2002/2/19 山之内製薬
山之内製薬 山之内イギリス研究所を閉鎖 -同研究所のノウハウを筑波
ゲノム創薬に融合-
山之内製薬株式会社(社長:竹中登一)は、このたび、英国オックスフォード市にある「山之内イギリス研究所」の閉鎖を決定した。なお、諸手続きを含めて閉鎖が完了するのは4月末頃となる予定である。
山之内イギリス研究所は1990年に設立された。これまで、筑波研究センターとの連携のもと、主に細胞生物学を中心とした基礎研究を手掛け、多くの成果を得るとともに、欧州の研究機関や大学等とのネットワークを構築するなど、山之内製薬の創薬研究の一翼を担ってきた。
近年、ゲノム情報の医薬品研究開発への応用(ゲノム創薬)が注目されている。ゲノム創薬は、ゲノム配列情報からバイオインフォマティクスなどの情報解析技術を活用した遺伝子機能解明(ポストゲノム)本格化の時代を迎え、グローバルレベルでの熾烈な競争が繰り広げられている。
山之内製薬は、ゲノム創薬を創薬研究における重要な戦略と位置付け、新規創薬標的の発見につながる遺伝子機能解明に注力するため、イギリス研究所で培った細胞生物学などの技術を筑波研究センターで取組むゲノム創薬に融合し、より戦略的かつ効率的な推進を図って行く。今後、同社は、筑波研究センターを核にゲノム創薬に向けた自社研究体制を更に強化・拡充するとともに、国内外の研究機関・有力ベンチャーとの戦略提携も機動的に進め、競争優位の確立を目指す。
<参考:山之内イギリス研究所概要>
名称 Yamanouchi Research Institute(U.K.)
山之内イギリス研究所所在地 イギリス オックスフォード市 所長 Nicholas Matthews, Ph.D.
2001/5/17 山之内製薬
山之内製薬と日立製作所 ゲノム創薬技術について契約を締結
山之内製薬株式会社(社長:竹中登一)と株式会社日立製作所(取締役社長:庄山悦彦)はこの度「ゲノム創薬計算機利用システム」および「ゲノム解析技術の導入」に関しての契約締結に基本合意した。両社は既に3年前から官民プロジェクトを通じてゲノム分野での先端技術の共同開発を目的に、蛋白質相互作用(プロテオミクス)および遺伝子発現(DNAチップ)の解析技術などゲノム領域で複数のテーマに関して共同研究を進めてきた。
これまで、(株)日立製作所ライフサイエンス推進事業部では独自の情報技術を核として、急増する幅広い生物関連情報から創薬標的候補遺伝子を絞り込むための高度な計算機利用技術を開発するとともに、遺伝子・蛋白質の機能解析技術を開発・導入してきた。山之内製薬(株)は、本技術導入により自社内で構築したゲノムデータベースをもとに新たに遺伝子機能に関する情報を付加したり、疾患との関連性を評価することで、ヒト全ゲノム配列中に存在する約4万個の遺伝子の中から創薬標的として利用価値のある遺伝子を短期間で絞り込むことが可能となる。このことによりゲノム情報からの確度の高い創薬標的遺伝子探索の加速化、省力化が一段と推進される。
山之内製薬では、ゲノム研究を創薬研究における重要な柱と位置づけ、遺伝子機能の解析や疾患と遺伝子の関連解明の一層のスピードアップ化を図っている。昨年には、グラクソ・スミスクライン(株)との共同研究や米国ニューヨーク大学メディカルセンター関節疾患病院(Hospital
for Joint Diseases)との共同研究など、アカデミアやベンチャーとの戦略的提携を活発化している。今後、自社体制の拡充とあわせてさらに一段とゲノム創薬研究を強化して、画期的新薬を自社製品パイプラインに揃えてゆく方針である。
1999/7/12 山之内製薬
山之内製薬 ジェネリック医薬品販売開始
山之内製薬株式会社(社長:小野田正愛)は7月12日、ジェネリック医薬品(後発医薬品)11品目の販売を開始した。同社は従来よりジェネリック医薬品の事業化を検討しており、本年4月に医薬営業本部内にメトラ事業部を設けて発売の準備を進めていた。同事業は、販売を山之内製薬メトラ事業部、製造を東亜薬品が担当し、医療機関への供給は卸を通じて行なっていく。
ジェネリック医薬品に関して、同社では、従来から指摘されていた品質・情報・安定供給等についての問題点がクリアできれば薬剤選択の幅が広がるという点で、医療機関にとっても患者さんにとっても意味があることと考えており、今回の販売開始に到った。
今回販売する製品は、中枢神経系、循環器系、消化器系など広く医療現場で使用されている11品目。剤形には、同社の持つ独自の製剤技術である口腔内崩壊錠を7品目に採用し、患者さんの飲みやすさなど、付加価値を高めた製品となっている。
今回のジェネリック医薬品への事業展開は、今後ますます多様化するであろうユーザーニーズの実態を見極める意味合いもあり、将来的な事業展開については市場動向の推移を見ながら決定していく。
【参考】
●メトラ(Metra)という名称の由来
【独】Medizin(医療) beitragen(貢献)
●東亜薬品株式会社
社長 : 中井敏郎 設立 : 1940年9月 所在地 : 富山県富山市 事業内容 : 医薬品の受託、製造・販売
【発売日】1999年7月12日
【製造元】東亜薬品株式会社
【発売元】山之内製薬株式会社メトラ事業部
2002/11/3 http://homepage3.nifty.com/naike/g200211.html
●製薬各社、相次ぎ後発品事業を縮小
製薬各社は成分などの特許が切れた後に発売する安価な後発医薬品事業から撤退する。山之内製薬は12月末に販売を終わらせ、帝人は来春にほとんどの生産を中止する。
後発品市場は医療費抑制に向けた利用促進政策で拡大が見込まれるが、年間20品程度を発売する専業大手に対抗するのは難しいと判断。主力の新薬開発と販売に集中する。
山之内製薬は高尿酸血症治療薬など現在販売している16の後発品の販売を年末にやめる。後発品事業は東亜薬品(富山市)との共同事業で、東亜薬品の生産品を販売してきた。1999年に販売を始めたが2001年度の販売額は1億円強と伸びなかった。担当しているメトラ事業部も廃止する予定だ。
参考
大正製薬 2001/3 ジェネリック子会社の事業を休止
山之内製薬 タイ国での医薬品事業をスタート
山之内製薬株式会社(社長:小野田正愛)は4月21日、タイ国における医薬品自社販売への第一歩として、前立腺肥大症の排尿障害改善剤ハルナール(一般名:塩酸タムスロシン)を発売した。当面の販売は提携先であるタイ国の大手医薬品卸が担当し、現地法人山之内タイランドがその支援にあたるが、事業が軌道に乗る数年後には、山之内タイランドの自社販売に移行する計画である。同社は97年7月からフィリピンで医薬品自社販売を行なっているが、今回のタイ事業および近く開始予定のインドネシア事業とあわせ、東南アジアでの事業展開をさらに拡充していく。
現地での提携先は、医薬品卸最大手のひとつであるディーテルム社。ディーテルム社は社内に山之内製品専属のマーケティングスタッフとMR(医薬情報担当者)を置き、バンコク市を中心に全国の医療機関をカバーする。山之内タイランドは本年3月より活動を開始しており、当面は製品マネジメントや製品の承認取得などの業務を担当する。
タイ国の医薬品市場は年間約9億ドル、ASEANの中ではインドネシア、フィリピンに次ぐ第3位の規模を有しており、世界中の多くの製薬企業がこの市場に進出している。同社では、今回のハルナールに続いて、今後も高血圧治療剤ヒポカ(一般名:塩酸バルニジピン)や制吐剤ナゼア(一般名:塩酸ラモセトロン)などの製品を継続して上市する予定であり、タイ国市場における事業基盤の確立と拡大を図っていく。
【参考】
●山之内タイランド Yamanouchi (Thailand) Co., Ltd.
設立 : 1999年1月 資本金 : 8000万バーツ(約2.5億円) 出資 : 山之内製薬100% 社長 : 横手 秀和 所在地 : タイ国バンコク市 事業内容 : 医薬品等の輸入・販売
●ディーテルム社 Diethelm & Co., Ltd.
設立 : 1906年 売上高 : 約6.4億ドル(医薬品以外も含む) 社長 : Renato Petruzzi 人員 : 約5000人(医薬品以外も含む) 所在地 : タイ国バンコク市 事業内容 : 医薬品・食品等の輸入販売、旅行代理業など
山之内製薬 米国サール社と包括的研究開発提携契約を締結
山之内製薬(社長:
小野田正愛)は、このほど、米国の製薬会社サール社(G.D. Searle &Co.)との間に研究開発に関する包括的な提携契約を結んだ。本契約により、山之内製薬は、サール社の研究によって創製され、契約締結後4年間に欧米で臨床開発段階に達するすべての化合物を日本で開発・販売する権利を獲得する。対象となる開発候補品は、現段階ですでに、新規造血因子、新機序抗炎症剤、新規抗がん剤など10品目以上に及ぶ。この権利に対して、山之内製薬はサール社に一定額を研究の進展に沿って支払う。また、将来の上市にあたっては、山之内ブランドの下でのサール日本支社との共同プロモーション、またはそれぞれ個別のブランドを用いての共同販売のいずれかの形態をとる。
今後、ますます厳しい経営環境が予想される中、日本の製薬会社が国際企業として存続、発展していくためには、国際的に通用する新薬を継続的に生み出す研究開発力が不可欠であり、国内外での製品ラインアップの強化が常に求められる。山之内製薬は、内分泌、泌尿器、骨を含む運動器、中枢神経系、がん関連の分野など、広範な領域での創薬研究を積極的に行なっているが、(1)サール社の研究領域は山之内製薬の製品戦略に合致していると同時に、現在のところ直接競合する研究テーマがほとんど無い、(2)サール社の研究テーマは、他社との比較において時間的に先行しているものが多く、開発成功のあかつきには市場で1〜2番手の製品となり得る、(3)単品ベースでの提携に比較して、製品パイプライン全体を包括した提携の方がはるかに投資効率の良い新薬創製を期待できる、などのメリットを高く評価し、このたびの提携契約に踏み切った。一方、サール社は、研究開発費の一部、および同社製品を欧米とほぼ同時に日本で開発することができるというメリットを獲得する。
サール社は、長い歴史を持つ研究開発型企業で、現在は米国モンサント社の子会社として製薬事業を担っており、その主要研究領域は、循環器、関節炎、睡眠障害、癌、婦人科疾患である。これまでも山之内製薬は、サール社の非ステロイド性消炎鎮痛剤セレコキシブ(一般名)の日本での共同開発・販売に関する契約を結んでいる。
山之内製薬は、世界最先端のテクノロジーを駆使して創薬研究を行ない、そこから生まれたリード化合物を、海外拠点を活用し、日・米・欧の三極において最も適した地域で迅速に臨床開発する体制を整えている。また、同様に三極にまたがる製剤技術研究体制をグループ内に構築し、国際的に付加価値の高い医薬品を追求している。こうしたグローバルな研究開発活動と並行して、このたびのような積極的な戦略的提携を通じて製品パイプラインの一層の充実を図り、事業基盤の強化に努めている。
【参考】
●モンサント・カンパニー (Monsanto Company) 概要
設立年 : 1901年 所在地 : 米国ミズーリ州セントルイス 売上高 : 63億ドル(1996年12月度連結売上)* 会長兼CEO : ロバート B.シャピロ(Robert B. Shapiro) 事業内容 : 医薬品、農業関連品、食品添加物の開発・製造・販売 *1997年9月に分離された化学品事業の売上を消去し、再表示したもの
●サール社(モンサント社の完全出資子会社の概要)
会社名 : G.D.サール アンド カンパニー (G.D. Searle & Co.) 設立年 : 1888年 所在地 : 米国イリノイ州シカゴ 売上高 : 19億ドル(1996年12月度) 会長兼CEO、
モンサント・カンパニー副会長: リチャード U. デェ シャッター(Richard U. De Schutter) 事業内容 : 医療用医薬品の研究開発、製造、販売
台湾子会社の工場を閉鎖
− 生産体制見直し、一層の効率化推進 −
山之内製薬株式会社(社長:竹中登一)はこのたび、同社の子会社である台湾山之内製薬の製剤工場(所在地:中華民国桃園縣平鎭市、以下「中*工場」)を、2004年6月を以って閉鎖することを決定したと発表した。山之内製薬は、生産体制の一層の効率化を図り国際競争力を強化するため、生産体制の見直しを継続的に進めており、このたびの台湾山之内製薬の「中*工場」閉鎖もこうした取り組みの一環として行なうものである。
山之内製薬の台湾(中華民国)での事業は、1963年に台湾山之内製薬を設立し自社製品の生産・供給を開始して以来、1987年には山之内製薬台北支店を開設し自社販売を開始するなど、約40年間にわたり着実に進められてきている。こうした中で「中*工場」は、Ca拮抗性降圧剤「ペルジピン」や消化性潰瘍・胃炎治療剤「ガスター」をはじめ山之内製品の台湾における製剤・包装拠点としての役割を担ってきた。
「中*工場」は、現在40品目を超える多品種生産を行なっているが、他方で工場設備の老朽化も進むなど、台湾山之内製薬では生産効率の一層の向上が課題となっていた。また台湾においては、2002年に医薬品製造の外部委託がほぼ全面的に可能となる規制緩和が実施されたほか、WTOへの加盟による関税率引下げなどにより医薬品の製造や輸出入に関わる環境も変化してきている。こうした台湾における事業環境の変化にともない、自社工場を保有する必要性が希薄化してきたことも、今回の工場閉鎖を決定した背景にある。今後、台湾山之内製薬は、取扱い製品の見直しを行なったうえ、台湾国内における有力製薬企業へのアウトソーシングを段階的に進め、2004年6月に同工場の閉鎖を完了する予定である。
山之内製薬は、高萩(茨城県)とアイルランドに原薬生産拠点を構えているほか、製剤生産拠点については、焼津(静岡県)と西根(岩手県)の国内2拠点に加え、海外では欧州、米国、アジアに拠点を有し、すでにグローバルな体制を整えている。一方、同社は生産体制の効率化を図るため、これまでにも国内製剤2工場(東京都:小豆沢工場、神奈川県:開成工場)の閉鎖などを実施しているが、今後とも継続して生産体制の見直しを進め、国際競争力の更なる強化を目指して行く考えである。
*は土へんに歴と表します。
2003年2月5日
山之内製薬、物流機能を三菱倉庫へ全面委託
−山之内 自社物流センターを05年までに廃止、
三菱倉庫
埼玉県新座市、大阪市に新配送センター建設−
山之内製薬株式会社(社長:竹中登一)と三菱倉庫株式会社(社長:鈴木恭明)はこのたび、山之内製薬が販売する製品の物流業務を三菱倉庫に全面的に委託することで合意したと発表した。このたびの物流業務の委受託にともない、山之内製薬は全国4ヵ所の自社物流センターを段階的に廃止し、2005年を目処に三菱倉庫への業務移管を完了する。三菱倉庫は、埼玉県新座市と大阪市の東西2ヵ所の配送センター内に山之内製薬専用のスペースを設け、同社からの受託業務に対応する。
山之内製薬はこれまで、北海道札幌市、埼玉県越谷市、大阪府茨木市、福岡県北九州市の4ヵ所に物流センターを保有し、全国の医薬品卸等へ翌日配送による製品の供給を行なってきた。一方、医薬品卸においては在庫管理の徹底や配送システムの充実などによる物流業務の効率化を図るため、近年、大規模物流センター化が進展している。これに伴い、山之内製薬では、この3年間で配送先が約700ヵ所から約300ヵ所へと集約化されるなど、全国4物流センター体制の必要性が薄れてきたこと、また、三菱倉庫をはじめ外部物流会社が、医薬品専門倉庫の設置や医薬品専用配送を行なうなど医薬品の物流業務が充実してきたことなどから、物流業務のアウトソーシングの環境が整ってきた。
このたびの三菱倉庫への物流業務の全面委託は、このような変化に効果的に対応するとともに、物流コストの一層の低減、更には将来的な製品数・物量の増減などへ柔軟に対応することを目的に実施するものである。なお同社では、このたびの業務委託により、年間約10億円程度のコスト削減を見込んでいる。また、三菱倉庫では、国内大手製薬企業の1社である山之内製薬の業務受託を好機として、国内医薬品メーカーへの営業を強化し、医薬品物流業務の更なる取扱拡大を図ることとしている。
三菱倉庫は、全国で20を超える医薬品配送センターを運営し、保管、入出庫作業はもとより、共同配送、受注代行など、顧客のニーズに応じた多様なサービスを提供している。
新配送センターは、西日本(大阪)が2004年1月、東日本(新座)は2005年1月の稼働を予定している。大阪では、三菱倉庫が同社桜島営業所(大阪市此花区)内に「桜島2号配送センター」・延床面積約16,200m2を建設(2003年2月着工)、うち約10,000m2を山之内製薬専用のスペースに当てる。また、新座では、現在建設中の同社施設で専用スペースとして約15,000m2の使用を予定している。いずれも薬事法基準に適合したクリーンな環境と高いセキュリティを備え、また、主要高速道路のインターチェンジから至近に位置する交通アクセスに優れた配送センターである。運営面では、山之内製薬の管理薬剤師が駐在し、その管理のもと、三菱倉庫が配送センター業務を行なう。機能面では、三菱倉庫独自の情報システムと、システムに連動した各種物流機器を導入し、自動化を推進する。
[会社概要]
◇ 山之内製薬株式会社
設立年月 | 1923年4月 | ||
本社所在地 | 東京都中央区日本橋本町2丁目3番11号 | ||
代表者 | 代表取締役社長 竹中 登一 | ||
連結売上高 | 約4,800億円(2002年3月期) | ||
連結従業員数 | 約8,900人 (2002年9月末現在) | ||
事業内容 | 医薬品、医薬部外品、食品、医療用機械器具の製造・販売、および輸出入など | ||
◇ 三菱倉庫株式会社 | |||
設立年月 | 1887年4月 | ||
本社所在地 | 東京都中央区日本橋1丁目19番1号 | ||
代表者 | 取締役社長 鈴木 恭明 | ||
連結売上高 | 約1,520億円(2002年3月期) | ||
連結従業員数 | 約2,790人 (2002年3月末現在) | ||
事業内容 | 倉庫事業陸、上運送事業、港湾運送事業、国際輸送事業、不動産事業など |
2003年10月16日 藤沢薬品/山之内製薬
藤沢薬品と山之内製薬
両社の一般用医薬品事業を統合し共同出資会社を新設することで基本合意
http://www.yamanouchi.com/jp/news/news2003/031016.html
藤沢薬品工業株式会社(本社:大阪、社長:青木初夫、以下「藤沢薬品」)と山之内製薬株式会社(本社:東京、社長:竹中登一、以下「山之内製薬」)は、本日開催された両社の取締役会において、2004年10月1日付けで両社の一般用医薬品事業を統合し、共同出資会社を新設することについて基本合意しましたので、お知らせいたします。
両社は、医療用医薬品事業をグローバルに展開する一方、国内において一般用医薬品事業を展開しております。藤沢薬品は「プレコール」、「エージーアイズ/エージーノーズ」、「オイラックス」など、山之内製薬は「ガスター10」、「カコナール」、「マキロン」などの主力ブランドを有し、消費者の方々から高いご評価とご愛用をいただいております。このたびの基本合意は、一般用医薬品市場における競争力をさらに強化し、将来への成長基盤を固めたい両社の考えが一致したものであり、製品や販売網、ノウハウの統合によって売上規模の拡大を図るとともに、効率的な事業運営による収益性の向上を目指してまいります。また、この共同出資会社は、両社からのスイッチOTC候補についての第一選択権を保有します。
両社の一般用医薬品事業は、主力製品間の重複がほとんどないことに加え、規模がほぼ同等であるなどの点で、事業統合の組み合わせとして最適なものと考えております。今後、セルフメディケーションの進展や、規制緩和によるビジネス機会の拡大が見込まれる中、共同出資会社はこれらの強みを活かすことにより、消費者からの一層の信頼の獲得と、一般用医薬品市場での更なるプレゼンスの拡大を図っていきたいと考えております。
今回の基本合意の主な内容は、以下の通りです。
1. | 藤沢薬品並びに山之内製薬は、両社の一般用医薬品事業(医薬部外品、化粧品、食品を含む)を本体より分離し、共同新設分割により共同出資会社を設立する。 |
2. | 共同出資会社は、2004年10月1日に設立する。 |
3. | 共同出資会社への両社の出資比率は、50:50の対等出資とする。 |
4. | 共同出資会社の代表取締役社長には、大江方二(現藤沢薬品執行役員 薬専事業部長)、代表取締役副社長には吉長孝二(現山之内製薬取締役 ヘルスケア事業担当)が就任する。 |
5. | 共同出資会社の従業員は約200名とし、基本的に両社より概ね同数が転籍する。 |
6. | 共同出資会社は、藤沢薬品並びに山之内製薬が自社の医療用医薬品の一般用医薬品への転用を企図する場合に、国内における開発・販売を優先的に検討する権利を持つ。 |
両社は、今後共同出資会社の事業運営に関する協議を進め、2004年5月を目処に最終合意書を締結することを予定しております。
なお、共同出資会社、藤沢薬品並びに山之内製薬の一般用医薬品事業、及び両社の概要は以下の通りです。
1.共同出資会社の概要(予定)
社 名 | : | 未定 |
設立予定日 | : | 2004年10月1日 |
本社所在地 | : | 東京都 |
資 本 金 | : | 未定 |
出資比率 | : | 藤沢薬品 50%、山之内製薬 50% |
代 表 者 : | : | 代表取締役社長 大江方二(現藤沢薬品執行役員
薬専事業部長) 代表取締役副社長 吉長孝二(現山之内製薬取締役 ヘルスケア事業担当 |
従業員数 | : | 約200名 |
売 上 高 | : | 初年度、年間売上換算で240億円程度(一般用医薬品業界で第8位程度の規模の見込み) |
事業概要 | : | 一般用医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の研究開発及び販売(生産は外部委託) |
主要製品 | : | 胃薬「ガスター10」、総合感冒薬「プレコール」・「カコナール」、抗アレルギー剤「エージーアイズ/エージーノーズ」、外傷救急薬「マキロン」、皮膚疾患治療薬「オイラックス」、水虫薬「ピロエース」、ビタミン剤「ノイビタゴールド」、ナチュラルスキンソープ「ミノン」、コンドーム「サンシー」 |
2.両社の一般用医薬品事業の概要
◇ 藤沢薬品 一般用医薬品事業 | ||
事業部名 | 薬専事業部 | |
代 表 者 | 大江方二(執行役員 薬専事業部長) | |
従業員数 | 約150名(藤沢薬品単体) | |
売 上 高 | 12,122百万円(2003年3月期単体実績) | |
取扱製品 | 一般用医薬品、医薬部外品 | |
主要製品 : | 総合感冒薬「プレコール」、抗アレルギー剤「エージーアイズ/エージーノーズ」皮膚疾患治療薬「オイラックス」、水虫薬「ピロエース」、ビタミン剤「ノイビタゴールド」 | |
◇山之内製薬 一般用医薬品事業 | ||
事業部名 | ヘルスケア事業本部 | |
代 表 者 | 吉長孝二(取締役 ヘルスケア事業担当) | |
従業員数 | 約160名(山之内製薬単体) | |
売 上 高 | 11,910百万円(2003年3月期単体実績) | |
取扱製品 | 一般用医薬品、医薬部外品、化粧品、食品 | |
主要製品 | 胃薬「ガスター10」、総合感冒薬「カコナール」、外傷救急薬「マキロン」、ナチュラルスキンソープ「ミノン」、コンドーム「サンシー」 |
日本経済新聞 2003/10/17
藤沢・山之内、大衆薬を統合
来年10月 折半出資会社を設立
藤沢薬品工業と山之内製薬は16日、薬局や薬店で販売する一般用医薬品(大衆薬)事業を統合すると発表した。来年10月1日付で折半出資会社を設立し、両社の事業を移管する。新会社の年間売上高は約240億円で、国内大衆薬市場で8位前後となる。赤字の大衆薬事業を統合して採算を改善するとともに、本体で医療機関向けの医療用医薬品事業の強化を進める。
新会社の社長には藤沢薬の大江方二執行役員、副社長には山之内の吉長孝二取締役が就く。大衆薬事業に従事する合計310人の社員のうち、配置転換の対象者を除く約200人が新会社に転籍する。社名と資本金は未定で本社は東京に置く。
藤沢薬は総合感冒薬「プレコール」や皮膚疾患薬「オイラックス」など約70品目、山之内は胃腸薬「ガスター10」や総合感冒薬「カコナール」など約60品目の大衆薬や医薬部外品を販売している。新会社は既存品の販売と新製品の開発を手掛け、製造はすべて外部委託する。藤沢薬と山之内が自社の医療用医薬品の成分を大衆薬に転用する場合、新会社が開発・販売を優先的に検討する。
2002年度の大衆薬の売上高は藤沢薬が約121億円、山之内が約119億円。販売競争激化と価格低下により、両社とも赤字に陥っていた。事業統合で販売拠点の集約を検討するとともに、収益を圧迫している宣伝広告費を削減する。
藤沢薬の野木森雅郁取締役は同日都内で開いた記者会見で「新会社は最初から黒字を目指す」と強調。山之内の上田英彦専務は「今後参加したい企業があれば歓迎する」と述べた。市場低迷、合従連衡さらに
藤沢薬と山之内の事業統合により、大衆薬市場は再編時代に入る。製薬大手の大衆薬事業は大半が採算割れ。製薬各社は主力の医療用医薬品に事業をシフトする姿勢を強めており、今後も大衆薬市場で業界再編が続きそうだ。
両社の大衆薬の販売高はそれぞれ連結売上高の2−3%程度。市場全体が低迷するなか、店頭で値下げ競争が広がり、両社とも恒常的な赤字になっていた。それでも両社は「一般消費者にブランドを浸透させるのに大衆薬は必要」と判断して事業を温存してきた。
しかし、医療用医薬品事業も薬価(薬の公定価格)引き下げや、外資系の販売攻勢で競争が激化。各社は不採算事業を抱える余裕がなくなりつつある。このため製薬大手は事業売却を加速。武田薬品工業は食品や農薬など非医薬品事業を売却、エーザイも動物薬事業を売却した。大衆薬でも三菱ウェルファーマが7月、佐藤製薬に事業売却を決めた。
大衆薬で営業黒字を確保しているのは「大正製薬やエスエス製薬などの専業大手と、武田薬品工業ぐらい」(アナリスト)と言われる。「大半の会社が大衆薬事業で苦しんでいる」(山之内の上田英彦専務)状態で、合従連衡が進むのは必至だ。
大衆薬の国内売上高ランキング(億円、業界推定)
社名 売上高 1 大正製薬 1,877 2 小林製薬 798 3 武田薬品 706 4 ロート製薬 492 5 エスエス製薬 489 6 興和 358 7 佐藤製薬 312 ★ 藤沢・山之内新会社 240 8 エ一ザイ 208 9 ライオン 204 10 久光製薬 203 11 三共 201 12 中外製薬 199 13 養命酒製造 166 14 大鵬薬品 164 15 ゼリア新薬 163 16 カネボウ薬品 130 P 藤沢薬品 121 Q 山之内製薬 119 19 明治製菓 118 19 常盤薬品 118
2003年11月11日 山之内製薬
国内製剤生産機能を集約・統合
− 2製剤工場を会社分割により分社化 −
http://www.yamanouchi.com/jp/news/news2003/031111.html
山之内製薬株式会社(本社:東京、社長:竹中登一)は、本日開催された取締役会において、2005年4月1日付けで国内製剤生産機能を集約・統合することを決定した。これに伴い、山之内製薬の焼津工場(静岡県焼津市)と西根工場(岩手県岩手郡西根町)を会社分割により、また、山之内東海ビジネス株式会社(静岡県焼津市)を吸収合併により東北山之内製薬株式会社(岩手県岩手郡西根町)に統合し、新たに製剤生産子会社として発足する。
山之内製薬は、国際競争力を強化するため、生産体制の継続した見直しを進めている。2002年3月には小豆沢工場(東京都板橋区)、開成工場(神奈川県南足柄郡)の2製剤工場を閉鎖。また、海外では台湾山之内製薬の製剤工場を2004年6月に閉鎖することを決定している。他方、2005年の薬事法改正により製薬企業は生産機能を全面的にアウトソーシングすることが可能となる。このたびの国内製剤生産機能の集約・統合は、薬事法改正を機に、生産体制の一層の効率化とコスト競争力の強化を図るためのものである。
焼津工場は、1968年の操業開始以来、同社の主力製剤工場として、消化性潰瘍・胃炎治療剤「ガスター」等の製剤(錠剤、カプセル剤、注射剤)を製造しており、山之内東海ビジネスは、同工場の製造業務および保全業務の一部を担っている。一方、西根工場ならびに東北山之内製薬は、1987年の同工場操業開始以来、前立腺肥大症の排尿障害改善剤「ハルナール」、降圧剤「ヒポカ」等の製剤を製造している。このたびの集約化により、山之内製薬の国内製剤生産機能が全て統合されることになる。なお、技術開発本部機能と製剤技術に関する研究・開発機能等はこれまで通り山之内製薬本体が担い、グローバル生産拠点のマネジメントと技術支援を行う。
山之内製薬は高萩(茨城県)とアイルランドに原薬生産拠点を構えているほか、製剤生産拠点については、日本、欧州、米国に拠点を有し、既にグローバルな体制を整えている。同社では、企業価値の継続的な向上を図るため、生産体制についても引き続き見直しを進め、国際競争力の更なる強化を目指していく考えである。
このたびの決定に伴い発足する新会社の概要は以下のとおり。
1.新生産会社の概要
会社名 | 未定 | |
発足年月 | 2005年4月1日 | |
本 社 | 静岡県焼津市 | |
工 場 | 焼津工場(静岡県焼津市)、西根工場(岩手県岩手郡西根町) | |
代表者 | 未定 | |
資本金 | 未定 | |
総資産 | 未定 | |
従業員数 | 約560人 | |
事業内容 | 医療用医薬品の受託製造、治験薬製造業務請負 焼津事業場周辺業務請負 |
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生産品目 | 「ガスター」、「ハルナール」 高コレステロール血症治療剤「リピトール」、など |
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2.当事会社の概要 | ||
会社名 | 山之内製薬株式会社 | |
設立年月 | 1923年4月 | |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋本町2丁目3番11号 | |
代表者 | 代表取締役社長 竹中 登一 | |
売上高 | 5,066億円(2003年3月期連結) | |
従業員数 | 9,278人(2003年3月末、連結) | |
事業内容 | 医薬品、医薬部外品、食品、医療用機械器具の製造・販売、および輸出入など |
日本経済新聞 2003/11/18
山之内・藤沢 経営統合へ 2005年春メド 医薬品国内2位に
国内製薬3位の山之内製薬と同5位の藤沢薬品工業は、2005年春をメドに経営統合する交渉に入った。来年3月末までの最終合意を目指す。今年度の予想売上高を単純合計すると9200億円弱となり、三共を抜いて首位の武田薬品工業に迫る国内第2位となる。統合で先端医薬品の開発当市負担に耐える経営体力を確保し、国際競争での生き残りを狙う。
両社は一般用医薬品(大衆薬)事業の来年10月の統合を先月決定。海外では相次ぐ再編で巨大企業が誕生。外資企業が競争力を強めているため、売上高の8−9割を占める医療機関用医薬品も含め完全統合で経営基盤を強化することにした。
現在、合併か持ち株会社方式かなど具体的な統合方法や時期、人事などを詰めている。
山之内は排尿改善や潰瘍の治療薬に強く、藤沢は免疫系疾患薬が主力。海外事業の中心も山之内は欧州、藤沢は米国という具合に、相互補完の効果が大きい。年間の研究開発費も両社合計で約1500億円(2004年3月期べ−ス)と、製薬大手として生き残りに必要とされる年1千億円を超え、新薬開発を加速できる。
世界の製薬業界では、2000年12月に英グラクソ・ウエルカムと英スミスクライン・ビーチャムが合併、今年4月には世界トップの米ファイザーが10位の米ファルマシアを買収した。スイスのロシュが昨年10月に中外製薬を子会社にするなど日本企業も巻き込んだ再編が相次いでいる。
山之内は医薬品で世界最大市場の米国で苦戦しており、藤沢も年1千億円近くを稼ぐ主力の免疫系疾患薬の主な特許が2008年に切れる。日本市場でもファイザーが営業要員を国内最大の3千人強に増員した。経営基盤を拡充しなければ世界大手に対抗できないとの危機感が両社の経営陣に広がっていた。
初の大型再編に 国際競争力の向上狙う
山之内製薬と藤沢薬品工業の経営統合は国内製薬業界でも本格的な再編が始まったことを示している。世界の医薬品市場では日本が横ばいにとどまる一方、米国は10%前後の高成長を続けており、国際競争に勝ち残るためには米国を中心とする海外での事業展開が不可欠。海外製薬大手が再編で巨大化する中で、日本企業も再編は避けて通れない状況だ。
医薬品1品目の開発の成功確率は1万2千分の1、期間は10年以上かかるとされる。米ファルマシアと統合して誕生した世界最大手の米ファイザーは売上高が円貨換算で4兆円超、研究開発費は約8千億円に達する。
日本でも厚生労働省が昨年「医薬品産業ビジョン」を策定、M&Aなどによる国内製薬会社の国際競争力向上を後押しする姿勢を打ち出してきた。両社は利益率の高い医療用医薬品事業への特化で他社に先行。赤字が続く大衆薬事業は来年10月メドに両社で統合することで合意している。藤沢薬は化成品事業の売却も決定。生産拠点についても藤沢薬が今年10月に国内拠点を分社したほか、山之内も2005年4月に分社する予定で、統合への準備が着実に進行中だ。
国内再編としては三菱化学の医薬事業を中心に4社が台併した三菱ウェルファーマがある。ただ大正製薬と田辺製薬が2001年に決めた統合を白紙撤回したほか、帝人と杏林製薬も医薬事業の統合を断念。今回の統合交渉にも役員人事や統合後の事業形態など解決すべき課題は残っている。
医薬品部門の02年度世界売上高ランキング (単位億円、一部大衆薬含む、1ドル=108円)
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2004/2/24 山之内製薬/藤沢薬品 日経当初記事 解説
山之内製薬と藤沢薬品 2005年4月1
日付けで合併することで基本合意
http://www.yamanouchi.com/jp/news/news2004/040224.pdf
山之内製薬株式会社(本社:東京、社長:竹中登一、以下「山之内製薬」)と藤沢薬品工業株式会社(本社:大阪、社長:青木初夫、以下「藤沢薬品」)はこのたび、2005年4月1日付けで両社が合併することについて基本的に合意し、本日の両社取締役会にてそれぞれ決議のうえ、「合併に関する基本合意書」を締結致しましたので、お知らせ致します。
合併により発足する新会社は、以下の通り日本のみならず世界の医薬品市場で充分な競争力を有する企業となり、世界最大の市場である米国においても、専門医市場から一般開業医市場までをカバーすることができるグローバル・メガ企業として発展していくためのスタートラインに立つことになります。
1) | 医薬品売上高は約8,000 億円とグローバル市場で第17位にランクされます。日本・米国・欧州の主要医薬品市場に確固とした事業基盤を有しており、更なる成長を目指します。 |
2) | 国内医薬品市場ではシェア第1位となります。また、MR 数も2,400名と国内企業最大規模となり、より強固な営業体制を構築していきます。 |
3) | 世界最大の市場である米国において、既に確立された事業基盤を有効に活用し、専門医市場から一般開業医市場までをカバーすることで事業の早期拡大を目指します。 |
4) | 研究開発費は1,400 億円以上の規模となり、グローバル市場で競争し得る水準を確保するとともに、充実した研究開発力と新薬パイプラインを有します。 |
5) | 業績に関しては、中期的な目標として、医薬品売上高で1兆円以上、営業利益率25%程度を目指します。 |
なお、合併の背景・目的等は以下の通りです。
1.合併の背景・目的
製薬業界を取り巻く経営環境は、先進国を中心とする医療費抑制策の一層の進展、新薬開発をめぐるグローバル競争とこれに伴う研究開発投資負担の増大などにより、一層厳しさを増しております。他方、国内市場に目を向けると、薬価引下げなど薬剤費抑制策の浸透、欧米大手製薬企業による攻勢などにより競争が一段と激化しております。このような経営環境のもと、日本の製薬企業が欧米大手と伍して競争し、持続的な成長を遂げていくためには、革新的な新薬創製に向けて研究開発投資を積極的に行なうとともに、巨額化する投資費用を効率的に回収するためのグローバルな事業展開が不可欠です。
山之内製薬と藤沢薬品は、このような共通認識にもとづき、中核事業である医療用医薬品の事業基盤を更に強化し、激化するグローバル競争を勝ち抜くために、両社の合併について検討してまいりましたが、今般、合併に関する基本的事項について合意に至りました。
本合併により、両社の研究開発力と営業力を統合することで規模の拡大を図るとともに、効率的な事業運営体制による収益性の一層の向上を目指してまいります。また、合併後の新会社は、全く新しい会社を創生するという考え方にたち、優れた研究開発力と自社販売力のプレゼンスを併せ持つグローバル製薬企業として、世界中の人びとの健康に貢献していく所存です。
2.合併の要旨
(1)合併の日程
合併基本合意書承認取締役会 2004年2月24日
合併基本合意書締結 2004年2月24日
合併契約書承認取締役会 2004年5月(予定)
合併契約書締結 2004年5月(予定)
合併契約書承認株主総会 2004年6月下旬(予定)
合併期日 2005年4月1日(予定)
なお、今後、手続きを進める中で、やむを得ない状況が生じた場合は、両社協議の上、日程を変更する場合があります。
(2)合併方法
山之内製薬を存続会社とする吸収合併方式と致します。
(3)合併比率
会社名 山之内製薬 藤沢薬品
合併比率 1 0.71
1.株式の割当比率 | |
: | 藤沢薬品の普通株式1株に対して、山之内製薬の普通株式0.71 株を割り当て交付します。 |
2.合併比率の算定根拠 | |
合併比率については、各々独自に依頼したファイナンシャル・アドバイザーによる合併比率の評価を踏まえ、両社が交渉・協議を行ない決定致しました。なお、本合併比率について、山之内製薬はモルガン・スタンレー証券会社より、また藤沢薬品はリーマン・ブラザーズ証券会社よりそれぞれ妥当である旨の意見を受領しております。 但し、この合併比率は、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合は、両社協議の上、変更することがあります。 |
|
3.合併により発行する新株式数(予定) | |
普通株式2億3,400万株 |
(4)合併交付金
藤沢薬品の利益配当金に代えて合併交付金を支払う場合を除き、合併交付金の支払いの予定はありません。
(5)合併により期待される効果
1.研究開発力の強化 | |
・ | 研究開発投資の規模拡大により、研究、開発それぞれの領域で戦略上の選択肢が増加することで、新薬の創出能力が強化されること。 |
・ | 新薬パイプラインがグローバルに補完され、充実すること。 |
・ | 研究分野における両社の技術や得意領域が融合することにより、創薬研究の質の向上が図れること。 |
2.国内営業力の強化 | |
・ | 主力の製品領域において重複がほとんどなく、補完関係にあること。 |
・ | 国内の医療用医薬品市場でトップシェアを確保するとともに、医薬情報担当者(MR)数において国内製薬企業最大となり、営業力が一層強化されること。 |
3.グローバル展開の強化 | |
・ | 米国において、頻尿・尿失禁治療薬「YM905(VesicareR)」や注射用抗真菌剤「ミカファンギン」、低ナトリウム血症治療薬「YM087」など製品パイプラインが充実すること。また、既に確立された事業基盤を有効に活用することで事業の早期拡大が可能となること。 |
・ | 欧州、アジアにおいて、製品パイプラインが充実するとともに、国内企業有数のプレゼンスが確立されること。また、両社が保有する機能の統合・整理などにより事業の効率化が図れること。 |
4.収益構造の改善等 | |
・ | 売上はもとより、重複投資およびコストの削減、更には新会社のビジョン・戦略を実現するための最適組織・適正要員を検討する中で、コスト面でのシナジーも追求することにより、一層の収益性の向上が図れること。 なお、現時点で新会社は、中期的な目標として下記を目指しています。 医薬品売上高 1兆円以上 営業利益率 25%程度 |
・ | 潤沢なキャッシュ・フローによる研究開発、製品買収などへの積極的な投資が可能となること。 |
(6)合併の推進体制
合併業務を円滑・迅速に推進するために、両社社長を長とする合併準備委員会を設置致します。
3.合併当事会社の概要
( 1 )商号 : : | 山之内製薬 | 藤沢薬品 |
( 2 )事業概要 | 医薬品、医薬部外品、食品、医療用機械器具の製造・販売、および輸出入など | 医薬品、医薬部外品、医療関連製品の製造・販売、および輸出入、並びに在宅医療事業など |
( 3 )設立年月日 | 1923 年4 月 | 1930年12 月 |
( 4 )本店所在地 | 東京都中央区日本橋本町2 丁目3 番11 号 | 大阪市中央区道修町3 丁目4 番7 号 |
( 5 )代表者 | 代表取締役社長竹中登一 | 代表取締役社長青木初夫 |
( 6 )資本金 | 99,760 百万円(03.09 末) | 38,589 百万円(03.09 末) |
( 7 )発行済株式 総数 |
361,216,470 株(03.09 末) | 330,185,210 株(03.09 末) |
( 8 )株主資本 | 702,539 百万円(03.09 末連結) | 353,342 百万円(03.09 末連結) |
( 9 )総資産 | 890,525 百万円(03.09 末連結) | 508,354 百万円(03.09 末連結) |
(10)決算期 | 3月31日 | 3月31日 |
(11)従業員数 | 8,957 人(03.09 末連結) | 8,059 名(03.09 末連結) |
(12)主要取引先 | (株)クラヤ三星堂、(株)スズケン、 (株)アズウェル他 |
(株)クラヤ三星堂、(株)スズケン、 (株)アズウェル他 |
(13)大株主及び 持株比率 : : |
日本マスタートラスト信託銀行8.13 日本トラスティ・サービス信託銀行7.03 日本生命保険相互会社4.45 ザチェースマンハッタンバンクエヌエイロンドンエスエルオムニバスアカウント4.31 ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー3.36 (03/9/30 現在) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社11.01 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社8.45 日本生命保険相互会社7.07 ザチェースマンハッタンバンクエヌエイロンドンエスエル オムニバスアカウント5.53 資産管理サービス信託銀行株式会社4.64 (03/9/30 現在) |
(14)主要取引銀行 | 三井住友銀行 UFJ銀行 東京三菱銀行 |
UFJ銀行 東京三菱銀行 みずほコーポレート銀行 |
(15)当事会社の 関係 |
資本関係、人的関係、取引関係とも該当事項はありません | 資本関係、人的関係、取引関係とも該当事項はありません |
(16)最近3年間の業績と当期の業績見込み(単位:百万円) 略 |
4.合併後の状況
(1)商号 | : | 未定 |
(2)事業内容 : | : | 医薬品、医薬部外品、食品、医療関連製品の製造・販売および輸出入、並びに在宅医療事業など |
(3)本店所在地 | : | 東京都 |
(4)代表者(予定) : | : | 代表取締役会長青木初夫(現藤沢薬品代表取締役社長) 代表取締役社長(CEO) 竹中登一(現山之内製薬代表取締役社長) なお、新会社の取締役は8 名(うち社外取締役2 名)、監査役は4 名(うち社外監査役2 名)とし、併せて執行役員制度の導入を予定しております。 代表取締役以外の取締役 (社外取締役を除く)の候補者(予定)は次の通りです。 取締役副社長田村隼也(現山之内製薬専務取締役) 取締役副社長野木森雅郁(現藤沢薬品取締役兼常務執行役員) 取締役 瀬島宏一(現藤沢薬品代表取締役兼専務執行役員) 取締役 市川邦英(現山之内製薬専務取締役) |
(5)資本金 | : | 未定 |
(6)総資産 | : | 未定 |
(7)決算期 | : | 3 月31 日 |
(8)業績に与える影響 | ||
合併後の事業見通し、組織体制等につきましては、今後、合併準備委員会にて検討 し、決定次第お知らせ致します。 |
山之内・藤沢薬品来年に合併
国際競争 スピード重視
武田と2強体制/欧米勢とは格差
昨年秋に統合交渉を本格化させた山之内製薬と藤沢薬品工業が24日、合併の基本合意にこぎ着けた。統合方式について検討を重ねた結果、世界的な業界再編の中で「経営のスピードを上げる必要がある」(青木初夫・藤沢薬品社長)として合併を選択した。
欧米の製薬会社は相次ぐ合併で巨大化し、日本市場でも攻勢を強めている。「持ち株会社方式のような中途半端な経営体制では対抗できない」(竹中登一・山之内社長)と判断した。
製薬業界ではトップ人事など主導権争いで統合計画が破談になるケースもあった。大正製薬と田辺製薬、帝人の医薬部門と杏林製薬はそれぞれ統合計画を発表しながら、白紙撤回に追い込まれた。破たんした4社のトップは交渉以前はほとんど面識がなかった。
山之内と藤沢薬品の場合は両社長がともに研究開発畑出身で海外経験もあるなど以前から親しい。竹中社長が62歳、青木社長が67歳と年齢が離れ「合併会社の社長、会長というトップ人事が自然に決まった」(両社幹部)点も交渉がスムーズに進んだ理由だ。
今回の合併で国内製薬業界は武田と新会社の二強時代に突入する。藤沢薬品はすでに生産部門を分社、山之内も来年4月に分社する予定。医療用医薬品事業への特化など国内企業の中では構造改革でも先行している。国内で規模や営業力などで抜きんでた実力を持つ新会社も、世界大手との競争には課題も残る。
医薬品市場は日本が医療費抑制政策などで横ばいにとどまる一方、米国は10%前後の成長を続ける。国際競争に勝ち残るためには米国を中心に海外展開は不可欠だが、新会社と欧米メジヤーとの格差は依然大きい。
欧米では最大手の米ファイザーが2003年に当時10位のファルマシアを買収。今年に入っても13位の仏サノフィ・サンテラボが4位アベンティスに買収提案するなど大型化が進んでいる。新会社も世界順位では17位にすぎない。
山之内と藤沢薬品を合わせた研究開発費は2004年3月期で1450億円の見込み。武田に続き業界で生き残りに必要な最低ラインといわれる1千億円を超える。
しかし研究開発費が約8千億円に達するファイザーなど欧米メジヤーは積極的な投資を続け、臨床試験の中間段階を超えた新薬候補を50−80抱える。これに対し、新会社の新薬候補は25程度。世界で競争するには「パイプライン(新薬候補)が十分とはいえない」(アナリスト)。
海外市場では藤沢薬品が免疫抑制剤やアトビー性皮膚炎治療薬、山之内が排尿障害治療薬を自社販売している。欧米企業には劣るが、合併で海外に一定の販売網を持つ。2008年3月期には連結売上高1兆円、営業利益率25%を達成を目指すが、「世界の上位10位内に入るため、さらに提携の申し出があれば柔軟に対応する」(青木藤沢薬品社長)と、今後の再編にも意欲を見せている。
毎日新聞 2004/2/25
両社長一問一答
東京都内で24日、会見した山之内製薬の竹中登一社長と藤沢薬品工業の青木初夫社長の主な一問一答は、次の通り。
ー 合併を決めた経緯は。
竹中氏 大衆薬統舎の話をしていたので、どちらからともなく自然に(他の事業の)環境の変化についても話し合えた。
青木氏 国内製薬会社が細分化されているとの批判もあり、好機はないかと長年考えていた。いろいろな(再編の)話はあったが、新しい会社、文化を作るには、やる気になれる組み合わせでないといけない。信頼関係や「うまくいく」という確信が一番大切だ。
ー 合併相手の魅力は。
青木氏 研究開発力、営業力をべースにした会社としての強さや勢い。合併に伴う(人事など)泥臭い問題を抑え、優れた人材を適切な位置に配置しようと(意気投合できた)。いい相手が見つかった。
竹中氏 山之内は米国事業をゼロから始める。青木社長自身が米国でやってきた経験を持ち、山之内にとって未知な世界について助言してもらった。
ー もう一段の再編は。
竹中氏 両社を足した規模で順位を上げていく。両社の合併に没頭したいが、他社から話があれば、討議はさせてもらう。
青木氏 目前のこと(合併)を軽視して夢ばかり見るのは適切ではないが、最終的には世界ベスト10に入る会社を作りたい。さらなる再編の好機があれば、柔軟に対応する。
2004/11/4 山之内製薬
会社分割による製剤生産工場の分社化に関するお知らせ
http://www.yamanouchi.com/jp/news/news2004/041104.pdf
当社は本日開催された取締役会において、2003
年11 月11 日に公表した2005 年4 月1日付けの国内製剤工場分社化について、分割契約書の承認を決議いたしましたのでお知らせいたします。
本会社分割は、2005 年4 月1
日付けで当社の焼津工場、西根工場を会社分割(吸収分割)により、当社の子会社である東北山之内製薬株式会社(本社:岩手県、以下、東北山之内製薬)に承継するものです。
また本分割と併せ、同日に承継会社である東北山之内製薬が当社の子会社である山之内東海ビジネス株式会社(本社:静岡県)を吸収合併し、本社所在地を静岡県焼津市に移管し、新たに製剤生産子会社「アステラス東海株式会社」として発足いたします。
*当社は2005 年4 月1 日付けで藤沢薬品工業株式会社と合併し、新たにアステラス製薬株式会社として発足いたします。
会社分割の概要は以下の通りです。
1. 会社分割の目的
現在、世界の医薬品市場においては新薬の研究開発や販売をめぐり、グローバルな競争が激化しています。2005
年4 月の改正薬事法施行に伴い生産機能の全面的なアウトソーシングが可能になることを機に、製剤生産工場を分社化するとともに、製剤生産機能を統合・集約することで生産体制の一層の効率化とコスト競争力の強化を図っていきます。
2. 会社分割の要旨
(1) 分割の日程
分割契約書承認取締役会: 2004 年11 月4 日
分割期日: 2005 年4 月1 日
分割登記: 2005 年4 月1 日
(2) 分割方式 | |
@ | 分割方式 当社を分割会社とし、既存の東北山之内製薬を承継会社とする簡易吸収分割(物的分割)です。 |
A | 本分割方式を採用した理由 当社グループの国内製剤生産機能を統合するにあたり、分割する資産の規模や事業譲渡の機動性等を勘案した結果、最も合理的な方法であると判断し、本分割方式を採用しました。 |
(3) | 株式の割当 承継会社は、当社の完全子会社であることから、本分割に伴い、新たな株式の発行や株式の割当は行いません。 |
(4) | 分割交付金 分割交付金の支払いは発生しません。 |
(5) | 承継会社が承継する権利義務 承継会社は分割期日において当社焼津工場、西根工場で行われている医薬品の製剤生産業務にかかわる資産及び負債並びにその他の権利義務を当社から承継します。 |
(6) | 債務履行の見込 本分割が分割会社である当社に与える財務的影響が軽微であること、承継会社において本分割後の事業活動において債務の履行に支障を及ぼす事象の発生は現在のところ予想されていないこと、また当社が承継する一切の債務について承継会社と併存的にその弁済責任を負担することから、当社及び承継会社が負担すべき債務の履行の確実性に問題はないものと考えています。 |
(7) | 承継会社に新たに就任する役員 現時点で、承継会社に新たに就任する役員は決定しておりません。 |
3. 会社分割の当事会社の概要 略
4. | 分割する事業部門の内容 |
(1) | 国内の2
製剤工場の内容 焼津工場、西根工場とも医薬品の製剤生産業務を行っています。 |
(2) | 最近終了した事業年度における売上高及び経常利益 当社は工場単位での売上高並びに経常利益は作成しておりません。 |
(3) | 譲渡資産・負債の項目及び金額 2005 年3 月31 日現在の予想貸借対照表に基づく、本分割による承継資産・負債の帳簿価格は以下の通りです。 資産額 負債額 純資産額 19,697 百万円 1,185 百万円 18,512 百万円 |
5. | 会社分割後の状況 分割会社である当社の状況は、総資産を除いて上記「3.会社分割の当事会社の概要」の内容で変更ありません。総資産については、当分割により11 億円程度減少する見込みです。 |
6. | 本分割が業績に与える影響 |
・ | 本分割に伴い、当社の2005 年3 月期の業績において、約76 億円の特別損失が計上されます。内訳は主に従業員の転籍に伴う費用です。 |
・ | なお、承継会社は引き続き当社の連結子会社となりますが、2005 年4 月以降の連結業績において、10 億円以上の分社化に伴う製造費用削減効果を期待しております。 |