薬品の製造受託まで、皆様の幅広いご要望にもお応えできます。また、配合変化試験に始まる固形剤や注射剤の処方研究や製剤化研究を安定性試験も含めて受託しております。

ニチレイ バイオサイエンス事業
    
http://www.nichirei.co.jp/bio/biosciences/index.html

 バイオサイエンス事業部はニチレイのバイオテクノロジーを技術背景に持つ製品群を製造販売する事業部として1991年に発足しました。現在、当部では、インフルエンザウイルス検出用試薬、各種抗体、In Situ ハイブリダイゼーション試薬、EIAキット、細胞培養、培地、血清、機能性素材等を扱っております。


朝日新聞 2003/6/7
 
病因たんぱく質を高速に発見 三菱化学子会社が新技術

 三菱化学は6日、病気の原因となるたんぱく質を極めて短い期間で発見する技術を開発したことを明らかにした。この技術を使ってすでに糖尿病とがんの原因となるたんぱく質を2〜3種類ずつみつけた。この技術を活用すれば、製薬会社による治療薬の開発が大幅に早まる可能性がある、という。

 開発したのは、三菱化学の完全子会社
ゾイジーン(本社横浜市、中山清社長)。

 病気の多くは、10万種類以上あるたんぱく質が複雑にからみあっておきる。どのたんぱく質とどのたんぱく質が相互に反応を起こすか、早期に発見できれば、新薬を早く開発できることにつながる。

 ゾイジーンが開発したのは、愛媛大が開発した
早期にたんぱく質を合成する技術と、慶応大と共同で開発した相互作用発見技術を組み合わせたもの。

 三菱化学によると従来はたんぱく質1個をつくるのに2〜3カ月かかるのが通例だが、小麦の胚芽(はいが)を入れた試験管に遺伝子を入れ、4〜8時間で数百個のたんぱく質を合成できるようにした。さらに、合成した様々なたんぱく質同士が反応するかどうかが一目で分かる1センチ四方のチップを作製。チップ上の400カ所で異なるたんぱく質同士をくっつけ、相互作用があったところだけが光る仕組みをつくった。これにより、特定の病気に関連するたんぱく質を早く発見できる。

 同社はこの技術で発見したたんぱく質の情報を新薬を開発する国内外の製薬会社に売り込んでいる。新薬開発の国際競争は年々激しくなっており、それに勝ち抜くための重要な要素技術になるとしている。


2003/06/10 日本メジフィジックス

PET検査(ポジトロン断層撮影)用診断薬事業への進出について

 
日本メジフィジックス株式会社は、悪性腫瘍等の早期診断に有用とされるPET検査(ポジトロン断層撮影)用診断薬事業へ、本格的に進出することを決定いたしました。
 PET検査は、放射線を放出する微量の薬剤を患者さんに注射し、薬剤が病気の患部に集まる様子を体外から撮影することにより、病気の状態を診断する画期的な画像検査法です。2002年4月に、18FDGを用いたポジトロン断層撮影が医療保険に適用されたのを機に、PET検査に対する医療機関の需要は急速に高まりつつあります。しかし、現状では医療機関内で調製したPET検査用薬剤を、その施設内で行う検査に使用することに限定されています。医療機関が新規にPET検査を開始するには院内製造、薬剤の品質確保等に相当な設備投資と管理が必要なことから、医薬品としてのPET検査用薬剤の供給が要望されています。
 当社は、日本における診断用放射性医薬品のトップメーカーとして、このような医療ニーズに対処し、PET検査用薬剤を供給することにより、より多くの医療機関でPET検査を可能とし、患者さんの健康増進に寄与していきたいと考えています。
 PET検査に使用される放射性同位元素の半減期が約2時間と、従来から医療に使用されている診断用放射性同位元素の半減期(6〜72時間)と比較してはるかに短いので、既存の製造施設(2箇所)と共同開発者(1箇所)からの供給だけでは、供給地域、供給量とも不十分であるため、新たに本検査用薬剤の研究・開発ならびに製造拠点を開設することとし、このほど順次着工する運びになりました。
 供給を予定している薬剤は現在承認申請中であるため、薬事上の承認を取得でき次第、計9地点から速やかに供給を開始できるよう製造態勢を整える計画です。 

名称 日本メジフィジックス札幌ラボ他
開設拠点数 全国6箇所
開設地 北海道(札幌市)、東京都(江東区)、愛知県(豊田市)、京都府(八幡市)、
岡山県(岡山市)、福岡県(久留米市)
着工時期 5月26日の札幌ラボを皮切りに順次着工
竣工予定 2004年春〜夏
総投資額 約120億円

 日本メジフィジックス株式会社(本社:兵庫県西宮市社長:中村日出彦)は、住友化学工業株式会社とアマシャムグループ(英国)の合弁企業で、放射性医薬品のトップメーカーです。


日本経済新聞 2003/6/11

 (前略)

 PET検査は放射線を放出する微量の薬剤を投与し、患部に集まる薬剤の状況から診断する。昨年4月に一部で保険が適用され需要が拡大。しかし薬剤は医薬品として承認されていないため、医療機関が検査を実施するには検査施設内で自前で薬剤を生産する必要がある。こうしたコストや品質管理の手間がPET普及の足かせとなっている。
 放射性医薬品大手の同社は2000年春にPET検査用薬剤の医薬品としての承認を申請。承認を受ける時期は未定だが、医療界でも医薬品としての流通を求める声が高まっており、先行して拠点を整え市場拡大に備える。


2003/08/18 日本メジフィジックス

PET(Positron Emission Tomography)検査用診断薬事業戦略強化について

 日本メジフィジックス株式会社は、日本における放射性医薬品のトップメーカーとして、悪性腫瘍の早期診断に有用とされる
PET検査(ポジトロン断層撮影)注)用診断薬事業への本格的な進出を決定し、研究開発の促進ならびに製造、供給態勢の整備に取り組んでおります。

 この度、本事業の将来的な展開を視野に入れ、エモリー大学(米国ジョージア州)と、新規PET検査用診断薬の開発について、技術導入契約を締結いたしました。本契約により、弊社は導入化合物(F−18アミノ酸誘導体)の診断薬としての製造、使用、販売の全世界を対象とする独占実施権を取得いたしました。当該化合物は特に新規腫瘍診断薬としての優れた可能性を有しており、医療へのさらなる貢献が期待されます。

 また、PET検査用診断薬の供給態勢を一層拡充するために、先に発表した6地点に加え、新たに兵庫県神戸市、神奈川県小田原市の2地点で研究開発、製造拠点を開設することとし、約33億円の追加投資を決定いたしました。この結果、既存施設、共同開発者を含め、全国計11箇所からPET検査用診断薬を供給する計画となります。

 日本メジフィジックス株式会社(本社:兵庫県西宮市 社長:中村日出彦)は、住友化学工業株式会社とアマシャムグループ(英国)の合弁企業です。疾病の早期診断・治療に重要な役割を担う核医学診断分野で、高品質の診断用放射性医薬品を安定供給し、日本のトップメーカーとしての地位を築いてまいりました。弊社は、創業以来蓄積してきたこれら放射性医薬品の技術と経験を存分に活用し、PET検査用診断薬事業を第二のコア事業として育成し、医療に貢献していく所存です。

注) 放射線を放出する微量の薬剤を患者さんに注射し、薬剤が病気の患部に集まる様子を体外から撮影することにより、病気の状態を診断する画像検査法の一つで、2002年4月に、ポジトロン断層撮影が医療保険に適用されたのを機に、医療機関の需要は急速に高まりつつあります。

【ご参考】

開設地 北海道(札幌市)、東京都(江東区)、愛知県(豊田市)、京都府(八幡市)、
岡山県(岡山市)、福岡県(久留米市)
    (新 規) 兵庫県(神戸市)、神奈川県(小田原市)
既存施設 千葉県(袖ヶ浦市)、兵庫県(三田市)
共同開発者施設 石川県(羽咋市)

2003/06/23 日本イーライリリー

日本イーライリリー社、35億円を投資し西神工場拡張・40人増員

 日本イーライリリー社(本社:神戸市、社長:アンドリューA.マスカレーナス)は、本日、同社西神(せいしん)工場の製造能力拡張プロジェクトを開始したことを発表しました。このプロジェクトは、ジャパン・プライマリー・パッケージング・プロジェクト(日本で一次包装を行うためのプロジェクト、略してJP3)と呼ばれ、西神工場敷地内に新しく固形製剤用の一次包装工場を建設するものです。同工場では固形製剤については、これまで箱詰めを行う二次包装しか行っていませんでした。投資額は約35億円で、1995年の同工場建設以来西神でのリリー社による最大の投資となります。
 新工場建設は2004年に開始し、2006年に稼働予定です。新工場では、抗精神病薬「ジプレキサ」および現在開発中の新しい固形製剤の包装も行われる予定です。

 JP3の設計はすでに始まっており、最先端の包装設備を備えた多層階包装施設と新しい自動倉庫の建設と、積み下ろし・出荷エリアの拡張も行われます。

 このプロジェクトには次のベネフィットが期待されています。

1. 最重要事項としては、顧客により高い品質の製品を提供できるということです。この新しい施設は製品の優れた品質と仕上がりに対する最も高い期待に沿うことが出来るように設計されます。海外から輸入されたブリスター包装やボトル詰めされた錠剤が破錠していないかチェックするのは困難ですが、新工場によって日本での一次包装が可能になります。
   
2. この新工場建設によって、日本での製品供給の管理が向上し、より日本の顧客の期待に応えることができるようになります。
   
3. 日本の製造部門としての役割が強化されます。約40名の新しい人員を雇用し、地域の雇用促進に貢献します。
   
4. 現在西神工場では注射剤製造、最終包装、検査の専門技術を備えています。このプロジェクトにより西神工場に新たな機能が加わります。
   

<西神工場概要>

  設立 :1995年
  所在地 :神戸市西区高塚台4−3−3
  従業員 :210名
  敷地面積 :23,000m
  延べ床面積 :6,400m
  主要設備 :完全自動注射剤製造ライン、包装ライン、自動倉庫
  製造品目数 :45

 日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー社100%出資の製薬会社で、抗糖尿病剤、ヒト成長ホルモン製剤、パーキンソン病治療剤、抗悪性腫瘍剤、抗精神病薬などの販売を行っています。


日本経済新聞 2003/6/30

医薬品、患部まで運搬 阪大などの研究チーム ナノカプセル開発

 大阪大学、神戸大学などの研究チームは、抗がん剤や治療用の遺伝子を患部に届けるナノカプセルを開発した。中に詰めた医薬品などを、がんの病巣や肝臓など狙いの場所で取り出せる。副作用を減らす投薬手法として数年以内の実用化を目指す。
 阪大産業科学研究所の谷沢克行教授、黒田俊一助教授らが開発した。カプセルの直径は約80ナノ(ナノは10億分の1)メートル。B型肝炎ウイルスの殻の一部を利用して作った。
 カプセルの表面には、がん細胞や肝臓の細胞を見分けて結合する分子が付いている。カプセルを体に注射すると、血流に乗って体内を循環。狙いの臓器や組織に達したら、その場で細胞に結合して、あらかじめ詰めておいた医薬品などを細胞に注入する。
 がんの病巣に抗がん剤を運ぶことができる。肝炎治療に使うインターフェロンの遺伝子を肝臓に届け、肝臓の細胞にインターフェロンを合成させることもできる。医薬品を狙いの場所に運ぶ技術は、副作用を減らすためのカギといわれる。
 研究チームのメンバーが共同で設立した
ビークル(岡山市)が大手製薬企業へのライセンス供与などを通じて実用化を目指す。成果は米生命科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーのオンライン版に掲載された。


有限会社ビークル

〒701-1221 岡山市芳賀5303 ORIC 314号室
TEL : 086-251-8216
E-Mail: 
BEACLE@PO1.ONINET.NE.JP
URL : 
http://www.beacle.oric.org.jp/dds.html (準備中)

◇ 事業内容
    バイオナノ粒子を用いるドラッグ・デリバリー・システムの開発
◇ センターでの研究開発内容
  当社の特色は、B型肝炎ウィルスの外皮タンパク質を遺伝子組み換えにより酵母や動物細胞で生産し、中空のナノ粒子を生産する技術です。
  このバイオナノ粒子は、肝臓細胞へ特異的に送達される性質をもっており、粒子内部に遺伝子や薬剤を封入したものを生体内へ注射すると、肝臓細胞へピンポイントで送達させることができます。
  肝臓に由来する疾病を治療する方法の開発を短期目標に掲げ、センターでは試作粒子の製造及び品質管理工程の設定を中心に物質封入技術の改良など、前臨床試験に向けた準備段階の開発を行う予定です。

 


日本経済新聞 2003/7/2

三共 研究開発 日米欧で戦略一本化 委員会設け判断速く

 三共は日米欧に分かれていた研究開発の戦略策定機能を一本化する。各国の研究、臨床試験、権利供与などの責任者が参加する委員会を設置。7月以降、毎月委員会を開き、現場の開発計画などに対して継続、打ち切り、重点投資などの判断をする。意思決定を迅速にし新薬の開発速度を上げて国際競争力を向上する。
 7月下旬に第1回の「グローバルR&Dマネジメント委員会」を日本で開く。日米欧の研究、開発、製品戦略、営業など広範な部門の現場責任者十数人が参加。米子会社三共ファルマディベロップメントのジョン・アレキサンダー社長が委員長を務める。委員会の判断をもとに、社長が出席する本社の役員級会議で戦略を最終決定する。
 従来は国・地域ごとに各部門がばらばらに計画を決めていた。新薬は臨床試験を医療機関や患者の参加を得やすい米国でまず実施し、その結果も活用して日欧でほぼ同時に製品化する例が増えている。戦略策定を一本化し、需要を見定めながらこうした世界同時開発を進めやすくする。 三共は既に欧米子会社の開発部門を統合ずみ。日本では10月に、基礎的な研究部門と臨床試験を担う開発部門を統合して研究開発統轄本部にする。一連の改革により新薬候補物質の選定後、承認取得までの期間を従来の約12年の半分に短縮することをめざす。
 


日本経済新聞 2003/7/5           発表

経皮吸収型テープ製剤 日東電工が米社買収

日東電工は4日、米国の経皮吸収型テーブ製剤メーカーを買収すると発表した。医療部門強化策の一環で買収額は約54億円。テープ製剤は胸や腕など体に張り付けたテーブから薬剤を体内に吸収させるもの。日東電工は買収で米国で生産拠点を確保、現地の販路開拓を進める。
 買収するのはフロリダ州に本社を置く「エラン・トランスダーマル・テクノロジーズ(ETT)」。アイルランドの製薬大手エラン社の全額子会社で、禁煙やぜんそく予防、糖尿病予防のテープ製剤を製造、年間売上高は約19億円。日東電工は米国の事業統括会社を通じて7日までに全株式を買い取る。新社名や従業員約110人の処遇、役員人事などは今後詰める。


2003/07/04 日東電工

米国子会社による企業買収に関するお知らせ

 日東電工株式会社(本社:大阪府茨木市社長:竹本正道)は、米国統括会社:日東アメリカス社(Nitto Americas, Inc. 米国ニュージャージー州の100%子会社)を通じて、2003年7月3日(現地時間)に米国フロリダ州で経皮吸収型テープ製剤を研究開発・製造しているエラン・トランスダーマル・テクノロジーズ社(Elan Transdermal Technologies, Inc. 以下、「ETT社」という) の買収契約書に調印致しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.買収会社の概要

(1) 社名 エラン・トランスダーマル・テクノロジーズ社
Elan Transdermal Technologies, Inc.
(2) 本社所在地 米国フロリダ州ミラマ−市
住所: 3250 Commerce Parkway Miramar,FL
(3) 代表者 Thomas Byrnes
(4) 事業の内容 経皮吸収型テープ製剤の研究開発・製造
(5) 設立 1998年
(6) 決算期 12月
(7) 資本金 106,013.85USドル(2003年3月末時点)
(8) 資本関係 アイルランドの製薬会社:エラン社(Elan Corporation plc)の100%子会社
(9) 年商 15,800,000USドル(2002年12月期)
(10)従業員数 110名

2.買収の背景・目的
 従来から、当社は国内で好評を得ている経皮吸収型テープ製剤事業の海外展開を積極的に推進するべくその可能性を探ってまいりました。その結果、米国の製造会社であるETT社買収を検討することになり、このたび買収が正式に決定致しました。
 この買収により、当社は米国で医薬品製造の認可工場を獲得することなど様々な効果を期待しており、経皮吸収型テープ製剤事業の海外展開を一層加速していきます。

3.買収の方法
(1) 買収形態: 
エラン社(親会社)から株式譲渡
(2) 買収価格: 45,000,000USドル

4.連結業績への影響額
 連結業績への影響は現時点では軽微と予想しております。


Elan Corporation, plc      http://www.elan.com/

Elan Corporation, plc (Elan), began in 1969 with a vision: to approach the challenge of drug delivery from an entirely new anglethat of controlled absorption of a drug by the patients body. Over the years, Elan became a world leader in drug delivery and specialty pharmaceuticals.

Today, Elan is a fully integrated biopharmaceutical company, pioneering exciting new research and development in Alzheimer
s disease, Parkinsons disease, multiple sclerosis, pain management and autoimmune diseases.

At Elan's core is a passion to discover and develop innovative products that will fulfill the unmet medical needs of patients.

Elan is headquartered in Dublin, Ireland and conducts its worldwide business, including research and development, manufacturing, and marketing through wholly-owned subsidiaries incorporated in Ireland, the United States, the United Kingdom, and other countries. The term "Elan" is used throughout this website to collectively refer to Elan Corporation, plc and its subsidiary companies.


日本経済新聞 2003/7/12

新薬販売権 米社に供与 協和発酵、開発・試験段階で
 素早く世界市場に投入

 協和発酵は自社で発見し臨床試験中の主要な新薬について、米製薬会社などに開発や販売の権利を供与する。臨床試験は段階が進むにつれて費用が膨らむうえに、米欧市場に有力な販売網を持たないためすべて自前で手掛けるのは難しいと判断した。同社は主力の医薬事業が伸び悩んでおり、他社との提携により新薬を素早く世界市場に投入し収益に結びつける。
 対象となる新薬は抗がん剤2種類、ぜんそく治療剤、尿失禁治療剤の4つ。欧米やオーストラリアで、少人数の患者で効果を確かめる第二相臨床試験を進めている。パーキンソン病治療剤など別の2つの新薬は当面、自社開発を続けるが将来は販売面に特化した提携も検討する。
 既に悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ばれる皮膚がんの治療剤について、開発・販売権取得を希望する大手製薬会社など数社と交渉を始めた。年内に3社程度に候補を絞り込み、来年にも提携先を決める。他の新薬でも順次、提携交渉に入る。
 協和発酵は今年3月期の医薬事業部門の売上高が1405億円で前の期比約1.2%減る一方、研究開発費は270億円で8.4%増えた。臨床開発費が押し上げ要因となっており、他社との共同開発により負担とリスクを減らしながら製品化速度を上げる。製薬業界では臨床開発費の増大は共通の悩みで、どこまで自力で手掛けるかの戦略が重要になっている。


2001年9月25日 塩野義製薬 

アベンティス クロップサイエンス シオノギ(株)設立のお知らせ

アベンティス クロップサイエンス社と塩野義製薬株式会社は、現在両社が日本国内で行っているすべての農薬関連事業を統合し、合弁会社「アベンティス クロップサイエンス シオノギ株式会社」を2001年10月1日に設立し、営業を開始します。

新会社の概要は次のとおりです。

新会社名   アベンティス クロップサイエンス シオノギ株式会社
(Aventis CropScience Shionogi K.K.)
本社所在地   東京都千代田区内幸町1丁目1番1号 インペリアルタワー18階
設立日   2001年10月1日 (営業開始日 10月1日)
資本金   19億7千万円
出資比率   アベンティス クロップサイエンス社 66%、塩野義製薬 34%
代表者   社長 ジャック・デュピュイ(Jacques du Puy)
(現 アベンティス クロップサイエンス ジャパン株式会社代表取締役)
事業内容   農薬の研究開発・輸出入・製造販売、防疫薬剤の輸入・製造販売
年 商   280億円(予定)
従業員   202名(アベンティス クロップサイエンス ジャパン131名、シオノギ71名)

2001年7月24日 塩野義製薬

海外ジョイントベンチャー設立への基本合意のお知らせ      最終合意

塩野義製薬株式会社とグラクソ・スミスクライン社(GSK社)は本日、新規抗エイズ薬及び中枢神経障害治療薬を含む現在臨床試験段階にある数品目の開発・販売を行うジョイントベンチャー(JV:共同新会社)を海外に設立することで、基本合意しましたのでお知らせします。

今般の合意では、シオノギの4品目(S-1360、S-8510、S-0139、S-1746)及びGSK社の1品目(エンドセリンA受容体拮抗薬)からなるポートフォリオの独占的開発・販売権をもった新たに両社で設立したJVが、アメリカ及びヨーロッパ諸国の主要市場での事業活動を計画しています。さらにGSK社は日本及び台湾を除いたJVの活動範囲外の市場における独占的販売権、シオノギは日本及び台湾においてシオノギが提供する化合物の独占的販売権を所有する予定です。また、GSK社はJVの活動市場において、JVの支援により販売力が強化される場合はコープロモーションの権利を所有する予定です。

今般のシオノギがJVを設立する目的は、シオノギの研究所で創薬した海外開発候補化合物の早期開発と将来の販売を視野にいれた拠点を実現するためのものです。シオノギは抗エイズ薬及び中枢神経障害治療薬領域における優れたグローバルな経験をもつGSK社をパートナーとして、その実現にまい進してまいります。

なお、新会社の所在地・資本金等は未定ですが、今後両社は今秋をめどにJV設立の最終契約締結にむけて詳細を話し合ってまいります。シオノギの業績に対する影響は今後の交渉結果によりますが、当面の影響は小さいと考えます。


当初JVで開発予定する化合物等は次のとおりです。
・ S-1360 : 抗エイズ薬

現在の抗エイズ既存治療では作用しない唯一のウイルス酵素であるHIVインテグレースを阻害します。現在の開発段階は米国でフェーズUで、同じクラスの化合物の中で最も進んだ開発段階にあります。JVではこれに続くシオノギ及びGSK社が創製する全インテグレース阻害剤を開発・販売する権利を所有します。
・ S-8510 : 抗痴呆薬

ベンゾジアゼピン受容体インバースアゴニスト(経口)で、現在の開発段階は日本でフェーズU、欧州でフェーズTです。
・ S-0139 : 脳血管障害治療薬

エンドセリンA受容体拮抗薬で、現在の開発段階は日本でフェーズU、欧州でフェーズTです。このメカニズムを通して出血性及び虚血性脳卒中にも効果があるものと期待します。

GSK社で現在臨床中のエンドセリンA受容体拮抗薬もJVに提供する予定です。
・ S-1746 : 急性期脳梗塞治療薬

AMPA受容体(神経ダメージに係わる、脳のグルタミン酸レセプターのサブタイプの一つ)及びNMDA受容体(神経の変性に係わる脳のグルタミン酸レセプターのサブタイプの一つ)グリシン部位拮抗剤で、2001年末にフェーズTを開始する予定です。

JVは今後のシオノギの抗エイズ化合物及び中枢神経障害治療化合物の独占的交渉期間の権利を持ちます。また、シオノギ、GSK社共に提供する化合物を通して別の領域のパイプラインも拡大する機会も設けられる予定です。

GSK社はシオノギの化合物の進展に応じて、またシオノギはGSK社の化合物の進展に応じてJVに対してマイルストーンを支払います。これら化合物の販売後は、JVは夫々の化合物の創製先に販売のロイヤルティーを支払い、GSK社はシオノギ化合物の販売に対してシオノギにロイヤルティーを支払う予定です。JVの利益はGSKとシオノギで分配します。

シオノギは自社による開発・販売拠点の基盤を構築しながら、将来的にJVのGSK社株を買収する権利を所有しますが、JVの化合物第1号の発売から少なくとも10年間はJVとしての活動を続ける計画です。

〔参考〕

グラクソ・スミスクライン社 (GlaxoSmithKline plc)
本 社   Berkeley Avenue,Greenford,Middlesex UB6 0NN England
資本金   13,343百万英国ポンド
代表者   Dr. JP Garnier、 Chief Executive Officer
売上高   18,079百万英国ポンド (2000年12月期)
     
塩野義製薬株式会社 (SHIONOGI & CO., LTD.)
本 社   大阪府大阪市中央区道修町3-1-8
資本金   212億79百万円
代表者   社長 塩野元三
売上高   215,894百万円 (2001年3月期)

日本経済新聞 2004/9/22

帝国臓器にMBO 米ファンド・ダルトン提案

 帝国臓器製薬は21日、米系投資会社のダルトン・インベストメンツから経営陣による企業買収(MBO)の提案を受けていることを明らかにした。ダルトン主導のファンドが発行済み株式全株にあたる2395万8千株を1株1200円、約288億円で買収提案をしている。帝国臓器は「現時点では対応を検討中」としている。
 ダルトンのMBOの提案は17日付で送付され、21日に帝国臓器が受け取った。ダルトンが運営する日本企業向けのMBOフアンドを通じ投資し、一方で帝国臓器の経営陣に同ファンドヘの出資を呼びかける。帝国臓器はこれまでダルトン側から二度面会を受けているという。 帝国臓器は消化性かいよう治療剤などホルモン剤が主力の中堅製薬会社、2004年3月期の連結業績は、売上高201億円、経常利益5億3千万円。
 ダルトンは米国で1998年に設立された投資ファンドで、ユシロ化学工業など複数の日本企業に買収を提案、拒絶されている。
 現在、帝国臓器の業績は低迷しているが、ダルトン側は同社のネットワ−クを介して海外の製薬会社の医薬品を帝国臓器で販売すれば、業績が回復し、企業価値が大幅に高まると判断したもよう。


2004年9月27日 キリンビール

「医薬フロンティア研究所」の新設について
http://www.kirin.co.jp/company/news/05/040927.html

 キリンビール株式会社(社長 荒蒔康一郎)の医薬カンパニー(カンパニー社長 浅野克彦)では、医薬品開発を目的とし、次世代を見据えた長期的な技術開発を行なうための組織「医薬フロンティア研究所」(所長 石田功)を、群馬県高崎市宮原町に2004年10月1日に設立します。

 当社では、これまでヒト抗体医薬の開発や細胞医療への取り組みなど、最先端の研究開発を行い、21世紀の医療技術として高い注目を集めている分野においても着実に研究開発の実績を上げています。
 今回の「医薬フロンティア研究所」は、次世代においても、特色ある世界最先端の技術開発を続け、医療の発展に貢献することを目的として設立するものです。今後は、新薬の探索に加え、それに関連する技術開発については医薬探索研究所※で取り組み、当社の既存の研究領域に限定しない長期的な技術開発を「医薬フロンティア研究所」で行なうことで、医療にイノベーションを起こす医薬品創出を目的とした新しい技術を開発することを目指します。
※ 当社のパイプライン戦略に基づき、細胞再生医療、細胞免疫療法、抗体医薬、腎臓、創薬化学、染色体工学のグループに分かれ、独自研究及び社外との共同研究等により新規開発候補品の創製を行なっている。

 当社は、今後も新しいニーズに応える研究開発を進め、新たな医療価値を創造することによって、最先端の医療に貢献する医薬事業を展開します。

「医薬フロンティア研究所」概要  
1.名称  医薬フロンティア研究所
       (Pharmaceutical Frontier Laboratory)
2.所在地  群馬県高崎市宮原町3
3.所長  石田功
4.開発分野  次世代創薬を目指した長期的な技術開発
5.研究者数  約15名(2006年中 予定)