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      目次  
							
							これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。  
							
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2023/6/15  米FRB、 利上げ見送り 残り2回の追加を示唆 
米連邦準備理事会(FRB)は6月13〜14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、
全会一致で利上げを見送り、政策金利を据え置くことを決定した。現在の5.00%〜5.25%の幅を維持する。
参加者18人による政策金利の見通しが示され、2023年末時点の金利水準の中央値は5.6%で、年内にあと2回の利上げ(0.25% x 2)が想定される。
	
		
		
		  
		  
		
		
		  
		
			
				
				
				
				
				2019/7    
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				2.00%〜2.25%           
 
				
				-0.25%   
			
				
				
				
				
				
				
				
				2019/       
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				   1.75%〜2.00%            
 
				
				-0.25%   
			
				
				
				
				
				
				
				
				
				2019/10        
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				1.50%〜1.75%            
 
				
				-0.25%   
			
				
				
				
				
				
				2020/3     
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				
				1.00%〜1.25%                
 
				
				-0.50%   
			
				
				
				
				
				
				
				
				2020/3       
				
				0.00%〜0.25%  
 
				
				-1.00%  
			 
			
				
				2022/3  
				0.25%〜0.50%  
				+0.25%  
			 
			
				
				2022/5  
				0.75%〜1.00%  
				+0.50%  
			 
			
				
				2022/6  
				1.50%〜1.75%  
				+0.75%  
			 
			
				
				2022/7  
				2.25%〜2.50%  
				+0.75%  
			 
			
				
				2022/9  
				3.00%〜3.25%  
				+0.75%  
			 
			
				
				2022/11  
				3.75%〜4.00%  
				+0.75%  
			 
			
				2022/12 
				4.25%〜4.50% +0.50%  
			
				
				2023/2  
				4.50%〜4.75%  
				+0.25%  
			 
			
				
				2023/3  
				4.75%〜5.00%  
				+0.25%  
			 
			
				
				
				2023/   
				5.00%〜5.25%  
				+0.25%  
			 
			
				
				
				
				2023/6    
				5.00%〜5.25%  
				ー
 
			 
		
		  
	 
5月の消費者物価指数(CPI)は+4.0% (コアは+5.3%)で、上昇率が11か月連続で前の月を下回っているが、当局の物価目標 の2%には遠い。
		
ガソリン価格や新車価格、生鮮食品など振れやすい品目を集めた物価指標のFlexible 
CPIは急低下しマイナスとなったが、家賃や外食料金、公共交通、医療関係など、あまり変化しないものの物価指標のSticky CPIは高値止まりである。
インフレの要因となる人手不足は続いていて企業の間で賃金の上昇分を物価に転嫁する動き が収まらない。
		
		
		パウエル議長は「インフレ率は去年の半ば以降、いくぶん落ち着きつつあるがインフレ圧力は引き続き高く、物価目標である2%までの道のりは遠い」と述べた。エネルギーや食品を除く物価の抑制に大きな進展が見られないとして、「考えていたよりも、もっと抑制が必要になる」と現状の認識を説明した。 
		
		そのうえで、「今回の会合では、これまでの利上げの速度を考慮して、インフレ率を目標の2%に戻すのにさらなる政策が必要かどうか決定するために追加の経済データと金融政策の影響を評価できるよう金利据え置きを判断した。金融不安がもたらす影響をわれわれは完全にはわかっておらず、それを見極めるのは時期尚早だ。影響を把握するにはより時間がかかる。利上げの『見送り』とは呼びたくない が、今回の政策金利据え置きは理にかなっている」と述べた。 
金利を上げても物価がさがらないとする一つの考えは、渡辺務 東京大学大学院経済学研究科教授の「世界インフレの謎」に示されている。 
今回のインフレは、ロシアのウクライナ侵攻の前に起こった。原因は新型コロナの蔓延であると推測する。 
これによる3つの事態で供給不足 が起こったとみる。これにウクライナ問題が加わった。 
	
	
	 
 
各国の中央銀行はこれまで、需要過多によるインフレに対し、金利アップで対処してきた。金利アップで需要を抑えれば対応できた。 
しかし、中央銀行は供給不足によるインフレには対応策を持たない。金利をアップすれば需要は抑えられるが、供給は増えない。 
それでも、現在のFRBの対応のように金利を上げるしかないが、その結果、不況に陥るおそれもある。 
いずれにせよ、金利を上げていけば早期にインフレが収まるとは期待できないと思われる。 
		2023/6/19  米、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表  、日本は初めて「監視リスト」から外れる  
		 
米財務省は6月16日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し た。     2022年12月31日までの4四半期の外国為替動向を対象としている。 https://home.treasury.gov/system/files/136/June-2023-FX-Report.pdf 
「為替操作国」基準にかかった貿易相手国・地域はなかった。 
	
	2019年8月に中国が、2020年12月にスイスとベトナムが「為替操作国」となった。それ以降、2022年11月までの間は、基準では対象となる国があったが、米財務省の判断で実際は非認定となった。 
 
米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)継続的な通貨売り介入――を掲げている。 
	
		  従来の基準 2019/5より改正  
	
		@重大な対米貿易黒字 
		対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左  
	
		A実質的な経常黒字 
		経常黒字がその国のGDPの3.0% 以上 GDPの2.0% 以上  
	
		
		B外為市場に対する介入  
		GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入8カ月 ) 同左6カ月 )  
	3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。 
	次の場合、「監視リスト」に入る。 
 
     
日本は永く2項目でひっかかり、「監視リスト」に入っていた。前回(2022年11月)に1項目だけとなったが上記のルールにより「監視リスト」のままであった。今回は引き続き1項目だけとなり、「監視リスト」から外れた。 
今回は、2項目の台湾、ドイツ、マレーシア、シンガポールと、1項目の韓国とスイス、1項目だが常時「監視リスト」の中国の合計7カ国が「監視リスト」に載った。スイスは過去2回にわたり3項目で問題となったが、今回は1項目だけとなった。  
なお、B「外為市場に対する介入」でひっかかったのはシンガポールだけであった。 
 
	
		
		
		 
		3基準   
		
		
		 
		2基準   
		
		
		 
		1つだが前年に監視対象 丸数字は問題となった項目  
	
		  
		  
		  
		  
		  
		  
		  
		  
		  
	 
    
	
		  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ  
	
		2016/4 
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		2016/10 
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		2017/4 
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		2017/10  
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		2018/4 
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		2018/10 
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		2019/5  
		
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		2019/8  
		   
		
		操作国  
		   
	 
	
		
		2020/1  
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		2020/12  
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		操作国  
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		操作国  
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		2021/4  
		
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		操作国
		
		
		     
		
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		操作国  
		
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		操作国
		
		
		     
		
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		2021/12 
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		操作国
		
		
		     
		
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		操作国
		
		
		     
		
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		2022/6 
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		2022/11 
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		2023/6 ー ◯ ◯ ◯ 
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	ルーマニア原子力公社(Nuclearelectrica)は6月13日、米国で小型モジュール式原子炉(SMR)の技術開発を行う NuScale Power 
	及びルーマニアのインフラ企業の E-INFRA、ルーマニアの電力・ガス企業のNova Power & Gas、米国のFluor 
	Enterprises、韓国の Samsung C&T 
	Corporationとの間で、中東欧とルーマニアに462メガワット規模のSMR建設での協力の覚書を締結した。 三星は設計・調達・施工(EPC)などを担当する。 
	
		ルーマニア原子力公社は2022年9月27日、国内で米 NuScale 
		Power  の小型モジュール炉(SMR)を建設するため、民間エネルギー企業のNova Power & Gasと
		の50/50合弁で、同計画のプロジェクト企業「RoPower 
	Nuclear」を設立したと発表した。 
		NuScale Power  
		は4月25日、韓国の重電大手の斗山エナビリティー(旧称 韓国斗山重工業)と韓国輸出入銀行との3社間の協力関係を強化し、SMR導入を加速するための覚書を締結したと発表
		した。米国内と世界中でSMRを建設するため NuScale Power  と斗山の既存の関係を活用し、強化するものとしている。具体的には、斗山は NuScale 
		Power  のSMRの生産能力拡大と製造技術の向上を通じて、米国を拠点とするサプライチェーンの確立を支援するという。 
	 
	ルーマニアではDoicesti にある 13年前に閉鎖された 石炭火力発電所跡地にNuScale Power 
	の技術で 出力7.7万kWのNPMを6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kW)を建設する。2028年頃の完成 、2029年の商業運転を目指す。 同発電所では、出力約8万kWの再生可能エネルギー源も併設する。 
	
	NuScale では、ほかにルーマニア、カザフスタン、ポーランドでの建設を計画している。  
	
	
	 
		
			米国務省は5月20日、米国が日本と韓国、およびUAEの官民パートナーとともに、ルーマニアが進めている NuScale 
			Power  製小型モジュール炉(SMR)の導入計画に共同で最大2億7,500万ドルの支援を提供すると発表した。 
			これは2022年6月のG7ドイツサミットの際、設立された発展途上国へのインフラ投資を促す枠組み「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」に基づく具体的な活動で、PGIIでは2027年までに世界中で6,000億ドル規模のインフラ投資を目指している。 
			
			米国では今回、輸出入銀行(US 
			EXIM)が「エンジニアリング波及プログラム(EMP)」の中から、最大9,900万ドルの支援をルーマニアに提供するという「意向表明書」を発出。米国からはこれに加えて、EXIMがさらに30億ドル、および政府の独立機関として民間の開発プロジェクトに資金提供を行っている国際開発金融公社(DFC)が10億ドルの資金提供を行う可能性に向けて、LOIを発出している。 
			米国の EXIM、DFCとともに同計画への支援を表明したのは、日本国際協力銀行、韓国の資産運用会社であるDSプライベート・エクイティ、UAEの原子力導入計画を主導している首長国原子力会社(ENEC)、およびルーマニアのEXIMと
			ルーマニア原子力公社、Nova Power & Gasである。 
			
			米国務省によると、安全・確実な民生用原子力技術に対する今回の多国間の支援協力によって、世界規模のクリーン・エネルギーへの移行と地球の気温上昇を1.5℃に抑える上で、原子力が果たす重要な役割が明確に示された。米国としては、脱炭素化への世界的な動きに力を与える革新的なクリーン・エネルギー技術の活用を引き続き支援し、世界中のパートナー国にエネルギーの供給保証と自立をもたらしたいとしている。 
 
	ーーー 
	NuScale Powerが 開発を進めてきた次世代原子炉の小型モジュラー炉(SMR)の仕組みは以下の通り。 
	
		核反応によるエネルギーで一次冷却水が熱せられ、対流と浮力で上昇する。 
		
		上昇した熱は、蒸気発生器の数百本のチューブの壁を通して二次冷却水を熱し、蒸気にする。この蒸気がタービンを回し、発電する。 
		(リアクター1基に発電機1基) 
		冷たくなった一次冷却水は重力で落下し、再度熱せられる。(繰り返し) 
		
		モジュールの冷却には自然対流と伝導によるので外部配管やポンプ、駆動用の電源を必要としない。  
	 
	
	各モデュールは24カ月に一度、10日ほどかけて核燃料が補給されるが、その間、他のモデュールは稼働している。 
	
		
		 
	 
	事故で 原子炉が運転停止すると 
	、外部電源無しに、冷却水の補充なしに、オペレータの作業なしに、自動的に無期限に冷却され炉心溶融を防ぐ。  
	  
	NuScale Power  
	は2017年1月12日、開発を進めてきた次世代原子炉の小型モジュラー炉(SMR)を使った初めての発電所を建設・運転するための認可申請を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。  Utah Associated 
	Municipal Power Systems で、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory 
	)内に建設され、操業はEnergy Northwestが担当する。 
	
   
		2017/1/17 
		
		米国で次世代原子炉申請  
	 
	
		
			
				
					
						
	
		
			
				
					
						NuScale Power
						 
						は2022年12月22日、SMRの標準プラント設計(SPD)プロジェクトを完了したと発表した。これにより、ニュースケールが手掛ける「VOYGR 
						SMR発電プラント」の導入が加速されるとしている。 
							
							出力合計308メガワット(MW)の「VOYGR-4」、出力合計462MWの「VOYGR-6」、出力合計924MWの「VOYGR-12」からなる3つのモデルがある。 
						 
						SMRの標準プラント設計の活用により、「VOYGR 
						SMR発電プラント」の汎用設計を顧客に提供したり、顧客の許認可や導入を支援したりすることが可能になるとしている。また、同プラントに関する包括的な3Dモデルの活用により、潜在的な顧客がニュースケールの技術の適合性評価を実施することが可能になるという。 
						 
				 
			 
		 
	 
 
							
							米原子力規制委員会は2023年1月19日、NuScale Power 
							Corpのアイダホ国立研究所で建設する 小型モジュラー炉の設計を承認した。6基合計462MWで、2030年にフル稼働の予定。 
							 
							
							
							
							日揮ホールディングスは2021年4月6日、海外における小型モジュール原子炉(SMR:Small 
							Modular Reactor) プラントのEPC(設計・調達・建設)事業への進出を目指し、SMRの開発を行っている米国NuScale 
							Power, LLCへの出資を決定したと発表した。40百万米ドルの出資を行う。
    
					 
					IHIは5月27日、NuScale Power, LLCへ出資し、日揮とともに SMR事業に参画すると発表した。
					国際協力銀行(JBIC)は2022年4月4日、NuScale 
					Powerの発行済み株式を米国のFluor Corporationから取得したと発表した。出資額は約110百万米ドル。
					日本勢3社を合計すると出資比率は8〜9%となり、最大株主のFluor 
					Corporation 
					
						2021/5/31 日揮とIHI、小型モジュール原子炉事業に参画  
					 
					 
					
						
							
								
									
										
											
												
													
													
													
													
													NuScale Power, LLC   は2022年5月2日、特別買収目的会社のSpring 
													Valley  Acquisition Corpとの企業結合を完了したと発表した。  
													
													今回の企業結合によって設立する新会社の企業価値は19億ドルに上る見込みで、ニューヨーク証券取引所への上場、株式取引は5月3日開始としている。
													有力投資家からの2億3,500万ドルの私募増資を含む3億8,000万ドルの資金を得るとしている。  
													
													
													この資本を元手に、自社のSMR技術の商業化を加速させる。  
													 
											 
										 
									 
								 
							 
							 
					 
				 
			 
		 
	 
	
2023/6/22 Intel、ドイツ・ポーランド・イスラエルに新工場建設 
 
			米半導体大手Intel  は6月19日、
			同社がドイツ東部Magdeburgに新設する半導体工場に300億ユーロ(約4兆6500億円)超を投資することでドイツ政府と合意したと発表した。2基の先端半導体設備(Fab)を建設する. 
			
			2022年3月に工場の建設計画を発表した際の投資額は170億ユーロだった。政府の補助金の増額と引き換えにインテルが投資規模を拡大した。関係者によると、ドイツ政府から100億ユーロ(約1兆5500億円)相当の補助を受けることで双方が合意した。 
			
			2022年11月に土地を取得済み。工場は2つ建設する計画で、うち一つは
			欧州委員会によるドイツ政府の支援策承認後、4年〜5年で最初の設備が生産を開始する見込み。 
			
			同社はこのスケデュールを勘案し、当初検討していたよりも進んだ「The 
			Angstrom Era(オングストローム世代)」技術を採用することを検討している。 
	
	Intelはプロセス表記ルールの刷新を発表している。Intel 3 の次はIntel 
	20Aとなる。因みに1A(オングストローム)は0.1ナノメートルだが、 Intel 
	20Aは、サイズが20オングストローム(2ナノ)とは、意味しない。   
	
	 
	 
 
			Intelは6月16日にポーランドのWrocław近辺に最新の半導体組立工場とテスト設備を建設すると発表した。46億ドルを投じる。 
			既存のアイルランドの Leixlipにあるウェーハ製造施設、今回発表した と組み合わせることで、欧州としては初のエンドツーエンドの最先端半導体製造バリューチェーンを構築する。  
			 
Intelはまた、イスラエルに新しい製造工場を建設することで原則合意した。6月18日にイスラエル財務省とネタニヤフ首相によって発表された。 
Intelは同社が活動を展開しているイスラエルで「生産能力を拡大する意向」について確認したが、具体的な条件やその他の詳細を明らかにしなかった。 
ネタニヤフ首相は、この合意の価値を250億ドルとし、外国からの最大規模の投資であり、イスラエル経済への「信頼の表明」であると述べた。ただ、事情に詳しい関係者1人によれば、この総額には2021年に発表された100億ドルの投資も含まれる。 
新工場はテルアビブの南、キリヤットガットにある既存の工場に追加され、2027年までに操業を開始し少なくとも2035年まで継続の予定だと財務省は説明。合意の一環として、インテルのイスラエルでの税率は現在の5%から7.5%になるという。 
			
			 
			2023/6/23 カタール、中国CNPCと大型LNG契約締結 
			 
QatarEnergy は6月20日、中国石油天然気集団(CNPC)との間で大型LNG供給契約を締結した。年間400万トンのLNGを27年間にわたり供給する。 
CNPCはまた、カタールのNorth Field LNG 
projectの拡張計画 North Field East 計画(4系列計3200万トン/年)の1系列800万トン/年に5%出資する。 
	
	QatarEnergy は既存の計画について63〜70%の権益を保有しているが、拡張計画については75%の権益を保持する意向を示している。
	North Field East については、系列ごとにExxonMobil、Shell、Totalが各25%、ConocoPhillipsとEniが各12.5%の権益を取得、QatarEnergyがそれぞれについて75%の権益を保有している。今回、CNPCに例外的に5%の権益を分けたと思われる。 
	North Field South 
	では、Totalが9.375%、Shellが9.375%、ConocoPhillipsが6.25%、QatarEnergyが75%となっている。 
 
これは中国国有企業との間では過去1年弱で2件目となる大型LNG契約である。 
	Sinopec は2022年11月21日、QatarEnergy との間で年400 
	万トン、27 年間にわたる LNG売買契約を締結したと発表した。これは Sinopec と QatarEnergy の 2 件目の長期LNG 
	取引(Sinopecは2021年3月にQatarEnergy との間で2022 年1 月から年間200 万トンを10 年間購入する LNG 
	売買契約を締結している)で、カタールの North Field 拡張プロジェクトでは初の長期LNG 売買契約である。 
	North 
	Field拡張プロジェクトが出荷を開始する2026年から引き渡しが始まる見込みで、中国にある Sinopec の受入基地に供給される予定である。 
 
中国はLNG輸出国である米国、オーストラリアとの関係が緊張しており、中国の国有エネルギー会社の間ではカタールへの投資が相対的に安全との見方が広がっている。 
ーーー 
							
							
							カタール政府は2017年7月、 液化天然ガス(LNG)の大増産計画を発表した。凍結していたNorthfield 
							の南部の新しいガス田を開発する。  
							
							
							
							Qatar 
							Petroleumは2021年2月8日、  North 
							Field East Project の最終投資計画を決定したと発表した。  LNG拡張計画の第一弾で、 QatarのLNG生産能力を年産77百万トンから110百万トンに引き上げる。 
							
							
							
							
							
							第二弾の     North 
							Field South ProjectではLNG能力を110百万トンから126百万トンに拡大する。 
	
		
			既存能力 
			78 百万トン 
 
			  
		 
		
			
			
			
			North Field East   
			  
			 32 
			百万トン 
 
			(800万トン x 4系列)  
		
			合計 
			110 百万トン  
 
			  
		 
		
			  
			  
			  
		 
		
			North 
			Field South 
			16  
			百万トン 
 
			  
		 
		
			最終 
			126  
			百万トン 
 
			  
		 
	
 
        
       
世界最大級のNorth 
Fieldガス田から産出する天然ガスをRas Laffanで液化する。 
	
	
	     
	
	
	2021/9/1 Qatar 
	Petroleumの  North 
	Field East Project     
	 
2023/6/27 米国政府、Fordの電池事業に92億ドル融資
  
米エネルギー省の Loan Programs 
Officeは6月22日、Fordと韓国の SK 
InnovationとのJVの BlueOval 
SK LLCが建設する3つの電池工場  
	
	
	
	に     92億ドルを融資すると発表した。 JVはFord 
MotorのFord とLincoln電気自動車用の電池を生産する。 
バイデン大統領の「米国への投資(Investing 
in America)」アジェンダの一環である。 
	
	
	
	
	バイデン大統領は、何十年もの間、米国は雇用を輸出し、製品を輸入してきた一方、インフラ、クリーンエネルギー、半導体、バイオテクノロジーなどの重要な分野では他国が米国を追い越してきたとし、   国内製造業の活性化、サプライチェーンの強化、米国の競争力向上、高報酬雇用の創出を目指している。 
	
	国のインフラの再構築、民間製造業への4350億ドル(約62兆円)以上の投資、高収入の雇用創出、気候危機に対処し地域社会をより強固にするクリーンエネルギー経済の構築を通じて、アメリカ経済をボトムアップとミドルアウトから成長させることを目的としている。 
 
	
	
	
	
	今回のは先端技術を使った車の生産を支援する低利融資プログラムで、案件ベースでの融資規模は過去最大とみられる。  
米国製電池の国内生産拡大は、2030年までに米国の新車販売の少なくとも50%をEVにし、2035年までに電力のCO2排出をネットゼロに、2050年までにネットゼロ社会にするという政権の目標達成のために必須である。  
	
	ーーー  
	
	Ford Motorは2021年9月27日、114億ドルを投資し、米国に電動ピックアップトラック 
	F-150 Lightning Electric Truck の組立工場と、3つの電池工場を新設すると発表した。  
	
	
	
	3つの電池工場についてはFord とSK InnovationのJVのBlueOvalSKが建設、運営する。バッテリー工場に両社がそれぞれ44億5000万ドルずつを投資し、組立工場にはFord単独で25億ドルを投資する。  
	
	テネシー州Stanton にBlue Oval 
	Cityを建設する。電動ピックアップトラック「F-150 Lightning Electric Truck」の組立工場と、新JVのBlueOvalSKのリチウムイオン電池工場及び主要サプライヤーの拠点とリサイクル施設が建設される。投資額は56億ドル。  
	
	ケンタッキー州Glendale 
	には58億ドルを投じてBlueOvalSK Battery Parkを建設する。新JVのBlueOvalSKが2つの電池工場をつくる。  
	
	電池工場の年間能力はテネシー工場が43  GWh 、ケンタッキー工場が86 GWh で、合計129 GWh となる。フル稼働時にEV約220万台のバッテリーを供給できる。 
	  
	
	2025年に操業を開始する予定。  
	
		
	2021/10/1   
		Ford 
	Motor、114億ドルを投じ、電動ピックアップトラックと3つの電池工場を建設     
	 
 
	
		
			
				
					
						
							米エネルギー省は2022年12月12日、GMとLG 
							ChemのJVの Ultium 
							Cells LLCの のオハイオ州とテネシー州、ミシガン州のリチウムイオンバッテリーセル製造施設の建設資金として、最高25億ドルの融資を承認したと発表した。 
							この融資は、融資プログラム局(LPO)が「先端技術車両製造(ATVM)ローンプログラム」(2007年のエネルギー独立安全保障法(EISA)によって認められた融資プログラム)の下で、米国内のバッテリーセル製造計画に融資を実行した最初の例となる。 
							
								
								2022/12/16   
								
								米政府、GMとLGのバッテリー合弁会社に25億ドルの融資   
								ーーー
								GMとLG 
							Chemは2019年12月5日、オハイオ州Lordstown
							の近辺に23億ドルを投資してEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。  
								
								GMは2020年5月1日、JVの"Ultium Cells 
							LLC"が当局の承認を受け、スタートしたと発表した。  
								
								Ultium Cells LLCは2021年4月16日、 テネシー州スプリングヒルに約23億ドルを投資し、新型電池Ultium バッテリーの工場を建設すると発表した。 
								GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。 
								
								LG Energy Solution 
				との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、 ミシガン州 
				Lansing に第3工場を建設する。 
								
								本年夏に土地の整備を始め、電池生産の開始は2024年後半となる。 
								
									
									
									
									2022/1/28   GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も 
								 
							 
							
							 
							
							
							電池関連事業では、2022年4月にオーストラリアの鉱物探査会社SYLA
							Technologies がリチウムイオン電池材料のルイジアナ州での生産拡大に対して最大1億700万ドルの承認を受けた。 
							
							
							2023年2月には、カナダの  
							Li-Cycle 
							Holdingsが、「先進技術車両製造(ATVM)ローンプログラム」を通じて、3億7500万US$の条件付き融資を受けることを発表した。バッテリー材料リサイクル企業に対する初の融資である。  
 
					 
				 
			 
		 
	 
	   
 
2023/6/28 産業革新投資機構のJSR買収発表   
							
							JSRは6月26日、産業革新投資機構が自社にTOBを実施すると発表した。JSR株を100%取得する。JSRはTOBへの賛同方針を表明した。  
	2023/6/26 政府系ファンドの産業革新投資機構、JSRを1兆円で買収  
 
							
							
							価格は1株あたり4350円で総額9065.4億円となる。6月26日の終値は3934円だった。 報道前の6/23終値の3,234円に対し34.5%のプレミアム。  
	JSRは主要株主の米投資ファンド、Value Act Capital 
	(6.2%保有)から社外取締役を受け入れているが、Value ActはJSRがTOBに賛同する方針を示したことについて「歓迎する」と表明した。「半導体、ディスプレー技術およびライフサイエンス分野におけるグローバルチャンピオンになる目的に沿ったものである」とした。 
	JSRは業界再編を推進するために「短期的な業績への影響にとらわれない」と判断し、非上場化を受け入れた。TOB後は業革新投資機構が指名する役員を選任することも検討している
	。 
 
付記 
TOBは2024 
年4月16日をもって終了、全体の84%余りが応募して成立した。 残りの株式の買い取り手続きを進めたうえで、遅くともことし夏までに会社を非上場化し、国際的な競争力の強化を目指す。 
	ーーー 
		産業革新投資機構によると、「2022年11月ごろ、JSRから相談があった。JSRは半導体素材で世界的にも高い競争力を持つ。そんな企業が危機感を抱き再編を検討していることは、企業として健全だと思った。日本企業の競争力向上につながり、JICのビジョンとも合致した」
		。 
	
	JSRは、半導体の性能を高める微細化の難易度が年々増し、研究開発投資もより一層欠かせなくなるが、単独では投資規模の拡大についていけないと判断し、同業他社との事業再編を目指す。 
		
	JSRのエリック・ジョンソン社長は「中長期な価値の創出が目的だ」と述べ、産業革新投資機構の傘下に入り、国内に有望なメーカーが多い半導体素材業界で、「再編を先導したい」と述べた。 
	
		 
		産業革新投資機構では、買収後にJSRの強みの半導体材料に重点的に経営資源を投じることで、政府が力を入れる半導体供給網の強化につなげることができると判断した。
		「日本の半導体素材は欧米と違ってプレーヤーが分散しており、産業としての投資効率がよくない。事業再編で欧米と戦える強者連合を作りたい。JSRは半導体の前工程から後工程まで幅広い強みがあり、手を組める企業の選択肢は多い。半導体素材産業の再編実現に100%コミットしたい」としている。 
	JSRは医薬品受託製造などのライフサイエンス事業にも注力しているが、引き続き成長を目指し、産業革新投資機構の支援を受ける
	。 
ーーー 
これまでの政府系ファンドの案件は順調だったとは言いがたい。JDI (Japan 
Display)は産業革新機構から派遣された役員が(「社内の反対を押し切って」とされる)白山工場(液晶ディスプレイ)の建設を決め、これが命取りとなった。産業革新機構(INCJ)時代に投資した有機ELディスプレーパネルのJOLEDは破綻した。 
    官民ファンドの功罪:産業革新機構、シャープ、JDI、ルネサスの事例分析  
		これについて聞かれたJSRのJohnson社長は、「我々は明確な戦略があり、これから業界再編の機会を模索していく。同じような考えを共有するパートナーと取り組んでいきたい。多くのパートナーが、いまこそ我々のR&D(研究開発)投資の効率を高める場面だと言っており、
		産業革新投資機構がその戦略を実現するための、いい『てこ』になる」と述べた。 
買収後のJSRの意思決定がどのような形でなされるかによると思われる。 
2023/6/29 塩野義製薬、Medicines 
Patent Poolによるジェネリック医薬品メーカー7社とのサブライセンス契約締結  
	
		
			
				
				厚生労働省の専門家分科会は2022年11月22日、 塩野義製薬が開発した新型コロナ飲み薬 「ゾコーバ」の緊急承認を了承した。安全性を確認したほか、症状改善を早める有効性が推定できると判断した。 
				厚労省は同日、承認した。   軽症者に使える初の国産飲み薬となる。 
				
				米国においては米国食品医薬品局(FDA)から開発の促進や審査の迅速化を目的とするファストトラック指定を2023年4月に受領している。 
				
					
					2022/7/25   
					
					
					塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認   
				 
			 
		 
	 
 
	
		
			
			塩野義製薬は6月26日、国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines Patent Pool(MPP)との間で2022年10月に締結されたヘッドライセンス契約に基づき、ライセンス先であるMPPが、塩野義製薬が開発したCOVID-19治療薬ゾコーバ® 錠125mg(エンシトレルビル)の製造に関するサブライセンス契約を、ジェネリック医薬品メーカー7社と締結したと発表した。 
				塩野義製薬と、国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines 
				Patent Poolは2022年10月4日、塩野義製薬が開発中のCOVID-19治療薬エンシトレルビル 
				フマル酸について、薬事承認を取得した後に、低中所得国に広く提供することを目的としたライセンス契約を締結した。 
				両者で合意された本契約に基づき、Medicines Patent 
				Poolは低中所得国へのCOVID-19治療薬を広く提供することを目的に、適格な品質で本薬を製造可能なジェネリック医薬品メーカーに対して、本薬の生産および供給に関するサブライセンスを付与することができ、117ヵ国に本薬を供給することが可能となる。 
				
				塩野義製薬は、世界保健機関(WHO)がCOVID-19を国際保健上の緊急事態に指定している期間は、本契約の対象となる国で発生する売上に対するロイヤリティの受領を放棄する。 
				
					
						
							Medicines Patent 
							Pool代表は「今回の公衆衛生に配慮したライセンス契約によって、低中所得国に住む人々がCOVID-19と戦うための適正な価格での治療選択肢を拡大することは、多くの死者数を生んでいるパンデミックに終止符を打つための我々の取り組みを後押ししてくれるものです。 
					 
				 
			 
			Medicines Patent Pool(MPP)は国連が支援する公衆衛生団体で、低・中所得国の人々の生命を救う医薬品へのアクセスを向上させ、その開発を促進するために活動している。現在までにMPPは18のパテントホルダーと契約を締結している。COVID-19経口抗ウイルス治療薬3件 、COVID-19テクノロジー12件) 
			*COVID-19ではMerckの経口治療薬モルヌピラビル、PfizerのNirmatrelvir、塩野義の本件が対象である。  
			今回、サブライセンス契約を締結したジェネリック医薬品メーカー7社は以下の通り。 
			
				中国の3社(Zhejiang Charioteer 
				Pharmaceutical / Zhejiang Lepu Pharmaceutical / Shanghai Fosun 
				Pharmaceutical Industrial Development ) 
			 
			
				
					
						Medicines Patent 
						Poolが日本の製薬企業との間で初めて締結したヘッドライセンス契約で、7社は今後117の低中所得国 でエンシトレルビルの製造・供給が可能となる。 
				 
			 
		 
	 
 
2023/6/30     生成AIが発見・設計した初の医薬品が第II相臨床試験段階に
  
生成AI(生成的人工知能)を活用した臨床段階のバイオテクノロジー企業で、香港に本社を置き、世界6カ所に開発拠点を持つInsilico 
								Medicineは6月28日、生成AIを用いて発見・設計された世界初の抗線維化小分子阻害剤であるINS018_055 の第II相臨床試験において、患者への初回投与が完了し、さらなる評価のための第II相臨床試験を開始したことを発表した。INS018_055は特発性肺線維症の治療薬として2023年2月にFDAより希少疾病用医薬品指定を受けた。 
肺の難病「特発性肺線維症(IPF)」は 
肺胞の壁(間質)に線維化が起こって肺が固くなり,十分に膨らみにくくなるために,呼吸が上手くできなくな  
Insilico 
								MedicineはAIを駆使して膨大な医療データを解析。IPFの発症や進行に関わるたんぱく質などを見つけ、その働きを抑える物質を治療薬候補として選び出した。省力化できるため、コストや時間を大幅に短縮できる
。 
INS018_055は、Insilicoが開発したターゲットを同定するエンジンPandaOmicsによって発見された新規ターゲットと、生成的化学エンジンChemistry42によって設計された新規分子構造を持つ、ファーストインクラスの可能性を有する低分子阻害剤である。 
ニュージーランドと中国で実施された第I相試験において、INS018_055は、78名と48名の被験者(健常者)を対象に、単回投与漸増試験と反復投与漸増試験を中心としたコホートに分けて試験が行われた。国際共同第I相試験では、INS018_055の安全性、忍容性、薬物動態プロファイルが良好であることを示す一貫した結果が得られ、第II相試験の開始を後押しした。 
Insilico Medicineの共同CEO兼CSOは 、「INS018_055は、線維症と炎症の両方に対する可能性が実証されており、世界中の患者に新たな選択肢を提供できる可能性があ
る。INS018_055の第II相臨床試験における初回投与の実施は、Insilicoにとって重要なステップというだけではなく、AIを活用した創薬開発のマイルストーンでもあ
る。 我々は、世界のアンメット・メディカル・ニーズに対して、AIを活用したさらなる成果を期待している」と述べた。 
さらに幅広い患者群で本候補薬を評価するため、米国と中国合わせて約40施設で60名の
特発性肺線維症(IPF)患者を募集する予定。 
ーーー 
Insilico 
								Medicineは商業的に利用可能な統合AIプラットフォームPharma.AI を採用し、2021年以降、社内の創薬プログラムとして
肝臓がんや乳がんなど12の前臨床候補化合物を指名・発表し、うち3件がヒト臨床試験に進んでいる。 
同社は2016年、新規分子の設計に生成AIを利用するというコンセプトを初めて査読付きの学術論文雑誌で発表した。その後、生成的敵対ネットワークベースのAIプラットフォーム向けに複数のアプローチと機能を開発・検証し、そのようなアルゴリズムを、生成生物学、化学、医学を含む市販のPharma.AI プラットフォームに統合した。 
同社には中国複合企業の復星国際や米投資会社のWarburg Pincusが出資しているほか、米ベンチャーキャピタルのB 
Capital Groupも投資している。 
	
	中国のイノベーション主導の国際ヘルスケアグループの国際医薬健康産業集団上海復星医薬とInsilico 
	Medicineは2022年1月、AIテクノロジーを用いて、世界中の複数のターゲットを対象とした創薬の発見と開発を進めるための共同開発契約を締結した. 
	複星医薬がInsilicoに出資するとともに、Insilicoは共同開発に対して1,300万ドルの前払い金と、マイルストーンベースの支払いおよび商業化利益を受領する予定。 
 
製薬大手の仏Sanofiや米 
Johnson & Johnsonとは、将来的にインシリコの技術をライセンス供与するとの協定を結んだ。 
	Insilico 
	Medicineは2022年11月8日、Sanofiと複数年、複数標的の戦略的研究提携契約を締結したと発表した。InsilicoのAIプラットフォーム「Pharma.AI」を活用し、最大6つの新たな標的用の医薬品開発候補を提案する。 
	
	契約一時金および標的推薦料として最大2150万ドル、さらに1桁台半ばから2桁台前半のロイヤリティが含まれる  
	Insilico Medicineは2020年11月10日J&JのJanssen 
	Pharmaceutica N.V. とのマルチターゲット創薬に関する契約を締結した。 
 
ーーー 
Insilico Medicineは2022年7月、同社 
 独自のAI駆動型標的同定エンジンPandaOmicsで膨大なデータセットを精査し、ALS関連遺伝子を発見した。 
	PandaOmicsは、AIを活用した生物学的標的探索プラットフォームで、高度な深層学習モデルとAIアプローチを活用し、Omics 
												AIスコア、テキストベースのAIスコア、財務スコア、キーオピニオンリーダースコアを組み合わせることで、与えられた疾患に関連する標的遺伝子を予測するもので、現在、学術・産業の両分野で採用されている。同アルゴリズムは、新規性、信頼性、商業的扱いやすさ、創薬可能性、安全性など、標的選択の判断材料となる重要な特性に基づき、タンパク質標的に優先順位を付けることもできる。 
 
	
		世界中で70万人以上の人々が、ルー・ゲーリッグ病としても知られるALSに苦しんでいる。ALSの患者は、自発的な筋肉の動きが失われていくため、歩く、話す、食べる、そして最終的には呼吸をすることもできなくなる。ALSの進行は概して早く、患者の平均余命は発症から2−5年である。現在承認されているALS治療薬では、機能の喪失を食い止めたり、元に戻したりすることはできない。 
		 研究者チームは、膨大なデータセットを活用し、新しい治療薬用の標的となり得る疾患関連遺伝子を発見した。
		同社独自のAI駆動型標的発見エンジンPandaOmicsは、公開データセットの中枢神経系(CNS)サンプルやAnswer 
												ALSから直接提供を受けたiPS細胞由来の運動ニューロン(diMN)の発現プロファイルの分析に役立てられた。 
		CNSとdiMNのサンプルから17の信頼性の高い標的と11の新規治療標的が同定された。これらの標的は、ALSの最も一般的な遺伝的原因を模倣したモデルでさらに検証され、そのうち18の標的(64%)がALSと機能的相関を持つことが確認された。 
		ーーー 
		Insilico Medicineは2022年3月、PandaOmicsにより、老化および加齢に伴う疾患に対する潜在的な両用治療標的を特定する独自のアプローチを確立した。このアプローチを裏付ける研究が、Aging(2022年3月号)に掲載された。 
		 
		PandaOmicsプラットフォームを活用し、複数の疾患領域にわたる14の加齢関連疾患と19の非加齢関連疾患についてターゲット同定を行い、加齢関連疾患のターゲットを同定した。 
		
		包括的な評価の一環として、145の遺伝子が加齢に関連する潜在的な標的として考慮され、更には、加齢の特徴に対して、マッピングをした。その中には、 
		高い薬物投与能力を示す69の標的、 
		潜在的に中〜高程度の薬物投与能力を持つ、48の中位の新規標的、潜在的に中程度の薬物投与能力を持つ28の高度新規標的が含まれていることが同定できた。 
		
		同社のCEOは、「複数の加齢関連疾患と加齢そのものを標的とした薬剤を開発することで、疾患の治療だけでなく、寿命の延長や新たな薬剤再利用の候補を提供し、前例のない健康利益をもたらすことができる可能性がある。今回の研究は、PandaOmics 
		AI搭載ターゲット発見プラットフォームが、特定の疾患だけでなく、複数の種類の疾患にわたる新規の多目的ターゲットを特定する力を実証した。生物学者や臨床医にとって、コスト削減と時間効率の良い方法で、その治療可能性 
		をさらに調査できるようになると考えている」と述べた。 
		
			
			
			https://www.aging-us.com/article/203960/text  
		 
		
		 
		
			
		 
	 
 
  
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