1993/12/24 三菱化成/三菱油化 記事
合併に関するお知らせ
今般、三菱油化株式会社と三菱化成株式会社とは、平成6年10月1日をもって、合併することに合意いたしました。
1.合併の趣旨
三菱化成は、昭和9年日本タール工業鰍ニして創立以来、一貫して日本の化学工業の発展とともに歩んでまいりました。また、三菱油化は、日本の石油化学勃興に伴い、いち早く昭和31年三菱グループの総力の下に誕生以来、常に石油化学業界の中心として発展してまいりました。
この間両社は、同じ三菱グループに属し、かつ、化学工業に携わる同根の中核会社として、緊密な関係を保ちつつ、今日に至っております。
両社がこのたび合併を決意するに至りました理由は、世界の政治・経済が戦後体制から大きく変化しつつある中で、日本経済も成熟化・グローバル化等の構造変化を遂げつつありますが、就中わが国の化学業界は内需の成熟、空洞化、アジアの自立化、欧米企業の攻勢等、かつてない厳しい環境変化にさらされており、しかも未だ十分な対応をとり得ていないのが実情であります。
化学業界は、戦後一貫して素材提供を通じ、日本の消費材産業の発展、ひいては日本経済の発展に寄与してまいりましたが、21世紀を目前に控え、さらに諸環境の変化の中で、今後とも社会の期待に応えるためには、一層の国際競争カの確保が大きな課題であります。
日本の化学業界は、全体として欧米に遜色のない規模と広がリを有するものの、個々の企業としては、コスト競争カ、技術開発カにおいて欧米企業に劣るといわれております。
オイルショックをしのぐ今回の不況を乗り越え、今後ますます熾烈化する内外企業との競争に打ち勝つためには、かねてポリオレフィン共販体制、エチレン及び誘導品製造設備への共同投資等をはじめ各般にわたって両社の緊密な協カ関係を培ってまいりましたが、今般これをさらに発展させ、両社の持てる力を結集することによって一段と企業体質を強化し、真の国際企業として内外市場の要請に応えてまいるべく、ここに合併を決意したものであります。
2. 合併の概要
合併要領
(1) | 三菱油化株式会社と三菱化成株式会社とは、対等の立場で合併する。ただし手続き上は、三菱化成株式会社を存続会社とする。 | |
(2) | 合併期日は、平成6年10月1日を予定する。 | |
(3) | 合併比率は、三菱油化株式会社の株式1株に対し、三菱化成株式会社の株式1.3株とする。 | |
(4) | 合併後の新会社の商号は、「三菱化学株式会社」(仮称)とする。 | |
(5) | 新会社の会長は古川昌彦、社長は三浦昭とする。 | |
合併に期待する効果 | ||
(1) | 両社は、ポリオレフィンの共販、鹿島地区におけるオレフィン、ポリオレフィン共同投資等、石油化学の分野で既に広範な協カ関係を確立してまいりましたが、本合併により、オレフィン、誘導品にわたっての水平、垂直統合がなされる等、両社石油化学の規模、競争カが飛躍的に拡充されることが期待されます。 | |
(2) | 両社事業の統合によって石油化学事業の収益カ強化が可能となり、さらに高機能化への推進が図られることにより、望ましいポートフォリオの構築が期待されます。 | |
(3) | 両社がこれまでそれぞれ推進してきた北米、欧州、中東、アジア諸国における事業展開が、合併によってより効率的に整理統合され、海外展開の一層の拡充が期待されます。 | |
(4) | 設備投資の重複を回避するとともに、企業体質強化と事業の多角的展開のための最適の投資を行うことが可能となります。 | |
(5) | 人材を有効活用することにより、効率化を推進することが可能となります。 | |
(6) | 研究開発体制を整備することにより、重複を回避した、より重点的、効率的な研究開発を通じて、研究開発カを強化することが可能となります。 | |
(7) | 生産及び物流拠点が適正配置されることとなり、交錯輸送の排除等、総合物流体制が飛躍的に向上することとなります。 | |
(8) | 合併を機に、両社の持てるカの相乗効果により、国際規模のリーディング・カンパニーの実を備え、日本はもちろん世界の化学工業の中で、確固たる地位を築き上げてまいります。 | |
3. 合併の要旨
(1) | 合併の日程 | |||
合併契約書調印 | 平成6年4月(予定) | |||
合併契約承認総会 | 平成6年6月(予定) | |||
合併期日 | 平成6年10月1日 | |||
合併報告総会 | 平成6年12月(予定) | |||
合併登記 | 平成6年12月(予定) | |||
(2) | 合併方式 | |||
三菱油化株式会社と三菱化成株式会社は、対等の立場で合併する。 ただし、手続上は、三菱化成株式会社を存続会社とする。 |
(3)合併比率
会社名 三菱油化株式会社 三菱化成株式会社 合併比率 1 1.3 三菱油化株式会社の株式1株に対し、三菱化成株式会社の株式1.3株を割り当てる。
(注)合併により発行する新株式
額面普通株式 641,312千株(1株 50円)
4. 合併当事会社の概要
(1)商号 | 三菱化成株式会社 (手続上の存続会社) |
三菱油化株式会社 (手統上の被合併会社) |
(2)事業内容 | 主として次の分野に関連する製品・中間物、システム等の製造、加工、販売、研究、開発等に関する業務 〔炭素無機製品分野〕 コ一クス、炭素系誘導品、肥料・無機製品等 〔石油化学品分野〕 オレフィン誘導品、合繊原料、有機工業薬品等 〔機能商品分野〕 情報機材・電子材料、医薬・農薬.機能材料等 |
主として次の分野の各製品の製造、加工、販売、研究、開発等に関する業務 〔石油化学品分野〕 ポリオレフイン等各種樹脂、オレフィン、芳香族及びこれらの誘導品等各種化成品 〔機能化学品分野〕 樹脂添加剤、エレクトロケミカルズ、化粧品基材等 |
(3)設立年月日 | 昭和25年6月1日 | 昭和31年4月10日 |
(4)本店所在地 | 東京都千代田区丸の内二丁目 5番2号 |
東京都千代田区丸の内二丁目 5番2号 |
(5)代表者 | 取締役社長 古川昌彦 | 取締役社長 三浦昭 |
(6)資本金 | 108,380百万円 (平成5年3月末現在) |
54,093百万円 (平成5年3月末現在) |
(7)発行済株式 総数 |
1,548,406,160株 (平成5年3月末現在) |
493,309,932株 (平成5年3月末現在) |
(8)株主資本 | 263,751百万円 (平成5年3月末現在) |
21O、735百万円 (平成5年3月末現在) |
(9)総資産 | 981,048百万円 (平成5年3月末現在) |
550,856百万円 (平成5年3月末現在) |
(10)決算期 | 3月31日 | 3月31日 |
(11)従業員数 | 10,926人 (平成5年3月末現在) |
3,408人 (平成5年3月末現在) |
(12)主要取引先 | (購入先) 三菱商事株式会社 三菱化成エンジニアリング株式会社 三菱石油株式会社 (販売先) 三菱商事株式会社 全国農業協同組合連合会 ダイヤポリマー株式会社 |
(購入先) 石化原料共同輸入株式会社 三菱商事株式会社 昭和シェル石油株式会社 (販売先) ダイヤポリマー株式会杜 三菱商事株式会社 日本合成ゴム株式会社 |
(13)大株主及び 持株比率 (平成5年3月 末現在) |
1.明治生命保険相互会社 7.57% 2. 日本生命保険相互会社 6.45% 3.株式会社三菱銀行 4.70% 4.三菱信託銀行株式会社 4. 50% 5,第一生命保険相互会社 4.05% |
1. シェル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド 12.67% 2.シェルジャパン株式会社 5. 71% 3. 明治生命保険相互会社 5.04% 4,旭硝子株式会社 4.96% 5.三菱化成株式会社 4.76% |
(14)主要取引 銀行 |
株式会社三菱銀行 三菱信託銀行株式会社 株式会社日本興業銀行 農林中央金庫 株式会社第一勧業銀行 |
株式会社三菱銀行 農林中央金庫 三菱信託銀行株式会社 株式会社日本長期信用銀行 株式会社日本興業銀行 |
(15)最近3期間の業績 (百万円)
三菱化成株式会社 (手続上の存続会社) |
三菱油化株式会社 (手続上の被合併会社) |
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決算期 | 3年3月期 | 4年3月期 | 5年3月期 | 3年3月期 | 4年3月期 | 5年3月期 |
売上高 | 770,525 |
727,230 |
709,830 |
434,416 |
406,744 |
372,130 |
経常利益 |
28,545 |
13,280 |
9,301 |
47,093 |
30,321 |
8285 |
当期利益 |
18,545 |
5,337 |
5,002 |
25,854 |
15,455 |
6,548 |
1株当り 利益金(円) |
13.17 |
3.47 |
3.23 |
52.52 |
31.38 |
13.28 |
1株当り |
6 |
6 |
6 |
10.4 |
8 |
8 |
1株当り |
193.02 |
173.17 |
170.33 |
400.77 |
421.64 |
427.19 |
5.合併後の状況
(1)商号 | 三菱化学株式会社(仮称) | ||
(2)事業内容 : | 主として次の各製品の製造、加工、販売、研究及び開発 〔炭素無機製品分野〕 コークス、炭素系誘導品、肥料・無機製品等 〔石油化学品分野〕 ポリオレフィン等各種樹脂、オレフィン、芳香族及びこれらの誘導品等各種化成品、合繊原料、有機工業薬品等 〔機能商品分野〕 情報機材・電子材料、医薬・農薬、機能材料等 |
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(3)本店所在地 | 東京都千代田区 | ||
(4)代表者 | 会長 古川 昌彦 社長 三浦 昭 |
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(5)資本金 | 1,404億円(321億円) | ||
(6)総資産 | 1兆4,770億円(5,253億円) 但し、平成5年9月末現在 | ||
(7)決算期 | 3月31日 | ||
(8)合併後の事業見通し (億円)
平成7年度(1995) 平成8年度(1996) 売上高 11,800(3,800)予定 12,400(4,000)予定 経常利益 200( 1OO)予定 400( 200)予定 当期利益 100( 50)予定 200( 100)予定 1株当り配当金 3〜4円予定 5〜6円予定 ( )は合併による影響額
苦境の化学 再編に活路 危機感、トップが動く 極秘交渉、三菱銀が支援
夏から二人で相談 生産3拠点は残す 両社長会見
ー | 油化の救済合併の意味合いもあるのか。 |
三浦 | 救済と言われるのは心外だ。 |
古川 | 石油化学部門の強化は化成にとってもメリットは大きい。救済という意識はない。 |
ー | 合併比率は油化に甘いのでは。 |
古川 : | 主に株価をもとに決めた。化成の将来性はもっと評価されていいと思うが、経営者として株価は厳しく受け止めなければならない。 |
三菱化成と旭化成 エチレン子会社の資本乗り入れ解消 10月までに持ち株交換
生産体制再構築に備え 三菱化成、油化との合併にらむ 公取委の「物言い」も一因
・・・ 合併の事前審査を通じて公正取引委員会から“物言い”がついたのも一因。日本最大の化学メーカーとなる三菱化学がエチレン事業分野で旭化成と資本関係にあることが問題視されてきた。こうした指摘に対し「それならこの際、すっきりさせよう、と今回の水島のエチレン会社の資本提携解消となった」(旭化成幹部)という。
・・・ 水島エチレン問題は公取委にうながされたため生じたものではなく、「あくまでも国際競争力のあるコンビナートに再構築する必要に迫られたから」(三菱化成幹部)と説明する。
日経産業新聞 1994/8/17
三菱化成ビニル 樹脂加工専業に 化成・油化、合併へ体制整備 「化学」が塩ビ製販
三菱化成は三菱油化との合併を機に、子会社で塩化ビニールメーカーの三菱化成ビニルを樹脂加工の専業メーカーに衣替えすることを決めた。これに伴い、塩ビの製造・販売部門は10月に誕生する三菱化学が担う。