日本経済新聞 2004/10/6-                  温暖化対策

京都議定書発効へ 秒読み 温暖化対策

排出権取引に注目 
 割当枠達成の切り札

 ロシア政府の批准方針表明により世界的な温暖化ガス削減を定めた京都議定書が発効する見通しとなり、政府は排出削減策の強化を迫られている。これまでの省エネ対策では温暖化ガスの排出増に歯止めが掛かっていない。環境税の導入論議が浮上、各企業に温暖化ガス排出枠を設定する可能性もでてきた。産業界も一層の温暖化ガス対策を求められそうな情勢だ。
 9月にドイツのボンで開かれた温暖化防止に関する国連の理事会。排出権獲得のため、
国連に世界初の登録申請をしたのは住友商事だった。

「需要確実に」
 計画では、
住友商事が温暖化ガスの一種であるフロンの削減事業をインドで実施する。獲得できる排出権は年間約500万トン。現在の市場価格に換算すると、住友商事は排出権の売却で毎年約2千万ドルを得られることになる。早ければ月内にも正式認証される予定だ。
 「議定書の発効が確実となったことで、排出権の需要が確実に見込めるようになった」と住友商事の山本隆三地球環境部長は話す。
 排出権取引は国や企業が温暖化ガスの排出権を売買する仕組み。温暖化ガス排出量が、割り当てられた排出枠を超えた場合には市場で排出権を買って補てんしなければならない。逆に削減に成功して排出枠を下回ったら、余った排出権を売ることができる。国連の承認を得れば、住友商事のように途上国で実施した削減分を排出権として獲得し、転売することが可能だ。
 欧州連合では来年1月から域内の大企業に対し、政府が企業ごとに温暖化ガスの排出枠を割り当てる新規制が導入される。対象となるのは約1万3千社。排出削減で割当枠を下回るか排出権購入で枠を排出量より広げられないと、企業には罰則金が課せられ、さらに排出権購入での穴埋めを義務付けられる。新規制の導入で排出権取引市場は一気に広まり、今年は1億5千万ドル近くが欧州市場を中心に取引されると予測されている。
 国内でも同様の規制導入議論が浮上する可能性が高い。議定書が発効すれば、日本は2008−12年の温暖化ガス平均排出量を現在の水準から約14%減らさなければならない。現行の削減措置では目標達成はまず不可能とみられており、追加的な削減措置は不可欠。環境省の中央環境審議会では、将来は国内でも企業ごとの排出割り当てが必要との意見が多い。
 産業界にとって最悪のシナリオは、議定書が定める目標年次の直前になって、準備期間なしで各企業に厳しい排出枠が課せられるケース。経産省幹部は「議定書の発効を受け、今後は将来の何らかの規制に備えて企業による排出権獲得の機運が、盛り上がるだろう」と予測する。

会計制度も整備
 日本政策投資銀行はこうした議定書対策で排出権の獲得をめざす企業から出資を募る新しい環境ファンドを年内にも設定する方針だ。
 企業から集めた資金を政投銀が海外での排出削減事業に投資し、企業は配当金の代わりに排出権を受け取る。自社で温暖化ガス削減事業を実施できない企業が、少額の投資で海外から排出権を獲得できるようにする制度だ。「議定書の発効で基金が集まりやすくなった」と政投銀はみている。
 排出権に関する会計制度も整いつつある。これまで排出権に関する会計ルールは無かったが、企業会計基準委員会がこのほどまとめた基準案では、企業が得た排出権は無形固定資産や棚卸し資産として認める。排出権を自社の削減量として償却したり転売した際には費用や利益として計上できることになる見込み。
 国連承認にまでは至っていないが、日本政府が承認した、企業による海外事業での排出権獲得事業はすでに12件に上る。排出権獲得に向け手を打つ企業が増えそうだ。

 

環境税、再び脚光 
 賛否両論、先行き不透明

 地球温暖化の元凶といわれる化石燃料に課税し、消費を抑制する効果があるとされる環境税。 1990年代に導入論議が盛り上がり、賛同する政治家を「環境族」と呼ぶ空気もあったが、経済界の反対や政府部内の意見の不一致でいつの間にか忘れられていた。そんな「幻の税金」が、再び脚光を浴び始めた。ロシアの批准によって温暖化ガスの排出量の削減を先進国に義務付けた京都議定書が発効する見通しとなったためだ。
 6日朝、小池百合子環境相は東京都内のホテルの一室で奥田碩会長ら日本経団連幹部と向かいあった。推進派と反対派。環境相が直接対話に臨んだのは、反対勢力の理解を取り付けられるかがカギを握ると考えたからだ。
 会談で奥田会長は「環境税がなくても技術開発で対応できる」と従来の主張を繰り返した。だが、小池環境相は「環境税は必要」と力説。今後は自動車や電気機械などの業界ごとに個別に説得するという。

思わぬ援軍
 同相の精力的な動きの背景は議定書発効の追い風。思わぬ援軍もいる。林野庁だ。同庁は2005年度の税制改正要望で環境税創設を要求。税収を温暖化ガスを吸収する森林対策費に充てるよう提案した。環境省・林野庁はスクラムを組み、与党への働きかけを強める方針で、炭谷茂環境次官は「来年度から導入したい」と意気込む。
 だが、政府全体を見渡すとなお導入は時期尚早とする声も根強い。「景気に深刻な影響が出る」恐れもあるためだ。
 「経済発展と環境が両立しない制度は避けるべきだ」。ロシアが京都議定書を批准することが明らかになった翌日の今月1日、中川昭一経済産業相はこんな表現で環境税を批判した。
 ガソリンは小売価格の56%が揮発油税などの税金で占められている。環境税はこれに上乗せされる方式が有力。同様の税制を導入済みの欧州諸国に比べ税金の割合が「特段に高いとはいえない」との意見もあるが、企業や消費者からの反発は無視できない。
 日本政策投資銀行の試算によると、鉄鋼業界が納める環境税は業界全体の経常利益を超える可能性があるという。影響が大きい業種には税金を減免する構想も浮上しているが、そうすれば温暖化ガスの削減効果が低くなり、「何のための税金か」との議論が出かねない。

財務省音無し
 議論が見通しにくいもう一つの背景は、税制の取りまとめ役である財務省が表立った発言を控えていることだ。同省にとっては定率減税の廃止や消費税率の引き上げ論議などの税制改革が優先課題。政府や与党の意見が割れる環境税を真剣に議論する空気は、今の財務省には乏しい。
 財務省関係者は「環境税は安定した税収が期待できる従来型の税金とは性質が異なり、課徴金や罰金に似た制度」とみる。
 それでも、京都議定書は日本が主導した国際条約だけに「何の手も打たなければ国際社会に説明できない」という意見が少なくない。政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は「排出権取引、省エネ、環境税をどう組み合わせるかもっと議論が必要」と指摘する。導入論者は「魔法のつえ」のように考え、消極論者は「拙速」とみる環境税。議論をどう収れんさせるかのシナリオはなお見えないままだ。


2005/3/23 住友化学

世界銀行「バイオ炭素基金」への出資について

 住友化学は、世界銀行が設立したバイオ炭素基金へ2017年までに合計250万USドルを出資することといたしました。これにより、2017年までの13年間で約40万炭素クレジット※1の獲得が期待できます。
 バイオ炭素基金は、森林保全、植林、バイオ燃料などのプロジェクトに投資し炭素クレジットを獲得することを目的として世界銀行が2004年5月に設立した基金で、京都議定書で定めた京都メカニズム※2のうち、途上国を対象とした「クリーン開発メカニズム」(Clean Development Mechanism※3)と先進国同士で行う「共同実施」(Joint Implementation※4)を活用したものです。また、この基金は炭素クレジットの獲得だけでなく、プロジェクトを通じて自然環境保全、途上国の生活基盤の向上など広く環境・社会へ貢献するものであるため、出資を決定しました。
 住友化学は、化学技術の革新を通じて社会にとって有用な製品を環境にやさしくかつ経済面でも効率的に提供することで、持続的な発展に貢献していくことを経営の最重要課題の一つと位置付けています。なかでも環境保全については、徹底した熱の回収・利用、コンビナート内でのエネルギー合理化への積極的な取り組み、高性能触媒の発明による副生物を発生させない革新的な生産プロセスの開発などにより、二酸化炭素の削減に取り組んでまいりました。今後、こうした企業努力に加え、京都メカニズムなどの仕組みも活用しながら引き続き地球温暖化防止に向けた取り組みを積極的に推進していきます。


※1 炭素クレジット
 温室効果ガス削減を目的としたプロジェクトを実施し、その結果生じた削減・吸収量に応じて発行される排出権のことで、これを削減目標達成に利用することができる。

※2 京都メカニズム
 温室効果ガス削減をより柔軟に行うために京都議定書で制定された経済的メカニズム。日本のようなエネルギー効率が高い国では、自国のみでの削減には限界があることから、他国での削減実施に投資を行い、削減された量またはその一部が自国の排出削減量して認められることになっている。

※3 Clean Development Mechanism(CDM)
 京都メカニズムの1つで、先進国が発展途上国と協力して温室効果ガス削減のプロジェクトを行い、削減・吸収された量(炭素クレジット)をプロジェクト参加者間で分け合う仕組み。

※4 Joint Implementation(JI)
 京都メカニズムの1つで、先進国同士でプロジェクトを行い、削減・吸収された量(炭素クレジット)をプロジェクト参加者間で分け合う仕組み。


2005/10/18 毎日新聞夕刊

廃プラ燃焼時 CO2が半減 新添加剤を開発 東京理科大ベンチャー

 プラスチックに数%加えるだけで、燃焼時の二酸化炭素(CO2)発生量を半減させる添加剤を開発したと17日、東京理科大の教員らが出資するベンチャー企業「日本ポロン」(東京都渋谷区)などが発表した。添加剤にはプラスチックの強度を高める働きもあり、製品の軽量化や原料の使用量の削減にもつながるという。同社などは「焼却されることが多いレジ袋などへの需要が期待できる」と話している。11月に本格出荷する。
 添加剤の商品名は「ナノハイブリッドカプセル2」。酸素を吸着する性質を持った脂質成分でできた粒子で、直径を50ナノメートル(ナノは10億分の1)まで小さくしたことで、酸素を吸着する能力が飛躍的に高くなったという。
 同社によると、添加剤を3%入れたポリエチレンを燃やしたところ、同量のポリエチレンだけを燃やした時に比べCO2発生量を約4割削減できた。灰はその分多く出る。
 添加剤の粒子にはプラスチック結晶化を促す働きがあり、引っ張り強度が最大2倍に高まるという。1キロ2800円程度で販売する。


朝日新聞 2005/10/25

炭素1トンで環境税2400円 環境省が具体案発表

 地球温暖化対策を進めるための環境税について、環境省は25日、具体案を発表した。税率は化石燃料に含まれる炭素1トンあたり2400円。導入は07年1月とし、年間約3700億円の税収を見込み、全額を温暖化対策にあてる。1世帯あたりの負担額は年間約2100円となる見通し。今後、自民、公明両党の環境部会に提示し、年末の税制改正に向けて実現を目指す。

 課税対象となるのは、石炭や重油、灯油や発電用燃料など。ガソリン、軽油、ジェット燃料については、原油価格高騰などを受け、当面は課税対象から外すこととした。

 環境税をめぐっては昨年、炭素1トンあたり2400円を課税し、見込まれる税収の一部を社会保険料の軽減にあてる案を環境省が打ち出したが、産業界などの反発で実現できなかった。今回は、全額を地球温暖化対策にあてる一方、国際競争力の確保などを理由に、一定の削減努力をした大口排出者などへの軽減措置を盛り込んだ。しかし、道路特定財源の見直しで揮発油税などを環境税に転用する案も浮上しており、実現は流動的だ。


2007/1/23 日本経済新聞夕刊

温暖化ガス 米で削減義務化提言 GEなど10社経営者ら 10年間で最大10%

 ゼネラル・エレクトリツク(GE)など米大手企業10社の経営者は22日、環境政策のシンクタンクなどと共同で、温暖化ガスの削減を義務化する立法を促す提言をまとめた。今後10年で二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを最大10%削減するよう求めている。議会でも超党派で義務化を支持する動きが出ており、削減目標設定に消極的なブッシュ政権に温暖化対策を促す圧力が一段と高まってきた。

ブッシユ政権に立法促す
 提言をまとめたのは、GEのほか、アルミのアルコア、建機のキャタピラー、化学のデュポン、金融のリーマン・ブラザーズなど米国を代表する大手企業と「エンバイロメンタル・ディフェンス」など環境保護団体。ワシントンで開いた記者会見で各社は「地球温暖化に対応するための法律をできるだけ早期に通す必要がある」と口々に訴えた。
 提言は削減目標の達成に向け、ブッシュ政権が離脱した京都議定書の枠組みを採用するよう求めている。企業に温暖化ガスの排出枠を割り当て、達成した企業と未達成の企業の間で排出枠の売買を認める「キャップ・アンド・トレード」と呼ぶ制度で、「市場を活用した不可欠な手段」としている。
 同制度は米国の一部の州が国の方針に反して導入を検討しているが、政権は温暖化ガスを強制的に減らす試みは企業経営への影響も大きいとして退けてきた。議会でも政権の環境政策に批判的な民主党を中心に、混暖化ガス削減の義務化を求める動きが出始めた。民主党のビンガマン、共和党のスペクター両上院議員は22日、温暖化ガス削減の義務を盛り込んだ提案を公表した。自動車の燃費規制の強化を求める動きも相次いでいる。
 ブッシュ大統領は23日の一般教蓄演説でエネルギー政策を重点分野に取り上げる。温暖化対策を巡り大ぎな軌道修正があるかどうか注目されている。


日本経済新聞 2007/1/25

温暖化対策踏み込まず エネルギー政策に新味

 ブッシュ大統領は一般教書演説で、ガソリンの消費を10年間で2割減らすなどエネルギー政策の強化を表明した。地球温暖化の悪影響も認めるなど、立場をわずかながら修正した。ただ、温暖化ガスの削減義務を企業に課す措置には踏み込まなかった。代替エネルギー開発などで、技術革新を頼みにする目標設定には達成への不安もつきまとう。

 大統領は演説で「地球の気候変動による重大な課題に立ち向かう」と指摘。これまで温暖化による悪影響を認めることにすら懐疑的だった立場を微妙に軌道修正した。
 ガソリン消費の削減策として、大統領は代替燃料の利用促進と燃費規制見直しを打ち出した。エタノールなど代替燃料の使用量目標を、従来の「2021年までに75億ガロン」から「17年までに350億ガロン」に引き上げた。昨年の使用実績は約40億ガロンだった。
 こうした項目は民主党に受け入れられやすいと言える。ただ、ガソリン消費の削減や石油の備蓄強化は「石油の輸入を減らす」米国の安全保障上の事情を優先している。石油の量ではなく、二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスの抑制をめざす京都議定書の枠組みとはなお距離を置いた。
 演説の前日にはゼネラル・エレクトリック(GE)やデュポンなど米国の有力企業10社が温暖化ガスの排出量の削減を目標にする新規立法を要請。カリフォルニアなど一部の州は温暖化ガス削減に動き、連邦政府にも採用を働きかけてきた。イラク政策や財政政策などで溝が大きい民主党と歩み寄れる分野に温暖化対策を期待する見方もあったが、大統領は民間の活動を縛らない点で一線を踏み越えなかった。
 大統領は代替エネルギーの柱とゐるエタノールの原料について「木くず、草、農業から出る廃棄物」と指摘。現在の主力であるトウモロコシには触れなかった。エタノール消費の拡大が今でも「バブル」と言われるほど急速で、トウモロコシ相場の高騰を招いていることも配慮したようだ。
 燃費規制の強化や簡単に触れただけの原子力発電の拡大についても、石油の消費を抑えるのにどれほど効果があるのかは不透明だ。日本や欧州では必ず出てくる省エネヘの言及もなかった。


日本経済新聞 2007/2/2

E∪が温暖化ガス10%削減法案 石油会社、義務に 2020年期限

 欧州連合(EU)の欧州委員会は1月31日、石油会社に二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガス削減を義務付ける法案を提出した。石油の精製や輸送、消費などの過程で20年までに温暖化ガスを10%削減するよう求めた。輸送燃料に混入するバイオエタノールの比率も10%に引き上げる。欧州委の提案は自動車や船舶などに使うガソリン、ディーゼルといった輸送用燃料が対象。
石油会社に対して11年以降、年間に1%(10年比)ずつの温暖化ガス削減を義務付ける。20年までに約5億トンの削減を目指す。
 ディマス委員(環境担当)は「EUの気候変動への対応で最も重要な対策の一つになる」との声明を発表した。
 ビート(てん菜)や小麦などが原料のバイオエタノールの利用拡大も進める。ガソリンなどに混入する比率を11年以降は5%以上、20年までに10%にするよう求める。
 一方、欧州委はEU内で販売される新車のCO2排出量を12年まで1995年比で約35%削減する法規制を導入する方針。だが自動車業界はエンジン開発や車体改良だけで目標を達成するのは困難として反発を強めている。

EUが進める温暖化ガスの削減対策
航空機の排出規制  11年からEU発着の航空機にCO2排出枠を設定。超過した航空会社は排出権購入
研究南発の強化  EU中期予算でCO2排出削減の研究・開発費を5割増に
再生可能エネルギーの拡充  化石燃料から風力・水力・太陽光への転換を進め、20年までに消費量の20%に
自動車の排出規制  新車のCO2排出量を12年までに1km走行あたり120g (1995年比で約35%削減)にする目標を義務付けへ

2007/1/31 AP

EU Proposes Cleaner Fuel Requirements

The European Commission on Wednesday proposed requirements to make fuel for transport vehicles cleaner as of 2011 to cut emissions of gasses that contribute to global warming.

Under the plan, fuel suppliers would have to cut greenhouse gas emissions by 1 percent as of 2011 and achieve a 10 percent overall cut by 2020.

"It will further underpin Europe's shift towards the low-carbon economy that is essential if we are to prevent climate change from reaching dangerous proportions," said EU Environment Commissioner Stavros Dimas.

The proposal, which must be approved by the EU's 27 member nations, was criticized by the Greens group in the European Parliament as insufficient.

"Focusing on fuel quality alone to address emissions from road transport is like trying to quench a forest fire with a water pistol," said Green energy spokesman Claude Turmes.

"By placing a disproportionate emphasis on fuel quality, the Commission is diverting attention from the real problem - the cars that use the fuel," he said.

The EU executive office has postponed a decision on forcing car makers to cut cars' carbon dioxide emissions because German automakers said mandatory limits would force them to cut jobs.

The auto industry is likely to miss a voluntary target to cut average CO2 emissions for new cars, and the European Commission has threatened to draft rules that would set a legally binding limit of 120 grams of CO2 per kilometer by 2012.

The car industry and the EU executive agreed to cut emissions from new cars to 140 grams of carbon dioxide per kilometer by 2008. A year before that midterm target, the current average is around 163 grams.

German Chancellor Angela Merkel on Tuesday pledged to oppose a strict EU limit on car emissions, arguing that different models should face different caps.

The overall level of carbon dioxide emissions from road transport has risen 22 percent since 1990 as the number of vehicles on the road rises and drivers travel greater distances. Passenger cars and vans made up 14 percent of Europe's carbon dioxide emissions in 2004, the European Environment Agency said.

Car makers have cut emissions by nearly 13 percent, they say, but blame consumers for the missed targets, because they are not buying smaller cars or hybrid-fuel models in high enough numbers.


地球温暖化のエセ科学
   2007年2月20日  田中 宇

 

無視されてきた太陽黒点説

 IPCCの報告書では、温暖化の原因は、二酸化炭素など温室効果ガスの増加に集約されており、他の原因については少ししか議論されていない。だが、最近の研究で、実は二酸化炭素よりも太陽黒点の活動の方が、温暖化に関係しているのではないかという説が有力になっている。

 これはデンマークの学者ヘンリク・スベンスマルク(Henrik Svensmark)らが10年以上前から研究しているもので、以下のような説である。宇宙は、星の爆発などによって作られる微粒子(荷電粒子)で満ちており、微粒子は地球にも常にふりそそぎ「宇宙線」として知られている。大気圏にふりそそぐ宇宙線の微粒子には、その周りにある水蒸気がくっついてきて水滴になり、雲をつくる。ふりそそぐ宇宙線が多いほど、大気圏の雲は多くなる。(ほかに雲の水滴の核になるものとして、地上から舞い上がった塵の微粒子がある)

 太陽は、黒点活動が活発になると、電磁波(太陽風)を多く放出し、電磁波は宇宙線を蹴散らすので、地球にふりそそぐ宇宙線が減る。宇宙線が減ると、雲の発生が抑えられ、晴れの天気が多くなり、地球は温暖化する。逆に太陽黒点が減ると、ふりそそぐ宇宙線の量が増え、雲が増えて太陽光線がさえぎられ、地球は寒冷化する。世界史を見ると、太陽黒点が特に少なかった1650年からの50年間に、地球は小さな氷河期になり、ロンドンやパリで厳しい寒さが記録されている。

 IPCCでは「20世紀は、地球の工業化で増えた二酸化炭素によって温暖化した」という説が有力だが、スベンスマルクの説だと、20世紀は太陽黒点が多い時期で、宇宙線が少なく、雲の発生が少なかったので、温暖化の傾向になったのだとされる。雲を研究している学者の多くは従来、宇宙線の多寡は雲のできかたに関係ないと主張しており、スベンスマルクの説は否定されていたが、スベンスマルクらは2005年の実験で、宇宙線が水蒸気を巻き込んで水滴をつくることを証明した。

 実験は成功したものの、おそらく温暖化の二酸化炭素説が政治的な絶対性を持っていたため、地球温暖化の定説をくつがえす内容を持っていたスベンスマルクらの実験結果の論文の掲載は、権威ある科学の専門雑誌からことごとく断られ、ようやく昨年末になって、イギリスの王立研究所の会報に掲載され、遅まきながら権威づけを得ることができた。だが、IPCCの報告書は、いまだにこの新説を無視している。

 また、この説とは別に、人類が自動車や火力発電所を使うことは、大気中に塵を多く排出することになるので、それを核にして水滴が集まりやすく、雲が増えるはずなので、火の利用は温暖化ではなく寒冷化の原因になっているはずだ、という有力な説も何年も前から存在している。だがこの説も、以前からIPCCには無視されている。

 二酸化炭素が温室効果をもたらすことは、多分事実だが、温暖化には他の要因もあるというのも、多分事実である。今の世界の温暖化問題の議論は、多数の要因の中の一つしか見ず、他の要因を政治的に排除して成り立っている。このまま世界各国で温室効果ガスの排出規制が採られることは、温暖化防止にならず、逆に温暖化促進や、寒冷化促進につながる懸念さえある。


February 13, 2007

Warming climate blamed on cosmic rays
http://www.theage.com.au/news/world/warming-climate-blamed-on-cosmic-rays/2007/02/12/1171128899045.html

MAN-MADE climate change may be happening at a far slower pace than has been claimed.

Scientists claim that cosmic rays from outer space play a far greater role in changing the Earth's climate than global warming experts previously thought.
In a book, to be published this week, they claim that fluctuations in the number of cosmic rays hitting the atmosphere directly affect the amount of cloud covering the planet.
High levels of cloud cover blanket the Earth and reflect radiated heat from the sun back out into space, causing the planet to cool.

Henrik Svensmark, a weather scientist at the Danish National Space Centre who led the team behind the research, said the planet was experiencing a natural period of reduced cloud cover due to fewer cosmic rays entering the atmosphere.
This, he said, was responsible for much of the global warming.

He said carbon dioxide emissions due to human activity were having a smaller impact on climate change than scientists thought.

Dr Svensmark last week published the evidence in the Proceedings of the Royal Society Journal.

Some climate change experts have dismissed the claims as "tenuous". Giles Harrison, a cloud specialist at Britain's Reading University, has studied cosmic rays and their effect on clouds and believes the impact on climate was much smaller than Dr Svensmark claims.

Dr Harrison said: "I have been looking at cloud data going back 50 years over the UK and found there was a small relationship with cosmic rays. It looks like it creates some additional variability in a natural climate system but this is small."


毎日新聞 2007/4/3

米連邦最高裁 温室効果ガス規制 政府に促す判決

 米国のマサチューセッッ州など
12州政府や環境保護団体が連邦環境保護庁(EPA)を相手取り、自動車からの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制を求めていた訴訟で、米連邦最高裁は2日、EPAに規制を強く促す判決を下した。判事9人のうち5人が規制に賛成、4人が反対した。連邦レベルでのCO2排出規制に消極的だったブッシュ政権は、政策見直しを迫られることになりそうだ。
 米連邦大気浄化法は「大気汚染物質」の新車からの排出を
EPAが規制するよう定めている。原告側は「地球温暖化をもたらすCO2は同法の規制対象」と主張。EPAは▽CO2は大気汚染物質ではない▽同法は地球温暖化に対処する強制的な規制権眼を同庁に与えていない▽温室効果ガスと地球の気温上昇の因果関係は確立されておらず、規制は妥当ではないーーなどと反論していた。
 最高裁の多数意見を代表したスティーブンス判事は判決で、
CO2を含む温室効果ガスは同法が規定する大気汚染物質に当てはまり、EPAは規制権限を持つとの判断を示した。さらに、EPAが排出規制を拒否Lたため「実際または差し迫った」被害の危険性が生じていると指摘、同庁の政策見直しを強く求めた。
 判決は、地球温暖化に関連する被害は「深刻」と説明。
EPA自身が対処の必要性を認めており、温室効果ガスと温暖化との因果関係を否定できていないと指摘した。


2007/4/2 New York Times

Justices Rule Against Bush Administration on Emissions

The Supreme Court ruled today, in what amounts to a rebuke of the Bush administration, that the Environmental Protection Agency has the authority to regulate carbon dioxide from automobile emissions, and that it has shirked its duty in not doing so.

In a 5-to-4 decision, the court found that the Clean Air Act expressly authorizes the E.P.A. to regulate carbon dioxide emissions, contrary to the E.P.A.'s contention, and that if the agency still insists that it does not want to regulate those emissions, it must give better reasons than the "laundry list" of invalid considerations it has offered so far.

Today's decision is surely not the last word in the continuing debate over the effects of global warming and what can, or should, be done about it. But it was still highly significant in at least two respects.

First, the majority brushed aside the Bush administration's assertion that the Clean Air Act does not treat carbon dioxide and other heat-trapping gases as "pollutants," and thus does not give the E.P.A. the authority to regulate them.

Secondly, the five justices declared that contrary to the administration, Massachusetts and the 11 other states and various other plaintiffs that sued the E.P.A. do indeed have legal standing to pursue their suit. In order to establish standing, a federal court plaintiff must show that there is an injury that can be traced to the defendant's behavior, and that the injury will be relieved by the action the lawsuit seeks.

"E.P.A.'s steadfast refusal to regulate greenhouse gas emissions presents a risk of harm to Massachusetts that is both 'actual' and 'imminent,' " Justice John Paul Stevens wrote for the majority, citing two standards linked to standing.

"E.P.A. identifies nothing suggesting that Congress meant to curtail E.P.A.'s power to treat greenhouse gases as air pollutants," Justice Stevens wrote. Instead, the agency resorted to "impermissible considerations" in rejecting the plaintiffs' request to regulate those admissions, the justice wrote.

"Its action was therefore'arbitrary, capricious, or otherwise not in accordance with law,' " Justice Stevens went on. Justices Anthony M. Kennedy, David H. Souter, Ruth Bader Ginsburg and Stephen G. Breyer joined his decision.

Chief Justice John G. Roberts Jr. dissented, along with Justices Antonin Scalia, Clarence Thomas and Samuel A. Alito Jr. The chief justice said his dissent "involves no judgment on whether global warming exists, what causes it, or the extent of the problem." Rather, he wrote, the kind of dispute in this case is better resolved by Congress and the executive branch rather than the courts.

Contrary to what the majority held, the plaintiffs failed to show a cause-and-effect relationship between global warming and actual injury, the chief justice wrote. For instance, he dismissed as "pure conjecture" a plaintiffs' assertion that Massachusetts is gradually losing its coastal territory to higher sea levels generated by global warming.

The majority did not declare that the E.P.A. must find that greenhouse gases are a danger because they contribute to global warming. But the justices said the agency can escape its regulatory duties "only if it determines that greenhouse gases do not contribute to climate change, or if it provides some reasonable explanation as to why it cannot or will not exercise its discretion to determine whether they do."

The tone of the majority opinion seemed to suggest that the E.P.A. would face a high barrier in arguing that greenhouse gases are not harmful. Justice Stevens alluded extensively to scientific findings in recent years attesting to the dangers of the gases, and he noted that the plaintiffs' affidavits detailing those dangers were not contested.

The majority dismissed the E.P.A.'s argument that even if it did have authority to regulate carbon dioxide emissions, it could exercise its judgment in declining to do so. "Put another way, the use of the word'judgment' is not a roving license to ignore the statutory text," the decision stated.

Nor was the majority persuaded by the defendants' arguments that even if carbon dioxide emissions do contribute to global warming, they are but a small part of the worldwide problem. "Agencies, like legislatures, do not generally resolve massive problems in one fell swoop, but instead whittle away over time, refining their approach as circumstances change and they develop a more nuanced understanding of how best to proceed," the majority wrote.

In a friend-of-the-court brief of behalf of 18 scientists who specialize in climate issues, Robert B. McKinstry Jr. of Philadelphia and several other lawyers asserted that the E.P.A. had tried to create the impression that there is more uncertainty about global warming than really exists among scientists. "It is virtually certain that what has been observed so far is only the beginning," the brief said.

A White House spokeswoman said she could not comment at length on today's ruling. "We haven't had a chance to review the opinion in full," said Dana Perino. "People at E.P.A. and across the government are going to have to do that. I can't speak to the broader implications of the bill."

The court rejected the E.P.A. argument that it was constrained from regulating carbon dioxide emissions because doing so would require it to tighten mileage standards, a consideration that belongs to the Department of Transportation. "That D.O.T. sets mileage standards in no way licenses E.P.A. to shirk its environmental responsibilities," the ruling said.

Final word or not, today's decision pleased environmentalist groups. "The Supreme Court has reaffirmed what we have been saying all along: the Clean Air Act gives E.P.A. authority to fight global warming," said Howard Fox, a lawyer for Earthjustice, who argued the case before a federal appeals court.

Senator John Kerry, Democrat of Massachusetts, said; "It's an historic moment when the Supreme Court has to step in to protect the environment from the Bush administration."

Besides Massachusetts, the plaintiff-states were California, Connecticut, Illinois, Maine, New Jersey, New Mexico, New York, Oregon, Rhode Island, Vermont and Washington. Other plaintiffs included the District of Columbia, Baltimore, New York City and a dozen environmental groups.

Several automobile trade groups sided with the E.P.A., as did the states of Alaska, Idaho, Kansas, Michigan, Nebraska, North Dakota, Ohio, South Dakota, Texas and Utah.


日本経済新聞 2007/4/7

国連バネルが報告採択 温暖化、全地球に影響
 湿地最大30%消失 動植物30%絶滅も

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第二部会は6日、温暖化が「地球規模で目に見える影響を及ぼし始めた」とする報告書をまとめた。将来的に海面上昇や洪水で年間に数百万人が被害にさらされる恐れがあると警告。平均気温の上昇幅を1990年比で2−3度に抑えなければ世界的に損失が拡大すると警鐘を鳴らした。
 IPCC第二部会には世界約110カ国の代表らが参加し、温暖化がもたらす影響について討議した。6日に採択した報告書では温暖化ガスの排出など、人間の社会活動が温暖化の原因になっていると指摘。地球上のすべての大陸と海洋がすでに温暖化の影響を受けていると明記した。
 温暖化の影響について報告書はアジアのデルタ地域や島国などで洪水や海面上昇、暴風雨などによる損害が増加する恐れがあると分析した。世界的に沿岸部にある湿地の最大30%が消失するという予測を盛り込んだ。
 さらに氷河の縮小で河川に流れ込む水量が減り、気候変動に伴う干ばつなどもあって水不足が深刻化し、穀物生産が落ち込んで食糧難の恐れが出てくるという。
 温暖化の進行は生態系にも影響を及ぼす。報告書は「(動植物の)種の最大30%で絶滅リスクが高まる」と予測している。

平均気温上昇の主な影響(1990年比)

1度上昇なら…最大30%の動植物の種が絶滅の恐れ
2度上昇なら…数億人が水不足に直面
          洪水と暴風雨による損害の拡大
3度上昇なら…サンゴが広範囲で死滅
4度上昇なら…沿岸部で年数百万人に洪水被害
          約30%の沿岸湿地が消失

温暖化、危機感に温度差 
 国連パネル報告 欧州に悲観論、米中が反発 原案より数値縮小

 国運の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第二部会は地球規模での温暖化の影響を認め、国際社会が共通の土俵で議論を進める体制をひとまず整えた。だが環境重視の欧州が、温暖化対策に慎重な米国や中国に押し切られ、温暖化の影響を予測した数値は大幅に縮小・削除された。ポスト京都議定書の枠組み交渉でも主要国の足並みが乱れる恐れがある。
 世界約110カ国の代表らが採択した報告書は、2012年で期限が切れる京都議定書以降の国際的な枠組み交渉の出発点といえる。これまで国際社会には温暖化の根拠や影響を巡る認識にズレがあったが、報告書は人間活動が温暖化の原因としたうえで、平均気温の上昇幅(1990年比)が2−3度を超えれば「負の影響を免れる地域はなくなる可能性が高い」と指摘。気温上昇をこの水準以下に抑えるよう国際社会に迫る内容だ。
 徹夜での部会が終わった6日午前、IPCCのパチャウリ議長(インド出身)は「(報告書は)世界の注目を集められる内容だ」と自賛した。だがすんなりと議論がまとまったわけではない。
 討議は初日の2日からスローぺースで進み、最終段階で議論が紛糾した。欧州各国は具体的な予測数値を報告書に盛り込むよう主張。日本も欧州の立場を支持した。これに対し温暖化ガス排出の大幅削減を嫌がる米国や中国、ロシア、ブラジルが強硬に反発。6日未明には報告書の採択見送りという情報も流れた。
 両者の綱引きは被害の予測値からうかがえる。
 報告書原案は、平均気温の上昇幅が2−3度を超えれば水不足が深刻化し、10億ー32億人に被害が及ぶとしていた。ところが最終段階で米中などが反発、報告書は「数億人が水不足に直面」との表現に修正された。原案では気温上昇で農作物の収穫量が減少、最大1億2千万人に飢餓リスクが生じるとの指摘もあったが、報告書ではすべての数値が削られた。
 急速な温暖化に危機感を抱いた国際社会だが、地域や規模を特定した被害予測を認めれば、新たな途上国支援や踏み込んだ温暖化対策を迫られかねないとの懸念も抱く。
 6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で議長国ドイツは温暖化対策を主要議題に据える。パチャウリ議長は「気候変動は貧困地域への影響が極めて大きい」と強調。主要国に早急な対策を求めたが、各国にはなお温度差がある。

安保理でも温暖化討論

 国連安全保障理事会は地球温暖化に関する初の公開討論を17日に開く方針を決めた。国際社会の平和と安全への脅威にかかわる議題を扱う安保理で温暖化問題を取り上げることに、米国などが疑念を表明したが、議長を務める英国の強い.要請で認められた。


気温2ー3度上昇なら日本も被害拡大
 西日本の降水量20%増/花粉症が増加

 地球温暖化で日本には豪雨や洪水などの被害が広がる。今世紀末までの平均気温は2000年に比べて2−3度上昇。特に北海道は4度近く上昇すると予想する。気温の上昇で国内のほとんどの地域で降水量が増加。西日本では20%増になるという。台風や熱波などの異常気象も頻発。大気中の湿度が高まり豪雨も全国的に増えると推測した。
 温暖化で海面が1メートル上昇すると、東京や大阪など沿岸域を中心に約2400平方キロメートル、約410万人が浸水の被害を受ける可能性がある。日本は大都市が海に面する地域に集中するため、経済被害も1兆ドル(約120兆円)に達する。
 花粉症の被害も深刻だ。夏の気温が上昇すると花粉の量が増え、アレルギーに悩む患者は増加する。農作物にも悪影響を及ぼす。大気中の二酸化炭素(C02)の濃度が高まった場合、西日本地域でコメの収穫量が最高4割も減少。リンゴやミカンなどは害虫の被害が心配される。
 冬の娯楽産業にも影響は及ぶ。平均気温が3度上昇すると、北海道や標高の高い中部地方以外では雪不足で多くのスキー場で開業が難しくなる。雪が少ない関西・中国地方では来客数が半減すると予想した。


New York Times October 24, 2007

How to Cool the Globe

By KEN CALDEIRA

DESPITE growing interest in clean energy technology, it looks as if we are not going to reduce emissions of carbon dioxide anytime soon. The amount in the atmosphere today exceeds the most pessimistic forecasts made just a few years ago, and it is increasing faster than anybody had foreseen.

Even if we could stop adding to greenhouse gases tomorrow, the earth would continue warming for decades - and remain hot for centuries. We would still face the threat of water from melting glaciers lapping at our doorsteps.

What can be done? One idea is to counteract warming by tossing small particles into the stratosphere (above where jets fly). This strategy may sound far-fetched, but it has the potential to cool the earth within months.

Mount Pinatubo, a volcano in the Philippines that erupted in 1991, showed how it works. The eruption resulted in sulfate particles in the stratosphere that reflected the suns rays back to space, and as a consequence the earth briefly cooled.

If we could pour a five-gallon buckets worth of sulfate particles per second into the stratosphere, it might be enough to keep the earth from warming for 50 years. Tossing twice as much up there could protect us into the next century.

A 1992 report from the National Academy of Sciences suggests that naval artillery, rockets and aircraft exhaust could all be used to send the particles up. The least expensive option might be to use a fire hose suspended from a series of balloons. Scientists have yet to analyze the engineering involved, but the hurdles appear surmountable.

Seeding the stratosphere might not work perfectly. But it would be cheap and easy enough and is worth investigating.

This is not to say that we should give up trying to reduce greenhouse gas emissions. Ninety-nine percent of the $3 billion federal Climate Change Technology Program should still go toward developing climate-friendly energy systems. But 1 percent of that money could be put toward working out geoengineered climate fixes like sulfate particles in the atmosphere, and developing the understanding we need to ensure that they wouldnt just make matters worse.

Think of it as an insurance policy, a backup plan for climate change.

Which is the more environmentally sensitive thing to do: let the Greenland ice sheet collapse and polar bears become extinct, or throw a little sulfate in the stratosphere? The second option is at least worth looking into.

Ken Caldeira is a scientist at the Carnegie Institutions department of global ecology.

 


2007年11月17日 asahi

温暖化対策「今後20年の努力重要」 IPCC統合報告

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は16日夜(日本時間17日午前)、スペインのバレンシアでの総会で、地球温暖化についての科学的知識を広くまとめた統合報告書を承認した。報告書は、海面水位の上昇や生物種の絶滅などに関して後戻りのできない大規模な影響が表れる危険性がはっきりしてきたと新たに指摘。「今後20〜30年の努力が長期的なリスク回避の度合いを決める」と国際社会に対応を強く迫る内容となっている。

 統合報告書は、今年に入って3度にわたって公表した分野ごとの作業部会報告書を横断的にまとめ直し、長期的展望などを追加した。IPCCが6年ぶりに作成する第4次評価報告書の中核となり、温暖化問題で政策決定をするうえで最も重視される文書として、12月にインドネシア・バリ島で開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)をはじめ、京都議定書後の対策などを話し合う際の論拠になる。

 今回の報告書では、特に温暖化の影響を受ける地域として、サハラ以南のアフリカや小島嶼(とうしょ)国などを例示。作業部会段階では、被害をめぐる各国の思惑の違いからこうした記述は見送られていたが、差し迫っている危機を具体的にイメージしやすいよう盛り込んだ。

 途上国側の強い要請から、温暖化に適応していく必要性に力点を置いたのも特徴で、農業や健康、水問題などの分野で対策や資金・技術面などの課題を指摘した。

 新たな知見では、「より少ない気温上昇でも予想以上の被害がもたらされたり、後戻りがきかない変化が突然起こる可能性が見えてきたりした」などと作業部会報告書以上に強い危機感を打ち出した。気温上昇を低くするレベルで温室効果ガスの濃度を安定させるには「今後20〜30年の削減努力と投資が、長期的リスクの低減、回避、遅延をかなりの割合で決定づける」との踏み込んだメッセージを盛り込んだ。

 総会は12日から始まり、世界各国の科学者や政府関係者らが参加した。全体で約2000ページに達する第4次評価報告書のなかから統合報告書に何を盛り込むか、連日深夜まで議論が続いた。


November 17, 2007 New York Times

U.N. Report Describes Risks of Inaction on Climate Change

In its final and most powerful report, a United Nations panel of scientists meeting here describes the mounting risks of climate change in language that is both more specific and forceful than its previous assessments, according to scientists here.

Synthesizing reams of data from its three previous reports, the United Nations Intergovernmental Panel on Climate Change for the first time specifically points out important risks if governments fail to respond: melting ice sheets that could lead to a rapid rise in sea levels and the extinction of large numbers of species brought about by even moderate amounts of warming, on the order of 1 to 3 degrees.

The report carries heightened significance because it is the last word from the influential global climate panel before world leaders meet in Bali, Indonesia, next month to begin to discuss a global climate change treaty that will replace the Kyoto protocol, which expires in 2012. It is also the first report from the panel since it was awarded the Nobel Peace Prize in October - an honor that many scientists here said emboldened them to stand more forcefully behind their positions.

As a sign of the deepening urgency surrounding the climate change issue, the report, which was being printed Friday night, will be officially released by Secretary General Ban Ki-moon on Saturday.

The full report was embargoed from news organizations until Saturday. But drafts have been circulating for weeks, and descriptions of its findings began to appear on Web sites and in news agency reports on Friday. Bush administration officials held a news conference to discuss the report but insisted that their comments be withheld until after its official release.

This document goes further than any of the previous efforts,said Hans Verolme, director of the World Wildlife Funds Global Climate Change Program. The pressure has been palpable ? people know they are delivering a document that will be cited for years to come and will define policy.

The previous three sections, released between February and April, focused on one issue at a time: the first on science, the second on how the world could adapt to warming and the third about how countries could mitigate,or reduce the greenhouse gases produced.

This fourth and final assessment - the so-called synthesis report - seeks to combine lessons from all three. Its conclusions are culled from data contained in the thousands of pages that were essentially technical supplements to the panels previous publications. How that data is summarized and presented to the world is a powerful guide to what the scientists consider of utmost importance at the end of a five-year process, offering concrete guidelines for policy makers.

You look to a synthesis report to provide clarity, to clarify what was obscure in previous reports,said Michael Oppenheimer, a climate scientist at Princeton University. Now, how can we take these findings and formulate a policy response thats quick enough and big enough?

While drafts of the panels reports are written by panels of scientists, the language is reviewed and often altered by delegates from 130 governments who meet before their final approval and release. Those negotiations took place here this week, and were often contentious, with the United States, China and India raising many objections, said scientists who spoke on condition of anonymity because they are not allowed to publicly refer to any countries by name.

The scientists and country representatives who had flocked here this week to participate in negotiations on the final wording applauded as the panels chairman, Rajendra Pachauri, declared the panels years of work concluded, just after 10:30 p.m. on Friday.

Even though the synthesis report is more alarming than its predecessors, some researchers believe that it still understates the trajectory of global warming and its impact. The I.P.C.C.s scientific process, which takes five years of study and writing from start to finish, cannot take into account the very latest data on climate change or economic trends, which show larger than predicted development and energy use in China.

The world is already at or above the worst case scenarios in terms of emissions,said Gernot Klepper, of the Kiel Institute for World Economy in Kiel, Germany. In terms of emissions, we are moving past the most pessimistic estimates of the I.P.C.C., and by some estimates we are above that red line.

The panel presents several scenarios for the trajectory of emissions and climate change. In 2006, 8.4 gigatons of carbon were put into the atmosphere from fossil fuels, according to a study in the proceedings of the National Academy of Science, which was co-written by Dr. Klepper. That is almost identical to the panels worst case prediction for that year.

Likewise, a recent International Energy Agency report looking at the unexpectedly rapid emissions growth in China and India estimated that if current policies were not changed the world would warm six degrees by 2030, a disastrous increase far higher than the panels estimates of one to four degrees by the end of the century.

While the United States, Saudi Arabia and China tried to change the text in order to play down the consequences of global warming, developing nations ? which will bear the initial brunt of climate change ? were much more forceful than at previous meetings in opposing these efforts, one scientist who was in the negotiating room said.

"I suspect that will continue,he said. As they feel more and more threatened by the sea and the storms they will insist that, as one of them put it, We do not want this report to be warm and fuzzy when the reality is cold and risky,or something like that,he said.

One novel aspect of the report is a specific list of Reasons for Concern.It includes items that are thought to be very likely outgrowths of climate change that had been mentioned in previous reports, like an increase in extreme weather events.

But it for the first time includes less likely but more alarming possibilities, like the relatively rapid melting of polar ice. Previous reports focused more on changes the scientists felt were highly likely.

This time, they take a step back and look at the totality,Dr. Verolme said. Saying it is less likely to occur, but if it does we are fried.

One such area is the future melting of ice sheets in Greenland and western Antarctica. In earlier reports, the panels scientists acknowledged that their computer models were poor at such predictions, and did not reflect the rapid melting that scientists have recently observed. If these areas melt entirely, seas would rise 40 feet, scientists said. While scientists are certain that the sheets will melt over millennia, producing sea-level rises, there is now evidence to suggest that it could happen much faster than this, perhaps over centuries.

In my view that would make it not just difficult, but impossible to adapt successfully, some of my colleagues would say catastrophic,said Dr. Oppenheimer. If they say that its possible that melting could occur in centuries leading to meters of change, thats a headline.

This final report also puts more emphasis on the ripple effect of small degrees of temperature change, some of which are already being seen, such as species extinctions and loss of biodiversity.

A relatively modest degree of warming - one to three degrees - spells a lot of trouble and I think that was not clear in the previous report,Dr. Oppenheimer said. He said part of the reason for the lack of clarity was that governments had messed aroundwith the language and structure of the report during the approval process.

This time around, the consequences of different degrees of climate change will be better laid out so that the ministers who meet in Bali next month will understand the options and the consequences of inaction. This should light a fire under policy makers,Dr. Oppenheimer said.



2007/11/26
 毎日新聞

IPCC 第4次統合報告書
 温暖化、海面上昇何世紀も 被害軽減へ適応策訴え

 気候システムの温暖化は疑う余地がないーー。国連の「気候変動に関する政府間パネル
(IPCC)」が、6年ぶりにまとめた第4次統合報告書の書き出しだ。報告書は今後、温室効果ガスの削減努力をしてもなお、人間活動がもたらした温暖化と海面上昇は何世紀も続くと予測。洪水や高潮、熱波や水不足など、避けられない被害を少しでも軽減する「適応策」が必要だと指摘した。ゴア前米副大統領と共同で受賞が決まったノーベル平和賞の賞金も、温暖化の悪影響を最も強く受ける途上国への情報提供などに使うと決議された。

水不足最大
2.5億人

■地域別の影響
 熱波や極端な高潮位の発生が世界中で増えている可能性が高いなど、温暖化の実態や将来の予測は、今年
25月に公表された3つの作業部会の報告書とほぼ同じ。その上で、今後数十年間に世界中で起こると予想される混乱が、1枚の表に要約された。
 例えば、アフリカでは
20年までに農業生産が50%減り、7500万〜25000万人が新たに水不足に直面する▽アジア各地で50年代までに大河川が枯渇する一方、人口が密集した河口のデルタ地帯が高潮や洪水の危機に見舞われる▽欧州山岳部では80年までに60%の生物種が絶滅するなどだ。
 地球温暖化と一口に言っても、その影響はさまざまな形の災害となって表れる。参加国が内容を承認した報告書の「政策決定者向け要約」はわずか
23ページだが、影響は随所でできるだけ具体的に描かれた。

■解決策を例示
 こうした災害への「脆弱性」に備える適応策についても、解決策が例示された。築堤や移住、かんがいの効率化や熱中症対策、再生可能エネルギーの利用などを掲げる一方、排出削減では、炭素に価格をつけることの重要性を強調。京都議定書を「国際的な炭素市場を生み出し、将来の削減努力の基礎となるメカニズムだ」と称賛した。
 従来の科学的分析に徹する姿勢からは逸脱した政治介入との声もあるが、報告書は「科学は意思決定のための基準を提供し、それを助けることができる」との一文をわざわざ入れた。パチャウリ議長は「気候変動の影響は、世界全体で平等ではない」と強調。審議中も時に「どの国が反対したか記録してもいいか」と語気を強める場面もあったという。
 12月にインドネシア・バリで開かれる気候変動枠組み条約締約国会議(
COP13)に間に合うよう、要約だけでなく報告書本編も同時採択したのは「今後2030年間の排出削減の努力と投資が、その後の危機をどれだけ回避したり、弱められるかを決める」との分析に基づいて、政治の行動を促す狙いがある。こうした背景から、報告書は作業部会報告とは色彩を異にした。

種の絶滅懸念も示す

■長期的課題
 極端な異常気象のリスク、種の絶滅など元に戻すことができない変化のリスクなど、5つの「温暖化を懸念する理由」が強まっているとの長期的展望も示された。特に、海水が熱で膨張する影響で、将来の海面上昇は最大
3.7メートルに達するという。最も排出抑制が厳しく、二酸化炭素(CO2)排出量を50年に00年比で5085%減らす場台でも、長期的な海面上昇は0.41.4メートル。しかもこれは、各地の氷河やグリーンランド、南極の氷床が溶ける影響は除外した予測という。21世紀末には、198099年に比べて平均海面が1859センチ高くなる見通しだが、その後、大気中のCO2濃度が安定しても、熱膨張はすぐに止まらないためだ。
 海水の酸性化という新しい問題も今回、日本の主張で取り上げられた。
CO2排出によって今世紀中に海水のPH(水素イオン濃度)0.140.35下がって酸性度が高まるとみられる。殻が溶けるなどの悪影響がサンゴや貝、貝を食べる生き物など海の生態系全般に及ぶ懸念があるという。国立環境研究所の野尻幸宏副センター長は「大気のCO2が増えるほど酸性化が進み、水産資源の心配もある。未解明な部分が多く、今後研究が必要だ」と説明する。


被害軽減のための適応策の例
   
=4次統含報告書より

  雨水利用、淡水化、かんがいの効率化、水の再利用
     
農業   作物種や生育時期の調整、植樹による土壌流出防止
     
インフラ   移住、護岸、緩衝帯としての湿地整備、砂浜の補強
     
健康   熱中症対策、気候の影響を受けやすい疾病の管理、水の衛生管理、救急医療
     
観光   観光施設の多様化、スキー場の高所への移設、人工雪
     
交通   温暖化や排水に配慮した道路・鉄道などの整備
     
エネルギー   電線地中化、再生可能エネルギーの利用、単一電源への依存低下、省エネ

 


2008/9/29 日本経済新聞

太陽、活動停滞続く 「50年ぶり静かさ」地球、気温低下も

 太陽活動が極端に静かな状態になっている。黒点がほとんど無い日が続き、米航空宇宙局(NASA)は23日に「約50年ぶりの静かさ」と発表した。太陽活動が平穏だと通信障害などが減る一方、気侯が寒冷化するとの見方もあり研究者は推移を注視している。
 太陽活動は約11年周期で強弱を繰り返す。今は新たな活動期への移行期で、もともと静かな時期だが、次の活動期が本格的に立ち上がらないまま移行期がずるずると延びている。
 米海洋大気局(NOAA)の観測によると最近では910日まで50日あまり、太陽活動の活発さの目安となる黒点が観測されなかった。「最近の3回の活動周期の中で現在は最も活動が弱いとみられる」(情報通信研究機構の亘慎一研究マネジャー)。NASAによるど太陽風(太陽が放出する高速の電気を帯びた粒子の流れ)は、前回の極小期と比べ約2割弱いという。
 太陽活動が不活発な状態が続くと、地球の気温が下がるとの見方がある。17世紀半ばから18世紀初めにかけて黒点が消滅した「マウンダー極小期」は、19世紀以前の数世紀の中で特に寒い時期だった。
 京都大学の上出洋介特任教授は、次の活動期の遅れについて「まだ異常と言える段階ではない」としたうえで、「あと1−2年続くと気温が下がる可能性はある」という。
 次の太陽の活動期の強さがどうなるかにも研究者は注目している。活動期の立ち上がりが極端に遅いと、その周期の太陽活動が静かになるという経験則があるためだ。