佐伯康治氏(新第一塩ビ初代社長)が、塩ビ共販会社設立1年後の「化学経済」1983年3月号に筆名で寄稿しているが、そのなかに下図がある。
塩ビ協 「塩化ビニル工業30年の歩み」に転載されている。
(以下において各社の事務局は、ゼオン:長岡、徳山曹達:河野、住化:中山、呉羽:角田で、呉羽は93年から山田が参加した。敬称略)
1992年5月 ゼオン滝沢社長が森社長を訪問、塩ビ一体化の提案があった。
7月に中野専務から下記により、PVC/VCM事業構想の説明があった。
ゼオン案:
競争力あるVCMを一緒につくり(第一塩ビモノマー)、その上で各社のPVCを一体化し、新・第一塩ビをつくるというもの。
VCMについては出光(エチレン)、三菱商事(輸入EDC)の出資を求め、徳山でS&Bで40万t設備を新設、これに千葉塩ビモノマー(住化)、山陽モノマー(ゼオン)持分20万tを加える。(輸入EDC 25%)
PVCについては販売権を新・第一塩ビに一元化し(製造は各社だが完全下請化し製造指示は新・第一塩ビ)、2000年目標で能力60万t、シェアを当時の21%から25%にアップする。
新・第一塩ビの出資比率は第一塩ビ販売の販売シェア比(ゼオン31.1%、呉羽26.8%、サン・アロー 22.0%、住化20.1%)とする。
92年8月、製販一体化構想について各社との意見交換を行った。
ゼオン:国際競争力のあるPVC事業にしたい。このため一体化(集約化による効率化)と競争力あるVCMの確保を検討したい。
徳曹 :自社のソ−ダ事業維持のため塩素対策でVCM大型起業をやりたい。そのためなら塩ビ事業を出して統合するのもOK。(単独では生き残れないことは認識。)
呉羽:自社ソ−ダ事業、塩ビ事業の維持のためVCMでの提携先を探しており、今回のVCM事業案はその一つとして考えていた。(PVC事業としてVCMがないのが致命的。有機塩素がなくなった場合、自社塩素は停止し、VCM提携先からVCM用塩素対応のソ−ダを引取り、両事業を維持しようというもの。旭硝子計画も検討対象か。)
塩ビ事業の一体化の発想はこれまではなかったが検討する。
住化:@単独での生き残りは難しい、A第1のオプションは第一塩ビ各社の塩ビ事業を統合すること。これにより全体でも個別にもメリットある結果が得られるかどうか,そのためにどうするかが問題、BVCMをどうするかはその後の問題。
これに対する森社長のコメントは以下の通りであった。
・同床異夢だな。
・VCMを入れると複雑になる。PVCを一緒にすることだけを考えるべきだ。
・一緒になったとしてもいろいろ問題あり。単純ではない。
たとえば親会社が操業を受託する場合、合理化メリットをどちらがとるか等。
・もう少し整理した方がよい。確かに本プロジェクトは同床異夢であった。塩ビ事業に対する各社の立場が異なっていた。
ゼオンは塩素もエチレンも持たないのが同社の塩ビ事業の問題と考え、エチレンを持つ住化、塩素を持つトクヤマを引き込むことを考えた。あくまでも同社の塩ビが中心であった。
トクヤマは塩ビ事業を始めた当初から、塩ビ事業は同社のソーダ事業のためのものであった。東ソーが当初から自社で塩ビ事業を行い(その後鉄興社を合併し)、その後新大協和石化のエチレンを生かすためにビニルチェーンを構想したのと異なり、トクヤマの場合は塩素利用製品の one of themであり、POの方が優先した。
呉羽は高橋会長、児玉社長が塩ビ事業を育てたとして愛着を持ち、需要家との関係も深く、かつ錦工場が単一工場である。但し錦工場は内陸にあり、VCMソースを持たないことから、安価な安定ソースを持って錦工場を維持することが目的であった。
住化の場合は基本的には塩ビ事業に対する愛着はなく、エチレンも不足気味のためエチレン操業度維持のための必要性もなかった。共同生産を口実に第一塩ビ製造をつくったが、これがなければ塩ビ事業を放棄することも考えられた。このため一体化で儲かるならというのが基本姿勢であった。
92年10月に以下の議論を行った。
・メリットの一つのコストダウンはある程度は確実。
東西各2工場の存在を利用した効率的生産(グレ−ド調整ほか)、交錯輸送の廃止、ローリー共用などによるコストダウン、販売、研究、管理の統合による合理化、不足VCMの集中購買
・一体化(能力では信越を越える)により信越を越える会社になりうるか
(目標は現行シェア20%を25%に ---このままでは逆に15%になるおそれ)
・信越のシェア拡大の分析
1988-89 の不足時代に休止缶を稼働(MITIが例外として認めた)出来たこと。
トップ(金川社長)の即決即断で方針決定(特に関東地区大手需要家に価格政策で拡大)
大型高効率缶 での大量生産、低価格原料による低生産コスト。
* 当時の信越の設備 127 m3 x 8+ 80 m3 x 2
・これからの過剰時代に一体化して拡大可能か。
大きくなり力をつければ需要家がついてくる側面がある一方、需要家、商社が離反するおそれもある。伊藤忠取り込み策が必要。
・運営面
4社JVで運営がギクシャクするおそれあり。親会社から独立しつつ、親会社の全面的バックアップ(資金、人材、需要家との関係の利用、その他)を得ることが必要。
ゼオンとしては求められれば中心となって運営に当たる覚悟あり。
・原料VCM
共同生産を一体化の条件とはしないが、将来不足になれば検討。
(徳曹には他社がやる前にやりたいとの希望あり)
・ペ−スト
ペ−ストはゼオンと住化しかやっておらず、これをどう織り込むか、別途話し合う。
92/12/8 日刊ケミカルニュースで旭硝子のVCM計画が取り上げられ、呉羽の参加が伝えられた。
千葉地区に大型塩ビモノマー構想が浮上
旭硝子中心に共同投資で、95年末20万t
関係筋によると、旭硝子を中心にした大型塩ビモノマーセンター構想が浮上してきた。同計画によれば旭硝子、呉羽化学、電気化学、チッソ、日本カーバイド5社の共同投資による「京葉塩ビモノマー」(仮称)を設立し、95年末に年産20万t級の塩ビモノマープラントを千葉地区に建設しようというもの。
現在、旭硝子は鹿島塩ビモノマーおよび千葉塩ビモノマーで塩ビモノマーを生産しているが、新たに大型新プラントを建設し、塩素の安定消化を図ろうというのが狙い。
一方の原料エチレンは丸善石化から手当てする。すでにFSを開始しているが、具体化までには独禁法上の問題など曲折も多く、動向が注目されている。
塩ビ工業も国際化時代に入り、海外では40〜50万t級の大型塩ビモノマープラントが建設されている。
わが国でも国際化対応にはスケールメリットの追求といった動きが急浮上してきているが、旭硝子を中心にした「京葉塩ビモノマー」構想にはとくに強い関心が集まっている。
呉羽によると、呉羽ではVCMをどうするかが同社の最大の関心事だが、旭硝子のVCM計画への参加についてはまだ何も決めていないと。
92年12月18日 第一塩ビ販売の親会社社長会があった。
一体化についてゼオン滝沢社長から、「共販はこのままという訳にはいかないだろう。その場合、信越のように単独でやるやり方とは別の在り方もあろう」と一体化の方向を示唆した。
これに対し森社長から以下の発言があった。
「塩ビ共販はポリオレフィン共販よりましで公取もそう見てくれている模様だが、いづれは解散ということになる。この対応は考える必要があり、信越とは異なった手法も考えるべきだろう。但し各社それぞれ生い立ち、塩ビの比重、塩ビへの取組み、モノマー問題、塩ビの将来の見方が異なっており、単純ではない。」
呉羽・児玉社長からは一体化に対し冷めた発言があった。「第一塩ビ製造をつくった結果、4社が離れられない関係になってしまったのには困っている。但し、『旭硝子とのJV』との業界紙記事は誤り。旭をVCMソ−スとしては検討しているが、JVは事実でない。」--------------------
児玉社長の消極的発言に対し、93年3月に滝澤社長が児玉社長を訪問して説得した。その結果、呉羽も前向きに進めることとなった。*
但し同社ではゼオン提案の背景にゼオン/徳曹のVCM計画が前提としてあるのではないかとの懸念をもっており、それが前提なら乗れないとの態度で、あくまでPVC事業の一体化ということで検討するとのことであった。* それまでは化学品企画室角田次長が担当であったが、「呉羽としてはどうするかは未定」としての参加であった。経営企画室山田室長が加わり、積極的に検討に参加したため前向きに進むと考えた。
93年2月、一体化検討事務局が千葉工場を見学、3月に呉羽・錦工場を見学した。
呉羽は小名浜港に原料VCMタンク2基(2,000t x 2)をもち、工場まで14kmをロ−リ−6台で輸送(1日1台あたり 5-6往復)しており、変動費が高いうえ、万一事故でもあれば原料切れという可能性もある。* このコストデメリットを工場の合理化によるコストダウンで補っており、例えば定期修理は8日で処理している。
* 日本でロ−リ−輸送しているのは他にゼオン高岡と鐘化大阪のみ。その後鐘化大阪は閉鎖。
5月 各社社長から検討を始めることについて同意を得て、日本ゼオンから正式に一体化の提案があった。各社が塩ビ事業を事業譲渡することから株主総会の承認を必要とするため、年内合意、94年3月総会(他社は6月総会)での承認、94年7月スタ−トを目指すこととした。
6/29日経記事で旭硝子のVCM計画が出た。
資本金 20 億円、丸善が 25%出資、三井東圧技術採用、生産開始95/4, 建設費 130億円。
旭硝子から以下を聴取。
・ 能力20万tで丸善石化の敷地に建設する。EDCは 6 km 離れた旭からパイプで送る。建設に20か月、完成は1995年。
・既存の旭ペンのVCM(5万t)は休止し、現在購入しているものを切るほか、インドネシアJVの増強(7万t)用に送るため供給過剰にはならない。
・PVCはやりたいが、MITIの指導を守るという方針のため当面やらない。
・MITIからVCMについても新規分は他の共販メンバ−とは一緒にやるなと言われており、他のメ−カ−とのJVとはしない。但しエチレン供給の立場から丸善石化が若干の資本参加を行う予定。
・これが完成しても千葉塩ビから離脱する考えは全くない。(今まで我慢して、やっと原価が安くなったのに)
・住化とは千葉塩ビ設立前に3年間VCMを提供し、その後もJVでやってきた仲であり、また呉羽・ゼオンとも昭和50年代に共同で常陽モノマ−をつくる寸前までいき(三菱油化のエチレン増設とりやめで中止)、その後も呉羽には主供給者という関係がある。両プラントを結びつけ、第一塩ビ・グル−プとも協力しあう形をお願いしたい。
・第一塩ビ製造への各社のVCM持ち込み、旭の外部出荷をスワップ処理したり、両社間配管(大半は旭所有、姉・袖間は住化所有で、千葉塩ビが使用権をもつ)と両社タンクの有効利用、定修調整など、エチレンと同様のコンビネ−テッド・コンビナ−トが理想。
常陽モノマー、常陽ポリマー構想 (「呉羽化学50年史」から)
呉羽化学の塩化ビニル事業の再編成に向けた動きは、かなり早い段階からさまざまな形で展開されていた。
最も初期の構想に着手したのは、石油危機の約半年ほど前の1973(昭和48)年4月のことであった。当時はまだ、塩化ビニル樹脂の需要は引き統きかなりの速度で増加すると考えられており、76年以降の増設の具体的な方策として、旭硝子、日本ゼオン、三菱油化(現三菱化学)との共同事業が検討されたのである。
呉羽化学としては、しばらくはナフサ分解と原油分解の両プラントで生産されるモノマー年間11万トンに購入モノマーの量を増やしてポリマーの需要増加に対応できる。しかし、それ以上の増産は、76年以降は錦工場においてではなく、三菱油化の鹿島コンビナートの第2期計画の一環として、同コンビナートに上記の数社と共同でモノマーセンターを設置するという計画を立てた。
旭硝子は当時、塩化ビニルモノマーからポリマーへと事業展開を図っており、共同出資会社の設立には大変意欲的であった。アメリカのPPGインダストリー社のオキシクロリネーション法を採用するモノマー工場の操業は、ほぼ全面的に同社が引き受けるはずであった。
日本ゼオンは、シェアの維持・拡大のために、東日本に生産拠点を持ちたいと考えていたようである。
こうした各社の経営判断が、「常陽モノマー」計画と呼ばれた共同事業構想を生みだしたのである。モノマーの生産規模と各社への配分など、この構想をめぐる関係各社間の交渉は、ほぼ合意に達するところまで進んだ。
ポリマーについても、ほぼ並行して旭硝子や三菱モンサント化成(現三菱化成ビニル)との共同投資の可能性が検討された。重合技術については、呉羽化学の懸濁重合法によることがほぼ決まり、呉羽の技術スタッフは重合缶のスケールアップのための研究を進めたのである。
この鹿島地区への進出の構想は、肝心の三菱油化のコンビナート拡張計画が、石油危機後の不況の過程で見直しを余儀なくされたために、1976年末には交渉が打ち切られ、最終的には実現せずに終わった。
塩化ビニル業界でも、石油危機の影響は深刻で、大規模な増設計画が実現できる状況ではなくなった。しかし、この時の交渉を通じて培われた旭硝子や千葉・鹿島地区の諸企業との関係は、以降の呉羽化学における塩化ビニル事業の再編成に大きな影響を及ぼすことになったのである。
93年6月、4社で一体化構想を打ち合わせた。
VCMの統合、共同生産については外して考え、まずPVCの統合が成り立つかどうかを検討することとした。
正式に各社社内で議論するには新会社の形、運営方法のラフな絵と、一体化した時のメリットの試算(ゼロ次F/S)が必要で、利害の対立も先に表に出し、その上で進む方がよいと考え、事務局で早急にまとめることとした。
93/7/13の日刊工業新聞に第一塩ビの一体化の記事が出た。
呉羽・児玉社長(塩ビ協・会長)が記者会見で一般論として「共販単位に集約して丁度よい規模になる」とした上で、「第一塩ビ・グル−プもいろいろ検討している」と話したのを類推拡大して記事にしたもの。
他の新聞は完全に無視し、化学工業日報記者は「あんなことは今世紀には起こる筈はない」とした。
93年7月、守秘契約なしでの検討を終了、4社の概要のとりまとめを行い、各社で秘密保持の覚書を締結することの社内承認を得た。
9月、5社協議会を都内の呉羽施設で2日間にわたり開催した。
各社デ−タを持ち寄り、一体化対象の各社の状況を明かにするとともに、一体化後の拡販方策、合理化方策を議論した。
ペーストが問題となり、ゼオン・住化合計のシェアが44%となることから、公取が認めないのではないかとの懸念が出た。
この結果、住化法務部から内々で公取の矢部経済部長に意向を打診した。
経済部長は共販体制打破・業界再編成の起爆剤になるとして本件に前向きで、ペーストについてはシェアが高いこと(比率は言っていないがメーカーは5社でゼオンと住化が入っていることは説明)、汎用品と価格差があること、壁紙はほとんどペーストであることを知った上で、これを含めた塩ビ全体の一体化に対し反対は示さず、共販問題については糸田事務局長の判断が重要なため事務局長にだけは話したい(課長以下には下ろさない)として預かった。
その後住化、ゼオンで再度訪問。
ペ−ストの2社シェアが40%程度との説明に対し「気になるなあ」とのコメントはあったが、塩ビのグレ−ドであること、共販品目だけでの一体化では合理化にならないこと、ペ−ストの切り離しも難しいことは認識しており、検討を続けてもよいかとの質問に対し「結構だ」との返事があった。
93年9月14日、5社協議会常務会を初めて開催、一体化の実現、成功に向け協力を約した。
メンバー:ゼオン:佐伯専務、呉羽:瀧本常務、徳曹:三浦常務、サン・アロー:藤田社長、住化:後藤常務
その後、ゼオンが一体化に否定的な発言を始めた。理由としては以下の点が推定されるが、社内にいろいろな反対意見がある模様であった。
・同社が当初第一の目標としたVCM一体化(によるコストダウン)が困難であること。
・短期的には販売、研究の人の合理化と一般管理費のスリム化によるコストダウンがメリットの中心になるが、これらは一時的には親会社の負担増加となる。
・ゼオン、呉羽と比較して住化とサン・アロ−の損益がかなり悪いことが判明し、一体化により他社の赤字を背負い込むとの懸念。
後者の損益が悪い主な理由はいづれも最近に設備投資をしたためのもの(住化は3CVの負担)で、他の3社は運営費で高いのは是正するとして設備費は将来の資産になるものとしている。
・主導権(JV出資比率としてゼオン40%、他社各 20%の提案あり)がとれそうにないこと。
・ ペ−ストについてはサスと異なり現在33% のシェアをもっており、1社でやっていきたいとの意見が強い。逆に同社のペ−ストは最近の投資増で赤字が大きく、呉羽、サンアロ−にこれを含めるのを反対されるのではないかとの懸念もある模様。他の3社は一体化しても短期的には抜本的な合理化は無理で、中長期的な観点から一体化すべきであるとゼオンの主張に反論した。
その後、ゼオンから、「同社の別グル−プが塩ビ事業をどうするかに関して他のオプションの検討を行っていたが、結局この案しかないとの結論に達した」との報告があった。
93年11月9日付 化学通信の「ソ−ダ・塩ビ特集号」で呉羽・児玉社長の以下の発言があった。
MITI細川局長の「第一塩ビの共同投資も親会社の共同投資であって共販の実質化ではない」との発言に対し、
「今、それをつくろうと思っているんです」「実質化をするのに多少の時間はかかるが、来春ぐらいをめどに一生懸命やっています」とした。 ** 児玉社長はこの種の発言を度々行ったが、結局は一体化への参加を拒否した。事後の説明では「あれは呉羽社長としてではなく、塩ビ協会長としてのもの」とのこと。
11月 一次FS報告案(添付)をまとめた。損益は以下のとおり。
問題の出資比率については:
ゼオン:売上高比率(ゼオン40%、他社各 20%)
他3社:原則均等(あとで少々の妥協は可能)
ゼオン案では社内、社外ともに自社の事業の拡大という認識にならず一体化の支障になると主張。
常務会には2案併記とすることとした。
12月2日、常務会を開催。一次FS結果に基づき議論。次に進むについて各社で経営会議にかけることとし、年明けにその結果を持ち寄り再度協議することとした。
各社意見:
・4社損失合計は 75 億円にもなり、単独では生き残れないことは認識。
・一体化しても短期的にはPVC、VCMとも工場が分散している状況には変わりなく抜本策がないのが弱い。(長期的にはVCM共同化、PVCのS&Bによる東西2工場体制を目標)
・一体化でトップメ−カ−になる可能性はあり、運営次第(親会社支援)
・ペ−ストについては呉羽、徳曹は知識なく不安をもつ。
・出資比率はペンディング。呉羽は当初均等出資案。サン・アロ−藤田社長からは経営責任明確化のためにゼオンに若干の差をつけてはとの意見。
・呉羽、ゼオンは営業譲渡の株主総会決議が必要で94/3末には決まっていることが必要。なお新会社設立(各社が設立する子会社を合併)は準備期間が必要なため 94/10か。
93年12月 住化経営会議で、これしかないとして承認された。 *
* 事前説明で森社長から各工場の製造課長を兼務にしてはどうかとのアドバイスがあった。→採用
またゼオン、徳曹でも承認された。
ゼオンでは新会社運営について、寄り合い所帯ではうまくいかないだろうとし、どこかが主導権を取る必要がある、求められればゼオンとして引き受けるとの議論となった。
呉羽では議論百出で時間切れとなり 1月18日 に再度議論することになった。
事前の根回しをやっていなかったのが問題であったが、会長、社長の本音が不明(社長のこれまでの前向き発言は塩ビ協会長としての発言の意味合いが強い)であるほか、全般に危機感が薄く、単独でやっていける、一体化のメリットが少ないなどの意見が出た。
またVCMを含めないのでは意味ないとの発言もあったとのこと。
94年1月、ゼオンが人事異動を行い、塩ビ一体化の推進体制をとった。
佐伯専務が樹脂事業部と原料部(VCMは原料部が担当)を担当。
長岡原料部長(5社協議会事務局)がラインを外れ、樹脂事業部付となる。当初は一体化の準備室長とする予定であったが一体化を外部に発表することとなってしまうため当面こうするもの。
94年1月19日、5社常務会を開催。呉羽より不参加に決めたとの返事があった。但し第一塩ビグル−プの関係は維持したいとのこと。
理由は明確ではなく、地理的条件(東でVCMを依存している=旭硝子との関係?)、文化の問題、錦立地へのこだわりなどの説明があり、決めないままでズルズルいくのは他社に迷惑をかけるから不参加を決めたと。
(その後ゼオンに対し、「工場サイドで独立してやっていきたいとの声が強いため不参加を決めた」、「第一塩ビ製造の状況には満足しておらず出来るだけ早く撤退したい」との発言があった。)3社からは呉羽参加の道は開けておくと伝えた。
呉羽を除く事務局で対策を打ち合わせた。呉羽を除いて2次FSを続け、期限までに呉羽が参加を希望すれば認め、時間切れとなれば3社で一体化する方向で各社社内で諮ることとした。
徳曹は 1/24経営会議で、呉羽引き止めの努力はするが呉羽が離脱する場合は3社で一体化することを決めた。
ゼオンは社内打ち合わせを行い、3社で一体化する方向であるが、当初案より弱体化するため強化案を考えるとした。
住化は1/31の経営会議で、3社でも一体化するということで了解を得たが、呉羽をグル−プに引き戻す努力をするよう指示があった。
2月、呉羽を除いて事務局会議を開催、ゼオンの社内理由で延びていたためゼオンから同社の状況の説明があった。
ゼオンでは、3社でやっていく場合に弱者連合との謗りを避けることが必要で、さらなる合理化案とともにVCMの合理化案も折り込み、経理操作なしでも黒字でスタ−トすることというのが一体化実施の条件とされた。
VCMについては、徳曹で塩素を増設し、安いEDCをつくって山陽モノマ−に持ち込み、同社の塩素・エチレン供給ソ−スの旭化成を牽制して値下げを確保したいとのこと。
VCMは同一価格で持ち込むこととなっているが、住化、徳曹は自製原料での含みがあるがゼオンは全て購入のため赤字負担を余儀無くされる * ということが今回の提案の理由であることが判明。
徳曹はこれに難色を示し、VCM合理化案ができることが一体化実施の条件ということには反対した。*最後に開けてみると、ゼオンのVCMが最も安いことが判明。2社にとってもショックであったが、ゼオンにとっては一体化すれば大幅にVCMが安くなるとして推進してきたため、大きなショックであった。
94年2月18日、常務会開催、3社でやっていくこと、呉羽へのドアはあけておくことを確認した。以下の議論を行った。
・VCM問題
徳曹からは単純に塩素を増産することが難しい事情の説明があり、ゼオンからケ−ススタディを行うだけでよいとの答えがあった。
・運営問題
ゼオンからは寄合所帯では困るとしてゼオンが責任をもってやりたいとの提案があった。 社長以下主要ポジションをゼオンから出し、ゼオンのカルチャ−でやっていくというもの。
住化がこれに反対し、適任者で新しいカルチャ−をつくってやっていくべきであると主張、今後議論していくこととした。新会社で迅速な意思決定ができることが必要ということでは一致。
・合理化
徳曹からはサンアロ−の合理化が遅れており場合によっては標準コストに満たない場合には親会社負担ということも考えてはどうかと。
・呉羽問題
このままでは3社一体化発表時にも呉羽が第一塩ビ販売から離脱し、共販制度崩壊の引き金にもなりかねないため、呉羽と密接な連絡を取り合うこととした。
第一塩ビ製造については固定費負担問題があるためすぐ離脱という訳にはいかず、当面JV存続となろうとの認識。
事務局で 3/3 高岡、3/14に徳山、水島、3/15に新居浜を見学。(千葉は93/2に見学済み)
94年3月7日、親会社社長会を開催、3社でやっていくことを確認した。
徳曹・辻社長からサン・アロ−はコストが高いとして合理化を進めるとの発言があり、香西社長も新会社ではやりにくいとして親会社での合理化が必要とコメントした。
ゼオンから需要家にアピ−ルするため4強並み(信越、鐘化、東ソー、三菱)とのイメ−ジをつくる必要性ありとの発言があった。
94年3月、3社で呉羽と打ち合わせを行った。
・呉羽には一体化に応じるム−ドはなく(他と組む計画もなし)、単独でlocal makerとして生きていくとした。
・第一塩ビ販売については呉羽離脱しかなく、正式には3社の一体化時とするが実質的には発表時とした。
・第一塩ビ製造については呉羽としては離脱を希望したが、設立時の原則(分工場、固定費縦割り)からすぐには無理でJV継続しかなく、善後策について誠意をもって相談することとしたまた共同特許については当初の考えをもとに自社利用は無償という線で誠意をもって相談することとした。
セメント共販のアンデスが94年3月末での解散を決めた。
さきに発表のあった小野田(中央セメント)/秩父(ユニオン)の合併(両共販は解散)に続き、住友(アンデス)/大阪(大日本)の他共販同志の合併が決まったためのもの。
大日本も当然解散、残る不二セメントも早晩解散となりセメントについては共販制度は完全に崩壊することになった。94年4月15日付けで公正取引委員会が石化価格実態調査発表を行った。その中で樹脂の共販制度について以下のとおり述べている。
・コスト低減に役立っているか疑問。
・当初目的の経費削減、合理化が十分に達成されていない。
・構造改善に果たす役割に疑問。
・共販会社間で活発な競争がない懸念
・共販廃止、合理化実施等、現行体制の見直しの幅広い検討が必要。
・今後も実施状況を注視する。
94年4月1日 徳山曹達が社名変更し「株式会社トクヤマ」となった。
94年4月 事務局会議
冒頭にゼオンから「サンアロ−、住化(3CV)の最近の設備投資による償却費負担が大きいため3社の損益に差があることを是正するため、償却費の差を他の原価要素で補填し、原則損益ゼロで事業を持ち込む」という提案があった。
ゼオンからはトップから弱者の合併と見られないような体制造りを指示されているとし、そのために損益ゼロでのスタ−トを強く主張したが、トクヤマ、当社とも、新設設備が過去のものより建設費が高く償却費が増えるのは仕方ないとして設備費用を合わせるのは無理であると反論、基本の考えが違うまま表面の妥協で進めても、JV移行後に状況が変わった場合に再度問題化すると主張、ゼオンの再考を求めた。
5月連休明けに久し振りに事務局会議を再開した。
ゼオンは低姿勢で、損益ゼロで事業を持ち込むという案は引っ込めた。各社の合理化やその後の拡販の効果で大幅値下がりによる損益悪化を相殺できる見込みで、なんとか格好がつく姿になると思われた。
5月末の事務局会議で設備譲渡金額について議論
ゼオンは償却費負担問題はギブアップし、1次FSの前提のままでOKと明言した。この結果、各社簿価のままで(償却方法の差は調整せず)譲渡することとした。
6月初めの事務局会議で、新会社の運営問題、将来のVCM戦略など一部を除きほぼ議論を終え、とりまとめに入った。新会社スタ−トは95年7月1日を目標とした。
6月の事務局会議で以下の議論を行った。
・将来の事業拡大
MBSその他の塩ビ強化剤、コンパウンド(同一販売先、ル−ト)
川下展開(既存分野は需要家への出資を通して行い、別途塩ビの特徴を生かした新需要の開発を狙う。)
東南アジアへの進出(需要との結び付きが前提)・VCM
ゼオンはトクヤマのS&Bに先行してトクヤマでEDCを増設し山陽モノマ−に運ぶ案を強く要請。(トクヤマ塩素によりVCMのコストダウンを図ることが一体化の目的の中の大きな要素の模様、旭化成の塩素を切りたい)
これに対しトクヤマは増産分のソ−ダの処分などを考えるとEDCのための塩素増設はやれないと拒否。・ コストまとめ
住化の補修費、工場管理費が他社に比して著しく高い。対応が必要。
他にサンアロ−は人員が多く労務費高、対策検討中。・新会社の運営
出資比率:ゼオンは売上、資産、収益力などを勘案して決めることを主張(単純平均ではゼオン 45%, 住化 30%, トクヤマ 25%となる)
これに対し住化、トクヤマはこれらとは無関係に「一体化」の観点から原則均等、但しゼオンが高くなるのはやむを得ないとして、(私見として)40/30/30を提案した。・トップ人事
住化、トクヤマはゼオン案(ゼオンのカルチャ−でやりたい)に反対。
需要家に3社が支える一体化と認識させることが必要、親会社からの支援を受けるためにも、3社一体の実態をつくることが必要で(出資比率も同じ考えと説明)、新しいカルチャ−を早くつくるのが大事とし、トップ人事は3社均等を提案。ゼオンも両社主張を理解。・人事枠
住化は現状従事人員比を提案、ゼオンは売上高比(ゼオン46%,住化27%)、トクヤマはサン・アロ−の特殊性(ほとんどがサンアロ−採用者でPVC以外はVCMとコンパウンドのみ)を考えて欲しいとしている。今後議論。
・トクヤマ/サンアロ−について株主をどちらにするか。
住化・ゼオンは3親会社のバックアップが新会社の大きな柱となるためトクヤマが株主になることを強く要請。トクヤマは一応サン・アロ−とした。
三菱油化、三菱化成は10月の合併に伴い、ポリオレフィン共販のダイヤポリマ−を解散することを決めた。また塩ビでは三菱化成ビニルからPVCを新・三菱化学に移し(VCMはこれまでも三菱化成)、三菱化学が中央塩ビのメンバ−となる。(三菱化成ビニルは塩ビ加工品メ−カ−となる。)
7/11、7/15の事務局会議で、新会社運営に関しゼオン案の提案があった。
・出資比率 ゼオン 住化 トクヤマ
ゼオン案 30 : 20 : 20
(比率 42.86% 28.57% 28.57%)
住化主張の 40:30:30より少しでもゼオン比率を高めたいというもの。・トップ人事
部長以上9人のうちゼオンで5人欲しいとし、ゼオン側の人事案を叩き台として提示。
社長 :佐伯 (33年修士)
販売担当常務 :橋本(35 年)
企画部長 :長岡(35年)
ペ−スト販売部長:今沢(40年)
技術部長 :中村(43年)
7/20 常務会を開催。
ゼオン佐伯専務、トクヤマ三浦常務、サン・アロー藤田社長、住化後藤常務に事務局メンバ−が参加、二次FS結果[報告添付]を報告の後、ペンディング事項を議論した。
二次FS 発足時損益
注)VCM @46、汎用サスは 94/3 の@83。現状償却費ベ−ス(実際は定額切替で若干変化)
「現状各社経常損益」は一定前提での計算値。
経常損益差異理由
拡販:内販 汎用 + 264 百万円 (+ 14千t), 特殊品 +210百万円 (+3千t), 合計 + 474 百万円(目途のある拡販のみ)
輸出 + 390 百万円(汎用 +26千t,ペ−スト +13千t)
(新会社として継続 輸出の体制をつくる。限界利益 @10目標)
固定費:自主削減 +310百万円、その後の固定費調整 +300百万円、合計+610百万円
(学習効果による実質減、割高配賦管理費のカット)
値下がり&変動費合理化: + 294百万円 (ペ−ストで今後値下がりを織り込む)
本社費:+2,669百万円
(うち販・管・研・人員 1/3 cut +327百万円,
各社負担間接費の負担免 2,100百万円、うち当社 910百万円)
議論:
・出資比率
ゼオンからの社長を認め、比率は40:30:30とする。
なおトクヤマとサンアロ−は 50:50乃至25:75 の率で分け出資する。
・組織
原案を一部修正。大阪支店長は大阪営業部長とする。技術系は当初減員。
組織はおおくくりにし、融通無碍に運営する。
・主要人事
部長以上は各社から候補を出し1か月程度で決める。
社長はゼオン、常務は各社1名とし常務以上は移籍。
同時に課長以下についても、どのポストに何人出したいかの希望を出す。
・社名
各社で案を持ち寄る。
・資本金
70億円を原案とする。
・スケデュ−ル
各社で8月中に決める。発表は10月。一体化は来年 7/1。
7月26日、呉羽・児玉社長記者会見
「塩ビ・ソ−ダのコア事業を軸に同業種・異分野(川上、川下、周辺)への進出を図る」、「塩ビ事業については採算是正が課題だが、共販体制については実質化だけでなく新しいスタイルでの発展を考えるべきだろう」と述べた。
3社一体化、呉羽離脱の伏線と読める。
児玉社長は塩ビ協・会長時代は実質化を主張していた。
7月末に公取経済部長を訪問し塩ビ一体化の状況の事前説明を行った。
部長としては共販の卒業として好意的であったが、ペ−ストのシェア(両社で42%)と呉羽が第一塩ビ製造に残留する意味合いが問題だとした。
部長からは早めに事務局に説明して問題点をクリアにした方がよいとのアドバイスがあり、8/1 に説明した。
8/5 日経に塩ビ一体化の記事が出て大騒ぎとなった。
記事:
住化・日本ゼオン・トクヤマ 塩ビ、新会社に統合
製造・販売を一体化 生産能力、最大に住友化学工業、日本ゼオン、トクヤマの大手化学3社は塩化ビニール樹脂事業を統合することで合意した。3社は年内にも新会社を設立し、生産設備などを移管する。新会社の塩ビ生産能力は首位の信越化学工業を上回り国内最大の規模となる。8月中にも出資比率など詳細を詰める。事業統合で生産規模の拡大による収益改善をめざす塩ビ業界の新しい形の提携の第一弾となる。需要低迷の続く石油化学・塩ビ業界の再編成の引き金となろう。
塩化ビニール樹脂は建材、自動車の内装材、各種日用雑貨に使われる代表的な合成樹脂。
新会社に移管するのは3社の塩ビ事業に関する研究開発、生産設備と販売部門。売り上げ規模で500億円程度の塩ビ専業会社ができる。
この3社と呉羽化学工業は塩ビの共同販売会社を設立していたが、呉羽は新会社設立に参加せず、独自で生き残りを追求する。塩ビ業界では81年に構造不況を乗り切るため業界ぐるみで4つの共販グループを発足させ、これまで共販体制を維持してきた。
3社が塩ビ事業の統合を決めたのはいずれも同事業が赤字であるのに加え、個々の事業規模でほ収益改善が見込めないと判断したため。93年度の塩ビ事業の赤字は業界全体で約200億円に違している。3社は事業規模を拡大し、各設備を効率運営することでコスト面で国際競争力を強化する。8月中にも出資比率や新会社の経営陣などの詳細が固まる見込み。
住友化学は千葉地区(千葉県市原市)と新居浜地区(愛媛県)に、日本ゼオンは水島地区(岡山県)と高岡地区(富山県)に、トクヤマは全額出資の塩ビ事業会社であるサン・アロー化学を通じ徳山地区(山口県)にそれぞれ生産設備をもっている。
塩ビ樹脂の国内生産は年間約200万トン。3社合わせた生産能力は年産約40万トンになる見込みで、現在37万トンの信越化学を抜き国内最大となる。
国内では塩ビ樹脂のほかポリエチレンなどポリオレフィン樹脂、セメントの3分野で共販体制がとられたが、すでにセメント分野ではすべての共販グループが解散している。今回セメントに続き塩ビ樹脂の分野でも共販体制が崩れるほか、ポリオレフィン樹脂分野でも10月に三菱化成と三菱油化が合併することで3共販グループと1社の体制に移行することになる。
塩ビを含め化学業界は過剰設備を抱えるうえに、円高による自動車、電機などのユーザー企業の海外生産の加速、東南アジアなど海外からの化学品の輸入増という苦境に直面している。今後、共販体制の枠組みを超えた業界の再編成がさらに進みそうだ。
解説 住化など塩ビ統合 業界再編 一気に加速 呉羽離脱、共販の限界露呈
住友化学工業、日本ゼオン、トクヤマの3社による塩化ビニール樹脂事業の統合と呉羽化学工業の共同販売体制からの離脱は、表向き無風状態だった塩ビ業界の合従連衡を一気に表面化させる起爆剤となる。
今回の塩ビ事業会社の計画は13年前の構造不況時に通産省の指導で作られた共販体制の一角が崩れることを意味する。
もともと共販体制はグループを構成する会社が事業を一本化することを将来像としていた。販売面の効率化に加え、研究開発や生産などの部門で重複投資を抑え、経費を削減する利点があるからだ。
なかでも4社で構成する第一塩ビ販売グループは、販売に加え生産分野でも共同出資で製造会社を設立、運営するなど共販グループの中では最も実質的に進んでいた。
それにもかかわらず、呉羽化学が同計画に乗れなかったのは統合によるメリットが塩ビ事業を分離することのデメリットを補いきれなかったためだ。同社は大規模な石化コンビナート内で塩ビ製造を手掛けている他の3社と異なり、いわき市(福島県)に独立の工場を持ち、同社の他の事業と一体運営している。このため塩ビ事業だけを分離することが難しかっただけでなく、統合による効果も出にくい環境にあった。
共販が4社あるいは5社で構成されている以上、全社が等しく利益を享受できる仕組み作りには限界があることが、呉羽の離脱によってはっきりした。他の塩ビ樹脂共販グループのほかポリオレフィン分野の共販体制も今回の第一塩ビのケースと同様の課題を抱えており、今回の事例が引き金となって共販体制が今後急速に流動化する可能性も出てきた。
3社では、諸対策の1つとして本案を検討はしていること、呉羽はこの検討には入っていないことを認めたため、各紙が既定の事実として報道した。MITIにはこれまで全く説明しておらず、4社で訪問し説明した。
続いて8/13日経に1CVの設備廃棄の記事が出た。「塩ビ樹脂設備の一部廃棄 住友化学、10月にも千葉工場で」とのタイトルで、 15千t 設備廃棄と正確。
8月19日、住化経営会議で塩ビ一体化計画の承認を得た。将来にわたり工場の合理化を進めるよう指示があった。
同日公取を訪問、塩ビ事業一体化についてのブリ−フィングを行った。
塩ビ事業の概括、ペ−ストが塩ビの1グレ−ドであること、第一塩ビ製造の仕組みと呉羽離脱が難しい理由を説明したが、非常に好意的で、前向きに進めるための資料の作り方の示唆があった。
〔10月に追加説明、更に諸資料提出〕
9月初めに合弁基本契約書案を作成、各社に送付した。
9月中旬にゼオン来訪。
一体化に関し社内で問題提起があってまだ経営会議にかけていないとの説明があり、経営会議を通すための協力要請があった。
(同社は前年無配となり、同年も同様となるが、翌年に一体化した場合には3年間連続無配となる公算が大きく、これで苦慮)
1)売上げの15% を占める塩ビを拠出するについて将来の両社の協力につき明確な約束が欲しい。(基本契約書付属覚書への明示の要請)
・ペ−ストの集約化(1工場化=愛媛停止)の検討のFSを早急に行う。
新会社が集約化を決定した場合、親会社はこれに従う。
・新会社が競争力あるVCMの自給体制を確立するため、トクヤマはサンアローのVCMのS&Bに同意し、競争力ある塩素について必要量を供給する。2)当初数年間利益調整をして欲しい。
ゼオンでは徹底的合理化を進め塩ビも損益ゼロ体制が達成できる見通しとなったが、塩ビ分離を前提に試算すると10億円の赤字が残る。
他方新会社の損益を会社別に分けると(本社費を出資比率で配賦)、ゼオン分が10億円の黒字で他社は赤字となる。
折角合理化したのがすべて新会社に行き、本体には赤字が残るのは困る。暫くの間損益是正をしてほしい。
(例えば3年間、初年度10億円、2年度5億円、3年度3億円程度)
その後、各社で議論の結果、下記のとおり各社合意した。
・ 工場集約化については付属覚書に明記。トクヤマの塩素供給についてはトクヤマから考え方を説明したレターを出す。
・ 利益調整については1社にだけというのは無理なため、住化よりVCM価格の修正と工場管理費での一部上乗せによる解決案を提案。
VCM価格を一率 @5 up, ゼオン工場管理費を2億円追加でゼオンに10億円の利益を出す。
住化、サンアロ−もVCMで各5億円程度の益。
新会社はサスで @10値上げが出来ればトントンとなる。なお、値上げが出来なければ新会社の赤字が大きくなるので実際の運営は初年度の予算作成の際に考える。
* 二次FSの売価は@83だが、その時点でかなり下がっていた。しかし、丁度値上げが実現する見通しがたったため、これでもやっていけると思われた。実際に11月から値上げが出来、売価は一時 @90を超えた。
10月24日 ゼオン常務会で3時間の議論の結果、一体化案が承認され、全社承認となった。
日刊ケミカルニュ−ス (10/19,10/20)「この人にきく」欄で、呉羽の児玉社長が同社の塩ビ事業について述べている中で3社の一体化についてもいろいろ説明している。
新会社の方針にまで触れたり、離脱の理由の一部として「カルチャ−の違い」や「技術の格差」があると言うなど、迷惑な話。またこの中で「血縁より地縁」、「モノマ−を除いたアライアンスは問題」との発言もあり、旭硝子との提携強化の可能性がある。
東ソ−田代社長が記者会見で今後の事業展開の方針を説明。(10/21 日刊化学通信)
・塩ビ事業をコア事業の一つとする。
VCM新設(アジアの供給拠点)
PVCのアジアでの新増設(既存インドネシアのほかフィリピン、中国など)
PVC加工事業(アジアでの展開のためロンシ−ルほかと開発JV設立)
・エチレンは塩ビで50% を消化することになるため、現状体制で合理化を進める。
10月に呉羽と進め方について交渉した。
・第一塩ビ販売については年末目途に離脱ということで合意。
・ 第一塩ビ製造については呉羽は同時離脱を強く要請したため、一定期間製造受託により固定費を負担させる条件で離脱を認めることとした。これがまとまれば一体化時には第一塩ビ製造を新会社に吸収合併する。
事務局で呉羽枠取得を希望した理由は以下のとおり。・ ゼオンは水島での余力が大きいこと、早期拡販の自信がないことからため呉羽持分買取りに消極的であるが、関東地区をとるとすぐに能力不足をきたす可能性がある。
・ 新会社としては東西拠点から安定供給するというのを旗印に拡販に努める計画だが最大需要地であり拡販を図るべき(3社とも販売は関西中心)関東で余力がないのは苦しい。余力がなければ拡販のしようがない。能力不足の影響は当社の例で明らか。
・ たかが20千tの能力を買えないというのでは需要家から新会社のやる気が疑われる。実際にクボタからは「本気でやるなら呉羽枠を買い取ってみせろ、それなら信用する」と言われた。
・ 2年程度を呉羽からの受託で固定費を負担させれば、その後は拡販で埋めれると思われ、仮に埋まらなくとも他社(例えば三菱)からの受託や輸出である程度固定費は回収できる。
・第一塩ビを吸収合併すれば運営ははるかに簡単になり、最適生産が可能になる。その後、呉羽から以下の提案があった。
第一塩ビ製造の持分を額面で渡した上で2年間、計2万トンを市価よりも安い委託費で委託する(年間4億円の呉羽持分固定費のうち総額で 2.4億円の負担だけ)という、話にならないもの。
(後日の説明では、駄目元で営業の主張に一応乗ったものとのことだが、不信感が強まった)これに対し当方からは、呉羽のリスクでつくった設備であり、呉羽の理由で離脱するのであり、設備が将来役に立つとしても各社とも余剰能力をもつ状況では現在価値に換算すると価値は少ないこと、呉羽自身が錦に余剰能力をもっているため実質的に負担している損失を責任のない残留他社に転嫁することを意味すると説明した。
呉羽もこれを理解、再検討を約した。
事務局では対応案として「2年強の受託で総額9億円程度の固定費を負担させる」案を考えた。その後は販売増により呉羽枠能力を有効利用可能と考えた。
しかしゼオンの中野社長から、「こちらとして抜けてもらいたい訳ではない」として妥協案の提案をすべきでないとの指示が出た。
呉羽には事情を説明、早期円満解決は希望するが、要は今 20,000t/yの設備を買うかどうかの話であり、条件によっては買うし、条件が合わなければ買わずに今まで通りの運営をするということであると伝えた。
11月1日に一体化準備委員会を発足させた。
営業部会:実態の開示から始める。その上で製造部会・物流部会と合同で最適生産・出荷ル−トの検討と、グレ−ド名・販売条件の統一、商社の整理などの検討に入る。
ペ−スト部会:サスと異なり互いに全く知らないため、営業・製造・研究のチ−ムで互いの工場・研究所を訪問し、実態を知った上で議論する。当面、計画案の研究体制でよいかどうかを詰める。
経理・税務部会:計画案で問題がないかどうかを詰めるとともに、公認会計士と税理士を選任する。
財務部会:取引銀行の選定
コンピュ−タ−部会:受注・請求システムの決定、プログラミングの準備
11月7日、公取より、委員会にかけた結果計画を認めるとの返事があった。但しペ−ストのシェアが高いことから、他社と提携する場合には事前に公取の了承を得る旨の上申書を出すのが条件。
なお第一塩ビ製造からの呉羽離脱問題については、株を買い取ってすっきりさせる方が好ましいとのコメントがあった。
これに基づき、95年5月に公取へ新会社と親会社4社の社長連名で誓約書を提出した。
誓 約 書第一塩ビ販売株式会社(平成7年7月1日付で新第一塩ビ株式会社と改称する予定)が平成7年7月1日付で上記のうち株式会社トクヤマを除く各社から営業譲受を行なうに際し以下について確約いたします。
記
新第一塩ビ株式会社又はその出資会社の上記各社が、将来塩化ビニル樹脂に関し、国内の同業他社と、合併、営業譲渡、生産・販売に関する提携、役員兼任などを行なう場合には、あらかじめ公正取引委員会とご相談の上、ご了承を得て行ないます。
95年6月15日、公取が「企業結合事例」を発表したが、三菱化学の合併、トクヤマ/旭化成のイオン交換膜新会社などとともに、塩ビ一体化の例も含まれている。
ペ−ストは塩ビの1グレ−ドと認め、念のためペ−ストだけのシェア(40% 超)もチェックしたが、他の3社との競争、今後の輸入品との競争から、問題なしとしたとしている。三菱についても海外との競争を理由に上げている。
公取委 企業統合事例 1995/6
事例2
住友化学工業梶A日本ゼオン葛yびサン・アロー化学鰍ノよる塩化ビニル樹脂事業の統合
(平成7年4月営業譲受け届出受理)
1.概要
本件は、塩化ビニル樹脂の共同販売会社の一つである第一塩ビ販売株式会社(以下「第一塩ビ販売」という。)グループ4社のうち住友化学工業株式会社、日本ゼオン株式会社及びサン・アロー化学株式会社(株式会社トクヤマの100%出資会社)の3社(以下「3社」という。なお、他の1社は第一塩ビ販売から離脱する。)が、コストの低減と国際競争力の確保等を目的として、塩化ビニル樹脂事業を統合(第一塩ビ販売を母体として塩化ビニル樹脂の製造・販売・研究開発を一体的に行う会社とし、3社がそれぞれの塩化ビニル樹脂事業を譲渡)するものである。
2.一定の取引分野
塩化ビニル樹脂は、サスペンジョン、ペースト及ぴコポリマーの3種類に大別されるが
@サスペンジョン、ペースト及ぴコポリマーは、いずれも塩化ビニルモノマーを重合して得られる熱可塑性樹脂であって、重合度等に違いがあるにすぎないこと
A塩化ビニル樹脂は、種々の塩化ビニル製品の原料として用いられるが、フィルムシート、床材、壁紙等については、サスペンジョン、ペースト及ぴコポリマーのいずれもが使用されていること
Bサスペンジョンは主として小品種大量生産用途に使用され、押出し・圧延設備を使って加工するのに対し、ペーストは多品種少量生産用途に使用され、塗布設備を使って加工するのに適しているという違いはあるものの、ペーストは軟質塩化ビニル製品を製造するための一つのグレードとして位置付けられており、需要者は加工形態・ロットにより使い分けているにすぎないこと
C海外、国内ともに通常「塩ビ」という弩合には、サスペンジョン、ペースト及びコポリマーを包含していること一
等から、本件においては、サスペンジョン、ペースト及ぴコポリマーを合わせた塩化ビニル樹脂全体の販売分野に「一定の取引分野」が成立すると判断したが、念のため、本件統合により出荷数量シェアが高くなるペーストの販売分野にも「一定の取引分野」が成立するとみて、ぺ−ストの販売分野における競争への影響についても検討した。(注)サスペンジョン、ペースト及びコボリマーの異同は、次の通りである。
▽サスペンション=塩化ビニルモノマーを重合して得られる熱可塑性樹脂であって、粒径が100ミクロン程度の粒状樹脂であり、主として押出し、圧延等の汎用樹脂加工に用いられる。
▽ペースト=塩化ビニルモノマーを重合して得られる熱可塑性樹脂であって、粒径が1ミクロン程度の粒状樹脂であり、可塑剤と混用して塗布などのペースト加工に用いられる。
▽コポリマ=塩化ビニルモノマーと酢酸ビニル等とを共重合して得られる熱可塑性樹脂であり、低温加工などに用いられる。3.問題点及び考慮事項
(一)問題点
本件統合により、塩化ビニル樹脂全体の販売分野についてみると、3社の出荷数量シェアは16.1%であるが、ペーストの販売分野についてみると、3社(但しうち1社はペ−ストを製造していない。)の生産能力シェア及び出荷数量シェアは40%を超え、国内におけるペーストのメーカーは5社から4社となる。
(二)考慮事項
ア.塩化ビニル樹脂全体=塩化ビニル樹脂全体の販売分野についてみると、3社の出荷数量シェアは16.1%であり、他の塩化ビニル樹脂の共同販売会社との対比においてはもとより、競争メーカーとの対比でも著しく優位な地位にはない。
イ.ペースト=ペーストの販売分野についてみても、国内における他の競争メーカー3社のペーストの生産能力シェアは、1社が約30%であり、他の2社がいずれも10%超であり、有力な競争者とみられる。
さらに、ぺ−ストについては、従来は、需要が多品種少量であること、壁紙用のペーストの需要者などから品質面での要求が多いことから、海外品の影響をあまり受けなかったが、最近になって海外品の売り込みが強くなってきており、原価引き下げを目的として比較的品質差の少ない床材用を中心にして輸入の増加が見込まれる。加えて、生産設備の薪増設が行われたタイ及び韓国などからの輸入圧力が強まると見込まれる。
また、ペーストに対しではサスペンジョンのうち高重合度サスペンジョンが極めて有効な代替品として機能する。
4.本件の処理
上記の点を総合的に勘案すると、本件営業譲受けによって直ちに一定の敢引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと判断した。
11月9日に常務会(佐伯専務、後藤常務、藤田社長)を開催。
・トップ人事について第一回打ち合わせ。
・社名は「新第一塩ビ梶vが良いということになった。なおゼオンから正式社名はそうするとして、商標や社名表示には3社のイニシャルと「情熱」の意味から「ゼスト!」 or「ZEST!」をつけたいとの提案があった。
11月14日 住化で稟議決裁を得た。
11月下旬にMITIからの要請で公取との接触の経緯の説明を行なった。
MITIは公取との交渉は自分でやる積もりであったということで、勝手に交渉したことに強い不満の意の表明があった。そして、公取からの質問や公取の主張は業界へのものであり今後のこともあるので一問一答を克明に報告するよう要請があった。
12月1日にMITIの細川化学製品課長に正式に報告した。うまくいってよかったとのコメントがあり、業界再編成の「ドミノ崩し」の最初の動きとして評価した。課長から局長にすぐに報告が上がり、局長から香西社長への別件の電話の際によかったとのコメントがあった。
1994年12月5日 塩ビ一体化の発表を行った。
場所 東商ホール
出席 ゼオン 中野社長、佐伯専務
住化 香西社長、後藤常務
トクヤマ 辻社長
サン・アロー 藤田社長
発表文
塩ビ事業の統合による「新第一塩ビ」設立の件
1994年12月5日
日本ゼオン株式会社
住友化学工業株式会社
株式会社トクヤマ
サン・アロ−化学株式会社
日本ゼオン梶A住友化学工業梶Aサン・アロ−化学葛yびサン・アロ−の親会社の潟gクヤマの4社は、このほどそれぞれの塩化ビニ−ル(以下、塩ビという)事業を更に発展させるため、各社の塩ビ事業を統合して新会社を設立することで合意しました。
日本ゼオン、住友化学およびサン・アロ−は、塩ビ樹脂に関して呉羽化学工業鰍ニともに1982年3月、第一塩ビ販売鰍設立して共同販売を行うとともに、種々の合理化計画の一環として共同研究を行い、1990年にはその成果を実現すべく、第一塩ビ販売を含めた5社共同で第一塩ビ製造汲設立し、住友化学千葉工場内に最新鋭の塩ビ製造設備を建設しました。
一方、わが国の塩ビ事業は需要の伸びの鈍化と海外市況の影響を受けた売価の低下、原料コストの上昇により再生産可能利益を確保するどころか、最近では各社とも深刻な赤字の状況に陥っております。こうした状況のもとで第一塩ビ・グル−プでは、引き続き供給責任を果すとともに品質改良等の需要家の要請に応え、今後とも塩ビ事業を発展させていくための方策を検討してきました。
その結果、各社の事情を勘案し、今般、呉羽化学を除いた3社はそれぞれの塩ビ事業を統合して製販一体の新会社を設立し、一体化による合理化と各親会社の全面的な協力により、これを需要家に信頼される国際競争力をもつ会社に育成していくこととしたものです。
1.新会社の概要
新会社設立は第一塩ビ販売の再編成(呉羽化学持株の買取り、サン・アロ−持株の一部のトクヤマへの譲渡、増資、社名変更)により行う。
@社名 新第一塩ビ株式会社
(Shin Dai-Ichi Vinyl Corporation)
商標 ZEST
A本社 東京都
B資本金 70億円(第一塩ビ販売の資本金 90 百万円を増資する
出資比率 日本ゼオン 40%
住友化学 30%
サン・アロ− 20%
トクヤマ 10%
C社長 佐伯康治(現日本ゼオン 専務取締役)
D営業開始 1995年7月1日(目標)
E事業目的 将来は原料VCMから加工品までの総合塩ビメ−カ−を目指す。
スタ−ト時は塩ビ樹脂(ペ−スト、特殊品を含む)の製造販売と、
日本ゼオンの製造する塩ビ強化剤MBS樹脂の販売を行う。
F工場と能力 3社の5工場(千葉、高岡、水島、新居浜、徳山)の塩ビ樹脂製造設備を 譲受ける。
合計製造能力は 430千トン/年となる。
G従業員 約80名 (営業、研究、管理)
なお製造は各親会社に委託するため、製造要員は含まない。
H初年度売上高 年間400億円
2.新会社のねらい
@塩ビ専業メ−カ−として需要家の諸要請に迅速に応える体制をつくる。
A汎用品、ペ−スト、特殊品を揃えた国内最大メ−カ−として、また東西各地の拠点を有効に活用して、製品の安定供給を行う。
B一体化により最適生産・最適輸送体制を確立し製造コストの低減を図る。将来的にはスクラップ・アンド・ビルドにより合理的生産体制を確立する。
C原料に関しては、親会社が出資する山陽モノマ−梶A千葉塩ビモノマ−葛yびサン・アロ−化学のVCMを優先活用するが、親会社間の協力によりそれ等VCMのコスト低減を図る。
将来的には親会社の強みを生かし、塩素/エチレン、モノマ−、ポリマ−の一貫体制の中で国際競争力のあるVCMの自製を目指す。
D販売、研究、管理の集約により効率化を図るとともに、研究体制の強化を行う。
E各親会社は新会社の事業運営を全面的にバックアップする。
以上
記者会見の概要は以下のとおり。
中野社長から背景、新会社概要を説明した後、以下コメント。寄せ集めでは意味がない。合理化は当たり前の話。3社は相互補完の関係にある。
@将来は親会社の強みを生かし、競争力あるVCMの確保を図る。
APVCは東西5工場あり、最適生産・最適輸送で安定供給が可能。
B第一塩ビ製造はようやく威力を発揮。将来はS&Bも。香西社長
赤字事業の切り離しではない。塩ビの将来性を確信。激変する構造変化に対応して新しい展開を図るもの。親会社が全面的に協力し、競争力ある収益事業に育てる。
自分の事業を育てるという積もりでやる。
需要家には今後の支援をお願いしたい。辻社長
長い間の話が小異を捨ててようやく合意した。共販の実質化がようやく出来た。
トクヤマはこれまで塩ビをサン・アロ−でやっていたが、バックアップの意味で資本参加を決めた。積極的に貢献したい。
今後が大事。一体化を進め、早く相乗効果を出して欲しい。Q&A
Q:出資比率の根拠は?
A:3社公平の精神でスタ−ト。設備規模だけでなく、将来の貢献なども入れ、総合的に考えた。
Q:ゼオン主導か?
A:これがまとまったのは各社がエゴを出さなかったため。主導権云々はない。いろんな比率、公平性の考えのなかで自然に決まった。
Q:設備集約化が重要。いつ結論を出すのか?
A:工場をとめるというのは大変なこと。これから全て情報を開示し検討する。要は競争力があるかどうかということ。
Q:第一塩ビ製造はどうするのか?
A:これは各社が枠を持ち寄って設立した。呉羽も同様。呉羽はここから需要家に出荷している。今後協議し、7/1 までに決める。
Q:3社としては第一塩ビ製造をどうしたいのか?
A:今後の塩ビの伸びをどう見るかとかいろいろある。需要家に迷惑をかけないよう考える。
Q:ゼオンにとり塩ビ切り離しの影響は大きいと思うが、自信があるのか?
A:あるから決めた。
Q:香西社長に聞くが、VCMは今や大規模時代。新会社の場合は各地に分散しているが?
A:千葉塩ビ、山陽モノマ−は他の株主との関係が重要であり切り離せないのでこうなる。将来的には一貫体制を考える。
Q:設備集約化に関連し、需要の伸びが鈍化する中で設備余剰と考えるが、どの程度余剰か?
A:日本だけでなく需要が伸びている東南アジアも対象と考えている。設備余剰の問題ではなく、コスト競争力の点から集約化を考えている。
Q:合理化について?
A:合理化は当たり前といったのは、一体化で人が減るのは当然のメリットでこれだけでは十分でないということ。3社の場合にはさきに述べた3つの点がある。
Q:信越をライバル視するのか?
A:強いていえば最も合理化の進んでいるのは米国企業。
信越をライバル云々より独自の生き方を考えたい。
Q:当面レジンでのスタ−トだがいつ総合メ−カ−となるのか?
A:まず足元を固めてから。いつとは決めていない。
A(香西社長):新会社の特徴は@共販品目だけでなく特殊品やMBSも含めたもの、A競争力あるVCM確保を目指すということ。数量では日本一。とりあえずはレジンに専念し需要家に信頼される会社を目指す。
Q:呉羽と別れるなら第一塩ビ製造はどうするのか?
A:協議中。費用負担の問題もある。
Q:新会社は 80 名とのことだが、現状は?
A:135 名。この差は親会社に残るが、他の事業で吸収する。
Q:今の塩ビの損益は?
A:勘弁して欲しい。中間決算では赤字。
Q:新会社の社長の権限は? 共販の場合、親会社が全てを決めるのが問題の元。
A:親会社の背番号を外し、ニュ−・カルチャ−をつくることにしている。全権を委譲する。共販とは違う。主要役員は転籍するし、将来は採用も行う。この点は大事で、かつ難しい問題である。
Q:ゼオンは売上高が減るが?
A:一番苦慮した点である。塩ビは全社売上高の16% で 180億円ある。
VCMと製造受託の売上計上で 10-15% downに止まる。
損益率には当然影響するが、赤字が減るということでもある。新会社が早く利益を生む体制になれば、利益還元で親会社の利益増となる。
Q:共販解散となれば他の共販メンバ−とも提携は出来るが?
A:理論上はそうだが、考えてはいない。呉羽についてはドアを開けている。
Q:呉羽の抜けた理由は?
A:呉羽に聞いて欲しい。独自でやりたいということ。
FSは途中までは一緒にやった。
なお同日、呉羽がリリ−スを配布した。第一塩ビ製造については「協議中」とすることで合意していたが、リリ−スでは「早い時期に資本の引き上げを希望し協議中」と明記した。
呉羽発表文
報道資料 平成6年12月5日
呉羽化学工業株式会社
新・第一塩ビ構想への不参加について
当社は、第一塩ビ販売鰍ノおける共販の実質化ということで、新・第一塩ピ構想の検討に参加してきたが、塩ビ業界の置かれている厳しい環境と当社における塩ビ事業の展開を総合的に判断した結果、新・第一塩ビ構想への参加を見送り、当社の持てる資源を活用し独自路線により塩ビ事業のより一層の発展を期するとの結論に達した。
新・第一塩ビ構想は、共販品目以外のペーストレジンや特殊塩ビなどを含む塩ビ全体をカバーする構想であり、一方当社の塩ビは、共販品目である汎用グレードが殆どで、グレードの統一化が進んでいる事業である。当社の塩ビ事業は、電解ソーダ、塩ビ強化剤および塩化ビニリデン樹脂事業と深く関連しており、関東・東北・東海地区など東日本の大手ユーザーを中心とする当社の主要な事業の一つである。
従って、塩ビユーザーの状況、当社錦工場のクロルアルカリとの関連、原料事情、生産効率などを総合的に判断すれば、新・第一塩ビ構想は、当社にとって必ずしも得策でないとの結論に至り、参加を見送った次第である。
当社は、いわき市にある錦工場の立地を生かし、東日本のユーザーに、優れた品質の汎用グレードを効率的に供給し、塩ビ強化剤など周辺の強力な商品と一体となった運営によって、独自の塩ビ事業で十分競争力を発揮できると考える。
このために、より競争力のあるVCMの、安定確保の方法を追求するとともに生産工程のより一層の合理化をはじめ、きめ細かい技術サービスと迅速な対応を心掛け、メーカーとしての責務であるユーぜ一に満足のいただける安定供給体制をとっていく決意である。
なお、当社は、第一塩ビ販売鰍フ株式を、新・第一塩ビ構想による新会社発足までの早い時期に、他の株主3社に譲渡するとともに、第一塩ビ製造汲ノついても早い時期に資本の引き上げを希望し、その具体的な方法については、他の3社と現在協議中である。