2001/11/26 住友化学

CDT社との高分子有機LED に関する提携について

 当社は、このたび高分子有機LED(ライト・エミッティング・ダイオード)パネル用ポリマー特許に関するライセンスを、同パネル開発のパイオニアであるCDT 社(Cambridge Display Technology Limited 本社:英国ケンブリッジ、CEO :David Fyfe )より取得いたしました。また、本ライセンスに併せて、高分子有機LED 材料の開発における技術援助をCDT 社から受けることで合意いたしました。
 高分子有機LED パネルは有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの一つで、携帯電話、パソコン用モニター、テレビ用に現在幅広く用いられている液晶ディスプレイ(LCD)に比べ、バックライトが不要な自発光型であること、視野角とコントラストが優れていて見やすいことなど、さまざまな利点があると考えられています。LED パネルには、低分子有機LED と高分子有機LED の2 種類のパネルがありますが、当社が材料開発を手掛けている高分子有機LED は、インクジェット等の印刷技術が使えることから、プロセス上有利で、画面や基板の大型化に向いており、いずれは主流になるものと期待しております。
 当社はこの高分子有機LED 材料の中核技術である共役系導電性高分子技術について、20 年来の研究実績を有しており、開発を独自に進めてまいりました。この間、多くの特許出願等、着実な研究成果を上げてきております。今回、当社技術とCDT 社の技術を統合することにより研究開発を一挙に加速させたいと考えております。
 一方、CDT 社(詳細は 
http://www.cdtltd.co.uk  を参照)は、高分子有機LED パネルの研究・開発および商業化のために1992 年に英国ケンブリッジに設立され、高分子有機LED パネルの基本特許を始めとする高分子有機LED パネルおよび同ポリマー材料に関するさまざまな特許およびノウハウを所有し、高分子有機LED パネルの研究・開発において主導的役割を果たしております。
 今回の契約締結により、住友化学は、CDT 社から許諾を受けた高分子有機LED 技術を活用し材料開発を進めてまいります。また、当社が開発した高分子有機LED 材料を使用してCDT 社がパネルを作製の上、さまざまな用途を想定したテストおよび評価を行います。当社はその評価結果を解析し、高分子有機LED 材料のさらなる改良を実施していきます。
 住友化学は、この契約締結を機に、できる限り早期の商業化につなげたいと考えていま
す。


2002/5/15 住友化学

CDT社の株式取得について

 当社は、このたび高分子有機LED(ライト・エミッティング・ダイオード)の基本的な特許およびノウハウを所有するCDT 社(Cambridge Display Technology Limited 本社:英国ケンブリッジ、CEO :David Fyfe )の株式を取得いたしました。
 高分子有機LED パネルは有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの一つで、携帯電話、パソコン用モニター、テレビ用に現在幅広く用いられている液晶ディスプレイ(LCD)に比べ、バックライトが不要な自発光型であること、視野角とコントラストが優れていて見やすいことなど、さまざまな利点があると考えられています。LED パネルには、低分子有機LED と高分子有機LED の2 種類のパネルがありますが、当社が材料開発を手掛けている高分子有機LED は、インクジェット等の印刷技術が使えることから、プロセス上有利で、画面や基板の大型化に向いており、いずれは主流になるものと期待しております。
 CDT 社は、高分子有機LED の基礎研究、製造に必要なライセンスの供与ならびに市場開発を行っており、製造ツールやインクジェット技術などの関連技術の開発を材料メーカーやデバイスメーカーなどと共同で行うなど、高分子有機LED の商業化を推進するために、積極的な活動を展開しています。
 当社は昨年CDT 社とライセンスおよび技術援助契約を結び、同社より有機LED パネル用ポリマーに関するライセンスならびに技術援助を受けております。現在、当社が開発した高分子LED パネル用ポリマーのサンプルをCDT 社に提供し、同社にてテストおよび評価を行っております。また、今後は英国ケンブリッジ近郊のゴッドマンチェスターに新設されたCDT Technology Development Centre にて当社材料のテスト・評価を行う予定です。
 住友化学は今回の投資によりCDT 社との関係を一層強化し、高分子有機LED 材料の商業化を急ぎたいと考えております。


2004年2月3日 住友化学

新規高効率有機EL材料開発を促進

 住友化学は高効率の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)材料を開発するためケンブリッジ・ディスプレー・テクノロジー社(本社:英国ケンブリッジ、以下CDT社)と共同開発契約を締結いたしました。これにより両社は共同でデンドリマーなどを用いた全く新しい溶媒可溶タイプの燐光有機EL材料の開発を進めてまいります。
 有機ELは情報、通信、エンターテインメントなどの分野で現在幅広く用いられている液晶ディスプレー(LCD)に比べ、バックライトが不要な自発光型であること、広視野角、高コントラストで見やすいことなどの特長があり、次世代フラットパネルディスプレーとして期待されています。
 中でも燐光材料は現在開発が進んでいる蛍光材料に比べて発光効率が数倍高い特長を有するため注目されていますが、既存の燐光材料は溶媒可溶性が低いので、インクジェット等の印刷技術による画素形成が困難とされてきました。今回両社が共同開発に合意した発光材料は、非常に高効率な燐光材料でありながら、高い溶媒可溶性を示す材料です。
 この発光材料を用いれば、低消費電力の有機ELディスプレーの製作が可能となるため、本材料は特に携帯電話や移動式携帯端末(PDA)、デジタルカメラなどバッテリーで駆動される携帯機器向け有機ELに適していると考えられます。また、テレビや照明機器への応用も期待されます。
 CDT社は1992年英国ケンブリッジに設立され、高分子有機EL分野の研究開発に関して世界をリードしています。当社は2001年にCDT社と発光材料に関するライセンスを含む技術援助契約を締結し、また2002年には同社への出資を行うなど、CDT社と材料開発に関する提携を進めてまいりました。
 住友化学は長年の表示材料技術の蓄積を基に、これまで蛍光性の高分子有機EL材料の開発を進めてきました。現在、青色材料では溶解性に優れ、しかも実用レベルで1万時間の輝度半減寿命を達成し、商業化に向けて開発を加速しています。今回の契約により、高分子材料や既存の燐光材料とは異なる次世代の有機EL材料の開発を進め、幅広い製品を揃えることにより、大型テレビや照明の実用化を加速するなど、多様化しているこの分野の需要に応える体制を構築してまいります。

【ご参考】
デンドリマー
中心核を構成する分子から樹枝状に分子が広がった構造を有するナノメートルオーダーの材料です。中心核と枝状になっている部分に様々な機能を有する分子(官能基)を配置できることから、医薬分野や光・電子材料においてナノ材料として近年注目されています。デンドリマーはタマネギのように一皮づつ(同心円状に)、分子の大きさを大きくできることが特徴です。


2002/10/29 凸版印刷

凸版印刷、フルカラー有機ELディスプレイの開発に向け、英国オプシス社と共同開発契約を締結すると共に、英国CDT社の株式を取得

 凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)は、このたび、新しいナノ材料として注目されている
デンドリマー(*1)を用いた有機ELの開発を進めている英国オプシス社(以下、オプシス社)とフルカラー有機ELディスプレイの開発に向けた共同開発契約を締結いたしました。それと共に、凸版印刷は、オプシス社の経営権を取得したポリマー(*2)EL開発のパイオニアである英国ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー社(以下、CDT社)の株式も取得しました。
 本共同開発では、デンドリマーを用いた有機EL材料をウェットコーティングで塗布し、モニター仕様の高精度でパターニングする新規な材料と方式を開発することにより、大画面のフルカラー有機ELディスプレイを高品質、低価格で実現することをめざします。
 3社はさらに、ポリマー/デンドリマーを用いた有機ELディスプレイの開発および事業化に向けて戦略的な提携を強化することで合意しています。

(1) CDT社/オプシス社および材料メーカーとの協業による長寿命の材料開発
(2) ウェットコーティングとインクジェット、印刷、フォトリソなどの手法による低コストな有機EL層塗りわけ技術開発
(3) 業界トップシェアのカラーフィルタ製造技術を活用した生産技術開発
(4) ディスプレイメーカーとの積極的協業による有機ELディスプレイの早期事業化

<背景>

有機ELは、自発光であること、高速度の発光が可能であり動画の表示に最適であること、素子構造が簡単で超薄型ディスプレイが実現可能であることなどから、次世代のテレビあるいはモニターとして、大きな期待を集めています。
昨今、低分子ELディスプレイの商用化が進んでいますが、フルカラー有機ELディスプレイの本格的実用化には、(1)さらなる素子の長寿命化と、(2)高収率な発光層パターニング方法の開発が求められています。
特にCDT社が開発したポリマーELは、ウェットコーティングで塗布可能であること、インクジェットなどの印刷方法に適することなどから、最も実用化に近い材料として採用を進める企業が増加しています。
オプシス社は、新規な材料であるデンドリマーを用いた有機EL材料の開発を行なっている世界唯一の企業であり、本年5月の国際ディスプレイ学会(SID)においてはウェットプロセスによる最高輝度の素子を発表しています。デンドリマー有機EL材料は、ウェットプロセスによる塗布適性が非常に優れていること、高い効率が可能であることなどから、急速に注目を集めています。なお、CDT社は2002年10月25日、オプシス社の経営権を取得しました。
凸版印刷は、印刷および製版のコア技術をもとにした、大画面に対応できる色材の塗布パターニングの高い技術を有しています。
   
<ねらい>
CDT社の持つポリマーEL材料技術およびプロセス技術、オプシス社が持つ最新のデンドリマー有機EL材料技術と凸版印刷の持つ強みを組み合わせた補完的なパートナーシップにより、フルカラー有機ELディスプレイ実現のため基盤となる発光材料・パターニング技術を開発します。
電機メーカーの製造するアクティブ・マトリックス基板に、発光層を塗布・パターニングして素子化することにより、フルカラー有機ELディスプレイの実用化をめざします。

 凸版印刷生産・技術・研究本部長の河合英明常務取締役は、次のように語っています。
 「デンドリマー有機ELディスプレイの発光素子製造工程は、我が社が培ってきた印刷と製版の技術、および液晶ディスプレイ用カラーフィルタの高精細パターニング技術と高い親和性がある。有機ELディスプレイ市場は、2005年度には2,300億円、2007年度には4,000億円に成長するものとみられており、我が社のエレクトロニクス分野における新事業領域の一環として注力していく。この共同開発で実現した技術・商品を、我が社のお客様である電機メーカー、ディスプレイ・パネルメーカーに提供することによって、高品質で低価格なディスプレイの早期実用化、有機ELモニター・TVの実現に貢献したい」

 一方、CDT社のデビッド・ファイフ社長兼最高経営責任者(CEO)は次のように語っています。
 「CDTは、凸版印刷を戦略的な株主として迎え入れることができ、大変光栄である。この提携によって進化を続けるポリマーELディスプレイ業界において、凸版印刷がビジネスチャンスを的確に判断できるよう我々も貢献していきたい。CDTはこれまで、ポリマーEL技術の供給の拡充に努めてきたが、業界における高い信頼とリソースに富んだ凸版印刷が、今回のポリマーEL技術の供給を受けることによって重要な役割と存在を担っていくと確信している」

<今後の展開>
3社はさらに、ポリマー/デンドリマーを用いた有機ELディスプレイの開発および事業化に向けた広範な戦略的提携に向けて協力していくことで合意しています。
   
<ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー社(CDT社)について>
ポリマーEL分野のリーダー的な存在
本分野の基本構造特許を有する
会社概要
 
設 立 : 1992年
資本金 : 194,979千 USドル
社員数 : 120人
所在地 : Greenwich House, Madingley Rise, Madingley Road, Cambridge CB3 OTX,UK
名 称 : Cambridge Display Technology Limited
代表者 : David Fyfe(デビッド・ファイフ)、CEO(社長兼最高経営責任者)
株 主 : ベンチャーキャピタル、Cambridge大、デュポン、住友化学など
事業内容 : ポリマーELの技術の開発とライセンス供与
   
<オプシス社について>
有機ELディスプレイ向け素材の開発企業
デンドリマーを用いた新規EL材料がコア技術
向こう3〜4年間で低コスト、高性能のOLEDディスプレイの市場導入をめざす
会社概要
 
設 立 : 1997年
資本金 : 18,864千ポンド
社員数 : 71人(Oxford:33人、Fremont:38人)
所在地 : 8 Begbroke Business & Science Park, Sandy Lane, Yarnton, Oxford, OX5 1PF, UK
名 称 : Opsys Limited
代表者 : Michael Holmes(マイケル・ホームズ)、CEO(社長兼最高経営責任者)
株 主 : ベンチャーキャピタル4社、Oxford大など
事業内容 : 有機EL材料の開発と商用化

*1 デンドリマーEL
デンドリマーは規則的分岐構造を持つ樹脂状の分子。Opsys社が初めてOLED用として開発しました。同一分子中に発光機能と塗工特性の両方を組みこむことで、単純な構造で高機能を有する有機ELディスプレイが実現できます。

*2 ポリマーEL
ポリマーは高分子量の分子。CDT社はポリマーを用いた有機ELディスプレイの製造に関する数多くの特許を有しています。ポリマーはインキ化が容易でありコーティング特性に優れるため、大面積、低コストの有機ELディスプレイが実現できます。

 


2002/10/28 Cambridge Display Technology

Cambridge Display Technology Adds Opsys' OLED Technology To Its Intellectual Property Portfolio
 Technology merger offers advantages for next generation flat panel displays and lighting applications

Cambridge Display Technology (CDT) today announced the acquisition of Oxford, UK-based Opsys' business related to the intellectual property (IP), commercialisation, and technology development of organic light emitting diode (OLED) display technologies.

Under the terms of the agreement, CDT receives ownership of all rights to Opsys' dendrimer OLED technology. CDT also assumes management of the commercial and technical development of Opsys' Oxford, UK business, which includes facilities and staff dedicated to dendrimer OLED technology. Financial terms of the agreement include an immediate payment in cash and deferred payment in CDT shares to Opsys. Additionally, Opsys' US business, which is not part of the agreement, will retain privileged rights to use dendrimers and other technologies developed by Opsys.

"We believe that the dendrimer technology developed by Opsys has excellent potential as a basis for future generation materials for OLED displays," said David Fyfe, CEO of CDT. "This agreement with Opsys is in line with our strategy of consolidating IP in the OLED space in order to enhance the attractiveness of our technology offering to existing and prospective licensees. Of equal importance, we are adding over 25 highly-skilled scientists from Opsys to our team."

Michael Holmes, CEO of Opsys, said of the deal, "We believe that this transaction will combine the strengths of two dynamic teams, which are working together with the UK's two leading universities, to further advance display technology. The terms of the deal also present the prospect of a very satisfactory return for our shareholders."

Toppan Printing Limited of Japan, which had previously invested in Opsys as part of a joint dendrimer development agreement, will invest in CDT as a major corporate shareholder and partner. Toppan will also convert its existing shareholding in Opsys into an equivalent holding in CDT. The joint development work begun with Opsys will be transferred to CDT.

CDT and Opsys have been developing organic display technology for electronic displays and lighting applications. Both companies were founded based on fundamental research undertaken at British universities - CDT in 1992, after initial research at the University of Cambridge; Opsys in 1997, after initial research at the University of Oxford.

The OLED display market has been forecast to grow as high as $2.5 billion in revenue by 2007 and consists of a wide range of electronics products, including mobile phones, PDAs, digital cameras, camcorders, microdisplays, and eventually personal computers, television and other consumer products. CDT's technology is based on light emitting polymers that can be deposited using solution-based processes, such as ink jet printing, which CDT believes can lead to higher throughput and yield, and lower cost manufacture of high resolution electronic displays. Opsys' dendrimer technology can also be solution processed. The companies believe that combining their respective technologies to produce displays that can be further optimised for high efficiency and low-voltage operation, will provide improvement over current display technology offerings.

About CDT
Cambridge Display Technology (CDT) is a privately held company leading the research, development and commercialization of polymer technology for flat panel displays, lighting, and photovoltaics. CDT's light emitting polymer (LEP) technology is targeted for use in a wide range of electronic display products used for information management, communications and entertainment.

Features include reduced power consumption, size, thickness and weight, very wide viewing angle, superior video imaging performance and the potential to produce displays on plastic substrates. To date, licenses have been granted to Delta Optoelectronics, DuPont Displays, MicroEmissive Displays, OSRAM, Philips, and Seiko-Epson.

CDT is promoting LEP technology development and speeding its commercialization through a global business strategy including co-developments with leading companies in a wide range of display and related technology areas. Founded in 1992, the company is headquartered in Cambridge, U.K. and has a LEP manufacturing development center in Godmanchester, U.K.

In 2002, CDT was awarded Britain's most prestigious engineering prize, the Royal Academy of Engineering MacRobert Award for its developments in engineering the rapid commercialization of LEP technology and its contribution to establishing the U.K. as a hot bed for innovation in science and engineering on the world stage. More information about CDT is available at: www.cdtltd.co.uk

About Opsys Limited
Opsys, headquartered in Oxford, UK, was founded in 1997 to advance cutting edge light emitting technology for flat displays. Opsys' researchers work closely with academics from both Oxford and St Andrews Universities in order to put innovative technologies on to an industrial development footing.

In 2001, Opsys established a 42,000 sq. ft. research and prototyping facility based in Fremont, California, for the development of small to medium sized custom displays for the portable and audio electronics industry.


日本経済新聞 2005/5/25

住友化学、英VBと合弁 有機EL材料 開発加速
 大画面パネル向け 関連特許で8割

 住友化学は有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルで使う最先端の発光材料の開発で、英ベンチャー企業と今夏にも合弁会社を設立する。有機ELは液晶などに次ぐ次世代ディスプレーとして有望視され、両社は大画面、長寿命が可能な「高分子材料」の保有特許数で世界の8割を占める。技術を持ち寄り、テレビ用材料として2006年末の実用化を目指す。
 合弁相手は1992年創業で有機ELパネル関連の幅広い技術を持つ英
ケンブリッジ・ディスプレー・テクノロジー社(ケンブリッジ、CDT)。 8月1日をメドに折半出資で新会社を設立する。資本金は10億−20億円。住友化から社長を出し、本社は東京に置く。
 有機ELパネルの性能を左右する発光材料を開発する。テレビ用に必要な1平方メートル当たり500カンデラの明るさと、5万時間以上の寿命を目指す。現在、住友化単独では、同100カンデラ、5万時間を実現しているが、両社の技術を融合して性能を高める。
 現時点で有機ELは携帯電話機の背面パネルや産業機器の表示画面に応用されている。主に「低分子系」の発光材料を使っているが、製造工程が複雑でコストが高いため大画面化が難しい。大画面のテレビ用などでは、安価に量産できる「高分子系」が期待されている。
 住友化は5月、数十億円を投じて
米ダウ・ケミカルの発光材料技術と商標権「LUMATION」を買収。ダウの技術も取り込み、発光効率が高く長寿命の素材を探す。
 有機ELパネルの市場規模は10年に4千億円程度とみられ、テレビ向けが成長分野の一つ。これまで薄型テレビは液晶、プラズマを中心に伸びてきたが、07年以降は各社が有機ELを投入して、競争が激化する見通し。住友化などは合弁を通じて長寿命化、製造コスト低減のほか表示性能も改善し、実用化を急ぐ。


2005年5月25日 住友化学

高分子有機EL材料事業での合弁会社設立について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050525_1.pdf

 住友化学は、英国のケンブリッジ・ディスプレー・テクノロジー社(CDT)と、高分子有機EL材料の開発、生産および販売を行う合弁会社を両社折半出資で設立するための覚書を締結いたしました。
 新合弁会社は、両親会社から既存の高分子有機EL材料に関する技術の供与を受け、これを独占的に使用することになります。また、先般、当社は米国ダウ・ケミカル社から高分子有機EL用材料「LUMATION」事業を買収いたしましたが、同事業に関する技術についても合弁会社に提供いたします。
 新会社は、こうして得られる高分子有機EL材料の開発に関する広範な知的財産を活用して、フルオレンポリマーをはじめとする既存材料の一層の高性能化を図るとともに、デンドリマーを利用した次世代の高効率燐光材料などの開発に取り組んでまいります。
 高分子有機ELは、自発光であることの利点や、高速応答性、発光層の形成方法として印刷法が適用できる特徴などをいかして、ディスプレーや照明器具での使用が拡大すると予想されています。特に、最近では次世代携帯電話やポータブルDVDプレーヤーでの利用が期待され、さらに将来的にはテレビなどへの採用を通して市場は急速に成長するものと期待しています。
 住友化学は、表示材料を重点分野の一つとして、液晶表示装置用部材の事業拡大を進めると共に、次世代表示材料の開発にも注力しています。高分子有機EL材料については、1989年から開発をスタートし、コンピューターケミストリーを用いた製品設計や新規材料の合成などの領域で優れた成果を蓄積してまいりました。今回、この分野で有力なCDT社およびダウ社の優れた技術と当社の技術を融合することで、新規材料開発を大きく加速し、革新的な材料を求める需要業界のニーズに的確かつ迅速に応えてまいります。