(化学経済 2000/7

PS一体化会社の現況と展望 東洋スチレン 

東洋スチレンの概要

本社     東京都港区西新橋2−7−4
営業開始   1999年4月1日
事業内容   ポリスチレン系樹脂の製造・販売・研究開発
事業拠点   本社、大阪支店、名古屋支店、九州営業所、
       五井工場、君津工場、広畑工場、
       研究所
資本金    50億円
出資比率   電気化学工業50%、新日鐵化学35%、ダイセル化学工業15%
売上高    年間400億円強
従業員    150人

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構造的黒字企業への基礎が固まる

 東洋スチレンは1999年4月、電気化学工業、新日鐵化学、ダイセル化学工業のポリスチレン事業の分離・統合により発足した。日本ポリスチレン、エ一・アンド・エムスチレンに続く合弁会社の誕生である。内需の成熟、需要構造の変化、過当競争体質などを背景に業績が長期低迷する中、3社は国際競争力を有する新規統合会社への移行を選択したといえる。

 組織はミニマムサイズでスタート
 東洋スチレンは、資本金50億円、電気化学50%、新日鐵化学35%、ダイセル化学15%の出資比率で誕生した。他のスチレン統合会社とは異なり、当初から製造・販売・研究を一体化した完全独立型企業としてスタートした。統合効果を短期的に発揮し、強いコスト競争力を有するポリスチレン専業企業に成長するためである。
 基本目標は「旧来の常識を打破し、国際化時代における汎用樹脂事業の理想図を追求し、構造的黒字会社を実現する」とした。ポリスチレンは低付加価値汎用樹脂との認識に立った上で、コストダウンを中心とする諸施策により、同事業の持続的成長、企業の構造的黒字体質を実現しようとするものである。
 このため、同社はまず、出発時点で徹底した合理化を行い、組織も簡素化を前提に構築した。例えば、設備面では電気化学が年産23万7000トン、新日鐵化学18万6000トン、ダイセル化学が5万3000トンで、3社合計の公称能力は47万6000トンであったが、電気化学がバッチ式設備などを中心に約10万5000トン廃棄したため、総能力は37万1000トンとなった。同時に、これら設備は一定の評価額に基づいて親会社から購入した。
 これらの結果、東洋スチレンは新鋭系列への集約を果たし、生産の効率化、固定費の軽減などにつなげた。 また、従業員は全員、各社からの出向者で占め、総勢150人と小規模である。これは事業展開において不足感が出た場合に追加補充すればよいとの考えに基づくもので、人事配置も個別企業時代の担当を単純に延長することは避けたという。例えば、管理本部はゼロ配置をべ一スに、物流やシステム業務などを査定した上乗せ方式で20人を配置、同様の考え方に基づき営業本部は30人、技術本部100人とした。

 体制整備が着実に進行
 東洋スチレンは発足して1年余が経過した。この間、事業運営は順調に推移したが、新たな環境に適応する視点から体制整備も逐次実施した。
 同社の組織は管理本部、営茉本部、技術本部の3本部制度である。うち、営業本部は雑貨関連、包装分野、FSを所管する営業第1部と、電気分野、OA、開発、海外関連の営業第2部、および大阪支店(九州営業所を含む)、名古屋支店で構成されている。製品ではとくに、電気化学から譲り受けたGPグレードが食品包装分野に強く、また新日鐵化学からのHIグレードも成形分野でトップの位置にある。同社では親会社への供給(自消)が15〜20%、一般市場に80%強の割合で販売しているが、ポリスチレンの加工品分野で両者が共存共栄することを前提とし、自消分への特別な優遇価格は採用していない。
 技術本部は五井工場、君津工場、広畑工場および研究所を所管している。五井の設備は3系列、君津4系列、広畑は2系列体制で、いずれもGPとHIの両製品を生産しているが、大別すれば関東地域を主力市場する五井はGP、君津はHIの生産に比重がある。広畑は大阪以西の市場に対応するためGP,HIを生産している。
 工場運営の基本は、3工場9系列が相互に協力しあい、有機的に最適生産・運転することにあるが、君津工場と五井工場は所在地が近いため、生産・在庫・物流・管理面などを総合判断し、今年4月から両工場を統括する千葉製造所を新設して、一体運営体制を強化した。
 研究所関係では、各工場で現場密着型の技術対応を行ってきたが、技術の一貫性・一体化を深耕するため、99年9月に電気化学の五井工場内に新規研究棟を新設した。建設費は1億円弱で、1)製造コストダウンに必要な技術、2)既存の汎用・特殊グレードの改良、3)高付加価値グレードの開発などをメインテーマに30人体制で対応している。
 管理本部も、新たに物流業務を取り入れるなど守備範囲を拡充している。

 合理化を徹底推進
 東洋スチレンは、構造的黒字会社を目指す中で、究極のコストダウンを先取りすることを当面の目標とした。したがって、前述したように、バッチ設備の廃棄、親会社から購入する設備の厳密評価、従業員数の最少化などをスタート時点で実施したが、さらに多面的なコスト削減策を鋭意推進した。
 例えば、GP・HIは3社分合わせて130強のグレード数であったが、統廃合を推進し、およそ1年間で目標の65%まで集約した。また、物流面ではストックポイントが3社合計で30カ所にのぼったが、これを3分の1に減少させた。原料のスチレンモノマー(SM)も、君津工場は電気化学および千葉スチレンモノマー、広畑工場は新日鐵化学および日本スチレンモノマー(大分)からそれぞれ供給を受ける体制を確立し、SM−PSラインで地域市場対応型の生産体制となった。このため、原料や製品の交錯輸送のマイナス面が改善され、物流コストの軽減などにつなげることができたという。
 生産・物流・販売などのすべての分野にわたるコスト削減計画は当初、経営上の再重要政策として打ち出されたが、「目標達成が具体化するにつれて、全従業員の意識が一段と向上した」(松上社長)ため、2年間で50億円の目標であったが、1年間で約70億円を達成し得たという。コスト競争力を強化することは、国際化時代において汎用樹脂事業が生き延びるための重要な施策であるとの考えに基づき、無期限かつ全力で追求していくことになっている。

 業績と課題
 東洋スチレンは、GP・HIPSを中核に、一部のAS樹脂、PS系コンパウンドを扱っているが、2000年3月期の決算では売上高400億円プラス・アルファを達成した。
 この背景には、ポリスチレン業界が4グループ5社体制となり混乱状態が改善されたこと、内需が堅調であったことなどがあるが、東洋スチレンが追求した「需要家との信頼関係の徹底強化と市場健全化」策が、3回にわたる価格是正として結実した結果ともいえる。また、最小陣容での事業運営、徹底した合理化、コスト削減も奏効し、営業利益を計上し、経常段階でも黒字を実現した。
 新会社という前提に立てば、「この1年間の結果には総合的に満足している」(松上社長)とのことであるが、将来に向けて磐石の経営基盤を形成するには「なお、課題は多い」のも事実であるという。
 1つはポリスチレンの輸出である。同社は内需を基本とした事業運営を行っており、一部のHI難燃コンパウンド以外の輸出は親会社に依存している。しかし、内需の成熟化進行、ボーダーレス大競争時代における東南アジア市場などを勘案した場合、輸出政策の具体化は避けて通れない。この考えに立って同社では、主体性を持った輸出ポリシーと体制を検討したいとしている。
 2つ目は製品の品質に関する点である。特殊グレードのさらなる品質向上と経済性、GPの食品包装用やHIの成形用などの差別化グレードの拡販努力、高付加価値グレードを含むコンパウンド事業の拡充などが早急に取り組まなければならない具体例である。
 3つ目は、製販一体運営を前提とする事業体制の整備である。五井工場の場合は一部を親会社に作業委託しているが、早急に完全一体化への整備を進めることが課題である。
 4つ目は、コスト削減、合理化の継続である。今後はとくに製造と物流・商流の総合的な改善を重点指向するとしている。
 東洋スチレンはこの1年、汎用低付加価値のポリスチレンを戦略製品として、構造的黒字会社への早期成長を目指してきた。そのための最重要手段は多面にわたるコスト削減であった。その成果は、売上高、営業利益などの業績に表れた。将来に向けての基礎は固まった訳で、松上社長が指摘するように、「今後はポリスチレンを中心点に、その枠内で付加価値をどう拡大していくか」が同社のマクロ的な課題となろう。


(化学経済 2000/7)
PS事業統合会社の現況と展望 A&Mスチレン 

エー・アンド・エムスチレンの概要
設立   1998年10月1日(営業開始)
株主   旭化成工業50%、三菱化学50%
本社   東京都文京区小石川
     関西営業部(大阪、名古屋)
     研究開発部(川崎)
資本金  50億円
事業内容 ポリスチレン樹脂の製造・販売・研究開発
従業員数 約170人
売上高  約420億円

設備の構成 (単位:1,000トン/年)
立地   統合前  統合後  統合後系列
水島   164  108 GPXl,HIX2
四日市  188   85 GP×2 
千葉   207  207 GPX1,HIX2
 計   559  400 GP×4, HI×4

(注)統合直前の99年8〜9月に四日市2系列と水島2系列を停止し、千葉のHI1系列をGPに転換

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製造部門統合で新分野開拓を促進

 40万トン体制で再スタート
 エー・アンド・エム(A&M)スチレンは旭化成工業と三菱化学のスチレン事業を統合して98年10月に営業を開始し、1年後の99年10月に
製造および研究開発部門も統合した。また、輸出についても親会社が行ってきたが、製造部門の移管と同時に統合された。設立までの半年間は統合検討委員会で具体策の詰めが行われ、それ以前の1年間は両社でそれぞれに統合のための議論が重ねられた。旭化成は旭ダウのPS事業を引き継いだトップメーカーであり、三菱化学は三菱モンサント化成の事業を引き継いで3,4位グループを形成していた。
 しかし、バブル経済崩壊以後の国内需要の減少と主力ユーザーの海外生産シフトは、事業収益を悪化させ、打開策の実行を迫ることになった。すでにABSではテクノポリマー、PSでは日本ポリスチレンが発足しており、業界構造の改革に向けた気運が高まっていた。両社はABSこそ統合できなかったが、水島地区でコンビナートを共同運営した経緯があり、石油化学事業での再接近も課題とされている。いずれにせよ、旭化成はトップメーカーの地位を維持し、三菱化学は結果としてABS,PSとも業界トップメーカーと事業統合したことになる。
 設立時の資本金は3億円であり、従業員も70人でのスタートであったが、製造および輸出業務、研究開発部門を統合した99年10月には50億円に増資し、従業員も170人で再スタートを切ることになった。総資産は250億円となった。
 人員内訳は、本社・販売関係60人、製造関係85人、研究開発関係25人であるが、統合後の半年で160人体制に合理化している。統合前の両社合計の関係人員が350人であるため、半減以下となっている。
 こうした人員構成や原料購入は折半出資にもかかわらず旭化成2に対して三菱化学1を基本としており、コンピューター・システムも旭化成の方式に統一した。
 両社のPS設備は、旭化成が95年に千葉で5万トンの増設を行い18万トン体制としたが、97年4月に川崎の6万トンを休止、97年末には水島をデボトルで2万トン増の16万4000トンとした。また99年2月に千葉の能力を20万7000トンに見直している。一方、三菱化学は四日市の20万トンで生産を続けてきたが、これも設備譲渡を前にした99年2月時点では18万8000トンに見直した。
 この設備構成に対し統合会社は、必要な設備は何か、どの設備を買い取るかの検討を進め、結果的には輸出減を見込んで
合計40万トンの設備を買い取った。内訳は水島が34%減の1O万8000トン、四日市はHI設備を廃棄するなどで55%減の8万5000トン、千葉は20万7000トンをすべて買い取り、HI3系列のうち1系列をGPに転換した。したがって合計では28%減の40万トンとなり、系列的にはGP,HIとも各4系列となった。これにより、規模と立地面の最適化を実現し、グレード数の大幅削減と要員および固定費の削減を実現した。
 統合後の設備能力比はおおよそ旧旭化成8割、旧三菱化学2割となったが、これらの生産に必要な原料SMは親会社から2:1の割合で購入する。

 付加価値品2割目指す
 同社は98年10月の設立以降、60億円の合理化目標を掲げて取り組んできたが、現在までに70億円を達成している。内訳は4系列の設備停止を主体とした固定費の削減で40億円、物流費やグレード統合など種々の比例費削減で30億円となっている。とくに物流関係では両社のOPS(二軸延伸ポリスチレン・シート)工場である鈴鹿と筑波向けのPSをそれぞれ千葉と四日市に切り替え、交錯輸送を排除したことが大きい。 グレードについても生産統合との絡みで、年間生産の最低規模を設定したり、不採算が続いているものは中止したりすることで、GPは26を15,HIも35を22に削減、グレード数にして4割を削減した。
 流通については旭化成は大手数社を代理店に起用していたが、三菱化学は三菱商事を総代理店として50社あまりの1次代理店で構成していた。A&Mスチレンは総代理店を置かずに1次店をそのまま引き継いだ形となっている。しかし商社のリスクヘッジ機能も喪失しつつあることなどで、ある程度の選別に着手している。 研究開発は旭化成・川崎の樹脂開発・技術センター内に別棟を設けて統合した。このため三菱化学・四日市から8人の要員が異動し、25人体制でスタートしている。研究テーマはグレード開発もさることながら、新規用途の開拓に重点を置いている。具体的には塩ビ代替を意識した住宅・建材分野、大型ブロー成形品、PETボトルのシュリンクフイルムに用いられる透明耐衝撃性グレードなどが当面のテーマとなっている。とくに需要の海外シフトが今後も続くとの観点から内需型の用途開発に力を注いでいる。
 A&Mスチレンの経営目標は1割の安定配当であり、そのためには汎用品は輸入が増加しても収支均衡とし、高付加価値品で20億円の利益を確保する体制が目標となっている。数量的には設備能力40万トンのうち2割を付加価値品とする計画であり、2000年度からの3カ年中期計画ではこのことを明確に位置づけて、営業も開発もともに既存の汎用とは区別した専任体制を組んで早期実現に向かっている。
 なお、現在の付加価値製品はほぼ3万トンであり、これを7万トンとするのが当面の課題としている。売り上げ的には現在の全売上高は420億円となっており、付加価値品の7万トンについてはkg当たり20円の利益を確保する方針で、このため特許などでガードしていくことにしている。

 海外事業も統合が確実に  

 今後の問題の1つに海外展開がある。旭化成は Dow Chemicalと香港に Styron Asia を設立してアジア地域の日系ユーザーを中心に市場開拓を進めており、デリバリーはDowの香港、タイ、インドネシアの生産拠点(合計設備能力42万5000トン)を活用している。また両社は2002年に中国で12万トンの新設備を建設する。これはHIプラントであり、完成後は北部地域の需要をカバーし、南部は従来通り香港から供給する見通し。
 一方、三菱化学はタイのHMTポリスチレンを傘下に収め、98年に6万トンの新プラントを建設したため9万トン能力となっている。合弁相手のTOAは建材メーカーである。
 いずれにせよ、A&Mスチレンの強味は、Dowとの連携の下に展開できる基盤をもっていることであり、その活用がカギである。現在、海外事業は親会社の管轄となっているが、研究開発やテクニカルサービス機能がA&Mスチレンに移管されたことと、海外のユーザーも日系企業が主体であるため、国内におけるセールスと切り離せず、いずれA&Mスチレンに統合されることが確実である。とくに、中国における生産拠点が完成する2002年が移管の1つの契機とみられ、一方では日系メーカーよりも現地需要主体のHMTポリスチレンをどのように位置づけるかが注目される。

 親会社との関係では、原料のSMやHI用合成ゴムを受給する一方で、OPS用や変性PPE用のPS供給でつながり、工場用地は賃貸となっている。また工場の総務や業務は親会社に委託している。これら原料価格や委託費は一定のルールに基づいて取引される。人事的には社長、副社長以外は親会社からの出向である。
 しかし、親会社にとって最大の目的は配当であるが、A&Mスチレンの前3月期決算は設備移管によるフル操業体制の確立と99年5月からの第1次、10月からの第2次値上げが寄与して黒字に転換したため配当を行っている。PS業界は原料価格の高騰を受けて15円の第3次値上げに入っているが、各社とも設備フル操業の状態にあるため、浸透に自信をみせている。
 このように業界の事業統合で、合理化効果を販売価格の値下げに回す必要がなくなり、利益が安定して確保できれば合理化投資が可能になり、より競争力を強化できることになる。


(化学経済 2000/7) 
PS一体化会社の現況と展望 日本ポリスチレン

日本ポリスチレンの概要

本店     東京都中央区日本橋本町3−7−2
資本金    20億円(三井化学50%:住友化学50%)
事業所    東京本社、大阪支店、千葉工場、大阪工場、大阪研究所
組織     本社 業務部、営業部
       大阪支店、千葉工場、大阪工場、大阪研究所
人員     約90人
生産能力   千葉工場10万トン/年
       大阪工場 9万 〃
       合計  19万 〃

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合理化・省力化で浮上を目指す
 日本ポリスチレンは、住友化学工業と三井化学(旧三井東圧化学)のポリスチレン(PS)事業が統合され1997年8月に両社の折半出資で設立され、10月から営業を開始した。製造コストの見直し・削減、人員削減を柱とするもので、省力化投資など徹底したコストダウンを図り、早期黒字化を目指している。2次値上げで水面上への浮上を図ろうとした同社だが、スチレンモノマー(SM)の急騰というアゲンストの風をまともに受けており、新たに打ち出した3次値上げの成否が今後の事業展開の大きなポイントになっている。

 1社1工場の限界から脱却へ
 日本ポリスチレンは合併によって、1企業ではなし得なかった質的に新たな合理化が実現可能になるとして、先発企業の三井化学と後発の住友化学が打ち出したPS事業の生き残り策で、PS業界における業界再編成の先駆けとなった。両社のPS事業はいずれも赤字で、合わせて年間20億円以上に達していたことが背景にあった。恒常的な赤字事業であったPS事業の収益向上を図り、赤字から脱却するためには1社1工場の生産体制では限界に達していたとも言える。
 事業統合以前、三井化学は大阪工業所に年産13万3000トンの生産設備(GP,HI各2系列)を保有していたほか、
サンスチレン(電気化学工業と三井化学の合弁会社)から年間1万7000トンのPSを引き取っており、実質的には年産15万トンの生産設備を保有していたことになる。一方の住友化学は、千葉に9万2000トンの設備(GP,HI各1系列)を保有していた。事業統合の効率化を図るために、三井化学は統合前に自主的に大阪工業所の2系列年産4万トン設備を廃止、併せてサンスチレンを合併相手の電気化学工業に譲渡する中で、PS樹脂の引き取りを解消した。
 同時に、間接部門を含めてPS事業にかかわる両社の従業員約160人についても人件費の軽減を図る狙いから人員削減を実施した。両親会社から各2人の常勤役員が派遣され、組織は管理部、千葉工場、大阪工場と研究所を傘下に抱える技術部、住友化学ユーザー担当の第1営業部、三井化学ユーザー担当の第2営業部の4部構成とし、115人体制でスタートした。
 営業は、ソフトランディングを図る狙いから2営業部体制でスタートした。また生産は千葉工場、大阪工場の東西の2生産拠点で、同19万2000トン体制、年間売上高200億円弱を目指しスタートした。

 基礎から実用までバランスのとれた研究体制確立
 日本ポリスチレンはそれまでの住友化学・千葉、三井化学・大阪の1社1工場体制から東西に2製造拠点を確保したこと、技術開発の幅が広がったことが強みである。生き残りをかけ国内勢では最初に事業統合に踏み切った同社にとって、自社開発技術の三井化学と後発でBASFからの導入技術をべ一スにする住友化学を一体化させ、技術のシナジー効果を発現させることが最大のポイントとなっており、統合後直ちに、住友化学・千葉工場、三井化学・大阪工業所内の研究機能を大阪工場内に一本化した。
 自社開発技術でスタートした三井化学が基礎研究から重合技術、製品開発までの一貫した幅広い分野でノウハウを含めた技術体系を確立していたのに対して、後発で導入技術に依存した住友化学はユーザー二一ズに対応したモディフィケーション技術に特化し、数々の新グレードを送り出していたことから、統合で基礎研究から実用研究までの一貫したバランスが取れた研究体制になり、新製品開発が強化された。
 同時に重複研究テーマの整理・統合で研究の効率化を図るとともに、スピードを上げた開発を強化する中で、グレード統合、新規オリジナル銘柄の開発を進め、実績を上げてきた。

 販売もウエルバランスが強みに
 先発企業と後発企業の事業統合は、販売面でもユーザーの幅を広げる結果となった。PS需要は電気・工業用から始まり、包装用、雑貨用、フォームスチレン(FS)などで順次拡大してきた。こうした推移の中で三井化学は先発として弱電分野で強みを発揮していたのに対して、住友化学は包装用とともに建材向けのFSで強みを発揮してきていた。このため販売面でもバランスが取れた格好になっている。
 当初は両親会社のソフトをそのまま持ちこんで二本立てだった社内ソフトも一本化が実現したことから1998年10月に東京営業と大阪支店を含めた1営業部体制に移行した。それを機に管理部と技術部が一体化し業務部となり、現在の体制が確立した。
 統合会社の設立に向けた両親会社における合理化努力に引き続き、同社は設立から半年を経過する中で経営3カ年計画を打ち出し、組織の集約化・統合、グレード数の削減、一部特殊グレードを除く交錯輸送の解消など本格的な合理化に着手してきた。研究開発部隊の統合効果などもあり、当初、合併により一時的に増加したグレードも半数以下まで削減することに成功している。また一部特殊品を除き、交錯輸送を解消、物流コストを大幅に削減した。
 さらに年間5万〜6万トン程度あった輸出は、日系企茉など古くからの特定ユーザー向けを除き、三井化学のタイ子会社であるエターナルプラスチックからの輸出に切り替えるなどで、大幅に縮小した。同社は国内需要依存型の経営を目指しており、今後、三井化学の技術輸出には協力するものの、当面、海外での事業展開の計画はない。
 現在の売り上げ規模は年間200億円弱となっており、この規模で収益を確保するのが同社の最大の課題になっている。当初は2次値上げが完了した時点で収支はブレークイーブンないし水面上に出るとの予測だったが、原料SMの価格上昇および原料確保が難しくなっていることから3次値上げを打ち出しており、その結果が今後の収益性を大きく左右することになる。

 さらなる合理化を目指す
 昨年には数億円をかけて、大阪工場、千葉工場の生産体制の合理化に着手している。大阪工場ではコンピューター・コントロールの再構築を進め、千葉工場ではファクトリーオ一トメーション関連設備の強化に取り組み、大幅な合理化・省力化を図っている。生産体制の合理化・省力化投資は減価償却の範囲内で行われており、今後も順次、実施される予定である。
 これまでの合理化・省力化の努力に加え、親会社の人材受け入れもあって、2000年4月1日現在の同社の陣容は90人を割り込んでおり、スタート時点に比べると2割以上減少している。現在進行中の合理化投資が進めばさらに人員を削減できる見込みであり、同時に仕事を減らすなどして、徹底した人員削減を進め、最終的には80人前後の体制を目指している。
 営業面ではプロピレンをブレンドし耐熱性などを向上させたブレンダブルHIPSなど差別化、高付加価値化路線を推進、売上高アップを目指す。同時に営業担当者は全社における1人1台のパソコンに加え、モバイルを保有し、営業の生のデータを管理部門のみならず研究開発部門に即時に伝えることで、開発スピードを高めるとともに顧客満足度を上げることを目指している。
 合理化・省力化の余地は依然、残されているとされており、今後も全社員一丸となって徹底的な合理化努力を進める方針である。同時に社員の意識改革を徹底化し、大企業意識を払拭する中で新たな方策を模索することにしている。
 技術革新で飛躍的な生産効率の向上が見込めないとされる中で、アジアの巨大企業と競合できる体制の確立には極限まで合理化・省力化を推し進めることが課題であり、そのためにはさらなるアライアンスの必要性が見込まれているが、日本ポリスチレンでは次のアライアンス以前になすべきことは多いと判断し、事業展開を図ることにしている。

 


サンスチレン

1985/10 設立  電気化学、三井東圧、新日鐵化学JV
       電化千葉工場内にHIPS 34千トンプラント建設(三井東圧技術)

1993/10 新日鐵化学撤退 → 電気化学 50%、三井東圧 50%

1997/10 三井東圧が住友化学とPS事業一体化
        三井東圧の持株を電気化学に譲渡 

1998/3  電気化学が吸収合併  


日本経済新聞 2002/7/4

製造業の空洞化 3社に統合迫る ポリスチレン国内事業 
 旭化成・三菱化学・出光石化 年内にも 需要減り規模拡大急務に

 旭化成、三菱化学、出光石油化学は3日、代表的な合成樹脂のポリスチレン事業を年内にも統合することで基本合意したと発表した。電機・OA機器、玩具などに幅広く使われるが、製造業の空洞化の影響を受け大きく需要が落ち込んだ。国内メーカー5社は、さらに規模を拡大しなければ生き残れない状況に追い込まれた。
 旭化成と三菱化学はすでに1998年に同事業を統合、折半出資でエー・アンド・エム・スチレンを設立している。生産能力は年40万トン、国内シェア34%の国内最大手。同13万トンの設備を持つ出光石化が加わり、シェアは45%に高まる。
 96年末に9社あったポリスチレンメーカーは,すでに半減。各社の設傭廃棄で150万トンを超えていた能力は117万トンに減った。ただ「ここ数年の内需の落ち込みは予想を大きく上回った」(エー・アンド・エム)。10年来、100万トン前後で推移していた内需は昨年、ついに90万トンを割り込んだ。なかでも90年に41万トンだった電機向けは20万トンと大きく落ち込み、今後も回復しそうにない。
 旭化成などは一段の設備縮小の必要性を感じていたが、「単独でのコスト削減は難しい」(同)として一段の再編を模索。独自路線を貫いてきた出光興産が株式上場を控えて連結経営重視の姿勢を強め、低収益の石油化学事業のてこ入れに乗り出したことで環境が整った。
 コスト削減のため千葉、三重、水島にある設備のうち一部を休止する計画。海外ではエー・アンド・エムが中国、タイ、出光石化が台湾、マレーシアに設備を持ち、海外ユーザーへの配送効率化などの効果が見込める。
 業界では出光石化と製品の相互供給で提携している大日本インキ化学工業も今回の事業統合に加わるとの見方が出ている。今後は電気化学工業などが出資する東洋スチレンなど、残り2社の対応が焦点となる。
 空洞化に加え、2004年までに合成樹脂の輸入税率が段階的に下がるなど、石化業界の事業環境は厳しさを増す。ポリエチレンなど他の合成樹脂でも再編が進んだとはいえ、いまだに10社前後のメーカーが乱立する製品も少なくない。一段の規模拡大を目指した再編は続きそうだ。


2006/2/23 出光興産

SPS樹脂、北米でのコンパウンド製造・販売を開始
〜 欧州におけるコンパウンド製造も準備 〜

 当社(本社:東京都千代田区、社長:天坊 昭彦)は、自社独自開発の耐熱性エンプラである
シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂のコンパウンド製造および販売を北米で開始しました。
 当社は、これまでSPS樹脂を“XAREC(ザレック)”の商標で、主に日本およびアジアで販売してきましたが、本年から北米、欧州での販売を本格的に開始いたします。
 SPS樹脂は、当社が1985年に世界に先駆けて発明した材料です。メタロセン触媒を用いて、ポリスチレンをシンジオタクチック構造にすることで、耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックスとしての特性を付与することに成功、1997年から供給を開始いたしました。
 さらに、本技術に興味を持った米国の大手化学メーカー、
ダウケミカル(ダウ)社に基本技術のライセンスを行い、共同で技術開発・市場開拓を進めてきました。
 これまで北米ではダウ社が独自のSPSコンパウンド(商標:QUESTRA)を、当社はアジアを中心に同コンパウンド(商標;XAREC)を販売しておりましたが、
ダウ社の生産中止に伴い、当社は事業地域をグローバルに拡大することとしました。
 その一環として、北米および欧州でのコンパウンド製造と販売の準備を進めて来ましたが、北米での準備が整い、本年1 月からDHコンパウンディング社でのコンパウンド製造と、出光ケミカルズU.S.A.社(当社の現地法人)による販売を開始いたしました。
 SPSは、耐熱性、電気特性、耐薬品性、耐スチーム性、軽量性などに特長があり、当社では、鉛フリーハンダ対応のコネクタなどの自動車電装部品、IH炊飯器・洗濯乾燥機など、加熱部のある家電部品、アンテナなどの電子部品に用途を拡大してきました。
 今後は、当社が蓄積したノウハウをベースに、北米地域においても、自動車部品や電気電子部品などの新規顧客の開発に注力し、SPSをグローバル商品として育成していきます。
 また欧州では、出光ケミカルズヨーロッパ社が輸入販売を行っておりますが、現地でのコンパウンド製造に向け準備を進めています。

< 北米コンパウンド事業の概要 >
 ・製造拠点    DHコンパウンディング(テネシー州クリントン)
 ・販売拠点    出光ケミカルズ U.S.A.(ミシガン州サウスフィールド)
 ・生産開始    2006年1月


DH COMPOUNDING COMPANY   http://www.polyone.com/corp/venture/index.asp

DH Compounding Company, headquartered in Clinton, TN, is a specialized producer of compounds for the plastics industry. The company constitutes a general partnership between subsidiaries of PolyOne Corporation and Dow Chemical Co., and produces compounds exclusively for Dow Engineering Plastics and Dow Automotive.

A custom compounder of crystalline and amorphous polymers, the company produces plastic resins, including modified polymers and blends of ABS and polycarbonate, and modified crystalline polymers for the automotive interiors, business machine, consumer electronics and medical systems markets. DH Compounding manufactures compounds and blends of amorphous polymer systems, ignition-resistant polymer systems, and filled and ignition-resistant crystalline polymer systems, as well as colored, natural and black polymers.

PolyOne M.A. Hanna Geon が統合したもの


2004年9月9日 Hotwired Japan

毒性廃棄物をバクテリアで生分解性プラスチックに変換
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20040916304.html

 アイルランドの科学者たちが、毒性のある廃棄物を安全な生分解性プラスチックに換えるバクテリアの分離に成功した。

 ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの工業微生物学部に所属するケビン・オコーナー博士とパトリック・ウォード氏は、9月8日(現地時間)、スチレンをエネルギーとして使って生分解性プラスチックの1種、
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を作る菌株を発見したと発表した。スチレンはポリスチレン(『スタイロフォーム』[発泡ポリスチレン]など)の生産時に副産物としてできる、毒性を持つ物質だ。

 バクテリアには、熱湯の湧き出る温泉から深海、硬い岩、胃酸の中までありとあらゆる環境で生存、増殖できるものがある。こうしたバクテリアの多様な能力は、現在進行中の研究はもちろん、バイオテクノロジー産業における数え切れないほどの成功例にとって、なくてはならないものだ。たとえばこの能力を利用して、石油を分解するバクテリアなど、毒性を緩和する菌株の開発に取り組む研究者もいる。しかし、オコーナー博士とウォード氏のバクテリアはその一歩先を行き、不要物を分解するだけでなく、有用な物質を生み出してくれるものなのだ。

 「われわれのバクテリアはスチレンの毒性を除去し、環境にやさしいプラスチックに換えてくれる」と、オコーナー博士は述べる。

 スチレンは多種多様な産業廃棄物の中に存在し、この物質に由来する有毒廃棄物の量は、米国だけでも毎年約2.5万トンにのぼる。スチレンは肺の炎症や筋力の低下を招くほか、人や動物の脳および神経系に悪影響を及ぼす。ポリスチレンの製造現場では最大で9万人の労働者がスチレンにさらされている可能性があることから、安全に廃棄できる方法があれば、コスト面だけでなく健康面においても大きなメリットになる。

 「現在、スチレンの廃棄処理には、地下への投棄、地面への散布、焼却処理などが行われている。焼却炉で燃やせばエネルギーは回収できるが、毒性を持つガスが排出される」と、ウォード氏は説明する。「われわれの日常生活では、使い捨てのコップから車の部品まで、あらゆるところにプラスチックが使われており、毎年膨大な量のプラスチックが生産、利用、廃棄されている。しかし、ポリスチレンは分解するのに時間がかかるため、今後何千年もわれわれの環境に残存していく可能性がある」

 この問題に取り組むため、アイルランドの科学者たちが注目したのが、シュードモナス・プチダ(
Pseudomonas putida)というバクテリアの1種だった。この菌は自然環境下では土壌の中にいるが、スチレン上でも生存できる。研究者は炭素とエネルギーの生成源としてスチレンのみを与え、この菌をバイオリアクターで培養した。その結果、スチレンを分解するシュードモナス・プチダの『CA-3』株の分離に成功した。この菌株はスチレンをプラスチック・ポリマーのPHAに換え、エネルギー源として蓄える性質を持つ。

 「[実験では]バクテリアが利用可能なスチレンはすべてPHAに変換された。したがって汚染物質はこの過程で完全に除去されるわけだ」と、オコーナー博士は説明する。「このバクテリアから生成されたプラスチックは弾性を有するポリマーで、工業用、商業用に幅広く利用できる可能性がある。たとえば、医療用の体内埋め込み装置や再生医学で組織を培養するための土台となる『足場』(scaffold)、創傷管理、薬剤を患部に効果的に届ける薬物キャリア、厚紙のプラスチックコーティング、熱耐性プラスチックなどだ」

 オコーナー博士とウォード氏は今月8日、ダブリン大学トリニティー・カレッジで開催された一般微生物学会の第155回大会でこの発見について発表した。

 「現時点では小規模の取り組みだが、処理プロセスを大規模にしていくため、実用化に向けた発酵試験に着手している」と、オコーナー博士は述べる。

 ヨーロッパではバイオテクノロジーは色分けされた名前がついている「緑」は農業界、「赤」は医療界、「白」は産業界といった具合だ。「白い」バイオテクノロジーは省エネルギーと廃棄物削減の観点からますます注目を集めており、今回発表を行なったダブリンの研究チームも、今後は、産業界の協力を得て大規模な処理過程の開発に取り組みたいとしている。また、研究チームは、遺伝子組み替えによりスチレンからPHAへの変換効率を上げることも計画している。

 オコーナー博士は次のように述べている。「将来は、こうした類のテクノロジーがもっと増えていくと考えている。『白い』バイオテクノロジーを利用した、持続可能な開発とクリーンな製造工程こそが、今後進むべき道だ。石油を分解するバクテリアのように、われわれが生み出す汚染を取り除くバクテリアだけでなく、そもそもの汚染を防ぐバクテリアについても(考えていかなければならない)」


UCD Today March 2006 (University college Dublin)

A revolution in recycling
http://www.ucd.ie/ucdtoday/mar06/mar06/a_revolution_in_recycling.pdf

Dr Kevin OConnor has been heading a microbiology research group in UCD since 2000. He talks to Danielle Barron (BSc 2005) about how pollutants can be converted into environmentally friendly products.

A self-confessed workaholic, Dr Kevin O'Connor took up running three years ago to get out of the office. A mere hobby atfirst, he then ran the Dublin City Marathon and eventually became a member of Dundrum South Dublin Athletic Club. He now runs every day, covering a total distance of up to 70 miles each week.
I definitely have a better balance now between work and life,admits O'Connor.
But despite all that running, Kevin O
Connor is still a busy man. He has a full timetable,teaching microbiology to undergraduates in the UCD School of Biomolecular & Biomedical Science.
Fascinated by science, a career in microbiology was always O'Connor's first choice. He undertook his primary degree in University College Cork, and also obtained his PhD there,working under Dr Alan Dobson.

I found my undergraduate degree very interesting, but it was at post graduate level that I found out, yes, I really am interested in this. I definitely wanted to pursue research,says O'Connor.
It was during his doctorate that he first studied biodegradation, or the use of micro-organisms to degrade toxic compounds. He then undertook post doctoral research in theNetherlands and Switzerland where he worked on using micro-organisms to make valuable compounds (biocatalysis).
He eventually returned to Ireland in 1999, starting in UCD in September of that year. At first he was predominantly lecturing, but his research group started up in September of the following year when he took on his first PhD student.
His current research in the field of biocatalysisis funded by the Centre for Synthesis and Chemical Biology (CSCB). This research has brought him into the news recently, but O'Connor has been working on this project since 2000. Making biodegradable plastic using different organisms was already a well-known procedure, one that the microbiologist and his team planned to expand on.

What we were trying to do was come up with a different angle. We were asking, could pollutants be converted into valuable products, such as biodegradable plastic?
The original compound that O'Connor used in the process was styrene, the main ingredient of polystyrene. But the team realised that the conversion of polystyrene itself to biodegradable plastics would be of greater value.
However, their particular bacterium didn't grow on polystyrene. This led to O'Connor contacting Professor Walter Kaminsky of the University of Hamburg, an expert in
pyrolysis. This special technique uses temperatures of up to 520 degrees to heat the plastic in a vacuum, producing a liquid form of the styrene.
O'Connor had a fair guess that their bug would grow when fed this styrene oil, and indeed it did, producing the biodegradable plastic PHA(polyhydroxalkanoate).
Extracting this plastic from the bacteria is a very simple procedure that involves soaking the bugs in a mild detergent.
Basically the detergent rips the bugs open in order to extract the small granules of plastic from each cell,explains O'Connor. The plastic is cleaned and it is then ready to be used.
O'Connor is now working on improving the efficiency of the technique, using a combination of feeding and molecular strategies. At present some 30-35% of each bacterium is plastic; his team are looking to increase this yield to as much as 80%.
There is a myriad of potential uses for the PHA plastic. A recyclable plastic, it will be environmentally friendly, but O'Connor also believes its uses will extend beyond mere packaging. As it is biodegradable, it will be safe for use in the body and thus could have many possible medical applications. This is in contrast to conventionally recycled plastic.
Polystyrene is a very recyclable plastic,stresses O'Connor. The problem is, once it's recycled, people aren't quite sure what to do with it. Recycled polystyrene produces a plastic of a lower grade and so it cannot be used in the food industry. It can be made into 'timber look' plastic for making picnic tables and chairs, for example, but O'Connor says the market for this is limited.
People tend not to recycle it because there's no end use, or a very small end use,he explains.
Currently, polystyrene for recycling is exported to China. But O'Connor believes this is an inefficient practice, and proposes instead a municipal recycling scheme, where people deposit their waste plastic.
Transporting polystyrene halfway across the world to recycle it is not environmentally friendly. My attitude is that you should really be recycling on site.
And this revolutionary method of recycling is not limited to polystyrene, or OConnor's particular bug, for that matter.
We have used our technology for polystyrene but you can apply the same strategy to recycling any plastic. Also there are hundreds of different bacteria that will make different types of plastic so opportunities are huge,he says.
While PHA is still emerging in terms of world markets, O'Connor maintains that in the future this will change, with people looking at alternatives to traditional plastic.
It is clear that O'Connor is not just concerned with recycling in the lab, judging from the large pile of plastic bottles in the corner of his office. In fact, along with a master
s student, he was responsible for setting up the paper recycling scheme within UCD, which they ran for about 18 months before the college took over.
When I first came back here in 1999, I came from Switzerland where everything was recycled and I was appalled at what was going on here,he recalls.
Back in the lab, however, he remains excited by his work and the collaboration between chemistry and microbiology from which it resulted. O'Connor sees such cross-disciplinary collaborations as a major source of new innovations.

People have to have respect for other peoples areas of expertise. I love collaborating - it reallydoes work,he says.
So when he's not saving the planet, or running marathons, what else does Kevin O'Connor do? He grins.
I sleep!


2006/11/17 PLASTICS NEWS

San Francisco plans PS ban in restaurants

San Francisco is poised to become the second city in the United States to not only ban restaurants from using polystyrene food-service products, but also require them to use biodegradable生分解性/compostable or recyclable products if they are an affordable alternative.

But the San Francisco ordinance - virtually a lock to be adopted by the board of supervisors Nov. 21, as it passed 11-0 at its first reading a week earlier and has nine co-sponsors - goes one step beyond the measure passed by Oakland, Calif., which goes into effect Jan. 1.

While the Oakland law requires the use of biodegradable and compostable containers if they are available at the same price, the San Francisco law - which is scheduled to go into effect June 1 - requires their use even if there is a price premium, as long as it does not exceed 15 percent.

The ban continues a growing trend in California to solve the litter problem through product bans, particularly on types of food packaging that are not recycled frequently, and to achieve goals that the state and various cities have set for zero waste in the future. According to the California Integrated Waste Management Board, PS foam products account for 15 percent of litter collected in storm drains.排水管

Because the measure has the support of the Golden Gate Restaurant Association, it is unlikely that there will be a legal challenge despite opposition from the California Restaurant Association and the Polystyrene Packaging Council, which is part of the American Plastics Council in Arlington, Va.

Most of our members stopped using polystyrene years ago, and in a city that prides itself on being green, supporting a ban is not a difficult decision,said former restaurant owner Kevin Westlye, executive director of GGRA. Those products are not recyclable and it is one step in the right directionto reduce litter problems, he said, adding that many restaurants have switched to wax-coated paper products and bleached paperboard.

He said the ordinance will have the most impact on restaurants that serve coffee and soups, but added that some already have switched to cardboard cups that have a corrugated paper sleeve over them. The June implementation date was a compromise by the city to give such businesses time to use up their inventories of PS products, many of which have pre-printed corporate logos. It originally had been intended to go into effect Jan. 1

The support for the law from GGRA makes it difficult for us to make a case that there is a negative economic impact,said Michael Levy, executive director of the PPC, which has been successful in delaying similar bans with requirements for use of biodegradable/compostable products from going into effect in Santa Monica and Calabasas, Calif. Nearly 100 cities in the U.S have PS container bans. Anytime there is a ban on a product like ours, it sends a bad message,Levy said.

The measure applies to restaurants, retail food vendors, city departments, and contractors and lessees that do business with the city. It targets disposable containers, bowls, plates, trays, cartons, cups, lids, forks and spoons designed for single use and for takeout foods or leftovers. It does not apply to meats, fish and poultry that grocery stores sell in PS foam containers.

It is aimed at disposable, one-time food-use polystyrene foam containers,said David Noyola, a staff assistant to board of supervisors member Aaron Peskin, who introduced the bill five months ago. City officials estimate 7 million pounds of PS are used annually in San Francisco

Levy said the ban will not solve litter problems, and manufacturers of products made of other types of plastics also will be affected.

Polypropylene and polyvinyl chloride products will also be affected by the San Francisco ordinance because it requires the use of degradable or compostable products,said Levy.

Cities like San Francisco and Oakland need to try to get at litter sources and measure where it is coming from. Even with the ban, they will still have to deal with litter in San Francisco,he said.

We can help cities deal with solid waste litter and we are willing to do a lot of things,to help, said Levy, but if a product is banned, it is difficult for us to be a playerin that arena.

He also contended that the overall life cycle and environmental costs associated with PS containers are as good, if not betterthan bleached paperboard, but that those arguments are not resonating with legislators.

The issue seems to be overtaken by the emotionsand desire to do something about litter, he said. That is the frustration.


日本経済新聞 2007/7/26

ポリスチレン値上げ浸透 メーカー、需要減を懸念 代替素材にシフト進む

 食品容器に使う合成樹脂、ポリスチレンの値上げが浸透し、国内取引価格はこの10年間で最高水準となった。原油高によるコスト増を反映したものだが、メーカーの営業担当者の表情は険しい。需要家のトレーメーカーが代替素材へのシフトを進めており、さらなる需要減への懸念が広がっているためだ。
 PSジャパンなどポリスチレン4社は今春、原油高を背景に値上げを要請。出荷停止もちらつかせながら7月までに15円(8%)を浸透させ、大口価格は1キロ203.5円前後となった。原油が高騰し始めた2004年と比べると約2倍だ。
 急ピッチな原料の値上がりに需要家のトレーメーカーは対策を急ぐ。「減らせるところは減らし、ペット樹脂の採用も増やす」。肉や魚をのせる食品トレー最大手、エフピコの小松安弘社長は素材構成の見直しに躍起だ。薄肉化によりポリスチレン使用量を1割減らしたトレーを開発、8月から発売する。
 同時にフタなどでペット樹脂への切り替えを加速。7月のペット樹脂使用量は初めて2千トンを超え、1年前の2倍になるという。ペット樹脂製品の構成比も年内に10%強と昨年の2倍になる見込み。ペット樹脂は中国で設備増強が進んだため、ポリスチレンより3割以上安く調達できる。来春には「現在の1.5倍に増やす」(小松社長)。
 大手のデンカポリマーも5月から旧製品に比べ12−19%軽量化したトレーを発売した。小野健一社長は「ポリスチレンの使用量を年間5%減らせる」と意気込む。トレーの販売先は流通業界。販売競争が激しく、徹底的なコスト削減を強いられる。スーパーなど小売り大手は資材調達専門のインターネットオークションで仕入れることが多い。トレー各社が参加して価格を競り下げて受注を取る方式のため、「パソコン上で数分おきに製品が値下がりする」(トレー大手)。
 加えてトレー業界も過当競争が続く。生産設備は需要の2倍あるとされる。原料高を受けて今月にエフピコなどはトレー値上げを表明したものの、現時点で各社の足並みはそろわない。
 業界2位の中央化学は6月、2工場の閉鎖などを発表した。渡辺信社長は「値上げが思うように進まず、一段の生産合理化が必要だった」と苦しい胸の内を明かす。同社は07年12月期で連結経常利益を18億円と見込んでいたが、工場閉鎖による特別損失の発生で9億円の赤字予想に下方修正した。トレー業界の淘汰縮小が進めば、ポリスチレンの需要減につながりかねない。ポリスチレンの6月の国内出荷量は前年同月比10%減。「7月も出荷は低調で若干の生産調整をしている」(日本ポリスチレン)
 ポリスチレン各社はこの10年で設備を統廃合し交渉力を強めた。ただ力任せのコスト転嫁だけでは一段の需要減を招き、再び生産効率の見直しを迫られかねないジレンマを抱える。


日本経済新聞 2009/4/10

三菱化学 塩ビなど2事業撤退 過当競争脱却 成長分野にシフト

 総合化学最大手の三菱化学は年内にも汎用樹脂 2事業から撤退する。家電や雑貨の原料となるポリスチレンの事業統合会社への出資を引き揚げ、建材や配管に使う塩化ビニール樹脂の統合会社は解散する方針。内需縮小とアジア勢などの生産拡大で採算が悪化、国内で過当競争となっている事業を切り離し、太陽電池向けなどの新素材、医薬品など成長分野を中心にした構造に転換する。日本の大手製造業は総合型の品ぞろえを維持する傾向が強いが、厳しい景気後退を受け事業を絞り込む動きが広がりそうだ。

 ポリスチレン事業は旭化成、出光興産との統合会社で国内首位のPSジャパンの持ち株を両社に売却し、同事業から撤退する。出資比率は現在、旭化成が45%、三菱化学と出光興産が各27.5%。売却額は今後詰めるが、20億ー30億円前後とみられる。PSジャパンは三菱化学の撤退を受け国内工場の統廃合を進める。
 塩ビ樹脂では東亜合成との共同出資会社で国内5位のヴイテックの解散を検討しており、14.9%を出資する東亜合成と協議に入る。水島工場(岡山県倉敷市)や四日市工場(三重県四日市市)で手掛ける塩ビ樹脂や同原料の生産・販売から撤退し、東ソーなど他の大手に取引先への撤退後の製品供給を打診している。
 売上高はPSジャパンが2008年3月期に771億円、ヴイテックは07年12月期で418億円。三菱化学を含む三菱ケミカルホールディングスの連結売上高は約3兆円で、撤退する事業の売上高は約1千億円とみられる。樹脂事業は世界的な需要減退で09年3月期に営業赤字に転落したもようで、両分野からの完全撤退で採算を改善。三菱ケミカルは利益の大半を占める医薬品のほか、素材でも太陽電池を含む電子分野、自動車の軽量化につながる高機能品など成長分野に経営資源を集中させる。
 ポリスチレン、塩ビ樹脂にポリエチレン、ポリプロピレンを加えた四大汎用樹脂は総合化学メーカーのかつての主力製品。ただ国内需要の減退で収益が伸び悩んでいるうえ、アジアなどでの大規模プラントの稼働で競争が激化している。
 化学大手は1990年代後半に事業統合でこうした汎用樹脂の生産を合理化してきたが、昨年秋以降の需要減で再び設備過剰に陥った。国内の生産能力に対しポリスチレン、塩ビ樹脂ともに2割以上が余剰とされる。過当競争体質からの脱却の必要性に迫られ、三井化学と住友化学は折半出資する日本ポリスチレンを年内に解散する予定。
 三菱化学も3月末にABS樹脂の事業統合会社テクノポリマーの株式をJSRに売却したほか、ポリエステル繊維原料のテレフタル酸国内生産からも10年末までに撤退することを決めている。さらに塩ビとポリスチレンからの撤退で、海外勢との競争を視野に入れた構造転換を加速させる。