「鉄鋼輸出国」中国、韓国鉄鋼業界の対応は?
世界最大の鉄鋼輸入国だった中国が鉄鋼純輸出国に転換した。中国の鉄鋼輸出が急激に増加し、韓国の鉄鋼メーカーの大きな脅威となっている。
現代・サムスンなど、韓国の造船メーカーも昨年から高付加製品に分類される船舶用厚板を中国から輸入している。特に、現代重工業グループは今年、中国から50万トンの中国産厚板を調達することにした。
せめてもの救いは、中国当局が鉄鋼産業の構造調整に突入したというニュースだ。
生産能力の劣った鉄鋼メーカーの閉鎖政策、全国へ拡大
「生産能力の立ち遅れた鉄鋼メーカーの閉鎖・生産停止責任書」が、北京市や河北省など10省・自治区・直轄市による今年4月の締結に続き、18省・自治区・直轄市(天津、内蒙古、吉林、黒竜江、安徽、福建、湖北、湖南、広東、広西、重慶、四川、貴州、雲南、陝西、甘粛、青海、寧夏)および宝山鋼鉄によって27日新たに締結された。
第2弾となる責任書は、同日行われた「生産能力の立ち遅れた鉄鋼メーカーの閉鎖・生産停止工作会議」で国家発展改革委員会との間で締結された。同責任書によると、中国は2010年までに、年間生産能力4931万トン分の製鉄所と3610万トン分の製鋼所を閉鎖・停止することになっており、関連企業は573社に及ぶ。
今年4月27日に開かれた国務院会議以来、生産能力の立ち遅れた鉄鋼所の閉鎖・生産停止作業は、段階的な成果を上げつつある。4月に責任書を締結した各省が11月末までに閉鎖・停止を実施した製鉄所と製鋼所は、生産能力でそれぞれ2940万トンと1521万トンにのぼっている。
06年3月の「生産能力過剰業種の構造調整加速に関する通知」においては、設備過剰が明確な産業として鉄鋼、電解アルミニウム、自動車等を列挙し過剰投資抑制のための適切な法的運用等を打ち出している 生産能力過剰産業の構造調整加速に関する通知
3006/3 国務院
@固定資産投資の反動の防止
A新規プロジェクト抑制(原則的に新しい鉄鋼ミルの建設を認可せず)
B旧式生産方式の淘汰(300m3以下の高炉、20トン以下の転炉、電炉など)
C技術改造の推進 (冷延電磁鋼板、自動車用鋼板など)
D再編・統合の推進(3,000万トン以上の鉄鋼メーカー形成など)他に、業界情報の公表制度の整備(能力過剰のチェック基準、データ収集システム構築、定期的な関連情報の公示)
2006/7
中国鋼鉄工業協会の羅氷生・常務副会長は、鉄鋼の生産過剰を抑えるため、年産1億トン分に当たる旧式の生産設備を向こう2年間で淘汰していく方針。計画では年1億トン分の生産能力削減を実現するため、今年は炉内容積200立方メートル未満の小高炉、来年は300立方メートル未満の小高炉を淘汰することになっている。
羅副会長は、2005年の中国の粗鋼生産高が3億4,936万トンと、前年に比べて6,888万トン、率にして24%を超える伸びだったと説明。鉄鋼生産世界一となっている中国の生産高は05年時点で、2〜4位の3カ国の生産高の合計にほぼ等しく、全世界の生産高の30%前後に当たると指摘し、過剰生産の結果、05年の大手・中堅鉄鋼メーカーの業績が悪化しているとの認識を示唆した。
河北省、山西省には300m3規模の鉄鋼メーカー248社(全国の約7割)
一斉淘汰は地域経済への打撃大きい
2006・9に期限延長発表
2007年までが2010年に先送り
鉄鋼 アルミ コークス
生産能力 4.7億トン 1,030万トン 2.43億トン
生産量 3.7億トン 770万トン 1億トン
過剰能力 1億トン 260万トン 1.43億トン
建設中 7,000万トン 3,000万トン 3,000万トン
計画中 8,000万トン