日産自動車 伊藤祐樹選手                 目次へ

 


2009年度    

 

2009年度の社会人野球公式大会の日程

 

ベストナイン受賞者 ▽外野手=吉田承太(日産自動車)

社会人野球日本選手権大会   トヨタ、パナソニック、日本通運に勝利
                     
準決勝でJR 九州に敗退

千葉市長杯争奪社会人野球大会   日産自動車優勝   表彰式

日本選手権 関東地区予選     JR水戸にコールド勝ち
                       日立製作所に勝ち、日本選手権出場決定

日本選手権 神奈川県二次予選  三菱重工横浜に圧勝、関東予選進出決定
                       東芝を破り、優勝

関東選抜リーグ戦(後期)  三菱重工横浜に勝利、JR東日本に敗退 年間3勝1敗1分

 

都市対抗    初戦 JR東日本東北に、第二戦 大阪ガスに 勝つ
           準々決勝でヤマハに勝利
            準決勝でトヨタに惜敗

都市対抗 神奈川県二次予選  第1代表決定戦 引き分け再試合で三菱重工横浜に敗退
                     第2代表決定戦で 新日本石油ENEOSにコールド負け
                      第3代表決定戦で 東芝に勝利  
都市対抗に 2年連続29回目出場

プロ・社会人交流試合   湘南シーレックスに勝利

九州大会  5月8日〜    関西メディカルスポーツ学院にコールド勝ち、NTT東日本に敗退

関東選抜リーグ戦(前期)  かずさマジックに勝利、鷺宮製作所と引き分け、住友金属鹿島に勝利

静岡大会   4月7日〜   三菱重工名古屋、鷺宮製作所に勝利、準決勝でHonda に敗退

JABA神奈川県大会  3月26日〜   三菱重工に敗退、東芝に勝ち3位

東京スポニチ  3月11日〜   初戦 敗退

2009年度の社会人野球公式大会の日程

大会名 期間 球場 チーム数
都市対抗 8/21〜12日間 東京ドーム 32+4 
関東地区 1チーム増
4試合日が増えたことを受けて、試合時間に関係なく11回からタイ・ブレーク制とする。
ただし、準決勝戦・決勝戦は除く。
全チームが揃う従来の開会式は行わない。
神奈川二次予選
6/1〜
横浜スタジアム 2+1(新日本石油ENEOS優勝)
@三菱重工横浜 A新日本石油ENEOS B日産自動車
C東芝(関東代表戦で勝利し、出場権)
                                      
社会人野球日本選手権 11/12〜11日間 京セラドーム大阪 32 
    出場権:
    都市対抗優勝チーム=ホンダ
    全日本クラブ選手権優勝チーム=トータル阪神
    地区連盟主催の9大会優勝チーム=
下記2勝以上の場合、その地区のチームが増
    各地区最終予選通過21チーム
+4
     (北海道、東北
、北信越各1、関東4+2、東海3、近畿6+2、中国2、四国1、九州2)

    関東予選 10/5〜5日間 大田スタジアム・太田運動公園球場
           参加 18 /代表 4+2(ENEOS, ホンダ)  トーナメント敗者復活
    
    
神奈川県二次予選 

社会人野球日本選手権出場対象

大会名 期間 日産
 出場
球場 方式 優勝チーム
JABA東京スポニチ 3/11〜6日間  ○ 神宮・千葉マリン・浦和市営 新日本石油ENEOS
JABA静岡 4/7〜5日間  ○ 静岡市営浜松・県営草薙 JR東日本
JABA四国 4/10〜6日間  x 高知春野他 パナソニック
JABA岡山 4/17〜5日間  x 倉敷マスカットS ・倉敷市営 新日本石油ENEOS
JABA長野 4/22〜5日間  x 長野オリンピックS ・長野県営 LT パナソニック
JABA京都 5/1〜5日間  x 西京極・皇子山 パナソニック
JABA九州 5/8〜5日間  ○ 北九州市民・北九州市立大谷 HONDA
JABA東北 5/15〜5日間  x 愛島・仙台市民・石巻 LT 三菱重工横浜
JABA北海道 8/5〜5日間  x 札幌円山・野幌 LT 鷺宮製作所

                                     T→トーナメント、LT→リーグ戦・決勝トーナメント方式


社会人野球日本選手権大会

  2009年11月12日(木)〜11日間 京セラドーム大阪


11月15日  第1試合で三菱重工 木林投手が大会史上初の無安打無得点試合
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E B
三菱重工神戸 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 6 1 1
鷺宮製作所 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3
 
投手成績
氏名 投球
回数
打者 安打 四死 三振 自責
木林  9 回  30 0 3 12 0

都市対抗大会では80回の大会中、完全試合1を含む3試合の無安打無得点試合が達成されている。

 

11月21日  準決勝 第2試合 

   JR 九州 6−2 日産自動車 

11回よりタイブレーク(一死満塁から) 

  

10

11

12

13

 :

H

E

B

JR 九州

+

日産自動車

+

 先制したのは日産だった。七回、先頭の小山豪選手が中前打で出塁する。犠打で二塁に進んだ後、船引選手の二塁打で生還した。守備交代で戻ってきた船引選手を、ベンチはハイタッチで迎えた。

 先発の古野正人投手は、打たせて取る好投を見せたが、八回途中で相手打線に捕まった。交代直後の一打で、同点に追いつかれる。そのままこう着状態となり、延長戦にもつれ込んだ。

 延長十一回からは、今大会初のタイブレーク(1死満塁から開始)となり、小さなミスも許されない緊張感の中で互いに1点を取る。十二回の守備で は、四之宮洋介、北山恵丞、小山の3選手の併殺で危機を封じた。だが、打撃で点が取れない。十三回には、相手に4点を奪われ、ついに追いつけなかった。

 次の打席を待っていた小山選手は突っ伏し、しばらく動けない。ベンチからはむせび泣く声が漏れ、スタンドは一瞬静まり返った。

 ベンチから引き揚げた選手は全員、握手し、抱き合って泣いた。古野投手はブルペンで肩を振るわせた。小山選手は「悔いはないです」。途中出場した中野大地捕手は「最後まであきらめなかった。勝つぞという雰囲気だっただけに、残念です」とつぶやいた。

 ▽日産自動車・久保恭久監督 いいゲームができた。ずっと野球をやりたいという気持ちが延長戦になったのかもしれない。休部が決まった中で、選手がスクラムを崩さず、戦い切ってくれた。 

◇日産の秋葉、在籍5年間の日々去来…「感謝と誇り感じる」

 延長十一回からタイブレークに入り、3イニング目の1死満塁。全試合に登板してきた日産自動車の秋葉が、ついに力尽きた。十三回、先頭にスクイズ を決められた後、走者二、三塁から中野にふわりと甘く入った変化球を中前に運ばれ、さらに内野安打で計4失点。試合は決まった。

 敗戦が決まった瞬間、国士大から入社して5年間の日々が、秋葉の胸に去来したという。「1日500球投げたこともあった」という厳しい練習を経て、創部50年のチームの最後のマウンドに立った。そのことに、「感謝と誇りを感じている」。声を絞り出すと、涙をこぼした。

 優勝候補のトヨタ自動車、パナソニックを連破し、この日は延長十三回にもつれ込む熱戦。2回戦では3回ともたなかった龍大出の新人右腕・古野も好投し、チームの持つ成長力を見せつけた。

 「この1年で野球の素晴らしさを存分に表現してほしい」と話してきた久保監督も「あまりあるくらいやってくれた」と、都市対抗に続いて、4試合を戦った選手をねぎらう。

 他社で野球を続ける秋葉は「日産の代表として、このユニホームを着たことを誇りにプレーし続けたい」。一方で、ここで現役を終え社業に就く選手も 多い。その一人、主将の吉浦は「精いっぱいやれたから、今はすがすがしい。この経験を生かして、頑張っていきたい」。50年の歳月が培った日産野球は、休 部の後もグラウンドの内外で息づいていく。

日産自動車打者成績【後攻】
打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 6 6 0 0 0 0 3
2 (4) 北山 6 6 2 0 0 0 1
3 (7) 吉浦 6 6 0 0 2 0 1
4 (3) 小山 5 3 3 0 2 0 0
5 (D) 4 2 0 0 0 2 0
  HD 沢田 1 1 0 0 0 0 0
6 (9) 吉田 3 3 1 0 0 0 0
  9 村上 2 2 1 0 0 0 0
  R9 野村 0 0 0 0 0 0 0
7 (5) 船引 5 2 1 2 1 2 0
8 (2) 須田 2 2 0 0 0 0 1
  H 青柳 1 1 0 0 0 0 1
  2 中野 2 2 0 0 0 0 2
9 (6) 伊藤 4 4 0 0 0 0 1
  6 四之宮 1 1 0 0 0 0 1
合計 48 41 8 2 5 4 11
 
投手成績
氏名 投球
回数
打者 安打 四死 三振 自責
古野 7 回 1 / 3 27 4 2 4 1
秋葉 4 回 2 / 3 17 4 0 2 0
合計 12 回  44 8 2 6 1

11回よりタイブレーク(一死満塁から)のため、自責点の計算は異なる。

 

11月20日 準々決勝 第4試合 

   日産自動車 4−2 日本通運 

 :

 :

H

E

B

日産自動車

+

10

日本通運

+

日産自動車が逃げ切った。
二回表、1死から市丸の二遊間への飛球を相手がお見合い(記録は二塁内野安打)。吉田承太選手の連打で1死二、三塁とし、熊代の内野ゴロの間に市丸が生還。
三回は四死球での1死一、二塁から小山の右前適時打で松井が生還。
四回にも北山の中前打をきっかけに、吉浦の左前適時打で加点した。
先発石田は球がばらついたが、七回途中まで2失点と好投。日本通運は走者を出した後の攻撃が単調だった。

二回には、凡ゴロを一塁に悪送球した三塁の熊代をベンチに下げた久保監督。「あのプレーで自分たちの勢いがそがれて、守りに入る可能性があると思った」と平然。
七回には好投の石田が2ラン本塁打を浴びると、すぐに交代させるなど、思い切った采配。同監督は「わたしたちには、来年うまくなるとか考える必要はない。温情はいらない。今しかないから」ときっぱり。

 ▽日産自動車・久保恭久監督 いい試合をしてくれた。あと2試合という逆算をしたくない。我々は分刻み、秒刻み、1球刻みで生きている。


 ◇「4強は通過点」…日産・石田

 入社5年目で27歳のエース右腕石田(東京国際大出)と左腕の秋葉(国士大出)。投手陣の若き最年長コンビによる「同級生リレー」が今大会初めて、きっちり決まった。

 先発は石田。トヨタ自動車との1回戦は七回に逆転3ランを浴びた後、降板。味方の逆転サヨナラ勝ちに、「チャンスをもらった」と喜んだ。そのチャンスを3日ぶりに生かした。

 二回、三ゴロ失で初めて走者を二塁に背負った。それでも、後輩の熊代(今治西高出)の失策は「想定内」。5番の榎を空振り三振に仕留めた後、死球 で1死一、二塁。次打者を遊ゴロ併殺に打ち取った。四回は、2死一、三塁のピンチに、2回戦で3安打5打点の小甲を、内角への140キロで捕邪飛。

 石田は今夏、都市対抗初登板を果たし、4試合すべてに先発して2勝した。だが、準決勝のトヨタ戦で七回、初球をスタンドに運ばれ、これが決勝点 に。「不用意な一球のために負けた」だけに、選手権への意気込みは人一倍だった。この日、またも七回に小甲に2ランを喫したが、救援した秋葉が3回を抑え た。

 「都市対抗後は、この大会のためだけに過ごしてきた」という石田には「4強は通過点」。秋葉が3試合で11回3分の2を無失点と完ぺきな投球を続 けていることも心強い。「七回の被弾」を3度繰り返したことも、「あと2試合で取り返そうと、励みになる」。明るく言って、頂点への思いを表した。

日産自動車打者成績【先攻】
打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 5 4 1 0 1 0 1
2 (4) 北山 5 5 2 0 0 0 1
3 (7) 吉浦 5 4 2 1 1 0 2
4 (3) 小山 5 5 1 1 0 0 0
5 (D) 市丸 3 3 1 0 0 0 1
  HD 沢田 1 1 0 0 0 0 0
  HD 青柳 1 1 0 0 0 0 0
6 (9) 吉田 4 3 1 0 1 0 1
  9 村上 0 0 0 0 0 0 0
7 (5) 熊代 1 1 0 1 0 0 0
  5 船引 3 2 1 1 1 0 0
8 (2) 須田 4 2 0 0 1 0 2
9 (6) 伊藤 3 3 1 0 0 0 1
  H 西川 1 1 0 0 0 0 1
  6 四之宮 0 0 0 0 0 0 0
合計 41 35 10 4 5 0 10
 
投手成績
氏名 投球
回数
打者 安打 四死 三振 自責
石田  6 回  24 4 2 6 2
秋葉  3 回  10 2 0 2 0
合計  9 回  34 6 2 8 2

 

11月19日  第3試合 

   日産自動車 5−3 パナソニック 

 :

 :

H

E

B

日産自動車

+

12

パナソニック

+

 一回、先頭打者の松井崇純選手がセンター前ヒットで出塁し、続く北山恵丞選手がバントに成功した。3番の吉浦貴志主将が一塁線際に鋭い当たりを放ち、松井選手が生還。先制に成功した。

 その裏に逆転を許したが、2点を追う三回1死一、二塁、小山選手が右翼へ適時二塁打を放ち、二塁の北山選手が生還。続く吉田選手が思いっきり振った打球は三塁方向へ転がり、三塁の吉浦、二塁の小山両選手が生還し、逆転に成功した。

 守備でも三回に見せ場があった。あわや三塁打となる相手打球を、センターを守る松井選手が三塁の船引俊秀選手へ鋭く返球しアウトに。三塁側のフェンスぎりぎりに上がった球を船引選手が飛びつき、捕球するファインプレーでもスタンドを沸かせた。

 八回には吉浦主将の二塁打を足かがりに、代打の西川勇人選手の適時打で、だめ押しの追加点。三回途中から登板した秋葉知一投手も打たせて取る投球で、三塁を踏ませなかった。秋葉投手が最終打者を内野ゴロで打ち取ると、球場は大歓声に包まれた。

 ▽日産自動車・久保恭久監督 パナソニックは私の中では優勝候補筆頭だった。選手たちがよく耐えて、自分たちのペースに持ってきてくれた。

 ◇若手がベテランの願いに応える…日産野球を一試合でも多くと

 1回戦のトヨタ自動車戦は、四回にソロを放った小山、九回に内野安打で逆転サヨナラ勝ちの端緒を開いた村上ら、30歳を超えた選手が奮闘した日産 自動車。野球部とともに、今季限りで現役を終えるベテランたちが常々口にしていたのは、「野球を続ける若い選手に、このチームで何かをつかんでほしい」と いうことだった。

 その願いに、若手が応えた。2点を追う三回、1死から奈良産大出の新人、北山が遊撃への当たりを俊足で内野安打とし、反撃の口火を切った。主将の 吉浦が四球でつないで、4番・小山の右翼線二塁打で1点を返し、なお二、三塁。2死後に関東学院大出の新人、吉田が打席に入った。

 「簡単には終わらないのが僕の持ち味」という吉田は、二回に一塁手左へのゴロでヘッドスライディングして一塁を得た。その闘志を、三回はフルスイ ングに表した。2球目のファーストストライクは、142キロの真っすぐ。「とにかく、低く強い打球を」とたたいた。打球は大きくバウンドして三塁手の頭を 越え、2者を生還させる逆転打となった。

 休部決定後に入社した吉田は、久保監督から「自分の味を出せ」と言われたという。「どんな状況でも攻める気持ちを忘れない野球を、先輩たちに教え られた。僕の『味』のあきらめの悪さにも、少し磨きがかかった」と吉田。日産野球を一試合でも多く表現するという決意が、トヨタ自動車、パナソニックを連破する原動力となった。

 日産グラウンドに近い関東学院大出身。練習に参加することもあり、ずっとあこがれていたチームだった。だが新人として練習に参加した直後の2月、休部が決定。それでも「伝統あるチームで、1年でもプレーができるなら」と、迷いはなかった。

日産自動車打者成績【先攻】
打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 5 5 3 0 0 0 0
2 (4) 北山 5 4 2 0 0 1 1
3 (7) 吉浦 5 4 2 1 1 0 1
4 (3) 小山 4 4 1 1 0 0 0
5 (D) 市丸 3 3 0 0 0 0 2
  H 西川 1 1 1 1 0 0 0
  RD 野村 0 0 0 0 0 0 0
6 (9) 吉田 4 4 2 2 0 0 0
  6 四之宮 0 0 0 0 0 0 0
7 (5) 船引 3 2 0 0 1 0 2
  H9 村上 1 1 0 0 0 0 1
8 (2) 須田 4 4 1 0 0 0 0
9 (6)5 伊藤 4 4 0 0 0 0 2
合計 39 36 12 5 2 1 9
 
投手成績
氏名 投球
回数
打者 安打 四死 三振 自責
古野 2 回 1/ 3 12 3 3 3 3
秋葉 6 回 2 /3 23 3 0 1 0
合計 9 回  35 6 3 4 3

 

11月17日  第1試合 

   トヨタ自動車 3−4 日産自動車    

                 

+

H

E

B

トヨタ自動車

+

日産自動車

2X

+

3回裏 伊藤 四球、松井の安打で生還
4回裏 小山 ソロ
7回表 (トヨタ 3ランで逆転)

 九回2死三塁、代打・南の飛球が中前に落ちると、日産自動車の選手たちはたまらずグラウンドへ飛び出した。九回1死無走者からの、またとはない逆転劇。一塁ベースを駆け抜けた南を、歓喜するナインの渦が押し包んだ。

 口火を切ったのは、日体大から入社15年目、コーチ兼任の村上だった。途中出場で九回が初打席。「一人では決められない。何とか塁に出て、つなぐ」の一念だった。

 カウント2−1から真ん中速球をはじき返し、マウンドの大谷を強襲した。カバーした三塁手・高阪の一塁送球との競争で、「体が勝手に跳んだ」。37歳がヘッドスライディングでものにした内野安打が、トヨタ自動車に行き着くかにみえた勝利の舳先を変えた。(代走 野村)

 (伊藤の)投ゴロで2死二塁。須田の正面のゴロを、二塁手・佐野が捕り損ね、(代走 熊代)、さらに代打・南への初球がショートバウンドの暴投となり同点。その上、後逸したボールを追った捕手・二葉の本塁送球がそれ、走者三塁。ドラフトでロッテに2位指名された大谷をして、「力んでいたと言われれば、それも仕方ない」とうならせた「まさか」の連続が、サヨナラの舞台作りとなった。

 「九回は、今までやってきたことを信じて思い切り振った」と須田。「しっかりつなぐのが自分の役割、と心して打席に入った」と南。その意識が、鋭 い回転のゴロや、幸運なサヨナラ打に結実したと言えなくもない。大会後は社業に専念する村上が言う。「他社へ移る者も、社に残る者も、立場を超えて最後の 大会にかけてきた。決してあきらめないのが日産野球だと、現役を続ける後輩たちに伝えたい」。強い思いが生んだ奇跡だった。

▽日産自動車・久保恭久監督 九回は最後まで攻め抜くぞと(選手を)送り出した。(サヨナラ打の)南は(勝利への)執念を遺憾なく発揮してくれた。

日産自動車打者成績【後攻】
打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 4 3 1 1 1 0 0
2 (6) 四之宮 4 3 1 0 1 0 0
3 (7) 吉浦 4 4 0 0 0 0 1
4 (3) 小山 4 4 1 1 0 0 1
5 (D) 市丸 4 3 0 0 1 0 1
6 (9) 吉田 3 3 1 0 0 0 0
  9 村上 1 1 1 0 0 0 0
  R 野村 0 0 0 0 0 0 0
7 (5) 伊藤 4 3 0 0 1 0 1
8 (2) 須田 4 2 0 0 1 1 0
  R 熊代 0 0 0 0 0 0 0
9 (4) 北山 3 2 0 0 1 0 0
  H 1 1 1 1 0 0 0
合計 36 29 6 3 6 1 4
 
投手成績
氏名 投球
回数
打者 安打 四死 三振 自責
石田 6 回 1/ 3 25 5 1 3 3
秋葉 2 回  8 2 0 1 0
古野 - 回 2 /3 2 0 0 0 0
合計 9 回  35 7 1 4 3

名門チームの歴史の重みを知るベテランたちの奮闘が光った。三回はコーチを兼任する37歳の伊藤が四球で出塁して先制のホームを踏み、四回に35歳の小山がソロ本塁打を放った。九回も途中出場で37歳の村上が一塁にヘッドスライディングする内野安打でムードを盛り上げた。

「最後までみんながあきらめなかった。うれしくて涙が出る」と吉浦主将。南はこう言った。「僕は来年から社業に専念するので、一日でも長くこのメンバーで戦いたい」 (サンスポ)

ーーー

日産自動車−トヨタ自動車は、都市対抗準決勝の再現。トヨタ自動車はドラフトで3人が上位指名されるなど戦力充実。日産自動車はエース石田を中心に雪辱を期す。

○…1回戦屈指の好カードは、日産自動車−トヨタ自動車。両者は今夏の都市対抗準決勝でも対戦し、トヨタが二葉のソロ本塁打による1点を守りきって勝利している。

 今季限りでの休部が決まっている日産の久保監督は「最後の公式大会を、1回戦で負けるわけにはいかない」と話し、「対戦相手を聞き、選手の気合が入り過ぎるのが心配。強敵を破って勢いをもらい、一気に勝ち上がりたい」と意気込んだ。

 一方、トヨタの間瀬監督は「やりにくさ? そんな情は一切持たず、勝ちに行きます」。今大会は、史上初の3連覇が懸かる。「力の差はない。向こうも勝ちたい意欲は強いはずだが、それを上回る思いで1回戦に全力を注ぐ」と話した。

JABA愛知県会長杯 地元大会で不覚、トヨタ初戦敗退

トヨタ自動車が10月31日のJABA愛知県会長杯1回戦で、設立1年目の居酒屋チェーン運営会社チーム、ジェイプロジェクトに1-3で敗れる波乱があった。投手、捕手ともに控えが出て七回に3点を許した。

千葉市長杯争奪社会人野球大会
(2009
関東選抜リーグ戦 決勝トーナメント)

2009年11月2日(月)〜 3日間(雨天順延) 千葉マリンスタジアム

 

社会人野球の関東選抜リーグ戦の表彰式が12月1日、東京都内のホテルであり、優勝した日産自動車と準優勝の東芝に、千葉市長杯と毎日新聞社杯が贈られた。主な表彰選手は次の通り。

 最優秀選手賞 西川勇人(日産自動車)▽首位打者賞 西川勇人(日産自動車)▽投手賞 石田祐介(日産自動車)

 

11月4日

 決勝

  日産自動車 6−2 東 芝    

                 

日産自動車

東 芝

 

 準決勝

  日立製作所  1−3 日産自動車    

                 

日立製作所

日産自動車

X

 

11月2日

  日産自動車 8−1 セガサミー    

                 

日産自動車

セガサミー

 


日本選手権 関東地区予選 

10月5日から5日間 大田スタジアム・太田運動公園球場 18チームから6チーム トーナメント敗者復活
 (本来の枠は4、ENEOSが9大会で2勝、ホンダが九州大会と都市対抗優勝で2枠追加)

 

日産自動車は3年連続16回目の出場

10月14日 大田スタジアム 

   日立製作所 0−3 日産自動車   

                 

日立製作所

:

日産自動車

X

打順 位置 氏名 打数 安打 打点
1 (8) 松井 3 1 0
2 (6) 四之宮 2 2 0
3 (7) 吉浦 3 1 0
4 (3) 小山 4 2 1
5 (D) 沢田 1 0 0
  (HD) 熊代 1 0 0
  (HD) 青柳 0 0 0
6 (9) 吉田 1 0 1
  (9) 村上 1 0 0
7 (5) 伊藤 4 1 0
8 (2) 須田 3 1 1
9 (4) 北山 3 0 0
合計 26 8 3
回数 安打 自責
石田  9 回  3 0

 日産は二回2死二塁、須田の適時二塁打で1点先制。三回には連打で無死満塁とした後、小山の適時打と吉田の犠飛で2点を加えた。投げては石田が3安打に抑え6三振を奪う好投で完封。日立は三塁を踏めなかった。

◇夏よりも強い実感−−日産自動車・吉浦貴志主将

 先制点が大きかった。終わりまで攻め続け、試合の流れを相手に渡さなかった。全員が東京ドームの経験を生かし進化。夏よりも強い実感がある。大阪が楽しみです。

◇日産のエース・石田が3安打完封…最後の大会へその思い表す

 今季の、そして日産自動車としての最後の大会にかける思いを、エース右腕・石田がマウンドで表した。

 初球の真っすぐを中前へ返された。これが、たった一度の失投をスタンドに運ばれてトヨタ自動車に敗れた都市対抗準決勝の教訓を呼び起こした。スピードは抑え気味ながら、低めのストライクゾーンぎりぎりに球を出し入れし、日立打線につけ入るすきを与えなかった。

 3安打完封に「出来過ぎ」と頭をかきながら、「都市対抗で負けてから、日本選手権で借りを返そうという気持ちでやってきた」と石田。都市対抗で4試合すべてに先発した疲労感も満足感も封印し、「5試合全部投げるつもりで大阪へ行く」と意気軒高だ。

 移籍を決めた選手もいれば、野球をやめる者もいる。個々の境遇はさまざまだが、「このチームでできることをやり遂げようという思いが、若手にもベテランにもある。都市対抗4強で自信を得たことも大きく、いい状態で戦えている」と選手会長の四之宮が言う。

 久保監督は「03年の選手権で優勝した時は、ゴーン社長から『野球部を誇りに思う』と言われた。もう一度、誇ってもらえる戦いをしたい」。「(休部が)惜しい、もったいないと思う、いいチームになった」という手応えを得て、本大会に臨む。

10月5日 大田スタジアム 第3試合 

   JR水戸 1−10 日産自動車   7回コールド

                 

JR水戸

  :   :

日産自動車

3X

  :   :

10

伊藤選手 出番なし

日産は一回2死三塁、小山の適時打で先制。四回に吉田と松井の適時打などで勝ち越し、七回に松井の3ランでコールド勝ちを決めた。JR水戸は四回に堀江の適時打で同点としたが、古野と久古に4安打に抑えられた。

◇1イニングでも多く−−日産自動車・古野正人投手(23)

 四回、同点タイムリーを許し、なお2死一、三塁。一打浴びれば逆転される。「ストライクを集めすぎてしまった」と反省しつつ踏ん張った。次打者を内野ゴロで抑えると、ホッとした表情で手をたたいた。

 五回は1安打に抑え、5回4安打6奪三振、先発の役目は果たした。14安打10得点と打線の援護もありコールド勝ち。急成長の新人を「四回は相手打線に絡めとられて単調になったが、序盤はよく抑えた」と久保恭久監督もねぎらった。

 今年入社した当初は「どんな球を投げても打たれ」、社会人野球のレベルの高さを思い知らされた。都市対抗県予選ごろからベンチ入りを果たし、試合の緊張感も肌で覚えた。東京ドーム後に若手育成を目指すリーグ戦で公式戦初勝利を挙げると、日本選手権県2次予選決勝では勝利投手に。成長著しい。

 年内休部が決まっているチームへの愛着は日に日に深まる。「その日」が来るのはつらい。でも、だからこそ「日産で1イニングでも多く試合する」。その思いが本大会へまた一歩近づけた。


日本選手権 神奈川県二次予選

   9月22日(火)〜25日(金)  保土ヶ谷球場

三菱重工横浜と新日本石油ENEOSは日本選手権 出場権 確保済

 

日産自動車、東芝を破り、優勝

9月25日 保土ヶ谷球場

   日産自動車 9−3 東芝

                    

日産自動車

東芝

       本塁打  小山〈RH〉、伊藤 (ビデオインタビュー)

 日産は一回2死一塁、小山のランニングホームランで2点先取。四回は沢田の適時打などで3点追加、七回にも伊藤が2ランを放ち試合を決めた。東芝は五回に長谷川と藤原の適時打、七回には三沢の適時二塁打で反撃したが、及ばなかった。

 ◇打ち勝つ野球満足−−吉浦貴志・日産自動車主将

 狙っていた優勝を果たせて本当に良かった。準決勝、決勝とも打ち勝つ野球で満足でき、関東代表決定戦へ弾みがついた。2回勝って本大会出場権を必ず得たい。

 ◇けじめの一発

 ○…日産は30代ベテラン勢の奮闘が光った。小山は一回、相手外野手が強い打球を捕り切れないのを見て全速力でランニングホームラン。七回には伊藤が本塁打を放った。久保恭久監督は「夏のドームで得た自信が結果につながった。若手が一皮むけ、ベテランも奮起した」と分析。また、保土ケ谷球場でのプ レーは最後だけに、久保監督は「球場へけじめの一発だったな」と振り返った。

9月23日 保土ヶ谷球場

  三菱重工横浜 0−12 日産自動車(五回コールド)

                    

三菱重工横浜

       

日産自動車

X

       

12

 一回に3点を先取した日産は二回には市丸の3ランなどで4点、三回にも四之宮、吉浦、市丸の適時打で5点を挙げ圧倒した。三菱重工は四回、田城と池田のヒットなどで2死満塁としたが、攻めきれなかった。

◇リベンジ果たした

 ○…三菱重横に圧勝し「リベンジを果たせた」と日産の久保恭久監督。都市対抗第1代表決定戦で引き分け再試合の「死闘」の末に敗れた夏の借りを返 した形だ。クラブチーム相手に4安打だった前日から一転し12安打。前日に続く3ランなど3打数3安打6打点と大活躍した市丸祐樹選手は「8年間チームで やってきたことを見せられるよう完全燃焼したい」と1位通過を誓った。

 

9月22日 保土ヶ谷球場

  横浜ベイブルース 1−8 日産自動車(七回コールド)

                    

横浜ベイブルース

   

日産自動車

X    

日産は1点を追う四回1死一、二塁、市丸の右越え本塁打で逆転。六回は、北山の適時二塁打や四之宮の犠飛などで4点を挙げ試合を決めた。


関東選抜リーグ戦(後期)  日産自動車 後期 1勝1敗、年間 3勝1敗1分

県営大宮球場

10月19日(月)15:03

   JR東日本 3−2 日産自動車

                    

JR東日本

日産自動車

 

9月10日(木)13:05

   日産自動車 2−0 三菱重工横浜

                    

日産自動車

三菱重工横浜

 

関東選抜リーグ戦(前期)  かずさマジックに勝利、鷺宮製作所と引き分け、住友金属鹿島に勝利


都市対抗  

2009年8月21日(金)から12日間  東京ドーム 

4試合日が増えたことを受けて、試合時間に関係なく11回からタイ・ブレーク制とする。
ただし、準決勝戦・決勝戦は除く。

8月31日 準決勝 第1試合

トヨタ自動車 1−0 日産自動車

                    

トヨタ自動車

日産自動車

打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 4 4 1 0 0 0 1
2 (6) 四之宮 4 2 0 0 1 1 1
3 (7) 吉浦 4 4 0 0 0 0 0
4 (3) 小山 4 4 0 0 0 0 1
5 (D) 3 1 0 0 2 0 0
6 (9) 吉田 3 3 0 0 0 0 0
7 (5) 伊藤 3 3 0 0 0 0 0
8 (2) 須田 2 2 0 0 0 0 1
  H 沢田 1 1 0 0 0 0 1
  2 中野 0 0 0 0 0 0 0
9 (4) 北山 2 2 0 0 0 0 0
  H 熊代 1 1 0 0 0 0 0
  4 青柳 0 0 0 0 0 0 0
合計 31 27 1 0 3 1 5
投球回数 打者 安打 四死 三振 自責
石田 7 回  30 7 2 6 1
秋葉 2 回  7 1 0 1 0
合計 9 回  37 8 2 7 1

トヨタが初の決勝 日産は「最後の夏」に幕

 第80回都市対抗野球大会(毎日新聞社・日本野球連盟主催、東京ドーム)第11日の31日は準決勝2試合。第1試合は、日本選手権2連覇中のトヨ タ自動車(豊田市)が日産自動車(横須賀市)との投手戦を1−0で制し、14回目の出場で初の決勝進出を決めた。
 敗れた日産は今季限りの休部が決まっており、2回の優勝をはじめ数々の名勝負を演じた東京ドームでの夏に休止符を打った。

 緊迫の投手戦をトヨタ自動車が零封リレーで制した。六回まで4度、得点圏に走者を進めるも、あと一本が出なかったが、七回、二葉が左越えにソロ本 塁打を放って均衡を破った。先発の中沢は打たせて取る投球で、6回1安打無失点。救援の佐竹も3回を無安打に抑えて1点を守りきった。

 日産自動車は六回1死三塁の先制機を逃したのが痛かった。4試合連続先発となった石田は粘りの投球で再三のピンチを防いだが、本塁打の1球に泣いた。

▽日産自動車・久保恭久監督 狙い球を絞りきれなかった。相手が同業だけになおさら悔しいが、選手は焦りもあきらめもなく戦った。 

○…六回にチーム唯一の安打となる右中間二塁打を放った日産自動車の松井は、その後の走塁を悔やんだ。犠打で三塁に進み、打席には3番・吉浦。2球目までは「ゴロならスタート」のサインが出ていたが、3球目以降は「待て」に切り替わり、吉浦の二ゴロで本塁に突入できなかった。トヨタ自動車の二塁手・佐野が一度打球をつかみ損ねただけに、「3、4番に任せるというベンチの判断だと思うが、あそこで勝負をかければ展開は違ったかもしれない」とうつむいた。

◇日産・石田、痛恨の1球も「楽しかった」

 たった1球が日産自動車に夏の終わりをもたらした。0−0の七回、日産自動車の先発マウンドに立ち続けてきた石田が豊田市の二葉に投じた初球。「外角を狙った」直球が真ん中に入った。打球は左翼席前列に。都市対抗最後のマウンドで「1球の怖さ」を味わった。

 石田が失ったのはこの1点だけ。六回の攻撃では1死三塁で中軸の吉浦、小山が凡退するなど打線が援護できなかった。「5試合やりたかったが」と淡 々と振り返った小山。出場29回、優勝2回の名門が都市対抗の舞台から去る。久保監督は「応援団の喜びを爆発させるような試合をしたかった」と1安打零封負けに少し名残惜しそうだった。

 石田は「楽しかった」と今大会を振り返った。5年目の27歳右腕は休部の話を聞いてから「自分たちの頑張りしだいで休部が撤回される奇跡が起こせるかもしれない」と強い気持ちでチームを引っ張った。神奈川予選で延長十六回引き分け再試合の敗退を乗り越えて代表権を獲得し、本大会3回戦では延長十一回タイブレークで逆転サヨナラ勝ち。その粘りは、選手たちの思いが源泉になっていたのかもしれない。

 「12月までは野球をやらせてもらえる」と小山。9月22日には日本選手権大会(11月12日開幕、京セラドーム大阪)の予選が始まる。再び全国の舞台に立てるか。石田は「前を向いていく」。1球の怖さを知った経験を生かすために、力強くそう口にした。

ーーー

 久保恭久監督は「東京ドームでこんな応援は初めて。復活する時は今日のメンバーとまた優勝を目指したい。それだけすごい選手たちです」と称賛した。主将の吉浦貴志左翼手は「全員が全力を出し切って試合に臨んでいる雰囲気があった。秋の日本選手権で日本一を目指します」。夏のドラマは終わったが、秋のリベンジを誓った。

8月30日 準々決勝 第二試合

ヤマハ 0−5 日産自動車

                    

ヤマハ

日産自動車

X

打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 4 3 1 0 1 0 0
2 (6) 四之宮 4 2 0 0 0 2 0
3 (7) 吉浦 4 4 2 2 0 0 1
4 (3) 小山 4 4 1 2 0 0 0
5 (D) 市丸 3 3 1 0 0 0 1
  D 熊代 1 1 0 0 0 0 0
6 (9) 吉田 3 2 1 0 0 1 0
  9 村上 1 0 0 0 1 0 0
7 (5) 伊藤 4 3 0 0 0 1 1
8 (2) 須田 3 3 1 0 0 0 0
9 (4) 北山 3 1 0 1 1 1 0
合計 34 26 7 5 3 5 3

本塁打 小山<2ラン>

氏名 投球回数 打者 安打 四死 三振 自責
石田 7 回 2/ 3 32 8 1 7 0
秋葉 1 回 1/ 3 6 2 0 1 0
合計 9 回  38 10 1 8 0

第2試合は、今季限りの休部が決まっている日産自動車(横須賀市)の投打がかみ合って、10年ぶり4強を狙ったヤマハ(浜松市)を5−0と零封。準優勝した第77回大会(06年)以来3年ぶりのベスト4進出を決めた。
日産自動車は31日の準決勝第1試合(午後2時)で、トヨタ自動車(豊田市)との 「自動車対決」に臨む。

日産自動車は三回1死二、三塁、吉浦の左前適時打で2点を先制。四回に北山のスクイズで1点を加え、八回には4番・小山が右越え2ランを放って突き放した。先発右腕・石田は八回途中まで8安打を許しながら粘り強く後続を断ち、左腕・秋葉につないでヤマハ打線を零封した。

ヤマハは序盤に先制機を逸し、その後も得点圏に再三ランナーを送ったが、ここぞの一打が出なかった。

▽日産自動車・久保恭久監督 (3戦連続で先発した石田について)よくやっている。あとがない戦い。毎試合助けてもらわないと。

◇約束の3点 応えて力投…日産自動車・石田投手

 「3点下さい」。横須賀市の石田は試合前夜、主将の吉浦に頼んだという。約束の3点目は四回。北山がスクイズで挙げた。この日早くも5個目の犠打だった。

 何としても点をやるという野手の意気に、3試合連続先発の石田も応えた。六回2死一、二塁は生きのいい高め速球で良知を空振り三振。縦に切れ込むカーブも効果的で、八回途中から救援の秋葉と零封リレーを完成させた。

 これで今大会計324球を投げた石田だが、「(決勝まで)5試合全部投げる」と意気軒高だ。きっかけは不調で腐っていた昨夏、補強で来た三菱重工 横浜の右腕・門西からの「気持ちが足りない」という指摘だった。工場で働きながら投げ続ける門西に諭され、「変わろう」と決めた。

 それ以降、あまり好きではなかった打撃投手を率先して引き受けた。ふがいない投球への仲間の叱責が、激励に変わっていった。だから「このチームで、できる限り投げたい」。最後の夏は残り最多で2試合。疲れている暇はない。

 

8月28日 第二試合

大阪ガス 3−4 日産自動車

                    

10

11

大阪ガス

日産自動車

2X

 

位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 6 5 2 0 1 0 2
2 (6) 四之宮 6 4 2 2 0 2 0
3 (5) 熊代 2 2 0 0 0 0 2
  5 伊藤 3 2 0 0 0 1 0
4 (3) 小山 5 3 1 1 2 0 1
5 (7) 吉浦 5 3 2 0 2 0 0
6 (9) 吉田 4 3 1 1 1 0 0
  H9 村上 1 1 0 0 0 0 0
7 (D) 船引 2 2 0 0 0 0 1
  HD 沢田 2 2 0 0 0 0 0
  HD 1 1 0 0 0 0 0
8 (2) 須田 5 4 0 0 1 0 1
9 (4) 北山 3 1 0 0 2 0 0
  H4 青柳 2 2 0 0 0 0 0
合計 47 35 8 4 9 3 7
氏名 投球回数 打者 安打 四死 三振 自責
石田 7 回 1/3 29 7 0 3 2
秋葉 3 回 1/3 11 1 1 1 0
合計
(11回は1死から)
10 回 2/3 40 8 1 4 2

日産自動車が逆転サヨナラ勝ち。九回に小山の中前適時打で追いつき、1点を追うタイブレークの延長十一回1死満塁で、四之宮が右中間へ決勝2点適時打を放った。先発の石田、2番手の秋葉とも低めを丁寧に突く投球で好投。大阪ガスは投手陣が踏ん張れなかった。 

▽日産自動車・久保恭久監督 七回からドラマを作ろうとハッパをかけた。その通りの展開で、選手の粘りに私も感動した。

○…八回途中から登板した日産自動車の左腕・秋葉が持ち味の粘りの投球で逆転サヨナラ勝利を呼び寄せた。1点を追う九回裏、延長戦に備えて投球練習を続けていると投手コーチから「(味方を)信じろよ」と声をかけられ、さらに気合が入った。「気持ちを出せば、野球の神様が見ているはず」。スライダーやパームボールなどあらゆる変化球を駆使して十回は無失点、タイブレークで1死満塁からスタートする十一回も最少失点でしのいだ。試合後、心地よい汗をぬぐい「また試合ができる」と勝利の味をかみしめていた。

◇最後の夏、尽きぬ執念…日産自動車

 「まだ終われない」という32歳の一打が、日産自動車に逆転サヨナラ勝利を呼び込んだ。タイブレークの十一回。1点を先行されたその裏、先頭は選手会長の四之宮だった。

 第3、第4打席で凡退した時の「頭が突っ込む悪い癖が出た」という反省を生かした。上体を残し、外寄りの速球を逆らわず右中間へ運び2者を迎え入れた。

 おぜん立ては、十一回表の守備。押し出し四球後の中飛で、松井が素早く返球。やや三塁寄りにそれたものの、本塁を狙った三塁走者に捕手の須田がタイミングよくタッチして間一髪アウトにした。

 日産自動車は先手を取られ、苦しい展開だった。1点を追う九回も先頭打者だった四之宮は「ここで出塁しなければ、この仲間との東京ドームは終わっ てしまうんじゃないか、という思いがこみ上げた」と話す。「何か違う力をもらったような」と振り返った左前打が、土壇場で追いつく端緒となった。

 入社10年目。主力としてプレーしてきた四之宮は「会社が休部と判断した責任の一端は、僕らにもあるのではないかと、どうしても考えてしまう」と 漏らす。「だからこそ、野球部の価値をこの大会で示したい」という思いは切実だ。例年にもまして大きな声援に応えたいし、「巣立っていく若手にチームで得 たことをたくさん持たせてやりたい」。最後の夏への尽きぬ執念が、勝因だった。

◇神懸かりの併殺プレー−−日産自動車・松井崇純中堅手(24)

 タイブレークの延長十一回、四球で1点を勝ち越され、なお1死満塁の厳しい場面。相手打者の右中間寄りの中飛をつかむと本塁へ全力で送球した。須田光捕手の絶妙なタッチもあり、併殺で追加点を阻止。笑顔でガッツポーズをした。

 「(久保恭久)監督から守備につく前、『これからだから集中しろ』と言われたら、ボールが本当に来た。絶対ダブルプレーにすると確信して投げた」と振り返る。久保監督も「あの場面であのプレー……。ちょっと神懸かっていたな」。

 入社2年目。昨年のドームは守備で一回出ただけで、打席に立つことはなかった。今季はレギュラーに定着。県予選では当初、9番だったが、打撃が好調で終盤には1番に座るようになった。打率はチームトップの4割7分台をマークした。

 この試合も、リードオフマンとして、一、三回に安打で出塁した。「次の試合は点に絡みたい。このチームで1試合でも長くプレーするためにも」。まだ、夏は終わらせない。

8月22日 第二試合

JR東日本東北(仙台市) 1−2 日産自動車

                    

JR東日本東北(仙台市)

日産自動車

打順 位置 氏名 打席 打数 安打 打点 四死 犠飛打 三振
1 (8) 松井 4 3 0 0 1 0 1
2 (6) 四之宮 4 2 0 0 2 0 0
3 (D) 熊代 4 4 1 0 0 0 1
4 (3) 小山 4 4 1 1 0 0 1
5 (7) 吉浦 3 3 0 0 0 0 2
6 (9) 吉田 2 2 0 0 0 0 0
  H 澤田 1 1 1 0 0 0 0
  R 野村 - - - - - - -
  9 村上 - - - - - - -
7 (5) 伊藤 3 2 1 0 1 0 0
8 (2) 須田 3 3 0 0 0 0 1
9 (4) 北山 3 0 0 1 2 1 0
合計 31 24 4 2 6 1 6
氏名 投球回数 打者 安打 四死 三振 自責
石田  9 回  30 4 0 3 1

ビデオ

試合は開幕以来最多となる約3万2000人の観衆が詰めかけ、日産の応援席はチームカラーの赤に染まった。

接戦制し横須賀市 ここぞの集中 決勝スクイズ

 「それほどまで、1点に集中していたということか」。仙台市の阿部監督をうならせたのは、同点で迎えた5回の横須賀市の攻撃。二塁走者・伊藤が捕逸で三塁に進んだ直後、横須賀市の久保監督はすかさず「スクイズ」のサインを送った。打席は新人・北山。予選では年下の熊代に二塁を奪われる形で出場機会が減り、無安打に終わった。それでも、その後は対応力に富んだ打撃など持ち昧を前面に出し、この日の先発をつかんだ。
 久保監督は「北山ならできる。一発勝負にかけた」と言う。北山は「伊藤さんならきっと還れると思った」。休部を控え、東京ドームに向けた練習は、わずかなミスにも激しい叱咤が飛び交うほど激しかった。その中で、コーチ兼任の伊藤に励まされ、引っ張られてきた。信頼は揺るぎなかった。
 伊藤もまた、「監督が勝負をかけた。決まると確信した」。北山が、体ごとぶつけるようにバットの根元でとらえて転がし、伊藤がスタート良く本塁を陥れた。
 打者と走者とベンチが1球に心を合わせて奪った1点で、接戦は決した。「休部するチームヘの判官びいきではなく、野球の素晴らしさへの共感を呼べたら」と久保監督。“最後の夏”にかける横須賀市に、似つかわしいスタートとなった。

日産自動車は1回、四之宮の死球と熊代の右前打で1死1、3塁とし、小山の中前適時打で1点を先取した。

日産自動車は1−1の五回裏、四球のランナー伊藤を須田の進塁打と相手捕手のパスボールで進め1死三塁に。9番・北山がスクイズを決め、この回ノーヒットで勝ち越しに成功した。守っては先発の右腕・石田が要所を締めるピッチングでJR東日本東北打線を4安打1失点に抑え、完投勝利を挙げた。

JR東日本東北は三回に桂田の中前適時打で一度は同点に追いついたが、チャンスでもう一本が出なかった。

▽日産自動車・久保恭久監督 我慢比べの展開になったが、石田が丁寧によく投げた。今までの1勝より、重みのある1勝に感じた。

○…JR東日本東北を4安打1点に抑えた日産自動車の右腕・石田は、入社5年目で東京ドーム初登板。マウンドに立てた喜びを球に込め「最初から全力投球で行った」という。直球が低めに走り、要所は変化球で打ち取った。制球もさえ、無四球完投。27歳で投手陣の最年長となり「皆を引っ張っていかなく ては」と責任感も出てきた。「完封を狙ったが、甘くはないですね」と言いながらも、上々の初舞台の結果に笑顔だった。

まだ、走り続ける

 4年前、右胸に青い鳥(ブルーバード)を縫い込んだユニホームで横須賀市・日産自動車は川崎市・三菱ふそう川崎との神奈川勢決勝に臨んだ。試合は3点及ばず、久保恭久監督は選手(コーチ兼任含む)時代に続く3度目の優勝には届かなかった。その悔しさをバネに翌年も決勝進出。だが、またも1点差で敗れ、涙をのんだ。
 それから3年たった今年、今季限りでの休部が告げられた。村上忠則・前監督からチームを引き継いだ99年当時の思いがよぎる。あの時も社業不振の逆風の中。「自分でやれることをやるだけ」。自然体で臨む決意を胸に秘めた。
 社会人野球では技術や戦術論だけではなく、人間性も求められると考えている。エラーした選手は代えない。「その場から逃さないんです」。試台でのことは試合で解消するしかないと教える。セールスマンの知人から教えられた行動の実践なのだという。
 会社創立50周年の83年に入社。新人の年は都市対抗代表決定戦で勝利目前に抑えで登板し逆転負け。「やるしかない」の一念。自分流の練習を編み出し、どん底からはい上がった野球苦労人だ。
 「我々の野球は、まだまだ走り続けます」。白星を一つ積み上げ、監督13勝とした指揮官に、あきらめはない。

 (毎日新聞 2009/8/23)



名門日産 最後の夏 
  チーム今季限り 完全燃焼誓う

 第80回を迎えた都市対抗野球大会が21日から12日間、東京ドームで開かれる。景気低迷の影響は企業が支える社会人野球に及び、今季限りでの休部が決まっている大会2度優勝の名門チーム、日産自動車(横須賀市)は最後の夏に挑む。プレーができる喜びをかみしめる選手たちの熱い戦いが始まる。

 「日産の伝統をひと言でいえば、しぶとさ。(いい意味での)往生際の悪さがある」
 休部が決まった今年、都市対抗に2年連続29回目の出場を決めた日産自動車の久保恭久監督(48)は50年の歴史を持つチームをそう語る。1984、98年と大会を2度制覇した強豪だが、59年から脈々と受け継がれてきた伝統を体現したような試合が6月の神奈川県2次予選だった。
 三菱重工横浜との第1代表決定戦は延長十六回、OーOで再試合に。翌日の試合も延長戦にもつれ込んだが、失策でサヨナラ負けを喫した。激戦の疲労から、第2代表決定戦の新月本石油ENEOS戦はコールド負け。
 ところが久保監督は落ち込むどころか前向きだった。「緊張の糸が切れてもおかしくない状況で、選手の野球を続けたいんだ、という気持ちが出ていた」。最終の第3代表決定戦。吉浦貴志主将(29)に本塁打が出るなど4:2で東芝を退け、ようやく本大会の切符を手にした。
 80回の節目の年にチームが休部になる。金融危機に端を発した昨年後半からの急激な経済低迷のあおりをうけ、日産が業績改善策を発表したのは2月9日。コアビジネスに特化するため、福岡県苅田町と横須賀市の2つの野球部、卓球部、陸上部の休部を決定。野球部の活動は今年限りとなった。
 休部の布石を会社側も打っていたようだ。昨年12月、スタッフを含め35人が在籍する野球部に「2人減らすように」と通告があった。例年10日間ほど行う温暖地での春季キャンプも、今年は半分に期間短縮を求められた。
 一連の経費削減策を「会社が本気で野球部を存続させようとしている」と前向きにとらえる向きも一部にあった。だが、キャンプが始まる3日前に休部の報が合宿中のチームにもたらされ、選手の間に動揺は広がった。
 練習が手につかず、春先の試合でも思うような結果が出せなかった。それでも「今年で終わるから、技も心も現状維持でいい、と選手に思わせたくない」という久保監督は選手を鼓舞し続けた。「まだ日産で1年、成長できる。最後まで厳しさをもってほしい」
 90年代後半にもチーム存廃の危機があったが、カルロス・ゴーン社長が99年の都市対抗を観戦、「野球は社員の帰属意識を高める」と語って存続を明言してくれた。今回はそんな助け舟が出てきそうにない。中国での好調な販売や電気自動車の話題など、威勢のよいニュースが出始めていても、だ。
 ならば、と選手の気持ちは熱く燃えさかる。「1年でも早く、野球部を復活させたい」。ニッポンの企業文化のひとつ、都市対抗での活躍は格好のアピールの舞台だ。「予選で得た"財産"を本大会ですべて使い果たす。それも1回戦から惜しみなく投資し、利益を生み出して成長してほしい」と久保監督は話している。(日本経済新聞 2009/8/16)

存在感示す大会に

今期限りで休部が決まっている横須賀市・日産自動車の久保恭久監督は「試合がやれるのがうれしくって」と開幕が待ちきれない表情。「チームの歴史を感じるような存在感を示して、忘れ物(98年以来の優勝)を取りに行く。欲張りな大会にしたい」と悲壮感はない。「選手にここで終わるな、と言い続けるでしょう」と、頭の中は東京ドームのベンチに飛んでいる様子。創部から半世紀で優勝2回の名門が優秀の美を飾れるか。(毎日新聞 2009/7/21 夕刊)


プロ・社会人交流試合

8月7日 横須賀スタジアム  

日産自動車 9−4 湘南シーレックス

                    

日産自動車

湘南シーレックス


都市対抗 神奈川県二次予選

  2009/6/1-3
      6/9-6/15
  横浜スタジアム

         東芝は、関東代表決定戦(7月6〜7日、千葉マリンスタジアム)に出場
         7月6日、JFE東日本に延長17回裏、2対1で勝ち、都市対抗に出場。
         

 

6月15日 横浜スタジアム 第3代表決定戦

日産自動車 4−2 東芝

                    

日産自動車

東芝

 

◇最後の最後に快勝…日産「最後の夏」見据え

 日産自動車の主将・吉浦が言う。「勝てば天国、負ければ地獄と承知していた」。三菱重工横浜との第1代表決定戦は2夜連続の延長戦となり、十六回 引き分けの後の再試合でサヨナラ負け。新日本石油ENEOSとの第2代表決定戦は、コールド負けを喫した。後がない第3代表決定戦。「最後の神奈川予選」 への思いが、序盤の主導権をつかみ取ることにつながった。

 二回2死、敵失と盗塁で走者を二塁に置いた場面で打席に入った熊代は、「何が何でも」と念じた。愛媛・今治西高出の2年目。休部が決まり、「ベテ ランの人たちが、強い気持ちで予選に臨むのをひしと感じていた」。ならば「若い者は力でチームを引っ張らなくては、と」。「最も速い球」に照準を合わせ、 フルカウントから145キロを右中間越えに運んで、先制の走者を迎え入れた。

 投げてはエース石田が粘り強い投球で、東芝に一度もリードを許さず、1点差に迫られた直後の七回には吉浦にソロ本塁打も出た。5日間で代表決定戦4試合を戦い、最後の最後での快勝。久保監督は「ぼろぼろ、ずたずたになって乗り越えた充実感がある」と喜びを表した。

 吉浦が言う。「苦しい経験、厳しい試合を重ねて、チーム力は確かに上がった。これを生かしたい」。“最後の夏”となる本大会を見据えた。

◇厳しい戦いだった−−日産自動車・久保恭久監督

 普段から選手たちに「県予選は甘くないぞ」と言ってきたが、自分も経験したことのない厳しい戦いだった。何とか第3代表に踏みとどまり、最後に観客と一体になることができてよかったと思う。

(毎日新聞)

6月14日 横浜スタジアム  第2代表決定戦

新日本石油ENEOS 14−3 日産自動車

                    

新日本石油ENEOS

-

-

14

日産自動車

-

-

 

6月12日 横浜スタジアム  第1代表決定戦 再試合

日産自動車 3−4 三菱重工横浜

                    

10

日産自動車

三菱重工横浜

1X

引き分け再試合 連夜の延長戦

まさかの後逸 死闘幕切れ


 今季限りの休部が決まり最後の夏にかける日産自動車と、13年ぶりの夏を目指す三菱重工横浜。前日、延長16回を0ーOで譲らなかった両チームの死闘は、思いも寄らぬ幕切れとなった。
 延長10回、三菱横浜は2死一、二塁。主将・高安の三塁線への当たりは、鋭く回転しながら三塁・伊藤の正面へ向かった。これが、好守・伊藤のグラブをすり抜けようとは、高安も「思ってもみなかった」という。打球が外野へ転がる間に、瀧諒が生還した。

◇学びの多い試合−−日産自動車・久保恭久監督
 学びのある試合だった。一生かけても味わえないような緊張感がある試合を2日間も経験できた選手は幸せ者。緊張の連続の中で、自分の精神状態をどう保って次に臨むのかが重要だ。

6月11日 横浜スタジアム  第1代表決定戦

日産自動車 0−0 三菱重工横浜

                    

10

11

12

13

14

15

16

日産自動車

三菱重工横浜

32個の「0」 意地の激突
 「我々も相手も、スタンドと一体で粘った。スポーツの、この良さを、分かってほしいなあ」。日産自動車の久保監督が、思わずつぶやいた。

 今季限りの休部が2月に決まり、最後の夏にかける日産自動車と、01年から昨夏までのクラブ時代を乗り越え、再び企業チームとして13年ぶりの本大会を目指す三菱重工横浜。互いに譲れぬ思いを表すように、スコアボードにゼロが並んだ。

 それぞれの主力投手の力投を、好守が支えた。日産は延長十二回、1死一、二塁のピンチに、途中出場の37歳の村上が、右翼線ぎりぎりの大飛球を横っ跳びで捕り、走者が飛び出した一塁に返球して併殺。三菱横浜は、再三のピンチを5併殺で切り抜けた。

 不況の荒波にもまれてきた日産と三菱横浜。都市対抗への強い思いをぶつけ合った戦いは、開始から5時間を過ぎても勝敗がつかなかった。

 現役から通算27年目の久保監督をして、「予選でこんな試合をするのは初めて」という熱戦。「魂と魂のぶつかり合いのようだった」と久保監督が言えば、三菱横浜の松下監督も「ここまでの試合は初めての経験」。それでも、「勝たないことには……」。12日夜の再試合に向けて同じ思いをかみしめ、両チームが球場を後にした。

◇魂と魂のぶつかり−−日産自動車・久保恭久監督

 どっちも意地の張り合いだった。必死同士、魂と魂のぶつかり合いになった。こんな都市対抗の試合は初めてじゃないか。最後まで残ってくれた観客にも感謝します。                                  
                                                             (毎日新聞)



6月9日 横浜スタジアム 第1試合 準決勝 

日産自動車 5−3 新日本石油ENEOS

                    

10

11

12

日産自動車

新日本石油ENEOS

日産は1点を追う九回2死三塁の土壇場で、村上が適時打を放ち同点に追いつき、2次予選初の延長戦へ。十二回1死二塁から、須田の適時二塁打と熊代の適時打で2点を挙げ接戦を制した。新日石は六回に山岡の適時打で勝ち越したが1点を守りきれず。十一回2死一、三塁の好機を逃したのが響いた。

6月1日 横浜スタジアム 第2試合 

横浜ベイブルース 0−14 日産自動車

         

横浜ベイブルース

-

-

-

-

日産自動車

X

-

-

-

-

14


九州大会

 5月8日〜5日間 
 北九州立大谷球場、北九州市民球場(日程の○印)

 

5月10日12:57  北九州市立大谷球場

NTT東日本 7−2 日産自動車

         

NTT東日本

日産自動車

NTT東日本のエース、黒田が日産自動車を相手に九回2死まで無安打無得点と完ぺきな投球。最後は内角勝負を挑み、左前にはじき返されて大記録こそ逃したが、社会人10年目の31歳は「記録よりも試合に勝つことが大事」と気にする様子もなかった。

この日は四回、失策と犠打で1死三塁。ここで中軸打者を迎えるが、吉浦をフォークで空振り三振。市丸もスライダーで空を切らせた。

5月9日15:00  北九州市立大谷球場

関西メディカルスポーツ学院 1−12 日産自動車

                          

関西メディカルスポーツ学院

   

日産自動車

X

 

 

12



関東選抜リーグ戦(前期)

4月28日(火) 9:00 横浜スタジアム 

住友金属鹿島 1−2 日産自動車

           

住友金属鹿島

日産自動車

X



4月22日(水)10:00 大田スタジアム  

日産自動車  3−3  鷺宮製作所

           

日産自動車

鷺宮製作所

 

4月14日(火)12:30 横浜スタジアム  

かずさマジック  4−5  日産自動車

           

かずさマジック

日産自動車

X


静岡大会

  4月7日〜5日間 県営草薙球場、浜松市営球場

 

4月11日 静岡県営草薙球場 準決勝

日産自動車  1−2  Honda

           

日産自動車

Honda

X

4月10日 静岡県営草薙球場

日産自動車  2−0  鷺宮製作所

           

日産自動車

鷺宮製作所

今季限りで休部する日産自動車が3年ぶり10回目の大会優勝に歩を進めた。

先発した5年目の右腕・石田が新人捕手、中野(明大)と呼吸の合った配球で会心の投球をみせた。石田は低めへの丁寧な投球で強打の鷺宮打線を要所で抑え、九回も球速140キロを超える気迫の投球。散発6安打、9奪三振で完封勝利した。

4月9日 浜松市営球場

三菱重工名古屋 5−6 日産自動車

           

三菱重工名古屋

日産自動車

X


JABA神奈川県大会

 3月26日(木)〜28日(土) [保土ヶ谷球場]

 

           三菱ふそう川崎 廃部

 

3月28日 3位決定戦

     日産自動車 2−1 東芝 

           

日産自動車

東芝

日産は五回1死一、二塁、吉浦の右越え二塁打などで2点を先取。石田が完投して逃げ切った。
東芝は九回、松永のソロ本塁打で反撃。さらに三沢の二塁打など1死三塁と迫ったが、あと一打が出なかった。

 

3月27日

三菱重工横浜 1−0 日産自動車

           

三菱重工横浜

日産自動車

三菱重横は八回1死、今野が左前打と敵失で二塁へ出塁後、保谷の左越え二塁打で均衡を破った。日産はその裏1死二、三塁の好機を作るもあと一本が出ず。好投した秋葉ら投手陣を援護できなかった。


東京スポニチ大会

  3月11日〜 6日間

 

3月11日 1回戦 第3試合 千葉マリンスタジアム

三菱自動車岡崎 4−2 日産自動車

           

三菱自動車岡崎

日産自動車

毎日新聞 2009/3/12

今季限りの休部が決まっている日産自動車が、三菱自動車岡崎に逆転負け。先発・石田が五回につかまった。同点とされなお1死二、三塁からの二ゴロで、本塁送球がわずかに一塁側へ逸れて逆転の生還を許すなど(記録は野選)、細かなプレーで詰めを欠いた。

久保監督は「選手は、頑張ろうという気持ちに、体がまだマッチしていないのかな」。社の業績回復後の部存続に希望をつなぐためにも、「野球で成長させてもらったことへの感謝や、スポーツの素晴らしさを試合で表現したい」という久保監督。「そのために選手が身に着けるべきことが表れたのが、今日の収穫」と前を向いた。