毎日新聞 2006/6/10

レジ袋排出抑制 改正容器リサイクル法成立 有料化は明記せず

 スーパーなどで無料配布されているレジ袋の排出抑制対策などを定めた改正容器包装リサイクル法が9日、参院本会議で可決、成立した。来年4月に施行される。
 一定以上のレジ袋など容器包装を利用する大手のスーパーやコンビニエンスストアなどに削減への取り組みを義務づけ、努力が足りない場合は事業者名の公表や、50万円以下の罰金を科す。
 このほか、リサイクル費用を支払わない事業者への罰金増額、分別収集をしている自治体に事業者側が資金援助する仕組みも盛り込まれた。
 焦点となっていたレジ袋の有料化は、「営業の自由を保障する憲法に違反するおそれがある」などと業界が強く反発し、明文化は見送られた。
 同法改正は、容積で家庭ごみの6割を占める容器包装ごみを減らすのが狙い。国が秋までに具体的なごみの削減目標の基準を示し、これを受けて大手スーパーなどに削減計画を報告させる。国は計画を大きく下回った場合に勧告、命令など行政指導を行う。
 リサイクル費用の負担が必要なのは、容器包装のメーカーやスーパー、コンビニなど。費用を払わない場台の罰金は50万円以下から100万円以下に引き上げられた。
 これまでは、リサイクル費用より罰金を払う方が割安だとして、費用を負担しない事業者が目立っていた。

業界、自主削減策動き

 レジ袋削減を大きな目標とした改正容器包装リサイクル法が成立した。環境省と経済産業省は業界に課す削減目標の基準作りを本格化するが、業界ではこれを見越した動きも始まっている。
 環境省の炭谷茂事務次官は8日の定例会見で「法律に基づく基準を示すことが強い普及効果を持つ」と話した。容リ法は97年に本格施行された。しかし1日1人当たりの家庭ごみの排出量は95〜02年度、約1.1キロとほぼ横ばい。リサイクルは増えたが、肝心のごみの量は減っておらず、家庭ごみの6割を占める容器包装ごみの対策が急務となっている。
 
コンビニ12社は先月末、2010年度の1店舗当たりのレジ袋使用総重量を00年度比35%減にする削減目標を初めて設定した。コンビニは手ぶらで来る客が多く、レジ袋の使用は欠かせないが、業界全体で客の理解を得ようとの狙いだ。
 全国約1400店のバーガー店を展開する
モスフードサービスは7月から、全店で持ち帰り用ポリ袋を廃止し、紙袋に切り替える。大手外食チェーンでは初の試みだ。
 一方、大手スーパーなど87社が加盟する日本チェーンストア協会は、業界として独自にレジ袋有料化に踏み切ることも検討している。02年秋から客にレジ袋を辞退してもらう活動を展開してきたが、辞退率は昨年3月末で13%と目標の20%を下回った。同協会は「有料化は削減に有効な方法の一つと考えている」という。


容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

第一 容器包装廃棄物の排出の抑制に向けた取組の促進
 目的及び基本方針等の規定において容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に係る規定を追加すること。
 (第一条、第三条、第五条、第六条、第八条及び第九条関係)
     
 消費者の意識向上や事業者との連携を図るための取組について、次の事項を規定すること。
   容器包装廃棄物の排出の抑制についての消費者の意識啓発等を図るため、環境大臣が「容器包装廃棄物排出抑制推進員」を委嘱することができることとすること。(第七条の二関係)
   環境大臣は、容器包装廃棄物の排出の抑制に資する情報の収集、整理及び提供や容器包装廃棄物の排出量等の調査及び公表を行うこととすること。(第七条の三関係)
     
  事業者の自主的取組を促進するための措置について、次の事項を規定すること。
   主務大臣は、その事業において容器包装を用いる事業者であって、政令で定める業種に属する事業を行うもの(以下「指定容器包装利用事業者」という。)による容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために、判断の基準となるべき事項を定めることとすること。また、この場合、主務大臣はあらかじめ環境大臣に協議するとともに、環境大臣は必要に応じて、主務大臣に意見を述べることができることとすること。(第七条の四関係)
     
   主務大臣は、判断の基準となるべき事項を勘案して、指定容器包装利用事業者に対する指導及び助言を行うことができることとすること。(第七条の五関係)
     
    指定容器包装利用事業者であって、その事業において用いる容器包装の量が政令で定める要件に該当するもの(以下「容器包装多量利用事業者」という。)は、毎年度、容器包装を用いた量及び容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組んだ措置の実施の状況に関し、主務大臣に報告しなければならないこととすること。(第七条の六関係)
     
   主務大臣は、容器包装廃棄物の排出の抑制の促進の状況が著しく不十分な容器包装多量利用事業者に対し、必要な措置をとるべき旨の勧告、勧告に従わなかった場合の公表、公表後に正当な理由なく当該勧告に係る措置をとらなかった場合の命令を行うことができることとすること。(第七条の七関係)
     
四 市町村は、市町村分別収集計画を定め、又は変更したときは、これを公表することとすること。(第八条第四項関係)
     
第二 事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設
     市町村から特定分別基準適合物の引渡しを受けた指定法人又は認定特定事業者は、その再商品化に現に要した費用の総額として主務省令で定めるところにより算定される額が再商品化に要すると見込まれた費用の総額として主務省令で定めるところにより算定される額を下回るときは、その差額に相当する額のうち、各市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して主務省令で定めるところにより算定される額の金銭を、主務省令で定めるところにより、当該各市町村に対して支払わなければならないこととすること。(第十条の二関係)
     
第三 その他
   再商品化の義務を果たさない特定事業者に対する罰金の額の引上げ等所要の規定の整備を図ること。
(第四十六条から第四十九条まで関係)
     
   基本方針に定める事項に「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他の適正な処理に関する事項」を追加すること。(第三条第二項関係)
     
第四 施行期日等
   この法律の施行期日について定めること。(附則第一条関係)
   所要の経過措置を設けること。(附則第二条及び第三条関係)
   政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとすること。(附則第四条関係)