JSRとトリケミカル、半導体製造工程分野で包括的な業務提携に合意
JSR株式会社(社長:吉田淑則、以下「JSR」)と株式会社トリケミカル研究所(社長:竹中潤平、以下「トリケミカル研究所」)はこのたび、半導体製造用材料の開発、製造、販売に関する包括的な業務提携を結ぶことで合意しました。契約の調印日は、平成21年3月9日です。
このたびの業務提携は、半導体市場において微細化・高集積化に対するニーズが高まる中、高分子技術、機能性材料に強みをもつJSRとウルトラファインケミカル(超高純度化学薬品)に強みをもつトリケミカル研究所が提携することで、最先端半導体製造プロセス用の高度な材料を提供していくことを目指したものです。トリケミカル研究所が特に強みを有するシリコン系の材料に関しては、すでに具体的な取り組みを開始しております。
なお、現段階における委託生産の量はまだ試作レベルであり、両社の直近の業績に影響を与えるものではありませんが、今後の展開に関しては共同研究分野の拡大や共同事業の模索を含めて両社のシナジーが最大となるように協力関係を強化してまいります。
1.業務提携の内容
(1) JSRが開発した半導体製造工程において使用する複数のファインケミカル材料を、トリケミカル研究所に製造委託いたします。
(2)
製造委託の過程で必要となる製造プロセスの共同開発を行います。
(3)
製造委託および製造プロセス開発の過程で蓄積されるノウハウを共有することといたします。
(4)
製造委託に関連して派生する分野における、ファインケミカル材料の共同開発・共同事業の可能性に関し検討いたします。
(5)
トリケミカル研究所が開発したファインケミカル材料に関し、JSRが保有するグローバルインフラを活用して物流・市場開拓支援を行うことを検討いたします。
JSR株式会社
合成ゴムなどの石油化学系事業から半導体用材料、液晶ディスプレイ用材料などの情報電子材料まで幅広い事業を、グローバルに展開している高分子化学メーカー。(本社:東京都港区)
株式会社トリケミカル研究所
半導体・光ファイバー・太陽電池材料など向け高純度化学材料の研究・開発・製造・販売をグローバルに展開しているウルトラファインケミカルメーカー。(本社:山梨県上野原市)
--------------------
トリケミカル研究所は1978年に設立した化学メーカー。
売り上げの8割をエッチング用ガスや成膜材料など半導体製造用の材料が占める。
2007年8月にはヘラクレス上場。
山梨県上野原市に第二工場を建設中で,2008年
12月に竣工の予定。
株式の大量取得に関するお知らせ
平成20 年4 月2
日付けにて株式会社トリケミカル研究所(コード番号:4369
大証ヘラクレス)の株式を下記の通り取得致しましたのでお知らせいたします。
1.取得日 平成20年4月2日
2.取得の詳細 株券等の種類 数 量
株券等保有割合
普通株式 1,025,000株
14.32%
新株予約権証券 350,000株
4.89%
3.保有目的 政策投資(対象会社と業務提携を行うことを目的として保有)
4.重要提案行為等 該当事項無し
インテル キャピタル
半導体材料メーカのトリケミカル研究所に出資
〜 半導体材料の研究開発を促進 〜
インテル キャピタル ジャパン(本部:東京都千代田区、代表 ショーン・タン)は、インテル キャピタルが半導体材料メーカの株式会社 トリケミカル研究所(本社:山梨県北都留郡、代表取締役社長 竹中 潤平)に出資したと発表しました。株式会社ジャフコ(本社:東京都千代田区、代表取締役 伊藤 俊明)も、この出資に参画しました。インテル キャピタルは、トリケミカル研究所の総額 4 億 4,000 万円の増資に、リードインベスターとして参加しました。本件は、インテル キャピタルの日本における投資案件としては今年、2 件目となります。
トリケミカル研究所は 1978 年の設立以来、半導体用の特殊な配線材料や成膜原料、光ファイバ材料、エッチング用ガス、特殊試薬などを開発してきました。インテル キャピタルとジャフコによる今回の出資に基づき、トリケミカル研究所は半導体材料の研究開発を強化していく予定です。ダイやトランジスタ・サイズの縮小化 が進むなか、引き続きチップの性能向上を可能にする半導体製造プロセスのための新しい特殊材料に対するニーズが高まっています。
トリケミカル研究所 代表取締役社長の竹中 潤平は、「先端半導体材料の開発におけるトリケミカル研究所の実績は、日本で高く評価されてきました。インテル キャピタルとジャフコの出資によって、当社は、世界の有力な半導体企業に対してグローバルな事業展開が行えるようになると考えています」と述べています。
インテル キャピタル ジャパン代表のショーン・タンは、「半導体の微細化、高性能化が進むにつれ、トリケミカル研究所を始めとする半導体材料メーカが業界で果たす役割は大きく なっています。インテル キャピタルの日本での使命は、技術革新の進展に重要な役割を果たすテクノロジ企業に投資を行うことです」と述べています。
トリケミカル研究所について
トリケミカル研究所は 1978 年に設立され、半導体用の配線材料や成膜原料、光ファイバ材料、エッチング用ガス、特殊試薬などを開発、製造しています。トリケミカル研究所に関する情報は、http://www.trichemical.com で入手できます。
インテル キャピタルについて
インテルの戦略的投資プログラムである“インテル キャピタル”は、インテルの事業戦略を支援しながら、インターネット経済の成長を推進するために、全世界で企業への資本参加および買収を手掛けています。 インテル キャピタル ジャパンは、ハードウェア、ソフトウェアおよびサービスを提供する日本企業に協力し、戦略投資を通じてその技術開発を促進しています。
JSR、ヤマナカヒューテックの全株式の取得を完了 〜半導体材料業界再編加速
JSR株式会社は、半導体用高純度化学薬品の製造販売を行うヤマナカヒューテック株式会社(YHC)の全株式を取得し、完全子会社とする手続きを予定通り2024年8月1日に完了しました。
JSRは、今回のYHCの完全子会社化で、半導体成膜技術分野を含めた製品ラインナップを拡充し、顧客に対して価値を最⼤化できるよう変革を継続します。
業界再編を視野に入れた成長戦略を進め、先端半導体材料分野において顧客要求に対応することで、市場競争力のさらなる強化を目指します。
JSRグループは、引き続き技術革新を基盤とした材料開発、サプライチェーンの最適化、そして顧客との信頼関係の更なる強化に専念し、この業界における根本的な変革の大波に乗り、主導的な役割を果たし、戦略的な製品ポートフォリオの拡大と価値創造に取り組んでまいります。
ーーー
JSR、半導体用高純度化学薬品のヤマナカヒューテックを完全子会社化 〜最先端半導体成膜分野で製品ポートフォリオの拡張〜
JSR株式会社は半導体用高純度化学薬品の製造販売を行うヤマナカヒューテック株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:森脇 健、以下「YHC」)の全株式を取得し完全子会社化することで同社と合意し、2024年5月15日に株式譲渡契約を締結したことをお知らせいたします。半導体デバイスの進化は、リソグラフィー技術発展による微細化と、デバイス構造革新により実現されています。複雑なデバイス構造の具現化に、緻密な膜を高度に制御して形成できるCVD(Chemical Vapor Deposition)およびALD(Atomic Layer Deposition)技術が必要不可欠であり、素材であるCVD/ALDプリカーサーの重要性が極めて高まっています。
YHCは、1960年の創業以来約60年にわたり、高度な分子設計・合成技術・品質管理体制を基盤として高品質な半導体用CVD/ALDプリカーサーを最先端半導体デバイス顧客に安定供給してきた実績を保有しています。特に、特定ALD用成膜材料にて、高い競争力を有しています。事業内容 半導体用高純度液体材料(CVD材料、拡散材料、光ファイバー材料など)、
シリコンウェハー及び関連商品、
MEMS関連商品・特殊加工受託サービス、
MEMS関連装置、
PVD・EB蒸着材料などの販売
事業所製造拠点:八木工場
丹波工場
技術センター:Y'sテクノセンター当社は、今回の株式取得を通じて、当社のフォトレジストを中心とした製品ポートフォリオにYHCの保有する半導体用CVD/ALD用プリカーサーを加え、半導体材料のグローバルサプライヤーとしてさらなる顧客価値を実現することを目指します。
本件は、規制当局の承認等のプロセスを経て2024年8月には完了する予定です。なお、株式取得価格は非開示です。
JSRは、これまで強みである研究開発・技術革新力を核に、新規材料開発、品質管理、サプライチェーンマネージメント、そして、先端半導体顧客との信頼構築を行ってまいりました。今後も先端半導体材料分野における製品ポートフォリオの拡充を通じて、半導体業界において顧客価値を最大化出来るグローバルなリーディングマテリアルサプライヤーへと変革するべく、業界再編の主導的な役割を担い、お客様と共に成長し、社会に貢献してまいります。
ーーーーーーーーーーーーーー
CVDとはChemical Vapor Deposition(化学的気相成長)、PVDとはPhysical Vapor Deposition(物理的気相成長)の略で、それぞれ半導体などの製造に使われる成膜技術です。
ALD はCVDの1種と言われます。それはガス = chemical vapor を利用しているからですが、CVDとは全く異なる原理で製膜できてもいます。ガスが分解してできたSiO2, SiNxのような化合物がそのまま堆積(雪のように堆積してゆく)していくCVDとは異なり、1レイヤーづつ自ら制御しているように成膜してゆきます。基板上にはもともと自然酸化膜などの結合のための「手」があり、それが一つづつ埋まっていくと、後から来たプリカーサーの原子が入り込めないからです。そのことを自己制御 (Self-limiting) と呼んでいます。
また成膜時の温度帯は一般的に、CVD: 400 – 900℃、ALD:150 – 400℃です。CVDもALDもプラズマを利用すれば、より低温化でき、プラズマ使用のALD では100℃を切る研究も進んでいます。(CVDでICPコイルで生成したプラズマを使って50℃のプロセスを達成する事例もあります。)
JSR、最先端フォトレジストのグローバル開発・生産体制を拡充
JSRは、グローバルな電子材料事業体制を強化するため、国内における研究開発を拡充すべくフォトレジストの開発拠点を新設するとともに、韓国における活動を強化するため現地法人であるJSR
Micro Korea Co., Ltd.(JMK)に半導体フォトレジスト用工場を建設することを決定し、忠清北道並びに清州市と投資協議書を交わしました。
当社は2021年の米国Inpria社買収以降、グローバルに最先端EUV用フォトレジストであるメタルオキサイドレジスト(MOR)の事業化を進めて参りました。日本では、当社の四日市工場内にある精密電子開発センターに加えて、今般、グローバルな顧客対応やパートナー企業と連携しやすい関東エリアに新たなMOR用の研究開発拠点を整備することを決定し、今秋から工事に着手します。
今回、韓国に建設するのはメタルオキサイドレジスト(MOR)の最終生産工程を担う工場です。MORは韓国における大手顧客での採用検討が進んでおり、本投資は現地での品質保証能力と製造キャパシティを担保するものです。2026年の稼働開始を見込んでおります。
引き続き、グローバルにMORを含む最先端フォトレジストの基盤技術開発を強力に推進するとともに、お客様の量産工程確立に貢献して参ります。
光技術と磁性技術を組合せた新たな光医療技術の実現へ―JSRとイルミメディカルが共同研究契約を締結―
JSRとイルミメディカルは、JSRが創製した抗体-ナノ磁性粒子複合体※1とイルミメディカルが開発した血管内光照射技術 ET-BLIT®※2の組み合わせによる新たな治療、診断技術の確立を目指し、共同研究契約を締結したことをお知らせします。
本契約に基づき、両者は抗体-ナノ磁性粒子複合体を活用した革新的光診断・光治療技術の確立、及び早期の臨床応用の実現に向けた共同での研究を実施して参ります。また、イルミメディカルは当共同研究で創出される成果物を将来的に事業会社にライセンスする権利も保有いたします。
JSRは創薬支援などのライフサイエンス領域を重視している会社であり、体外診断薬、バイオプロセス材料に代表される粒子複合体技術を活かしたモノづくりを行ってきました。このコア技術をさらにナノサイズに展開し、抗体-ナノ磁性粒子複合体の研究を進め、抗体-ナノ磁性粒子複合体が腫瘍細胞に発現する抗原特異的に結合し腫瘍に集積すること、そして集積した部位への光照射により、光温熱作用※3・フェロトーシス※4等により、顕著な抗腫瘍効果を有することを見出してきました。
イルミメディカルではET-BLIT®(血管内から血管外組織を光照射するプラットフォーム技術)の開発を推進しており、各種動物実験などで血管内光照射の有効性確認を行うことやET-BLITプラットフォームの技術深化に向けて多数の事業会社・アカデミアとの共同研究・共同開発を行っています。ET-BLIT®では人の全身を走行する血管を使って腫瘍など治療対象となる患部近くまでデバイスをデリバリーし光照射することができるため、体内深部組織にも非侵襲的に光治療ができるようになる等、光治療用薬剤のポテンシャルを最大化できる技術として期待されており、光治療の市場の拡大にも繋がるものと考えています。
今回、両者の間で抗体-ナノ磁性粒子複合体とET-BLIT®を組み合わせることにより、抗体-ナノ磁性粒子複合体のポテンシャルを最大化できると考え、本共同研究に着手することといたしました。
※1 抗体-ナノ磁性粒子複合体:抗体とナノ磁性粒子を化学的に固定化した複合体。
※2 ET-BLIT®: カテーテル等を用いて心筋梗塞や脳梗塞を非侵襲的に治療する血 管内治療を応用した血管内光照射技術。Endovascular Therapy- based Light Illumination Technologyの略。
※3 光温熱作用: がん細胞は正常細胞に比べ熱に弱い性質を持ちます。がん細胞に集積させた抗体-ナノ磁性粒子複合体に光を当てることで、この複合体が熱を持ち、がん細胞を死滅させる効果が期待できます。これを光温熱作用と呼びます。
※4 フェロトーシス:
細胞膜のリン脂質の過酸化により引き起こされる細胞死。既存の抗がん剤に耐性を持つがんはフェロトーシスの感受性が高いとも言われており、近年、新たながん治療戦略として期待されています。
<ご参考>
JSRは、半導体材料を含むデジタルソリューション事業とライフサイエンス事業を中心に技術力を強みとしてグローバルに事業を展開しながら、世界の先端産業に価値を提供するためのイノベーションを推進し、社会の課題に応える次世代事業の探索も推進しています。