日本経済新聞 2002/6/27
OPEC 非公式会合 減産継続で合意
9月末まで 需給ひっ迫の恐れ
石油輸出国機構(OPEC)は26日、ウィーンで臨時総会を開いた。これに先立ち開いた非公式会合で、1月から実施している日量150万バレルの減産を9月末まで継続することで合意した。OPEC減産が続くことで市揚関係者の一部は10月以降に需給がひっ迫し、原油価格が一段と上昇すると予測している。
日本経済新聞 2002/7/5
変わる石油地図 米ロ接近、OPECに陰り
1973年、サウジアアラビアの対米石油禁輸を受け、石油価格が4倍に高騰した。以来、石油輸出国機構(OPEC)は幾度かの危機を乗り越えながら今も価格への影響力を保っている。しかし、ここにきて弱体化の兆しが出てきた。背景にあるのはロシアと米国の接近だ。
朝日新聞 2002/8/11
原油の自主設定生産枠を無視 OPEC減産態勢、崩壊
石油輸出国機構(OPEC)の加盟産油国が、自分たちで決めた原油生産枠を大きく上回る生産を始め、1月から続ける減産態勢を実質的に「反古(ほご)」にしていることが明らかになった。この2年余りにわたって的確な増減産で安定的な原油価格を維持してきたOPECだが、組織のタガが緩んで価格影響力が弱まることも予想される。
日本経済新聞 2002/8/31 現在の能力
OPECの生産配分に課題 シェア伸ばす下位産油国 カタールなど油田開発進む
カタール、アルジェリアなど石油輸出国機構(OPEC)内で生産量が下位だった産油国が原油の生産能力を向上させている。油田開発で外資の導入を渋ってきた上位国と違い、積極的に受け入れて生産能力向上を図ったためだ。中長期的にはOPECの生産調整にも影響するほか、原油価格の下押し要因になりそうだ。
日本経済新聞 2002/9/20
OPEC増産見送り決定 緊急時は「あらゆる対策」
OPECは19日、イラクを除く加盟10カ国の生産上限枠(日量2170万バレル)を年内いっぱい据え置くことで正式合意した。冬場の石油製品の需要期入りを控えているうえ、米国によるイラク攻撃の懸念も消えていない。原油価格は当面、現在の高水準を維持するとみられ、世界の景気回復にとってマイナス要因となる可能性が大きい。
日本経済新聞 2002/12/13
生産枠推移
OPEC非公式協議 実質150万バレル減産合意 「ヤミ増産」是正を狙う
石油輸出国機構(OPEC)は12日、ウィーンで総会前の非公式協議を開き、来年1月から日量150万バレルを実質減産することで合意した。現在の生産量は日量約2450万バレルで、生産枠(2170万バレル)を大幅に超えている。この「ヤミ増産」分を大幅削減し、来年以降の値崩れを防ぐ。
日本経済新聞 2002/12/14
OPEC実質減産合意 生産枠順守に不透明さ残す
石油輸出国機構(OPEC)のウィーン総会は生産枠を無視した「ヤミ増産」の自粛による実質減産で合意した。OPECの減産はこれまで生産枠の引き下げを常とう手段としてきたが、今回はヤミ増産分が日量280万バレルと巨大なため、2年ぶりに枠を広げる一方でその順守をうたう複雑な決着となった。加盟国が新しい枠を守るかは不透明で、戦略が裏目に出る可能性もある。
日本経済新聞 2003/1/14 生産枠推移
OPEC増産150万バレルで合意
石油輸出国機構(OPEC)は12日ウィーンで開いた緊急総会で、2月1日から生産枠(日量)を150万バレル引き上げ2450万バレルとすることで合意した。反政府ストによるベネズエラの生産減少分を埋め合わせ、高騰する原油価格を安定させるため大幅増産で一致した。
毎日新聞 2003/1/14
「増産」は政治ショー 生産実態追認が本音
石油輸出国機構(OPEC)は、12日の緊急総会で、2月から生産枠を現行の日量2300万バレル(イラクを除く10カ国)から同2450万バレル(同)へ150万バレル増やすことで合意した。しかし、業界関係者によると「表面の増産合意と違って、生産実態に大きな変化はない」という。
日本経済新聞 2003/4/25 生産枠推移
OPEC、200万バレル減産 緊急総会合意 6月実施 なお供給過剰も
石油輸出国機構(OPEC)は24日の緊急総会で、日量200万バレルの実質減産で合意した。実施は6月1日から。主要加盟国はイラク情勢の緊迫を受け増産してきたが、戦争終結を受け生産量を削減する。ただ、世界景気の悪化で原油需要は低迷しており、大幅減産してもなお原油が供給過剰に陥る可能性もある。
減産によって、OPECの原油生産量は現在の日量2740万バレルから同2540万バレルになる。アティーヤ議長は同日「原油市場は200万バレル以上の余剰であり、早期に生産量を減らす必要があった」と語った。
OPECは3月の総会で生産枠(2450万バレル)を据え置いたが、イラク情勢の緊迫化で原油価格が1バレル30ドルを大きく上回ったため、サウジアラビアなど主要国が生産枠を上回る形で積極増産していた。
この結果、OPECの原油生産が生産枠を290万バレル上回る形となったため、今回の総会では減産を決める一方で、現状を追認して生産枠を2540万バレルに90万バレル引き上げた。
日本経済新聞 2003/9/25
OPEC 日量90万バレル減産 11月実施合意 イラク増産に備え
石油輸出国機構(OPEC)は24日、ウィーンで開いた総会で11月から日量90万バレル減産することを決めた。原油生産枠は2450万バレルになる。減産はロシアなど非加盟国と協調して実施した2002年1月以来。イラクが復興資金確保に向けて増産すると見込み、需給引き締めを目宿す。
OPECのアティーヤ議長が総会後に記者団に明らかにした。イラクを除く加盟10カ国の生産枠を現在より3.5%縮小する。原油価格の指標であるバスケット価格(7油種平均)が8月下旬から1バレル4ドル下落し、OPECが「適正」と考える25ドルを割り込んでいることを警戒した。
OPECの実際の生産量は2590万バレル前後。10月分は各国がすでに欧米石油大手に通告しており、減産は11月からになる。
サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相ら加盟国の首脳陣は今回の総会では生産枠を据え置く方針を明言していた。
イラク OPEC揺らす 石油相が増産方針 「2005年に400万バレル」
石油輸出国機構(OPEC)は24日、11月からの減産を決めた。生産枠から外れているイラクのウルーム石油相が増産方針を表明。他の国が減産しなければ原油相場の大幅下落につながると判断したためだ。イラクの復帰問題でも議論は紛糾したが、OPECは市況維持に向けイラクを除く加盟10カ国の結束を優先させた。
ウルーム石油相は24日午後、OPEC本部で記者会見し、海外の石油大手からの投資を受け入れ、積極的な生産拡大を目指す方針を明確に打ち出した。「2005年中には原油生産量が(1990年夏の湾岸危機前の水準を超える)日量350万−400万バレルに達する」と指摘した。
今回の総会では10−12月の生産枠(現在2540万バレル)を決めた。ただ、総会に集まった加盟国首脳陣の協議の焦点は、今後の原油供給戦略でイラクの積極増産にどのように歯止めをかけられるかに移っている。クウェートのアハマド・エネルギー相は「来年は(OPECにとって価格下落懸念の大きい)悪い年になる。イラクにも割当量を設定する必要がある」と指摘した。
加盟国の間には、膨大な埋蔵量を持つイラクのOPECでの発言力の増大や積極増産に伴う市況下落を警戒する声が多い。ベネズエラは国連承認のないイラクが正式メンバーで復帰することに一時反対した。OPECにとって亀裂の芽を生みかねない情勢になった。
イラクの生産量は5月に30万バレル弱だったが、現在は130万バレルまで回復したもようだ。ウルーム石油相は「来年3月末には280万バレルの生産に回復する」と表明。計画通りに増えると仮定し世界需要見通しからロシアなど非加盟国の供給分を差し引くと、原油需給の均衡には来年4−6月はサウジアラビアなど他の加盟10カ国が合計で400万バレル以上も減産しなければならない。
イラクは治安回復が遅れ、国連主導の復興計画づくりも暗礁に乗り上げている。ただ、イラク石油省幹部によると、北部のキルクーク油田など主要油田の設備刷新に20億ドル以上投じれば、300万バレルの輸出が可能になる。
イラクは90年の湾岸危機前はイランと同じ314万バレルの割当量を認められていた。復帰後は現在のイランの割当量てある373万バレル程度を求める方針とされるが、イランの反発は必至。ナイジェリアなど割当量の少ない諸国も上積みを求めている。
適度の増産に向けてイラクヘの圧力を高めすぎると、イラクがOPECから脱退することも考えられる。OPECにとって景も難しい生産枠の配分見直し問題で対応を誤れば、組織内の不満が強まり、価格調整機能が低下しかねない。
日本経済新聞 2004/10/15
原油、油種間の価格差拡大 軽質急騰、中・重質伸び悩み
原油市場で、ウェスト・テキサス・インターミディェート(WTI)など比重の軽い軽質原油と、ドバイなど中・重質原油との価格差が拡大している。ガソリンやジェット燃料などが精製しやすい軽質油に買いが集まる一方、中・重質油は上値が重い。ガソリンなどの精製比率を高める二次装置の設置には時間がかかり、軽重格差は長期化するとの見方も出ている。
ドバイ、WTIの16ドル安
ニューヨーク市場のWTI(期近)は13日、前日比
1.13ドル高の1バレル 53.64ドルで引けた。ロンドンの北海ブレント(同)も
0.45ドル高の 50.05ドル。一方、東京原油スポット市場では14日、アジア域内の価格指標となる中東産ドバイが前日比
0.40ドル安の 36.90ドル(12月渡し、中心値)と9月27日以来の36ドル台。WTIとドバイの価格差は16ドル超と過去最大になった。
両者の価格差は年初は1バレル5ドル弱で、3倍強に広がった。背景には「欲しい原油とそうでない原油がはっきりし始めた」(商社)ことがある。「需要の伸びが大きく収益率も高いガソリンやジェット燃料を効率よく精製する狙いから、軽質原油の人気が高い」(石油会社)との指摘もある。
原油の比重は米石油協会(API)が定めたAPI度(水と同じ比重を10とし、数値が高いほど軽い)が単位となる。34度以上が軽質、29−33度を中質、28度以下を重質とするのが一般的。WTIはAPI度が40、北海ブレントは38とかなり軽質だが、ドバイは32で中質。
他の油種でも価格差がはっきりしており、超軽質のマレーシア産タピス(API度45)は9月の月間平均が
49.66ドルで、WTIの同 45.94ドルを上回る。世界で一番出荷量が多いとされるアラビアンライト(API度34)はドバイと連動するため、9月は
36.6ドルだった。
製油所で二次精製装置に追加投資をすれば、重質原油からガソリンなどを精製する比率を高めることができる。だが「巨額の投資負担を考えると、まだ軽質油を買う方が割に合う。軽重格差は今後も広がる」(石油会社)との見方が多い。