1994/8/3　住友化学、伊藤忠、東洋紙業　

顔料分散法カラーフィルターの製造販売合弁会社を設立

　住友化学と、伊藤忠商事および東洋紙業の３ 社は、このほど、液晶表示装置（ＬＣＤ ）用顔料分散法カラーフィルターの製造販売を目的とする合弁会社「エスティーアイ テクノロジー株式会社」を設立いたしました。
　新会社は、1995 年３ 月完成を目途に愛媛県新居浜市にある住友化学愛媛工場内に、月産能力約20 万枚（10 インチ換算）の顔料分散法カラーフィルター製造設備を建設します。また、これに先立ち、新会社は、東洋紙業から顔料分散法カラーフィルターの営業権を継承し、本年９ 月１ 日から販売を
開始します。
　住友化学は、早くからＬＣＤ 市場の成長性に注目し、偏光フィルム、位相差フィルムをはじめ種々のＬＣＤ 関連材料の研究・開発・製造・販売を行っており、需要が急速に伸長している顔料分散法カラーフィルターについても事業参入の検討を重ねてきました。また、伊藤忠商事は従来から電子材料関連製品を手広く取扱っており、その一環としてカラーフィルター事業に着目して、その取扱いの機会を模索していました。一方、東洋紙業はすでに顔料分散法カラーフィルターの製造技術を確立のうえ、その子会社である徳島東洋紙業において生産を行い、本格的な販売を開始しております。
　本合弁会社設立は、三社それぞれがエレクトロニクス部材事業において培ってきた技術力、販売力を統合して成長の著しいＬＣＤ 用カラーフィルター市場への積極的な事業展開を図り、ＬＣＤ の一層の発展に役立ちたいとの考えによるものであります。
　1993 年に5,000 億円程度であったＬＣＤ 市場は、マルチメディア時代が到来し、携帯用ＯＡ 機器の普及、ＬＣＤ のカラー化の進展により2000 年には２ 兆円に達すると予想されています。特に、フルカラー化のニーズの高まりとともに、ＬＣＤ のなかでも最も表示能力の高いＴＦＴ （薄膜トランジスタ）方式への流れが定着し、現在、ＴＦＴ 型ＬＣＤ は半導体産業と並ぶ大型投資が実施されています。ＴＦＴ 型ＬＣＤ 用カラーフィルターには、耐熱性、耐薬品性および耐光性に優れている顔料分散法カラーフィルターが専ら用いられていますが、その需要の急速な伸長により、当分の間、供給不足傾向が続くと予想されています。
　本合弁会社設立は、これに対応するものであり、新会社の売上は1997 年度に約200 億円を期待しています。

2000/4/3　住友化学

ＬＣＤ 用カラーフィルター事業の再構築について

　住友化学は、子会社の「エスティーアイ テクノロジー株式会社」（以下、現ＳＴＩ 社）においてＬＣＤ （液晶表示装置）用顔料分散法カラーフィルター事業を運営してきましたが、このたび、事業の再構築を行うことといたしました。
　現ＳＴＩ 社は、本年５ 月１ 日をもって本事業を「新エスティーアイ テクノロジー株式会社」へ譲渡し、新会社が事業を継続してまいります。新会社の株主構成は、台湾の剣度股ｲ分有限公司（ＣＡＮＤＯ 社）が５０ ％、住友化学が４０ ％、台湾の東元電機股ｲ分有限公司（ＴＥＣＯ 社）が１０ ％となります。
　この再構築により、本事業の運営会社は変わりますが、本事業に対する取り組み姿勢は変わることなく新会社が引き継ぎ、住友化学としても引き続き新会社への支援を行ってまいります。
　本事業を取り巻く環境は、激しい競争や販売価格の下落など、引き続き厳しいものと予想されますが、新会社は、ＩＴ 革命等にともなうＬＣＤ やその基幹材料の今後の成長に対応すべく、株主３ 社の一致協力体制のもと、早期に事業基盤を確立していく考えです。

＜新会社の概要＞ （平成１２ 年５ 月１ 日予定）

再構築に伴う債権放棄について

2001/12/26　住友化学

新エスティーアイテクノロジー社のCANDO社保有株式取得の件

　住友化学は、台湾の剣度股ｲ分有限公司（CANDO CORPORATION 、以下CANDO 社）からの要請に基づき、このほど、同社が保有する新エスティーアイテクノロジー社(以下 新ＳＴＩ 社)の株式を取得いたしました。
　取得株式はCANDO 社が保有する新ＳＴＩ 社の全株式（発行済株式の５０ ％）であり、これにより住友化学の出資比率は９０ ％となります。
　新ＳＴＩ 社は、液晶表示材料であるカラーフィルターの製造・販売を行っており、２０００ 年５ 月１ 日に資本金５６ 億円で、CANDO 社（出資比率：５０ ％）および住友化学（４０ ％）、台湾の電機メーカーである東元電機股ｲ分有限公司（TECO ELECTRIC & MACHINERY COMPANY ）（１０ ％）により設立されました。
　CANDO 社は、自社の業容拡大に向けた資金調達のため新ＳＴＩ 社の株を売却したいとの意向が強く、住友化学がこれを引き受けることとしたものです。

1996/5/24　　神東塗料/住友化学

神東塗料のカラーフィルター事業の分離および新体制での事業運営について

　神東塗料と住友化学は、神東塗料の液晶表示装置（ＬＣＤ ）用カラーフィルター事業について、このほど、同事業を本年７ 月１ 日付けで神東塗料から分離し、住友化学の１００ ％子会社｢ケミトロン株式会社｣（以下、ケミトロン社という）に譲渡することにより、新体制のもとで同事業の一層の発展を図ることといたしました。
　神東塗料のカラーフィルター事業は、塗料部門で培った独自の電着法技術をいかした新規の事業分野として、優れた特性と低コストをベースに一時は相当の収益をあげる部門にまで成長してまいりました。しかしながら、平成６ 年下期以降、同事業をめぐる激しい技術革新への対応やコスト競争の激化などを背景に採算が急速に悪化し、同事業が神東塗料の業績悪化の大きな要因となっております。
　カラーフィルター事業については、マルチメディア時代の到来を背景とするＬＣＤ の普及・伸長に伴い、今後とも市場の拡大が予想され、その将来性が期待されうる分野でありますが、技術、コスト両面での厳しい競争に勝ち抜くためには、さらなる開発投資と新たな事業戦略が不可欠となっています。
　神東塗料としては、本業である塗料事業の再建に経営資源を集中することが急務であることから、今般、電着法カラーフィルター事業の継続を断念し、塗料事業の再建に全力を傾注することにしたものです。
　当該カラーフィルター事業に関しては、７ 月１ 日以降、住友化学の１００ ％子会社ケミトロン社による新たな経営体制のもとで、専業メーカーとして効率的な事業運営を行い、同事業の採算の改善と一層の発展を図っていく考えです。

２ ．営業譲渡（神東塗料からケミトロン社へ）の内容　　略

３ ．神東塗料の業績見通し（２ 期分）　略

1998/12/25 住友化学

ケミトロン株式会社の解散に伴う債権放棄について

　当社の子会社であるケミトロン株式会社の解散に伴い、同社に対する債権につき取立不能額が発
生しましたので、お知らせいたします。

１ ．ケミトロン株式会社の概要

４ ．損益への影響

2003/4/21　住友化学

第５世代カラーフィルター工場の竣工式を実施

　住友化学は、韓国の子会社である東友エスティーアイ(株)で、第５世代ＴＦＴ-ＬＣＤ 用カラーフィルターを生産する新工場を韓国平澤市に建設していましたが、順調に商業運転を開始いたしましたので、４月１８日に平澤市長などを招待し竣工式を行いました。
　新工場は約２７０億円を投資し、１０カ月の工事期間、試運転、及び顧客からの品質認証を経て、本年３月から第五世代基板(１１００ mm x １２５０ mm)換算で年間７２万枚（１７ インチ換算、約９００万枚）の量産体制でスタートいたしました。これは、世界最大規模のカラーフィルター工場であり、サムソン電子等ＴＦＴ-ＬＣＤ メーカーに製品を販売いたします。
　第５世代ＴＦＴ-ＬＣＤ 用カラーフィルターは、第４世代までのものに比べ、ガラス基板のサイズが大幅に大きくなるので、カラーレジスト等をガラス基板に塗布するためにこれまで採用されていたスピンコーティング方式では生産性や収率が低下し、また高品質を維持することが極めて困難です。今回の新工場では、世界で初めてのスピンレス方式を採用し、また材料投入から生産、検査、及び出荷に至るまでの全工程がクリーンルームで自動的に行われるなど最先端生産技術と設備を取り入れ、高品質の製品生産と原価低減、生産性向上を実現しています。
　また、カラーフィルター生産の主要原材料であるカラーレジスト、ストリッパー（剥離材）、ＩＴＯ エッチャント（透明電極エッチング液）等は住友化学グループで、既にＴＦＴ-ＬＣＤ 用各種材料の生産・販売で実績を持つ韓国の東友ファインケム（株）が供給することとなっており、品質改良やコスト面で両社が協力することにより、シナジーを発揮でき、さらに新技術開発も効率的に推進することができます。
　竣工式には、当社から米倉社長が出席し、「この工場で生産される製品は、住友化学が長年にわたり蓄積してきた高度な最先端技術を駆使し、さらに最新の技術を加味して生産されるものです。この工場の竣工は、韓国での住友化学の情報電子関連分野での成長戦略に向けた大きな一歩であることを強調したい」と述べました。
　カラーフィルターは、ＣＲＴ を代替する次世代ディスプレーの代表として脚光を浴び、急激に成長しているＴＦＴ-ＬＣＤ のカラー表示に必要な素材であり、サムソン電子、ＬＧ フィリップス-ＬＣＤ 等が、ディスプレーの大型化と生産性向上のために第５ 世代ＴＦＴ-ＬＣＤ の製造ラインへの投資を続けています。
　当社はこの他、韓国において、昨年１０月に設立された東友光学フィルム（株）でＴＦＴ-ＬＣＤ 用偏光フィルムを生産し、ＴＦＴ-ＬＣＤ メーカーに供給していますが、本年７月からは建設中である偏光フィルムの原料工場が商業生産に入る予定であり、原料から偏光フィルム加工完成品まで一貫生産体制を整えます。また台湾や中国においても、偏光フィルムの新工場を建設し、一部は既にスタートさせています。このように住友化学は、ＴＦＴ-ＬＣＤ 材料分野でも、技術力をベースにアジアにおいて確固たる地位を構築してまいります。

日本経済新聞　2003/5/13　　　　　　発表

液晶材料生産　住友化学、韓国で倍増　来春２８０億円投じ第２工場

　住友化学工業は電子材料事業を拡大する。２８０億円を投じ、韓国で液晶パネル用部材のカラーフィルターの第２工場を建設、来年３月までに年産能力を２倍の１４４万枚に増やす。同社は台湾や中国でも液晶材料生産の拡大を進めており、電子材料部門の連結売上高を２００５年度には前年度比２．２倍の１８００億円にする計画だ。
　住友化学グループがほぼ全額出資する東友ＳＴＩ（韓国平沢市）がカラーフィルターを増産する。本社工場の敷地内に第２工場を建設する。同社は３月に２７０億円を投じた第１工揚を稼働したばかりだが、大口取引先の韓国・サムスン電子が液晶パネルの新工場建設を表明したため増産投資を決めた。東友ＳＴＩは増産に伴い、資本金を６割増の１６００億ウオン（約１６０億円）にするほか、従業員も１４０人増の３１０人にする。
　住友化学はカラーフィルターのほか、液晶への光の出入り部分に使う偏光フィルムについて、年内に韓国と台湾で生産を始める。中国でも偏光フィルム生産の能力増強に取り組む。一連の積極投資で電子材料部門の売上高を拡大するとともに「新たな収益源」（中本雅美専務）と位置づける。

2003/5/12　住友化学

住友化学、韓国のカラーフィルター生産能力を倍増

　住友化学はこのたび、グループ会社である韓国の東友ＳＴＩ �鰍ﾌ平沢（ピョンタク）工場で、本年3月に稼働を開始した液晶ディスプレー（ＬＣＤ ）用カラーフィルターの第一工場隣接地に、新たに約２８０ 億円を投じて第二工場を建設することといたしました。第二工場は、本年5 月に着工し、２００４ 年春に商業生産の開始を予定しています。第二工場も、第一工場に引き続き第五世代と呼ばれる最新鋭の液晶パネルに対応するもので、生産能力は年７２ 万枚であり、両工場の合計生産能力は年１４４ 万枚になります。また、この設備投資に伴い、東友ＳＴＩ �鰍ﾌ資本金を１ ,０００ 億ウォンから１ ,６００ 億ウォンに増資いたします。
　カラーフィルターはLCD のカラー表示に不可欠な材料であり、コンピューターモニターのLCD 化や携帯電話のカラー化などに加え、今後、大型テレビ用途を中心に年率２０ ％程度の成長が見込まれています。韓国においては、サムスン電子が大型液晶テレビの世界需要の急増を見込んで、第５ 世代ＬＣＤ の量産ラインの大幅な増設を決定し、２００３ 年１２ 月には１ ,１００ mm ×１ ,３００ mm サイズのＬＣＤ を生産する工場を立ち上げる計画としており、当社は、この投資計画に対応し、使用されるカラーフィルターを供給するため、新たに第二工場を建設することを決定いたしました。
　当社は、情報電子材料を最重点分野の一つと位置づけ、積極的な事業展開を実施してきています。韓国においては、半導体用材料であるフォトレジストや、カラーフィルター生産の主要原材料であるカラーレジスト、ストリッパー（剥離材）、ＩＴＯ エッチャント（透明電極エッチング液）などの生産・販売を行っています。特にサムスン電子とは、当社の高い技術力や品質をベースに、長年にわたり信頼関係を築いてきました。こうした関係に基づいて、同社の第一期第五世代ＬＣＤ 工場の建設に応じて、２７０ 億円を投じてカラーフィルターの第一工場を建設し、本年３ 月から順調に生産を開始しています。
　第五世代用のカラーフィルターは、第四世代までのものに比べ、ガラス基板のサイズが大幅に大きくなるため、工程においてカラーレジスト等をガラス基板に塗布するためにこれまで採用されていたスピンコーティング方式では生産性や収率が低下し、また高品質を維持することが極めて困難です。当社は、最先端のスピンレス方式を採用し、また材料投入から生産、検査、及び出荷に至るまでの全工程がクリーンルームで自動的に行われるなど最先端生産技術と設備を取り入れ、高品質の製品生産と原価低減、生産性向上を実現しています。

　ＬＣＤ 材料事業は、情報電子材料分野の中でも、大きな需要の伸びが期待できる重要な事業であり、当社は積極的に経営資源を投入しています。韓国では、カラーフィルター工場の増設に加え、ＬＣＤ 用偏光フィルムを原反から一貫生産する工場を本年6 月に完成させる予定であり、また、台湾でも年内に同様の一貫生産の新工場を完成の予定です。中国・上海でも偏光フィルム生産の最終工程の能力増強を既に実施し、今後、更に増強を進めていくこととしています。
　このように、需要が急増しているアジアにおいて、迅速に生産体制を整え、ＬＣＤ メーカーへのビジネスを戦略的に拡大しています。
　今回の増設により、２００５ 年度のカラーフィルターの売上高は７００ 億円を目標とし、情報電子化学部門では１ ,８００ 億円の売上高を見込んでいます。

【ご参考】

2003/09/24 住友化学

韓国のＬＣＤ用偏光フィルム製造設備竣工
　　　http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20030924_2.pdf

　住友化学は韓国に東友光学フィルム（株）を設立し、ＬＣＤ用偏光フィルム原反の生産設備を建設していましたが、このほど完成し、２００３年９月１９日、関連業界の関係者を招待し竣工式を行いました。

　東友光学フィルムは２００２年１０月１１日、当社と１００％子会社である東友ファインケム（株）の合弁会社として設立され、約６７０億ウォン（約６７億円）を投じて東友ファインケムの平澤工場内に新工場を建設していましたが、１０カ月間の工事期間、試運転、及び顧客からの品質認証を経て、今年８月に年間４，０００千ｍ２の量産体制の構築を完了したものです。

　偏光フィルムは、液晶ディスプレー（ＬＣＤ）において光の透過方向をコントロールする主要材料ですが、ＬＣＤの用途の拡大、サイズの大型化などに応じてその需要は急激に拡大を続けています。特にテレビ用を含めた大型品の需要の伸びは顕著で、韓国の主要顧客からも増産および安定供給について強い要請を受けており、事業の拡大を期待しています。

　今回偏光フィルム設備を建設した平澤工場では、同じく液晶ディスプレーの重要部材であるカラーフィルターの製造を東友ＳＴＩ（株）（当社、新ＳＴＩ（株）、東友ファインケムの合弁会社）において本年３月から開始し、現在フル操業を続けていますが、偏光フィルム同様需要が急激に伸長しているため、来年３月の設備完成を目標に現在第２工場を建設中です。

　住友化学は偏光フィルムやカラーフィルター等、今後も需要の急拡大が期待できる液晶材料事業を含めた情報電子材料事業について、韓国での事業拡大を今後も図ってまいりますが、並行して台湾・中国等需要拡大が見込まれる他の地域においても積極的な戦略的投資を行い、事業展開を進めていく所存です。

【参考】

日本経済新聞　2003/11/28

液晶フィルム　韓国で生産倍増　住友化学 １００億円投じ新工場

　住友化学工業は韓国で液晶パネル向けの偏光フィルムを２倍に増産する。約１００億円を投資して年産能力４００万平方メートルの第二工場を建設、２００５年初めに稼働する。韓国などの液晶メーカーが生産を拡大しているため。台湾でも工場建設を進めており、２００５年度までの３年間で偏光フィルムの売上高を７００億円と倍増させる計画だ。
　偏光フィルムは画面への光の出入り部分に張り、表示に不要な光を遮断するのに使う。新工場の建設地は京畿道平沢（ピョンタク）市にある現工場の隣接地。全額出資の韓国子会社、東友ファインケムグループが２００４年春にも工場用地を購入し、建設に着手する。
　工揚では引き伸ばしたり、色をつけた樹脂フィルムをはりあわせたりしたうえで、画面の大きさに切る。台湾、中国などのメーカーにも出荷する。日本、台湾と合わせた生産能力は現状の７割増の１９００万平方メートルになる。

日本工業新聞　2003/11/28

住友化学、次世代表示装置向け青色蛍光体を量産

　住友化学工業は、次世代表示装置に使用する発光材料の生産に相次ぎ乗り出す。ＰＤＰ（プラズマ・ディスプレー・パネル）に使用される長寿命の青色蛍光体を開発し、愛媛工場（愛媛県新居浜市）の月産2トンのプラントで2004年春から量産を開始する。また、高分子ＬＥＤ（発光ダイオード）用の青色発光材料についても04年度をめどに事業化する計画だ。次世代表示装置の材料分野に参入することで、収益性の高い情報電子材料事業を強化する。

　開発したＰＤＰ用の青色材料は、ケイ酸塩系（ＣＭＳ）の蛍光体で、従来のアルミネート系（ＢＡＭ）の青色蛍光体と比べて、結晶構造が強固なため寿命が10倍以上長いのが特徴だ。すでに、愛媛工場に月産2トンの量産プラントが完成しており、ＰＤＰメーカーにサンプル出荷を開始した。

　従来品に比べて寿命が長いとして、電機メーカーに売り込み、04年春からプラントを本格稼働する考えだ。需要動向を見極めながら増産も検討し、事業規模で50億円を目指す。

　一方、高分子ＬＥＤ用の青色材料は、ディスプレー材料として実用化レベルの輝度と、約1万時間の寿命を実現した。さらに開発を進めることで、寿命を2万〜3万時間にし、04年度をめどに携帯電話などの表示装置として実用化する計画だ。10年度には同材料で300億円の売り上げを目指す。

　有機ＬＥＤは、すでに低分子系でフルカラーディスプレーの材料として実用化されている。開発した高分子系材料は、印刷（インクジェット）により表示装置が製造できるため、生産コストを低分子系に比べて低減できる。

　住友化学は、現在策定中の来年度から始まる3カ年の中期計画で、医農薬、情報電子などのスペシャリティー分野に戦略投資の7割を投入する計画を打ち出している。収益性の高い分野に経営資源を集中することで、事業基盤を強化する考えだ。

日本経済新聞　2004/2/24

液晶部材 韓台で生産増強　ＴＶ用など伸びる
　旭硝子　２６０億円投資し溶融窯
　住化　　 ライン新設 能力倍増

　旭硝子と住友化学工業は台湾、韓国で液晶関連部材の生産能力を増強する。旭硝子は台湾にガラス基板の新しい溶融窯を、住友化学工業は偏光フィルムの新ラインを韓国と台湾に設ける。投資額はそれぞれ２６０億円と２００億円。両社は現在も生産能力を増強中だが、韓国、台湾の液晶パネルメーカーの旺盛な需要に応えるため、これとは別に一層の能力拡大を進める。
　旭硝子は台湾・斗六市に年産４００万平方メートルの溶融窯と、最終製品に仕上げる研磨ライン２本を新設する。溶融窯は３月に着工し、２００５年４月に量産に入る。
　旭硝子は今年９月の稼働予定で台湾に海外初の年産４００万平方メートルの液晶用ガラス基板の溶融窯を建設中。それだけでは友達光電や奇美電子など現地の液晶パネルメーカーの需要に応じきれないとみてさらに１窯増やす。
　ガラス基板の製造拠点として既に京浜工場（横浜市）、関西工場（兵庫県尼崎市）を持つが、台湾の２窯の稼働後の生産能力は現在の１．８倍の１８００万平方メートルとなる。

　住化は韓国の京畿道平沢市の既存工場の隣接地に１５万平方メートルの新工場用地を取得。年産４００万平方メートルの偏光フィルム製造設備を設ける。台湾では現在、台南市に建設中の生産ラインの横に第２期としてもう１本同じラインを設置する。
　住化の韓国、台湾の新ライン稼働後の生産能力は、現在の２倍の年間２４００万平方メートルとなる。世界シェアの半分強を握る首位の日東電工（今春、同４３００万平方メートルに増強予定）を追う。

　液晶パネルはテレビの用途が急増しているのに加え、２００４年から「第６世代」（縦１．５メートル、横１．８メートル）と呼ばれる大型ガラス基板を使った生産が始まり、関連部材の需要がひっ迫している。
　中でもサムスン電子とＬＧフィリップスのそろう韓国と、友達光電、奇美電子などがひしめく台湾ではパネルメーカーの増強計画が目白押し。両社はガラス基板と偏光フィルムでそれぞれ２位だが、今後も年２０％以上の需要増が続くとみてさらなる大型投資に踏み切る。


素材メー力一の最近の主な液晶関連部材の生産能力増強事例

2004/3/1　住友化学

液晶表示材料ビジネスの一層の拡大
−韓国・台湾において偏光フィルムの第二期製造ライン建設を決定−
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20040301.pdf

　住友化学は、液晶パネルの重要部材である偏光フィルムについて、韓国・台湾でそれぞれ原反から製品化まで一貫生産できる新たな製造ラインを増設することを決定し、近く着工いたします。
　当社は、情報電子分野を最重点分野の一つとして、積極的に戦略投資を行い事業拡大を図ってきています。中でも液晶表示材料について、韓国でのカラーフィルター工場や、韓国、台湾での偏光フィルムの一貫生産工場の建設を積極的に進めてまいりました。今回はこれらに続き、偏光フィルムの第二期の製造ラインを建設するものです。
　偏光フィルムを中心とする光学機能性フィルムは、テレビやパソコン、携帯電話等の用途への液晶パネルの普及、拡大に伴い需要が急増しています。当社は光学機能性フィルムの主要メーカーとして、需要家から強い増産要請を受けており、これらに応えるため今回の増設を決定いたしました。
　生産能力はそれぞれ年間４００万�uで、いずれも本年１２月末の完成を目標としています。設備投資額は、用地の取得・整備コストを含めて総額２００億円の計画です。
　韓国では、当社の情報電子材料の生産・研究拠点である平澤ピョンタク工場の隣接地に新たに用地（１５万�u、既存と併せて３０万�u）を取得し、東友光学フィルム�鰍ｪ３月中旬を目途に建設をスタートさせます。これにより韓国での生産能力は、合計年間８００万�uとなります。
　台湾では、住華科技（股）有限公司が、現在建設中の第一期工場（本年３月完工予定）のある台南サイエンスパーク内に新たなラインを建設いたします。増設後は台湾でも年間８００万�uの能力となります
　これらが全て完成すると、当社の偏光フィルムの総生産能力は、国内と合わせて年間２,４００万�uと世界有数の生産規模となり、中でも液晶表示部材の需要の伸長が著しい韓国・台湾においてはトップクラスの生産能力を有することになります。さらに当社は、近い将来に中国で生産体制を拡充することも検討しています。
　当社はこのように、アジア主要国での生産体制を整備、充実させ、需要家の品質改良などの要望に素早く対応し、かつ安定的に製品を供給する基盤を整え、サービスの向上を図ってまいります。そして需要家との強固な戦略的協力関係構築を推進し、情報電子材料ビジネスを成長させていく所存です。

【参考】

11月9日 住友化学

カラーフィルター事業を強化拡充
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20051109_1.pdf

　住友化学は、大型液晶テレビの本格的な立ち上りや中小型パネルの用途拡大による、カラーフィルター需要の急速な拡大と価格下落に対応するため、一連のコスト合理化、競争力向上策を実施し、一層の事業基盤強化を図ることといたしました。

１．新エスティーアイテクノロジー�梶i新STI）の100％子会社化
新STIは、当社情報電子化学事業の中核をなす、液晶表示装置（LCD）用のカラーフィルター事業の製造・販売を担う会社として、2000年5月に台湾企業との合弁会社（住友化学出資比率40％）として事業を開始しましたが、その後、順次、当社の出資比率を高め、このたび11月4日付で、台湾の東元電機（ＴＥＣＯ社）が保有する株式（6.7％）を全株買収し、当社の100％子会社としました。さらに来春には、新ＳＴＩを当社に吸収合併し、カラーフィルター事業部として運営すべく検討しています。これにより当社愛媛工場大江地区において隣接する光学フィルム工場と運営を一体化し、大幅な合理化を図りたいと考えています。

２．東友ＳＴＩ�鰍ﾆ東友ファインケム�鰍ﾌ合併
　韓国でのカラーフィルター製造・販売会社である東友ＳＴＩ（住友化学60％、新ＳＴＩ35％、東友ファインケム5％）を本年12月に東友ファインケムに吸収合併することといたしました。既に本年10月に偏光フィルム・拡散板の製造・販売会社である東友光学材料�鰍ﾆ東友ファインケムを合併させており、これにより韓国における情報電子化学部門の会社は東友ファインケム一社に統合され、当社100％の子会社となります。今後は一体運営によるコスト合理化の推進と技術・人材・資金などの相互有効活用によるスピーディーな需要家ニーズへの対応を柔軟に行ってまいります。
これら一連の体制整備に加えて、カラーフィルター製造設備能力の増強も実施しており、本年6月には120千枚／月から160千枚／月への増強を実施し、順調に稼動していますが、さらに200千枚／月に増強することといたしました。本設備の完成は2006年5月を予定しています。
３．台湾のカラーフィルター工場の商業運転開始　
　住華科技有限公司の新竹工場で建設を進めていました第2世代カラーフィルター工場（能力50千枚／月）がこのほど完成し、10月より商業運転を順調に開始しました。今後、日本からの輸出により対応していた製品を順次、台湾工場からの出荷に切りかえ、これにより生じる愛媛工場の稼動余力により、日本国内の需要増加に対応してまいる所存です。

2005/11/25 住友化学　　　　既報

合併に関するお知らせ
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20051125_1.pdf

　当社は、２００５年１１月２５日開催の取締役会において、２００６年４月１日を期して、１００％子会社である新エスティーアイテクノロジー株式会社と合併することを決定いたしましたので、ここにお知らせいたします。

３．合併当事会社の概要 （２００５年３月３１日現在）　　住友化学略
１．商号　新エスティーアイテクノロジー株式会社（被合併会社）
２．主たる事業内容　カラーフィルターの製造および販売
３．設立年月日　平成１２（2000）年５月１日
４．本店所在地　東京都中央区新川二丁目２７番１号
５．代表者　代表取締役 間宮誠一郎
６．資本金　８，３５８百万円
７．発行済株式総数　５９７株
８．株主資本　１１，１０８百万円
９．総資産　１６，７４３百万円
10．決算期　３月３１日
11．従業員数　１３２人
12．主な取引先　仕入先：住友化学��
　　　　　　　　　　 販売先：三星エレクトロニクス��
13． 大株主および持株比率　住友化学 １００％

４．合併当事会社の最近３期の業績　略

５．合併後の状況
　合併による売上高、経常利益、当期利益および総資産への影響は軽微であり、去る11月10日に発表した業績見通しに影響を及ぼすものではございません。