2003/06/23 アンジェス エムジー

会社の分割によるHVJ- E 事業部門の統合についてのお知らせ

 平成15年6月23日開催の当社取締役会において、当社は平成15年9月1日を期して、下記のとおり当社のHVJ エンベロープベクター(以下、「HVJ- E 」とする)事業部門を会社分割し、当社の連結子会社であるジェノミディア株式会社(以下、「ジェノミディア」とする)に承継することを決定いたしましたのでお知らせいたします。

1 . 会社分割の目的
 当社は、創業以来、事業の三本柱の一つとして、HVJ- E のプロジェクトにおける技術開発に努めてまいりました。その成果として、平成14年4月に石原産業株式会社から遺伝子機能解析に用いる研究用試薬が既に発売されております。さらに当社は、HVJ- E の特長を生かして、遺伝子治療やドラッグデリバリーシステムとして用いる医薬品分野への応用研究に取組んでおります。
 一方で、当社は、平成14年7月に連結子会社ジェノミディアを設立し、同社においてHVJ- E を用いた治療用及び診断用の新規有用遺伝子の探索を進めております。
 今回の会社分割の目的は、当社グループ内(当社及びジェノミディア)に分散しているHVJ- E 関連の研究施設、知的所有権などの資産及びノウハウなどをジェノミディアに集約化し、同事業の経営資源の効率的な利用、経営判断の迅速化を実現することです。これにより、当社グループは、事業の三本柱の一つであるHVJ- E のプロジェクトの一層の強化を目指します。

2 . 会社分割の要旨 略

(1)商号 アンジェス エムジー株式会社
(分割会社)
ジェノミディア株式会社
(承継会社)
(2)事業内容 遺伝子治療薬及び核酸医薬の研
究・開発・製造
HVJ エンベロープベクターの研究・開発
治療用及び診断用遺伝子の発見・創薬
(3)設立年月日 平成11年12月17日 平成14年7月1日
(4)本店所在地 大阪府豊中市 大阪府大阪市
(5)代表者 代表取締役社長 山田 英 代表取締役社長 小谷 均
(6)資本金 1,803,297 千円
(平成15年3月31日現在)
40,000 千円
(平成15年3月31日現在)
(7)発行済株式総数 84,079 株
(平成15年3月31日現在)
800 株
(平成15年3月31日現在)
(8)株主資本 4,486,924 千円
(平成14年12月31日現在)
30,817 千円
(平成14年12月31日現在)
(9)総資産 5,646,259 千円
(平成14年12月31日現在)
33,818 千円
(平成14年12月31日現在)
(10)決算期 12 月           :                12 月
(11)従業員数 60 名
(平成14年12月31日現在)    
 :
1 名
(平成14年12月31日現在)
(12)主要取引先 第一製薬株式会社
生化学工業株式会社
石原産業株式会社
アンジェス エムジー株式会社
(13)大株主及び持株比率     森下竜一(15.69 %)
中村敏一(10.70 %)
有限会社イー・シー・エス(6.09 %)
バイオフロンティア・グローバル投
資事業組合(4.76 %)
(平成14年12月31日現在)
アンジェス エムジー株式会社(71.75 %)
(平成14年12月31日現在)
(14)主要取引銀行 株式会社東京三菱銀行 株式会社東京三菱銀行
(15)当事会社の関係  資本関係 当社は、承継会社の71.8%の株式を保有している。
人的関係 当社役員2名、従業員1名を役員として派遣している。
取引関係 共同研究、当社からジェノミディアに対する研究委託のほか、ジェノミディアより当社に対して管理事務委託を行っている。

(16)最近3 決算期間の業績 略

4 . 分割する事業部門の内容
(1)HVJ- E 事業部門の内容
 当社は、HVJ- E を、機能解析用途と医薬品用途の二つの分野に応用する研究開発を進めております。
 機能解析用途とは、HVJ- E を用いて、遺伝子や抗体などの調べたい物質を細胞や生体内に導入して、それにより実際に生じる影響や働きを確認し、物質の機能を同定することです。医薬品や診断薬の開発に対しての新規有用遺伝子の発見に利用することができます。
 この用途に関しては、提携先の石原産業株式会社から平成14 年4 月に、HVJ- E と補助剤をキット化した研究用試薬「GenomONE ®」が発売されております。当社は、この研究用試薬の販売額に対して、既に同社からロイヤリティを受け入れて事業収益に計上しています。
 
<注>「GenomONE ®」は、石原産業株式会社の登録商標です。

 医薬品用途とは、遺伝子を細胞内に効率的に運び込む遺伝子治療用ベクターや、抗体や低分子化合物などの治療薬を患部に効率的に運ぶドラッグデリバリーシステムとして、HVJ- E を用いることです。
 この用途に関して、当社は、平成14 年11 月に池田ラボ内にGMP (Good Manufacturing Practice 、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に準拠したパイロットプラントを完成し、早期の製造技術確立を目指して研究開発を進めております。

(2)HVJ- E 事業部門の事業収益
 平成14 年12 月期の事業収益は55,416 千円であり、これは同期の当社事業収益の3.1 %にあたります。

(3)譲渡資産、負債の項目及び金額 略

5 . 分割後の当社の状況

(1)商号   アンジェス エムジー株式会社
(2)事業内容   遺伝子治療薬及び核酸医薬の研究・開発・製造
(3)本店所在地   大阪府豊中市
(4)代表者   代表取締役社長 山田 英
(5)資本金   1,803,297 千円
(6)総資産   5,646,259 千円
(7)決算期   12 月
(8)業績に与える影響
    分割により当社の連結業績に与える影響は、軽微なものと予想されます。
なお、分割後の当社のジェノミディアに対する持株比率は77.6 %となります。
     

<ご参考>
―用語の解説―

1 .HVJ (Hemagglutinating Virus of Japan )
  マウスの肺炎ウイルスの一種(ヒトへの感染力はなし)。1950 年代に日本で発見。別名、センダイウイルスと呼ばれています。ウイルス外膜に2 種類の糖蛋白(F とHN )があり、この蛋白が2 種類の細胞を融合させる作用(細胞融合)を持っています。
   
2 .ベクター
  遺伝子が細胞や生体内で上手く働くためには、細胞のなかに入らなければなりません。遺伝子は、そのまま細胞に近づけても細胞の中に入っていくことはできないので、遺伝子機能解析や遺伝子治療には、細胞の膜を突破し、細胞の中に遺伝子を運ぶ役目をする優れたベクター(運び屋)が必要になります。
   
3 .HVJ エンベロープベクター(HVJ- E )
  HVJ エンベロープベクターは、HVJ のゲノムを全て除去し、外膜のみを利用したものです。このベクターは、外膜に細胞融合作用を持つ2 つの蛋白質があることから、高い効率で、しかも迅速に遺伝子を運び込むことができます。さらに、ウイルスのゲノムは全て除去されていることから、ヒトに対する安全性も高く、また一度に大量の遺伝子を封入することができます。このため、遺伝子機能解析、遺伝子治療及びドラッグデリバリーシステムのための有力なツールとなります。
なお、このベクターの製造技術は、大阪大学の金田安史教授により発明され、その権利は当社が譲渡を受けています。

【HVJ- E による遺伝子導入システム】


2003/08/04 アンジェス エムジー

ジーンデザインとアンジェスエムジーが業務提携
 −新規構造核酸の製造、販売に関する実施権供与−

 当社は、本日、核酸合成に関し有力な株式会社ジーンデザイン(以下、ジーンデザイン)との間で、当社が特許出願中の新規構造核酸を、ジーンデザインが研究用試薬として製造、販売するライセンス契約を締結しましたのでお知らせ致します。

 核酸医薬は、現在、癌および多くの免疫炎症疾患に対し、デコイ型およびアンチセンス型などの開発品が国内外で多く見られ、当社でも、NFκB デコイオリゴというデコイ型核酸医薬を開発中です。

 今回、ジーンデザインが製造、販売することになった新規構造核酸は、新規デコイ型核酸の一種です。当社は、優れた核酸合成能力を有するジーンデザインに新規構造核酸を研究用試薬として製造、販売する権利を供与することにより、この新規構造核酸を国内外の研究機関などへ広く提供し、医薬品応用化研究の機会を増すことで、医薬品として将来応用されることを期待しています。

 当社は、この新規構造核酸に関する特許を出願中であり、研究用試薬の売上高の一部をジーンデザインからロイヤリティとして受け取る予定です。
 なお、今回の提携が当社業績に与える影響については、現時点では未定です。

―用語の解説―

1. 核酸医薬
   核酸医薬とは、遺伝子の構成成分の一部を使うもので、核酸(DNA 及びRNA)からできているため、核酸医薬と呼ばれています。核酸医薬は、核酸合成機で人工的に作ることができます。
2. デコイ型核酸医薬
   遺伝子は、転写因子がゲノムに結合してスイッチが入りますが、デコイは、そのゲノム上の転写因子結合部位と同じ配列を含む短い核酸で、体内に投与すると転写因子がゲノムに着地することを阻害して遺伝子の働きを抑えます。
3. アンチセンス型核酸医薬
   遺伝子が働くときには、DNAの遺伝子情報が、mRNAに転写され、その情報にもとづいて蛋白質が合成されます。
 アンチセンスは、mRNAに相補的な配列を持つ核酸医薬で、体内に投与するとmRNAに結合して遺伝子の働きを抑えます。
4. NFκB(nuclear factor-kappa B)
   NFκB は、サイトカインや接着因子など免疫反応に関する遺伝子の発現を調節する役割をもつ転写因子です。NFκB がゲノム上の結合部位に結合すると、免疫反応に関する遺伝子が過剰に発現します。このため、NFκB は、免疫反応が原因となるアトピー性皮膚炎や関節リウマチ、さらには心筋梗塞や動脈硬化への関与が指摘されています。また、歴史ある薬剤であるステロイドやアスピリン、抗酸化剤もNFκB に対して阻害作用を持っています。
5. NFκB デコイオリゴ(NF−κB decoy oligodeoxynucleotide)
   NFκB デコイオリゴは、NFκB に対するデコイであり、当社では、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ及び血管再狭窄予防など免疫反応を原因とする疾患の治療薬として開発しています。

―会社概要―

株式会社ジーンデザイン(Gene Design Inc.)
  本社 : 大阪府茨木市美穂ケ丘3番6−301号
  代表取締役社長 : 湯山浩年
  設立 : 2000年12月
  資本金 : 10百万円(2003年6月末現在)
  従業員数 : 13名(2003年6月末現在)
  売上高 : 72百万円(2002年10月期)
  事業内容 : DNA受託合成・新規核酸合成技術の開発など
     
アンジェスエムジー株式会社(AnGes MG, Inc.)
  本社 : 大阪府豊中市新千里東町一丁目4番2号
  代表取締役社長 : 山田英
  設立 : 1999年12月
  資本金 : 1,803百万円(2003年6月末現在)
  従業員数 : 62名(2003年6月末現在)
  売上高 : 1,794百万円(2002年12月期)
  事業内容 : 遺伝子医薬の研究開発、新規ベクター技術の開発など

 


日本経済新聞 2003/9/13

アンジェスMG 54億円公募増資 医薬開発費増に対応

 遺伝子医薬品開発のアンジェスエムジーは12日、8200株の公募増資を実施すると発表した。発行済み株式総数の9.7%に相当し、調達金額は約54億59百万円となる見通し。複数の新薬候補の開発段階が進むなどで、研究開発費用・投資の増加が見込まれるため。
 公募増資は2002年9月の東証マザーズ上場に伴って実施して以来1年ぶり。申込期間は10月1日から3日までで、払込日は2日から8日の間で決める。調達額のうち20億43百万円を各開発案件にかかわる特許取得に充て、30億16百万円を臨床試験や前臨床試験の費用など、残り4億円を研究所の設備投資に充当する計画だ。
 同社は4月に肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子治療薬の臨床試験を開始。開発案件の多角化もあって研究開発費は急増しており、2003年12月期は26億円前後と、予想売上高(24億円)を上回る見通しだ。今回の資金調達で財務基盤を強化し、開発体制の拡充につなげる。


2003/10/14 アンジェス エムジー

北海道システム・サイエンスとアンジェスエムジーが業務提携
−NFκBデコイオリゴの研究用試薬の製造、販売権供与−

 当社は、本日、核酸合成に関し有力な北海道システム・サイエンス株式会社(以下、北海道システム・サイエンス)との間で、当社が特許出願中(米国では成立済)のNFκBデコイオリゴを、研究用試薬として製造、販売するライセンス契約を締結しましたのでお知らせ致します。

 NFκBデコイオリゴは、遺伝子の一部と同じ配列を、20塩基対の長さで人工的に合成した2本鎖核酸であり、転写因子であるNFκBを阻害することにより、癌や免疫炎症性疾患に関連するサイトカインや接着因子の遺伝子を抑制します。このため、当社は、NFκBデコイオリゴをアトピー性皮膚炎、関節リウマチ、血管再狭窄予防などの治療薬として開発をしています。

 一方、癌や免疫炎症性疾患の疾患メカニズムの解明を目指した基礎研究においては、国内外の研究機関により、NFκBに着目した研究が実施されています。このため、当社は、NFκB阻害作用をもつNFκBデコイオリゴを研究用試薬として用いることで、これら疾患の基礎研究の進展と治療薬開発に貢献することができると考え、北海道システム・サイエンスと業務提携し、大学等の公的研究機関に対する供給を開始することに致しました。

 北海道システム・サイエンスと提携したのは、NFκBデコイオリゴの研究用試薬としての製造、販売に関するものです。北海道システム・サイエンスは、核酸合成能力に強みを持つバイオベンチャーであり、当社は、同社と提携することで、NFκBデコイオリゴの研究用試薬を国内外の研究機関に広く供給することができると考えています。

 なお、当社は、研究用試薬の売上高の一部を同社からロイヤリティとして受け取る予定です。
 ただし、今回の提携が当社業績に与える影響については、現時点では未定です。

<ご参考>

1.NFκB(nuclear factor−kappa B)
 NFκBは、サイトカインや接着因子など免疫反応に関する遺伝子の発現を調節する役割をもつ転写因子です。NFκBがゲノム上の結合部位に結合すると、免疫反応に関する遺伝子が過剰に発現します。このため、NFκBは、免疫反応が原因となるアトピー性皮膚炎や関節リウマチへの関与が指摘されています。

2.NFκBデコイオリゴ(NF−κB decoy oligodeoxynucleotide)
 遺伝子は、転写因子がゲノムに着地してスイッチが入りますが、デコイは、そのゲノム上の転写因子結合部位と同じ配列を含む短い核酸を人工的に合成した人工遺伝子(核酸医薬とも呼ばれます)で、体内に投与すると転写因子がゲノムに着地することを阻害して遺伝子の働きを抑えます。
 NFκBデコイオリゴは、NFκBに対するデコイであり、当社では、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ及び血管再狭窄予防など免疫反応を原因とする疾患の治療薬として開発しています。

―会社概要―

 北海道システム・サイエンス株式会社(Hokkaido System Science Co., Ltd)
 本 社  :札幌市西区発寒14条一丁目1番34号
 代表取締役社長:水谷幸雄
 設 立  :1988年9月
 資本金  :126百万円(2003年9月末現在)
 従業員数:95名(2003年9月末現在)
 売上高  :1,086百万円(2002年12月期)
 事業内容:受託DNA合成及び受託DNAシーケンスなど

 アンジェスエムジー株式会社(AnGes MG, Inc.)
 本 社   :大阪府豊中市新千里東町一丁目4番2号
 代表取締役社長:山田英
 設 立   :1999年12月
 資本金  :4,760百万円(2003年10月10日現在)
 従業員数:62名(2003年6月末現在)
 売上高  :1,794百万円(2002年12月期)
 事業内容:遺伝子医薬の研究開発 
 


毎日新聞 2004/6/12

大学発製薬ベンチャー 臨床試験医に未公開株 時価数億円 阪大教授ら5人

 大阪大病院で遺伝子治療薬を人体に投与する臨床試験を実施した教授ら5人が、この薬の商品化を目指す阪大系の大学発ベンチャー企業「アンジェスMG」(大阪府豊中市)から事前に未公開株を取得していたことが分かった。同社はその後上場し、取得株の価値は現在の株価で計数億円分に上る。直ちに違法とは言えないが、製薬会社の株式保有者による臨床試験はデータの信頼性が担保されにくく、米国では学会などが禁じている。阪大は事態を重視し、11日付で学内にガイドライン作りに向けた委員会を設置した。
 関係者らによると、臨床試験は足の血管が詰まる病気の治療薬として、肝細胞増殖因子(HGF)と呼ばれる特殊なたんぱく質を作る遺伝子を患者に投与するもの。阪大教授(60)が総括責任者として98年に大学側に申請、国の審査も経て01年5月に実施が認められた。
 一方、ア社は99年、HGF遺伝子治療薬の主要特許を持つ元阪大助教授(42)が中心になって設立。01年1月にこの薬の開発に関し大手製薬会社との提携を発表した。
 未公開株を取得したのは、臨床試験メンバー約10人中、少なくとも総括責任者を含む教授2人と医師3人。いずれもア社設立時には出資していないが、提携発表前月の00年12月、第三者割当増資に応じ1株5万円で20から数株を取得した。その後、1株100円の株主割当増資により、保有株数は教授2人が各320株に。医師らも各数十株に増えたとみられる。
 臨床試験は01年6月5〜02年11月に患者22人に対して行われ、ア社はこの間の02年9月に大学発ベンチャーで初めて東証マザーズに上場、1株約40万円の値を付けた。現在の株価は70万円台で、320株だと2億2OOO万円以上の計算になる。総括責任者は上場時に、既存の株主が証券会社を通じて売ることのできる価格(ア社は1株約20万円)で半数を売った。売却価格は約3200万円だった。
 この臨床試験は、ア社の資金提供を伴わない阪大の研究活動として行われたが、ア社は昨年、臨床データを活用して最終の臨床試験を国に申請、認められた。現在、全国の複数の病院でア社の資金による最終臨床試験が実施されている。
 株式保有者による臨床試験について、元助教授は「ガイドラインがない中で、一生懸命取り組んでいることを理解してほしい」と説明。総括責任者の教授は「法的に問題ない」、もう1人の教授は「疑念を抱かれないようなルールは必要だ」と話している。

寝耳に水の話
富原秀夫・大阪大学長の話
 寝耳に水の話で驚いた。このベンチャー企業の運営は文部科学省などに相談しながら行われていて、法的には問題ないと聞いている。しかし、指摘を受けたので、すぐに委員会を設置し検討を始めた。今はその検討結果を待ちたい。

大学発ベンチャー
 大学で生まれた特許や新しい技術などの研究成果を事業化する目的で設立された企業。大学教員らが設立者になったり、大学自体が出資者になる場台もある。新しい産業を創出して国際競争カを高め、国内経済を活性化させる起爆剤として期待されている。経済産業省の調査では00年度以降、年間100社以上の大学発ベンチャーが生まれ、今年3月末現在で799社。これまで生み出したベンチャーの数で比べると、早稲田大の50社が最も多く、東京大(46社)、大阪大(45社)、京都大(40社)と続く。 

 


日本経済新聞 2004/11/9

アンジェスMG・三重大発VB がんワクチン開発へ連携
 知財権や技術を融通

 遺伝子医薬開発のアンジェスMGと三重大学発のバイオベンチャー、イミュノフロンティア(津市、菱田忠士社長)は連携し、DNA(デオキシリポ核酸)を活用するがん治療用ワクチンの開発に取り組む。イミュノはアンジェスから技術提供などを受けて開発を加速させ、ワクチンの製品化を急ぐ。アンジェスは対価として製品発売後のロイヤルティー収入を得ることを狙う。

 がんDNAワクチンはDNAの投与を通じて免疫力を高め、がん細胞を縮小・消滅させる。アンジェスはこのワクチンに関する知的財産権をイミュノに譲渡した。これまでに蓄積した遺伝子医薬関連の技術・ノウハウも供与する。
 イミュノはアンジェスの技術協力を基に、がんDNAワクチンを製品化する。製品発売後は売上高の一定割合をアンジェスにロイヤルティーとして支払う。
 イミュノは三重大医学部の珠玖洋教授らの研究成果を事業化する目的で10月に設立。がん細胞だけに現れるたんばく質を投与することで免疫細胞の働きを活性化するワクチンなどの実用化を目指している。
 アンジェスはがん細胞特有のたんぱく質を体内でつくり続けるDNAを投与する方法に関する知的財産権をイミュノに譲渡した。
 アンジェスは製品化前に臨床試験などで膨大な開発費が必要な創薬ベンチャー特有の事業構造から営業赤字が続いている。開発リスクを低減し、早期に収益を安定させるため開発案件の多角化や、他社が開発した医薬品の製造販売事業への進出を目指している。
 バイオベンチャーの増加で競争激化が予想されるなか、有望なシーズ(種)を持つ大学発ベンチャー同士が連携して一つの製品開発を目指すケースは今後増えそうだ。


2004/11/09 アンジェス MG

イミュノフロンティアとアンジェスMGが提携
− 癌DNAワクチンの知的財産権を譲渡−
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=85842

 当社は、この度、株式会社イミュノフロンティアに対し、当社が保有する癌DNAワクチンに関する知的財産権(特許を受ける権利)を譲渡致しましたのでお知らせ致します。
 当社は、この対価として同製品上市後にロイヤリティを受取る権利を所有し、これまで蓄積した遺伝子医薬の技術及びノウハウを提供するなど、同社の癌DNAワクチン事業の成功に向けて協力関係を構築してまいります。

 癌ワクチンとは、生体内の免疫力を利用する治療法で、癌細胞を攻撃するための目印となる抗原と呼ばれるタンパク質等を生体内に注射し、CTL(細胞障害性T細胞)という免疫細胞を誘導して免疫力を強化し、癌細胞の縮小・消滅を図るというものです。
 癌DNAワクチンは、攻撃目標となる抗原タンパク質の代わりに、同タンパク質を持続的に生み出すことができる遺伝子を投与するワクチンのことです。

 今回譲渡の対象となった癌DNAワクチンは、複数の抗原を生み出す遺伝子を同時に投与するもので、単一の抗原を生み出す遺伝子に比べ癌細胞に対する免疫応答が一層強化され、治療効果が高まるような工夫をされているのが特徴です。

 株式会社イミュノフロンティア(以下、イミュノフロンティア)は、三重大学医学部の珠玖洋教授らの研究成果の事業化を図る目的で、10月5日に設立された大学発バイオベンチャーで、今回対象となった癌DNAワクチンなどの次世代癌ワクチンのほか、アレルギー及びリウマチなどの免疫性疾患の治療薬開発を目指しております。

 一方、当社は、遺伝子医薬領域で医薬品開発を進めておりますが、DNAワクチンも遺伝子治療の一種であることから、これまでにこの癌DNAワクチンの知的財産権を取得し、新規プロジェクトとしての開発可能性を検討してまいりました。

 こうしたなかで、このワクチンの発明者である三重大学の珠玖洋教授が顧問を勤め、当社監査役でバイオ医薬開発の経験を有する菱田忠士氏が代表取締役社長を勤めるイミュノフロンティアが設立されたことから、当社は、このワクチンの技術に詳しい同社が中心となって医薬品開発を行うことが成功への近道であるとの判断に至り、今回、このワクチンに関する知的財産権を譲渡することに致しました。

 当社は、この対価として同製品上市後の売上高の一定率のロイヤリティを受け取る権利を所有し、これまでに当社が蓄積した遺伝子医薬の技術及びノウハウなどを提供することにより、イミュノフロンティアの癌DNAワクチン事業の成功に向けて協力関係を構築してまいります。


―会社概要―
 株式会社イミュノフロンティア(
ImmunoFrontier, Inc.
 本 社:三重県津市
 代表取締役社長:菱田忠士
 設 立:2004年10月
 資本金:20百万円(2004年10月末現在)
 従業員数:5名(2004年10月末現在)
 事業内容:癌ワクチン及び免疫疾患治療薬の開発及び製造、その他。


2004年10月6日/日経産業新聞

三重大、がんワクチンなどの開発でベンチャー設立

 三重大学医学部の珠玖洋教授らは5日、がんワクチンや免疫疾患の治療薬の開発と製造を進めるためのベンチャー企業「イミュノフロンティア」(津市、菱田忠士社長)を設立した。内外の研究機関とがんワクチンの臨床研究の計画を進めており、新会社設立で製薬会社などとの連携を強めて6―7年後の実用化を目指す。
 まず実用化を目指すがんワクチンは、体の免疫系が通常認識するのと同じがん細胞特有のたんぱく質を使って免疫系全体を活性化させる。