オリンパスの生体材料事業とテルモのコラーゲン事業を統合し新しい生体材料に関する共同事業を開始
オリンパス株式会社(以下、オリンパス)とテルモ株式会社(以下、テルモ)、およびオリンパスの100%子会社であるオリンパスバイオマテリアル株式会社(以下、OBM)の3社は、2007年4月1日からOBMをオリンパス、テルモの共同出資会社とし、生体材料に特化した共同事業を開始することに本日合意いたしました。
この共同会社では、生体材料と再生医療を事業とするOBMにテルモのコラーゲン事業を統合することで、両社の技術を融合させた新しい製品の開発を目指し、整形外科、歯科、口腔外科、形成外科、皮膚科等における生体材料事業を展開してまいります。
なお、これを機にOBMは、「オリンパス テルモ バイオマテリアル株式会社」に社名変更し、3年後に50億円の売上を目指します。
オリンパスとテルモは、2005年に包括的業務提携を強化いたしました。
社名 | オリンパス テルモ
バイオマテリアル株式会社 (英文名:Olympus Terumo Biomaterials Corp.) |
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代表者 | 代表取締役社長 水野均 (現在、オリンパスバイオマテリアル株式会社 代表取締役社長) |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス |
事業内容 | セラミックス人工骨・コラーゲンなどの生体材料および再生医療に関する研究開発、ならびに製造販売 |
資本金 | 7,207万円 |
出資比率 | オリンパス66.6%(192,000株)、テルモ33.4%(96,290株) |
事業開始 | 2007年4月1日 予定 |
従業員数 | 約60名 |
日本経済新聞 2007/11/20
オリンパスが買収 英医療機器ジャイラス
2100億円 手術器具事業を強化
オリンパスは19日、英医療機器メーカーのジャイラス(バークシャー州)を約2100億円で買収すると発表した。ジャイラスは泌尿器や婦人科などの分野の手術器具に強みを持つ。胃や大腸分野が主力のオリンパスは製品領域を広げ、欧米での販路を拡充する。手術器具の分野は利益率が高いうえ、市場は2ケタのぺースで伸びており、大型のM&A(合併・買収)で収益基盤を固める。
最近の日本企業による海外企業買収 | ||||||||||||||||||||||||
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(注)レコフ調べ。一部予定、推測を含む |
英国Gyrus Group PLC社の買収手続き開始の合意について
当社は、ロンドン証券取引所に上場している英国医療機器会社であるGyrus Group PLC(英国、以下「ジャイラス社」)と、同社の発行済全株式を現金にて取得し、完全子会社化(以下、「本件買収」)する手続きを開始することに合意しましたので、下記のとおりお知らせします。
2.買収のメリット
(1)低侵襲治療分野における理想的な補完関係
今回の買収により、伸び続ける低侵襲分野での当社の商品ラインナップをさらに強化し、外科手術のさらなる低侵襲化に貢献していきます。
(2)全世界での販売網の拡充
今回の買収によって、当社の全世界での販売網をさらに拡充することができ、特にジャイラス社が得意とする米国での泌尿器系・婦人科系領域での拡大を見込んでいます。
(3)ベストプラクティスの共有とシナジー効果の創出
両社がこれまで培ったベストプラクティスを共有化するとともに、販売網や材料調達をはじめとした分野でシナジー効果を達成し、さらなる売上の増加と収益性向上を目指します。
≪参考:ジャイラス社の概要≫
商 号: Gyrus Group PLC
所 在 地: 英国バークシャー州
設 立: 1989 年
Gyrus ACMI has three proprietary Divisions, each with a specific surgical focus:
・Urology 泌尿器科 & Gynecology 婦人科Division
Endoscopic内視鏡的 and Diagnostic 診断的Solutions for Urologists and Gynecologists
・Surgical Division
Less invasive laparoscopic 腹腔鏡 and open solutions for surgeons
・ENT Division ear nose throat 耳鼻咽喉科
Complete ENT surgical solutions
オリンパス、FDAから医療機器で警告書 立て直しに600億円
オリンパス株が日本株の上昇に乗り切れていない。内視鏡の新製品で米食品医薬品局(FDA)認証がずれ込み、FDAからは管理体制を巡って警告書も受けた。600億円の対策費用を見込むなど、収益源の先行きが視界不良に陥っている。工業用顕微鏡などを手がける科学事業を売却し、医療機器に経営資源を集中することを決めた矢先のつまずきで、事業売却で得た手元資金の使い道が一段と重要性を増している。
オリンパス株は5月31日の取引時間中に2100円の年初来安値を付けた。2022年9月の上場来高値(株式分割考慮後)からの下落率は約3割に達する。海外事業の売上高は8割を超えており、足元の円安・ドル高局面は追い風のはずだが、投資家がその追い風以上の懸念を抱いていることがうかがえる。
オリンパス株の下落は5月12日の決算発表後から加速した。同日の決算説明会で、4月に就任した同社のシュテファン・カウフマン最高経営責任者(CEO)が、米国事業の立て直しに多額のコストがかかると説明したためだ。「FDAからの警告書の対応だけでなく、根本原因の対応が必要」と指摘し、24〜26年3月期の3年間で600億円を見込んでいるとした。
24年3月期の連結営業利益(国際会計基準)は前期比13%減の1630億円を計画する。アナリストは決算発表前には対策費の総額を50億〜100億円程度と見込んでいたが、想定よりも大きい金額がかかることがわかり、「一時費用と捉えることも難しい」との声が上がる。
FDAは22年11月から23年3月にかけて、オリンパスの子会社で医療用内視鏡などを管理するオリンパスメディカルシステムズ(東京都八王子市)と医療用内視鏡や周辺機器の開発・製造を手がける会津オリンパス(福島県会津若松市)に警告書を出した。医療機器報告を期限内に提出しなかったことや、製造工程や機器設計工程の履歴管理などの問題について警告を受けた。
15年にもオリンパスはFDAから警告を受けている。その後、オリンパスは同社製の十二指腸内視鏡が媒介となって発生したと見られる院内感染について、米当局への必要な報告をしなかったことを認め、米司法省との司法取引で合計8500万ドル(当時のレートで約96億円)を支払った。ある市場関係者は「当時の問題や、内視鏡分野でシェアトップということもあり、FDAが厳しくなっているのでは」と見ている。
オリンパスは2018/12/11日、同社製の十二指腸内視鏡で検査・治療を受けた患者が感染症を患ったことについて、米国食品医薬品局(FDA)への報告を怠ったことを認め、米司法省と司法取引契約を結んだと発表した。
罰金など計8500万ドル(約96億5400万円)を支払うことで合意。
同社製の十二指腸内視鏡は米国や欧州で販売され、12年から15年にかけて抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌などに患者が感染し、被害が拡大した。今回の問題は欧州で起きた感染事例の報告義務を怠ったことによるもので、同社によると、その後、感染した患者の健康被害は確認されていないという。
費用の大きさに加えて、FDA対応の遅れは最大市場である米国での業績に影響を与えかねない。既に、一部製品の販売が遅れるといった影響が出始めている。同社が発売した内視鏡「EVIS
X1」は欧州では20年4月、日本では20年7月に発売したものの、北米市場ではFDAの承認が遅れたことで未発売だ。
EVIS X1は8年ぶりにモデルチェンジした製品で、過去の製品よりも画像処理精度が優れている。同社はEVIS
X1と連動した診断支援システムも展開しており、EVIS
X1を事業成長の柱としている。米国では23年度中ごろの販売予定と大幅にずれ込んでおり、過去の製品は日米欧の各地域でほぼ同時に上市(発売)したことと比較すると遅れが目立つ。
これまでオリンパスは、医療機器事業への選択と集中を進めたことで利益率を高めてきた。21年にはデジタルカメラなどの映像事業を、今年4月には祖業の工業用顕微鏡などの科学事業を売却した。23年3月期の売上高営業利益率(科学事業除く継続事業ベース)は目標とする20%を超えた。
2021年1月4日
オリンパスは、2020年9月30日付けで日本産業パートナーズと合意しておりましたオリンパスの映像事業の譲渡に関する契約に基づき、2021年1月1日付けで譲渡手続きを完了しました。
譲渡完了にともない、今後はOMデジタルソリューションズ株式会社が、これまでのオリンパスの映像事業を引き継いでまいります。
映像新会社の株式の95%を日本産業パートナーズが設立した特別目的会社であるOJホールディングスに譲渡オリンパス映像事業の分社化は、オリンパスが2020年6月24日に方針発表。9月30日に新会社の名称が「OMデジタルソリューションズ」と明らかになり、2021年1月1日に事業を開始した。事業内容は「カメラ等の光学機器やその他精密機器の製造販売、修理並びに賃貸」。
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2023年4月3日
工業用顕微鏡などを手がける科学事業について、米投資会社ベインキャピタルへの売却が完了したと発表した。非中核事業を切り離し、主力の消化器内視鏡など医療分野に経営資源を集中する。オリンパスは22年8月、工業用顕微鏡などを手がける子会社「エビデント」について、ベインキャピタルに約4300億円で売却すると公表した。当初は23年1月の売却を予定していたが、規制当局の承認に時間がかかったことで、完了時期を延期していた。
残った医療機器事業での費用増や販売の遅れは、高収益路線を目指すオリンパスにとって大きなリスクだ。カウフマンCEOは対策費用をかけた取り組みを、「2019年に実施した(事業再編などの)トランスフォーム・オリンパスと同様の改革」とし、「リソースが必要だが、グローバルメドテックとしての水準に引き上げる機会としてとらえている」と説明した。
ゴールドマン・サックス証券の植田晃然アナリストは「EVIS
X1の米国での上市で、製造におけるプロセスバリデーション(品質管理の文書化)の進展が確認できれば不透明感の低下につながる」と見ている。不透明感の払拭は株価反転のきっかけになるが、それまでは科学事業売却で得た4300億円をあわせた豊富な手元資金によるM&A(合併・買収)の具体化策なども注目点となる。