2004/9/29 朝日新聞 発表
立地
理化学研究所が新元素発見 名前は「リケニウム」?
最終 ニホニウム(英:
nihonium)
日本人が、初めて新種の元素を発見した。今のところ、見つけたのは、陽子113個を含む(原子番号113)新元素の原子核1個だけだが、実験を重ねて確実性が認められれば命名権を得る。名前のついた元素はこれまでに110種あるが、初の「日本発」。理化学研究所が28日に発表し、名前の候補は「リケニウム」(理研にちなむ)、「ジャポニウム」などを挙げている。
2016/6/11
新元素 113 はニホニウム
2004/9/28 理化学研究所
新発見の113番元素
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2004/040928_2/index.html
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、これまで確認されている元素より、さらに重い113番元素の発見に成功しました。世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器を80日間連続稼働させて得られた実験結果
です。この発見は、中央研究所加速器基盤研究部(矢野安重基盤研究部長)の森田浩介先任研究員らの研究グループ※によるものです。
諸外国(ドイツやロシア)において、元素の存在限界を見極めようと超重元素の探索研究が進められてきています。今回、理研が確度の高い方法で113番を見つけたことにより、超重元素合成競争で世界をリードすることになります。
今回、合成された原子核は1個です。この原子核は合成されるや否や、連続した4回のアルファ崩壊とそれに引き続く自発核分裂によって崩壊しました。この一連の崩壊の寿命および崩壊エネルギーなどから、原子番号113
(質量数278の278113)の原子核が初めて合成されたと結論付けられました。
今後、複数合成して再現性を確かめるなどして、今回のデータを補強すれば、将来、113番元素の命名権があたえられる可能性があります。その場合、周期表に歴史的な成果
として、明確に足跡を残すことになります。
本研究成果は、日本物理学会欧文誌(JPSJ)誌http://jpsj.ipap.jpの10月号に掲載されます。本論文は同誌のLetters
of Editors' Choiceに選ばれました。また9月29日、高知大学で開催されている日本物理学会で口頭発表されます。
図1
元素の周期表(発見が報告されているもの 2004年9月現在)
図3 理研の線形加速器施設
黄色で示された加速タンクで入射ビームのイオンが加速され、最終的には光の速度の10%程度の速度で標的を照射します。
原子核は原子番号分のプラスの素電荷をもっており、2つの原子核が近づくと、互いの核は電荷による静電反発力を感じるようになります。
二つの核の融合が起こるためにはビームのエネルギーが静電反発力に打ち勝って核の表面同士が接触するところまで近づかなければなりません。そのような速度がちょうど光速の10%に相当しています。
もともとの線形加速器RILACのみでは、ビームの最高エネルギーが静電反発力に打ち勝つには足りない状況でした。
そこでもともとのRILACにCSMと呼ばれる加速タンクを新たに追加し最高エネルギーの上昇を図って、今回のような融合実験が初めて可能になりました。CSM加速タンクは東京大学原子核科学研究センターCNSの協力で完成されたものです。
また、いつ結果が出るか全く予測できない今回のような実験を可能にしているのは、理研の加速器研究施設の体制や運営のあり方に負うところが大きいことを補足しておきたいと考えます。
核図表は原子核の陽子数(原子番号Z)を縦軸とし、中性子数Nを横軸にして表示したものです。我々は新元素を合成する実験の結果を信頼性の高いものにするために、周到な準備実験を行いました。ドイツの重イオン科学研究所GSIが行ってきた合成実験のうち、108、110、111、112番の合成実験の追試実験を行い、彼らのデーターの再現性を確認すると同時に、110、111番についてはGSIよりも多くの原子数を測定するなどして効率の優位性を示しました。また実験的には最も重要なパラメーターである入射エネルギーの微調整を110、111番元素の合成実験について行い、より大きな原子番号の合成における妥当な入射エネルギーの設定を可能にしました。青い丸で示した核は今回の実験で観測された核を示しています。上の核図表の右側に楕円で囲まれた領域が示されていますが、これらはロシアのフレロフ核反応研究所のグループで実験が行われ合成が報告されている領域です。
図6 今回観測された崩壊連鎖の詳細なダイアグラム
この事象は2004年7月23日18時55分に観測されました。
検出された位置、崩壊エネルギー、崩壊時間等観測された全ての情報が示されています。