2007年12月10日 エーザイ エ一ザイ のれん代が利益圧迫
エーザイ 米国バイオファーマMGIファーマを買収
神経・消化器・オンコロジー・クリティカルケアを重点領域とする研究開発型のヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業であるエーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下、エーザイ)は、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGIファーマ・インク(MGI
PHARMA, INC./本社:ミネソタ州、President & CEO:Lonnie
Moulder、以下、MGIファーマ)と、12 月10日、エーザイがMGIファーマを 総額約39億米ドル の現金にて買収する最終契約を締結しました。本契約に基づき、エーザイは、MGIファーマの発行済み株式の全てについて、1株あたり41米ドルの現金にて取得する公開買付けを行います。
本買収により、エーザイは自社の既存のがん領域製品、グローバルに展開するインフラおよび研究開発機能に加えて、MGIファーマの がん・救急治療関連製品・開発品とコマーシャルおよび研究開発機能 を得ることになり、売上の継続的拡大やパイプラインの充実を果すとともにシナジーの機会を獲得することになります。
MGIファーマは、 がん化学療法による悪心・嘔吐を適応とするAloxi®や骨髄異形成症候群治療剤Dacogen®、悪性神経膠腫を適応とするGliadel®
Wafer(インプラント型polifeprosan 20 carmustine) などを保有しています。後期開発品には、鎮静剤Aquavan®(申請中)などがあります。また、現製品のAloxi®およびDacogen®の製品価値をさらに高めるために新効能や新規剤形などの開発も進めています。
2007/12/12 日本経済新聞
エ一ザイ のれん代が利益圧迫 米製薬買収 最大、年200億円に
米製薬MGIファーマ(ミネソタ州)の買収を決めたエーザイに、2009年3月期からのれん代の償却負担が利益圧迫要因として重くのしかかりそうだ。買収総額が39億ドル(4300億円超)に膨らんだため年間ののれん償却額は最大200億円程度にまで膨らむ公算が大きい。
ただのれん代の定期償却は2−3年の短期で終わる可能性もある。11年までに日本の会計基準は国際会計基準と共通化される予定。のれん代について日本の会計基準は現在、毎年一定額の費用計上を義務付けているが、国際会計基準はのれんの価値が目減りした場合にのみ減損損失を計上する方式だからだ。減損方式に変わった場合は定期償却をやめる方針だ。
2007年3月22日 エーザイ
米国・バイオベンチャー、モルフォテック社を買収
エーザイの抗体医薬参入に向けたドラマティック
リープ
エーザイ株式会社と米州統括会社エーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカ(ECA)および米国モルフォテック社(Morphotek®
Inc.、本社:ペンシルバニア州、社長:ニコラス・ニコライデス、以下、モルフォテック社)はこのたび、ECAがモルフォテック社を買収する最終契約の締結を発表しました。本契約における買収価額は325百万ドル(純現預金差し引き後)となります。
モルフォテック社は、 抗体医薬の研究開発を専門とするバイオベンチャー企業 で、独自のヒト抗体技術「Human
MORPHODOMA®(ヒューマン・モルフォドーマ)」および「Libradoma(ライブラドーマ)」を使用し、各種がん、関節リウマチ、感染症などの疾患に対する抗体治療薬の開発に取り組んでいます。現在、同社のパイプライン中の2品目がそれぞれ卵巣がんと膵臓がんを対象とした臨床試験に入っているほか、前臨床段階にある候補品目を複数保有しています。
モルフォテック社の主な技術基盤について
完全ヒトモノクローナル抗体産生と最適化技術(Human
MORPHODOMA R ,
Libradoma TM )
○Human MORPHODOMA(ヒューマン・モルフォドーマ)
Human MORPHODOMA技術は、完全ヒトモノクローナル抗体を産生することができる抗体創出基盤です。さらに、モルフォテック社の独占技術およびノウハウにより、細胞による抗体力価の最大化、抗体のクラススイッチ、抗体の抗原への親和性の向上が可能となります。
○Libradoma(ライブラドーマ)
Libradoma技術は、Human MORPHODOMA技術およびモルフォテック社独自の技術を用いて、数千種のハイブリドーマ細胞のライブラリを構築します。その後、ハイブリドーマ細胞から、ハイスループット・ロボットを用いて、望ましい親和性プロファイルをもった抗体を産生する細胞株を速やかに選択します。
2009年12月18日 エーザイ
米国においてAkaRx, Inc.買収の手続きを開始
- 血小板減少症治療剤AKR-501の全世界における開発・販売・製造権を取得
-
エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、AkaRx,
Inc.(本社:ニュージャージー州、代表:Dr. Robert
Desjardines、以下「AkaRx」)の買収手続きを開始すると発表しました。これにより、AkaRxは当社の米国事業会社エーザイ・インクの子会社となります。本件の買収価格は255百万米ドル(約227億円、1ドル=89円で換算)です。
当社は、2008年1月に完了した米国MGI
PHARMA, INC.(以下「MGI」)の買収に伴い、AKR-501(現在の開発品コード:E5501)の開発・ライセンス契約およびAkaRx買収オプション権を保有するに至りました。当社は、本オプション権を行使してAkaRxの株式を100%取得し子会社化するとともに、AKR-501の全世界における開発・
販売・製造権を取得します。本買収は、2010年1月8日までに完了する予定です。
AkaRX
は山之内製薬が藤沢薬品と合併した時にスピンアウトした会社 で、AKR-501
も元々は山之内が YM477 として開発していたものだ。
AkaRx, Inc. is a biopharmaceutical company headquartered in
Paramus, New Jersey, and dedicated to the development of
novel therapeutic treatments that address unmet medical needs
and provide significant benefits over currently available
therapies. AkaRx, Inc. was formed as a spin out of the
Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd and Fujisawa Healthcare,
Inc. merger of 2005.
2007年8月28日、MGI PHARMA社は、血小板減少症の治療薬として開発されているトロンボポエチン模倣薬・AKR-501の開発権をAkaRx社から購入することで合意したと発表した。
エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGI
PHARMA, INC を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。
AKR-501は、血小板産生を促すトロンボポエチン(TPO)受容体のアゴニストで、血小板減少を示す様々な疾患に対する効果が期待されています。現
在、当社が米国において、特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic
Thrombocytopenic Purpura: ITP)および肝疾患に伴う血小板減少症を対象とした第II相試験を進めており、ITPについてはPOC(Proof
of Concept:創薬概念の検証)が確認されています。また、がん化学療法に伴う血小板減少への適応についても可能性を追求していきます。
ITPは、血小板に対する自己抗体が産生されるために血小板が破壊されることから血小板が減少し、さまざまな出血症状を引き起こす疾患であり、患者数は
約80万人(日本・米国・欧州主要国・中国・インド)と推計されています。また、肝疾患においては血小板産生を促すTPOの産生が低下するなどの結果、合
併症として血小板数の減少が起こり出血傾向となることが知られているほか、C型肝炎においては、治療に使用されるインターフェロンが原因で血小板減少症が
起こる場合があり、インターフェロン治療を中断せざるを得ない患者様が多く見られます。そのため、AKR-501が開発されれば、血小板減少症の患者様に
新しい治療の選択肢を提供することが可能となるだけでなく、中国、インドなど肝炎の発症率が多い国での患者様への貢献拡大につながることが期待できます。
当社は、今回の買収を通じ、開発品ラインナップのさらなる強化を図り、アンメットメディカルニーズを充足することにより、より多くの患者様とご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。
<参考資料>
■AkaRx, Inc.について
所在地
: 米国ニュージャージー州ブリッジウォーター
社長
: Dr. Robert E. Desjardins
設立
: 2004年12月1日
開発品
: AKR-501
■AKR-501について
AKR-501(現在の開発品コード:E5501)は、巨核球およびその前駆細胞に作用して血小板産生を促進するトロンボポエチン(TPO)の受容体アゴ
ニストで、経口投与により血小板数増加を促進させることにより、血小板減少を示す様々な疾患に対する効果が期待されている新規化合物です。
現在、当社は米国において特発性血小板減少性紫斑症(Idiopathic
Thrombocytopenic Purpura: ITP)および肝疾患に伴う血小板減少症を対象とした第II相試験を進めており、ITPについてはPOC(Proof
of Concept:創薬概念の検証)が確認されています。
■特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
ITPは、血小板に対する自己抗体が産生されるために血小板が破壊されることから血小板が減少し、さまざまな出血症状を引き起こす疾患です。患者数は約
80万人(日本・米国・欧州主要国・中国・インド)と推計されています。小児に多い急性型と成人に多い慢性型に分けられますが、後者の約5〜20%は治療
抵抗性(もしくは難治性)と言われています。
■肝疾患に伴う血小板減少症
肝疾患においては血小板産生を促すTPOの産生が低下するほか、門脈圧亢進に伴う脾臓における血小板破壊亢進することなどにより、合併症として血小板数の
減少が起こり出血傾向となることが知られています。その場合、外科的処置として血小板輸血が行われることがありますが、輸血用血小板の確保や感染症のリス
クから、より有用性の高い薬剤の開発が求められています。また、C型肝炎では、治療に用いられるインターフェロンが原因で血小板減少症が起こる場合があ
り、インターフェロン治療を中断せざるを得ない患者様が多く見られます。
2011/7/13
日本経済新聞
エーザイ、インドで医薬品一貫生産 新興国向け拠点に 年度内にも原料製造開始
エーザイは
インドで医薬品の一貫生産に乗り出す。医薬品の効能を大きく左右し、これまでは国内だけで手掛けていた原料の生産を今年度中にもインドで始める。2014
年をめどにインドでの原料生産能力を日本を上回る規模に引き上げる計画だ。現地での一貫生産でコストを低減し、需要が拡大する新興国向けの供給拠点とす
る。
インドは低価格の後発薬を
中心に生産拠点が集積する製薬業界の「世界の工場」になりつつあり、人材や設備・機器調達で低コストの生産システムを構築しやすい。第一三共が買収した現地大手ランバクシー・ラボラトリーズを通じて事業を拡大し、武田薬品工業は医薬品の委託生産を検討。エーザイが中核の生産拠点を置くことで、インドを新興
国戦略に活用する動きが一気に広がる。
原料は09年に建設したバイザック工場(アンドラプラデシュ州)で生産する。原料を混ぜ合わせ最終製品にする製剤工程はすでに稼働してお
り、原料生産にも広げる。規制当局の認可を得られれば今年度中にも生産を始める。認知症薬や感染症薬などをインドで一貫生産できる体制が整う。
(医薬品の販売) Eisai Pharmaceuticals India,
Pvt. Ltd.
Marwah Centre Krishanlal
Marwah Marg, Andheri (East), Mumbai
(医薬品の工業化研究・製造) Eisai Pharmatechnology
& Manufacturing Pvt. Ltd.
Ramky Pharma
City (SEZ), Visakhapatnam District Andhra Pradesh,
India
原料の当初の生産能力は年30トン前後の見通し。追加の設備投資を継続し14年ごろには日本の生産能力である年200トンを上回る規模にする。
エーザイの海外売上高比率は11年3月期で52%と製薬業界で最高水準。ただ欧米が中心で、それ以外の地域は5%にとどまる。医薬品の価格水準が低い新興国での販売拡大に向け、生産・輸出拠点としてインドが最適だと判断した。
国内では原料を鹿島事業所(茨城県神栖市)で生産しており、今後も生産水準と雇用を維持する。東日本大震災の影響で操業を一時停止したのを受け、インド生産で国内への一極集中リスクを回避する狙いもある。
インドは国策で製薬産業を振興し、15年の生産額は450億ドル(約3兆6000億円)を超える見通し。生産用機器の調達費や労務費が先進国より3割以上安いとされる。国際的な品質基準を満たす企業やそれを担う人材も増えている。
2013/4/5 エーザイ
ロシアでの自社販売開始に向けてモスクワに医薬品販売会社を設立
エーザイは、ロシアにおける医薬品販売会社「Limited Liability Company
Eisai」をモスクワに設立しましたのでお知らせします。エーザイ・ロシアは、エーザイ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)の子会社となります。
ロシアの医薬品市場は、世界第11番目の市場規模を持ち、今後も2桁の高い成長が期待されています。当社は、2007年10月にモスクワに駐在員事務所を設立し、製品の申請登録作業を進め、2012年度に抗がん剤「Halaven®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)、てんかん治療剤「Zonegran®」(一般名:ゾニサミド)、および「Exalief®」(EU製品名「Zebinix®」、一般名:
eslicarbazepine
acetate)について承認を取得しました。このたび、自社による製品販売開始に向けて、販売会社エーザイ・ロシアを設立しました。エーザイ・ロシアは、2013年度第1四半期に「Halaven®」を、続いて「Zonegran®」、「Exalief®」を発売していく予定です。また現在、AMPA
受容体拮抗剤「Fycompa®」(一般名:ペランパネル)についても承認申請中です。
当社は、大グローバリゼーションの時代において、中期戦略計画「はやぶさ」に掲げたグローバルトップ20カ国の医薬品市場すべてに進出を果たし、5億人を越える患者様に貢献することをめざしています。エーザイ・ロシア設立により、ロシアの患者様に当社の革新的医薬品をお届けし、当地域の患者様とご家族のベネフィット向上につとめてまいります。
<参考資料>
1. エーザイ・ロシアの概要について
1) 会社名:
Limited Liability Company Eisai
2) 所在地:
ロシア モスクワ
3) 社長:
Igor Galaburda
4) 事業内容:
医薬品の販売および販売促進
5) 設立資本金:
163 百万ルーブル(4 百万ユーロ)
6) 出資者:
エーザイ・ヨーロッパ・リミテッド
7) 設立日:
2013年4月1日(現地時間)
2. 中期戦略計画「はやぶさ」における大グローバリゼーションへの取り組みについて
当社は、大グローバリゼーション時代において、計画「はやぶさ」に掲げたグローバルトップ20カ国の医薬品市場すべてに進出を果たします。計画「はやぶさ」を策定した2011年3月時点で新たに進出を予定していた8カ国(ロシア、カナダ、ブラジル、オーストラリア、トルコ、ポーランド、メキシコ、ベネズエラ)の内、ロシアのほか、オーストラリア(2006年1月)、カナダ(2010年4月)、ブラジル(2011年4月)、メキシコ(2011年8月)に医薬品販売会社を設立しています。当社は、総合的な疾患ソリューションの提供や官民パートナーシップなどによる医薬品へのアクセスの拡大、アフォーダブルプライシング(中間所得層が入手可能な価格設定)、ティアード・プライシング(所得レベルに応じた価格設定)の実施などに取り組み、成熟・新興市場に未だ存在する大きなアンメット・メディカル・ニーズを充足し、当社の製品提供を受ける患者様数(累計)を2006〜2010年度の2億人超から
2011〜2015年度には5億人超まで飛躍的に拡大することで、一人でも多くの患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。
平成27 年10 月15 日
エーザイの消化器疾患領域事業と味の素製薬の統合(吸収分割)に関する統合契約締結について
―国内最大の消化器スペシャリティファーマを目指して―
エーザイと味の素は、本日開催されたエーザイの執行役会および味の素社の取締役会において、エーザイが消化器疾患領域に関連する事業の一部を吸収分割の方法により分割し、味の素社の100%子会社である味の素製薬がこれを承継することを内容とする統合契約を締結することが決議され、同日にエーザイおよび味の素社は同契約を締結しましたのでお知らせしま
す。
新統合会社の商号は「EAファーマ(EA Pharma Co.,
Ltd.)」とし、エーザイと味の素社がその株式の60%および40%をそれぞれ保有します。新統合会社は、エーザイの連結子会社、味の素社の持分法適用会社となります。
1. 新統合会社設立の目的
エーザイは、消化器疾患領域において60
年以上にわたって創薬活動や情報提供活動を行ってきた歴史を持ち、本疾患領域に有力な製品や開発パイプライン、ならびに長年の活動に基づく豊富な知識、経験、ネットワークを有しています。一方、味の素製薬は、うま味から出発したアミノ酸技術をベースとしたグローバル健康貢献企業グループを目指す味の素グループのもとで、特に消化器疾患領域において他社にはないユニークな製品、開発パイプラインを保有しています。今回、エーザイの消化器疾患領域事業と味の素製薬の事業を統合することにより、国内最大級の消化器スペシャリティファーマとなる「EA
ファーマ株式会社」が誕生します。
消化器疾患領域は、高齢化による罹患率の増加のみならず、生活様式の変化や社会的ストレスの増加などを背景に、より若い世代を中心にクローン病や潰瘍性大腸炎といった難治性の自己免疫疾患が急増するなど、未だ満たされない医療ニーズの高い領域です。新統合会社では、販売製品の統合により、上部・下部消化管および肝臓、膵臓を網羅的にカバーする品揃えを実現することで、消化器疾患領域においてさらに幅広いソリューションと専門性の高い情報の提供が可能となります。また、研究開発においては、双方の開発品を組み合わせることで今後の継続的な新薬上市に向けた開発パイプラインの拡充が実現するとともに、本疾患領域における両社の知見・ノウハウを一体化することでこのような未だ満たされない医療ニーズに応える革新的な新薬の創出を目指します。さらに、将来の開発製品の発売に際しては、その海外展開において、エーザイの海外事業ネットワークを活用して患者様価値の最大化が期待できます。
新統合会社は、本統合による販売シナジーのほか、重複機能の見直し等の効率化の追求により収益性を高め、新薬開発のための十分な資源を確保し、継続的な成長を実現してまいります。また、国内最大級の消化器スペシャリティファーマとして、本疾患領域における患者様ニーズをきめ細かく把握し、それに応えていくことで、患者様とそのご家族、医療従事者の皆様へより高質な価値を提供してまいります。
2. 統合の要旨
1) 本統合契約および本吸収分割の日程
本統合契約および本吸収分割契約承認執行役会(エーザイ) 平成27 年10 月15 日
本統合契約承認取締役会(味の素社) 平成27 年10 月15 日
本統合契約締結(エーザイ、味の素社) 平成27 年10 月15 日
本吸収分割契約締結 (エーザイ、味の素製薬) 平成28 年2 月(予定)
臨時株主総会開催日(味の素製薬) 平成28 年3 月(予定)
本吸収分割効力発生日 平成28 年4 月1 日(予定)
エーザイを分割会社とし、味の素製薬を承継会社とする吸収分割です。
3) 株式の割当ての内容
味の素製薬は本吸収分割の対価として、味の素製薬の普通株式6,000 株をエーザイに割当交付します。その結果、エーザイは新統合会社の発行済株式総数の60% を保有します。
なお、味の素社は、本吸収分割効力発生日の前日までに、味の素製薬の株式について一部併合を行い、味の素社の保有する味の素製薬の株式数を4,000 株とします。
中国のジェネリック医薬品企業 遼寧天医生物製薬株式有限公司を買収
−中国における広範な医薬品ニーズの充足に向けた事業基盤の強化−
エーザイは、このたび、当社の中国統括会社である「衛材(中国)投資有限公司(Eisai China Holdings
Ltd.)」(所在地:江蘇省蘇州市)が、中国ジェネリック医薬品会社「遼寧天医生物製薬 株式有限公司」(本社:中国遼寧省本渓市、以下
天医)の株主である、「遼寧龍源教育産業投資管理集団有限公司」の董事長兼総裁・趙暁軍(Xiaojun Zhao)氏と孫虹(Hong Sun)氏から、天医の全株式を取得 する契約を締結したことをお知らせします。本契約に基づく買収額は、500百万元(約96億円、1元=19.2円換算)となります。なお、本契約は移管条件が整い次第発効します。
天医は、瀋陽薬科大学を含む6つの薬学系大学と、約100社の製薬企業からなる製薬クラスターとして知られる本渓国家高新技術産業開発区(通称
薬都)に所在する医薬品や医薬品原薬の製造および販売を行う中国のジェネリック医薬品会社 です。消炎・鎮痛、認知症、胃炎、整腸、糖尿病、慢性動脈閉塞症などの治療剤や漢方薬、および免疫調整剤など幅広い疾患領域に約90品目の製造承認を有しています。また、錠剤、カプセル、顆粒剤、液剤や凍結乾燥注射剤といった様々な剤型に対応可能な中国GMPに適合する最新の生産ラインと技術を保有しています。
中国の医薬品市場は米国に次ぐ世界2位の規模に発展しており1 、中国の経済成長が鈍化する中にあっても、急激な高齢化の進展と政府が推進する医薬品アクセスの向上策による量的拡大により、今後も継続的に高い成長性が予測されています。特に、これまで医薬品アクセスが不十分であった内陸部や地方の中小都市や中小病院において処方の中心となっているジェネリック医薬品は、より高い成長が期待されています。一方、政府はジェネリック医薬品に対してブランド医薬品と同等の高い品質を強く求めています。当社の厳しい品質管理・保証システムのもとで天医のGMP工場から高品質な製品を安定供給することは、中国市場のニーズに応えるものです。
本買収により、当社は中国において、現在展開している新薬を中心とした事業に加えて、ジェネリック医薬品事業に参入します。当社の25年にわたる中国での事業基盤を一層発展させ、高品質なジェネリック医薬品を安定的に供給することにより、中国におけるより広範な医療ニーズの充足が可能となります。また、蘇州/上海に次ぐビジネス拠点として本渓市に進出することにより、薬都のアカデミアとの連携も強化し、更なる成長機会を模索していきます。当社は引き続き、中国全域にわたる多くの患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。
なお、今回の契約締結による2016年3月期の連結業績予測に与える影響は軽微です。以上
<参考資料>
1. 遼寧天医生物製薬株式有限公司の概要
名称
(英名)
遼寧天医生物製薬株式有限公司
(Liaoning TianYi Biological Pharmaceutical Co., Ltd.)
所在地
中国遼寧省本渓市
設立
2011年12月
董事長
趙暁軍(Xiaojun Zhao)
従業員数
約 250 名(2015年6月現在)
資本金
50百万元
売上、利益資産
売上:34百万元、当期利益:3百万元(2015年1月∼6月期、6ヶ月間)
事業内容
医薬品およびその原薬の製造、販売
年間生産能力
錠剤10億錠、カプセル4億粒、顆粒剤5千万パック、粉剤5千万パック、液剤4千万ボトル、注射剤3千万本、凍結乾燥注射剤3千万本、原薬300トン
2. 中国医薬品市場について
中国の医薬品市場は、米国に次ぐ世界2位の市場規模を有し、2014年の市場規模は1,093億ドル(約13.1兆円)、前年比+12%1 となっています。中国の経済成長が鈍化する中にあっても、急激な高齢化の進展と政府が推進する薬剤アクセスの向上のための医療制度の改革による量的拡大により、今後も安定的な高い成長性が予測されています。
中国医薬品市場では、金額ベースでその約8割をジェネリック医薬品が占めています。政府はジェネリック医薬品の品質向上をめざしており、ブランド品と同等の高品質なジェネリック医薬品の安定供給が強く求められています。今後、医療制度改革の進展に伴い、高質な医療へのニーズは、大都市のみならず内陸部や地方の中小都市にも拡大していくことが予測されます。
3. 当社の中国事業展開について
当社の中国ビジネスは、25年にわたる歴史を有しています。1991年の合弁会社による進出に始まり、
1996年には製造、販売機能を持つ100%子会社の「衛材(蘇州)製薬有限公司(Eisai China
Inc.)」(現「衛材(中国)薬業有限公司(Eisai China
Inc.)」)を設立しました。さらに、2010年には導入品の直接輸入などのため「衛材(蘇州)貿易有限公司(Eisai (Suzhou)
Trading Co.,
Ltd.)」を設立し、現地に根ざした事業展開を行っています。2014年12月には、これら2社を傘下におさめる中国統括会社として、「衛材(中国)投資有限公司(Eisai
China Holdings
Ltd.)」を新たに設立しました。これにより、中国国内における迅速な意思決定を可能とする、自律的なマネジメント体制を確立しました。
本買収により、当社は中国において、現在展開している新薬を中心とした事業に加えて、高品質なジェネリック医薬品事業に参入します。本契約の発効後、「遼寧天医生物製薬株式有限公司」の社名を「衛材(遼寧)製薬有限公司(Eisai
(Liaoning) Pharmaceutical Co., Ltd.)」に変更し、「衛材(中国)投資有限公司」の100%子会社とする予定です。
2017年10月23日
Biogen & エーザイ Biogen とエーザイが臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大
・
エーザイはaducanumabの共同開発・共同販促のオプション権を行使し、Biogenは引き続き開発をリードする
・
拡大された提携契約に基づき、aducanumabの販売に向けて、各地域において各社が有する強みをレバレッジし、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整する
・ Biogenとエーザイは、日本において、多発性硬化症治療剤「アボネックス®」、「タイサブリ®」、「テクフィデラ®」について、現在Biogenが訪問していない施設に対する共同販促を行う
エーザイとBiogenは、このたび、アルツハイマー病(AD)治療剤の共同開発・共同販売に関して提携契約を拡大したことをお知らせします。
本契約に基づき、エーザイは、アルツハイマー病(AD)の患者様に向けた、Biogenの抗アミロイドβ(Aβ)抗体aducanumabに対する共同開発・共同販促オプション権を行使しました。
拡大された提携契約に基づき、aducanumabの販売に向けて各地域において各社が有する強みや販売基盤をレバレッジするとともに、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整します。
Biogenは、米国において利益の55%、欧州において68.5%をそれぞれ受領します。
エーザイは、日本とアジア(中国、韓国除く)において利益の80%を受領します。
その他の地域では利益を折半します。
日本とアジア(中国、韓国除く)ではエーザイが売上を計上し、米国、欧州を含むその他の地域ではBiogenが売上を計上します。
Biogenは、現在進行中のaducanumabの臨床第III相試験を引き続き主導し、2018年3月末まで全ての研究開発費を負担します。エーザイは、2018年4月から12月末まで15%、2019年1月以降45%の研究開発
費用を負担します。
オプション権行使に伴う一時金の支払いはありません。
また、原契約にて規定されていたaducanumabおよび抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401に関する両社のマイルストンの支払いは解消します。
その他、両社が開発を進めているβサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat※(開発コード:E2609)とBAN2401に関する経済条件については、前述のBAN2401に関するマイルストン支払いの解消を除い
て、変更はありません。
さらに、エーザイとBiogenは、日本において、Biogenの多発性硬化症治療剤「Avonex®(アボネックス®)」、「Tysabri(タイサブリ®)」、「Tecfidera®(テクフィデラ®)」について、現在Biogenが訪問
していない施設に対する共同販促を行うことに合意しました。また、エーザイは、アジア(中国除く)において、上記3製品と「Plegridy®」について販売を行い、その売上を計上します。
BiogenのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「この新しい連携が、aducanumabの価値最大化、および業界をリードするBiogenの多発性硬化症治療薬のポートフォリオ拡大につながると考えています。エーザイとBiogenの連携を通じ、互いの専門性や強みを活かすことにより、アルツハイマー病に苦しむ患者様とそのご家族に新たな治療をお届けすることをめざします。」と述べています。
また、エーザイのCEOである内藤晴夫は、「エーザイは、Icelandic Genetic
Researchなどの遺伝疫学的研究や、aducanumabの臨床第Ib相試験をはじめとする様々な臨床試験における知見から、Aβ仮説に基づく創薬への確信を深めています。最先端のバイオ技術を駆使し重篤な神経学的疾患・神経変性疾患に対する革新的治療の開発を行うBiogenと、多元的アプローチにより豊富なパイプラインを有するエーザイが連携強化することにより、認知症に対する新たな治療パラダイムを確立します。
新パラダイムのもと、両社のパイプラインの共同開発をさらに進めAβ仮説に基づく世界初の次世代AD治療剤の創出をめざします。さらに、各リージョンにおける両社の強みを活かして、患者様とそのご家族のベネフィットの最大化をはかります。」と述べています。
参考
1. Aducanumab(BIIB037)について
アルツハイマー病の治療薬として、日本、米国や欧州などで臨床第III相試験が進行中の治験薬です。
Aducanumabは、リバース・トランスレーショナル・メディシン(RTM)と呼ばれるNeurimmune社のテクノロジー・プラットフォームを用いて作成されたヒト遺伝子組換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者、または進行が異常に遅い認知機能障害のある高齢者から採取した、非特定化B細胞ライブラリーに由来します。バイオジェンは、Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとにaducanumabを導入しました。
Aducanumabは、可溶性オリゴマーと不溶性線維などが凝集してアミロイドプラーク を形成しうる形態のAβを標的とすると考えられています。これらのAβは、アルツハイマー病患者の脳内でアミロイドプラークを形成します。非臨床データおよびこれまでに得られた臨床第Ib相試験データに基づき、aducanumab投与はアミロイドプラークのレベルを下げることが示されています。
2017年4月にaducanumabは厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象となっています。
2016年9月に米国食品医薬品局(FDA)のファストトラック指定、2016年8月には欧州医薬品庁(EMA)のPRIME(プライオリティー・メディシンズ)制度の対象になっています。
アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。
2.日本とアジアにおける多発性硬化症治療剤(MS)での連携
バイオジェンのMS治療剤による患者様貢献のさらなる拡大のため、両社は日本とアジア(中国除く)において
販売提携します。
エーザイは、日本において、バイオジェンの多発性硬化症治療剤「Avonex(アボネックス)」、「Tysabri(タイサブリ)」、「Tecfidera(テクフィデラ)」について、現在バイオジェンが訪問していない施設に対してエーザイが共同販促を行います。
また、エーザイは、アジア(中国除く)において、上記3製品と「Plegridy」について、独占的販売権を取得します。
ーーーーーーーーーー
アルツハイマー病は認知症の原因として最も頻度の高い疾患であり、その病因にはAβペプチドからなるアミロイド物質(βアミロイド)の脳内蓄積が重要と考えられています。
現在、アルツハイマー病の根本的治療薬候補として、ヒト化抗Aβ抗体を投与する受動免疫療法が最も有望視されており、本邦を含む世界中で多数の臨床治験が開始されています。
2018/3/8 エーザイ & Merck
& Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.
エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J.,
U.S.A. エーザイ創製の抗がん剤「レンビマ®」に関してがん領域における戦略的提携に合意
チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」の単剤療法ならびに抗PD-1抗体「キイトルーダ®」の併用療法について、複数のがん種に対する共同開発・共同販促を行います。
「レンビマ」に関する売上収益はエーザイが計上し、開発およびマーケティング費用ならびに粗利益を、両社で折半します。
「レンビマ」と「キイトルーダ」の腎細胞がんに対する併用療法については、米国FDAからブレイクスルーセラピーの指定を受けています。
本提携により、両社の共同開発を他の6がん種における11の適応取得に向けて拡大します。
「レンビマ」に関する豊富なリアルワールドエビデンスを有するエーザイと、強固なコマーシャル・メディカル体制を有するMerck & Co., Inc.
Kenilworth, N.J., U.S.A.が、
現在取得している適応に加え今後取得をめざす適応において、全世界の患者様アクセスを促進します。
エーザイとMerck & Co., Inc.Kenilworth, N.J., U.S.A.は、このたび、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」 (一般名:レンバチニブメシル酸塩)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したことをお知らせいたします。
本契約に基づき、両社は、「レンビマ」の単剤療法 、ならびにMerck & Co.,
Inc.Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法 における、共同開発と共同販促を行います。
機能
承認
開発中
抗PD-1抗体
免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止
オプジーボ(小野薬品 / BMS)
キイトルーダ(米Merck)
抗PD-L1抗体
癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止
Roche / 中外製薬
AstraZeneca
独Merck / Pfyzer
抗CTLA-4抗体
免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止
ヤーボイ(BMS / 小野薬品)
AstraZeneca
2016/11/30 オプジーボと競合する米メルクの癌免疫薬承認へ
「レンビマ」に関する単剤療法ならびに併用療法に関するグローバルの売上収益はエーザイが計上し、両社は粗利益を折半します。
「レンビマ」は、甲状腺がん に対する単剤療法および腎細胞がん (二次治療)に対するエベロリムス(免疫抑制剤・抗癌剤)との併用療法に係る適応で承認を取得しており、さらに肝細胞がん に対する単剤療法について、日本、米国、欧州、中国などにおいて承認申請を行っています。
腎細胞がんを対象とした、「レンビマ」と「キイトルーダ」あるいはエベロリムスとの併用療法に関する臨床第III相試験(307試験)をエーザイが実施中です。
さらに、進行性または転移性腎細胞がんの適応に対する「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法について、2017年12月に米国食品医薬品局(FDA)より、ブレイクスルーセラピーの指定を受けています。
本指定は両社が共同で実施中の複数の固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験/KEYNOTE-146試験)の中間結果に基づくものです。
子宮内膜がんと腎細胞がんを対象とする中間結果では、治療歴やPD-L1発現の有無など患者様背景に関わらず奏効率における顕著な相乗効果が示唆されています。
本提携により、エーザイとMerck & Co., Inc.Kenilworth, N.J., U.S.A.は、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法 に関して、6がん種 (子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマ)における治療歴に応じた11の適応取得を目的とした臨床試験に加え、複数のがん種に対するバスケット型試験を共同して速やかに開始します。
エーザイの代表執行役CEOの内藤晴夫は、「“Cancer
Evolution”の時代において、「レンビマ」のポテンシャルを最大化し、革新的治療法の創出を一日も早くもたらすため、抗PD-1抗体「キイトルーダ」を有するメルクとこのたび提携しました。これまで治癒が見込めなかった難治性がんに対しても、新たな選択肢を提供することで、患者様とそのご家族のベネフィット向上により貢献してまいります。」と述べています。
Merck Research LaboratoriesのPresidentであるDr. Roger M. Perlmutterは、「当社はエーザイと共に、現在の適応症に対する「レンビマ」の価値を最大限に引き出すとともに、「キイトルーダ」との併用により、さらに幅広い種類のがんに対する追加承認をめざします。「キイトルーダ」と「レンビマ」との併用療法における相乗効果は、強固な科学的根拠に裏付けられています。また、私たちは、すでに腎細胞がんに対するブレークスルーセラピー指定を米国FDAより受領しています。私たちは、今回の提携を通じて、がん領域のポートフォリオを拡大することにより、全世界でより多くのがん患者様を支援できる機会が得られる事をうれしく思います。」と述べています。
「レンビマ」に関する売上収益はエーザイが計上し、開発およびマーケティング費用ならびに粗利益を、両社で折半 します。
本提携により、Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J.,
U.S.A.はエーザイに対し、契約一時金として3億米ドル(約320億円、1ドル=106円換算)、特定のライセンスオプション権行使に対して2020年度までに最大6.5億米ドル(約690億円)を支払います。また、Merck
&Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.はエーザイに対し、研究開発費の償還として4.5億米ドル(約480億円)を支払います。
さらに、Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J.,
U.S.A.は、開発マイルストンとして最大3.85億米ドル(約410億円)および販売マイルストンとして最大39.7億米ドル(約4,210億円)を支払います。
すべての開発・販売マイルストンを達成した場合には、契約一時金、ライセンスオプション権行使に対する一時金を含め、最大で総額57.6億米ドル(約6,110億円)が、Merck
& Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.からエーザイに支払われる予定です。
2022年1月6日 エーザイ
抗がん剤H3B-8800(スプライシングモジュレーター)について、Roivantと独占的ライセンス契約を締結
エーザイは、このたび、当社の米国研究子会社H3 Biomedicine Inc.が創製し、スプライシングモジュレーターとして開発中の
抗がん剤H3B-8800 について、Roivant Sciences Ltd.の子会社にグローバルにおける研究、開発、製造、販売に関する独占的権利 を供与するライセンス契約を締結したことをお知らせします。
H3B-8800(Roivantの開発品コード:RVT-2001)は、H3 Biomedicine Inc.で創製された経口投与可能な低分子のSplicing
Factor 3B subunit 1 (SF3B1)モジュレーターです。遺伝情報からタンパク質を合成する過程においては、タンパク質合成に不要なメッセンジャーRNA(mRNA)の塩基配列であるイントロンを取り除くスプライシングが行われます。一部の血液および固形がんでは、このスプライシング因子をコードする遺伝子に変異が認められます。SF3B1は、スプライシング因子において特に頻度の高い遺伝子変異です。本剤はSF3B1に結合し、がんにおける異常なmRNAスプライシングを調節することで抗腫瘍効果を発揮することが非臨床の研究モデルで示されています3。現在当社とH3
Biomedicine Inc.が、SF3B1遺伝子変異を有する骨髄異形成症候群の患者様を対象とした臨床第T相試験を米国、欧州で実施中です。
本契約に伴い、当社は契約一時金を受領するとともに、開発、薬事の進捗に応じたマイルストンペイメントおよび上市後には売上収益に応じた一定のロイヤルティを受領する予定です。
Roivantは、独自のビジネスモデルを持つバイオ医薬品企業であり、多様な領域において効率的な臨床開発を行う「Vants」という子会社を設立しています。当社は、Roivantとの本ライセンス
契約により、本剤の価値が最大化されることを期待しています。当社は、引き続き最先端のがん研究に基づく創薬を加速し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。
<参考資料>
1. H3 Biomedicine, Incについて
H3 Biomedicine,
Incは、米国マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするバイオファーマであり、統合データベースに基づいたデータサイエンス、ヒューマンバイオロジー、最新の有機合成化学を活用したプレシジョンメディシンである次世代抗がん剤の探索研究および開発を通じ、患者様に貢献することをめざしています。H3
Biomedicineは、2010年12月にエーザイ株式会社の米国事業会社であるEisai Inc.の子会社として設立されました。H3
Biomedicineは、パイプラインの長期かつ継続的な充足をめざし、グローバル製薬企業としての能力とリソースを有する当社から必要な研究開発費とノウハウの提供を受けて緊密に連携しています。
2. Roivantについて
Roivantは、有効な治療法のないあらゆる疾患を事業機会と捉え、患者様に対する医療提供の向上を使命としています。自社プラットフォームから機敏性と高い専門性を有するバイオファーマ・ヘルステクノロジー企業「Vants」を複数立ち上げ、独創的な方法による技術確立と人材育成を行うことにより、変革をもたらす医薬品をより早く開発しています
参考 2019/11/4 大日本住友製薬、Roivant
Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資
2024/7/24
エーザイとエコナビスタ、認知症エコシステムの構築をめざす業務提携契約の締結と協業を開始
エーザイとエコナビスタ株式会社は、このたび、日本の超高齢社会において喫緊の課題である認知症領域でのエコシステムの構築をめざして、業務提携契約を締結するとともに、協業を開始したことをお知らせします。
長年にわたり認知症領域のパイオニアとして創薬活動や疾患啓発活動を行ってきたエーザイと、介護の現場におけるSaaS(Software
as a Service) 型 高齢者施設見守りシステムのトップランナー※1 であるエコナビスタは、両社が保有するノウハウ・技術・ネットワーク等を活用し、エーザイの脳の健康度のデジタルチェックツール「のうKNOW® 」や、エコナビスタの睡眠や生活習慣データから健康状態の推移を可視化する「ライフリズムナビ® 」および同社が開発し特許を保有する「認知症予測モデル」(特許第7017740号)などを用い、高齢者施設の入居者に対して認知機能の変化に対する気づきを促す実証実験 を推進します。
超高齢化が進む日本においては、比較的健常な状態から高齢者施設の一般居室棟(自立型)※2 やシニア向け分譲マンション※3 への入居を選択される方も多く、入居期間が長期に渡ることがあります。これらの住棟においては、基本的に介護サービスは提供されないため介護関連スタッフ等との接点もなく、入居者の認知機能の変化に関する気づきの機会が少ないことから、軽度認知障害(MCI)や認知症 が進行してから周囲が気づくといった実態があります。本実証実験はこのような課題に対し、ライフリズムナビを導入済みの施設を対象に(最大200施設)、各プロダクトを活用して入居者の認知機能の変化を早期に発見し示唆 することで、潜在的なMCI・認知症の発見に繋げる ことをめざします。さらに、将来的には両社の強みを活かすことで、健常な高齢者も対象としたMCI・認知症発見の早期化に向けた共同研究や、認知症予測モデルの在宅介護領域における適用可能性の検討などを進めていきます。
エーザイは、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc )」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。認知症をはじめとする「神経領域」のほか、「がん領域」「グローバルヘルス」におけるアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と、他産業との連携によるエコシステム構築に取り組んでいます。
エコナビスタは、「睡眠解析技術 で、未来社会に健康と安心を提供する」
というミッションのもと、サービスの提供を通じてクラウドに蓄積された継時的な睡眠・生活習慣のビッグデータに対し独自の解析技術を適用することで、健康状態の推移を予測するAIの開発を行っています。またこれらのAIを各種サービスに実装することで、介護DXの推進を始めとしたさまざまな領域における社会課題の解決を図っています。
今回の業務提携契約に基づき、エーザイとエコナビスタは、認知症エコシステムの構築を通じて、社会課題の解決に貢献してまいります。
※1 2023年10月25日発行 高齢者住宅新聞 見守りシステム
アンケート調査より。
※2 老人ホーム・介護施設と総称される施設のうち、まだ直接的な介護を必要としていない方が入居する高齢者施設の一形態。介護サービスが提供される介護居室に対して一般居室、一般棟ともいう。
※3 バリアフリー化されており、また娯楽設備が充実している自立した高齢者向けマンション。施設側からの介護サービスは提供されない。
<参考資料>
1.
エーザイの「のうKNOW」について
「のうKNOW」(非医療機器)は、Cogstate
Ltd.(本社:オーストラリア)が創出したアルゴリズムに基づきエーザイが開発した、パソコン、タブレット端末またはスマートフォンを用いた簡便なトランプテストによって、脳の反応速度、注意力、視覚学習および記憶力をチェックすることができるツールです。利用者が単独かつ短時間(約15分)でチェックすることができ、日常生活や健診等において、定期的なセルフチェックが可能です。これまでに多数の健診機関・研究機関・自治体・企業・大学で導入されています。
詳細は、https://nouknow.jp/ をご覧ください。
2.エコナビスタの「ライフリズムナビ」について
ライフリズムナビは、睡眠解析技術をベースにしたSaaS型高齢者施設見守りシステムです。居室内外に設置できるさまざまなセンサー・機器を活用して、ご入居者様のプライベートを尊重しながら見守りを行えます。取得したデータは独自の解析機能によりわかりやすく数値化・アイコン化してリアルタイムに各端末に表示され、同時にそれらのデータは介護記録ソフトに自動で連携入力されます。現場の業務負担を軽減し、質の高い介護の提供につながるサービスとして評価され、これまでに累計ご利用者数は26,000人を超えました。詳細は、https://info.liferhythmnavi.com/ をご覧ください。
3.エコナビスタの「認知症予測モデル」について
認知症予測モデルは、エコナビスタが保有する膨大な睡眠・バイタルのビッグデータを解析することで生み出した健康状態の推移を予測するAIの一つであり、対象者の一定期間のデータを解析することで、認知機能の変化を予測するものです。
具体的には対象者の睡眠データを始めとする生体データをある期間において取得・解析し、一定期間経過後、再び同様のデータを取得・解析します。これらの結果を相互に比較し、さらに解析することで、対象者の認知機能が維持される、改善する、悪化する等の傾向を予測できるようになるものです。
2024年7月25日 日経
エーザイ、認知症検査を血液で簡易に 治療薬普及へ
エーザイはアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の普及に向けて次の一手を打ち出す。少量の血液で治療薬投与の是非を簡単に判断できる技術 の開発を進めており、2026年度の実用化を目指す。内藤景介代表執行役専務・最高執行責任者(COO)は「認知症のプラットフォーマーになる」と意欲をみせる。
レカネマブはエーザイと米バイオジェンが共同開発したバイオ医薬品だ。アルツハイマー病の原因物質の一つとされるたんぱく質「アミロイドベータ」を患者の脳内から取り除く。臨床試験(治験)では病気の進行スピードを27%緩やかにする効果が確認された。18カ月間の治験による推計で、症状の進行を7カ月半遅らせる効果を見込んでいる。
23年7月に米国で正式承認を取得し、その後は日本や中国でも承認を取得した。投与を受けられる地域は世界に広がっており、24年度は世界で565億円の売り上げを見込む。23年12月に投与が始まった日本でも対応可能な医療機関は足元で1000カ所程度となったようだ。
アルツハイマー病部門など事業全般を統括する内藤COOは「処方や治療体制の構築は順調に拡大している」と話す。
レカネマブの売上高目標は32年度に1兆3000億円と高く設定するが、普及は道半ばだ。大きな理由は投与対象が早期のアルツハイマー病患者や軽度認知障害(MCI)に限られる ためだ。
レカネマブを投与するには脳内のアミロイドの蓄積の有無を調べる検査 が必要となる。大型装置となる陽電子放射断層撮影(PET)という検査や麻酔が必要な脳脊髄液(CSF)と呼ばれる検査が必要で患者の負担が大きい。現在はレカネマブを投与できる施設は都市部が中心となっているが、今後は地方にも臨床医との連携や患者への啓発を通じて処方を広げる必要がある。
切り札が複数の医療機器メーカーとデータやサンプルの提供などで連携して進める血液検査技術 だ。血液の中に含まれる微量のアミロイドを検出 し、患者の脳内でどの程度アミロイドが蓄積するかを予測 することができる。PETやCSF検査に近い精度で予測ができるようになるといい、内藤COOは「26年度ごろの実用化を目指したい」と自信をみせる。
また治療薬自体の使い勝手を高める技術も開発中で、レカネマブを患者本人や介助者らが1分程度で投与できる皮下注射製剤 も準備する。テルモと専用の注射器を共同開発しており、こちらは25年度の実用化を目指す。また初回投与までを含めた承認取得については26年度ごろを予定する。
認知症薬で世界に先行するエーザイだが、強力なライバル薬も登場した。米食品医薬品局(FDA)は7月2日、米イーライ・リリーのアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ(製品名キスンラ)」を承認。近く普及が始まる。
ドナネマブはレカネマブと同じくアミロイドを除去する仕組みで、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が確認されている。ただ副作用が比較的高い頻度で出るといい、レカネマブの販売にどの程度影響するかは未知数だ。内藤COOは「新薬が出ることで患者の選択肢が増える。我々にも追い風になる」とみる。
現最高経営責任者(CEO)の内藤晴夫氏の長男で、事業全般を統括する内藤景介COOは「エーザイは国内の製薬企業から見ても比較的若く、言うならばベンチャー気質がある。ベンチャースピリットを生かしつつ、より効率的な取り組みを進めていきたい」と意気込む。
目指すのは治療薬の先にある認知症を支える社会基盤の構築だ。核となるのがデジタル技術で、認知症の情報サイトの開設や認知機能の低下を予測する人工知能(AI)の開発、認知症患者の支援アプリなど認知症に関わる様々な先端技術を開発するための子会社も設立した。認知症の予防や診療、看護・介護につながるサービスの展開につなげる考えだ。
また治験などで蓄積したデータ活用事業の立ち上げなども進めており、保険会社や自動車会社など他業種との連携も探る。「製薬という手段に限らず貢献する道を模索していく。認知症のプラットフォーマーを目指す」(内藤COO)と話す。
アルツハイマー病を中心とした認知症の患者数は23年時点で世界に5500万人以上いる。エーザイは今後、レカネマブを米日中に続き、インドなどアジア市場でも展開する予定という。レカネマブを成長の軸にし、会社全体で売上高2兆円超えの「メガファーマ」入りを目指す。
新薬の実用化で将来の成長に道筋をつけたエーザイ。今後は治療薬だけでなく検査や診断、保険などの総合的な認知症対策にも意欲をみせる。製薬会社の枠を飛び越えた挑戦にも注目が集まりそうだ。